この梅雨時にバイクでアジサイ見学?と不思議がられそうですが、この時期特有の雨に濡れた土や葉っぱの匂いがなんとも言えず好きです。もちろん土砂降りの日にバイクに乗りたくはありませんが、走りながら梅雨特有の匂いが楽しめるバイクはやっぱりいい。雨が止むと走りたくなります。
アジサイは雨の似合う花です。雨が降る中で楽しむのが一番なんでしょうが、やはり少し億劫です。朝方まで降り続いていた雨が止み、夕方までしばらく小休止との予報が出ていたため、アジサイ祭りが開催されている成田市の宗吾霊堂(東勝寺)に行ってみました。この近辺は成田山へのアクセスルートとしてバイクや自転車で度々通過していますが、ここに立ち寄ったのは初めてです。
国道464号に面した宗吾霊堂 |
国道から離れて裏手に回ると無料の駐車場があります。今年は6月5日(日)から26日(日)までがアジサイ祭りの期間です。少し遅いかなとも心配しましたが、結構な人が来ていてアジサイの花もまだまだたくさん咲いていました。
無料の駐車場にバイクを停めてアジサイ見学 |
見事なアジサイを楽しめる宗吾霊堂
アジサイの種類を説明する立て札を見ながら散策が楽しめる |
白い花以外に赤や青、紫、ピンクも咲いていて本当に不思議です。リトマス試験紙に例えられるように、土壌の酸性度(pH)をコントロールすることにより花の色も変えられるようです。
赤はアルカリ性土壌 |
アジサイの花(ガク)に含まれているアントシアニンという色素が、土から吸収される水に溶けているアルミニュウムイオンによって色を変えるそうです。酸性土壌にはアルミニュウムイオンが多く、アルカリ性土壌には少ないというのが色の違う理由です。
青は酸性土壌 |
それでは白色の花は土壌が中性なのかと思えばそうではなく、中性の場合花は紫色になるそうです。白色のアジサイは花(ガク)に色を変えるアントシアニン色素を持たない種類でした。
ほとんど白に薄い青が混じって綺麗 |
ガクアジサイ |
7,000株のうち約1,000株は白い花が鈴なりになってブドウの房のような形で咲く柏葉アジサイです。葉の形が柏に似ていることからそう呼ばれ、1,000株も集まって咲いている場所は日本では珍しいと紹介されていました。
ブドウの房のような形で咲く柏葉アジサイ |
背の高いアジサイで、道の両側にいっぱいの柏葉アジサイが咲いている風景は見事です。多くの人が白いアジサイをバックに記念写真を撮っていました。
柏葉アジサイの通路 |
なんで宗吾霊堂と呼ばれてる?
見事なアジサイを楽しんでから本堂の方へ回ってみました。東勝寺というのが正式な名前で、征夷大将軍の坂上田村麻呂が房総を平定した時に、戦没者を供養するために建てた寺だそうです。
宗吾霊堂の本堂 |
本堂の横に見覚えのある歌舞伎役者の名前が書かれた札が何本も立っていました。小学生の時に社会科見学の一環で狂言を一度見たことがあるくらいで、それ以後全く歌舞伎の観劇などしたことがありません。そんな私でも知っている役者の名前が出ています。
歌舞伎役者寄進の立て札 |
松本幸四郎、中村勘三郎、中村勘九郎の名前と共に「佐倉義民伝」や「東山桜荘子」上演記念と書かれています。江戸時代前期にこの地に住んでいた佐倉(木内)惣五郎が佐倉藩の重税に苦しむ農民を代表して将軍へ直訴を行い、重税は改善されたものの四人の子供とともに処刑されたという物語が、のちに講釈や歌舞伎となって広く知られるようになったそうです。惣五郎の俗称「宗吾」の名を冠したお寺がこの宗吾霊堂です。他にも近隣の地名や道路にも宗吾の名前が残っています。『へ〜そうだったんだ、知らなかった』というのが正直な感想です。
この話しを歌舞伎の演目にして江戸時代にヒットしたのが「東山桜荘子」で、その後「佐倉義民伝」として定着しました。その中の見せ場として「甚兵衛渡し」が有名らしいです。死を覚悟して将軍への直訴に旅立つ前に一目家族に別れを告げに戻った惣五郎を、禁を破って渡し船を出し印旛沼の対岸まで送り届けた老人甚兵衛。甚兵衛はその後、藩のお咎めを恐れて印旛沼に身を投げたという悲しい物語。そういえば印旛沼のほとりに甚兵衛公園と名付けられた公園があり、サイクリングの途中でよく休憩していた場所です。こんな物語があったなんて夢にも思いませんでした。
義民ロードというすごい名前が付いている |
物語の筋を知れば知るほど観てみたくなりました。身近な場所に残されている伝承を基にした歌舞伎の演目。日本人ですので一度くらい本物の歌舞伎を観に行くのも良さそうです。バイクでアジサイを見に行ったら歌舞伎に興味が湧いてきたというたわいないお話しでした。
千葉テレビの「ちば見聞録」で分かりやすく紹介されてた
千葉テレビの「ちば見聞録」という番組で佐倉惣五郎を取り上げていました。とっても良くまとまっていて、勉強になります。普段千葉テレビはあまり見ないのですが、週刊バイクTVとこの番組は千葉のバイクツーリングを楽しむライダーとしては必見ですね。
(2017年1月22日追記)