2017年9月29日金曜日

快適自転車生活 ライト沼レポート(ロービームも爆光中華ライトで)


 日暮れの早い季節を迎え、またまたライト沼にハマってしまいました。価格面も含めて、安全に夜のサイクリングロードや谷津の道を走れる満足できるライトに巡り会えないことから、この時期になると毎年ハマっているような気もしますσ(^_^;)


ハイ・ロービームのテストをしていたらロー側に不満が


 だいぶ前に購入した200ルーメンのDOSUN A1は、今となってはそれほど明るいライトの部類には入りませんが、配光特性が秀逸で、歩行者や対向車に遠慮せずに使えます。最近購入した格安の中華ライトは、配光特性になんの配慮もされていない、単純に明るいだけのライトでした。DOSUN A1を常時点灯するロービームとして使い、手元に設けたスイッチで明るいだけの中華ライトをオン・オフできるようにしたところ、走行中の状況に合わせて実にスムーズにハイ・ローの切り替えができました。

二つのライトの配光特性を利用して切り替え式ハイ・ロービームにしてみた

対向車や歩行者が急に現れても瞬時にハイからローに切り替えできます。これなら思いっきり明るい中華ライトをハイビームとして使っていても、周りの迷惑にならずに夜間走行できそうです。課題があるとすれば、1200ルーメンもの明るさがあるハイビームに比べて、ロービームが200ルーメンしかなく、バランスが悪いことです。もう少し明るい、ロービームパターンを持ったライトに替えたくなりましたが、希望の配光特性を持ったライトが見つかりません。


ロービームとしてDOSUN A1の優れた配光特性


 自転車専用に設計されたDOSUN A1は特殊な形状をしています。よくある円形のパラボラ状になったリフレクターではなく、上部が平面で下部に向かってなだらかにカーブした、横方向に長い形状になっています。LEDはリフレクターの中心ではなく、上部の平面に下向きに取り付けられています。

優れた配光特性のDOSUN A1

このリフレクター形状から、LEDから出た光がどのように反射されてライトから放出されるか考察してみました。パラボラ形状には入ってきた光や電波が一点に集まる焦点が存在します。パラボラ面を下半分だけ残してカットし、その焦点に下向きにLED光源を置けば、放射された光の大半はパラボラの開口部からまっすぐ前に進んで行くことになります。リフレクターに当たらない光は、ライトの下方向に向かいますが、ライトの上方向にはほとんど光が出ないことが推測されます。

放物線を半分にして、LED光源からの光の進み方を描いてみた

DOSUN A1の光を数メートル離れた壁に当てた写真を見れば、実際の配光がこの考察通りであることがわかります。

DOSUN A1の優れた配光特性、ロービームにはぴったり

ライトの取り付けに上下の区別が必要になりますが、歩行者や対向車を眩惑する上方向への光の放出を抑える、ロービームとして優れた特性であることが理解できます。同じ配光特性を持つ500ルーメンくらいの格安ライトがあれば、1200ルーメンの中華ライトと組み合わせてもバランスの良いロービームとして使えそうなのですが....(DOSUNのAERO AF500という製品がありましたが、格安の中華ライトに慣れてしまうと高くて買えません)。


格安中華ライトの配光を変えられるか?


 ただ明るいだけの中華ライトで、同様に歩行者や対向車への防眩対策をしようとすると、ライトの角度をかなり下向きにしなければなりませんが、そうすると一番明るい部分が下になり過ぎて、せっかくの明るさを活かせません。取り付け角度での調整ではなく、配光特性を変えて、上方へ出る光をカットできないか色々試して見ました。

1. 庇(ひさし)設置方式


 最初に試してみたのがこの方式です。上方への光を遮りたいわけですから、ライトのレンズ上方に庇をつけてしまえばいいだろうという単純な発想です。

アルミの缶ビールを切って庇にした

この方法、簡単に実現できますが、ちょっと格好悪い。詳細は「快適自転車生活 格安中華ライトに手を加えて配光を調整」で説明しています。なかなか効果がありました。

2. 開口部遮蔽方式


 次に試してみたのが、光の出てくるレンズの一部を覆ってしまい、上方への光を防ぐ方法です。黒いビニールテープをレンズ面の上半分に貼って光が通らないようにしてしまいます。実に簡単な方法です。

レンズ(ガラス)面の上半分を黒いテープで覆ってしまう

3. リフレクター黒化方式


 リフレクターの上半分を光が反射しないように黒い色にしてしまう方法です。LEDが相当発熱しますので、ビニールテープでは溶けてしまうかもしれません。アセテートの粘着テープがあったので、それでリフレクターの上半分を黒くしてみました。

黒い粘着テープを貼ってリフレクターの半分を黒くした

4. リフレクター分割方式


 DOSUN A1の特殊なリフレクター形状と同等になるようにします。そうは言ってもリフレクターを上下真っ二つにカットするわけにもいきませんので、リフレクターの真ん中で上下に仕切れるアルミ板を作ります。慎重に寸法を測り、カーブの形状はMacに付属してくるグラフ計算ソフト「Grapher」で描きました。

リフレクターの開口部直径、焦点までの距離を測り、パソコンで曲線を印刷した

実サイズになるように印刷したものを、アルミ板に両面テープで貼り付けてからハサミで切り取りました。

印刷したリフレクター曲線をアルミ板に貼り付けてハサミでカット

これをリフレクター内に固定してテストです。光を出すLEDにある程度のサイズがあるので、ちょうど半分というわけにいかず、かなり苦労しました。仕切り板は本来は綺麗な平面にならなければいけないのですが、ちょっと曲がってしまいましたσ(^_^;)

中華ライトのリフレクターにセットした仕切り板


壁に照射した配光パターンで比較


 それぞれの方式で調整された光を壁に当てて、配光パターンを比較してみました。とっても苦労したリフレクター分割方式や黒化方式のような、リフレクターに直接手を加える方法はあまり良い結果になっていません。特に、リフレクター黒化方式は何もしない時と変わらないようです(T . T) リフレクター分割方式は多少の効果が現れていますが、LEDが正面を向いているため、ライト内部で拡散された光が上方向へも漏れ出しているのでしょう。厳密にはDOSUN A1のようにLEDを下向きに付け変えなければ効果は大きくないようです。

上方への光の放射状況が良くわかる

良い結果となったのが庇方式と開口部遮蔽方式です。特に開口部遮蔽方式は、レンズ面にビニールテープを貼るだけですから、実走行時にも簡単にテストできます。庇方式のように、余計なものを取り付ける手間もかかりません。もう少し上に光が出てもいいかもしれません。レンズ面の半分を覆ってしまいましたが、少し上方にずらして貼れば庇方式のようなパターンになりそうです。

 1200ルーメンの中華ライトの配光を調整してロービームとして使用できれば、ハイ・ローの両方を最大1200ルーメンにできます。走行中に切り替えて使用する際に、バランスが良くなるように光量を調整して使用できれば、より快適なライトに仕上がるものと思います。分割コネクターを経由して電源を配線すれば、一つの大容量バッテリーを共用できます。う〜ん、ますますはまり込んでしまうライト沼。しばらくは抜け出せそうもありません。



開口部遮蔽方式実環境テストの結果は?


 日没後の谷津道で爆光中華ライトのロービーム化をテストしてきました。事前の屋内テストで簡単で効果のありそうな開口部遮蔽方式(呼び方はイカツイが、単に黒いビニールテープを貼っただけ)です。中央の明るい部分が少し上にはみ出ていますが、周辺の光はスパッと切れていて、期待できそうな方式です。屋外テスト時の配光状態を記録した映像がこれです。

明るい中心部のすぐ横が真っ暗になってしまい、怖くて走れない開口部遮蔽方式

壁にまっすぐに光を当てた時には、それほど中央部と周辺部のカットオフラインに差はありませんでしたが、実際に斜めに道路を照射すると、その差が大きくなってしまいました。歩行者や対向車が眩しくないように、非常に明るい中央部を下向きにすると、周辺部のカットオフラインが下向き過ぎて、明るい中心部の左右に真っ暗な部分ができてしまいました。とても怖くて走れない状況です。中心部が明るすぎるライトはロービームとしては非常に使い辛いということがわかりました。さて、次はどうする?

(2017年10月1日追記)



庇方式も実環境でテストしてみました


 開口部遮蔽方式は明るい中心部のサイドが真っ暗になってしまい、実際の環境ではとても怖くて走れないという結果となりましたので、後日庇方式でも実環境テストを行ってみました。室内での照射パターンチェックでは、中心の明るい部分の上方に若干の放射がありますが、カットオフラインも明確で期待できるパターンです。

中心部とその前方の明暗差が大きすぎる庇方式

歩行者の目に直接光が入らない角度になるように取り付けます。路面にも明確なカットオフラインが現れ、開口部遮蔽方式のようにサイドに真っ暗な部分ができることもありません。ロービームの配光としては良い状態なのですが、問題は中心部が明るすぎることでした。この部分の反射が強すぎて、その先の路面や周辺の景色が見えなくなってしまいます。全体的に暗いDOSUN A1の200ルーメンの方が走りやすいくらいです。庇方式の試験結果からも、中心と周辺の明暗差が大きいライトはロービームに向かないということを改めて実感しました。

(2017年10月9日追記)



2017年9月27日水曜日

快適自転車生活 ライト沼レポート(中華ライトは単燈式か多燈式か)


 秋の夜長を迎えて、どっぷりとハマっているライト沼からのご報告です。高輝度LEDを一つ使った格安の中華ライトが思った以上に明るく、灯りの全くない夜の農道でも何とか走れたことに気を良くして、さらに明るそうな三つのLEDが搭載されている中華ライトをまたポチってしまいました。ほとんどビョーキですσ(^_^;)


中華ライトの製品仕様は何が本当なのか分からない


 Amazonで目についたライトはRioRandというブランドで『1800Lm 3x CREE XM-L U2 高輝度LED 防水充電自転車ヘッドライト 自転車ライト+ヘッドライト2in1機能! 18650バッテリーと充電器付き 明るさは4段階で調節可能!』という見出して売られていました。1,800ルーメンのLEDバルブが三つも!ということで、トータル光束は計算上5,400ルーメンになります(マジかよ)。→ 記事を書いていてふと気付いたのですが、1,800が三つではなく、三つで1,800とも読めます。微妙な表現だ....

1800ルーメン?のLEDバルブが三つも付いている格安中華ライト

大容量Li-ionバッテリーやヘッドライト用のベルトなどの豊富なオプションがついてきます。それでいて、売値は税込2,539円なり。この価格設定では日本の専業メーカーは太刀打ちできませんね。ただし、それは謳っている製品仕様がその通りだった場合です。

大容量バッテリーや充電器などの豊富な付属品がついてくる

入っていた取扱説明書を見ると、LEDバルブはCREEXM-L U2ではなくT6となっていました。さらに、Amazonの商品説明ページには3,000mAhのバッテリー容量となっていましたが、取説では6,400mAhと倍以上になっています。一体どれが本当なの???と疑問だらけですが、どれも怪しいと思った方が間違いがありません。

 LEDメーカーであるCREE社の資料を見ると、U2の場合は700mAの電流を流した時の最低保証値は300ルーメン、T6の場合は280ルーメンです。電流をLEDの許容値である3,000mAまで流しても、光量は3.25倍までしか上がりません。U2で975ルーメン、T6で910ルーメンです。LEDメーカーの最低保証値ですから、LEDライト商品の代表値として中華メーカーが1,200とか1,300ルーメンと謳っているのは何となく理解できますが、一つのLEDバルブが1,800ルーメンはどう考えても多過ぎです。

 バッテリーの仕様についても同様のことが言えます。電圧や外装サイズから、内部の使用電池は18650Li-ion充電池だと思われます。以前買ったLED一個の中華ライトや今回のLED三個の中華ライトに付属してきたバッテリー容量を見ると、ますます疑心暗鬼になってしまいます。

格安中華ライト付属のバッテリー

18650充電池を二本直列とし、それをさらに二組み並列に接続してあると思われます。一本の電圧が3.7V、容量が2,000〜3,200mAh程度の18650Li-ion充電池が一般的ですので、上のバッテリーパックは7.4Vの電圧で、4,000〜6,400mAhの容量というのが妥当な仕様だと思います。まあ、格安の中華製品ですので、一・二回使ってみて自分で判断するしかありませんが(^ ^)


LED一個に比べて三個の中華ライトは明るいか?


 灯りの全く無い、夜の谷津道を複数回走ってその性能を確認済みのLED一個の中華ライトに比べて、LED三個の実力やいかにということで比較テストを行いました。

実力は体験済みのLED一個の中華ライト

CREE社のXM-L T6 LEDを一個使ったこのライトは光束1,230ルーメンとして売られていました。以前から使っているDOSUNのA1(200ルーメン)と比較しても、1,230ルーメンというのは大げさではありませんでした。Vokulというブランドで『自転車ライト ヘッドライト サイクルライト 900LM USB充電式 高輝度 IP-65防水 六つ点灯モード調節 コンパクト 軽量 夜間外出 防災用』という見出しをつけて、税込2,499円で売られていたものです。見出しには900ルーメンとなっていましたが、商品説明には1,230ルーメンと記されていました???。

 比較の第一歩として、Hiモードで点灯中の消費電流・電力を計測してみました。バッテリーとライトの間に電流計・電圧計を入れて一番明るいHiモードで点灯します。電圧計は先日作った18650サイズの通過型電圧計が活躍しました。

LED一個の中華ライトの消費電流と電圧を計測、約1.1A流れている

計測した電流と電圧を元に消費電力を計算して見ると、7.58V x 1.07A = 8.11W となりました。同様にLED三つのライトの電流と電圧を測定します。

LED三つの中華ライトでは約1.9Aも流れている

LED一個に比べて約二倍近い電流が流れています。消費電力を計算すると、7.42V x 1.87A = 13.88W となりました。LEDの数が三倍になったからといって、消費している電力が単純に三倍になるわけでは無いようです。約1.7倍の消費電力でした。この消費電力だけを見てもとても5,400ルーメンの明るさになるとは思えません。

 数メートルの距離から壁を照らしてみた時のパターン比較です。全体的な明るさ感はLED一個の方がほんの少し明るく感じました。三つのLEDを横に並べている割に、光は横には広がらず、LED一個と同じように中心の一点が明るくなっています。肉眼では気づきませんでしたが、iPhoneで写真撮影してみるとLED三つのライトには縞模様が浮き出ていました。高速で明滅しているのかもしれません。

消費電力の差ほど明るさに差はない

1,800ルーメン?のLEDが三つとの謳い文句でしたが、LED一個の1,230ルーメン製品と同等か、若干暗く感じるというのが比較テストの結果です。それでいて、バッテリーは1.7倍も消費します。横方向を広く照射してくれるわけでもなく、何のための多燈式ライトなのかというのが結論です。


(2017年10月1日 訂正)

 日没後の谷津道で三連式のライトを実環境テストしてきました。家の壁に照射した時に感じたように、1,800ルーメン x 3の明るさは間違いなくありませんが、多燈式の効果か、中心部の明るいところと周辺部の明るさの差が少なくなっているようです。家でのテストで単燈式に比べて暗く見えたのは、中心部の明るさが際立っていなかったためだと思われます。中心部と周辺部の明るさの差が少ないと、広い範囲が見やすくなります。単燈式よりも見やすいのは間違いないようでした。

実環境でのテストでは明暗差の少ない多燈式の方が見やすかった

でも1.7倍の消費電力でこの差では、今後継続使用するかどうかちょっと悩みます。


高輝度LEDライトはバッテリーと駆動回路が重要


 格安中華ライト製品が売り文句にしている明るさを実現するには、LEDの限界ギリギリの電流を流す必要があります。CREE XM-Lファミリーで1,200ルーメンも光らせるには、2,800mA以上の電流をLEDに流しているようです。この状態では驚くほどの発熱をしますので、放熱のための設計が重要です。

LED一個の中華ライトの放熱部、熱伝導グリスもちゃんと塗られている

さらに、Li-ionバッテリーの残量が少なくなるに従って電圧が徐々に下がっていきますが、その場合でも安定して一定の電流が流れるように定電流駆動回路が付けられています。この定電流駆動回路の良し悪しがLEDの明るさを左右します。

一つの定電流駆動回路を三個のLEDが共用している多燈式中華ライト

LEDを三つ使った多燈式中華ライトでは、三つのLEDが一つの定電流駆動回路を共用していました。それぞれのLEDに限界値ギリギリまでの電流を流す回路にはとても見えません。一つが1,800ルーメン、それが三つだから云々というのは全くの誇大表示だと思いますが、誰も警告しませんし改善の兆しもありません。中華製のLi-ion充電池やLEDライトはいい加減のオンパレードですね。

 格安中華ライトの中にはUSB端子経由でモバイルバッテリー(モバイルブースター)を電源にするものも売られています。モバイルバッテリー内部には18650Li-ion充電池が使われていることがほとんどで、電圧変換回路で5Vを作り出しています。ここから電力を供給して使う場合、中華ライトの中でさらに定電流駆動回路を経由しますので、それぞれの回路で20〜30%程度の電力損失が発生してしまいます。損失が二重に発生してしまうとバカになりません。

モバイルバッテリー(ブースター)は手軽だが、高輝度LEDライト使用時は効率が悪い

ライトが対応しているのであれば、バッテリー側は5Vのモバイルバッテリーではなく、7.4V仕様のものを使った方が効率が良く、長い時間明るく使用できます。ただし、標準のバッテリーと異なるものを使用するわけですから、電圧の管理などに十分注意する必要があります。Li-ion充電池は過放電時に寿命が短くなるばかりでなく、電池内部の圧力上昇などに伴う液漏れや破裂などの危険もあります。格安の中華ライトを安全・快適に使用するためにはコツが必要なようです。



写っている自作電圧計をお分けしています


 怪しげな無印バッテリーの電圧監視のために自作した小型電圧計ですが、使ってみると大変便利でした。透明パイプやコネクターなどの部品が余っていますので、残っている分をお分けすることにしました。「18650サイズの自作通過型電圧計を頒布」ページで使い方や入手方法を解説してあります。必要な方はお早めにどうぞ。

(2017年9月29日追記)



2017年9月22日金曜日

マウントの鬼 高価なGoProスポーツマンマウントを徹底活用


 GoProの純正マウントは高価なことで知られていますが、その中でも高額な部類に入るマウントの一つにスポーツマンマウント(ASGUM-001)があります。Amazonでも9,000円前後で売られていて、他のマウントのように格安のコピー品も見当たりません。値段が高過ぎて人気がないのか、必要性が低いのか、ネット上にもユーザーのレポートがあまりアップされていないようです。オートバイで安定したGoPro映像を撮るために各種マウント方法をテストしているときに、値段も考えずに購入してしまいましたが、その後あまり出番がありませんでした。


スポーツマンマウントのスポーツって何?


 GoProスポーツマンマウントは強力なクランプ部と交換可能なカメラ取り付けアームから成っています。さらに、黒いプラスチックで出来た複数のハウジング裏蓋が付属してきます。

GoProスポーツマンマウント構成部品(裏蓋は他に3枚付属)

取り付けアームはGoProが一台のもの(A)と二台を前後に取り付けられるもの(B)の二つが付属していますので、シーンに合わせて交換して使用します。中央に固定部を設けたGoProハウジングの裏蓋が付いてきます。下部にしか取り付け部がなかったGoProハウジングの後部にも取り付け場所ができますので、この裏蓋は他のマウント使用時にも大変重宝しています。音声がクリアに録れる穴あきタイプと大容量のBattery BacPac装着時のための厚みのあるタイプの組み合わせで、合計4枚の裏蓋が付いてきます。これだけ付ければ値段も上がりますね。

 クランプ部と取り付けアームで、カメラの方向が決まってしまう構造です。メーカーの説明によれば、クランプはライフル銃や釣り竿、アーチェリーなどの直径10〜23mmの棒状のものに装着可能とあります。ライフル銃やアーチェリーは持っていませんので、釣り竿で試してみました。

釣り竿にしっかりと固定できるGoProスポーツマンマウント

これで竿の先や釣り人の方にカメラを向けて、釣りの最中の映像が狙えます。実際に大物を釣り上げるシーンを、二台のカメラを使って獲物と釣り人の表情と一緒に撮影したら面白そうです。

家で釣り竿マウントをテスト中、ワンコが釣れそう!

 クランプ部が大変強力ですので、棒状でない場所にも固定可能です。ギター先端の板状の部分を挟んでみたら、しっかりと固定できました。傷がつかないように薄いゴムシートをクランプ部に貼って使用しています。

板状になっているギター先端にも固定可能

カメラの向き次第で、演奏者の手元や表情も狙える取付場所です。体を動かしても楽器や演奏者の一点を追いますので、ノリノリの演奏中でも安定した映像になります。ライブなどのワンカット収録に使えそうです。

ギターは弾けませんがこんなシーンが撮れたらカッコいい(?)

この他にもパイプ状のものにがっちり固定できるクランプの特性を活かせば、スキーのストックに取り付けて滑走中のシーンなども撮れそうです。


オートバイや自転車へのマウント目的で購入


 元々オートバイや自転車のパイプ部(ハンドルやミラーステーなど)に固定して、走行中の映像撮影に利用する目的で購入したものです。ハンドルなどへの取り付けは、もっと値段の安い専用のベースマウントが売られていますので、このマウントが一番活躍したのはオートバイのミラーステーやグラブバーなどのテーパー状になった部分への取り付けでした。

オートバイのミラーステーは単純なパイプ状ではなくテーパー状になっている

クランプ部の締め付け力が強いので、細いテーパー状のミラーステーにもしっかりと固定できます。カメラの水平を出すのが難しいのですが、延長アームを噛ませてやればなんとか調整ができました。ただし、ミラーが取り付けられているカウル自体が振動しているようで、撮れた映像はブレブレ(T . T)

 単独でのツーリングがほとんどのぼっちライダーのため、走行中の自分が映った映像はなかなか撮れません。バイク後方のグラブバーからカメラを前方に向ければ、バイクやライダーの一部と景色がいっぺんに撮影可能です。ぼっちライダー一推しの撮影方法になりました。

グラブバーに取り付けたカメラから前方を撮影

手で握りやすいように特殊な形状になっているグラブバーですので、よくあるパイプ用のベースマウントでは安定して固定できません。滑らないように薄いゴムを貼り付けたGoProスポーツマンマウントなら力ずくで固定可能でした。

特殊な形状のグラブバーにもしっかり取り付け可能

撮れた映像は狙った通り、ライダーとバイク、それに景色の三つが同時に写っています。ぼっちライダーでも自分が写った思い出映像が残せました。

グラブバーから前方を映したバイクツーリングシーン

 グラブバーから後方を狙えば、グループツーリングの際に仲間から喜ばれる映像が撮れると思います(ぼっちな私にはあまり関係ありませんが....)。撮影中にもしも、もしも白バイに追いかけられたら、相当迫力のある映像が撮れますねσ(^_^;) わざとやってはいけません。公務執行妨害で逮捕されてしまいます。

グラブバーから後方を狙えばグループツーリングでは喜ばれそう

 自転車ではシートポストに取り付けて後方を狙うのも簡単ですが、ドロップハンドルの末端に取り付けてカメラを後方に向けた撮影で活躍しました。

ハンドルバーの好きな位置に強力に固定可能

サイクリストのペダリングと自転車、後方に流れる景色の全てが一つのカメラで撮影可能です。臨場感のあるサイクリング映像が撮れる設置場所です。

景色とペダリングシーンが一度に撮影可能


水平を保ったままカメラを左右に向けるのが困難


 板状やテーパー状のものにも強力に取り付け可能なスポーツマンマウントですが、取り付けアームやカメラ固定部の向きが限定されるため、カメラの水平を保ったまま左右に向きを変えることが困難な構造です。撮影目的に合わせて、カメラの向きをもう少し外側や内側に向けたい時が度々ありますが、今までは諦めていました。自由に向きを変えられる延長アームなども売られていますが、オートバイや自転車の振動を拾ってしまい、映像がブレて使い物になりません。

もう少し紅葉の景色を広く撮影するためにカメラを左に向けたいが....

この課題が解決できず、高価なGoProスポーツマンマウントですが、出番があまり多くありませんでした。3Dプリンターで自作したマウントでも十分に実用になることを経験し、GoProスポーツマンマウントに自在ボールジョイント部を追加できるパーツを作ってみました。

Autodesk Fusion360で設計中のボールジョイント部を持つ取付アーム

DMM.makeの3Dプリントサービスでナイロン素材を使って造形してもらいました。出来上がったパーツにM5のナット3個をはめ込み、ノブに35mm長のM5ボルトを通せば、標準の取り付けアーム部を丸ごと置き換え可能になります。

標準の取り付けアーム部(右)を白い自作アームにそっくり置き換える

これで、クランプ部をしっかりと固定した後でもカメラの水平を保ったまま向きを左右に変えることができるようになりました。GoProの取り付け部をボール状に変換するパーツは二通り試作してみました(下の写真)。左はネジを使わずに取り付け部を球状にすることができます。マウントベースからカメラの重心までの距離が右に比べて短くなりますので、振動に対してより強くなりますが、ハウジングの取り付け部の形状が製品ごとに微妙に異なるため、ぴったりのものを用意するのが難しくなります。右は一般的なGoPro固定部と同じため、規格に合ったものなら格安のコピーカメラでも問題なく取り付け可能です。

GoProにボールを取り付ける部分は二種類試作

3Dプリントサービスとホームセンターで購入したネジの代金、合わせて2千円ちょっとの追加費用でGoProスポーツマンマウントの活用範囲が一気に広がりました。もともと高価なマウントですので、使われずに仕舞い込まれているのは勿体無いことです。この追加投資で、スポーツマンマウントの出番が今後増えれば十分元が取れると思います。

クランプを固定後にカメラの向きや傾きを自由に変えられるボールジョイント機能を追加


ボールジョイント構造の採用で自由度が格段に向上


 GoProはサイクリングやオートバイツーリング時のアクションカメラとしての使い方以外に、バイクや自転車に取り付ける自作ガジェット(小物)のテストにも活躍しています。自転車への固定には大変優れているGARMIN Edge用マウントに、アウトドアー用のGARMIN eTrexシリーズを装着できるようにするアダプターを自作しました。Edgeに比べて重量のあるeTrexがちゃんと固定できているかどうかを確認するために、走行しながら動画でハンドル上のeTrexを撮影します。

自作マウントアダプターのテストのために走行しながら撮影

強力なクランプ部でハンドルバーにしっかり固定してから、自由に向きを変えられるボールジョイント機構でGoProを被写体にしっかりと向けることができました。被写体のブレをチェックするための撮影ですから、カメラ自体がブレてしまっては意味をなしません。最初はGoPro JAWSフレックスクランプを使ってみましたが、自転車の振動でカメラがグラグラして使い物になりません。この改良型スポーツマンマウントは振動に対して格段に強いようです。

強力なクランプ部でハンドルにしっかり固定してからボールジョイント部で自由に向きを変えられる



DMM.makeクリエイターズマーケットから入手できます


 自分で使ってみて「これは使える」と判断した3Dプリント作品をクリエイターズマーケットに出品しています。せっかく高いお金を払って購入したGoProスポーツマンマウントなのに、出番が少ないという不満をお持ちの方はぜひご検討ください。活用範囲が大幅に広がりました。下記リンクにて利用方法や入手方法をご紹介しております。

活用範囲を格段に広げるGoProスポーツマンマウント交換アームを出品

(2017年10月1日追記)



現在のGoProマウント理想形を動画にしてみました


 自転車やオートバイで動画撮影するために試行錯誤してたどり着いたマウント方法を動画にまとめてみました。振動に強く着脱が容易で、狙った画角にするためにカメラの向きを柔軟に変えられるマウントを目指しました。同じ悩みを持つアクションカメラユーザーへの一つのヒントになれば幸いです。


(2017年12月6日追記)



2017年9月19日火曜日

充電池の電圧監視用に作った通過型電圧計の使い勝手がいいので増産


 格安の中華ライトにおまけでついてくる怪しげなLi-ionバッテリーの電圧監視用に作成した通過型の電圧計。電圧を監視しながらバッテリーを使えば、安心感がぐっと増します。常時持ち運べるように小型化し、一般的な18650Li-ion充電池と同じサイズにして、ケースへの収納についても考慮したパッケージングとしました。

18650Li-ion充電池と同サイズで、ケースにもぴったりと収まる自作電圧計


使い勝手がいいので他の色も作成


 バッテリーと機器の間に簡単に接続できる通過型としたため、常時電圧を目視できます。使い勝手がいいので、最初に作った赤色以外に、緑と青色のLEDを使った電圧計も作ってみました。

赤・緑・青色LEDを使った通過型電圧計、直列に何個でも接続可能

電圧計自身の電源は計測対象のバッテリーから取られますので、バッテリーに接続するだけでOKです。3〜15Vまでの電圧を計測することができますので、通常のLi-ionバッテリーパックであれば問題なく使用可能です。

測定可能電圧は3〜15V、消費電流は最大18mA


家に氾濫するACアダプターの電圧チェックにも便利だった


 Li-ion充電池の電圧監視のために作成した通過型電圧計ですが、プラグの形状が同じであればACアダプターの電圧チェックにも使えます。USBタイプのコネクターがついているACアダプターは電圧が5Vに決まっていますので悩む必要はないのですが、汎用のDCプラグがついているACアダプターは、電圧を確認してから接続しないと機器を壊してしまう可能性があります。ACアダプターの数はどんどんと増え続け、家の中に溢れかえっています。

家の中に増え続けるACアダプター、ラベルの文字が小さすぎる!

さらに悪いことに、機器のラベル表示が小さくて、老眼が進んだ目では電圧表示が読み取れません。ACアダプターを使用する度に老眼鏡を取り出さなくてはならなくなってしまいました。このACアダプターの電圧チェックに、作成した通過型電圧計を使ってみたらバッチリでした。

ACアダプターの電圧チェックに大変便利

電圧計を繋ぎっぱなしでも利用可能ですので、これでACアダプターを間違えて接続することもなくなりそうです。いちいちACアダプターをコンセントから外し、老眼鏡で文字を読み取る必要も無くなりました(^ ^)/ 機器側のDCジャックに合わせて、接続コードを用意してやれば、色々なタイプの機器でも使用可能になります。変換アダプターも市販されていますので、手間をかけずにプラグ形状を変えられそうです。

両オスのDCプラグコードの片側を変えてやれば、色々な機器にも接続可能

 怪しげなLi-ionバッテリーを安心して利用するために作成した単純な電圧計ですが、老眼の進んだオヤジが溢れかえるACアダプターの中から、目的の電圧のものを選ぶ際にもとっても便利でした。いちいちテスターを取り出して電圧を測定する必要もありません。これ、結構いいかも。ご家庭におひとついかがですか?



パーツ在庫分を組み立ててお分けします


 やっと見つけた18650サイズの透明パイプなどのパーツが少し余りましたので、必要な方に組み立てたものをお分けいたします。「18650サイズの自作通過型電圧計を頒布」ページにて使い方や入手方法を解説しています。内部は単純な電圧計ですので、簡単に作れますが、18650サイズにパッケージングするのに苦労しました。一つ持っていると便利ですので、この機会にいかがでしょうか。在庫がなくなり次第終了させていただきます。

(2017年9月28日追記)


2017年9月17日日曜日

マウントの鬼 ホームセンターの部品で小型のJAWSクランプ作成


 オートバイや自転車にGoProを取り付ける際に、ボルトで固定する常設型のベースマウント以外に、必要な時に必要な場所に一時的に取り付けるベースマウントも頻繁に利用しています。その中でも一番出番の多いのがJAWSフレックスクランプにボールジョイントバックルを組み合わせたシステムです。強力なクランプ部でパイプや板状のものにしっかり固定でき、さらにボールジョイント部で360度どの方向にもカメラの向きを変えられ、多少の傾斜があっても水平の調整ができます。実に応用範囲の広いマウント方法なのですが、問題はその大きさと価格です。狭い場所には入りませんし、複数箇所にカメラを取り付けるためにもう一組み手に入れるには一万円近い追加費用が必要になります。もっと小型で安価に同等の機能が実現できないか考えてみました。


GoPro純正品と同等の機能を2,000円以下で実現


 用事もないのにホームセンターをぶらぶらしていると、色々なものに自作マニアの創造魂が刺激されます。今回は300円程で売っていたナイロン製の工作用ハンドクランプを使ってみました。小さいくせにバネは大変強力で、片手では開くのに苦労するほどです。これに以前設計したボールジョイント部を載せてみました。

2,000円以下でできたJAWSクランプ+ボールジョイントの小型システム

GoProの純正アクセサリーはとにかく高価ですが、しっかりとした作りで耐久性もあります。最初に購入したJAWSフレックスクランプの格安コピー品は半年と持たずに壊れてしまいましたが、300円のハンドクランプなら壊れても簡単に交換できます。ボールジョイントバックルには同等品が見当たりませんので、3Dプリントサービスで造形してもらいます。固定用のM5ナットが別途必要ですが、それも数円程度ですので、締めて2,000円もかからずに完成しました。


ハンドクランプにボールジョイント部をどう取り付ける?


 自転車やオートバイのハンドルに取り付けられるように、40mmまで口が開くサイズのハンドクランプを選択しました。近所のホームセンター「コーナン」で見つけたものですが、Amazonなどでも同じものが売られています。OEM製品のようです。

開口部40mmサイズのナイロン製ハンドクランプ

このクランプにどのようにボールジョイント部を載せるか悩みました。ドリルで穴を開けて、ねじ止め式にすれば確実に固定できると思いますが、クランプの強度が心配です。クランプの腕の部分に肉抜きされた溝が作られています。3Dプリントに使う素材が靭性のあるナイロンですので、ここに爪を引っ掛けて固定する方法を試してみました。緩みがあるとガタついて使い物になりませんので、念入りにハンドクランプ側のサイズを測り、Fusion360で固定部の形状を注意深く設計しました。

Autodesk Fusion360で設計中のボールジョイント

いつも利用している3DプリントサービスのDMM.makeにデータを送り、待つこと四日。完成した造形物をいよいよハメてみます。毎回、この瞬間がドキドキします。頭の中で空想しながらデザインしたものが実物になって目の前にあります。それが上手くハマるか、機能するか緊張の瞬間です。

しなりのある素材を活かして、はめ込み式にしたボールジョイント部

きつめになるように設計しましたので、力を入れて押し込むと、見事「パチン」という音とともにハンドクランプにボールジョイント部が結合しました。実に爽快な気分です。

ガタつきもなく見事に一体化したハンドクランプとボールジョイント


GoPro純正品と同等の使い勝手に大満足


 クランプ式ですので、力はいりますが取り付け取り外しはワンタッチです。必要な時に必要な場所に取り付け可能なマウントは大変便利です。かなり嵩張るために、今まではサイクリングやバイクツーリング時に持ち歩かない時も多かったのですが、小型化できたことにより、気軽に持ち歩けそうです。

クリップ部のサイズが大幅に小型化できて持ち運びしやすくなった

ボールジョイント部は純正品同様に360度カメラの向きを変えることができ、さらに純正品よりも大きな角度でどの方向にも傾けられます。GoProの標準的なマウントでは難しい動きです。マウント固定後にカメラの向きを自由に変えることができるため、撮影時に画角を調整することが簡単になりました。

カメラの向きを自由に変えられるボールジョイントは便利


振動の多い場所での利用には注意が必要


 GoPro純正のJAWSフレックスクランプは内側にゴムがつけられていて、金属パイプなどでも滑らないようになっています。工作用のハンドクランプはナイロン素材のままですので、薄いゴムなどを貼り付けた方が使い勝手が良さそうです。さらに、ボールジョイント部分の固定が爪をはめ込んでいるだけですので、強い衝撃で外れる可能性も考慮して、カメラに落下防止のための紐などをつけておいた方が安心です。

自転車のハンドルに取り付けてみた自作と純正のJAWSクランプ、カメラを好きな向きにできる

これで二組のクランプ式マウントが揃いましたので、マルチカム撮影での取り付け場所が増えそうです。工作用のハンドクランプは別のサイズも売っているため、固定場所に応じたクランプに替えることもできます。市販の汎用部品と3Dプリントで無限に広がるGoProマウントの世界です。あとは迫力のある映像を撮るだけですね(それが一番難しい....)