2016年12月27日火曜日

房総酒蔵バイクツーリング 年の瀬に正月用の新酒を求めて一走り


 年の瀬も押し迫った忙しい日に、年末年始用の日本酒を求めて房総の蔵元を訪ねました。房総の酒蔵巡りも足掛け三年目に入り、この時期にしぼりたて新酒が出る酒蔵にも見当がついています。寒空の下、防寒装備をばっちりしてバイクを走らせました。早い蔵では11月には新酒の出荷が始まりますが、中には年明けの3月からというのんびりした蔵もあり、当てずっぽうに出かけると無駄足になることもあります。多くの蔵では正月の祝い酒に間に合うように、12月の後半には新酒の出荷を始めるようです。

久留里と勝浦の酒蔵を訪問


久留里の藤平酒造と勝浦の東灘醸造を訪問


 先ず訪れたのは国道410号(久留里街道)沿いにある藤平酒造です。名水の里と呼ばれる久留里の街中にあり、店のすぐ前にも水が湧き出す井戸があって誰でも無料で利用できます。ここで「福祝」初搾り純米吟醸彗星無濾過生原酒と「福祝」純米のどぶの二本を購入。純米のどぶの方は強発泡性で、横倒しにして持ち帰れない酒です。先日見つけた積載方法で、発泡性の酒もバイクで持ち帰れるようになりました。

 二軒目に訪れたのは勝浦にある東灘醸造です。こちらは直詰め生原酒の「鳴海(なるか)」を今年の一月から6種類飲んですっかりファンになった蔵元です。シリーズで一番最初に出てくる「鳴海」特別純米直詰め生の「白」を購入しました。正月用の新酒出荷に忙しい時期だったようで、たくさんの人が事務所で働いていました。

年末年始用に買い求めた房総の新酒


房総中央の丘陵部から外房の海沿いまでの道は面白い


 日本酒の買い出しとはいえ、せっかくバイクで来ていますので、久留里から勝浦まで走って面白そうなルートを選んでみました。亀山湖で久留里街道から国道465号に分かれます。

師走の平日で誰もいない亀山ダム

この時期に亀山湖に来ている物好きは誰もいませんでした。国道465号をしばらく走ると山の中に入ります。途中まで道路の拡張工事が進んでいますが、山の中の一部は未だ車がすれちがえない曲がりくねった細い道のままです。

国道465号の一部はこんな感じの細い道

国道465号をそのまま進むと大多喜に行ってしまうため、途中で県道178号に右折します。この道は粟又の滝の横を通り抜けて興津・小湊方面に行ける山道です。よく知られた抜け道のようで、狭い道ですが結構車が走ってます。途中にある勝浦ダムは静かで、景色の良い場所で休憩には最適です。

灌漑用の勝浦ダム

海沿いの国道128号に出て、勝浦を目指していると鵜原理想郷という看板が目に入りました。勝浦海中公園と同じ方向です。海中公園は何度も行ったことがありますが、鵜原理想郷は訪れたことがありません。ちょっと寄り道してみました。

鵜原理想郷の漁港(勝場港)

鵜原理想郷は小規模ながら、リアス式の海岸が続いている風光明媚な場所でした。大正時代にここを別荘地にする計画があり、理想郷と呼ばれるようになったそうです。崖には波の浸食による穴がいたるところに空いていますが、幾つか大きな穴も見つかります。太平洋戦争末期に本土決戦の備えとして、この鵜原にも特攻艇「震洋」が配備されたそうで、崖の穴が特攻艇の保管庫として使われていたのかもしれません。いろいろ考えさせられる鵜原理想郷の見学でした。


新酒はやっぱり旨い


 しぼりたて新酒はどれも生酒ですので、保管は要冷蔵です。いつまでも冷蔵庫に入れておいたら怒られそうなので、帰宅後から精力的に飲み始めなければなりません(^_^)/
まずは強力発泡酒の「福祝」純米のどぶを開けてみました。

栓をひねった途端泡が噴き出す純米のどぶ

栓をひねると泡が噴き出してきて、瓶の口からあふれそうになります。その度に栓を閉めて泡が落ち着くのを待ち、また栓を少し緩めます。これを発泡が緩やかになるまで何度も繰り返して、やっとコップに注ぐことができました。瓶の下に溜まっていた澱は、発泡の勢いで自然に混じります。口に含むと炭酸の刺激が舌にピリピリときた後、酸味と米の甘みが口いっぱいに広がりました。出来立てのどぶ、うま〜い。

 年末年始のために一升瓶二本と四合瓶一本の新酒を手に入れてきましたが、さて正月三ヶ日まで持つかな〜(怪しい.....)


2016年12月18日日曜日

谷津道探検サイクリング 高速道路沿いのルート探検も面白い


 度々同じルートでサイクリングしていると、無性に知らない道を走りたくなります。この日も最初は高速道路脇の勝手知ったる道を走っていました。いつもならその先で高速道路から離れて川沿いの谷津道に入るのですが、ふとこのまま高速道路沿いに走ってみたらどこまでいけるのだろうとの考えが頭をよぎりました。サイクリングの新ルート開拓では川沿いの道を探すことが多いのですが、今回は新たな試みになります。いつもの方向には曲がらず、高速道路脇の細い道を真っ直ぐに進んでみることにしました。

東関東自動車道に沿って新ルート探し

 走ってみたのは東関東自動車道(東関道)沿いです。四街道IC近くまでは付近の幹線道路の裏道としてかなりの交通量があり、自転車で走っていて楽しい道ではありませんが、佐倉ICあたりからは道も細くなり、車もほとんど走っていません。

車がほとんど走っていない高速道路沿いを快適に進む

この道は高速道路建設に先立って工事車両が通るために作られたものです。そのため舗装された道が高速道路にほぼ並行して延々と続いています。


細かいアップダウンの連続でトレーニングにいいかも


 郊外に来ると小さな山々が現れます。高速道路本体は山を切り崩した切り通しを走っているため真っ直ぐですが、その横の道は元々の地形のままの細かいアップダウンが連続しています。一つのアップダウンは大きくても数十メートル程度の標高差なのですが、それが立て続けに出てくるとかなり脚にきます。この道、トレーニングにもなかなかいいかもしれません。

アップダウンが連続する高速道路の脇道


新しい谷津道ルート発見のきっかけにも


 高速道路は山と山に挟まれた谷間を超えて走っています。高速道路に沿って走っていると、今まで通ったことのない谷津道を横切ることがあります。走りやすそうな谷津道をチェックしておいて、帰りにそこを走ってみると新たな谷津道ルートの発掘にもつながります。

高速道路の橋が架かっているところには谷津田が広がる


途中で進めなくなっても諦めない


 工事のための道なので途中で先に進めなくなることがありますが、諦める必要はありません。たいていの場合は高速道路の反対側に出ればさらに先へ進める道が見つかります。

工事用の道路は高速道路の左右どちらか一方にある場合が多い

インターチェンジ(IC)は大きな道路に接続していることが多く、自転車で横切る場合かなりの遠回りを強いられますが、インターチェンジがない側の道は比較的スムーズに進めます。どうしても高速道路沿いに進めない場合は、少し離れた道を辿ってから高速道路沿いに戻るようにします。

進めない場所では一旦離れてから戻る


自然も豊富な高速道路の沿道


 山々を切り開いて通した高速道路のすぐ横は自然が溢れています。普通の車道を使ってこれだけの自然の中に入り込もうと思ったら相当な距離を走らなければなりませんが、高速道路沿いの道なら短時間で自然豊かな場所に到着できます。

高速道路のすぐ横に「発砲注意」の看板

高速道路のすぐ脇に発砲注意の看板が架かっていて、ちょっとびっくり。ちょうど狩猟期間にあたる時期ですので、本当に注意が必要ですね。自転車で走っていると藪のなかからガサガサと動物の音がするのを何度も耳にしました。

 京葉道路と東関東自動車道が交差する大規模なインターチェンジ付近は、すっかり街中で高速道路の沿道も大型車がひっきりなしに走っています。

京葉道路と東関東自動車道が交差するインターチェンジ

この辺は無理に高速道路脇を走る必要はありませんが、インターチェンジの中央部を通り抜ける道があったので走ってみました。市街地にぽっかりと空いた穴のように緑が残されています。道路を走る車の音とともに鳥たちのさえずりが溢れていました。

広大なICの敷地は緑がいっぱい

 サイクリングロード以外のルートを楽しむようになってから数年経ちますが、高速道路沿いにルート探検をしてみたのは初めてです。今回は出発が遅く、日没も早い季節のため富里ICまでしか行けませんでしたが、次回は成田空港や佐原方面まで足を伸ばしてみようと思います。川沿い以外の谷津道探検サイクリング、しばらく熱中しそうです。



成田界隈はさらにアップダウンが厳しかった


 後日、東関道に沿って成田空港まで行ってみました。空港近くの高速道路脇道はアップダウンがさらに厳しくなり、往路だけでバテバテになりました。

標高20〜50メートルくらいの登りが連続して現れる東関道沿道

帰宅後にGPSサイコンのデータを見ると、累積高度が1200メートル近くありました。GPSの高度データは誤差が大きいのですが、いつも走っている標高100メートルの長柄ダムから東金崖線のルートでも700〜800メートルの値を示していますから、それより厳しい上り下りだったようです。一番高い場所でも50メートル、平均すれば20〜30メートルの小さな登りを繰り返して1200メートルの累積高度となるのですから、いかにアップダウンが連続しているのかがわかります。私の貧脚には丁度良いトレーニングコースであることが実証できました。

(2016年12月22日追記)


 このルートについてお問い合わせをいただきましたので、ルートラボにGPSログをアップいたしました。参考にしていただければ幸いです。

クリックすれば動かせる詳細地図が表示されます

佐倉ICから先はアップダウンが多くなり車はめったに走っていませんが、あくまでも高速道路工事に先立って作られた側道です。抜け道に利用している車も走っています。見通しの悪い下りカーブなどで、スピードを出し過ぎて車にぶつからないようご注意ください。成田空港のセキュリティサービス会社の車は必ずここを走っていて、一日に何度もすれ違います。

(2017年5月11日追記)


2016年12月16日金曜日

快適バイク生活 ブーツの保温性能も測定してみた


 いよいよ寒さも本格的になってきました。日中の温度が10℃以下の予報が出ていた日を選んで、ブーツの保温性能を計測してみました。先日、グローブの保温性能を測定した結果、内外の温度差が2〜3℃程度しか無く驚きましたが、ブーツ内外の温度差はどの程度あるか楽しみです。普段ライディング中に使用しているブーツはバイク専用品ではありません。雨の日にも使えるバイク用のブーツも持っていますが、かなりごつくて重いため、いつもは普通のブーツを履いてバイクに乗っています。

使用している普通のブーツ(バイク用ではありません)

カジュアルなバイク用ジャケットと組み合わせれば、バイクを降りてそのまま買い物などに出かけても違和感はありません。この一番利用機会の多いブーツで測定してみました。


測定方法はグローブの場合と同じ


 グローブ内の温度測定にあたり、狭い場所でも測定可能な熱電対型の温度ロガーを購入していましたので、今回もそれを利用します。センサー先端が直に体温を計測しないように、念のため布を巻いてから使用しているのもグローブの時と同じです。

線の先がセンサーになっている熱電対型の温度計

測定する場所は、ブーツ内のつま先部分の空間です。シフトペダルに比べて動きが少ないブレーキべダルを操作する右足の指先周辺の温度が測れるようにセットしました。

つま先部分の空間の温度を測定

温度ロガー本体は運転操作の邪魔にならないように靴下の中に押し込んでしまいました。ズボンに隠れて外からは何も見えなくなります。

温度ロガー本体は靴下の中にすっぽりと収納

外気温の方は、ジャケットの胸ポケットに別の温度ロガーを入れて外気が入り込むようにしました。これでブーツ内外の温度を同時に測定します。


グローブに比べればはるかに好条件のブーツ内


 指先一本一本を個別に包むグローブは、熱を外へ逃がしてしまう表面積も大きくなる上に、細かな操作を行う必要があるためにあまり厚くできません。それに比べてブーツは足全体を一つの空間に収められますし、それほど細かい操作を行う必要もありませんから、素材の厚みもかなり自由です。少し考えただけでも、グローブに比べれば保温性に関してははるかに良い条件に恵まれています。その条件の良さが測定結果にどのように現れているのか、分析してみました。

なかなかの保温性能を示したブーツ

5°C前後の内外温度差を維持


 スタート直後や暖かい室内にいるとき以外は、ブーツ内外の温度差は概ね5°C以上を保っています。これはグローブの2〜3°Cの温度差に比べればはるかに良い結果です。最大では11°Cもの温度差がありました。内部の温度が15°Cを切ると、少しつま先が冷たいなと感じますが、我慢できないほどではありません。テスト中、外気温が最低の8.5°Cを記録した時にもブーツ内部は15°Cを保持していました。

冷えてきたら足を動かすのが効果的


 ブーツ内温度が下がって、つま先が少し冷たいなと感じたら、足を動かしてやるといいようです。足の指を動かしながら足全体を靴の中で後ろへずらすようにすると、風が当たって冷えやすいつま先部分の空間が広がります。動かない空気層(デッドエアー)の厚みが増し、より断熱・保温効果が高まるようです。外気温の変動に比べてブーツ内の温度変化が激しいのは、足を動かしていたためだと思われます。

さらに寒くなっても対応は可能


 テストでは綿の靴下一枚しか着用していません。保温性の高いウールの靴下などを使用すれば、さらに寒くなっても十分対応可能だと思います。気をつけなければならないのは、何枚も靴下を重ねてつま先部分のデッドエアー空間を損なわないようにすることです。スキーや冬山登山の時と同じですね。

 グローブの他に、冬用ジャケットの保温性能も測定してきました。真冬にバイクライディングを楽しむためには、まずジャケットで体幹の温度を維持し、さらに指先を保温するのが重要なようです。


2016年12月12日月曜日

房総酒蔵バイクツーリング番外編 しぼりたて新酒の情報収集


 続々と新酒の初しぼり情報が寄せられる季節になりました。出荷日翌日に大原にある木戸泉酒造を訪ねて、しぼりたて新酒とにごり酒を手に入れたのは二週間ほど前のことです。期待を裏切らない出来立ての味で、しぼりたての荒々しさを感じながらも濃厚な風味が口の中に広がり、あっという間に飲み干してしまいました。


千葉県酒造組合の地酒ショップで情報収集


 この先、どの蔵元から訪問するか悩ましいところです。とりあえず千葉市中央区にある千葉県酒造組合の地酒ショップに情報収集に出かけました。駐車場がないため、大きめのウェストバッグを持って、ミニサイクルでの出撃です。

「千葉の酒情報館」の看板が出ている千葉県酒造組合

入り口には入荷したばかりの千葉のしぼりたて新酒が、手書きで紹介されています。否が応でも期待が膨らみます。

千葉の地酒ショップに入荷したばかりの新酒が紹介されている

読んでいるだけで喉が鳴りそうです。手書きのPOPを見ると、千葉の地酒に対する知識と愛情とユーモアを感じます。

楽しい手作りの看板

40軒以上もある千葉の蔵元で作られる酒は、季節酒も入れると軽く数百の銘柄になると思います。初めての酒を選ぶときに、ここの紹介文はとても参考になります。さらに入荷後にすぐに売り切れるという銘柄は要チェックです。

どれも飲みたくなってしまう素晴らしい紹介文

地酒ショップは客が来た時だけ、酒造組合の人が事務所から移動してきて応対してくれます。蔵元の情報を教えてもらったり、これから先の出荷情報を尋ねたりしてとても役立っています。


情報収集のついでに四本も新酒を購入してしまった


 ずらっと並んだしぼりたて新酒を目の前にして、手ぶらで帰るわけにはいきません。持参したウェストバッグのサイズから考えて四合瓶で四本が限界かと判断し、次の四銘柄を選びました。

購入した新酒四銘柄

右から順に....
  • 鍋店(なべだな) 「仁勇」純米生とろり酒
  • 東勲酒造「東勲」十富禄酒(どぶろくしゅ)
  • 梅一輪酒造「梅一輪」発泡にごり酒
  • 藤平酒造「福祝」しぼりたて生酒
最後の「福祝」しぼりたて生酒以外は発泡性の日本酒のため、持ち帰りや保管の際には吹きこぼれないよう注意が必要です。さらに全てが火入れしていない生酒のため要冷蔵です。この中で飲んだことがあるのは、東勲酒造の十富禄酒だけです。昨年3月の発酵の里こうざき酒蔵まつりで出会い、ぞっこんになった酒です。他は全て初めてですので、帰宅後のハッピーアワー?が待ちきれません。

 こんな素晴らしい房総の地酒ショップが自転車で行ける場所にあるのに、どうしてわざわざバイクで蔵元まで行くのか聞かれることがあります。実は、ショップに置いてある酒はほとんどが四合瓶なんです。大酒飲みの私は四合瓶だとほぼ一、二回で空にしてしまうため、お気に入りの銘柄はどうしても一升瓶が欲しい。さらに、入荷量が多くはないため、欲しい銘柄が売り切れという場合が結構あります。何より、作っている人から直接話しを聞いてみたいという思いで、寒空の中バイクで房総の蔵元を巡っているという次第です。さて、今宵のお供はどれにしよう......



それぞれ個性的なしぼりたて新酒たち


 手に入れた千葉のしぼりたて新酒を一通り味わってみました。それぞれが個性を持ち、楽しみ方もいろいろです。

「仁勇」純米生とろり酒

 もち米を原材料にした極甘口です。甘酒よりも甘口で、とろりとしていているためカクテルも良さそうです。まずはそのままでやってみましたが、食前酒にぴったりです。甘みが強いためソーダ割りにするとちょうどどぶろくのような味になり、牛乳で割ると大人のミルク酒という感じで楽しめました。


「梅一輪」発泡にごり酒

 千葉産米100%の特別本醸造酒です。微発泡性でさっぱりとした味は、ぐいぐいといけます。四合瓶で900円という高いコストパフォーマンスを誇るしぼりたて新酒です。




「福祝」しぼりたて生酒

 酒をしぼる槽(ふね)の口からそのまま瓶詰めしたふな口直詰めの新酒です。溶け込んだかすかな炭酸の刺激とともに、新酒のふくよかな味わいが広がります。




「東勲」十富禄酒(どぶろくしゅ)

 杯に注ぐとシュワシュワと泡が出る、酵母が生きているどぶろくです。アルコール度数が6度程度しかありませんから、甘い味を楽しみながら軽く一本飲んでしまえる新酒です。





コップに注いだ後もプクプクと泡が出て旨そ〜

(2016年12月14日追記)



房総酒蔵バイクツーリングのインデックスはこちら


房総酒蔵マップ
千葉にある約40軒の蔵元を順に巡っています。青色の酒蔵マークをクリックすると該当する投稿記事にジャンプします。







2016年12月9日金曜日

燗酒の飲み頃温度を知るため手持ちの温度計を試してみた


 いつの間にか燗酒が旨い季節になりました。冷えた体に温めた日本酒を流し込めば、身も心も一遍に温めることができる、この時期の魔法の飲み物です。それぞれの酒毎にお勧めの温度があり、さらに温める方法にもいろいろあるため、それこそ千差万別の楽しみ方ができるのがこれからの燗酒です。日本酒の飲み頃温度は以下のように区分されています。

日本酒の飲み頃温度別の呼び名

今まで日本酒の燗酒は、ぞんざいに電子レンジでチンのみでしたが、バイクで房総の酒蔵を一軒一軒巡り、蔵元の話を聞きながら買い求めた地酒を燗するのに、さすがに電子レンジはためらいました。それまでほとんどやっていなかった湯煎による燗酒をするようになってから、温度の差による味の違いも少しずつ理解できてきたようです。


理科系としては正確な燗の温度を知りたい


 一杯目が熱ければ間違いなくあつ燗でしょうし、ちょっとぬるいなと感じればそれはぬる燗に違いありませんが、理科系人間としてはそれぞれの燗の温度を正確に測りたいと思っていました。調べてみるとお燗温度計という製品があるようです。千円から二千円前後の製品がたくさん見つかりました。燗酒の区分を目盛りにふってあるものもあれば、単に温度だけを表示するようになっているものもあります。要はキッチン用の簡易温度計を呼び名を変えて売っているだけでした。そうであれば、わざわざお燗用の温度計を買う必要もありません。普段使用している幾つかの温度計で燗酒の適温測定にチャレンジしてみました。


熱電対型温度計で日本酒の温度を直接測定


 子供の頃から慣れ親しんだ温度計といえば、ガラス管の中に赤い液体の入った温度計ですが、あの棒を入れて測定できる場所は限られます。また、測定を開始してからしばらく待たないと正確な温度を表示してくれません。冬用バイクグローブの保温性能を測定するために検討した熱電対型温度計の一つを使用して燗酒の温度を測定してみました。

応答速度の速い熱電対型温度計

ステンレス棒の中に入った熱電対により素早く温度を計測できます。だいたい1秒くらいで測定値は安定しました。試しに沸騰したヤカンのお湯にプローブ(測定棒)を入れてみたら、99.7度と出ましたので誤差は大きくはなさそうです。

湯煎したばかりの燗酒の温度を熱電対型温度計で測定

湯煎したばかりの燗酒の温度は、この測定器では53.4度を示していました。気をつけなければならないのは、縦長の徳利ですから熱くなった酒は上の方に移動し、下の方と温度差ができてしまうことです。徳利内部上下の温度差を測ってみると2度くらいの差がありました。


赤外線放射型温度計で徳利越しに温度測定


 非接触で温度が測定できる赤外線放射型温度計もよく利用しています。測定対象物の表面の放射率に測定値が左右されるため校正が必要ですが、離れた場所から目標の温度を簡単に計測できるため手放せない測定器です。

レーザーでポイントした周辺の温度を簡単に測定できる赤外線放射型温度計

先ほど熱電対型温度計で測定した燗酒をこの赤外線放射型温度計で測定してみると、50.8度を記録しました。この測定方法では中の酒の温度ではなく、その熱が伝わった徳利の外面の温度を測定していることになります。湯煎から取り出して時間が経っていますから、入れっぱなしの熱電対型の方は53.1度となっています。2.3度ほどの差で、非接触で測定ができました。

非接触で徳利の温度を測ると50.8度

どちらも熱燗の温度範囲です。これなら燗酒の目安を知るにはどちらの測定方法でも判断が可能だと思われます。


実際には徳利の底を触って判断


 単なる興味で燗酒の温度を測定してみましたが、毎回行うかといえば多分やりません。ヤカンのお湯が沸騰して、徳利を入れてから目安になる時間(2〜3分)が経過したら、徳利を取り出して湯をふき取り、徳利の底を触ります。底の温度が熱ければ十分熱燗になっていますし、それほどでもなければ上燗、ぬるく感じればぬる燗です。徳利の中で下の方が温まりにくい特性を利用して、全体の様子を想定するこの方法で燗酒の状態を知るのが最も合理的だと感じています。

湯煎であれば燗をしている最中の匂いも楽しめる

立ち上る香りも楽しみながら、温まるのを待つ楽しみは湯煎ならではです。電子レンジではこうはいきません。多少目標の温度から外れても、それはそれで新しい味わいを楽しむ機会と捉えて次の燗に期待を寄せます。ああ、飲んべえの夜はこうして更けて行きます。


2016年12月4日日曜日

快適自転車生活 ブレーキシューの調整方法を見直してみました


 めったに行う作業ではありませんが、今までやっていたロードバイクのブレーキシューの調整方法を改めて見直してみました。きっかけは菅生沼サイクリングの途中で、ブレーキシューがアルミのリムを削ってキリコが飛んでいるのを目の当たりにしたためです。帰宅後に確認してみると、トーインが大きく、かなり強くブレーキをかけないとシュー全面がリムに密着しません。さらにシューの上下方向にも傾きがあり、正しくリム面に接触していないようでした。少し前にトーインの再調整を行ったのですが、その時の作業が正しく行われていなかったようです。


今まではブレーキシューチューナーで調整


 ロードバイクに乗り始めてから約七年。その間、ブレーキシューを交換したのは二回だけですから、作業についてはほとんど素人です。誰でも簡単に調整ができるというブレーキシューチューナーを使っていました。

シューの調整は市販のチューナーに頼って作業

使い方はいたって簡単で作業もあっという間に終わりますが、ネジを固定する際に力を入れると簡単にずれてしまうことがあります。またチューナー自身の厚みがありますから、リムとシューが離れた状態で位置決めをします。ブレーキをかけた時に正しくリム面と接触するのかが多少不安でした。

 このブレーキシューチューナーを使った時にどの程度のトーインがつくのか、ノギスを使って各部の寸法を測定してみました。

前方(すぼみ側)の厚みは1.0mm
後方(開いている側)の厚みは2.3mm

すぼんでいる側の厚みが1.0mm、開いている側は2.3mmありました。この斜面にブレーキシューを沿わせてトーインをつけますので、計算してみると約1.0mmの隙間が出来ることになります。

実測値を使ってトーインの量を計算

シマノのガイドには『最適のブレーキレスポンスを得るためには、ブレーキシューに約0.5mmのトーインが必要です』とあります。トーインが大き過ぎるとどんな影響が出るのかわかりませんが、ブレーキシュー前方に大きな力が加わっていたのは間違い無いようです。菅生沼でのブレーキトラブルの後にシューをチェックしてみると、前方部分が金属色に変わり、かなり固くなっていました。この部分がリムを削ったものと思われます。削れたアルミのカスが丸まって、シューに食い込み、さらにアルミのリムを削るという悪循環に陥っていたようです。


0.5mm厚の紙を挟んで調整


 ネットを検索してみると皆さん厚紙などを小さく切って、シューとリムの間に挟んで調整されているようです。真似して0.5mm厚の紙を探し、小さくカットしました。

0.5mm厚の紙を探して小さくカット

最初はこの紙を使わず、ブレーキを軽くかけておいてシューの位置を決めてからネジを仮止めしておきます。リムの上端から1mm程度下がった場所が目安。その後、シューの後方に先ほどの紙を挟んでからブレーキをかけ、仮止めしておいたネジを軽く緩めると自然に0.5mmのトーインが付きますので、この状態でネジを締めます。最後に規定のトルクをかける際には、シューが動いてしまわないよう手で押さえながら行いました。

シューの後方に紙を挟んで調整

紙は二つ作っておけば両側を一度に調整できて便利です。このやり方であればシューの上下角度がリム面に合わないというトラブルも減らせそうです。

調整は左右同時に行った方が確実


ブレーキング時の音を頼りに整備


 音もなくスーっと止まれるブレーキは実に気持ちの良いものですが、しばらく乗っているとシャーという音がし始めます。リムのアルミが削れてシューに食い込んだり、雨中走行後に砂がシューに噛み込んだりしている場合がほとんどです。この場合は、シューに食い込んだ異物をほじくり出すとともに、削れてデコボコになったリム面も研磨しておかないとまたすぐにアルミの削りかすが出てしまいます。

削れてデコボコになっているリム面

車やオートバイも同じですが、走っている時の音ってとっても大切なんですね。


2016年12月3日土曜日

谷津道探検サイクリング トラブル続発だった久しぶりの菅生沼


 茨城県坂東市にある菅生沼はたくさんの白鳥や鴨が越冬するために飛来する自然豊かな場所です。芽吹大橋で利根川を離れ、長閑な畑や林の中を進んでいけばたどり着きます。北からの季節風が強くなるこの時期には、往路は苦しいですが復路は追い風を受けて一気に帰れるため、ルートとしては悪くはありません。大型車の多い国道や県道を避けながら裏道を走れば、なかなか快適に往復できます。今年もそろそろ白鳥が来る頃かなと思い、久しぶりに菅生沼を目指してみました。

以前2月に訪れた時にはこんなに白鳥がいた菅生沼の上池

 利根川サイクリングロードを芽吹大橋あたりまで走ると、東には筑波山が、北には雪をかぶった赤城山や男体山まで目にすることができます。まさに関東平野のど真ん中といった風景です。

利根川上流に目をやると関東の山々が一望できる

 菅生沼の周辺は茨城県自然博物館の一部になっています。入り口まで行ってみましたが、往復で140キロほどの距離があり日没時刻が早い時期のため、今回は立ち寄らずに先を急ぎました。

茨城県自然博物館

 菅生沼にいくつかある池や沼の中の一つ上池に行ってみると、鴨はたくさんいましたが白鳥は不在でした。まだ少し早かったのかもしれません。

上池には白鳥は来てなかった

 前回自転車で菅生沼を訪れたのは5年近く前の2012年2月のことです。それ以来の訪問ですから、ルートを覚えているか不安でしたが、曲がり角が来るたびに以前の記憶がよみがえります。ちゃんと体が覚えているじゃないかと調子に乗って走っていたら、いろいろなトラブルに見舞われてしまいました。

坂東市にある菅生沼、途中トラブル続発


前輪のリムが削れてキリコが飛んでる!


 下り坂で少し強めのブレーキをかけていたら、前輪のリムから旋盤のキリコのようなアルミの削りカスが飛んでいるのを見てしまいました。恐ろしい光景です。ブレーキをかけると前輪からシャーシャーと嫌な音が出始めたと思ったら、こんなに見事にアルミのリムが削れている場面を目の当たりにしてしまいました。すぐさまブレーキシューをチェックすると、削れたアルミが丸まってシューにめり込んでいます。目につく部分をトライバーでほじくりだしました。

リムの下の方に線状の溝ができてしまった

少し前にブレーキシューの調整を行っていましたので、そのやり方が悪かったようです。よくよく見ると、シューのトーインが大き過ぎて、かなり力を入れてブレーキをかけないとシューの後ろまでリムに密着しません。さらに、シューの下側の方が上側より先にリムに接触してしまう角度になっていました。

 帰宅後にシューを外してチェックしてみると、先にリムに接触する部分に金属の色が付き硬くなっています。トーインも1.0mm以上あり、シマノ推奨の0.5mmをはるかに超えていました。調整は市販のブレーキシューチューナーを利用して行っていますが、使い方が悪いのか上手く調整できていなかったようです。

市販のブレーキシューチューナーを利用して調整


田んぼに突っ込んで落車!


 追い風を受けて田んぼの中の一本道を快調に走っていた時のこと。タイツについたひっつき虫(草の種)に気づき、走りながらひっつき虫を取り始めたのが運の尽き。足元から前方に視線を戻したその瞬間、農道から外れかかっていることに気づきました。すでに進路を修正するには手遅れで、稲刈りの終わった田んぼが目の前に迫ってきました。前輪が田んぼに入るやいなや、予想通り前輪がロックして体が宙に投げ出されます。かろうじて顔面から田んぼに突っ込むことだけは避けられ、右半身から田んぼに落ちました。

こんな場所で田んぼに突っ込み落車、情けない

ヘルメットからジャージまで右側が泥だらけになりましたが、幸いなことに体と自転車に走れないほどのダメージはありませんでした。突っ込んだのが田おこしの終わったばかりの柔らかい田んぼだったのが不幸中の幸いです。油断大敵ですね。

これでもだいぶ落とした後のジャージの泥汚れ


げっ、パンクしてる!


 帰路、追い風を受けて速度を出して走っている最中に、何度が路上の段差で強い衝撃を受けました。だいぶ疲労もたまっていたため、注意力が散漫になっていたようです。リム打ちパンクを気にしながらも、自宅まであと十数キロのところで後輪に違和感を覚えました。今年1月以来のパンクです。ちょうど公園があったため、公園のベンチに陣取りパンク修理に取り掛かりました。

スリップサインも出始め、そろそろ交換時期のタイヤがパンク

かれこれ7千キロ程度使用したタイヤはスリップサインも出始め、怪しい傷もたくさん付いています。タイヤの表裏、チューブをチェックしてみましたが、異物や空気が漏れている部分が見つかりません。リム打ちパンクだろうと判断して、チューブを交換。CO2インフレータであっという間に空気圧を上げパンク修理が完了です。帰宅後にチューブを水の中でチェックしてみると、チューブの横に小さな穴が空いていました。典型的なリム打ちパンクだったようです。

水中でしか気づかないような小さな穴が一つ


日頃の整備と走行中の注意が欠かせない


 午後4時を過ぎると日が翳り始めるこの時期に、いろいろなトラブルでいつもより時間がかかってしまいました。帰宅する頃にはすっかり夕闇です。これからしばらくの間は小型ライト以外に、本格的な夜間用ライトも念のため持参すべきだと考えながら無事帰宅しました。

夕暮れの幕張新都心、この時間まで走るのは久しぶり

 ロードバイクに乗り始めて、初めてタイヤをバーストさせて自走できなくなったのも菅生沼でした。一番近い自転車店まで一時間半も自転車を押して歩いたことを思い出します。同じ菅生沼サイクリングで、今回三つのトラブルに見舞われたのも何かの因縁かもしれません。事前の整備と走行中の注意を怠るなという警鐘だと思って、今後の戒めとしました。