2018年1月25日木曜日

快適動画編集 FCPXのワイプでルート表示アニメーションを実現


 最近精を出しているのが、自転車で走り回って見つけた下総台地の快適サイクリングルートを紹介する動画の製作です。GoProの実写映像ばかりではなく、Google Earth Proで生成したツアー動画地図上で動くルート表示などの素材と組み合わせて、できるだけルートの雰囲気が伝わるように工夫しています。動画の編集はFinal Cut Pro X(FCPX)を中心に行っています。それだけでは実現できない映像効果やFCPXテンプレートの作成のために、Motion5も追加導入しました。趣味の映像編集には十分すぎる機能を持っていますが、まだまだ知識と経験不足で、勉強しながらこれらのソフトと格闘している日々です。


Motion5ならルートのアニメーション表示は完璧


 Motion5の「なぞり書き」というビヘイビアを利用すると、描いた線に沿ってペンで書いているように表示することができます。地図映像の上にこの線を表示させれば、サイクリングルートのアニメーション表示になります。

Motion5の「なぞり書き」で出発地点からゴールまでルートを順に表示させていくことができる

ベジェ曲線を描ければ、後はMotion5のビヘイビアで簡単に動きをつけられますので、それほど難しい作業ではありません。最終的にFCPXで編集を完成させますので、Motion5から中間ファイルに書き出してやらなければならない点が面倒です。長さによってはかなりのディスクスペースも使います。

Motion5での作業は難しくはないが、中間ファイル作成の手間とHDDスペースが勿体無い


FCPXだけでルート表示のアニメーションは可能?


 ルートの形状が複雑な場合はMotion5の「なぞり書き」を使わざるを得ませんが、ほぼ一定方向にルートが伸びているような場合は、FCPXのワイプを使えばアニメーション表示ができそうです。どんな編集ソフトでも場面展開でよく使うトランジションの機能は必ず持っています。FCPXにも「ワイプ」トランジションが備わっていますので、ルートのない開始画像とルート全体が描かれた終了画像の二枚をワイプして動きをつけてみました。

上のような画像の場合は、左下から右上方向にワイプしてやればルートが徐々に表示されてアニメーションのように見えるはずです。

FCPXで二枚の画像をワイプしてルート表示アニメーションを作る

タイムラインに並べた二つのクリップ(静止画)を徐々に切り替えるだけですから、まさにトランジションの機能そのもので実現できます。ルートが途中で戻ってくるような複雑なものは無理ですが、一方法に動くだけならMotion5を使わずに簡単にできました。


ルートがオーバーレイの場合はどうする?


 地図とルートが別々に用意され、オーバーレイして使うような画像の場合もあります。別途、イラストソフトでルート有りと無しの二つの地図画像にしておけば、前の方法が使えますが、オーバーレイのままFCPXで扱う方法も検討してみました。

この場合、FCPXのタイムライン上には基本クリップとしてベース地図があり、その上に接続クリップとしてルートのオーバーレイが乗っています。前の方法と同じ「ワイプ」トランジションをオーバーレイクリップに適用すると、クリップの前後にトランジション部分が出来てしまいます。片方しか必要ありませんから、後ろのトランジション部分を削除し、前のトランジション部分の長さを調整します。
 トランジッション適用後にクリップがストーリーラインとなりますので、多少使いにくい部分もあります。クリップが独立していればいいのですが、他のクリップと隣接していると、勝手にそちら側にも適用されてしまいます。トランジションですから当たり前の動きですが、意図している作用とは異なりますので多少面食らいます。

接続クリップにトランジションを適用するとちょっと不自然に

その後、トランジションの向きと境界の幅とぼかしを調整すれば、ワイプでのルート表示アニメーションが完成です。

オンスクリーンコントロールでワイプの向きと境界を設定

それほど作業としては難しいものではありませんが、隣接クリップがある時には意図しない結果を招くことがあります。トランジションのように隣接しているクリップにも影響を与えるものではなく、目的のクリップだけに効果を与えるエフェクトとしてのワイプが欲しくなりました。


Motion5でアニメーション専用ワイプを作成


 FCPXのトランジションやエフェクト、タイトル、ジェネレータなどは大半がMotionで作成されており、標準で用意されているものを自由に変更して利用できます。標準のものを右クリックすると「コピーをMotionで開く」というメニューが出てきます。

ほとんどのトランジションやエフェクトは右クリックすると「コピーをMotionで開く」が選べるが...

ところが「ワイプ」には出てきません(泣)。標準の「ワイプ」は変更不可のようです。仕方がないので一から作ることにしました。

 先ず、回転させてもフルHD画面が収まる正方形マスクを作成します。フルHD画面の対角線の長さに相当する2,203ピクセルを一辺の長さとしました。このマスクを反転させて使い、マスクがかかっていない部分が見えるようにします。

フルHD画面より少し大きいマスクを準備して反転

マスクを必要に応じて回転させてから、縦横に移動させてワイプを実現します。マスク画像位置XとYを、二つの「ランプ」ビヘイビアで制御します。

マスク画像に「ランプ」ビヘイビアを二つ適用し、位置XとYを制御

ワイプの方向を垂直や水平から傾けてやりたいときは、マスク画像そのものを回転させるのではなく、その上位グループの回転を使います。ここがMotion5の奥深いところというか、難しいところですねσ(^_^;) こうすることによりマスク画像が動く方向も一緒に回転してくれます。レイヤー階層の異なる座標の取り扱いは慣れると面白いです。

正方形マスク画像の移動と回転は別のレイヤーで制御する

自作のアニメーション・ワイプでさらに簡単に


 オーバーレイ式ルート表示のクリップに自作の「アニメーション・ワイプ」エフェクトを適用してみました。エフェクトですので、隣接するクリップに影響を与えることもなく、安心して利用できます。ワイプの角度と境界を調整するだけで即使用可です。

エフェクトとして作成した「ワイプ」をオーバーレイクリップに適用

アニメーションの速度はクリップの長さで調整します。遅くしたい場合はクリップの継続時間を長くします。早くしたい場合は逆です。地図とルートの静止画像二枚を素材にして、FCPXだけでルート表示アニメーションの完成です。複雑なルートの動きは表現できませんが、作業効率は大幅にアップしました。


百聞は一見に如かず(実物を見てください)


 作業の手順と出来上がったルート表示アニメーションを見比べるために動画を作成しましたので、実際に見ていただければわかりやすいかと思います。


また、作成しました「ワイプアニメーション」エフェクトは他の自作FCPXテンプレートと一緒にGoogleドライブで公開してあります。Motion5をお持ちの方は、実際に中身を見ていただければ簡単にご理解いただけると思います。改良のアイディアなどがありましたら、ぜひお知らせください。



開始オフセット機能を追加しました


 ワイプする図形が画面の端の方にある場合、ワイプ効果が始まるまで無駄に時間が経過してしまうことに気付きました。ワイプの開始ポイントをオフセットできる機能を追加しました。縦方向や横方向に自在に開始点をオフセットできるようになりました。

「アニメーションワイプ」エフェクトにオフセット機能を追加

Googleドライブで公開しているファイルもアップデートしてありますので、是非お試しください。

(2018年1月29日追記)



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