2017年10月10日火曜日

快適動画編集 神アプリVIRB Editのバージョンアップ&徹底活用


 GPSデバイスを併用しているアクションカメラユーザーにとって神アプリとなっているガーミンのVIRB Edit。位置情報だけでなく、GPSデバイスが収集・記録する様々な情報を、動画にオンスクリーン表示できます。サイクリストの多くが使用しているガーミンのEdgeシリーズであれば、走行軌跡以外に速度・標高・気温やペダル回転数・心拍数などのデータが衛星からの正確な時刻情報と共に収集でき、さらに対応する自転車パーツを購入すれば、使用しているギアのポジションやペダルを回す仕事量(ワット)まで記録されるため、録画された動画を見る際の情報量・臨場感がまるで変わってきます。


VIRBユーザーでなくても利用可能な神アプリ


 VIRB Editはガーミン社のアクションカメラであるVIRBシリーズ用に作られた無料編集ソフトですが、動画のファイル形式が.mp4であれば読み込み可能です。さらに、GPSログファイルは.gpx.fitの拡張子が読み込めますので、ほとんどのGPS機器のデータが取り込み可能です。つまり他社のアクションカメラやGPSデバイスユーザーでも、ファイル形式さえ合えばこの無料編集ソフトが利用可能になります。GoProユーザーである私も、動画編集の際に簡単にGPSデーターをオンスクリーン表示させるツールとして今やなくてはならない存在となりました。太っ腹なガーミン社に感謝しつつ、便利に利用させていただいています(^ ^) VIRB Editを最初に使ってみた作品がこれです。よく走る周回トレーニングコースの映像に、現在位置・速度・高度・距離・ケイデンス・心拍を表示させただけですが、勾配と心拍数・速度を振り返りながらトレーニングすれば気合が入ります。

VIRB Editを使った最初の作品(クリックするとYouTube動画が再生されます)

ただし、動画編集ソフトとしては無料ツールの域を出ていません。カット編集やタイトル挿入などの基本的な機能は持っていますが、高度な編集には向きませんので、ゲージのオーバーレイ作成のみをVIRB Editで行い、編集作業はFinal Cut Pro X(FCPX)などの本格的な編集ソフトで行なっている人も多いようです。


安定した新バージョン(5.2)をインストール


 だいぶ前にバージョンが4から5に上がっていましたが、最初のリリースである5.1をインストールしたらバグだらけで、バージョン4に戻して使っていました。新バージョンで追加された機能も、360度映像が撮れるVIRB360のサポートがメインだったので、急いでバージョンアップする必要もありません。最近になって5.2がリリースされましたので、インストールしてみました。多くのバグが修正されているようで、今の所不具合は出ていません。まず目につくのが、新しいテンプレートやゲージが追加になっていることです。

モダンなテンプレートが追加になっているVIRB Edit 5.2.0

今までにないモダンなテンプレートが複数追加になっています。驚いたのは、一つのテンプレートが「データプリセット」という選択項目を使って、複数のアクティビティで共用されていることです。見た目が同じテンプレートでも、「データプリセット」項目に応じて「サイクリング」や「ランニング」用の表示項目に変わるようになっています。今までは別々のテンプレートを用意しなければならなかったので、大変スッキリしました。

 さらに驚いたのが、ゲージの大きさや傾きが変えられるようになったことです。今までは初めから「大・中・小」の大きさのゲージを別々に作っておく必要がありましたが、新バージョンではその区別がありません。必要な大きさに変えるためのスライダーが用意されました。同様にゲージの傾きも変えられます。かなり自由度が増しました。

自由にゲージの大きさと傾きが変えられる

今までは色の部分しかカスタマイズできなかったゲージですので、この新機能はかなり使えそうです。

 一番感動したのが、エクスポート(レンダリング)の速度です。今まではレンダリングにGPUを使っていなかったらしく、かなりの時間を要していました。新バージョンで数分の長さのオーバーレイ合成をレンダリングしたら、あれよあれよという間に終了しました。新機能の説明書きには見つからなかったのですが、どうもGPUを利用するようになったようです。試しにMacのアクティビティモニターで調べてみたら、ちゃんとGPUが必要だと出てきます。前バージョンでは「いいえ」となっていましたので、改善されたようです。

Macのアクティビティモニターでは高性能GPUが必要だと出てくる

今までレンダリングにかなりの時間がかかっていましたので、このGPU利用レンダリングだけでもバージョンアップした甲斐がありました。


アイディア次第で作品の可能性は無限に広がる


 Windows版にしかありませんが、既存のゲージを編集したり独自のゲージを作成したりすることも可能です。動画作品で何を表現したいのかによって、GPSデバイスが記録したデータの見せ方が変わってきます。ゲージの編集までできますので、作品の不出来をVIRB Editのせいにはできません。今まで挑戦してきたVIRB Editの面白い使い方をまとめてみました。

・伝えたいことをゲージで表現する


 自転車できつい坂を登ってゼーゼー言っている動画では、どの程度の坂なのかがわかるようにゲージを表示します。一緒にその時の心拍数を見せれば、大抵の人は意図を理解してくれます。

毎回辛い思いをしている登り坂を表現(クリックするとYouTube動画が再生されます)

VIRB Editのゲージで一つだけ不満をあげれば、グラフ表示の横軸が時間軸しか選べないことです。坂のきつさをグラフで表現するには、横軸は時間ではなく距離でなければなりません。時間のままだと、早く走れる下り坂はきつく、時間のかかる登り坂はゆるく表現されてしまいます。この横軸を距離にするオプションは現時点ではサポートされていません。

・運転中の心理状態を示すために心拍データを利用


 年甲斐もなく大型バイクに乗り始め、乗車の度に緊張の連続です。サイクリング用の心拍センサーを身につけてバイクに乗ってみたら、どんな場面で緊張しているのかが心拍データから手に取るようにわかりました。

バイク乗車中の緊張度合いが心拍からわかる(クリックするとYouTube動画が再生されます)

危険な場所や苦手な動作時に心拍が大きく上昇していました。安全運転のために自分の運転を振り返るのにも役立ちそうな動画作品が出来上がりました。

・標高と山の紅葉の進み方を表現


 オートバイで山の紅葉を見に行った時の動画に標高データを表示すれば、標高が上がるに従って紅葉が進んでいく様子が手に取るようにわかります。単純なゲージの使い方ですが、山の紅葉の映像を見ただけでは気づかないこともわかります。

紅葉の進み方が標高により変化することを表現(クリックするとYouTube動画が再生されます)

走行ルート全体と現在位置も表示できます。サーキットなどのように、誰が見てもわかるルートならこのままでも大変役立ちますが、通常はあまり意味をなしませんね。

・本物の地図にルートと現在位置を表示させる


 VIRB Editが表示してくれるルートは単純な線です。ただし、GPSの位置データを元にしていますので、その曲線は正確な移動の軌跡を示しています。そのルートに現在位置が点で表示されていますので、これが本物の地図上に表示されたら臨場感が格段に向上します。

Googleマップ上にルートと現在位置を表示(クリックするとYouTube動画が再生されます)

VIRB Editの作業手順を工夫して、GoogleマップやGoole Earthなどの画像の上にルートと現在位置を表示させてみました。ただラインとしてルートが表示されるのと比べると、今どこを走っているのかが一目瞭然です。

・同じ場所を走る映像を並べてバーチャルレース


 同じ登り坂を自転車で何度も走れば、徐々に速く走れるようになるのが普通です。毎回動画とGPSデータを記録していましたので、少しは早く走れるようになったかを検証するために、半年毎にゲージを合成した映像を並べてみました。独りバーチャルレースの開催です。

三回の登り坂映像を並べて比較(クリックするとYouTube動画が再生されます)

さらに、比較しやすいようにそれぞれの現在位置を一つの地図上に重ね、当日の最大心拍数から求めたその時点での運動強度を示すバーグラフを並べて表示しました。ゴールまでのタイムを比較した結果は、徐々に遅くなっているという悲劇的なものです.... orz

・近未来のサイクリング用ナビに導かれて


 VIRB Editによるゲージのオーバーレイと共に、Google Earth Proによるツアー動画を合成し、自転車用のナビゲーションを表現した作品です。カーナビのように速度や回転(ケイデンス)・外気温・心拍数が計器として表示されています。タッチスクリーンで操作すると、画面の表示項目が切り替わり、上空からの映像が拡大されたり、車のルームミラーのように後方視界がピクチャー・イン・ピクチャーで表示されるというシナリオです。

画面・音声などカーナビをイメージした作品(クリックするとYouTube動画が再生されます)

わざと機械的な音声をMacで作り、よくあるナビの音声を真似ています。自転車用のルートナビという想定ですが、もっと色々な状況のナビが考えられますね。


 これらの作品はVIRB Editによるゲージのオーバーレイがなければ実現できなかったと思います。イラスト作成ソフトやMotion5などのツールでゲージ自体を描くことはできますが、実際の動画に同期したゲージの動きを作り出すことは不可能です。GPSデバイスが収集したリアルタイムのデータをベースにしているからこそ、ゲージの示す数値やメーターの指針に迫力が生まれます。『優れたツールに囲まれている割に、面白い作品が見当たらないぞ』という声が聞こえてきそうですので、この辺でやめにしたいと思いますが、VIRB Editはとっても役に立つ神アプリです。太っ腹なガーミン社には感謝してもしきれません(でも製品の値段が高過ぎるぞo(`ω´ )o)。



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