迫力あるスポーツシーンを記録として残したいと思い、
GoPro HERO3+や
パナソニックHX-A1Hなどのウェアラブルカメラを使って試行錯誤しています。いわゆるアクションカメラとしての使い方が中心ですが、後で見て楽しめるような動画がなかなか撮れません。撮影した本人であればその時の状況が分かっていますので、映像以外の情報も思い出しながら見ることができます。しかし、記憶の薄れた古い動画を見る時や他人が見る時には画像だけが頼りです。
編集により色々な情報を動画に重ねて表示する技術はよく使われています。サイクリングやバイク動画の場合は、GPS機器が収集した位置情報や速度などのデータを画像に重ねて表示することにより、ただ撮影された画像だけをみているのに比べてより臨場感のある動画にすることができます。
YouTubeなどで時々目にするのは、アクションカメラの動画にGPSから得られたデータをリアルタイムに表示してある画像です。画像だけの動画であれば、どれだけきつい上り坂で頑張っているのかとか、コース全体の中で今どの辺りを走っているのかなどの情報は画像からは分かりません。もちろん動画を撮影した本人は分かりますが、他の人が共感できる部分はわずかでしょう。
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速度やケイデンス、標高・心拍数、ルート・走行距離などが動画に表示されてます |
どうやって作っているのかと調べてみたら、いろいろ便利なソフトが出ているようです。WindowsではAviUtlという動画編集ソフトのプラグインとしてVSD for GPSというのがありました。残念ながらMac版は無く、他を探してみると、ガーミンのアクションカメラであるVIRB用の動画編集ソフトを見つけました。よくお世話になっているGoPro Studioなどと同様、カメラで撮影された動画の編集用にメーカーが無料で提供しているツールです。ガーミンVIRBは持っていませんが、GPSサイクルコンピューターとして同社のEdge800Jを活用しています。
VIRB用の編集ソフトがGoProの動画データを読み込んでくれれば、Edge800JのGPSデータと合体できるかもしれません。
ダメ元で
App StoreにあったVIRB Editをインストールしてみました。結果はビンゴ!です。まだ使いこなせていませんが、やりたいと思っていたことがすべてできました。
VIRB EditにGoProの動画データを読ませてGPSデータを表示する手順
インストールして起動した直後の画面です。先ず、「クリップと写真をインポート」を選択します。
するとVIRBからインポートする画面が現れますが、ここであきらめてはいけません。「その他をインポート」のボタンを押してください。
Finderが表示され、ファイルの選択画面が出ますので、GoProなどで撮影したmp4ファイルを選びます。読み込み可能なのはmp4のみのようで、movなどはグレーアウトされたままでした。ファイル選択後に以下のポップアップが出ますので、「インポートのみ」を選べばHDDと時間の節約になると思います。
すると無事インポートが完了した旨の表示になりますので、「完了」ボタンを押してください。初期画面に戻りますので、「ビデオの編集」を選択します。新しいビデオ名を聞いてきますので、適当な作品名を入力後「ビデオの作成」ボタンを押してください。
読み込んだ動画ファイルがライブラリー欄に表示されています。この動画を下のタイムラインにドラッグします。
続いて動画に合わせるGPSデータを読み込みます。左側のメニューにある「G-Metrix」を選びます。選択済みのGPSデータがまだありませんから、「G-Metrixをインポート」ボタンを押します。
このときEdgeなどガーミンのデバイスが接続してあればそこから対象のGPSログを選択できます。HDDに保存してあるGPSファイルを使う場合は、左側メニューバーのソース選択で「マイコンピュータ上」を選びましょう。
そうすると手動で選択できるようになりますので「Browse」ボタンを押します。Finderが表示されますので、必要なGPSファイルを選択してください。選べるのはガーミン機器内に収録されるときのフォーマットであるfitファイルと汎用のgpxファイルです。
GPSファイルを選択するとGPSの軌跡が表示されます。記録されているタイムコードを比較して動画とGPSログに矛盾が無いかどうかチェックしているようです。「このログはクリップと一致するようです」とのメッセージが出ています。GPSの位置データ以外に記録されているデータ内容も表示されますので確認しておきましょう。サイクルコンピューターのデータですので、位置情報以外に標高、温度、心拍数、ケイデンス、スピードが表示されています。確認後「このログを使用」を押します。
これで動画とGPSデータのひも付けは完了しました。
両方のデータに記録されているタイムコードをキーにひも付けているはずですので、時刻が誤っているとタイミングがずれてしまいます(ここは何度かやっているうちにどうも怪しい....と感じています)。GPS機器は衛星の正確な時計を利用しているので調整は不要ですが、カメラの方は時々修正してやらないとずれてきます。たまにカメラの時刻合わせをしておきましょう。でも、ずれていても大丈夫。ここで「G-Metrix同期」ボタンを押します。
撮影した動画素材のタイムコードをFCPXを使って見てみると、GoProは実際に撮影している時刻が入っていました。しかしPanasonicのHX-A1Hでは録画開始時点からの相対時間が入っています。つまりA1Hではカメラの時刻合わせをしても無駄だと思われます。実際にA1Hで録画した動画は一度も自動で同期出来ませんでした。もちろん手動で合わせてやればバッチリです。
画像とGPSデータの同期を調整する画面が現れます。左が動画、右がGPSログを基にした地図データです。動画のこの場所が地図のここに間違い無いというところまで赤いポインターを移動して「完了ボタン」を押します。これでタイムコードずれの調整が完了です。
続いて行うのが画面にGPSデータをどのようにオーバーレー表示するかの指定です。左側のメニューバーにある「オーバーレイ」を選びます。複数のテンプレートが用意されていますので、いろいろ試してみてください。車や自転車、飛行機などにマッチしたものがあります。メーターの形(ゲージ)、グラフの種類(グラフ)や背景の色(外観)などを変更できます。右側のモニター画面で不要な表示項目を削除したり、画面上の表示位置を変更したりしてカスタマイズできます。自分で作ったテンプレートは名前をつけて保存できますので、動画に合わせてオリジナルテンプレートを準備しておけば効率的です。
あとは通常の動画編集ソフトと同じ基本機能は揃っています。トリミングや並べ替え、トランジションにタイトル編集など、これだけでも作品を作ることは可能です。このソフトだけでYouTubeへの投稿までサポートしていますのでお手軽に作品を共有できます。
Final Cut Pro X(FCPX)を中心に編集を行っていますので、GPSデータのオーバーレイだけこれで作成し、必要なクリップを作ったらFCPXで完成させる予定です。そもそもの迫力不足を補うことはできませんが、あれば臨場感の増す情報を画面上にオーバーレー表示することが可能になりましたので積極的に利用してみたいと思います。
習作として、よく使うトレーニングコースで収録したGoPro動画を使って短編ビデオを作ってみました。YouTubeの「
谷津道探検サイクリング 師戸川トレーニングコース紹介」です。
それにしてもVIRBユーザーでもないのにここまで機能を利用させてもらえるとは、さすがGARMIN、太っ腹です。儲かっている優良企業は違いますね。感謝です。
ゲージの編集も可能だった(ただしWin版のみ)
(2017年1月10日追記)
VIRB Edit 5.1.0にアップしたらクラッシュする
Macの便利なところにApp Sotre経由でインストールしたアプリのアップデート通知機能があります。いちいち調べなくても、導入済みのアプリの更新が自動で通知され、ボタン一つで更新が完了します。大抵何も考えずにアップデートボタンを押してしまうのですが、時々アップデート後のアプリの不具合に悩まされることがあります。お世話になっているVIRB Editが4.2.3から5.1.0にメジャーアップデートされたと通知が来ましたので、いつものように黙ってアップデートを実行しました。後日、GoProのサイクリング動画にGPSサイコンのデータを表示しようと思って、新しいVIRB Editを使用していたところいきなりのクラッシュです。GPXファイルを読み込ませると必ずクラッシュします。これでは使えませんので、Time Machineで前のバージョンに戻しました。
調べてみると5.1.0では新しいモデルのVIRB 360サポートが中心のようで、GoProの映像を中心に利用しているユーザーにはあまり関係なさそうです。ネットで検索してみると、英文ですが5.1.0でクラッシュするという情報が見つかりました。少し時間をおいて評価を確かめてから更新するなど、メジャーなアップデート時にはもう少し慎重になった方が良さそうです。
(2017年6月18日追記)