教習所で教わったクラッチ操作方法のまま運転していた頃は、ツーリング後半になると疲労で腕がパンパンになっていました。シフト時の変速ショックも大きく、大切な人を後ろに乗せるのも憚られるような運転だったと記憶しています。
さらに大型バイクに乗り換えてからは、その重いクラッチに四苦八苦。快適なバイク生活を目指して自分なりに試行錯誤を繰り返し、ある程度満足できるクラッチ操作ができるようになったと思います。同じような悩みを抱えている初心者に少しでも参考になればと、できるだけ疲れないクラッチ操作術の動画を作成してみました。ライテクを語るほどのバイク経験はありませんが、自分自身の試行錯誤から得られた経験をショートビデオにまとめました。
クラッチ・アクセル・シフト操作の撮影方法
GoProを購入してからアクションカメラの面白さにはまり、その後も各社の新製品に惹かれて
現在三台のアクションカメラを所持 しています。三台あればクラッチ以外にアクセルとシフトペダルの操作が同時に記録できます。このテーマは以前からまとめてみたいと思っていましたが、
アクションカメラをバイクに取り付ける方法 も含めて準備が必要でした。なんとか三台のカメラをマウントする機材と経験が整いましたので撮影に踏み切りました。
クラッチ操作の撮影はGoPro HERO4 SessionをRAMマウントのミラーフレームベースを使って取り付けました。RAMマウントの標準アームで斜め上方から撮っています。
クラッチを撮影するGoPro HERO4 Session
GoPro HERO4 Sessionから撮影したクラッチ操作
アクセル操作の撮影にはPanasonic HX-A1Hを使用しました。クラッチ同様、RAMマウントのミラーフレームベースに標準アームを介してセットしてあります。カメラの固定には
HX-A1H用に3Dプリンターで自作したマウントアダプター を使用しました。
アクセルを撮影するPanasonic HX-A1H、自作のマウントアダプターを使用
Panasonic HX-A1Hが撮影したアクセル操作(色調がGoProと異なります)
シフトペダル操作はバイクのフレーム下部にREC-MOUNTSのバーマウントタイプ4(ホースバンドによる固定式)を使用してGoPro HERO3+を取り付けました。
シフトペダルを狙うGoPro HERO3+
GoPro HERO3+で撮ったシフト操作
この三台のカメラを同時に回して、クラッチ・アクセル・シフトペダルの同期操作を撮影しました。カメラの取付けさえできてしまえば撮影自体はなんら難しいことはありませんでしたが、撮れた動画ファイルの編集には苦労しました。プロ用機器ではありませんので、出来上がった動画ファイルのタイムコードはバラバラです。一秒もかからないシフト操作のシーンをコマ送りで再生するため、数フレームずれただけでも不自然です。Final Cut Pro Xでは音声で自動同期させる機能がありますが、風切り音などに邪魔されて正しく同期されません。結局全部手動で調整しました。マルチカム編集の大変さがよく分かる作業となりました。
編集はFCPXとの格闘でした
疲れ知らずでクラッチ操作するための基本
前置きが長くなりました。快適なクラッチ操作を実現するためには以下の三点が重要だと考えています。
できるだけ軽い力で操作する
できるだけ操作時間を短くする
できるだけ操作回数を少なくする
クラッチの重さはバイクごとに異なりますが、できるだけレバーの先端を握るようにしたり、注油を行うなどの整備を欠かさないことで軽い力での操作は実現できます。動画では操作時間を短くすることと操作回数を減らすことに焦点を当てています。
クラッチの有効操作範囲を身体で覚える
まずしっかりと身につけおきたいのは半クラッチの範囲です。クラッチレバーの調整やクラッチ板の磨耗具合によっても変わってきます。スクールなどで借りたバイクに乗るときなども、最初にクラッチレバーの半クラ範囲を確認するようにしています。
バイクごとに異なる半クラの操作範囲
バイクが動き出す前の
繋がり始め から、エンストしてしまう
完全に繋がる直前 が半クラの範囲です。この範囲を
手の感覚で覚え てしまいましょう。短時間のクラッチ操作では頭で考えながら行うことは不可能です。
クラッチ操作をしてみると、ベタ握りから繋がり始めまで余裕があることに気付くと思います。停車中にクラッチを完全に切りたいときもクラッチをベタっと最後まで握る必要はありません。繋がり始めから少しだけ握りこんでやればクラッチは切れています。これだけでもだいぶ手の負担は減るはずです。
教習所で教わる操作手順と違うポイント
教習所で教えてもらうシフトチェンジの手順は大まかに次のような順序だったと記憶しています。
クラッチを切る
アクセルを戻す
ギア操作を行う
アクセルを調整しながらゆっくりクラッチを繋ぐ
これを一つ一つ考えながら行えばクラッチを握っている時間は一回のシフトで一秒以上かかると思います。ギアのシフト操作で必要なことは、歯車間にかかる力を一瞬抜くことです。教習所方式ではそれをクラッチを完全に切ることで実現しています。しかしそんなに長い時間歯車にかかる力を抜く必要はありません。
快適なシフト操作のためには
最初にシフトレバーの操作 から始めます。クラッチを切る前に
シフトレバーをアップまたはダウン側へ押し付け ておきます。
速度が出ている(歯車間に力が加わっている)間はシフトレバーを押し付けてもギアは容易には変わりません 。この状態ですかさず半クラにしてやれば歯車間にかかる力が瞬間的に抜けてギアが変わります。これが瞬間半クラを使ったシフト操作です。同じことをアクセルの調整だけで行えばノークラッチ・シフト操作になります。シフトアップの際はアクセルを瞬間戻し、シフトダウンの際は瞬間的にエンジンを吹かします。これで二つの歯車の間にかかる力が抜けて、クラッチを握らなくてもスコンとギアが入ります。
クラッチの操作時間を短くするには
シフト時のクラッチ操作は半クラで素早く
停車直前にニュートラルにしておく
発進は右足着地から (状況による)
などが考えられます。一回一回のクラッチ操作時間を最小にすることで疲労を削減します。シフト中のクラッチが切れている時間が最短化されますので、より
加速がスムーズ になり、
変速ショックが小さく なる副次的な効果も得られます。
シフトレバーを押し当てることが最初のアクション
レバーを深く握る「ベタ握り」をせず、信号待ちなどで長い時間クラッチを握ったままという状況をなくせば疲れも減ります。
右足発進をうまく使えれば、ほとんどのクラッチ操作は一秒もかからずに完了 すると思います。
クラッチの操作回数を減らすには
これに尽きると思います。一日のバイクツーリングでは発進・停止・加速・減速に伴うシフト操作の回数は数え切れないほどです。このシフト操作の何割かをノークラッチで行えれば手にかかる負担は大幅に削減できます。
クラッチを使わないときも先ずはシフトペダル操作から
ただし、無理にノークラッチで行う必要はありません。クラッチの寸切り(瞬間半クラ)によるシフト操作をマスターすればほとんど力を入れなくてもシフトできます。シフトアップのノークラッチ操作は比較的簡単ですが、
シフトダウンの方は状況によって難しい 時があります。無理に行おうとせず、慣れた方法で短時間に行うようにするだけで疲労が大幅に少なくなります。実際の操作シーンは動画をご覧ください。
VIDEO
近所の駐車場でバイクに何やら色々と取り付けて、同じ場所を行ったり来たりしているところがどうも怪しかったようで、警察官に職務質問されました。確かに怪しい変なオヤジです。バイクに乗り始めてまだクラッチ操作がスムーズにできないとか、どうもクラッチ操作で疲労がたまるというライダーの皆さんの参考になれば幸いです。