2017年10月11日水曜日

マウントの鬼 電池交換可能なeTrexをEdgeマウントに取り付けたい


 登山用に最初に購入したハンディGPSはガーミンのeTrex SUMMIT HC(英語版)です。GPSからの電波を使用して現在の位置を地図上に表示し、気圧式高度計によりある程度正確な標高もわかりますので、登山中のルート確認が素早く正確に行えるようになりました。帰宅後に歩行ルートを確認をしたり、行動時間の確認をしたりすることも簡単に行えます。あまりの便利さに、登山にはなくてはならない装備の一つとなっていました。もちろん電池切れなどのトラブルに備えて紙の地図も必ず持参しますが、ほとんどの場合ハンディGPSだけで事足ります。その後、ロードバイクに乗り始め、サイコンの代わりに登山用のGPSをハンドルバーに取り付けて走っていたところ、二年ほどで瞬断頻発というトラブルに見舞われてしまいました。仕方がないので、自転車用にガーミンのEdge800Jを、登山用にeTrex30Jを購入して現在に至っています。

サイクリング用と登山用に買い揃えたガーミンのGPS

その後、壊れたと思ったSUMMIT HCを分解してみたら、不良箇所が判明し修理できました。現在、使えるガーミンのGPSデバイスが三つも揃っています。


Edge800Jのバッテリーがそろそろ寿命


 サイクリングで使用しているEdge800Jも購入してからそろそろ6年になります。内蔵バッテリーで連続15時間稼働できる仕様になっていますが、だいぶ劣化が進んできたようで、8時間前後でローバッテリーの警告が出るようになりました。日没後の走行が増えるこれからの季節は、バックライトを点灯しますので、さらに稼働時間が短くなります。ユーザーが内蔵バッテリーを交換できるような設計になっていませんので、自己責任で分解して交換するしかありません。一方、登山用のハンディGPSは単三電池を二本使用します。SUMMIT HCが連続14時間、eTrex30Jが連続25時間も稼働可能になっていますし、電池を交換すればずっと使い続けられます。ネットで調べてみると、長時間走り続けるブルベの参加者には、電池交換可能なeTrexユーザーが多いことがわかりました。

電池交換可能なGPSを自転車に取り付けたい

せっかく持っている複数のGPSですので、TPOに合わせて別のものを使ったり、家にある別の自転車に簡単に付け替えて活用したくなりました。


同じガーミンの製品なのにマウントがバラバラ


 複数の自転車に三台のGPSの中から好きなものを取り付けられるようにしたいのですが、問題はマウントがバラバラなことです。用途の異なるGPSの場合、最適なマウント方法が異なるのは仕方のないことですが、同じアウトドア用のSUMMIT HCとeTrex 30Jでも異なります。

同じガーミン製品でもマウント方法が全く異なる

マウントの固定方法もネジ止め、タイラップ、ゴムバンドなどバラバラです。タイラップやネジ止め式では気軽にマウントを脱着できません。

形状ばかりではなく固定方法もバラバラのマウント

どれでも取り付け可能にするためには、自転車側に複数のマウントを設けなければなりませんが、それでなくてもゴチャゴチャしがちなハンドル周りです。さらに複数の自転車で同じことをしようと思ったら、マウントの購入費用だけでもバカになりません。この方法はあり得ませんね。

EdgeとeTrexの両方が取り付けられるようにするには、二つのマウントが必要

ロードバイクに取り付けているEdge800Jのマウントは、ワンタッチで取り付け可能な上に、一度も落下事故のない実績を持っています。特殊な形状をしていますが、上手い設計だと思います。

ワンタッチで取り付けられるガーミンEdge用のマウントは良くできている


Edge用マウントに統一してしまえ


 一番良く乗るロードバイクに取り付け済みのEdge用マウントを標準にして、形状の異なる登山用GPSにはアダプターを用意することにしました。GoProなどのカメラマウントを3Dプリンターで自作したり、市販品で満足できないバイクナビのマウントを自作して実際に利用しています。「マウントの鬼」を自称していますので、今回も自分仕様のマウントアダプターをデザインしてみました。使用したCADソフトはいつものAutodesk Fusion360です。

Autodesk Fusion360で設計したSUMMIT HC用のマウントアダプター

eTrex SUMMIT HCは裏蓋に固定用パーツをネジ止めする仕組みです。ネジがインチ仕様の特殊なもののようで、新たに用意できなかったため、ガーミン純正の固定用パーツから外して流用しました。

固定用パーツのネジを外して流用

DMM.makeで3Dプリントしてもらったものをはめてみるとぴったりです。この瞬間がたまらなく快感です。見事、SUMMIT HCの取り付け部がEdge800Jと同じになりました。

3Dプリントされたアダプターを取り付けたeTrex SUMMIT HC

同様にeTrex30J用のアダプターも設計・製作しました。GPS本体の背面が湾曲しており、さらにネジなどを使用しないため、設計はかなり複雑です。同機能の市販品も見つけましたが、あまり評価がよろしくありません。きつくて一度はめたら外せないとか、落下したとか、爪が折れた等々、購入するのがためらわれます。今回は試作品で、実際に装着してみて設計を修正するつもりで作業を進めました。

Autodesk Fusion360で設計したeTrex30J用のマウントアダプター

出来上がったアダプターを装着してみたのが下の写真です。市販品では本体下方の凹部に爪を引っ掛けて固定するようになっていますが、本体裏が微妙な曲面になっているため、ぴったりと密着せず、取り付け後もガタガタします。振動の多い自転車に取り付ける場合、ガタガタが残っていると、振動でGPSが故障しやすくなることは経験済みです。GPS本体とアダプターが密着するように設計してあります。裏蓋の曲面の影響をできるだけ受けないように、アダプターの長さを極力短くしました。

3Dプリントされたアダプターを取り付けたeTrex30J

固定のために設けられた裏蓋のレールは上半分ほどにしかつけられていませんので、アダプターの長さがこの程度でも十分な強度があるはずです。


Edge用マウントにはめてみたらピッタリ


 これで持っている三台のGPSは全て同じEdgeマウント方式になりました。いよいよロードバイクに設置済みのEdgeマウントにはめてみます。出来上がったばかりのアダプターには、まだ3Dプリント時のバリが残っていますので、多少きつめですが、しっかりと固定できました。取り付け、取り外しもひねるだけのワンタッチで行えます。意図した通りの動きを見て、嬉しさのあまり声をあげてしまいました。

三つのGPSが同じEdge用マウントにしっかりと取り付けできた

単三電池二本を使用するeTrexシリーズはEdgeに比べると重量があります。1.5倍くらいになりますので、振動による脱落には注意が必要です。ガタつかないように密着していた方が安心なのですが、あまりきついと付け外しに苦労してしまいます。今回試作品のつもりでしたが、実用可能な適度な密着感となりました。

ほどよい密着感となったeTrex30J用マウントアダプター

たまに乗るMTBのハンドルバーにも、余っていたEdge用のマウントを取り付けました。アームがプラスチック製のため振動が心配ですが、太いタイヤとショックアブソーバーが付いていますので、ロードバイクよりはマシかもしれません。

余っていたEdge用マウントをMTBにも取り付け

ここに三台のGPSから好きなものを取り付けることができます。他にも折り畳み自転車がありますので、それにもEdge用のマウントを取り付けておこうと思います。三台の自転車に三台のGPSを、好きな組み合わせで利用できるようになりました。やったね(^ ^)/

アダプターを介してMTBに取り付けられたeTrex30J


 アダプターはできるだけ寸法が小さくなるようにデザインしましたので、大きさで料金が変わる3Dプリントサービスの費用も抑えることができました。金型を用意して大量生産される市販品よりも安く作れました(^ ^) アダプターの耐久性や、耐振動性能などは、これから実走行を繰り返して評価してみたいと思いますが、あまり評判の良くない市販の変換アダプターを購入せずに、自分仕様で作成したものが実際に利用できるのは嬉しいことです。しばらく使用してみて満足できるものに仕上がっていたら、他の自作マウント同様DMM.makeのクリエイターズマケーットに出品予定です。市販品を超えない価格が目標ですので期待してお待ちください。



eTrex用Edgeマウントアダプター二種を出品しました


 こちらで紹介している二つのアダプターをDMM.makeのクリエイターズマーケットに出品しました。実際に使用して気づいた点を改良してあります。使用方法や注意点も含めて最新バージョンを解説している「eTrexをEdgeマウントに装着可能なアダプター二種を出品」ページをご一読いただいた上で、ご発注ください。

(2017年10月17日追記)



取り付けと実走行テストの様子を動画にまとめました


 写真と文章だけではわかりにくい部分も動画にすると理解しやすくなると思います。設計から取り付けテスト、屋外での実走行テストの様子をショートビデオにしましたのでご参考まで。



(2017年10月24日追記)



9 件のコメント:

  1. はじめまして。
    fusion360を独学で勉強し始めたばかりの自転車好きの者です。
    いつか私もこういった設計が出来るようになりたいです。
    とても良い刺激を貰えました。
    今後もブログ更新を楽しみにしています。

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    1. コメントありがとうございます。アイディア次第で、費用面でも強度面でも実用的なものが自分で作れるいい時代になりましたね(^ ^) 自分のアイディアが他のサイクリストに役立ててもらえるなんて夢のようです。ぜひ面白いものを作って発表してください。

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  2. ETREXTOUCH35に付けていましたが購入後2回目のライド中アスファルトの荒れた部分を通過時爪が折れました。 命綱のおかげで本体は大丈夫でした。やっぱり無理があるんでしょうかねぇ

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  3. こんにちは。
    購入させていただきました。
    今日届き、早速装着しましたが、残念ながら溝が2ミリほど短く、うまくハマりませんでした。
    こちらの動画を見させていただきましたが、同様に浮いているように見受けられます。
    同様のブログも見かけます。
    元の設計図も少し溝の長さが足りないのではないでしょうか。

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  5. 先日購入しましたが他の方の指摘通り、溝が短くポン付けは出来ませんでした。しかし溝をニッパとヤスリで削って調整すれば取り付け出来ます。現物合わせしながらですので削り過ぎに注意が必要です。

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