短距離の日帰りツーリングにはウェストバッグ一つで出かけています。CB1300のシート下スペースが比較的大きいため、レインウェア上下やパンク修理キット一式が収納可能です。残りはカメラや携帯電話くらいですので、小さなウェストバッグでも普段のツーリングには十分です。
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CB1300のシート下にはこんなものを入れています |
少し前から
バイクで房総の酒蔵巡りをするようになり、旨そうな地酒や道の駅で買ったお土産を持ち帰るためのバッグを自作してシート下に常備しています。さらに、アマチュア無線機や
レーダーナビを取り付けているため、バッテリーから直接電源を取るためのアクセサリー配電ボックスもシート下に設置しました。
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ETC本体の横に自作のアクセサリー配電ボックスを設置 |
バッテリーに直結しノイズフィルターを経由して、アクセサリーにできるだけノイズの少ない安定した12Vを供給できるようにしてあります。エンジンキーに連動するようリレーを入れてあり、アクセサリーのテスト時には手元のスイッチをONにするだけでエンジンキーを入れなくてもアクセサリーに給電出来るようになっています。予備の12Vコネクタも設けて、電熱ウェアなどの給電にも使えるようにしました。
話しが逸れました。日帰りのショートツーリングではこのままで問題ないのですが、一泊以上のツーリングや土産物が多そうな場所へのツーリングではもう少し荷物の積載量を確保したい場合があります。バイクの積載量を増やす確実な方法は、パニアケースやトップボックスを取り付けることでしょう。メーカの純正品やバイク用品メーカーの汎用品などを検討しましたが、どれも購入には踏み切れませんでした。もちろん価格的な面もありますが、最大の理由は
使わないときのスタイル(外観)にあります。専用のステーが必要になり、ケースやボックスを外したときのスタイルがどうもしっくりきません。付けっ放しという選択肢もありますが、
不要な時はできるだけ軽快なスタイルで走りたいものです。本当に必要な時にだけ、荷物に合わせて簡単に積載量を増やす方法を考えてみました。
1. バイクのフレームに汎用バックルを取り付け
バイク用品メーカーのシートバッグを買うと、シートに固定する取り付け用ベルトが付属してきます。バイクのシートってよく見ると華奢な作りで、力を入れると外れそうな構造です。できれば重たい荷物はバイクのフレームに直接固定したいものです。また、使われているプラスチック製のバックルはメーカー毎に形状が異なり、メーカー間で互換性がないことがほとんどです。
必要に応じていろいろなバッグを取り付けるため、まず汎用品のバックルをバイクのフレームにしっかり取り付けておくことから始めます。使用したのは以下のパーツです。
- 汎用バックルNifco製 25mm用 オス6個、メス2個
- スライダーNifco製 25mm用 6個
- アクリル(ナイロン)平ベルト25mm幅・長さ75cm 4本
汎用のバックルにも色々なタイプがありますが、丈夫そうな角形(SR25)を選びました。これは裏表対称の形状で、向きを変えてもはめることができます。物によっては面を合わせないとはまらないものもありますが、両面どちらでもはまるものを選びましょう。「
ユザワヤ」などの大きな手芸用品店で全て揃うと思います。
手芸用品店ではナイロンやアクリルの平ベルトが3m程度の長さで切り売りされています。切断はハサミやカッターでも可能ですが、ほつれ止めの処理が必要です。ライターなどで熱を加えて末端を溶かしますが、
厚くなってしまうとバックルの隙間を通せなくなります。ナイロンロープカッターやホットナイフなどと呼ばれている、半田ごての先がカッター状になっている専用道具が千円程度で入手できますので、この際購入しておきましょう。アクリル平ベルトの方が厚みがあるため緩みにくいのですが、ナイロンに比べてかさばります。少しでもコンパクトにしたい場合はナイロン製でも大丈夫ですが、使っていない時にオスのバックルがベルトから外れないよう末端を折り返し処理しておいてください。
シートの開閉に支障のない場所を選んで取り付けます。使っていない時はベルトとバックルをシート下のスペースに入れてしまえば外からは何も見えません。
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バイクの頑丈なフレームに汎用バックルを取り付け |
これを4箇所に取り付けます。バイクのシートサイズや載せるバッグ(荷物)の大きさにもよりますが、前後にあまり近づけすぎない方が荷物が安定して固定できます。
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丁度タンデムシート部の下に来るようにベルトをフレームに固定 |
バックルを外に出し、シートを閉めてみたらこうなります。オスは締め付け具合の調整をするため長めに、メスはシートからやっと出るくらいに短めにするのがコツです。また片側をオス・オスで、反対側をオス・メスにしておくと取り付け時の応用範囲が広がります。
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タンデムシートの横からこんな具合にバックルが出ていれば完成 |
このバックルを必要に応じて使い分けることで、いろいろなバッグをバイクに取り付けていきます。必要な分だけシート下から出し、使わないものはしまったままにしておきます。
2. 取り付けるバッグで汎用バックルが使えるようにする
とは言っても既製品のバックルを取り替えてしまうのはやり過ぎですし、強度も保証できません。元々付いているバックルとは別に汎用バックルを取り付けるか、元のバックルを汎用バックルに変換するアダプターを準備することになります。
2-1. 日帰り〜一泊用ヒップバッグに汎用バックルを取り付け
登山やらビデオ撮影やらで買い集めたバッグ類は数え切れないほどあります。その中でバイク用に最もよく利用しているのがMountainsmithのDay Classicです。一泊時でもなんとかなる12リットルの容量があり、そのままでヒップバッグとしても使えるベルトも内蔵されています。オプションのショルダーベルトや背負いベルトを購入すれば、ハイキングや登山でも使えます。
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MountainsmithのDay Classic |
アウトドアー用に作られたものですので、オプションのベルト類を取り付けるためのバックルやベルト穴がたくさん付いています。ただし日本で手に入る汎用のバックルとは形状が異なりますので、今回の目的には使えません。たくさん付いているベルト穴を利用して容易に汎用バックルを取り付けることができました。
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Mountainsmith Day Classicに汎用バックルを取り付け |
元々付いていたバックルの横にベルトとスライダーを使って汎用バックルを固定しました。上側にメス2個、下側にオス2個を付けてあります。バイク側に取り付けた汎用バックルと組み合わせてタンデムシート上にワンタッチで取り付けられます。
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横向きに取り付けたMountainsmith Day Classic (12リットル) |
荷物が軽いときにはヒップバッグとして腰につけたままバイクに乗れますし、いろいろ入れて重くなったらバイクのシートに固定できます。
2-2. 連泊用大型防水バッグのバックル変換アダプターを用意する
連泊するようなときには27リットルの容量があるGOLDWINのウォータープルーフバッグを使用しています。背負いベルトが付いていますのでそのままリュックとしても使用可能ですし、バイクのタンデムシートに固定するためのベルトも付属してきます。ただ、固定ベルトはシートに巻き付けるような構造になっているため、不要な時には取り外しておかないと邪魔になります。この製品が使用しているプラスチックバックルも日本で手に入るものとは形状が異なるため、汎用品とは合いません。そこで汎用バックルと付属してきた固定ベルトのバックルを使って変換アダプターを作成しました。数十年ぶりにミシンを使いましたが、体が覚えているもんですね。何とかできました。
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自作の変換アダプター |
この変換アダプターを介してバイク側の汎用バックル4箇所に固定します。容量があるため荷物を詰め込むとかなりの重量になりますが、
バイクのフレームに直接固定されますのでしっかりしています。バッグメーカー指定の取り付け方法より安心なくらいです。
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変換アダプターを使って重量のある大型バッグもしっかり固定 |
変換アダプターさえ準備できればどこのメーカー品でも固定可能です。GOLDWINが使用しているプラスチックバックルをよく見ると「Kifco」と書いてあります。手芸洋品店で購入した汎用品には「Nifco」と記されています。調べてみるとKifcoは日本のNifcoの韓国子会社なんですね。同じ25mm幅用のバックルでも微妙に違う形状で、両社の製品には互換性は無いようです。
2-3. 完全自作のバッグを取り付ける
地酒をバイクで持ち帰りたいという(自分の)強い要望に応えて簡単な構造のバッグをデザインしてみました。基本的な形状はただのトートバッグです。横方向に一升瓶を締め付けることのできるベルトとバックルが付いています。これで固定すれば瓶同士がぶつかって割れることはありません。さらにバイクシートに固定するための汎用バックル(メス)が4箇所についています。
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自作の「ツーリングお土産トートバッグ」 |
これでバイクシートにガッチリ固定することができ、酒蔵で見つけた旨そうな地酒を割らずに持ち帰ることができます。一升瓶より小さなワインや四合瓶などでもベルトを締めれば固定可能です。
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シートがクッションになって一升瓶をガード |
約40軒ある房総の酒蔵をバイクで巡り、毎回一升瓶の地酒を持ち帰りましたが一度も割れたことはありません。広げれば単純なトートバッグですので、箱入りのビワやリンゴなどもこれで持ち帰れました。急に暑くなってバイクウェアが邪魔になったときなども丸めてこのバッグに入れて帰れます。
バイクフレームへの汎用バックル固定方法から一升瓶の載せ方、各種バッグの取り付け方までを動画にした「
ツーリングお土産トートバッグ」をYouTubeにアップしてあります。
3. さらに荷物が増えたら複数個のバッグで対応
必要なサイズ・用途のバッグを汎用バックルでバイクに固定できましたが、さらに荷物が増えた場合はどうしましょう。その場合は複数個のバッグを取り付けてしまいましょう。フレームに取り付けたバックルが一箇所に2個づつあったことを思い出してください。余っているバックルを使って別のバッグが取り付け可能です。
考えられる状況としては、お土産を買いすぎて27リットルの大形防水バッグに入りきらず、12リットルのヒップバッグにも重たいものを詰め込んだという場合でしょう。ヒップバッグを腰に付けたままでは重くて疲れますので、パニアケースのようにバイクの横に付けてみました。
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左横にヒップバッグを取り付けてみた |
バイク左側の汎用バックルはオスが2個余っていたはずです。それでヒップバッグを吊り下げますが、このままではカーブで荷物がフラフラしてしまいます。最も避けなければならないのは荷物が動いて後輪に接触することです。余ったベルトが後輪に絡みついたら重大事故につながりかねません。
バッグの下を覗くと丁度タンデムステップがあります。ステップを出し、固定用の短いベルトを用意してバッグの下部をタンデムステップにしっかり固定します。
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タンデムステップをうまく使ってバッグを固定 |
こうすることによりバッグがほとんど動かなくなり、後輪とのクリアランスも十分に取れました。見た目は???ですが、合計で39リットルの積載量です。マフラーのある反対側に合うサイズのバッグがあればもう少し追加できますが、何事もほどほどが一番です。
4. 最後に
趣味のバイクに求めるものは人それぞれ。荷物も簡単に積み込めるユーティリティとしての機能を求めるのならパニアケースやトップボックスを取り付けるのが最良の策だと思います。BMWの大型ツアラーなどのようなパニアケースまで含めたトータルなデザインには惚れ惚れします。寒い時期には朝夕と日中の温度差が大きいため、予備のウェア類をパニアケースに入れたままにしておけば安心して走れますし、積載量が大きいというのは本当に便利だと思います。
では自分のバイクに付けるかというと、やっぱり悩んでしまいます。
などが考えられますが、自分にとってはデザイン的なものが一番のようです。明らかに後付けですよという見た目や、標準のグラブバーを取り外さなければならない構造などなど。必要のない時に取り外しても何の違和感もないような優れたデザインのものがあれば悩まずに取り付けていたように思います。
複数のバッグをタンデムシートに取り付けているのはもっと格好悪い気もしますが、年に一、二度のことです。普段は完全ノーマルの状態を保て、必要な時だけ手持ちのバッグ類を活用できるこの方法でもうしばらく今のバイクを楽しもうと思います。
パーツの入手が難しい方に在庫分をお分けします
使用しているパーツの商品名や入手場所についてお問い合わせをいただきました。アクリルの平ベルトが見つからないとか、うまく切れないというご意見もありました。各パーツの在庫がありましたので、残っている分を実費でお分けすることにしました。下の写真にあるように、平ベルトをホットナイフで切り分けた上でバックルとアジャスター(スライダー)と合わせてお送りしますので、あとはバイクに取り付けるだけです。
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必要パーツを取り揃えて頒布します |
入手方法のご案内ページはこちらになります。在庫がなくなり次第終了とさせていただきますので、必要な方はお早めにお申し込みください。
(2017年7月25日追記)