2017年3月29日水曜日

故障したPMA-2000の代わりに秋月のアンプキットで音を出してみた


 マニア向けの魅力的なコンポーネント製品を作るオーディオメーカーが淘汰されてから月日が経ちました。手軽なネットオーディオ製品や携帯型の音楽プレイヤー、iPhoneなどのスマホで楽しむオーディオが全盛の今、個別コンポーネント製品を作るオーディオ専業メーカーの経営が厳しいのは理解できます。自宅で使用しているオーディオ機器も、ほとんどが10年から20年も使用している年代物ばかりです。


プリメインアンプ(DENON PMA-2000IV)が再度故障


 2003年に購入したDENON PMA-2000IVは、価格の割にしっかりとした設計と作りで、なかなか良い音を聞かせてくれます。今でもオーディオ好きに愛されているアンプのようで、中古市場でもソコソコの値段が付いています。

自宅オーディオの中心になっているアンプ(DENON PMA-2000IV)

しっかりとした材料・部品で構成されているのをうかがわせる超重量級のボディで、高級感のある作りが気に入っています。購入から8年ほど使用した2011年頃、インプットセレクターが何の操作もしていないのにカチカチと切り替わるような不具合が発生しました。スピーカー保護のため、セレクター操作時には数秒間アンプの出力が抑制されるようになっています。音楽を楽しんでいる最中に、いきなりカチッと音がして音楽が数秒間途切れるので、とてもゆったりと音楽を楽しめたものではありません。メーカの出張修理を依頼し、インプットセレクター部のロータリースイッチを交換して治りました。

 その後何の問題もなく音楽を楽しんでいましたが、2016年頃からまた同じ症状が発生。ネットで調べてみると、ここがこのアンプの弱点のようです。購入後13年以上が経過しましたので、再度の修理を依頼して使い続けるか、買い換えるか悩んでいるところです。


秋月電子のデジタルアンプキットで鳴らしてみた


 PMA-2000IVは80W+80W(8Ω)の最高出力です。これでパイオニアの3ウェイ大型トールボーイ・スピーカーをドライブしていました。

スピーカーはパイオニア製トールボーイ型(S-A77TB)を使用

代わりになるアンプを探してみたら、携帯型オーディオプレイヤーを繋いで机の上の小さなスピーカーを鳴らすために作成した秋月電子のデジタルアンプキットがありました。最高出力は1W+1W(8Ω)しかありません。

半田付けしてケースに組み込んだ秋月のデジタルアンプキット

「こんなのであのでかいスピーカーがドライブできる?」と半信半疑でDENONのアンプの代わりにスピーカーに繋いでみました。プリアンプの代わりも秋月電子のポータブルヘッドホンアンプキットです。±3ボルトの両極電源が必要ですが、とてもクリアな音でお気に入りのヘッドホンアンプです。

PMA-2000IVの代わりに秋月のキットを接続

十数万円したメーカー製のプリメインアンプから合計6千円程度の秋月電子キットに置き換えて音を出してみたら.... 何と結構いい音が出てきます。締まった低音も出ていて、歪みも感じません。心配していた音量も十分です。ボリュームを上げると大き過ぎるくらいの音が出せます。改めてスピーカーのスペックを調べてみると89dB/W(1m)の出力音圧レベルでした。このくらいの効率があれば1W+1Wのアンプでも十分な音量で鳴るんですね。驚きです。


ピュアオーディオの復権はあるか?


 少し前にパナソニックが往年のオーディオブランドであるTechnicsを復活させました。当初は100万円を超えるような価格帯の製品ばかりでしたが、だんだん手頃な価格帯の製品も揃ってきたようです。最近はターンテーブルの新製品も発表になり、いよいよアナログレコード時代の復活かと驚きました。カタログの中に”ワウ・フラッター”という言葉を見つけたときは懐かしさのあまり声が出てしまいました。日立のLo-Dあたりも復活してほしいですね。

 オーディオを始めた頃からFM放送は音楽ソースとして重宝しています。当時は選ぶのが難しいほどたくさんのチューナーが売られていました。長年エアチェックの主要機材として活躍してきたのがソニー製のAM/FMチューナー(ST-S333ESXII)です。

エアチェックに活躍したソニー製チューナー(ST-S333ESXII)

このチューナーで受信するNHK FMのベストオブクラシックはうっとりとするような音が楽しめました。残念ながら数年前にFM部が不調となり、ソニーのサービスセンターでも修理は終了しているとのことで、現在はAM専用チューナーとして使用しています。代わりのチューナーを探しましたが、当時ほとんどのオーディオメーカーにはチューナーの上位機種がありませんでした。ミニコンポのセット用として売られているものはありましたが、最高の状態でクラシックを楽しめるような性能はなさそうです。色々探してたどり着いたのがAccuphaseのT-1100です。オーディオ専門メーカーが最新のデジタル技術で設計したFM専用チューナー。大変高価でしたが、清水の舞台から飛び降りるような気持ちで購入しました。

FMチューナー(Accuphase T-1100)からSDカードに直接デジタル録音

デジタルで復調まで処理されていますので、チューナーから直接デジタル信号が取り出せます。これをSDレコーダーで記録し、聞くときにお気に入りのDACでアナログに戻します。この楽しみ方を始めて、さらにFM放送が持つ高いポテンシャルに気づきました。特にNHK FMの生放送は素晴らしいですね。ジャズもクラシックも、うっとりするような音が出てきます。こんなマニアックな楽しみ方ができるピュアオーディオ製品を作るメーカーがどんどん出てくることを願いたいと思います。



小型D級アンプ恐るべし、いつのまにか主役に


 故障したPMA-2000を修理もしくは買い替えるまでの代役として使い始めた小型のデジタルアンプですが、使ってみると何だかとってもいい音がします。半年以上も経ちましたが、未だにピンチヒッターのままで使用しています。プリアンプとして使っていたヘッドホンアンプが電池式のため、時々電池交換をするのが面倒でした。試しにデジタルアンプの入力部にボリュームを設置してみたら、何の問題もなくスピーカーをドライブできるため、ヘッドホンアンプも外しました。実に質素なシステムの完成です。

秋月のデジタルアンプ入力部にボリュームを設置してプリアンプを省略

使用している電源はガラケーについてきた5VのACアダプター(最大900mA)です。こんなもので、大型のスピーカーが十分な音量で鳴ってくれます。プリアンプ部はボリュームのみの完全パッシブ、メインアンプはD級の1W+1W仕様と、およそHi-Fiシステムとは縁遠いものですが、なぜか低音から高音まで満足できる音が出てきます。消費電力も格段に小さくなりました。小型のデジタルアンプ、恐るべしです。DENON PMA-2000IVは壊れたままリビングに鎮座し続けています。

(2017年10月6日追記)



2017年3月27日月曜日

快適バイク生活 視力検査が怖い運転免許証の更新


 家族にメガネをしているものはおらず、子供の頃から視力だけは自信がありました。原付から始まり、自動二輪や普通自動車の免許を取るときには何の不安もなく視力検査を通過。それが当たり前だと思っていましたが、そんな自慢の視力もパソコンを使った仕事の影響か、40代に入ると遠くのものが見えにくくなり、近視用メガネの助けを借りることが多くなりました。運転免許証にも「眼鏡等」の条件がつき、メガネを忘れると違反を取られるリスクが発生。この頃から運転免許の更新がなんとなく憂鬱になってしまいました。

幕張にある運転免許センター入り口


老眼が気になってきたら遠くが見えるようになった


 50代に入ると今度は近くのものに焦点が合わなくなってきました。新聞の文字が見えにくいため、焦点が合うところまで離すと、今度は文字が小さくて読めません。完全に老眼の症状です。この頃受けた免許更新時の視力検査では、メガネなしでもなんとなく見えている感じ。後日申し出て「眼鏡等」の限定を解除してもらいました。

視力検査には長い待ち行列ができる免許センターの広いロビー

ただし、両眼で0.7、片眼で0.3の視力がいつも安定して維持できているかどうかは定かではありません。パソコンやスマホを凝視した後や、体調の悪い時、部屋の明るさが足りない時などは視力も落ちているように感じます。つい先日手続きしてきた免許更新の視力検査前には十分な準備で臨みました。
  • 数日前からパソコンやスマホの利用はできるだけ控える
  • 眉間のツボを刺激して血行を良くする
  • パソコンで印刷した視力検査表を使い自宅で練習
  • 目が疲れていない午前の早い時間に受付&検査
と、こんな感じで当日を迎えました。結構な緊張が続きましたが、実際の検査は数秒であっけなく通過。これでまた三年間は「眼鏡等」の条件なしで運転できます(残念ながら二年前にスピード違反で捕まり、五年の有効期限は夢に終わりました)。


更新時講習は有益(だと思う)


 残念ながら前歴ありのため、二時間の更新時講習(違反者講習)を受講。安全運転啓発のビデオや安全性自己診断テストはいつも通りの内容ですが、最近の交通事故の状況分析や道路交通法改正の内容紹介は有益だと感じます。高齢者が関係する事故の増加は他人事では済みません。道路を逆走してくる車に遭遇したこともありますし、青信号で横断歩道を渡っている時に信号を見落とした車がすぐ横を走り去って行ったこともあります。どちらも高齢運転者マークが付いていました。

 道路交通法の改正は頻繁に行われていますが、三〜五年に一度の免許更新の時に初めてその内容を知ることも少なくありません。今回も「へ〜そうだったんだ」というものが幾つかありました。その中の一つが環状交差点の通過方法です。交差点に進入する時にはウィンカーは不要だそうです。出るときだけでいいとは知りませんでした。

環状交差点の通過方法(出典:警視庁ホームページ)

右向きの矢印信号が出ている時に、今まではUターンできなかったものができるようになったことも今回初めて知りました。今までは知らずに違反していたかもしれません。

 免許を保持している車やバイクの運転者がこの程度ですから、自転車の交通法規となると知らないで乗っている人は山のようにいるんでしょうね。少し前に改正された「自転車は車道の左側を通行」ルールは未だに徹底されていないような気がします。ロードバイクでサイクリングを楽しんでいる時に、逆走してくる右側通行の自転車に思いっきりベルを鳴らされたことがあります。

自転車は道路の左側を通行するのがルール(出典:警視庁ホームページ)

更新時講習などの情報入手機会がない自転車の利用者向けに、マスコミや学校などを通した啓蒙活動がもっと必要な気がしました。


懐かしい二輪試験場にも寄ってみた


 二時間の更新時講習を終え、お昼前に新しい免許証を入手できましたので、懐かしい二輪試験場をのぞいて見ました。

幕張免許センターにある二輪試験棟(枠内は今乗っているバイク)

残念ながら実技試験の様子は見られませんでしたが、何度もイメージトレーニングを積んだ検定コースの各課題が懐かしく思い返されます。幾つになっても実技試験というものはドキドキするもので、この望楼から見られていると思うだけで緊張しました。

見られていると思うだけで緊張した二輪試験場の望楼

 ちなみに免許センターで実技試験を受けるのなら、各県の交通安全協会がやっている二輪車安全運転講習会が超おすすめです。1万6千円(少し前まで1万5千円でしたが、今見たら上がってました)の費用がかかりますが、実際の検定コースを使って試験のポイントを教えてもらいながら、一日たっぷりと走ることができます。これを経験するかしないかでは天と地ほどの差が出ます。費用対効果を考えれば、決して1万6千円は高くはないと思います。千葉県の安全運転協会はこちら。平成29年度の講習会日程も発表になっていました。この講習で指導員から直接教えてもらった内容を元に、幕張の大型自動二輪検定コースをアニメーションで解説した動画を作成してみました。これから検定を受ける際の事前確認にお使いいただければ幸いです。


免許センターでソースカツ丼食って安全運転で帰宅


 ちょうどお昼になったので、免許センター内の食堂で昼食にしました。デミグラスソースをかけたカツ丼を注文。官公庁の食堂ですから味は推して知るべし....でした。

免許センターで食べたソースカツ丼

 大型バイクに乗り始めて三年半。その車体の大きさと重量のため、少しでもバランスを崩すとリカバリーできません。おかげで運転がやたらに慎重になったような気がします。

一時停止やカーブミラーのある場所は慎重に運転

見通しの悪い交差点でいきなり自転車や歩行者に出くわしたら、慌ててしまい立ちゴケの恐れもあります。停止線をはみ出さずに一時停止し、カーブミラーを慎重に確認してから、不用意に車体を傾けないで交差点を通過するようになりました。バイク運転中ばかりでなく、車の運転でもその癖が出ています。いい歳をして大型バイクを楽しむのも悪いことではなさそうです。


2017年3月21日火曜日

震災後六年 今年は参加したいツール・ド・東北


 東日本大震災から早くも六年が経ちました。被災地の復興を願って2013年から始まったツール・ド・東北には第一回と第二回の二年連続で参加することができました。まだかさ上げ工事も本格化する前で、地震と津波の爪痕が残る町並みを走るときには心が痛み、建ち並ぶ仮設住宅の前で一生懸命に応援してくれる地元の人々の姿に涙がこみ上げて来たのを覚えています。2015年と2016年は都合で参加できませんでしたが、震災六年後の今年は是非参加したいと思っています。


第一回ツール・ド・東北は11月開催だった


 二回目から現在に至るまでツール・ド・東北の開催日は9月中旬になっていますが、初回は11月3日でした。千葉県在住のサイクリストにとって11月の宮城県を走るのは初めてで、どんなウェアを着たらいいのか悩みましたが、この年は平年より暖かい日が多く、日中は暑さを感じるほどでした。

2013年11月3日開催の第一回ツール・ド・東北スタート直前

普段100キロ前後の日帰りサイクリングを楽しんでいましたが、イベントに参加するのは初めのため、一番短い60キロのグルメフォンドにエントリー。平坦な千葉県をマイペースで走っていましたので、高低差の多いリアス式海岸沿いを走るのにかなり不安がありました。

一番短い距離のグルメフォンドに参加

地図でルートを確認すると一番高い場所は200メートルを超えています。かなりビビりながら参加しましたが、実際には標高90メートルほどのトンネルを抜けるため、途中で足をつくこともなく、なんとか登り切ることができました。むしろルート後半にある北上川沿いの長い平坦路を、ずっと向かい風で走り続ける方が苦しかったことを覚えています。9時少し前にスタートし、12時前にはゴールしていましたので、エイドでの休憩時間も含めて60キロを約3時間で走ったことになります。周りのサイクリストに刺激されたおかげで、初心者の親父サイクリストとしては上々のペースでした。


二回目は100キロの北上フォンドにエントリー


 初回に上々のペースで走れたことに気を良くして、二回目の2014年は100キロの北上フォンドにエントリーしました。北上川を渡って海沿いを北上し、神割崎で折り返すルートです。

2014年9月14日開催の第二回ツール・ド・東北

前回参加のグルメフォンドのルートに、新北上大橋から神割崎までの往復40キロが追加されています。この一年で普段の走り込みにも力が入り、二回目に参加した100キロは初回の60キロより楽に感じました。

新北上大橋から神割崎までの往復が追加された北上フォンド


被災地の状況を目に焼き付けながら走るイベント


 車ではあっという間に通り過ぎてしまう景色も、自転車ならじっくりと目にすることができます。風を受け、周りの埃や匂いまで感じながら走れば、さらに現地の状況が身近に。被災地の状況と復興の進み具合を体で感じるにはもってこいのイベントではないかと思います。

津波で倒れたビルの横を走り抜ける(女川町)

被災地の状況はテレビで繰り返し映され、見慣れた光景のはずですが、実際にその場所に立って直に目にすると全く異なる景色に見えました。倒れたビル、折り曲げられたガードレール、舗装が剥ぎ取られた道路など、テレビの画面を通して見るものとは明らかに異なる被災地の状況です。

海岸沿いの道路は相当の被害があったと想像できる(雄勝町)

いたるところに掲げられた津波到達地点の看板を見るたびに、その時の状況を想像してしまいます。こんな高い場所まで津波に襲われたらひとたまりもありません。

信号機のすぐ下にまで達した津波の高さ(石巻市内)


イベントのルート以外にも足を伸ばしてみたい


 受付のためイベントの前日には石巻に入ります。受付自体はすぐに終わりますから、その後は翌日のルートでは走らない場所を自転車でまわってみました。甚大な被害を受けた石巻市内や海岸沿いを走り、広い更地の間に真新しい建物がポツリポツリと建っている不思議な光景を目に焼き付けました。

日和山公園から見た旧北上川と石巻湾

高台にある日和山公園から眺めた光景は忘れられません。倒れた墓地の墓石がきれいに積み上げられていました。草ぼうぼうの更地の中に、被災者を鼓舞する復興のスローガンが掲げられていました。

復興のためのスローガンが掲げられている


美味しいものを食べることも復興の応援


 第一回目にエントリーしたのが「グルメフォンド」です。なんでグルメなんだろうと思っていたら、エイドステーションに到着して納得しました。地域で愛されている郷土料理や新鮮な地元食材がてんこ盛りです。

サンマのつみれ汁とあなご飯

女川町のサンマのつみれ汁に、雄勝町のホタテ、神割崎のシーフードカレーなど、それぞれのエイドステーション毎に特色のある食べ物が提供されます。

ホタテのバター焼き

ここで初めて経験した料理も多く、地域の名物料理を知ることができました。帰宅後にネット通販で購入することもでき、少なからず地域の復興に役立つことになると思います。


宿泊場所の確保が問題


 前日の受付と、当日のスタート時間を考えるとどうしても開催日前日に現地に入り、その日の宿泊が必要になります。初回で約1,300人、直近では3,700人余りの参加者がいますので、宿泊場所は大きな問題です。近くのホテルや旅館はあっという間に予約でいっぱいになってしまいます。第二回からは地元の一般住宅に宿泊させていただく民泊や、出発地点の石巻専修大学の敷地内にテント村も用意され、選択肢が増えました。

石巻専修大学内に設置されたテント村

テント村は翌朝のスタートには便利ですが、前日の夜は美味しいものを食べて暖かい布団で体を休めたいものです。多少遠くてもいいので旅館やホテルを探しました。予約が取れたのは、一年目が南三陸町のホテル、二年目が登米市のホテルでした。どちらもスタート地点である石巻専修大学まで40キロ弱の距離がありますが、三陸自動車道の無料区間を使えば一時間かからない距離です。開催日である日曜日の早朝は、渋滞することもなく快適に石巻専修大学にたどり着けました。

第二回参加の際に宿をとった登米市には歴史的建造物がたくさん(登米町教育資料館)

多少離れた場所に宿をとってみましたが、初めて訪れた登米市には明治時代の洋風建築がたくさん残っていて、期せずしてこの土地の勉強もできました。


六年経った被災地はどうなっているだろう


 2013年に初めて訪れた石巻は、海に近い平野部には一面の更地が、内陸の高台にはいたるところに仮設住宅が広がっていました。ルート途中で並走しているはずの石巻線は、レールが流されたまま。被災地の復興を応援するために開催されたツール・ド・東北ですが、仮設住宅の前で一生懸命に声援を送ってくれる被災地の皆さんを見ながら走っていると、どちらが応援されているのかわからなくなり目頭が熱くなりました。最後に訪れたのは第二回の2014年ですから、それから三年。今はどうなっているのかを自分の目で確かめたいと思っています。5月中旬から先着順での受付のようですから、開始日を見逃さないようにしなければ。


GPSログとGoogle Earth Proでルート紹介動画


 2014年に参加した北上フォンド走行時のGPSログを元にして作成したGoogle Earth Proのツアー動画をベースにルート紹介動画を作ってみました。どんな場所を走るのか、初参加の方々にお伝えできれば幸いです。




2017年3月11日土曜日

谷津道探検サイクリング 富里から印旛沼まで江川沿いを初走行


 現在密かなマイブームとなっている高速道路沿いの探検サイクリングで、新たな谷津道のルート開拓に成功しました。首都圏から成田方面に伸びている東関東自動車道(東関道)沿いは、佐倉ICを過ぎたあたりから自動車がほとんど通らない快適な道が続きます。山を切り崩して真っ直ぐに通した高速道路本体とは違い、すぐ横の道は元々の地形そのままのアップダウンが連続していて、初心者のトレーニングにも役立つルートです。

東関東自動車道横の静かな山道

富里IC近くまで走ったところで高速道路の北側に谷津田が広がっていました。まっすぐ進めば成田空港に到着しますが、すでに経験済みのルートです。進めなくなったら戻ることを覚悟して、富里IC手前で高速道路脇を離れ、細い谷津道に入ってみました。

東関道富里IC手前にある谷津田、左に細い道が続いている

東関道は比較的わかりやすい大きな谷津をいくつも横切っています。その谷津の中を流れる河川の名称を調べてみると、四街道ICから成田ICまでの間に手繰川・鹿島川・南部川・高崎川・江川・根木名川・取香川が流れています。根木名川と取香川は利根川に流れ込んでいますが、それ以外は全て印旛沼に向かって流れている川です。今回は、今まで走ったことのない江川流域の谷津道を印旛沼に向かって走って見ました。

東関道の側道から入り込める谷津を流れる河川

東関道から離れてしばらくは、狭い谷津田の横を走る荒れた路面の農道が続いていました。ほとんど車が通らない道のようで、林の中では鳥たちのさえずりが響いています。

東関道側道からの分岐後しばらくは細い農道が続く

花見川サイクリングロードから東関道沿いにルートを変え、江川沿いの谷津道を探検してから新川(花見川)サイクリングロードに戻るまでのルートはこちらです。クリックすればルートラボのサイトで動かせる大きな地図や標高グラフが現れます。

(クリックすると動かせる地図が表示されます)

途中、JR成田線や国道51号を横断することになりますので、安全に気をつけて進みます。道に迷いそうな場所もなく、途中で舗装が途切れるようなこともなく、江川沿いに北上を続けることができました。

狭いJR成田線の踏切を越える

相変わらず大型車でいっぱいの国道51号も横断

さらに進むと、京成本線の公津の杜駅近くを通って国道464号も横断しました。そこから先は江川下流域の広い谷津田が広がり、すぐ横は成田の大規模な宅地になっています。

江川下流域は大規模な宅地の横に谷津田が広がる

この辺りまで来ると印旛沼と成田を結ぶ見覚えのあるルートが出てきます。江川に沿って進んで行くと、無事印旛沼に到着しました。甚兵衛の森と呼ばれる公園で小休止です。

印旛沼のほとり甚兵衛の森で休憩

ここは甚兵衛渡しのあった場所で、歌舞伎「佐倉義民伝」の舞台として知られています。先日、アジサイを見にオートバイで宗吾霊堂を訪ねた時に学んだ歌舞伎の人気演目です。

「佐倉義民伝」の舞台として有名な甚兵衛渡し

現在は甚兵衛大橋が架かり、渡し場はなくなっています。この甚兵衛大橋、片側一車線で歩道もなく、路側帯も狭い上に国道464号の一部となっているため大型車がひっきりなしに通っていました。自転車で走るときはいつもヒヤヒヤしていましたが、今年2月末に国道464号のバイパスが延伸し、状況が変わったようです。先月開通したばかりの真新しいバイパスを走ってみました。

広い歩道を走らせてもらった国道464号バイパス、平成29年2月竣工と書かれている

千葉ニュータウンのある印西を越えて国道16号に接続し、鎌ケ谷市まで続くバイパスで、一般道のくせに途中は制限速度が時速70キロに設定されています。その区間は原付バイクや自転車は通れませんが、側道を使えば最短距離で印旛沼や吉高の大桜までたどり着ける新ルートができました。

 ぐるっと回って最後は新川(花見川)のサイクリングロードへ戻ります。この時期の新川では河津桜が見事に咲いています。多くの見物客が訪れていますので、自転車で走り抜けるわけにはいかなくなりますが、のんびり花見を楽しみながら走るには最高の場所です。

この時期の新川の河津桜は見事

河津桜が終わると、次はソメイヨシノが楽しめる場所ですので、しばらくの間週末に走りに出かけるときは要注意です。


 高速道路沿いを使って素早くお気に入りの谷津まで移動し、その後は川沿いに広がる谷津の自然を楽しみながらのんびりとサイクリング。これからの季節にぴったりの楽しみ方になるような気がします。


2017年3月7日火曜日

快適動画編集 HD編集でもGoProの高解像度モードを活用してみる


 自転車やバイクにGoProを取り付けて、ツーリングの思い出を撮りためています。最終的にHD(1080p)で編集を行なっているため、GoProの設定も今までは1080pばかり使用してきました。撮れたままの画像をカット編集中心に仕上げているぶんには、特に不満になる解像度ではありません。問題は、一度アングルを決めたら撮影中に簡単には向きを変えられないことです。

バイクにしっかりと取り付けたGoPro、走行中カメラの向きは変えられない

振動の影響を避けるためにしっかりとしたマウントを用いてGoProを取り付けています。そもそも手の届く場所ではないため、走行中にはカメラの向きを変えることは不可能です。帰宅後に映像をチェックすると、肝心なシーンが画面の片隅に写っていたなんてこともしばしば。


GoProの高解像度画像をトリミングして使用


 写真撮影では高い解像度を活かして、写っている画像の一部を切り出して利用することが普通に行われています。今まであまり利用する機会がありませんでしたが、GoProはHD画質の1080pを超える高解像度撮影モードを持っています。

GoProはHDを超え4Kまでの高解像度撮影が可能

持っているGoProはHERO3+ Black EditionHERO4 Sessionの二台です。HERO4 Sessionは1440pまでですが、HERO3+ Black Editionは4Kまで撮影できます。ただしフレームレートは15fpsまでなので、動きの激しい被写体で4K撮影は無理。三脚に固定して風景などの撮影が限界です。最新モデルのHERO5が欲しいところですが、まだまだHERO3+も使いこなせていませんのでもう少し我慢。

 HDを超える解像度で撮影された動画の一部をトリミングして使用すれば、パンやチルト、ズームなどのフレーミング処理が編集時に可能になるのではないかと考えて実験してみました。トリミングで切り出す部分は、HDサイズを下回ることがないようにして画質の劣化を抑えます。


横幅が同じ1440pの場合は上下のチルトが可能


 1440pモードの場合は横幅がHDと同じ1920ピクセルですから、画質劣化をさせたくない場合は上下方向のみに360ピクセル動かすことができます。

1440pの場合は上下方向のチルトのみ

左右のパンができないのは少し辛いところですが、それでもアップダウンの続く山道などでは利用価値の大きな編集方法ではないでしょうか。何しろ今までは完全固定のアングルしか利用できなかったのですから。バイクのスピードメーターを見せたり、隠したりが撮影後に画質を落とさずにできます。


2.7K以上なら左右のパンやズームも可能


 HDサイズを超える縦横ピクセルを持つ2.7Kや4Kであれば上下チルト以外に左右のパンやズームイン・アウトを擬似的に作り出すことができます。

2.7K以上であればパンやズームが可能

桜並木を移動しながら満開の花の方にパンしたり、桜に近づくズームも実現できました。不要なシーンをある程度フレーム外に追い出すことも可能。アイディア次第です。

 HD解像度の画面が4個分もある4Kの場合は、さらに大きな動きを与えることができます。使っているGoProが4Kでは15fpsの低フレームレートまでしかサポートしていないため、動きのあるシーンには使えませんが、夕暮れの河川敷を撮影したシーンなどではゆっくりとパンさせたり、ズームさせれば、まるでカメラ自体を動かしているように仕上がります。

広い4K空間であれば大きなフレーミングが可能

どのケースでもHD解像度が要求するピクセル数は最低限確保していますので、大きな画質の劣化も無くフレーミング動作ができています。これは十分使えます。


FCPXでの編集も簡単(空間適合をなしに)


 ほとんどの編集ソフトがそうだと思いますが、解像度の異なるクリップをタイムラインに持ってくると自動的にサイズ調整を行なってくれるはずです。今回のように高解像度を活かしてトリミングする場合には、この自動サイズ調整は邪魔ですのでオフにします。Final Cut Pro X(FCPX)の場合は、インスペクタの下の方に出てくる空間適合のタイプを初期値の「フィット」から「なし」に変更します。

FCPX編集時には空間適合を「なし」に変更してから

するとプロジェクトで定義された解像度とは関係なく、クリップの持つ解像度でタイムラインに置かれます。あとは「変形」操作で位置や大きさを調整すれば、広い画像の一部を自由に利用できます。パンやチルト、ズームなどのフレーミングはキーフレームを使ったアニメーション処理で実現します。


活用には創造力と根気が必要...


 HD編集の際に、より高解像度の動画素材を用意すれば、編集時にフレーミングできることがわかりました。さて、これをどのように活用するか..... 創造力と根気が求められそうです。各解像度でフレーミング編集を行なった実験動画を作成しましたので、よろしければ参考にしてください。




2017年3月6日月曜日

快適動画編集 GoProのProtuneモードを初めて使ってみた


 アクションカメラもしくはウェアラブルカメラと呼ばれる分野を開拓したGoPro。三年前にHERO3+ Black Editionを手に入れてから、バイクや自転車、登山などでの撮影になくてはならないものになっています。カリフォルニアのベンチャー企業が生み出した製品のためか、スポーツシーンの撮影に多用されるためなのかわかりませんが、真っ青な青空が広がるシーンでの色合いには全く不満はありません。カメラの標準設定のままで、驚くような美しい映像が撮れます。

真夏の青空の下では標準設定のままで驚くような美しい映像が撮れるGoPro


河津桜の撮影で色の再現性に不満が


 ちょうど早咲きの河津桜が見事な時期です。バイクで鋸南町へ頼朝桜を見に行ったり、自転車で新川沿いの河津桜を見に行ったりしています。満開の桜をバイクや自転車で移動しながら撮影しましたが、どうも色の再現性に満足できません。河津桜特有の濃いピンク色が出ず、まるで普通のソメイヨシノのように見えます。使用している編集ソフト(Final Cut Pro X)で色調整できますが、無理やりピンクを強くすると全体が赤みがかってしまいとっても不自然です。

編集ソフトでピンクを強くすると全体の色合いが不自然に

この時期は春霞とか花曇りと呼ばれるような天候が多く、淡い光の中の桜のピンクが美しいのですが、GoProで撮られた映像ではそれを感じることができません。快晴の真夏に撮られた映像と比べると、全体的にボヤッとした感じです。GoProは解像度1080p、フレームレート30fpsを指定、他は標準設定のまま使用しています。河津桜の濃いピンクばかりではなく、江戸川沿いに咲き乱れる菜の花の明るい黄色にも不満を感じます。


GoPro購入後三年目にして初めてProtuneを使ってみた


 GoProには後処理することを前提とした撮影モードであるProtuneがあることは以前から知っていましたが、試してみたことはありません。今回のように編集時に色調整を行うのであれば、Protuneを試してみる価値がありそうです。前回と同じような天候の日を選び、自転車で改めて河津桜を撮影に行きました。

GoProのProtuneモードをオンに

GoProのProtuneモードをオンにすると、オプション項目が増えます。ColorはGoPro ColorとFLATが選べますので、FLATを選択。SharpnessはHIGH/MEDIUM/LOWの中からLOWを選びました。White BalanceはAUTOの他に色温度を選択する方法と画像センサーからのデータ処理をできるだけ減らしたCam RAWが選べますが、今回はAUTOで撮影しました。次回はCam RAWオプションも試してみようと思います。

Protuneモード利用時の考慮点


 GoProは新機種が出るたびにより高い解像度、より高速なフレームレートをサポートしています。持っているのはGoPro HERO3+ Black EditionとHERO4 Sessionですので、最新機種ではありませんが、現在の使用環境ではほぼ十分な性能です。使用する解像度とフレームレートは1080p・30fpsが中心です。ProtuneのOn/Offでビットレートがどうなっているのか調べて見ました。

 HERO3+ B.E.HERO4 Ses.
Protune Off20Mbps25Mbps
Protune On35Mbps25Mbps

GoPro HERO3+ Black EditionではProtuneを利用すると、圧縮率が低く抑えられているのかビットレートが上がっています。これは高画質化が期待できます。興味深いのはHERO4 Sessionで、もともとのビットレートはHERO3+ Black Editionよりも高いのですが、Protuneをオンにしても変化がないことです。追加されるオプション項目もISO LimitとSharpnessだけでしたので、HERO4 Sessionでは画質調整の自由度を上げるだけなのかもしれません。

 Protuneをオンにしてビットレートが上がる場合は、作成される動画ファイルも当然大きくなりますから、SDカードの容量には注意が必要です。ビットレートと同じ1.7倍程度のSDカードスペースを消費します。さらに電力消費も増えているようで、いつもよりバッテリー持続時間が短くなっていました。


Protuneモードで撮影した動画データは後処理が必要


 Protuneモードで撮影した動画を初めて見た時には驚きました。全体的にボヤッとして、見るに耐えられない映像です。色やシャープネスの後処理が必須な状態で記録されています。

Protuneモードで撮影したままの画像


GoPro Studioが簡単


 無料で使用できるGoPro Studioがあれば、Protuneモードで撮影した画像を簡単に利用できます。通常の操作を行なっていれば、ソフト側がProtuneであるかどうかを判断して勝手にProtune用の画像処理をしてくれます。このまま編集を行い作品に仕上げることが可能です。

GoPro Studioであれば自動でProtune用のプリセットが適用される

ボケボケだった画像も、後処理のおかげてシャープになり色も自然になりました。さすが専用ソフトという仕上がりです。ただし、細かな編集はできませんので、やっぱり使い慣れたFCPXが必要です。

後処理から作品の完成までFCPXで行いたい


 高機能で思い通りの編集が可能なFCPXを持っていますので、Protune動画データの後処理から作品の完成までFCPXを使いたいものです。FCPXが標準で持っている「色補正」や「シャープネス」エフェクトを使えば、GoPro Studioと同等の処理ができることがわかりました。ただし、毎回エフェクトを複数適用するのも面倒です。Motion5でProtune専用のFCPXエフェクトテンプレートを自作しました。

Motion5で作成したProtune用FCPXエフェクトを使えば一発

春霞の下の河津桜が綺麗に見えるように各パラメータを調整し、初期値として登録しました。合わなければパラメータを変えて好みに合わせます。試しにProtuneモードで撮影した菜の花の動画に適用して見ましたが、無調整で満足できる結果になりました。これでProtune動画の後処理から作品完成までFCPXだけで作業することができます。


奥が深いGoPro活用の道


 GoProの標準設定で撮影した映像を調整してみたり、Protuneで撮影したものをいくつかの方法で後処理した映像を比較する動画を用意しました。


 見たことのないアングルから撮影したスピード感のある映像を楽しむだけであれば、利用しなかったであろうProtuneを初めて使って見ました。固定焦点レンズであることを活用して、路傍の小さな花をマクロ撮影したりもしています。ポテンシャルの高さゆえに、アクションカメラの領域を超えて活用できそうなGoPro。コントラストやシャープネスが高めの標準設定以外も色々試して、活用の幅を広げていきたいと考えています。



Cam RAWも試してみた


 White Balance設定をAUTO以外にCam RAWも試してみました。GoProのマニュアルでは次のように説明されています。

『Cam RAWモードでは、画像センサーからの低処理データが直接得られ、後処理により正確な調整が可能になります。Cam RAWモードで収録すると、画像センサーの機能を十分活用することができます。』

AUTOよりも高画質が期待できそうな内容です。実際に撮られた画像そのままの状態で比較してみました。

White Balance設定が「AUTO」と「Cam RAW」の比較

AUTOに比べてさらに眠たい画質になります。菜の花の色がますますくすんで、色補正が大変でした。デジタル一眼レフカメラで撮影できるRAW画像とは違い、ホワイトバランスのオプションとしてのRAW設定ですので、どれだけ画質の向上に貢献できているのかは分かりません。移動しながらの撮影が多いGoProの場合は、明るさが頻繁に変わりますので、設定はAUTOの方が色補正もしやすいように感じました。

(2017年3月20日追記)



FCPX 10.4の新機能を使ってProtuneの色補正に再挑戦


 Cam RAW設定のProtune映像をFCPXだけで色補正しようとすると大変な手間がかかるため、結局GoPro Studioを使っていましたが、やはり編集時にはFCPXが使いたくなります。少し前にFCPXがアップデートされ、カスタムLUTと統合カラーホイールの機能が追加されました。FCPX 10.4の新機能を活用して、GoPro Studio無しでProtune映像の色補正に改めて挑戦してみました。結果は「これならいけそう」というものです。FCPXだけで色補正から編集まで作業が可能になり、大幅に効率がアップしそうです (^ ^)/

眠たい映像のProtune素材を最新のFCPXだけで色補正してみた

(2017年12月25日追記)