しばらく自己流でバイクに乗っていると、いつの間にか悪い癖が身についてしまうようです。年に一、二回バイクスクールに参加して矯正してもらっています。お世話になるのは
ホンダがやっている交通教育センター。全国に7箇所あり、企業や個人を対象に車とバイクの運転講習を行っています。自宅から日帰りでアクセス可能なのは埼玉県川島町(通称埼玉もしくは桶川)、埼玉県和光市(和光)、栃木県茂木町(もてぎ)の三つですが、埼玉はこの中でも一番講習の種類や開催頻度が充実しているようです。バイク向けの講習が
HMS(ホンダ・モーターサイクリスト・スクール)で、今回はこの中の
バランスに参加してきました。
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交通教育センターレインボー埼玉 |
首都高速都心部の渋滞を心配して家を出たのが早過ぎたのか、10時開始なのに9時前に到着してしまいました。職員以外誰もいません。受付開始まで周りをぶらぶら散歩です。すぐ隣にホンダエアポートがあり、軽飛行機やヘリコプターが離着陸しています。
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迫力のヘリコプター離着陸が間近で見られます |
HMSではスクールが用意したバイクから好きなものを選んで受講します。受講料がその分高価になりますが、自分のバイクを持ち込んで転倒したら目も当てられません。安心料として考えればリーズナブルだと思います。ただし、受講するコースによって選択できないバイクもあります。普段乗っているCB1300は今回のバランスでは選択不可のためCB1100を借りました。
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足付きもよく運転しやすいCB1100 |
午前中はひたすら八の字の練習です。一人一人パイロンの置かれたエリアに分かれて、インストラクターから与えられた幾つかの課題をこなしながらくるくると回ります。この八の字、実に奥が深い。
バイクをコントロールするための多くの要素が詰め込まれています。バランスの受講は今回が3度目なのですが、毎回八の字を始めてしばらくの間は体がギクシャクしています。普段バイクに乗っている時に基本がいかに出来ていないかが一目瞭然です。
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午前中はひたすら八の字の練習 |
途中、インストラクターから複数の課題を指示され、悪い部分のアドバイスをもらいます。内側の肩の上がり方や腰の向け方など、頭ではわかっているのですがなかなか言うことを聞いてくれません。
- リーンインやリーンアウトの際に使わない手や足を見極めてハンドル・ステップから離してみる
- 八の字の途中でバイクが真直ぐになった時に、足付き無しで一瞬停止してから続ける
- パイロンの横にマーカーを置いて、前後の内輪差を考慮しながらマーカーを後輪のみで踏む
- さらに後輪がマーカーに乗った瞬間に停車させる
ついつい力が入ってしまう八の字にさらに細かな課題が加わって、この時点で結構な疲労が蓄積していたようです。最後の課題でバイクを転倒させてしまいました。あ〜自分のバイクでなくてよかった。
同じバランスの講習でもインストラクターにより内容や難易度が異なるため、何度参加しても新鮮です。今回は低速バランスの練習として面白い方法を教えてもらいました。バイクの前輪を縁石や壁に圧着させて固定、ハンドルへの微妙な入力で立ち続けるという課題です。
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初めてのバランス練習方法 |
最初は全くできませんでしたが、一本橋に乗っているつもりで微妙な力をハンドルに加えているとバイクは倒れずに立ち続けてくれました。周りから見たら変な人と思われそうですが、これならどこでも練習できます。
午後はいよいよ荒川河川敷にあるバランスの専用コースへ移動です。講習中のビデオ撮影が禁止されているため記録が残せませんが、
前回中級コースに参加した時にGPSの軌跡ログで色々な分析ができることがわかりました。今回も小型のGPSロガーをポケットに入れっぱなしにして参加。河川敷のバランス専用コースを走行したGPS軌跡(赤線)の上に、思い出しながらコースの設置物やパイロンを重ねてみました。
GPSの記録は1秒ごとに取得され、数メートル程度の誤差がありますので、速く小さく曲がるスラロームなどでは実際のパイロンよりも内側を走っているように見えます。
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GPS軌跡にパイロンや課題設置物を追記したもの |
安価なGPSロガーをポケットに入れっぱなしにしておけば、1日の行動記録が簡単に取れます。いろいろな分析ができるのはとっても便利ですが、使用した中国製のGPS(CANMORE GP-102)にはWindows用のユーティリティソフトしか付属しません。
CANMORE GP-102をMacで活用するためにいろいろ工夫してログを活用しています。
それぞれの課題の練習結果はこんな感じです。どれも実際の道路ではありえないような極端な作りになっていますので、通過することやタイムを目標にするのではなく不要な力を加えずにできるだけ安定して走行できることを心がけました。
一本橋(通常幅)
慣れている参加者の中には20〜30秒というタイムを出している人もいましたが、18秒がベストタイムでした。まあ少し前までは渡りきるのが目標だったリターンライダーにしては上出来でしょう。インストラクターは1分以上も一本橋に乗っていました。走るというよりもほとんど停まっている感じです。
一本橋(細幅)
通常のものに比べて半分しか幅がありませんのでタイムより通過を優先しました。腰に重心が来るようにして前方遠くに視線を持っていくと安定して通過できました。9割の成功率です。
スネーク
前後輪の内輪差を考慮する午前中の八の字練習が効果を発揮しました。成功率は低いですが複数回通過できました。タイヤの半分程度まではみ出しても落ちないことを利用するのがコツのようです。
かまぼこ
電柱を半分埋めたような形状です。ハンドルによるバランス修正はほとんど不可のため、スピードを出して渡りきることだけを狙いましたが、成功率ゼロでした。
波状路・V字溝・W字溝
ただひたすら通過するのみ。それほど難しいものではありません。強いて言えば途中エンストしないようにふかし気味にして半クラ活用でしょうか。
千鳥スラローム
二本のパイロンの間を通り抜けるスラロームです。バイクを大きく傾けて通過することができないため、小さく曲がることが難しい課題です。バイクを垂直にしてハンドルで小さく曲がるか、リーンアウト(V字バランス?)で小さく曲がる必要があります。一つ先のパイロンまで考慮して曲がらないとすぐに行き詰まってしまいます。
前回バランスコースに参加した際には比較的簡単にクリアできたのですが、今回はどうしても最後が通過できません。下手になったのかと焦りましたが、何の事は無い、前回のパイロン設置場所が簡単すぎただけのようです。ちょとパイロンの位置を変えるだけでいきなり難易度が上がる課題です。
低速狭路(正式名称不明)
両側にパイロンが置かれた幅1メートルちょっとの曲がり角です。極低速でないと曲がれません。一つ目の曲がり角を通過できても、すぐに次の角が来るためそこで行き詰まります。結局一度もまともに通過できませんでした。
オフセットスラローム(大・小)とUターン
スピードは別にして、午前中の八の字をちゃんとやっていれば通過できないということはありません。かなり小さなUターンもありますが、瞬間逆ハンでバイクを素早く寝かせれば気持ち良く曲がってくれます。でもこれを自分のバイクでやるにはちょっと勇気がいりそうです。一回でも転んだら......
今回は千鳥と低速狭路が通過できないという課題が残りました。しかしそれよりも午前中の八の字で肩に力が入ってしまい、体力を消耗して転倒するという致命的な問題が発生です。年齢を重ねてもリラックスして安全にバイクが楽しめるよう、定期的にスクールに参加して腕に磨きをかけていきたいと思います。
HMS常連さん?
年に1〜2回しかHMSには参加していないのですが、毎回お会いするライダーさんが必ず複数人いらっしゃいます。今回は10人という少人数の追加開催コースでしたが、うちお二人は何度かお会いしている人でした。たまにしか参加しない自分が毎回会うということは単なる偶然か、それともお会いする方が頻繁に来られているのか?
休憩中の会話でも「先週のxxxも参加してたよね〜」とかで盛り上がっていましたので、毎週のように参加されていらっしゃるようです。確かに100回以上も参加している強者のブログを読んだことがあります。一回一万数千円のHMS参加費用だけで大型バイクが買えてしまう出費です。上級コースを華麗に走っている人たちはそのくらいの投資をしているんでしょうね。恐るべしHMS常連さん。
GPSログとGoogle Earth Proでコースを再現
胸のポケットに入れっ放しにしておいた格安の中華製GPSロガーで一日分の軌跡データを取得していました。これをGoogle Earth Proに読み込ませると、ドローンから撮影したような動画が作れることがわかり、参加したバランスコースを再現してみました。動画撮影が禁止されているHMSでビデオカメラ代わりに使えそうです。
(2017年5月17日追記)