日暮れの早い季節を迎え、またまたライト沼にハマってしまいました。価格面も含めて、安全に夜のサイクリングロードや谷津の道を走れる満足できるライトに巡り会えないことから、この時期になると毎年ハマっているような気もしますσ(^_^;)
ハイ・ロービームのテストをしていたらロー側に不満が
だいぶ前に購入した200ルーメンのDOSUN A1は、今となってはそれほど明るいライトの部類には入りませんが、配光特性が秀逸で、歩行者や対向車に遠慮せずに使えます。最近購入した格安の中華ライトは、配光特性になんの配慮もされていない、単純に明るいだけのライトでした。DOSUN A1を常時点灯するロービームとして使い、手元に設けたスイッチで明るいだけの中華ライトをオン・オフできるようにしたところ、走行中の状況に合わせて実にスムーズにハイ・ローの切り替えができました。
二つのライトの配光特性を利用して切り替え式ハイ・ロービームにしてみた |
対向車や歩行者が急に現れても瞬時にハイからローに切り替えできます。これなら思いっきり明るい中華ライトをハイビームとして使っていても、周りの迷惑にならずに夜間走行できそうです。課題があるとすれば、1200ルーメンもの明るさがあるハイビームに比べて、ロービームが200ルーメンしかなく、バランスが悪いことです。もう少し明るい、ロービームパターンを持ったライトに替えたくなりましたが、希望の配光特性を持ったライトが見つかりません。
ロービームとしてDOSUN A1の優れた配光特性
自転車専用に設計されたDOSUN A1は特殊な形状をしています。よくある円形のパラボラ状になったリフレクターではなく、上部が平面で下部に向かってなだらかにカーブした、横方向に長い形状になっています。LEDはリフレクターの中心ではなく、上部の平面に下向きに取り付けられています。
優れた配光特性のDOSUN A1 |
このリフレクター形状から、LEDから出た光がどのように反射されてライトから放出されるか考察してみました。パラボラ形状には入ってきた光や電波が一点に集まる焦点が存在します。パラボラ面を下半分だけ残してカットし、その焦点に下向きにLED光源を置けば、放射された光の大半はパラボラの開口部からまっすぐ前に進んで行くことになります。リフレクターに当たらない光は、ライトの下方向に向かいますが、ライトの上方向にはほとんど光が出ないことが推測されます。
放物線を半分にして、LED光源からの光の進み方を描いてみた |
DOSUN A1の光を数メートル離れた壁に当てた写真を見れば、実際の配光がこの考察通りであることがわかります。
DOSUN A1の優れた配光特性、ロービームにはぴったり |
ライトの取り付けに上下の区別が必要になりますが、歩行者や対向車を眩惑する上方向への光の放出を抑える、ロービームとして優れた特性であることが理解できます。同じ配光特性を持つ500ルーメンくらいの格安ライトがあれば、1200ルーメンの中華ライトと組み合わせてもバランスの良いロービームとして使えそうなのですが....(DOSUNのAERO AF500という製品がありましたが、格安の中華ライトに慣れてしまうと高くて買えません)。
格安中華ライトの配光を変えられるか?
ただ明るいだけの中華ライトで、同様に歩行者や対向車への防眩対策をしようとすると、ライトの角度をかなり下向きにしなければなりませんが、そうすると一番明るい部分が下になり過ぎて、せっかくの明るさを活かせません。取り付け角度での調整ではなく、配光特性を変えて、上方へ出る光をカットできないか色々試して見ました。
1. 庇(ひさし)設置方式
最初に試してみたのがこの方式です。上方への光を遮りたいわけですから、ライトのレンズ上方に庇をつけてしまえばいいだろうという単純な発想です。
アルミの缶ビールを切って庇にした |
この方法、簡単に実現できますが、ちょっと格好悪い。詳細は「快適自転車生活 格安中華ライトに手を加えて配光を調整」で説明しています。なかなか効果がありました。
2. 開口部遮蔽方式
次に試してみたのが、光の出てくるレンズの一部を覆ってしまい、上方への光を防ぐ方法です。黒いビニールテープをレンズ面の上半分に貼って光が通らないようにしてしまいます。実に簡単な方法です。
レンズ(ガラス)面の上半分を黒いテープで覆ってしまう |
3. リフレクター黒化方式
リフレクターの上半分を光が反射しないように黒い色にしてしまう方法です。LEDが相当発熱しますので、ビニールテープでは溶けてしまうかもしれません。アセテートの粘着テープがあったので、それでリフレクターの上半分を黒くしてみました。
黒い粘着テープを貼ってリフレクターの半分を黒くした |
4. リフレクター分割方式
DOSUN A1の特殊なリフレクター形状と同等になるようにします。そうは言ってもリフレクターを上下真っ二つにカットするわけにもいきませんので、リフレクターの真ん中で上下に仕切れるアルミ板を作ります。慎重に寸法を測り、カーブの形状はMacに付属してくるグラフ計算ソフト「Grapher」で描きました。
リフレクターの開口部直径、焦点までの距離を測り、パソコンで曲線を印刷した |
実サイズになるように印刷したものを、アルミ板に両面テープで貼り付けてからハサミで切り取りました。
印刷したリフレクター曲線をアルミ板に貼り付けてハサミでカット |
これをリフレクター内に固定してテストです。光を出すLEDにある程度のサイズがあるので、ちょうど半分というわけにいかず、かなり苦労しました。仕切り板は本来は綺麗な平面にならなければいけないのですが、ちょっと曲がってしまいましたσ(^_^;)
中華ライトのリフレクターにセットした仕切り板 |
壁に照射した配光パターンで比較
それぞれの方式で調整された光を壁に当てて、配光パターンを比較してみました。とっても苦労したリフレクター分割方式や黒化方式のような、リフレクターに直接手を加える方法はあまり良い結果になっていません。特に、リフレクター黒化方式は何もしない時と変わらないようです(T . T) リフレクター分割方式は多少の効果が現れていますが、LEDが正面を向いているため、ライト内部で拡散された光が上方向へも漏れ出しているのでしょう。厳密にはDOSUN A1のようにLEDを下向きに付け変えなければ効果は大きくないようです。
上方への光の放射状況が良くわかる |
良い結果となったのが庇方式と開口部遮蔽方式です。特に開口部遮蔽方式は、レンズ面にビニールテープを貼るだけですから、実走行時にも簡単にテストできます。庇方式のように、余計なものを取り付ける手間もかかりません。もう少し上に光が出てもいいかもしれません。レンズ面の半分を覆ってしまいましたが、少し上方にずらして貼れば庇方式のようなパターンになりそうです。
1200ルーメンの中華ライトの配光を調整してロービームとして使用できれば、ハイ・ローの両方を最大1200ルーメンにできます。走行中に切り替えて使用する際に、バランスが良くなるように光量を調整して使用できれば、より快適なライトに仕上がるものと思います。分割コネクターを経由して電源を配線すれば、一つの大容量バッテリーを共用できます。う〜ん、ますますはまり込んでしまうライト沼。しばらくは抜け出せそうもありません。
開口部遮蔽方式実環境テストの結果は?
日没後の谷津道で爆光中華ライトのロービーム化をテストしてきました。事前の屋内テストで簡単で効果のありそうな開口部遮蔽方式(呼び方はイカツイが、単に黒いビニールテープを貼っただけ)です。中央の明るい部分が少し上にはみ出ていますが、周辺の光はスパッと切れていて、期待できそうな方式です。屋外テスト時の配光状態を記録した映像がこれです。
明るい中心部のすぐ横が真っ暗になってしまい、怖くて走れない開口部遮蔽方式 |
壁にまっすぐに光を当てた時には、それほど中央部と周辺部のカットオフラインに差はありませんでしたが、実際に斜めに道路を照射すると、その差が大きくなってしまいました。歩行者や対向車が眩しくないように、非常に明るい中央部を下向きにすると、周辺部のカットオフラインが下向き過ぎて、明るい中心部の左右に真っ暗な部分ができてしまいました。とても怖くて走れない状況です。中心部が明るすぎるライトはロービームとしては非常に使い辛いということがわかりました。さて、次はどうする?
(2017年10月1日追記)
庇方式も実環境でテストしてみました
開口部遮蔽方式は明るい中心部のサイドが真っ暗になってしまい、実際の環境ではとても怖くて走れないという結果となりましたので、後日庇方式でも実環境テストを行ってみました。室内での照射パターンチェックでは、中心の明るい部分の上方に若干の放射がありますが、カットオフラインも明確で期待できるパターンです。
中心部とその前方の明暗差が大きすぎる庇方式 |
歩行者の目に直接光が入らない角度になるように取り付けます。路面にも明確なカットオフラインが現れ、開口部遮蔽方式のようにサイドに真っ暗な部分ができることもありません。ロービームの配光としては良い状態なのですが、問題は中心部が明るすぎることでした。この部分の反射が強すぎて、その先の路面や周辺の景色が見えなくなってしまいます。全体的に暗いDOSUN A1の200ルーメンの方が走りやすいくらいです。庇方式の試験結果からも、中心と周辺の明暗差が大きいライトはロービームに向かないということを改めて実感しました。
(2017年10月9日追記)