2016年5月26日木曜日

快適動画編集 創造力が試されるストップモーション動画作成ツール「iStopMotion」


 だいぶ前にインストールしていたMac用ストップモーション動画作成ツールのiStopMotionですが、リモートカメラの接続が不安定だったためしばらく放置していました。Mac用のコマ撮り動画作成ソフトとして評価が高く、何よりもiPhoneやiPadの内蔵カメラをリモートカメラとして利用できることが決め手となり、多少高価(約50ドル)でしたが購入に踏み切っていました。
 iPhoneやiPad側に無料のコンパニオンアプリであるiStopMotion Remote Cameraを導入すれば、別途コマ撮り用のカメラを準備する必要はありません。同じWi-Fiネットワーク経由でリモートのHD画質カメラとして認識してくれます。もっと本格的にアニメーション作成をしようと思えば、ニコンやキヤノンのデジタル一眼レフカメラも標準でサポートしており、プロ仕様のコマ撮りもできる機能を持っています。

 先日iStopMotionのバージョンがアップされたため、勇んで試してみたらiPhoneが見事リモートカメラとして繋がりました。やっと使えるようになったiStopMotionの勉強も兼ねて簡単なコマ取り動画を作ってみた時の記録です。ビデオ作品の最後に出てくるENDクレジットをコマ撮りアニメーションにしてみました。


iStopMotionでのコマ撮り撮影はこんな感じで


 普通の写真撮影でもそうですが、ストップモーション動画を作成するときにはカメラの固定やライティングが重要です。被写体を少しずつ動かしながら静止画を撮っていきますので、その度にピントや露出、ホワイトバランスが変わるととても見にくくなります。

コマ撮り動画作成時の風景

まず基本としてiPhoneが動かないようにしっかりと固定します。作業用のテーブルにGoProジョーズフレックスクランプマウントの互換品とアダプターを使用してiPhoneを水平にセットしました。GoPro純正品は5,000円前後しますが互換品は1,500円ほどでの購入です。必要に応じてライトもセットします。

リモートカメラであるiPhoneをしっかりと固定

撮影の対象は「END」の文字を印刷したA4のコピー用紙です。少しずつ丸めていき、小さく丸くなったら画面の外に出て行くまでをコマ撮りで撮影します。

同一のWi-Fiネットワークに接続してiPhoneとMacでソフトを起動


 iPhone側でRemote Cameraを起動しておき、MacでiStopMotionを立ち上げます。動画のファイル名、解像度、フレームレートを聞いてきますので作品に合ったものを指定します。今回はHD画質の10FPSにしました。iStopMotionの操作はかなり簡素化されていて、迷うことはないと思います。メニューバーもしくは画面右側の「ソース」を押すと、画像の入力元が選べます。

「ソース」の選択メニュー

iPhone側のRemote Cameraアプリが動いていれば、このメニューの中に出てきますのでそれを選びます。iPhone側で確認ボタンを押せばMac側に映像が表示されるはずです。

ピント・露光を固定


 被写体の形が変わったり、動いた時にピントがずれたり露光が変わったりすると見にくい動画になることが多いため、最適なポイントで固定してしまいます。指定されたソース(カメラ)にその機能があれば、「ポイント」の「設定」というボタンが現れますので押します。すると、ピントと露光を合わせる場所を示すアイコンが表示されます。これを適切な場所に移動してから、露光・ホワイトバランスの「固定」、「ロック」ボタンを押します。最後に「完了」ボタンを押して準備完了です。

iPhone内蔵カメラの持つピントや露光調整機能がMac側から指定できます

画面にグリッドを表示しておくと作業しやすい


 被写体を画面中央部に配置したり、少しずつ動かす際に画面にグリッドを表示しておくと作業がしやすくなります。右下の「表示」を選び、「グリッド」をオンにすれば表示されます。

グリッドを画面に表示しておくと作業しやすい

いよいよ撮影(さすが専用アプリ)


 リモートカメラの画像をMacで確認し、赤い撮影ボタンを押していけばOKです。根気のいる作業になります。今回は紙を広げたENDの文字が出ている画像から撮り始めます。最後から撮影する理由はお分かりですね。少しずつ丸めて撮りますので、前のコマとの違いを確認しながら作業します。さすが専用アプリです。一つ前のコマがタマネギの薄皮のように現在の画像に重なって表示されていますので、アニメーションとしての動きが狙ったものになるように確認しながら撮影を続けます。

直前のコマが重なって見えるので、動きの調整が簡単

下部のタイムライン上で各コマの削除や追加、並べ替えができます。三角の再生ボタンを押せばアニメーションとして繰り返し再生されますので、確認しましょう。撮影し終えたら、メインメニューの「編集」で「全てを選択」してから「順序を逆転」してやれば丸まった紙が画面中央に入ってきて広がり、最後にENDの文字が表示されるアニメーションの出来上がりです。「ファイリング」の「書き出す」で必要なフォーマット、圧縮を指定してやれば終わりです。

完成したコマ撮りENDタイトル


 出来上がったコマ撮り動画はこれです。普段Final Cut Pro X(FCPX)を使用して動画編集していますが、オープニングやエンディングの構成にはいつも悩まされています。文字だけよりも、手作り感のあるこのようなコマ撮りアニメで終わるのも面白いかもしれません。



他にもあるiStopMotionの便利な機能


 いろいろいじくりまわしているうちにコマ撮り動画の作成以外にも使えそうな機能があることがわかりました。昨年の購入時点で5,000円もしたソフトですので、100%使い切りたいと欲張っています。

GIFアニメーション作成

200フレームまでのアニメーションGIFファイルを作成できます。複数枚の静止画像を読み込ませてからこの機能で書き出せば他のツールを使わなくてもGIFアニメーション画像が作れます。

連番付き静止画像からの動画作成

ファイル名の後ろに連番の振られた静止画像を読み込み、その順番に従って動画のソースにすることができます。GoProなどで連続的に撮影した静止画から簡単にコマ送りの動画が作成できます。

キャプチャ画面から動画作成

指定したサイズ・位置でMacの画面を連続してキャプチャーできます。動きのあるアプリケーション画面を連続してキャプチャーし、動画に仕上げることができます。

タイムラプス撮影

キャプチャー間隔を指定してタイムラプス撮影ができます。iPhoneのリモートカメラと組み合わせると面白い使い方ができそうです。


 今回はソフトの使い方や機材のセットアップを経験してみるという目的でしたので、作品の出来栄えについてはあえて気にしないことにします(^ ^;)。HD画質で綺麗に撮影・加工できることがわかりましたが、問題はこの機能を使いきれるだけの創造力があるかどうかです。コマ撮りだけで一つの立派な作品に仕上げている人も見かけますが、とても真似できそうもありません。まずは通常作品のパーツとしての利用になりそうです。


2016年5月24日火曜日

もてぎ国際レーシングコースも楽しめるCBオーナーズミーティング2016に参加してきました


 長年のブランクから目覚め、CB400SFからCB1300SBと乗り継いで早くも四年目に入りました。昨年初めてCBオーナーズミーティングに参加して大勢のCB好きに刺激され、今年もツインリンクもてぎで開催されたイベントに参加してきました。前回同様に好天に恵まれ、最高のバイク日和となりました。

CB1300と400の最新モデル

昨年はホンダコレクションホール前の駐車場が会場だったのですが、今回はツインリンクもてぎの心臓部である国際レーシングコースのど真ん中での開催です。すぐ横のロードコースでレーシングカーの練習が行われていたり、スーパースピードウェイの直線部を使用してドラッグレースが行われていたため、ものすごい爆音に包まれていました。これぞモータースポーツという雰囲気の中での開催です。

今年(2016年)はもてぎのサーキットのど真ん中での開催

会場に到着するとすぐにプロのカメラマンによる個人撮影をしてくれます。なかなか自分のバイクと一緒に写真に納まる機会の少ないソロライダーにとってはありがたい企画です。

到着後すぐにプロカメラマンが撮影してくれます

バイクを停めると受付の長い列ができていました。普段なら嫌になりそうな長〜い行列でしたが、すぐ横に停められたたくさんのCBシリーズを眺めながらの順番待ちですので苦になりません。

参加できるのはCBシリーズのみなので停まっているのは全部CB(当たり前)

やはり現役モデルであるCB1300、CB1100やCB400が大半を占めていましたが、20〜30年以上も前の懐かしいバイクも目立っていました。高校生になって免許が取れる年齢となった時に憧れたのはCB750です。

憧れだったCB750FOUR

急に免許制度が変わり、運転免許センターの検定試験にやっと合格できたのは小型限定。中古車を探して購入しようとしたのがCB125Tでした。

購入しようと思ったCB125T

しかし当時の「三ない運動」のせいで周りの大反対に遭い購入を断念。親に隠れて友人のCB500を運転させてもらったりしました。

CB500/550のオーナーズクラブも参加

ダックスやGT80などの小型車を時々運転するくらいで、大学進学と共にバイクへの情熱は次第に冷めていき、そのまま三十数年。少し前に大型免許を取ってリターンするまではバイクの世界とかけ離れた生活を送っていたため、この期間に発売されたバイクについてはほとんど知識がありません。駐車場に複数台停まっていたドリーム50を見て、もっと古い時期のバイクかと思ったのですが、CB750Kよりもずっと新しいんですね。驚きました。バイクの市場規模が縮小していく中で、メーカーも色々工夫をしていたようです。

二本出しマフラーが光るドリーム50

昨年は特製キーホルダーが参加記念品でしたが、今年はミニ折りたたみ椅子という実用品です。どちらがいいかは微妙です。

「CB Owner's Meeting 2016」と記された折りたたみ椅子が参加記念品

MOTORISEでお馴染みの中野真矢さん、延時成美さん、國友愛佳さんらを交えてプログラムが進行していきます。CBチャレンジとして恒例の一本橋チャレンジと八の字押し歩きタイムトライアルがありました。

一本橋のデモンストレーションをしている中野真矢さん

未だにバイクの取り回しが苦手な私はギャラリーに徹していました。皆さん良くスイスイとバイクを押せるもんですね。私ならバランスを崩して倒すこと必定です。

八の字押し歩きタイムトライアル、早い早い

協賛企業からの豪華賞品がもらえる抽選会もありました。昨年はクイズとじゃんけん大会でしたが、あえなく敗退。今年は受付の際にもらった番号による抽選会でしたが、運のない私は今年もボウズ。

豪華賞品の抽選会、当たれ〜!

プログラムの最後はもてぎの国際レーシングコースを走って解散というオツな内容でした。本物のサーキットを走るのは生まれて初めての経験です。メインストレートでスタートを待っている間も期待でいっぱいでした。

国際レーシングコースでスタートを待つ参加者

青空の下、広いサーキットをバイクで走るのがこんなに気持ちがいいとは知りませんでした。一応先導車に従って列を作って走るのですが、列の後ろでは前方に空きができるため結構な加速・減速が楽しめました。もう少し若い時期にサーキットの経験をしていたらはまっていたかもしれません。


気持ちのいいサーキット走行後に流れ解散という素敵なエンディングです。コース各所のスタッフたちが手を振って見送ってくれました。プログラム全体を通してCBオーナーをもてなそうというスタッフ達の気持ちが伝わってきて、とても満足した一日でした。

スタッフ全員のホスピタリティーに感激

スタッフの皆さん、ありがとうございました。本当に楽しい一日になりました。次に乗るバイクがCBになるかどうかはわかりませんが、ますますホンダのファンになった事は間違いありませんよ〜。


2016年5月20日金曜日

房総酒蔵バイクツーリング 酒蔵が行うアウトレットセールで純米生原酒直汲み「甲子」をゲット


 アウトレットというと流通大手が有名どころの衣料品や宝飾品、スポーツ用品ブランドを集めて、在庫の豊富な商品を割安で販売するという商業上の形態を思い起こします。酒の格安販売店もアウトレットと称して特売品を販売しているようですが、日本酒の酒蔵自らがアウトレットセールスをやっているのは知りませんでした。

 房総の酒蔵の中でも大手に位置する飯沼本家の直営店酒々井まがり屋を訪れたところ、新酒の時期だけ楽しめる純米生原酒直汲み「甲子」をアウトレットセールしていました。通常価格に比べて一升瓶で千円近くも安い生原酒です。これは買うしかありません。

純米生原酒直汲み「甲子」

醪(もろみ)を絞って火入れも加水も行わずにすぐに瓶詰めされる直汲みは新酒の時期だけ楽しめる日本酒です。冷蔵保存が必要で、新鮮さが命ですので瓶詰めされてからそれほど長い間販売されるものではありません。早い時期に売り切るためのアウトレットセールだと思いますが、作りすぎたのでしょうか。キャップに記された製造日(瓶詰め日)も今年の4月になっていますので、一般に流通している日本酒としてみたらできたての部類に入ります。

 この酒蔵は佐倉の印旛沼からも近く、自転車やバイクで度々訪れている場所です。特に用事がなくても通りがかりに立ち寄れるので、覗いてみて珍しい酒が出ていたら買って帰るという楽しみ方ができます。

食事もでき、ギャラリーも併設している酒々井まがり屋

曲り家という建築様式の古民家を新潟から移築した店舗で、内部も趣があります。週末にはバスで観光客も訪れる地域の観光スポットになっています。

入り口に掲げられている曲り家の説明

毎年11月に開かれる酒々井新酒祭りでは広い駐車場が人で埋まるほどの賑わいを見せています。消防音楽隊の生演奏を聴きながら、できたての新酒を昼間から味わえる素晴らしいイベントでした。軒先に吊るされた真新しい杉玉(酒林)が新酒の搾り始めを知らせていました。

新酒が出来たことを知らせる青々とした杉玉(酒林)、昨年11月に撮影

夏向きの吟醸酒が出回るようになると、しぼりたて生原酒の季節もそろそろ終わりです。軒先の杉玉も日本酒の熟成具合を表すかのように茶色に変わっていました。

いい具合に茶色くなった杉玉

この時期に直汲みの生原酒を格安価格で入手できるなんてラッキーでした。トロリとしていながらすっきりとした味わいが楽しめる純米生原酒。いや〜実に旨い。これもぶらりと立ち寄れる酒蔵があるおかげです。房総酒蔵めぐり、やめられません。



勝手に「房総の地酒」を応援するTVコマーシャル風動画を作ってみました


個性ある房総の地酒の良さが少しでも伝われば幸いです。





房総酒蔵バイクツーリングのインデックスはこちら


房総酒蔵マップ
千葉にある約40軒の蔵元を順に巡っています。青色の酒蔵マークをクリックすると該当する投稿記事にジャンプします。







2016年5月15日日曜日

房総酒蔵バイクツーリング 異様に真っ直ぐな御成街道を通って東金ダムと花の友へ


 地図を眺めていると陸上自衛隊下志津駐屯地から南東に向かって異様に真っ直ぐな道路があることに気づきます。御成街道という名前が付けられていて、何やらお殿様に関係しそうな雰囲気。バイクや自転車で何度か通りましたが、片側一車線の真っ直ぐな道は走っていて面白みに欠けます。しかし、東金方面へは国道126号を使うより距離が短く、渋滞も少ないようで裏道として時々利用するようになりました。

御成街道の道標(陸上自衛隊下志津駐屯地付近)

最近になって東金付近を自転車で走り回るようになりました。先日、自転車で初めて東金ダムへ行った時には、細い生活道路に御成街道の看板が掲げてあるのを発見。こんなところまで続いているんだと驚きました。

東金の細い道に掲げられた御成街道の道標

東金市が発行している「歴史と自然をめぐるガイドブック」には次のような解説がありました。『慶長18年(1613)12月、佐倉城主・土井利勝は、徳川家康から東金辺鷹狩りの準備を命じられました。そこで、船橋と東金をほぼ直線で結ぶ新道を造ることになり、沿道97か村もの村民を総動員して突貫工事を実施。10日〜15日という短期間で完成させたといわれています。』

 こんな歴史を知ると単調な街道を走るのも少しは楽しくなります。ちょうど千葉の地酒も底をついていたので、酒蔵訪問も兼ねてバイクで東金を目指しました。実際のGPS軌跡を見てみると、走り始めてから8キロほどは定規で線を引いたかのように本当に真っ直ぐです。途中一部が開発のために道が変わっている部分もありますが、船橋から37キロの直線道路をよく二週間足らずで作ったものです。


御成街道の終着点は東金ダムの南側にある八鶴湖の周辺だそうです。この辺は牛久・東金崖線がありアップダウンのきつい道路が走っていますが、バイクなら楽チン。数日前にも自転車で来ていた東金ダムでしばし休憩しました。人工のダム湖らしく、よく整備された遊歩道や広場が気持ちの良い場所です。

東金ダムで休憩

ここは東金崖線の上部にあり、流れ込む川はありません。遠く利根川から水をポンプで押し上げてここに貯めています。取水口なのか注水口なのかわかりませんが、湖面に定期的に大きな泡が噴き出していて面白い光景です。

湖面に大きな泡が定期的に噴き出しています

 東金ダムから次に向かったのは清酒「花いちもんめ」を造っている花の友です。国道126号から少し山側に入った場所にあり、なかなか見つけにくい酒蔵です。JR総武本線の成東と松尾の間にあり、大堤交差点で国道126号から北側の細い道に曲がればすぐにたどり着きます。

国道126号北側の高台の縁にある花の友

前回花の友を訪問したのは昨年の8月でした。熟成された冷やでも燗でもいける吟醸酒を購入しましたが、今回は生原酒の「しぼり酒」を手に入れることができました。そろそろしぼりたて生の出荷もピークを過ぎている頃でしたのでラッキーでした。蔵を直接訪問しないとなかなか入手できない生原酒です。

生原酒「しぼり酒」

前回もそうでしたがご夫婦でやられているようで、とても丁寧な応対をしていただき嬉しくなります。バイクでの一升瓶持ち帰りを心配して丁寧に梱包していただきました。

花の友の母屋

加水や熱処理をしていない生原酒ですので猪口に注ぐとトロッとしていますが、すっきりとした味わいです。いけます。アルコール度数が19%以上もありますので飲みすぎ注意の生原酒でした。

トロッとした生原酒はかぼちゃの煮物にぴったり



御成街道の起点になっている船橋の東照宮


 後日、御成街道の起点が船橋市内にある東照宮であることをテレビで知り、訪ねてみました。東照宮といえば日光ですが、同じ名前の神社が船橋にもありました。もちろん徳川家康を祀っていますが、こちらは御成街道を使って鷹狩りに出かける際の宿泊所となっていた船橋御殿の跡地に建てられた日本一小さい東照宮だそうです。

船橋にある東照宮、葵の御紋や見猿言わ猿聞か猿もちゃんと

(2017年2月5日追記)



勝手に「房総の地酒」を応援するTVコマーシャル風動画を作ってみました


個性ある房総の地酒の良さが少しでも伝われば幸いです。





房総酒蔵バイクツーリングのインデックスはこちら


房総酒蔵マップ
千葉にある約40軒の蔵元を順に巡っています。青色の酒蔵マークをクリックすると該当する投稿記事にジャンプします。







2016年5月12日木曜日

快適動画編集 意外に奥が深いFCPX用点滅エフェクトをMotion 5で作成


 Final Cut Pro X (FCPX)を使用してビデオの編集をしていると、文字列や矢印などのシェイプを強調するために点滅させたいときがあります。FCPXに標準で付いてくるビデオエフェクトを探しても適当なものが見当たりません。仕方がないので今までは原始的な方法で点滅を実現していました。

必要な長さのクリップを適当な間隔で並べると点滅してくれます

1秒周期で点滅させるには0.5秒のクリップを0.5秒の間隔をあけて並べていけば狙い通りの点滅になりますが、周期を変更したりシェイプを編集したりしようとするとすべての細かいクリップを直さなければなりません。

 もう少しスマート?な方法としてはキーフレームを指定してシェイプの不透明度を周期的に変化させる方法です。これなら後でシェイプの編集をするのは簡単です。ただし周期を変えるのは大変な作業でした。

ビデオアニメーションを表示し、キーフレームを使用して不透明度を変化させる


Motion 5でFCPX用の点滅エフェクトを作成


 Motion 5にはキーフレームで細かなタイミング指定をしなくても対象に動きをつけるためのビヘイビアという機能があります。指定された周期で対象物を点滅させるだけであれば「反復」というビヘイビアが使えます。あっという間にできるだろうと高を括って始めてみたら、これが結構奥が深い。Motion 5の勉強にもなりましたので、作成時の経験をまとめてみました。

1. 点滅エフェクトの基本部分作成


 Motion 5を起動し「Final Cutエフェクト」を選択します。解像度やフレームレートは対象となるビデオの数値を指定。GoProなどのHD画質映像の場合は下の図のままでOKです。周期的な変化を繰り返すエフェクトを作成するときに問題となるのが継続時間です。理由は後で出てきますので、ここでは6秒を指定しておきます。

Motion 5の初期画面

「開く」を押すと次の画面に進みます。中央のレイヤーリストに「エフェクトソース」というレイヤーが既にできていますので、ここに「反復」ビヘイビアを適用します。この「エフェクトソース」レイヤーを選択しておいてから、ライブラリ、ビヘイビア、パラメーターを選んで行くと、その中に「反復」が見つかります。これをダブルクリックするか、選択してから上の方にある「適用」ボタンを押せばOKです。

「反復」ビヘイビアを「エフェクトソース」に適用

続いて「反復」ビヘイビアのパラメーターを調整します。レイヤーリストで歯車マークの付いた「反復」を選択。インスペクタ、ビヘイビアを選べば「反復」ビヘイビアのパラメータが表示されます。ここで「波形」を「サイン」から「矩形」に変更します。矩形は対象になるパラメータが最小と最大の間をデジタル的に切り替わりますが、サインは連続的に徐々に変わります。はっきりと点滅させたい場合は矩形です。

パラメータの変わり方を指示する波形を「矩形」にセット

次に「速度」と対象となるパラメータを指定します。ここでいう「速度」とは周期のことで、60を指定された値で割ったものが繰り返しの周期(秒)となります。例えば60をここに指定すれば、1秒周期でパラメータが繰り返されることになります。波形が矩形ですから0.5秒間最大、0.5秒間最小の繰り返しです。この繰り返しをエフェクトソースの「不透明度」に適用すれば現れたり、消えたりの繰り返しで点滅しているように見えるわけです。

「速度」とビヘイビアを適用するパラメータ「不透明度」を指定

「速度」はFCPXの方で自由に変えられるようにしますので、ここでは動作テストとして60を指定しました。この状態で再生ボタンを押してみてください。1秒周期で画面が点滅するはずです。さらに「速度」の数値を変更して再生すると、点滅周期が変わるのがわかると思います。

 点滅動作は指定したプロジェクトの継続時間が終わっても繰り返しているはずです。これはMotion 5が自動的に繰り返し再生をしてくれるからです(キャンバスの右下にループマークが青く表示されていると思います)。このままの状態でエフェクトとしてFCPXに適用されると、今作っているプロジェクトの継続時間は自動的にFCPXの対象クリップの長さと同じに調整され、ループすることなく一回で終わりです。エフェクト適用後にFCPX側でクリップの長さを変えられると、意図された点滅周期からずれてしまいます。適用されるFCPXのクリップ長とは無関係に、Motion 5で作成された時のタイミングを維持したい場合にはテンプレートマーカーを使用する必要があります。その準備としてプロジェクトの終わりにループさせるためのマーカーを設定します。再生ヘッドをプロジェクトの終わりに移動させ、shiftMキーを押すか再生ヘッドを右クリックして出てきたメニューからマーカーを追加します。

再生テストとループ再生のためのマーカー設定

続いて、セットしたマーカーを右クリックすると出てくるメニューから「マーカーを編集」を選びます。テンプレートマーカーを初めから作成することはできません。必ず一度標準マーカーとして作成してから編集で種類を変えます。これでFCPX側でクリップの長さが変えられても、一定のタイミングが維持されたままループされる回数が異なるだけになりました。

マーカーの編集で「標準」から「プロジェクトループ終了」に変更

あとは使用時にFCPX側で周期を指定できるようにパラメータを公開してやれば完成です。対象となるパラメータを選んで「公開」指定します。

周期となる「速度」を公開すれば一応の完成

2. リグを活用して周期の指定を簡略化


 点滅周期を指定する「速度」は毎回計算しないと正確な秒数が出てきません。それほど細かな指定は不要ですので、よく使いそうな値をポップアップから選べるようにすれば便利です。こんな場合に活用できるのがMotion 5のリグ機能です。文字やシェイプを点滅させる周期ですので速すぎても遅すぎても利用価値はありません。次のプリセット値を用意することにしました。

  周期 0.2秒、0.4秒、0.6秒、1.0秒、1.5秒、2.0秒

どのプリセット値でもループ再生の際に最後が尻切れにならない長さを作成時のプロジェクト継続時間に指定する必要があります。最小公倍数の6秒を作成時の継続時間にしたのはこのためです。

 「反復」ビヘイビアの「速度」をリグの新規ポップアップとして追加しているのが次の画面です。

「速度」をリグのポップアップとして追加

リグが追加できたらポップアップリストの中身を準備します。レイヤーリストから「ポップアップ」を選択し、インスペクタ、ウィジェットを開きます。既に「スナップショット1、2、3」というリストができていますので、名称変更ボタンを押してラベルを変え、下の方にある「反復」の速度の値を対応するものに変更していきます。四つ目からは「+」ボタンでリストを追加しながらセットしていきます。

プリセット値「速度」の値
  0.2秒300
  0.4秒150
  0.6秒100
  1.0秒60
  1.5秒40
  2.0秒30

リグのポップアップリストをセット

これでよく使う周期はポップアップリストから選ぶだけで指定できるようになります。ここで作成したポップアップのリグを公開する処理も忘れずに行っておきます。さて必要な機能は全てセットできました。最後に公開されたパラメーターを確認しておきます。
 レイヤーリストで一番上にある「プロジェクト」を選択します。インスペクタ、プロジェクトを開いていくと公開されたパラメーターが確認できます。それぞれのラベル部分が初期値の「速度」や「ポップアップ」のままでは意味不明ですので、ダブルクリックして編集しておきます。ここでは「周期(60秒/n)」と「プリセット周期」としました。また、ここでの値がFCPXで使用する際の初期値になりますので、一番よく利用しそうな値にセットしておきます

公開パラメータの確認、ラベルの変更、初期値の設定を実施

単純な機能で、なおかつビヘイビアをそのまま利用しているだけなのですが結構考慮点がいっぱいありました。これでやっと完成ですので、FCPXへ公開するためにMotion 5のメインメニューから「ファイル」、「保存」を選択します。内容がわかりやすいテンプレート名と必要に応じてカテゴリー名を指定して「公開」ボタンを押せば全ての作業は終了となります。

最後に保存(FCPXへ公開)をして終了

ここではテンプレート名を「ブリンキング」、カテゴリー名を「アニメーション」としました。FCPXからはこれらの名前で利用できます。


FCPXでの点滅エフェクトがこんなに簡単になりました


 完成したエフェクトの使い方はいたって簡単です。通常のエフェクトと同じように適用したいクリップにドラッグすれば完了です。これで周期1秒で点滅するようになります。点滅スピード(周期)を変える場合は、対象のクリップを選択してから右上のインスペクタに表示される公開パラメーターを変えればOKです。適用後にクリップの長さを変化させても周期は変わりません。

FCPXでエフェクトを適用すれば簡単に点滅が実現

以前やっていた原始的な方法と比べると雲泥の差です。Motion 5を使って自分の必要なものを作ることができたという喜びも手伝って、編集中に何でもかんでも点滅させてしまいそうです。


 作成したテンプレートファイルは下のリンクからダウンロードできます。内容の確認や、Motion5は持っていないがそのまま利用したい場合などにご利用ください。

 ブリンキング

Googleドライブの画面が出ますので、そこからダウンロード可能です。ZIPファイルを解凍してお使いください。



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