2016年3月6日日曜日

谷津道探検サイクリング 東金崖線を超えて雄蛇ヶ池まで


 走りやすくて自然豊かな谷津道ですが、川沿いだけではどうしてもたどり着けない場所があります。川の源流部の先、分水嶺を越えたところに行こうとすると谷津道からしばし離れて進むしかありません。東京湾沿いの千葉市中心部から下総台地にある昭和の森までは谷津道を中心にして快適なルートを見つけることができました。しかしさらに東の九十九里浜方面まで足を伸ばそうとすると、東金付近を南北に走る東金崖線が行く手に立ちはだかります。一気に標高差50〜60メートルの下りがあり、大きな国道や県道以外になかなか良いルートが見つかりません。さらに急な登りとなる帰路を考えると、東金の崖を下る勇気が出ませんでした。

 先日昭和の森から東金崖線の下にある小中池まで足を伸ばしてみましたが、帰りの登りもなんとか足が持ちました。これに気を良くして、今回は東金ICの東にある雄蛇ヶ池まで行ってみました。千葉市内から国道126号を走ればそのまま東金ICへ行けますが、大型車が多い片側一車線の国道はサイクリングでは最も使いたくない道です。ゴルフ場と大規模な宅地が拓かれた季美の森まで谷津道をたどり、その後一気に崖を下りました。

初めての雄蛇ヶ池
東金崖線の下にある雄蛇ヶ池、自転車で初めて来ました

崖を下ると地形は一変します。広い田んぼが増え、道路の勾配も緩やかになります。雄蛇ヶ池は江戸時代に作られた農業用の貯水池です。ぐるっと一周回れる遊歩道があり、ウォーキングを楽しんでいる人が大勢いました。小中池は釣りが禁止されていますが、ここは大丈夫です。

雄蛇ヶ池案内図
十和田湖に形が似ている雄蛇ヶ池、房総の十和田湖とも呼ばれているそうです

水深は4メートル程度の浅い池だそうですが、なんとなく神秘的な雰囲気が漂います。この池に伝わる幾つかの悲話もあり、心霊スポットとして有名なのもうなずけます。

雄蛇ヶ池で水を飲む野良猫
野良猫が池の水を飲んでました

周りの田んぼよりやや高い場所にあるため池の周辺を走ると適度なアップダウンが楽しめます。あちらこちらにある切り通しを走るとこの地区の地質が一目瞭然です。

雄蛇ヶ池付近の切り通し
池の周りの切り通しの道

途中、山あいの田んぼや池が赤くなっているのを目にしました。最初は散った紅梅の花びらかと思ったのですが、びっしりと隙間なく赤くなっている水面を見ると花びらではなさそうです。

雄蛇ヶ池付近の一面真っ赤な田んぼ
田んぼが一面赤くなっていてびっくり

近付いてよく見ると、小さな浮き草が一面を覆っています。浮き草で緑色になった池は見たことがありますが、こんな色の浮き草は見たことがありません。

田んぼを赤くしているアゾラ(オオアカウキグサ)
小さな浮き草がびっしりと水面を覆っていて一面赤色

帰宅後に調べてみると、オオアカウキグサという植物であることがわかりました。アゾラとも呼ばれています。この浮き草、共生するバクテリアの働きで空気中の窒素を固定してくれるため肥料として役立っているそうです。田んぼにレンゲソウ(ゲンゲ)を植えるのと同じ効果があるのですね。中国、東南アジアでも稲作の肥料として利用されている植物で、日本でも以前は普通に利用されていたそうですが、化学肥料が広まると自然に姿を消していったとのこと。在来種は環境省のレッドデータブックで絶滅危惧Ⅱ類に指定されていると知り驚きました。

 帰りはどのルートを選んでも最初に急な上り坂が待ち構えています。たまたま選んだ細い道は山を直登していて、坂の途中で自転車を押して歩く羽目になりました。やっぱり東金崖線は只者ではありません。Google earthで標高グラフを見てみると東金崖線と雄蛇ヶ池の間は一気に標高が変わっていて、最大18%くらいの激坂になっています。きついはずですね。

東金崖線から雄蛇ヶ池までの標高差 ©Google

車やバイクでこの辺りの道路を走っていてもかなりの勾配があることに気づきます。自転車にはきつい坂道ですが、ほとんど車の来ない裏道を見つけ、ゆっくりと走ってなんとか乗り切りました。

東金付近を通る高速道路
山や崖の合間を縫うように走る東金付近の高速道路、自転車はここを横切る道を進む

 東金の崖を行き来する快適な道さえ見つければ、そこから先の九十九里浜までは好きなルートを選べます。季節も良くなるこれからは千葉市から太平洋まで走ることが多くなりそうです。



 東金崖線の上部にある季美の森から一気に坂を下ったところにある雄蛇ヶ池までのルートをGoogle Earth Proで作った空撮映像とGoProの実写映像を使って紹介してみました。サイクリング時の雰囲気が伝わるでしょうか?


(2016年3月14日追記)


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