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2018年2月14日水曜日

知的好奇心も刺激してくれる谷津道探検サイクリング


 自然豊かな谷津の道を探検しながらロードバイクで走るようになってだいぶ経ちます。コツコツと開拓してきたお気に入りの谷津道ルートもかなり増えてきました。自宅のある船橋から日帰りで往復できる場所ばかりですから、見つけた快適ルートのほとんどは千葉県の上半分にある下総台地が中心です。どのルートも数キロから十数キロ程度の長さですが、それらをパズルのように組み合わせてやると意外に遠くまで安全で快適なルートが出来上がります。

下総台地の快適谷津道をパズルのように組み合わせてロングライド

九十九里浜を目指した際も、桑納川手繰川小名木川弥富川作田川それぞれの川沿いに続く谷津道を乗り継いで快適に走ることができました。ロードバイクに乗り始めた頃に使った国道126号ルートを走るのとは比べようもないほど安全で快適なルートです。これらの谷津道パズルのピースを頭の中で組み合わせながら走れば、運動中に頭を使う「脳トレ」にもなっているのではないかと密かに期待しています(^ ^)


下総台地を走り回ったら気になる地名が続々と


 地名に数字が使われるのはそれほど珍しいことではありませんし、青森県の八戸界隈のように地域内で順番に名付けられていることも良くあります。興味深いのはその名前ができた由来です。八戸の「戸」は一つ郡を九つの行政区域に分ける際に1から9までの「戸」と名付けたそうです。これは地名の由来としてはそれほど面白い事例ではありませんね。

 千葉県の下総台地を走っていても、同様に数字が使われた地名を度々目にします。周辺に畑が広がる「八街」などはその典型ですね。一時期流行った市町村合併で、8つの町が合併でもしてつけられたのだろうと安易に考えながらいつも通過していました。

広大な畑地が広がる高台の八街

 成田空港を目指す際に、北側の荒海川からアプローチすると東雲(しののめ)の丘という展望台に到着します。その辺の地名は「十余三(とよみ)」と名付けられていました。車で国道16号を走っていて、常磐道柏IC付近で「十余二(とよふた)」という地名を見たことがあります。成田市に十余三、柏市に十余二、何だこれという感じでとっても気になる事態に。

成田空港北側にある「十余三東雲の丘」展望台

 自宅のある船橋市中心部から手賀沼への谷津道ルートを開拓している時に、海上自衛隊下総航空基地周辺をウロウロしていて偶然見つけた「五香」という駅もありました。この時は特に不思議にも思いませんでしたが、その後この地域を走っていると他にも数字が入った駅が見つかりました。

偶然駅前を通りかかった新京成線「五香駅」

この地域を走る新京成線や東武野田線の駅名を調べてみると、数字を含んだ名称がたくさんあることがわかります。二和(ふたわ)向台・三咲(みさき)・五香(ごこう)・六実(むつみ)という名前の駅があります。さらに「初富(はつとみ)」という駅名も気になります。数字ではありませんが、「初」という字は順序が最初の「一」につながります。やっぱり気になる、気になる。

鎌ケ谷市を通る鉄道の駅名には数字が入ったものが多い


千葉県は江戸時代の軍馬供給地だった


 谷津地形が広がる千葉県では、川沿いの平野部は古くから水田として利用されています。平野部と平野部の間は高台になっていて、畑や樹林地帯になっています。この高台を走っていると、川も流れていない場所に土手のようなものが作られているのを目にすることがあります。史跡として看板が掲げられているものもありました。読んでみると、江戸時代に馬を放牧していた場所であることがわかります。

「牧」として馬の放牧をしていた跡がいたるところで見つかる下総台地

ネットでさらに調べてみると、江戸時代初期に軍馬を供給する拠点として、江戸に近い下総台地に幕府直轄の「牧」が作られたそうです。それが「小金牧」と「佐倉牧」の二つ。その後、三つ目の「嶺岡牧」が安房丘陵に作られ、時代が明治に変わるまで軍馬や農耕馬の供給地として活躍してきたそうです。上の写真にある「下野牧」は「小金牧」の中の一番南にある地区の名称です。

千葉県にあった三つの「牧」

広い丘陵地帯の地形を利用して野生の馬(野馬)を捕獲し、繁殖・育成することがこれらの「牧」の目的で、江戸初期から明治に変わるまで延々と続いてきたことには驚きます。今ではこの地域に野生の馬など想像もできませんが、江戸時代にはたくさんいたんですね。

下総台地をサイクリング中に見かける馬の像


明治初期の窮民対策のために牧を開墾した順番だった


 江戸幕府が倒れ、明治新政府が誕生すると、江戸周辺に生活に困窮する武士階級が大量に生まれました。これらの窮民の反乱を恐れた新政府が救済のためと銘打って行ったのが、江戸に近い「小金牧」と「佐倉牧」を廃止して開墾を行うことでした。東京府に近い「小金牧」から入植が始まり、その順番を取り入れて開墾地に名前が付けられました。「八街」は8番目の開墾地という意味で名付けられたのですね。

「小金牧」と「佐倉牧」の開墾地と順序

最初の開墾地が「小金牧」にある「初富」です。最初の開墾が上手くいって、豊かな土地となることを願って「初富」の字が当てられたそうです。柏市に「十余二」があって、成田市に「十余三」があるのも開墾の順番が理由でした。「なるほど、納得!」という感じです。

 一番遠くにある「九美上(くみあげ)」以外は、谷津道探検サイクリングの途中で走ったことのある場所です。もともと放牧地だった場所を開墾したと聞くと、思い当たることがたくさんあります。どこも谷津を流れる川から少し離れた場所で、高台になっています。水利が悪いため水田は少なく、樹林になっている場所が多かったと記憶しています。生い茂る木々を取り払い、川の少ない高台で耕作地を広げるのは大変だったと思います。米の出来高が豊かさの象徴だった時代が長年続いていた頃ですから、水田に向かない高台の開墾地で生きていくのは相当な苦労を強いられたことは容易に想像できます。今ではサイクリング中に、それぞれの地域の特産品を目にすることができるのは嬉しいことです。八街では人参や落花生の広大な畑が続いています。

「八街」の畑では落花生栽培が盛ん

富里の七栄(ななえ)周辺ではスイカが特産品となっており、毎年「富里スイカロードレース」が開催されています。給水所が「給スイカ所」と呼ばれる楽しいマラソンイベントです。お近くの方は是非参加してみましょう。

富里の「七栄」界隈はスイカの名産地


快適谷津道ルートを楽しみながら知識欲を満たす


 「小金牧」に比べて東京府から遠い「佐倉牧」では開墾地の数は少ないですが、広大な敷地を利用して天皇家の食べ物を生産する御料牧場が作られました。その敷地を利用して成田国際空港が作られたのは良く知られたことです。三里塚に作られた御料牧場記念館もサイクリング途中で訪れたことがあります。その当時は「佐倉牧」の存在など知りもせず、あまり興味は湧きませんでしたが、今ではもう一度訪れてじっくりと展示物を見学したいと思っています。

三里塚にある御料牧場記念館

現状の脚力維持が精一杯の親父ロードライダーは、ルートを決めてタイムを縮めていくような走り方は不可能ですσ(^_^;) その代わりに安全で快適な谷津道ルートを探しながら、途中で見つけた面白いものや美味しいものを頭や舌で味わいながら走り、ボケ防止も兼ねて末長くロードバイクを楽しんで行きたいと願っております。長文のお付き合いありがとうございましたm(_ _)m

※ちなみに、数字のついた千葉の地名で真っ先に思いつく「四街道」は「牧」の開墾とは無縁のようです。四つの街道分岐点が近くにあったからだそうで、ちょっとがっかりな由来ですね....



2018年1月20日土曜日

勝手に選んだ下総台地の快適谷津道ルート30選


 千葉県船橋市を拠点として房総半島をロードバイクで走り始めて8年目に入りました。輪行ではないため片道50〜70キロ程度の行程が中心ですから、走る場所は下総台地と呼ばれる千葉県の上半分がほとんどです。この台地の東側には平坦な九十九里平野が広がり、間に崖線が伸びています。この崖をはさんで面白い地形が形作られているため、自転車で走ると変化に富んだルートを楽しめます。最近の目的地はこの崖線の周辺ばかりになってしまいました。

房総半島は地形により四エリアに分けられる


必然的にたどり着いた谷津道探検サイクリング


 大きな川に作られたサイクリングロードだけでは決してたどり着けない、房総半島の崖線周辺を楽しむようになりましたが、きっかけは混雑するサイクリングロードをできるだけ避けて走りたいという単純な動機からです。サイクリングロードのある住宅地近くの河川敷は、週末ともなると大勢の人で賑わっています。歩行者の間をすり抜けながら走るのは相当気を使いました。サイクリングロードから離れてみると、今度は千葉県に多い狭い車道に苦しめられることになります。大型車同士がすれ違うと、それだけで道幅いっぱいになってしまい、自転車ですらすり抜ける余裕はありません。ロードバイクに乗り始めてからのルートの変遷についてはこちらにまとめてあります。

車道とサイクリングロードを避けて谷津道を開拓

自然豊かで安全な谷津の道を探検しながら走るようになり、ルートのバリエーションが一気に増えましたが、走り易さだけを基準にルートを選んでいるとだんだん飽きてきます。ルート途中で出会う自然の恵みや動植物、小さな酒蔵や変化のある地形など、走り以外の要素も含めて面白いルートの発掘を楽しむようになりました。

走り易さ以外にもルートに求められる重要な要素はいっぱいある

 8年間の下総台地徘徊の結果、サイクリングロードから離れた道を走ってみたいと考えているロードバイク乗りの方々にお勧めできそうなルートが多数見つかりました。完全に自分の主観σ(^_^;)でその中から30を選び、ルートに関する情報をまとめてみました。


下総台地快適谷津道マップの活用方法


 知らないルートを走ろうと思ったら地図でルートを確認したり、ネット上にあるツーリングレポートなどの記事を検索し、ルートの様子がわかる説明文や写真などを参考にすると思います。同様の情報が簡単に参照できるように、Googleマイマップをインデックス代りにしてまとめました。以下は使い方の簡単な説明です。

  1. 各地区の地図を移動・拡大して気になるルートをクリックします。
  2. 左に説明が現れますので、その中にあるルートの雰囲気紹介動画リンクをクリックすれば、YouTubeにアップしてある短い動画が再生されます。
  3. GPXファイル入手のリンクをクリックすれば、Googleドライブで該当のファイルがダウンロードできます。このGPSデータを使えば、スマホやサイコンで正確にルートをナビゲーション可能です。

スマホなどのモバイル端末で画面を通常の縦長で使用すると、Googleマイマップ説明文中のリンクが無効になるようです。お手数ですが、画面を横にして操作するか、各ルートの解説文下にあるボタンで必要な情報にアクセスしてください。

Googleマイマップから必要な情報にアクセス

Googleドライブに飛ぶと、GPXファイルのプレビュー画面になっていますので、右上のダウンロードボタンを押せばGPSデータが入手できます。ダウンロード時に勝手に.xmlの拡張子が追加されてしまうようです。結果的に.gpx.xmlになっている場合は、お手数ですが.gpxに修正してからご利用ください。

GoogleドライブでGPSデータをダウンロード

各ルートの短い解説文下にも Map Video GPS ボタン(リンク)が配置してあります。それぞれのボタンを押せば、必要な情報に一発でアクセスできるようになっています。ルートの雰囲気を紹介する動画は現在順次作成中です。 Video のように白くなっているものは準備中のため、しばらくお待ちください。



1. 手賀沼・印旛沼界隈


 大規模な住宅地や商業地区があるため、一般の車道は大変混雑します。まだまだ道路の整備が追いつかず、大型車がやっとすれ違っているような道では自転車での走行に気を使います。うまく谷津道を乗り継げば、そんな地区でも安全で快適なサイクリングが楽しめます。


1-1. 勝田川(花見川支流)沿いの谷津道


 花見川サイクリングロードから東の四街道や佐倉方面へ行く際に役立つルートです。国道16号を過ぎれば、安全で快適に走れます。ほとんど他のサイクリストに会うこともないレアなルートのようです。

1-2. 大津川沿いの谷津道


 手賀沼へのアクセスルートとして重宝する谷津道です。車も通りますので、幹線道路の抜け道として使われる週末は注意が必要ですが、他の車道に比べればはるかに走りやすいルートです。

1-3. 手繰(たぐり)川沿いの谷津道


 印旛沼から南下する時に役に立ちます。四街道から先は鹿島川沿いを走ることになりますが、そこまでは鹿島川沿いよりもはるかに走りやすいルートです。有志による谷津の保護もされており、サシバが営巣する自然あふれる場所で、多くのサイクリストに出会います。

1-4. 桑納(かんのう)川沿いの谷津道


 船橋市街地から花見川や八千代道の駅に行くのに便利なルートです。ほとんどの車道は横断のみのため安全で快適です。利用者も多く、週末は大勢のサイクリストとすれ違います。

1-5. 長作ミニ谷津


 交通量の多い県道や大規模住宅地に隣接した場所に残された、一周2キロにも満たない小さな谷津道です。周回ルートになっていて、カメラマウントや新しい装備のテストにもってこいの場所です。季節の花々も楽しめ、秋にはアケビも見つかります。

1-6. 神崎川(新川支流)沿いの谷津道


 新川の支流で手賀沼方面に伸びています。途中で方向を大きく変えて千葉ニュータウンへ向かいますので、他のルートとの接続に使うと利用価値が高そうです。

1-7. 染井入落沿いの谷津道


 走り屋が多い手賀沼農免農道から、車の多い県道を使わずに手賀沼サイクリングロードに隣接するしょうなん道の駅を目指せます。広い農道は気持ちの良い走りが楽しめます。

1-8. 将監(しょうげん)川沿いの谷津道


 利根川サイクリングロードが飽きて来たら、利根川から締め切られて湖のようになっている将監川沿いを走ってみましょう。狭くて往来の激しい車道が多い地域ですが、ここは比較的安全で快適に走れます。

1-9. 亀成川沿いの谷津道


 競走馬を育成している小林牧場の南から手賀沼付近まで続く亀成川沿いを走るルートです。この小林牧場は桜並木が有名で、春先は車が停められないほど花見客が集まります。そんな時には自転車で行きましょう。

1-10. 師戸(もろと)川沿いの谷津道


 印旛沼にかかる舟戸大橋から北の千葉ニュータウンまで続く静かな谷津道です。サイクリングロードを使わずに印旛沼にアクセスできます。印旛沼周辺が混雑する週末でもガラガラの道です。



2. 成田界隈


 道路の数が少なくなり、物流を担う主要な国道・県道に大型車が集中する地域です。これらの幹線道路を避けて走るためにも谷津道は役立ちます。同じ谷津地形の中の道でも平坦な場所の多い手賀沼や印旛沼周辺と異なり、アップダウンのある地形が楽しめます。


2-1. 木戸川沿いの谷津道


 交通量の多い県道62号(芝山はにわ道)と並走しているため、山武市から成田空港へのルートとして最適です。離着陸する飛行機を眺めながら、気持ちの良い谷津道サイクリングが楽しめます。

2-2. 根木名(ねこな)川沿いの谷津道


 木戸川ルートからさらに北上して、成田山新勝寺の参道を目指せるルートです。成田の市街地は道路が混雑して危険ですが、このルートを使えば快適に成田市中心部までアクセスできます。

2-3. 高谷川沿いの谷津道


 成田空港周辺を走る際に、大きく東側を回り込めるルートです。車道の一部になっている場所もありますが、交通量は少なく舗装もきれいで、のんびりとサイクリングできます。

2-4. 荒海川沿いの谷津道


 利根川付近から成田空港を目指す際に利用できるルートです。空港の真北にたどり着きますので、風向きにより着陸または離陸する飛行機を間近に見ながら走れます。高台の雑木林ではアケビの実も見つけられます。

2-5. 江川沿いの谷津道


 東関東自動車道路の富里IC近くから印旛沼まで走れる谷津の道です。途中JRや複数の国道を横断しますが、ほとんど車の来ない安全なルートです。印旛沼近くでは歌舞伎の演目で有名な佐倉義民伝の歴史スポットも楽しめます。

2-6. 作田川沿いの谷津道


 八街の中央を南北に走る国道409号から成東方面に抜けられる林間道と谷津道の組み合わせルートです。弥富川ルートと組み合わせれば、佐倉から九十九里平野まで繋がる長距離ルートとして活用できます。

2-7. 境川沿いの谷津道


 成東駅から八街市市内までを車の多い道を避けて走れるルートです。高台の八街付近は川が少なく、快適な谷津道も多くはありませんので、市内にアクセスできる貴重な谷津道になります。

2-8. 弥富(やとみ)川沿いの谷津道


 DIC川村記念美術館付近で鹿島川と合流する弥富川沿いの快適なルートです。佐倉市から八街市の国道409号まで車の多い道を避けて走れます。作田川沿いのルートと組み合わせて九十九里浜へのルートとして利用できます。

2-9. 高崎川沿いの谷津道


 距離は長くなりますが、成田山や成田空港まで国道51号や296号を使わずにアクセスできる快適な谷津道です。途中には美味しい蕎麦屋や酒蔵、アウトレットモールなどもあり、走り以外も楽しめます。

2-10. 勝田川(高崎川支流)沿いの谷津道


 高崎川沿いを走っていて佐倉駅に近付くと、JRに沿った裏道を抜け道代わりに使っている車が多くなり危険です。そのため佐倉駅近くをバイパスする目的で開拓したルートですが、なかなか快適な谷津道です。



3. 市原・東金界隈


 下総台地最高地点の長柄ダム界隈や九十九里平野が見渡せる東金崖線上部の昭和の森など、日帰りサイクリングの目的地として最適な場所が数多く存在します。周辺にはダム湖やため池が点在し、崖線周辺を登り降りしながらこれらの水辺を楽しむサイクリングも一興です。川沿いの谷津道ばかりでなく、高台にある林間ルートも楽しめる地域です。


3-1. 支川村田川沿いの谷津道


 東京湾から昭和の森まで行ける村田川の支流沿いの道です。のどかで快適な谷津道を進んで行くと、最後の急な登りの後に静かな長柄ダムが待っています。そこを拠点にして、東の九十九里平野や、北の昭和の森、南の高滝湖などにアクセスできるルートです。

3-2. 神崎川(村田川支流)沿いの谷津道


 支川村田川同様、村田川から長柄ダムまでつながる谷津の道です。村田川から離れてしばらくは住宅地を走りますが、その後は茂原街道までワイルドなルートが楽しめます。

3-3. 鹿島川沿いの谷津道で昭和の森


 昭和の森と佐倉市を結ぶ鹿島川沿いのルートです。広くて走り易く、さらに長い距離が楽しめます。千葉市の推奨する「若葉ルート」の一部にもなっていて、初心者でも安心して走れます。

3-4. 鹿島川沿いの谷津道で東金


 印旛沼から南に向かって源流の昭和の森付近まで続く鹿島川ですが、御成街道付近で東側の支流沿いに進むと、八街から東金まで行くことができます。このルートを使えば、狭くて大型車の多い国道126号を使わずに東金まで行けます。

3-5. 小名木川から鹿島川


 印旛沼から南に向かうルートを探していると最初に目につくのが鹿島川沿いですが、東関道までは意外に走りにくい道が続いています。すぐ横を流れる手繰川沿いの方がはるかに走りやすく、安全に四街道付近まで南下できます。そこから鹿島川を目指す際に便利なのが、鹿島川支流の小名木川です。途中、酒蔵などもあり短いながら個性豊かなルートです。

3-6. 村田川上流部沿いの谷津道


 東京湾から昭和の森南部へ続く村田川ですが、上流部には川沿いの遊歩道はなくなってしまいます。多くのサイクリストはそこから車道を走っているようですが、少し山側に入り込めば、村田川に付かず離れず車の来ない道を走ることができます。

3-7. 坂月川沿いの谷津道


 千葉市中心部を走らずに、千葉県総合スポーツセンターから国道126号の大草交差点に出ることができます。都賀の街中から国道51号のアンダーパスを抜けて、坂月川沿いを走ります。途中、国の特別史跡となった加曽利貝塚もあり、短いながら楽しめるルートです。河原では毎年のように雄のキジを目にします。

3-8. 国道126号北側の林間道


 坂月川ルートで国道126号付近まで来たら、そこから先は国道の南か北を選ぶことができます。北側の林間ルートは夏場に木陰がありがたい貴重なルートです。あっという間に鹿島川ルートに合流します。

3-9. 昭和の森から小中池


 地図ではすぐ隣に位置する昭和の森と小中池ですが、東金崖線の上と下にあり相当な標高差があります。まっすぐに行ける道は公園内の階段しかなく、自転車では走れません。北にある大網街道を車とともに一気に駆け下りるか、南側のルートで遠回りするしかありません。大回りになりますが、自然豊かな林間ルートを見つけました。

3-10. 都川沿いの谷津道


 支流である支川都川沿いは多くのサイクリストが走っていますが、本流である都川沿いはガラガラです。千葉市街地からのアクセスが悪いためだと思われますが、坂月川ルートと組み合わせれば、泉自然公園やそのさきの昭和の森までの快適ルートの一部として利用価値大です。


※情報は2018年1月20日以前のものです。



2017年12月21日木曜日

自転車で走りながらルートを組み立てる谷津道パズルは最高の脳トレ


 適度な負荷の有酸素運動が健康に良いのは疑う余地はありません。健康志向の高まりから、各地のジョギングコースやサイクリングロードは大変賑わっています。良い歳をしてロードバイクに乗り始めた我が身にとっても他人事ではありません。同じ運動をするのなら、少しでも健康面・精神面で役に立つ楽しみ方を心掛けるようになりました。

数時間も走り続けるサイクリングは典型的な有酸素運動

自分の体力に合ったペースで、数時間のサイクリングを楽しんできた日は、体も軽く夕食も美味しくいただけます。綺麗な景色を眺めながら汗を流せば、溜まったストレスも一気に発散できているようです。運動直後に牛乳をコップ一杯飲めば血液量が増加するとか、運動で骨を刺激すれば骨密度維持に役立つとか、一日中ペダルを回してふくらはぎを動かしているので第二の心臓が鍛えられるとかを信じて走っています。完全にテレビの健康番組に洗脳されているような ....σ(^_^;)


運動しながら頭を使うと脳機能が向上する?


 最近では運動機能面ばかりではなく、脳機能の維持が注目されています。「脳トレ」なる言葉とゲームソフトが流行したのは少し前ですが、今でもシニア層の関心事であることは間違いありません。体を動かしながら頭を働かせることが、脳のトレーニングとして機能の維持に有効だそうです。屋外で早歩きしながら暗算を行うことなどが、トレーニング例として紹介されています。では、サイクリングではどの程度頭を使っているのでしょう。

 車と違い、オートバイや自転車などの二輪車は走行中絶えずバランスを取る必要があります。さらに、転倒の危険が高いため、周りの状況に絶えず気を配り、安全に配慮しています。自転車で走っている間中、このことは頭の中で処理されているはずなのですが、意外に脳への負担は少ないかもしれません。慣れてくると、ほとんど意識せずに対応できるためです。

サイクリング中にどの程度頭を使っているか

走行中に、風向きや勾配の斜度、疲労度、現在時刻や日没時刻、気温などの情報を読み取り、ペース配分に反映させながら走りますので、それなりに頭を使っていますが、走行中ずっと考えているわけではありません。脳への負荷としては中くらいでしょうか。

 ロードバイクを始めた頃は、整備された大規模なサイクリングロードを中心に走っていましたが、現在では自然豊かな谷津の道を探検しながら走っています。車が少なく、色々な動植物と出会えるルートを開拓するのが楽しくて、毎回少しでも異なる道を選んで走っていますので、徐々にお気に入りの谷津道も増えてきました。

こんな快適な谷津道を探しながらサイクリング

千葉県の下総台地を中心に走り回っています。そこを流れる川の周辺に谷津地形が広がり、その中の農道が自転車で快適に走れることに気づきました。ある程度の規模がある谷津の道だけでも30箇所以上、細かいものまで含めればその何倍ものルートを走ってきました。お気に入りの谷津道30選をGoogle Earthで描いてみたのが下の図です(詳細は当記事最後にGoogleマップで紹介しています)。自宅のある船橋から、良く行く目的地に到着するまでに、これらの谷津道を複数組み合わせてバリエーションを楽しんでいます。

下総台地のお気に入り谷津道30選

出発してしばらくの間は、市街地の車道を走らざるを得ませんが、少しでも安全なルートを選び、その後は歩行者が少ない平日であればサイクリングロードを、人の多い週末は市街地の裏道を選んで郊外に向かいます。そこから先は、走行経験のある大小の谷津道をパズルのように組み合わせながら目的の場所を目指すことになります。その日の風向きや気温などでも、途中からルートを変えますので、それこそ無限の組み合わせになります。それぞれの谷津道の断片間を繋ぐルートも、危険のできるだけ少ない車道や裏道を毎回変えながら走るため、頭の中はフル回転しています(^ ^)。記憶を頼りに「ここで曲がればどこに出るんだっけ」などと自問自答しながらです。自分の走り方では、この谷津道パズルが一番頭を使っているように感じます。その証拠に、前日飲みすぎて頭の回転が悪い日には絶対に良いルートが生まれませんσ(^_^;)


寄り道・道草・道迷い どれも脳には良い刺激


 初めての場所を通る機会が増えると、思わず寄り道したくなるようなものを見つけることも増えてきます。休憩代わりにもなりますので、時間の許す限り寄り道優先で走っています。ある日、「奈良の大仏」と書かれた看板を見つけました。千葉県のど真ん中を走っているのに、「何で奈良の大仏?」との疑問が湧き、寄り道したところその地が平将門伝説の場所だと知りました。歴史の勉強にもなる寄り道サイクリングです。

千葉県の下総台地を走っていたら「奈良の大仏」の看板を発見

 自然の雑木林が多く残る谷津の道では、春先から晩秋まで食べられる木の実をたくさん見つけられます。年を追うごとに、見つけられる木の実の種類と量が増えてきました。商売でも始められそうな勢いです。イタドリからキイチゴ、ヤマボウシ、ヤマモモ、アケビ、山椒、ヤマブドウ、サルナシ、ムカゴなどなど、全部タダです。見つけた場所を記憶しておいて、翌年さらに大漁を狙うという楽しみ方をしています。谷津道パズルのルート選びの際に、季節毎の収穫場所も考慮しますのでさらに頭を使います。

サイクリング中に見つけた自然の恵み、全部タダ

 馴染みの谷津道を走っている際にも、道路が分岐している場所に出たら、時間が許す限り知らない方へ曲がるようにしています。そうすることにより、新たなルート開拓にもつながり、ますます谷津道パズルのパーツが増えることになります。

道路の分岐点では知らない方角に進む

時には知らない方角に進んで、走れないような道になってしまうこともあります。でも、車や大型バイクではなく10Kgにも満たない軽量自転車ですので、押し歩きしてさらに前進です。どうしても進めなくなったら引き返せばいいのですから。こんな荒れた道の先が、初めての面白いルートだったなんてことも結構あるため、探検サイクリングはやめられません。

走れないような荒れた道に出くわすことも多い

 気持ち良く下れそうな急坂に出くわしたら、ただ喜んで駆け下りてはいけません。帰路は必ず登りが待ち受けているからです。下りを楽しむ間も「帰りにこの勾配は登れるか?」と自問自答します。脚力も残り少なくなる帰路にこの坂は無理だと思ったら、頭の中で谷津道パズル再開です。遠回りでも勾配の緩い登りのルートを、記憶の中から探し出します。

喜んでばかりはいられない急な下り坂

 川が作った谷津地形にある道を走りますので、川沿いに進むことが多いのですが、最近はちょっと変わった新ルート開拓もしています。高速道路の側道を利用し、道路沿いに進んでみることです。東関東自動車道路を成田方面に、館山自動車道路を木更津方面に探検しながら走ってみました。途中で側道が途切れたり、アップダウンの連続だったりと一筋縄では行きませんが、地図と地形を読みながらのルート開拓は頭脳と体力フル回転です。

高速道路の側道を進んでみるのも面白い

 初めての場所を走る際に、絶えず現在位置がわかるGPSサイクルコンピューター(Edge800J)は大活躍してくれます。読図の基本は現在位置と方角の把握です。それがGPSで一挙にできてしまいますので、なくてはならない谷津道探検サイクリングのパートナーです。ただし、GPSのナビ機能は滅多に使いません。ナビしてくれるルートは車道がほとんどで、自転車がやっと通れるような谷津の道はほとんど出てこないためです。

GPSのナビは車道中心になってしまうため谷津道サイクリングには不適

Edgeシリーズではルート検索方法を「直行」にしてやれば、目的地の方向を絶えず示してくれるようになりますので、こちらの方が利用価値は高くなります。GPS機器を活用しながらも、記憶を頼りに頭の中で谷津道パズルを繰り返しながら汗を流しています。これってやっぱり運動中の脳トレに違いありません。


主観で選んだ下総台地快適谷津道30選


 国道や主要な県道は横断のみ、ロードバイクで快適に走れる谷津の中の農道か林間の舗装路という条件で、8年間下総台地を走り回って見つけたおすすめの谷津道です。アプローチの道も含めてGoogleマップにGPSデータをアップしましたので、拡大すれば詳細な道順が把握できます。あくまでも筆者の経験で選んでいますので、もっと良いルートはたくさんあると思います。皆さんで共有できたらいいですね(^ ^)

1. 手賀沼・印旛沼界隈


 沼の周辺は小さな川が多く、たくさんの谷津地形が広がっていますが、舗装されていない道も多く存在します。マウンテンバイクなどで走れば、もっと多くの場所を楽しめると思います。


2. 成田界隈


 成田空港周辺は交通量が多いため、できるだけ車道は使いたくないものです。こんな時に国道や県道と並走する谷津道は利用価値大です。飛行機を見ながら全力で走れば、気分はまるでトップガンのトムクルーズσ(^_^;) 広い九十九里浜を目指す際に、色々なルートが選べるのもこの地域の良いところです。


3. 市原・東金界隈


 東金から先は平坦な九十九里平野となり、谷津道は無くなります。牛久ー東金崖線に到るまでの丘陵地帯は変化のある楽しいルートです。国道126号(東金街道)の北側にある林間道か南側にある谷津道を使えば、車道を使わずに千葉市中心部から東金まで行けます。安全で快適です。ダム湖やため池が点在していて、それらを訪ねるサイクリングも面白いですよ〜




下総台地快適谷津道の紹介動画を鋭意製作中


 実際に走行した時のGPSログとGoPro動画や写真を使って、それぞれの谷津道の雰囲気を伝えるための動画制作に着手しました。30件もありますので、時間がかかると思いますが、出来上がったものからYouTubeで公開しています。どんなルートか知りたい場合は、ぜひ参考にしてください。(一部は過去に制作したツーリング動画をアップしてあります)

 アクセスはこちらから → 下総台地の快適谷津道紹介動画集

(2017年12月28日追記)



2017年11月4日土曜日

谷津道探検サイクリング 台風通過後の谷津の道はとってもワイルド


 記録的な10月の長雨と二週連続で週末にやってきた台風のおかげて、いつもの下総台地里山ルートを一ヶ月近くも走れませんでした。台風一過の風の弱まった日を選んで、久しぶりに東金崖線に沿って点在しているいくつかのため池やダム湖を巡ってみました。車がほとんど通らない、谷津の道を中心に走りますので、長雨と連続した台風の影響で道が荒れていることが心配されましたが、通れなければ迂回する覚悟で出かけました。


谷津の最奥部はひどい状態


 川沿いに田んぼが広がる谷津の間を通る農道は、強風で飛ばされた枯れ枝や落ち葉がいっぱいで、細いロードバイクのタイヤで走るには注意が必要です。小川に沿って上流に進んでいくと谷津の奥部に入っていきますが、だんだん農地も狭くなり、農道も荒れてきます。この日は高台から流れ出た泥が堆積し、さらに風で倒れた木が道を塞いでいました。こりゃワイルドだ〜σ(^_^;)

道は泥だらけ、倒木が行く手を遮る谷津の最奥部

もう少し進めば広い畑の中の道に出られることを知っていますので、自転車を抱えて倒木を乗り越えて進みました。とてもロードバイクで走れる状態ではありません。


低い場所では道路が冠水


 周りよりも低くなっている場所では、いたるところに水溜りができています。雨水が溜まっているだけならいいのですが、畑の泥が流れ込みドロドロ状態ですから、跳ね上げないように注意しながらゆっくりと進みます。以前、前輪がロックしてそのまま泥の中に立ちゴケしたことがありますので、慎重に走りました。

泥水の溜まった道路は走行注意

すぐ横の畑を見ると、採り入れが終わり畑で乾燥中の落花生のボッチも水浸しになっていました。千葉特産の落花生の収穫時期ですので、この大雨でダメになってしまわないか心配になりました。

畑(右側)が水浸しで乾燥中の落花生が心配


房総の地盤は落石が多いので注意が必要


 大昔に海底が隆起してできた房総半島は砂岩や礫岩、泥岩の崖が多く、雨による落石が発生しやすい地質です。車道から離れた林間の道路では、いたるところに落石注意の看板が出ています。

結構大きな落石がゴロゴロしている道もある

今にも崩れそうな切り通しの道もあり、迫力があります。見事な地層が現れているので、地層マニア?にはたまらない場所かもしれませんが、ちょっと恐怖です。

こんな切り通しの道も楽しめる


降り続いた雨でどのため池やダム湖も満水状態


 房総半島は流量の豊富な河川が少ないため、水の確保には苦労してきた土地です。そのため、灌漑用のため池がいたるところに作られています。さらに、大規模な水路で利根川の水を延々と運んでいくつかのダム湖に給水しています。この日は、訪れたどのため池やダム湖も満々と水を湛えていました。

満水の雄蛇ヶ池(水鳥は少ない)

景色が良く、静かなため池の辺りはサイクリングの休憩場所としては最適です。すぐ近くにあるため池でも、水鳥の多い池とそうでない池があるのは不思議です。心霊スポットとして有名な場所もあり、何度訪れても飽きません。

たくさんのカモが渡ってきている小中池


川沿いの空き地で立ち往生している四駆を発見


 長柄ダムを目指して村田川沿いを走っていたら、空き地のど真ん中に四輪駆動車(プラド)が停まっているのを見かけました。車道から入ってくる道もなく、タイヤが泥だらけでしたので、不思議に思い自転車を止めて様子を伺いました。ドライバーの姿はなく、タイヤが半分くらいまで泥に埋まっています。どう見ても完全にスタックしている状態でした。台風の大雨でぬかるんだ空き地に自ら突っ込んで行ったのでしょう。四駆を過信したゆえの惨状です。

なんでこんな場所に車を停めてるのという状態の四駆を発見

以前、四輪駆動のテラノに乗っていましたが、なかなかその底力を発揮する場所がなく、スキーに行った時などわざわざ不整地に飛び込んで四駆の醍醐味を楽しんだことを思い出しました。多分、この車も大雨でぬかるんだ場所に自ら突っ込んで行ったのだと思います。ここまではまれば自力での脱出は不可能でしょうから、助けを呼びに行ったのかもしれません。無理は禁物ですね。

ここまでハマれば四駆でも出られない


それでも車道を避けて走る谷津道サイクリングは面白い


 泥水を跳ね上げながらの走行ですから、泥除けのないロードバイクではいたるところが泥だらけになります。帰宅後の手入れが大変ですが、それでも車道中心のルートよりは面白いサイクリングが楽しめました。

 この季節には珍しい雄のキジを見つけたのは、農家の近くの畑です。縄張りを持つ雄は春先に毎年同じような場所で姿を現しますが、この時期に目にするのは珍しいことです。

春先には良く見つける雄のキジもこの時期は珍しい

キジがじっとして動かないので、どうしたのかと様子を伺っていたら、少し離れた場所で猫がじっとキジを見つめていました。狩りの最中だったようですが、キジは足の速い鳥です。時速35キロで走れるそうですから、猫でもなかなか捕まえるのは難しいのではないかと思います。すごい緊迫感が漂う中で、邪魔者の自転車オヤジが現れたものですから、均衡が破れてキジがそろそろと逃げ出してしまいました。きっと猫は恨んでるでしょうね〜

畑で雄のキジを見つけたら、少し離れた場所で猫がじっと狙いを定めていた

 房総の谷津を流れる川沿いは田んぼが広がっていますが、高台は畑地になっています。この時期は房総の特産品である落花生の収穫が終わり、畑に積み上げて乾燥させている最中です。落花生が積み上げられて、上にビニールがかけられたものはボッチと呼ばれています。この時期の下総台地をサイクリングしていて、あちらこちらで見かける風景です。

乾燥のために収穫した落花生を積み上げた「ボッチ」

そんなボッチ畑を見て「♬ひとりぼっちのサイクリング、畑のボッチに励まされ、マメなペダリングで落花生(楽せい)」なんて唄を歌いながら、久しぶりの下総台地谷津道探検サイクリングを楽しんできましたσ(^_^;)



2017年10月27日金曜日

こりゃ旨い アケビの次はサルナシ採りに夢中


 秋雨前線と台風の影響で雨の日が続いています。八日ぶりに朝から太陽が顔を出してくれた日に、前回のサイクリングで見つけたサルナシを採りに出かけました。少し前までは里山の谷津道でアケビ採りに夢中になっていましたが、もうそろそろ終わりの時期です。これからの季節は、ムカゴなどのフルーツとは呼べないものが中心になってきますので、もうしばらく楽しめるサルナシの自生地を見つけられたのは幸運でした(^ ^)

農道脇の藪の中で見つけたサルナシ


農道脇の藪では必ず何かが見つかる谷津道探検の愉しみ


 高台の間を流れる小川が作った谷津地形。水が豊富で、田んぼや畑としての利用価値が高いため、古くから農地として利用されています。農道がよく整備されている割に、農繁期以外はほとんど車は走っていません。こんな道を探しながらルートを広げていく谷津道探検サイクリングに夢中になっています。農道脇は手付かずの林や藪になっていることが多く、キイチゴやアケビなどの自然の恵みがいっぱい見つかる場所です。前回のサイクリングで、手賀沼付近の農道を初めて走った時に、道路脇の藪で見つけたのがサルナシでした。

こんな場所で見つけたサルナシ

その時は何の実だかわからなかったので、写真だけ撮って試食はしませんでした。帰宅後に調べてみたところサルやクマの大好物であるサルナシと判明。無性に食べてみたくなりましたが、降り続く雨で走れません。サルに先を越されたらどうしようと心配しながら、雨が止むのを待っていました。


高枝バサミを持って走りたい


 アケビもそうですが、サルナシも蔓性の植物です。他の木に巻きついて成長しますので、果実をつけているのは結構高い場所で、採るのに一苦労します。高枝バサミがあれば簡単なのですが、ロードバイクで走るのに持って行くわけにもいきません。

高い場所に生っている実を採るのは大変

台風で落ちた枯れ枝を手に持ち、精一杯体を伸ばしてサルナシの蔓に絡みつけます。派手なジャージを着たオヤジが何やら木の上のものを取ろうとしている姿を、通りすがりの人が見たら何とも怪しい光景でしょうσ(^_^;)


サルナシは毛のないミニミニキウイだった


 やっと採れたサルナシの実を眺めると、それはまさに小さなキウイです。周りに毛が生えてなく、ツルツルとしています。

形はキウイそっくりなサルナシの実

そのまま食べられるらしいので、皮をむかずにかじってみました。口の中に酸味が広がり、味はまさにキウイそのもの。まだ十分熟していないようで、かなりコリコリとした食感です。断面には黒い小さなタネが円状に並んでいて、ここもまさにキウイです。皮は薄く、毛がないのでそのまま口に入れて楽しむことができます。

かじってみたサルナシの実、断面はまさにキウイ

もう少し熟しているものも採ってみました。こちらはだいぶ柔らかくなっています。

だいぶ熟しているサルナシの実も採ってみた

かじってみると、柔らかな歯ごたえの後で、甘みのある果汁が口の中に広がりました。こりゃ旨い。まさに熟したキウイフルーツの味わいです。サルやクマの大好物というのも頷けます。

熟したサルナシはまさにキウイの味


サルナシはキウイフルーツのご先祖さま


 調べてみると、キウイフルーツは中国のシナサルナシを品種改良したものだそうです。サルナシはキウイのご先祖さまだったんですね。どうりで味や形がそっくりなわけです。さらに、シナサルナシの別名はオニマタタビ。マタタビの仲間ということは猫も好きなのか、気になるところです。

 実がついている蔓はアケビなどと比べるととても立派です。太くて丈夫な上に、腐りにくいことから、有名な祖谷のかずら橋にも使われているそうです。へ〜って感じですね。

サルナシの蔓はとても丈夫

キウイフルーツを美味しく食べるには、しばらく室温で追熟させるそうなので、採ってきたサルナシも追熟させてみようと思います。

少し硬めのサルナシの実、追熟させてみる

シナサルナシは中国では薬としても使われるそうで、サルナシの食品としての研究レポートを読んでみると、ビタミンCはキウイフルーツ同様に豊富な上に、糖度はキウイを超えているとのこと。こんなに素晴らしいものを放っておくのは勿体無いですね。11月上旬くらいまでは楽しめそうですので、これからのサイクリングではムカゴと同時にサルナシ探しにも熱中しそうです。



室温で追熟したサルナシは甘みたっぷり


 一週間ほどビニール袋に入れたまま室温に放置して追熟させてみました。少し黒ずんで見た目が悪くなっています。採った時にはコリコリとして硬かったのですが、かなり柔らかくなりました。包丁で切ってみると、さらにキウイフルーツの断面にそっくりになっています。丸ごと口に入れてみると「こりゃ旨い」と、思わず声が出ました。キウイフルーツほどの酸味がなく、甘さが際立ちます。サイクリングで見つけた自然の恵みを、こうして帰宅後にも楽しめるのはサイコーですね(^ ^)/

室温で一週間ほど追熟させたサルナシ、旨い!

(2017年11月2日追記)