2016年7月31日日曜日

YouTubeの視聴回数の動きが謎(急増した翌日からほぼゼロに)


 ブログの投稿記事の中に動画が加われば、サイクリングやバイクツーリングでの思い出を伝えやすくなります。アクションカメラで撮影した動画をブログ記事に埋め込むために、少し前からYouTubeを使い始めました。ブログからの参照が中心だと考えていましたので、それほどの視聴回数は期待していませんでしたが、アップロードした動画が増えるに従ってアクセス数もそれなりに伸びていました。

 那須岳へバイクツーリングに出かけた動画を編集していたら、帰りの東北自動車道で覆面パトカーにあとをつけられている乗用車の映像が偶然撮れていました。ブログの投稿には何の関係もありませんが、その時の映像を何気なくYouTubeにアップ。当初は、ほとんど視聴もされず忘れかけていましたが、しばらくするとなぜか投稿した動画の中で視聴回数がダントツの一位に。一日500回程度のアクセスが続きました。

YouTubeのアナリティクス画面

編集した自分でも内容に自信はありませんから低評価もいっぱいなのですが、それでも高評価とほぼ同数で完全に割れています。何がこんなにアクセスを集める理由なのか全く理解できないまま半年が経過して、総視聴回数が10万回を超えた頃いきなりアクセス数が普段の3倍の一日1500回となりました。驚いたのもつかの間、翌日からはほぼゼロに急減です。自分では何もしていないのにアクセスが瞬間的に急増し、その後は一日数回に急減。これは何が原因なんでしょう?

アクセス元などを見ても原因不明のまま

特定地域からの変なアクセスも見当たらないし、不正報告を受けた様子もありません。YouTuberとして生きていくわけではないし、自信作だったわけでもないので、視聴回数急減の原因がわからなくても困るわけではありません。しかしある程度のアクセス数が続いていたものが、急に無くなってみると寂しいものです。アナリティクス画面を見る頻度も減ってしまいました。

 そんな時にスパムに分類されたYouTubeメッセージが届いていることに気づきました。「あなたのチャンネルに興味があるから連絡先を教えて」という英文のメッセージが書かれています。調べてみるとマルチチャンネルネットワーク(MCN)なる会社からのようです。届いたのはちょうどアクセス数が急増した日と前後しています。興味がないので放置していますが、まさかMCNが何かしたのでしょうか? そうだとしても、どうすればこのようなことができるのか全くわかりません。まあこの世界は私のような素人にはわからないことだらけですので、これ以上深追いするのは諦めることにしました。ちなみに件の動画はこちらになります。


パトカーや白バイなどの警察ものは比較的視聴されやすいのでしょう。それでもバイクで偶然撮れた90秒ほどの映像を10万回も見てもらえるなんて思ってもみませんでした。これとは反対に、結構自信を持ってアップロードした作品がほとんど視聴されないケースもたくさんあります。YouTubeの世界、よくわかりません。



一年ほどしてまたアクセス急増


 一年ほどは一日数回程度の視聴という不人気状態が続いていましたが、二週間ほど前からまた一気にアクセスが増え始め、現在も増え続けています。不気味です。何がどうなるとこういうアクセスの急変を生むのでしょう?

一年ぶりにアクセスが急増中、どうして?

(2017年8月17日追記)



2016年7月26日火曜日

快適動画編集 水が流れるようなアニメーション付きの矢印ジェネレータをMotion5で作成


 先日、サイクリングと第二の心臓というタイトルの記事と動画を作成しましたが、その際に欲しいと感じた矢印があります。第二の心臓と言われる足から心臓に向かって押し上げられる血流を表現出来る矢印があればな〜と思いました。下の図のようにパイプの中を水が流れるようなアニメーションが付いたものです。Final Cut Pro X(FCPX)で編集する際に手軽に利用できるよう、Motion5でジェネレータテンプレートとして作成してみることにしました。

水が流れているようなアニメーション付きの矢印

次のような機能を持たせられれば使い勝手が良くなると思い、これを目標として着手しました。
  • 濃淡二色の流水の色と境界のコントラストを指定可能
  • 流水模様の幅を変更可能
  • アニメーションの速度を変更可能
  • 矢印外枠の有無、色、幅の指定可能

1. Motion5で「Final Cut ジェネレータ」を新規作成


 Motion5の新規作成画面で「Final Cut ジェネレータ」を選び、映像のフォーマットを指定します。継続時間はFCPXで良く使う長さを初期値として指定します。ここでは3秒としました。

新規作成でFinal Cut ジェネレータを選ぶ


2. 背景となる流水模様を準備


 縦縞模様を横に動かしてやれば水が流れるようなアニメーションが作れると考え、Motion5のライブラリから適切なものを探しました。「ストライプ」というジェネレータ、それを「オフセット」するフィルタとオフセット量を変化させる「ランプ」ビヘイビアを利用することにします。

2-1. ジェネレータ/フィルタ/ビヘイビアを適用


 新規作成時、Motion5のレイヤーリスト上には「プロジェクト」と「グループ」だけしかありません。この「グループ」の下に流水模様に必要なものをライブラリから読み込みます。キャンバスには白黒の縦縞模様が現れます。

ライブラリから流水模様に必要なものを適用

2-2. 「ランプ」ビヘイビアが適用されるパラメータを指定


 始点から終点まで徐々に値を変える「ランプ」ビヘイビアが適用されるパラメータとして「オフセット」フィルタの「横オフセット」を指定します。これで縦縞模様が横に徐々に動くことになります。

「ランプ」の適用先を指定


3. 矢印を準備


 矢印の形を決め、その中だけ流水模様が表示されるようにマスクします。さらに矢印の外枠を用意します。

3-1. 新規グループの下に矢印を配置


 「プロジェクト」レイヤーを選択してから、メインメニューの「オブジェクト」>「新規グループ」で新しいグループ「グループ1」を作成します。このグループの下に「Arrow」シェイプを配置します。その後、向きを縞模様に合わせて横方向に変え、大きさを調整します。

矢印を準備して向きとサイズを調整

3-2. 流水模様にイメージマスクを適用してくり抜く


 キャンバスいっぱいに広がっている「ストライプ」を、矢印の形にくり抜きます。「ストライプ」が含まれている「グループ」を右クリックし、出てきたメニューから「イメージマスクを追加」を選びます。

背景にイメージマスクを適用

出来上がった「イメージマスク」の「マスクソース」に、先程準備した矢印「Arrow」をドラッグしてやります。キャンバスの「ストライプ」が矢印の形にくり抜かれたと思います。

マスクソースとして矢印を指定

3-3. 矢印の外枠を準備


 この段階では矢印に外枠は付いていません。「Arrow」レイヤーをコピーしてアウトラインのみにしてやれば外枠になります。コピーされたものも非表示になっていますので、左端のチェックマークを入れて表示してやります。

矢印の外枠を準備


4. パラメータを公開


 そのまま公開するパラメータとリグ機能を経由して公開するパラメータがあります。複数のパラメータを一度の操作で変更できるようにしたり、よく使う値をポップアップリストから選択させるようにするにはリグ機能が役に立ちます。

4-1. 「ストライプ」のパラメータを公開・リグに追加


 「カラー1/2」、「サイズ」、「コントラスト」を公開またはリグに追加します。「コントラスト」はリグ経由とせず、そのままスライダを公開しても機能的には同じですが、スライダの小さな動きで大きく見え方が変わるため使いにくいパラメータです。これをリグ経由にしてコントロールしやすくします。
 各パラメータの右端に出てくる三角形をクリックするとメニューが出てきますので、そこから「公開」を選択します。先ず「カラー1」と「カラー2」を公開します。

そのまま公開するパラメータを指定

続いて「サイズ」をリグに追加します。ポップアップメニューから「リグに追加」>「新規リグを作成」>「新規ポップアップに追加」を選びます。

リグ経由のパラメータを指定

同様に「コントラスト」もリグに追加しますが、「新規リグを作成」ではなく先程作成した「リグ」を指定し、その中に「新規スライダに追加」します。

4-2. 矢印外枠「Arrowのコピー」のパラメータを公開


 「ストライプ」の「カラー1/2」同様、「Arrowのコピー」の「アウトライン」チェックボックス、「幅」スライダ、「ブラシカラー」の三つのパラメータを公開します。

4-3. 「ランプ」のパラメータをリグに追加


 流水模様の移動速度を制御する「ランプ」の「始点の値」と「終点の値」パラメータをリグに追加します。「始点の値」を既存の「リグ」の中の「新規ポップアップに追加」し、そこで出来上がった「ポップアップ1」に「終点の値」を追加します。

4-4. リグの確認と名称の変更

 ここまでの操作で「リグ」の中に「ポップアップ」、「スライダ」、「ポップアップ1」の三つのレイヤーができているはずです。この名称では内容がわかりませんので、適当な名前に変更しておきます。

リグの名前を変更

「ポップアップ」を「流水模様の幅」に、「ポップアップ1」を「流水の速度」に、「スライダ」を「流水コントラスト」にそれぞれ変更しました。

4-5. リグの内容を調整して公開


 先ずリグ「流水模様の幅」の内容を調整します。インスペクタ/ウィジェットを開くとリスト項目として「スナップショット1/2/3」の名前で三つ用意されています。名称変更ボタンを押せば表示されているリスト項目の名前を変えられます。ここでは「太/中/細」としました。それぞれのリスト項目に対応する「ストライプ・サイズ」を「240/120/60」と指定します。ここの数字はこの後の「流水の速度」と密接に関係するため、とりあえずこの値で指定してください。

リグ「流水模様の幅」を調整

 次にリグ「流水の速度」を調整します。リスト項目の名称を「高/中/低」とし、それぞれに対応する「ランプ」の始点・終点を以下のように指定します。
  • 「高」の場合  始点「0」 終点「246.8」
  • 「中」の場合  始点「0」 終点「122.9」
  • 「低」の場合  始点「11.9」 終点「61.4」
計算上はもっとすっきりとした数値になるはずなのですが、プロジェクトがループする際に流水アニメーションが不連続になってしまいました。手動で少しずつ値を変えて、不自然にならない数値を割り出したものです。理由はわかりませんが、とりあえずこれで先に進めます。

リグ「流水の速度」を調整

 最後にリグ「流水コントラスト」を調整します。元々の「コントラスト」スライダでは、0.2〜0.3くらいの小さな部分で大きく表示が変わり、微妙な調整が困難でした。この部分をリグを使用して拡大してやります。スライダの最大は1、最小は0でいいのですが4分の3の位置が0.25になるようにしました。さらに0.25前後の補完を「イーズ」として細かな指定ができるようにしました。

リグ「流水コントラスト」を調整

 これでリグの調整は完了です。リグは作成しただけでは公開されていませんので、忘れずに三つのリグを公開してください

4-6. 公開パラメータの最終確認


 ここまでで全ての公開パラメータが準備できました。確認するには「プロジェクト」レイヤーを選択して、インスペクタ/プロジェクトを開きます。各パラメータはドラッグすると順序を変えられますので、機能グループごとに分け、よく使う順序に並べ直してください。

公開パラメータの確認

さらにラベル部分をダブルクリックすれば変更できますので、わかりやすいものに変えておきます。例えば「カラー1/2」は「流水色1/2」という具合です。値はFCPXで使われる際の初期値となりますので、一番よく使う値を指定します。水の流れをイメージさせる青色を「流水色1/2」の初期値にしました。

公開パラメータのラベルと初期値を変更

5. 「プロジェクトループ終了マーカー」を設定


 中身はこれで完成ですが、このままテンプレートとしてFCPXで使用すると不具合が生じます。3秒の長さで作成したテンプレートですが、実際にFCPXで使われるときには自由に時間が変えられてしまいます。「流水の速度」としてセットした値も、FCPX側で継続時間が変えられると変化してしまうのです。Motion5で作成した時のタイミング・速度を維持したい場合は「テンプレートマーカー」を使用します。今回はFCPX側で3秒以上に引き伸ばされたときに、速度は変化させずループさせるようにします。

「プロジェクトループ終了」マーカーをアウト点にセット

「テンプレートマーカー」の一つである「プロジェクトループ終了」マーカーを初めから作成することはできません。一度アウト点にプロジェクトマーカーを作成してから、編集でタイプを変更します。


6. 最後に保存(公開)して完了


 メニューバーの「ファイル」>「保存」を選びます。テンプレート名および必要に応じてカテゴリを指定し、プレビュームービーのチェックを入れて「公開」を押します。動きのあるテンプレートですのでプレビュームービーがあるとFCPXで内容を確認しやすくなります。

最後に公開


作成したテンプレートはGoogleドライブで公開しています


 限られた画面コピーと文章のみでは不明な部分もあるかと思います。また、Motion5を持っていなくてもFCPXテンプレートだけ利用したい場合があるかもしれません。今回の分も含めて、Motion5で自作したテンプレートを公開しましたのでご利用ください。




2016年7月25日月曜日

快適自転車生活 サイクリングで鍛える第二の心臓


 登山に行けない時の体力維持のために始めた自転車ですが、いつの間にか主従が逆転してしまいました。思い立った時に自宅から手軽に出発できるサイクリングは、登山のような事前準備も登山口までの長い移動時間も必要ありません。時間があれば自転車に乗るようになり、山は年に数回程度になってしまいました。学生時代から続けている登山のお陰で体力には多少の自信はあったのですが、自転車で坂道を長時間登り続けるのは苦手です。適切なギアの選択や、ケイデンスの維持、ダンシングも含めたペダリングのテクニックなど、山歩きとは全く異なる世界でした。


急坂を登り切った後に見た「第二の心臓」の鼓動


 自転車に少し慣れてくると、平坦路ばかりでなく多少のアップダウンにも挑戦したくなります。房総半島は一番高い山でも標高400メートルほどしかありませんので一気に標高を獲得することはできませんが、小さな登り下りが連続する下総台地や房総丘陵を一日走っているとそれなりに坂道が楽しめます。最近は標高100メートルほどの長柄ダムを拠点にして、そこから色々な場所を目指して走っています。この長柄ダムへの最後の登り坂を何度も登っているうちにあることに気づきました。ほぼ最大心拍数に近い負荷をかけた後に足のふくらはぎを見ると、まるで心臓のように規則正しく鼓動しています。運動が終わって休憩している間も、呼吸が平常時に戻るまでふくらはぎの鼓動は続きました。自分の意思とは無関係に足の筋肉が勝手に収縮を繰り返しているのは不思議な光景です。これがよく言われる「第二の心臓」ではと思い、持っていたデジカメで動画に収めてみました。


詳しいことは専門家ではないのでわかりませんが、心臓が送り出した血液のうち70%は下半身に溜まっているそうです。重力に逆らってその血液をまた胸の高さまで戻すには、心臓の力だけでは足りません。歩いたり運動したりして足の筋肉が収縮すると静脈が圧迫され、丈夫な静脈弁の働きで血液が上へ上へと押し上げられます。「第二の心臓」と呼ばれる所以は、足にこういう機能があるからなんですね。歳を重ねて筋肉が衰え、あまり歩けなくなると、心臓に負担がかかるというのもうなずけます。

足の筋肉と静脈の簡略図(第二の心臓の簡略図)

この「第二の心臓」の機能を高める方法として紹介されているのは、足首を曲げてふくらはぎの筋肉を伸縮させることだそうです。それってサイクリング中ずっとやっているペダリング動作そのものでは、と気づき嬉しくなりました。なにしろ一回のサイクリングで1〜2万回以上もペダルを回しています。足のポンプはバッチリ機能しているはずです。


ロードバイク歴7年の親父ライダーは鍛えられたか?


 最近になって、GPSサイクルコンピューター(Garmin Edge800J)の記録がかなりたまっていることに気づき、データを分析してみました。7年前の夏からロードバイクに乗り始め、心拍数が計測できるEdge800Jを使い始めたのは5年前からです。その前は登山用の古いGPSを使っていたため、心拍数やケイデンスなどのデータは記録されていません。残念ながら体重や体脂肪率、血中コレステロールなどの健康診断データはどこかに行ってしまい履歴が追えません(決して見せたくないわけではありませんよ....)。でも、20年以上も前に作ったスーツが今も着れるのは体型が維持できているからなんでしょう。

月平均500キロ、年間6000キロの走行距離


 週に一回、週末に約100キロほど走っています。これで月間500キロ、年間6000キロの走行をここ3年以上続けています。同じルートを何度も走ってタイムの短縮を狙うような世界とは全くかけ離れ、谷津の農道や林道を探検しながら面白そうなルートを発掘することに喜びを感じています。そのためロードバイクに乗り始めてから7年経っても一回あたりの走行距離は伸びていません。

直近一年間の月間走行距離(2015年8月〜2016年7月)

果たして週一回程度のサイクリングが筋力の増強や心肺機能の強化につながっているのか、とても気になる点でした。

心肺機能は強化されたのか?


 長柄ダムへの登り坂を最初に走ったのは半年くらい前のことです。途中幾つかのピークで息が切れ、細切れの休憩をとりながら登りました。最近はゆっくりながらも、途中で休むことなく登りきれるようになりました。しかし、これを以って筋肉が増強したとか、心肺機能が強化されたというのは早計でしょう。走り慣れた道では事前に勾配がわかり、適切なギア比に余裕を持って変速しておけます。途中のペース配分も可能になりますので、初めての場所に比べればはるかに効率よく走ることができます。

 何か面白いデータがないか自分の記録を眺めていると、昔に比べて心拍数が落ち着いてきているように見えました。平均心拍数の記録が残っている5年前は150bpm前後の値が目立ちます。5歳も若かったからかもしれませんが、サイクリングを終えて帰宅すると疲労でばったりと倒れ込んでいたように思います。かなり無理をしていたようです。走る場所やその日の気温などによって平均心拍数も変わってきますので、一日の平均心拍数をさらに半年毎に平均して直近3年分を並べてみました。出発から帰宅まで停止時間や休憩時間も含めた平均心拍数と平均速度です。

半年毎の平均心拍数推移
誤差かもしれませんが、着実に平均心拍数は下がってきているようです。着実に走りに手を抜くようになっただけとも言われそうですが、走っている場所も距離も大きく変わってはいません。確かに帰宅後の疲労感は以前に比べるとだいぶ減っているように感じます。これってもしかして「第二の心臓」も含めた心肺機能が強化された証拠?なんてことを考えながら、シャワーを浴びて冷たいビールを飲んでおります。運動の後の冷たいビールが最高で、肝機能も強化したい今日この頃です。


2016年7月19日火曜日

快適動画編集 編集素材の作成にGoogle Earth Proを徹底活用


 サイクリングやバイクの動画編集時に、Google Earth Proで生成したツアー動画を利用しています。走行時に取得したGPS軌跡データさえあれば、ドローンから空撮したようなHD画質動画が簡単に作れます。こんなツールが無料だなんて、太っ腹なGoogleにただただ感謝するのみです。

 Google Earth Proをいろいろいじくっていると、GPSデータから作成するツアー動画はほんの一部の機能であることがわかってきました。動画編集の際に活用できる素材の作成にGoogle Earth Proはもっともっと役に立ちそうです。現時点で編集素材作成に良く利用している機能とその使い方をまとめてみました。

豊富な機能のGoogle Earth Pro


Google Earth Proのツアー動画は三種類


 ツアー動画作成時の設定を眺めると三種類あることがわかります。「フォルダ」から作成、「ライン」から作成、「トラック」から作成の三つです。前回の投稿記事で利用したのはこの「トラック」からのツアー動画作成機能でした。GPS軌跡データ(GPXかKMLファイル)さえあれば簡単に走行ルートの上空からの映像を動画にできます。さらにGPSデータに含まれる時刻情報に従ってツアーもスピードを変えますので、実写映像との同期が簡単です。実に素晴らしい素材を作成することが可能になります。この「トラック」から作成については前回の投稿記事でまとめましたので、残っている「フォルダ」と「ライン」についてまとめました。

ツアー動画を「フォルダ」から作成


 Google Earth Proでは衛星写真にいろいろなものを重ねて表示できるようになっています。その中でも「目印」と「パス」はツアー動画を作成する際の重要なアイテムになります。一つの「フォルダ」を準備し、その中に複数の「目印」や「パス」を置いてからツアー動画を作成するのが「フォルダ」から作成になります。先ず始めに「フォルダ」を準備します。

先ず「フォルダ」を追加

その中に、場所を指定する「目印」を作成していきます。マウスやナビゲーションを使って目的地を見る方向や高さ、仰角などのビューをセットしてから「目印」を追加します。ツアーの再生時には、ここでセットしていたビューの通りに表示されることがポイントです。

「目印」を追加

「目印」作成途中でビューを変更した時には、名前を指定するポップアップ画面で「表示」を選び、「現在のビューのスナップショット」を押せば最新のものが反映されます。
 これを必要な回数繰り返して、「フォルダ」の中にツアー動画に表示させたい「目印」を用意します。完了したら、準備した「フォルダ」を選択し、「ツアーを再生」ボタンを押すと、画面の下にメディアプレーヤーが表示されてツアー動画が始まります。

「フォルダ」を選択してツアー動画を開始

ツアーを確認し、これでよければメディアプレーヤー右端にある保存ボタンを押します。名前をつけるポップアップが現れますので、指定して保存しておきます。ここはツアーの定義を保存しているだけで、動画ファイルを生成するのは別のステップです。

確認したツアーの名前を指定して保存

ツアーの保存が終わったら必ずメディアプレーヤーを閉じておきます。これを忘れると後述の「動画メーカー」が起動できません。

ツアー動画を「ライン」から作成


 「目印」が含まれた「フォルダ」のツアー動画は、複数の目的地間を順番にジャンプしていく動画になります。目的地間は上空にジャンプしますが、水平方向には直線移動するだけです。「パス」を作成して、そこからツアーを再生するとパスで指定された「ライン」に従って移動します。単純な二地点間のジャンプではなく、任意の移動を実現できます。

「パス」を追加

高度や方位、仰角などのビューをセットしてから、マウスで連続したポイントをクリックしていけば完成です。「目印」と同じように名前を指定して保存してやります。途中でビューの変更をする場合も「目印」の時と同じ手順で反映できます。作成した「パス」を指定してツアーを再生すれば「ライン」からのツアー作成になります。再生の際にこの「パス」を見えないようにしたい場合は、左側のチェックボックスを外せば見えなくなります。見えなくてもツアーは正しく「パス」に沿って実行されますので安心してください。

「パス」だけを指定してツアーの再生

先ほど準備した「フォルダ」の中に「目印」と一緒に「パス」を入れ、「フォルダ」を指定してツアーを再生することもできます。その場合は「フォルダ」のツアーの間に「ライン」が実行されることになります。

ツアー再生時に影響を与えるパラメータ


 「フォルダ」、「ライン」、「トラック」それぞれのツアー作成時の動作を指定するパラメータが準備されています。Macの場合はメインメニューの「Google Earth Pro」>「 Preferences」から、Windowsの場合は「ツール」>「オプション」で設定画面が表示されます。ここで「ツアー」を選択すれば以下の画面になります。

Google Earth Proの設定画面(Macの場合、イラストは説明用に追加)

「フォルダ」からのツアー作成時のオプション:
  • アイテム間の時間次の目的地へ移動する時間
  • アイテムでの待機時間目的地で止まっている時間
  • ラインに沿ってジャンプチェックすると「パス」に沿ってジャンプ
「ライン」からのツアー作成時のオプション:
  • カメラの傾斜角度真下がゼロ、そこからのカメラの角度
  • カメラ高度地上からの高さではない、「目印」からの距離
  • 速度ライン上を移動する際の速度
「トラック」からのツアー作成時のオプション:
  • 速度GPSの時刻データの何倍速でツアーするかを指定
ツアー動画の見え方に影響を及ぼすパラメータはこのくらいかと思います。三つのツアーのタイプがありますが、ここのパラメータはそれぞれのツアーで独立して機能するわけではないようです。例えばGPSデータを使った「トラック」からのツアーを再生中でも、「ライン」の「カメラの傾斜角度」や「カメラ高度」の指定は有効です。「カメラ高度」の指定が、予測していた動きと異なっていたため悩みました。当初は地上からカメラまでの垂直距離だと信じ込んでいましたが、どうも「目印」もしくは画面中央部からカメラまでの直線距離のようです。「カメラ高度」を一定にしたまま、「カメラの傾斜角度」を変えてみるとGoogle Earth Proの画面に表示される高度が変わることで気付きました。(この推測は現バージョン7.1.5.1557でのものです)

 これらのパラメータを調整して、利用目的に合ったツアーを準備していきます。「カメラの高度」を高く(長く)して広域を一度に見せたり、「カメラの傾斜角度」を大きく(水平に近く)して地形の高低差を強調したりできます。これだけ広い地域を俯瞰した映像は自分ではとても撮影できませんので、Google Earth Proの画像は役に立ちます。

動画メーカーでムービーファイルに書き出し


 動画編集用の素材にするには、最後に動画ファイルへの書き出しが必要ですが、実際の書き出しの前に是非行っていただきたいことがあります。保存されたツアーに従って動画が書き出されるのに先立ち、現在表示されているビューからツアー最初のビューまで画面が移動していきます。この画面移動も動画の最初に書き出されますので、これをうまく使いこなしましょう。

目的地が房総半島のどのあたりかわかるように画面を思いっきり引いてスタート

マウスや右上にあるナビゲーションを使って、画面を適当なところまでズームアウトしておきます。この状態で動画メーカーを起動します。メインメニューから「ツール」>「動画メーカー」を選択します。ここで「動画メーカー」がグレーアウトされて選べない場合、ツアー再生中に画面左下に表示されるメディアプレーヤーが閉じられていない可能性があります。

「動画メーカー」をスタートします

保存されたツアーを選択するポップアップが現れます。この画面で解像度、FPS、保存先を指定します。続いて動画ファイルの圧縮方法を指定する画面になりますので、利用目的に合った圧縮方法とフレームレートを指定してください。

動画の圧縮方法を指定

指定内容によっては極端に時間がかかったり、ファイルサイズが巨大になることがあります。メインの画面として使うのか、補足的にPinPで使うのかなどで画面サイズや圧縮率、フレームレートを変えてやりましょう。


高画質静止画の生成も可能


 ツアー動画の作成のみならず、4800 x 2831画素の高精細画像を出力することもできます。4K動画編集での利用も可能な細かさです。画像保存ボタンを押すか、「ファイル」>「保存」>「イメージを保存」を選択します。解像度の指定ができますので、編集する動画に合わせて指定します。

高精細な画像の保存が可能

タイトルや凡例が指定できますが、不要な場合は消すことも可能です。必要な場所を任意の方位、角度で画像にできます。さらに「目印」や「パス」、GPSデータからの「トラック」なども一緒に入れることも可能です。目的の画像になったら、保存ボタンを押せばJPEGファイルが作成されますので、動画編集時の素材として利用します。

タイトルや凡例の表示・非表示を指定可能

自転車のGPS機器で作成された軌跡データには位置情報以外に高度や心拍数、ケイデンスデータなどが含まれています。Google Earth Proでは読み込まれたトラックデータに含まれたこれらの追加情報をグラフに表示できます。読み込んだトラックを右クリックするとメニューが出ますので、その中にある「高度プロファイルを表示」を選択します。高度データ以外もある場合はグラフの上部にあるタブが増えますので、タブをクリックして表示・非表示を切り替えます。一度に二つのデータまで表示できるようです。

高度や心拍などの位置情報以外もグラフ表示可能

もともとGoogle Earth Proが持っている道路や県境、都市名などの表示・非表示を切り替えながら目的に合った編集素材が準備できると思います。

 房総半島全景を見渡せる上空から一気に高度を下げ、出発地をズームイン。その後走行したパスに沿って上空を移動し、目的地の指定場所に向かって再度ズームイン。目的地周辺の観光スポットを上空からの静止画像を使って解説、というようなシナリオに沿った素材の準備がGoogle Earth Proでできてしまいます。衛星写真の画質が向上したおかげで、まるで航空写真やドローンからの実写映像のように見えます。高い柔軟性と画質を兼ね備えたツールですので、持てる機能を余すところなく利用していきたいものです。



オープニングに「フォルダー」のツアー動画を使ってみた


 サイクリング途中でしばしば立ち寄る癒しスポットの紹介のため、Google Earth Proで作成した「フォルダー」からのツアー動画素材を作品のオープニングで使用してみました。ただの地図では表現しきれない、房総半島の中での位置やその場所の雰囲気まで伝わるオープニングに仕上がったのではないかと自負しています(^ ^)


こんな動画素材が無料で作れるなんて、やっぱりGoogle様様です。ネットの高収益企業はありがたい存在ですね。

(2017年6月26日追記)


2016年7月16日土曜日

快適動画編集 基本枠線の機能も兼ねた吹き出しエフェクトをMotion5で作成


 動画編集を続けていると、ある程度定型的な編集テクニックを使用することが多くなってきます。ピクチャーインピクチャー(PinP)機能を利用して主画面に補足を加えるような編集方法はその中でも常連です。このPinP画面には外側に枠をつけて主画面との境界をはっきりさせたいのですが、Final Cut Pro X (FCPX)付属の基本枠線エフェクトにはバグがありました。中の画像をクロップすると、枠線が消えてしまうという致命的なものです。そのためMotion5を使用してクロップ対応の基本枠線エフェクトを作成しましたが、まだ完全に意図した通りの動きにならず、静止画像などではうまく働きません。

 PinPをより説明的な目的で使用するために、吹き出しの中に画像を表示させたくなりました。これをFCPXのエフェクトテンプレートとして作成すれば編集作業がはかどるため、Motion5で自作に挑戦してみました。

FCPXから使用出来る「吹き出し画像」エフェクトを作成

設計時の目標は以下の通りです。引き出し線を消してやれば、基本枠線エフェクトと同じ見え方になります。これが完成すれば、縦横比は固定ですが、うまく働かなかった枠線付き静止画像のクロップ処理にも使えます。
  • 最も良く利用しているサイズ(40%)に自動調整
  • 縦横比は良く使うフルHDと同じで固定
  • 引き出し線を上下左右に配置可能
  • 引き出し線の向き(傾き)と長さの調整が可能
  • 引き出し線のみ消すことが可能
  • 枠線の幅の調整が可能
  • 色の変更が可能
  • 画像の拡大と上下左右のパンが可能


Motion5で吹き出し画像エフェクトを作成


 快適動画編集シリーズの前回までの投稿では、Motion5のすべての手順が網羅できるように画面イメージと説明文を掲載していました。今回は作業手順が多く、記事の内容が膨大になってしまいますので、Motion5の基本操作は理解しているという前提で進めていきたいと思います。エフェクトの適用順序や対象、パラメータの活用でどのように汎用性を持たせるかというアイディアの紹介を中心にしています。

1. Final Cut エフェクトの作成を開始


 Motion5を起動し、新規作成から「Final Cut エフェクト」を選びます。普段使う画像フォーマットを指定し、継続時間はとりあえず3秒にしました。下のような画面に変わりますが、レイヤーリストには「プロジェクト」、「グループ」、「エフェクトソース」の三つが最初にできています。一番下の「エフェクトソース」がFCPXでエフェクトを適用された時の画像になります。

作成初期は黄色で囲んだ三つのレイヤーのみ、あとは自分で追加して行く

今回は動きが伴うエフェクトではありませんので、時間軸を制御するタイムラインは非表示にしています。

2. 「エフェクトソース」を調整


 FCPXでこのエフェクトが適用された時の初期値として画像(エフェクトソース)の大きさを40%にします。今までは毎回手動で調整していたのですが、こうしてやればサイズ調整はエフェクトを適用した途端に完了します。

 次に画像を拡大した時に、吹き出しの枠からはみ出す部分をマスクします。「エフェクトソース」レイヤーを右クリックし、出てきたメニューから「イメージマスクを追加」を選びます。必要なマスクソースは後から準備しますので、とりあえずここはそのままにして次に行きます。

「エフェクトソース」にイメージマスクを追加

3. 「吹き出し」部分の作成


 「エフェクトソース」と同じレベルで、上に重なる形で吹き出し部分を作成します。複数のレイヤーやエフェクトが入りますので、先ず「吹き出し」グループを作成しておきます。矩形と直線の作図ツールを使って「エフェクトソース」のサイズに合うように「吹き出し」を完成させます。

グループとして「吹き出し」を作成

矩形は先ずアウトラインのみで、後ろの「エフェクトソース」が見える状態で作成します。完成したら、コピーしてアウトラインなしの塗り潰しのみにします。このレイヤーは非表示にしておきます。
 引き出し線はライン(直線)描画ツールで三角形を描きます。拡大縮小、反転などの処理対象となりますので、アンカーポイントを一番端(上図では一番上)にしておきます。

4. 「エフェクトソース」のマスクにソースを指定


 先ほどの「エフェクトソース」を調整のところで準備したマスクにソースを指定します。「吹き出し」部分作成の際に「矩形のコピー」として作成し、非表示にしてあるレイヤーをマスクソース部分にドラッグしてやればOKです。

「エフェクトソース」のマスクソースを指定

これでPinP内の画像を拡大しても「吹き出し」からはみ出した部分はマスクされて見えません。これでクロップ対応の基本枠線と類似の機能を実現できました。

5. 「吹き出し」に「カラー化」フィルタを適用


 白色で作成した「吹き出し」に自由に色をつけることができる「カラー化」フィルタを適用します。白のリマップを変更することにより他の色に変わります。フィルタを「吹き出し」グループに適用することにより、「矩形」と「引き出し線」の両方を一度に変更しています。

「吹き出し」に「カラー化」フィルタを適用

6. 「上下/左右反転」フィルタを使って引き出し線の向きと場所を可変に


 引き出し線が伸びて行く方向や、画面の上下左右のどこから出てくるかを変えられるようにします。先ず「引き出し線」レイヤーに「上下/左右反転」フィルタを適用し、方向を「左右」にします。
「引き出し線」の向きを左右反転できるようにする

続いて、同じ「上下/左右反転」フィルタを「吹き出し」全体のグループに適用します。反転方向を「上下」にセットすれば完了です。これで引き出し線は上と下に出せるようになりました。

「吹き出し」グループを上下に反転できるようにする

7. FCPXへ公開するパラメータを指定


 初めの設計目標を実現するためには多くのパラメータを公開する必要があります。
  • 引き出し線が出る場所の切り替え「吹き出し」グループの上下/左右反転
  • 引き出し線の出る向きの切り替え「引き出し線」の上下/左右反転
  • 引き出し線の出る位置の調整「引き出し線」の変形.位置X
  • 引き出し線の長さの調整「引き出し線」の変形.調整
  • 引き出し線の表示・非表示指定「引き出し線」の塗り潰し
  • 画像の枠線幅の調整「矩形」のアウトライン.幅
  • 吹き出し全体の色指定「カラー化」の白のリマップ
  • 画像の拡大「エフェクトソース」の変形.調整
  • 画像のパン(X/Y)「エフェクトソース」の位置.X/Y
これらのパラメータを直接公開しても必要な機能は実現できますが、数値指定のものがあったり、最大値・最小値を決めてはみ出さないようにしたいものなどが含まれています。このような場合、一度リグに登録してコントロール方法と最大・最小を決めてから公開すればより使いやすくなります。

 枠の中の画像は大きくすることはあっても小さくすることはありませんので、3倍を最大とする拡大のみをスライダーで調整できるようにリグを設定してあります。引き出し線の位置調整はパラメータを直接いじると枠線から外れてしまいますので、枠線の範囲内で左右に動くようにリグで最大値・最小値を制限しています。他に画像のパン(X/Y)もスライダーが使えるようリグ経由としました。

リグを使うとコントロール方法をきめ細かに設定可能

 「プロジェクト」のインスペクタを開くと、公開されている全パラメータが表示されます。内容のわかりやすいラベルに変更するとともに、使用する際の初期値をここで指定しておきます。

最終的に公開されたパラメータ

8. 最後に適切な名前をつけてFCPXへ公開


 ここまでで出来上がったエフェクトは、引き出し線が上下に出てくる吹き出しです。目標では左右にも出ることとなっていましたが、この段階では実現できていません。一つのエフェクトに上下左右をまとめようとすると、どうしても余計な公開パラメータが増えてしまったため諦めました。ここで作ったものを「吹き出し画像(上下)」という名前で公開し、左右用は「吹き出し画像(左右)」という別エフェクトとして作成しました。ちょっとズルをしましたが、使う際の手順はその方が少なくできそうです。一つのエフェクトにまとめるうまい方法がありましたら、ぜひご教授ください。Motion5初心者にはとりあえずこれが限界でした。

 「引き出し線」のみを非表示にできるようにしてあります。こうすることにより結果として「基本枠線」エフェクトと同等の表示をさせられます。「基本枠線」エフェクトで苦労しているデジカメ画像のクロップ相当機能が簡単に実現できています。GoPro動画にデジカメ画像をPinPで表示するという、一番良く使う編集作業が一挙に効率化されそうです。自分の編集手順を効率化するためのテンプレートを自由に作れるMotion5。単なるボケ防止のための練習ソフトを超えて、手放せないアプリケーションになってきました。


作成したテンプレートのファイルはこちら


 よくわからない部分の確認や、Motion5を使わずにそのままFCPXで利用したいという人向けに作成したMotion5テンプレートをZIPファイルで公開することにしました。以下のリンクからダウンロードしてお使いください。
Googleドライブ画面が表示されますので、そこからダウンロードできます。


2016年7月14日木曜日

谷津道探検サイクリング 裏道で出会った千葉の刑務所・少年院・鑑別所


 谷津道探検サイクリングと称して裏道ばかりを走っています。初めての場所へ行くにも国道や県道は極力避けて、遠回りになっても安全で快適な裏道を使います。裏道の組み合わせは数知れず、少しでも快適な道を求めて毎回少しずつルートが変わります。こういう走り方をしていると、サイクリング中に思わぬ出会いや発見をして驚くことが少なくありません。

 先日東金ダムまで自転車で行った時の帰り道、江戸時代初期に作られて今は所々分断している御成街道を探しながら走っていると、偶然八街少年院の横を通りました。自転車で千葉の市街地をウロウロしている時に、千葉刑務所を見つけて驚いたのはだいぶ前のことです。千葉県内にある刑務所や少年院を調べてみたら、裏道探しのサイクリングの途中で全ての場所に行き当たっていました。偶然とはいえ千葉県に存在する刑務所・少年院・少年鑑別所を全て巡っていたとは驚きです。


千葉刑務所


 千葉市中心部に近く、国道51号に面しているため車でも横を通過していると思うのですが、住宅街に突然現れる高くて長い塀を自転車で見て初めて刑務所だと気付きました。

千葉市の住宅地から見える千葉刑務所の高い塀

国道51号に面した正面に回ってみると、敷地内に古い立派なレンガ造りの建物が見えます。1907年に竣工したそうで、歴史を感じる立派な建造物です。

千葉刑務所正面、ずっと奥に立派なレンガ造りの建物が見えます

日本各地の刑務所は刑期や年齢、犯罪傾向などで受刑者を分類して収容しているそうです。この千葉刑務所は刑期8年以上の初犯者が中心とのこと。千人ほどの収容者がどんな罪で服役しているのか、自転車で近所を走る度に思いが巡ります。

刑務所の塀を見ると受刑者に思いを巡らせてしまう


千葉少年鑑別所


 千葉刑務所から近く、さらに住宅街の真ん中にあるのが千葉少年鑑別所です。郊外から千葉中心部に入ってくる大きな国道や県道を避けながら、自転車で裏道を探している最中に偶然見つけました。入り口の門標を見なければ少年鑑別所だとは全く気付きません。

コンビニやアパートが立ち並ぶ住宅街の一角にある千葉少年鑑別所(写真左側)

少年・少女の観護施設であることを考えれば当然のことかもしれませんが、周辺から隔絶されるような高い塀もなく、一見普通の学校のように見えます。

普通の学校のようにしか見えない千葉少年鑑別所


市原刑務所


 高滝湖方面によく行くようになった頃、うぐいすラインの代替ルートを探している時に偶然見つけました。住宅街にある千葉刑務所とは異なり、谷津田の中に突然現れます。高い塀も何もない敷地に綺麗な建物が整然と並んでいる施設で、ここも門標を見ないと刑務所だとは気付きません。

市原市の田舎道を走っていると突然出くわす開放的な市原刑務所

ここは禁錮刑受刑者や若年初犯者などを収容する交通刑務所で、主に交通犯罪の受刑者が収容されています。敷地内に交通事故の犠牲者を供養する慰霊碑が建てられていて、受刑者たちは日々供養をしているとのこと。他の刑務所はあまり自分とは関わりないように思えてしまいますが、車やバイクを運転する立場ではいつ交通刑務所のお世話になるかわかりません。市原刑務所の正面に立って、改めて遵法運転・安全運転が大切か考えさせられました。


市原学園


 市原刑務所に隣接して建てられている少年院で、旧法の分類では16歳以上を収容する中等少年院になります。道路から内部は見えませんが、半年以内の早期改善が見込める男子を収容していますので、高い塀なども見えず開放的な作りになっているようです。

市原刑務所の横にある市原学園の入り口(左側)


八街少年院


 千葉県内にある施設で最後に見つけた場所です。御成街道が圏央道と交差する辺りにあり、八街市の広大な畑の中に建っています。初等と中等の少年院が併設されていて、半年を超える長期処遇対象者が収容されているそうです。広大な八街の畑の中を走っていると、長い塀で囲まれた施設が突然現れて驚きました。

畑の中に長い塀が突然現れる八街少年院(左側)

ちょうど運動の時間なのか、施設の中から大きな掛け声が聞こえてきました。どこか違う世界からの声のようにも聞こえますが、中にいるのはかつての自分と何も変わらない青年たちです。

八街少年院の正面、中は広大な敷地

 塀の外を自由に自転車で走り回れる自分の境遇に感謝しながら、偶然見つけた刑務所・少年院・鑑別所の内部に思いを巡らせました。社会のルールから逸脱してしまった彼ら、彼女らの矯正を助け、社会復帰をさせるための施設は普段自転車で走り回っているルートのすぐそばに点在していました。自転車で裏道を探検しながら走っていなければ、決して自ら訪れることもないだろう施設。こうして社会と犯罪者について思いを巡らせるきっかけになったのも谷津道探検サイクリングのおかげです。体に良いだけでなく、思考のきっかけにもなる裏道探検、まだまだ続けていきたいものです。