2016年7月19日火曜日

快適動画編集 編集素材の作成にGoogle Earth Proを徹底活用


 サイクリングやバイクの動画編集時に、Google Earth Proで生成したツアー動画を利用しています。走行時に取得したGPS軌跡データさえあれば、ドローンから空撮したようなHD画質動画が簡単に作れます。こんなツールが無料だなんて、太っ腹なGoogleにただただ感謝するのみです。

 Google Earth Proをいろいろいじくっていると、GPSデータから作成するツアー動画はほんの一部の機能であることがわかってきました。動画編集の際に活用できる素材の作成にGoogle Earth Proはもっともっと役に立ちそうです。現時点で編集素材作成に良く利用している機能とその使い方をまとめてみました。

豊富な機能のGoogle Earth Pro


Google Earth Proのツアー動画は三種類


 ツアー動画作成時の設定を眺めると三種類あることがわかります。「フォルダ」から作成、「ライン」から作成、「トラック」から作成の三つです。前回の投稿記事で利用したのはこの「トラック」からのツアー動画作成機能でした。GPS軌跡データ(GPXかKMLファイル)さえあれば簡単に走行ルートの上空からの映像を動画にできます。さらにGPSデータに含まれる時刻情報に従ってツアーもスピードを変えますので、実写映像との同期が簡単です。実に素晴らしい素材を作成することが可能になります。この「トラック」から作成については前回の投稿記事でまとめましたので、残っている「フォルダ」と「ライン」についてまとめました。

ツアー動画を「フォルダ」から作成


 Google Earth Proでは衛星写真にいろいろなものを重ねて表示できるようになっています。その中でも「目印」と「パス」はツアー動画を作成する際の重要なアイテムになります。一つの「フォルダ」を準備し、その中に複数の「目印」や「パス」を置いてからツアー動画を作成するのが「フォルダ」から作成になります。先ず始めに「フォルダ」を準備します。

先ず「フォルダ」を追加

その中に、場所を指定する「目印」を作成していきます。マウスやナビゲーションを使って目的地を見る方向や高さ、仰角などのビューをセットしてから「目印」を追加します。ツアーの再生時には、ここでセットしていたビューの通りに表示されることがポイントです。

「目印」を追加

「目印」作成途中でビューを変更した時には、名前を指定するポップアップ画面で「表示」を選び、「現在のビューのスナップショット」を押せば最新のものが反映されます。
 これを必要な回数繰り返して、「フォルダ」の中にツアー動画に表示させたい「目印」を用意します。完了したら、準備した「フォルダ」を選択し、「ツアーを再生」ボタンを押すと、画面の下にメディアプレーヤーが表示されてツアー動画が始まります。

「フォルダ」を選択してツアー動画を開始

ツアーを確認し、これでよければメディアプレーヤー右端にある保存ボタンを押します。名前をつけるポップアップが現れますので、指定して保存しておきます。ここはツアーの定義を保存しているだけで、動画ファイルを生成するのは別のステップです。

確認したツアーの名前を指定して保存

ツアーの保存が終わったら必ずメディアプレーヤーを閉じておきます。これを忘れると後述の「動画メーカー」が起動できません。

ツアー動画を「ライン」から作成


 「目印」が含まれた「フォルダ」のツアー動画は、複数の目的地間を順番にジャンプしていく動画になります。目的地間は上空にジャンプしますが、水平方向には直線移動するだけです。「パス」を作成して、そこからツアーを再生するとパスで指定された「ライン」に従って移動します。単純な二地点間のジャンプではなく、任意の移動を実現できます。

「パス」を追加

高度や方位、仰角などのビューをセットしてから、マウスで連続したポイントをクリックしていけば完成です。「目印」と同じように名前を指定して保存してやります。途中でビューの変更をする場合も「目印」の時と同じ手順で反映できます。作成した「パス」を指定してツアーを再生すれば「ライン」からのツアー作成になります。再生の際にこの「パス」を見えないようにしたい場合は、左側のチェックボックスを外せば見えなくなります。見えなくてもツアーは正しく「パス」に沿って実行されますので安心してください。

「パス」だけを指定してツアーの再生

先ほど準備した「フォルダ」の中に「目印」と一緒に「パス」を入れ、「フォルダ」を指定してツアーを再生することもできます。その場合は「フォルダ」のツアーの間に「ライン」が実行されることになります。

ツアー再生時に影響を与えるパラメータ


 「フォルダ」、「ライン」、「トラック」それぞれのツアー作成時の動作を指定するパラメータが準備されています。Macの場合はメインメニューの「Google Earth Pro」>「 Preferences」から、Windowsの場合は「ツール」>「オプション」で設定画面が表示されます。ここで「ツアー」を選択すれば以下の画面になります。

Google Earth Proの設定画面(Macの場合、イラストは説明用に追加)

「フォルダ」からのツアー作成時のオプション:
  • アイテム間の時間次の目的地へ移動する時間
  • アイテムでの待機時間目的地で止まっている時間
  • ラインに沿ってジャンプチェックすると「パス」に沿ってジャンプ
「ライン」からのツアー作成時のオプション:
  • カメラの傾斜角度真下がゼロ、そこからのカメラの角度
  • カメラ高度地上からの高さではない、「目印」からの距離
  • 速度ライン上を移動する際の速度
「トラック」からのツアー作成時のオプション:
  • 速度GPSの時刻データの何倍速でツアーするかを指定
ツアー動画の見え方に影響を及ぼすパラメータはこのくらいかと思います。三つのツアーのタイプがありますが、ここのパラメータはそれぞれのツアーで独立して機能するわけではないようです。例えばGPSデータを使った「トラック」からのツアーを再生中でも、「ライン」の「カメラの傾斜角度」や「カメラ高度」の指定は有効です。「カメラ高度」の指定が、予測していた動きと異なっていたため悩みました。当初は地上からカメラまでの垂直距離だと信じ込んでいましたが、どうも「目印」もしくは画面中央部からカメラまでの直線距離のようです。「カメラ高度」を一定にしたまま、「カメラの傾斜角度」を変えてみるとGoogle Earth Proの画面に表示される高度が変わることで気付きました。(この推測は現バージョン7.1.5.1557でのものです)

 これらのパラメータを調整して、利用目的に合ったツアーを準備していきます。「カメラの高度」を高く(長く)して広域を一度に見せたり、「カメラの傾斜角度」を大きく(水平に近く)して地形の高低差を強調したりできます。これだけ広い地域を俯瞰した映像は自分ではとても撮影できませんので、Google Earth Proの画像は役に立ちます。

動画メーカーでムービーファイルに書き出し


 動画編集用の素材にするには、最後に動画ファイルへの書き出しが必要ですが、実際の書き出しの前に是非行っていただきたいことがあります。保存されたツアーに従って動画が書き出されるのに先立ち、現在表示されているビューからツアー最初のビューまで画面が移動していきます。この画面移動も動画の最初に書き出されますので、これをうまく使いこなしましょう。

目的地が房総半島のどのあたりかわかるように画面を思いっきり引いてスタート

マウスや右上にあるナビゲーションを使って、画面を適当なところまでズームアウトしておきます。この状態で動画メーカーを起動します。メインメニューから「ツール」>「動画メーカー」を選択します。ここで「動画メーカー」がグレーアウトされて選べない場合、ツアー再生中に画面左下に表示されるメディアプレーヤーが閉じられていない可能性があります。

「動画メーカー」をスタートします

保存されたツアーを選択するポップアップが現れます。この画面で解像度、FPS、保存先を指定します。続いて動画ファイルの圧縮方法を指定する画面になりますので、利用目的に合った圧縮方法とフレームレートを指定してください。

動画の圧縮方法を指定

指定内容によっては極端に時間がかかったり、ファイルサイズが巨大になることがあります。メインの画面として使うのか、補足的にPinPで使うのかなどで画面サイズや圧縮率、フレームレートを変えてやりましょう。


高画質静止画の生成も可能


 ツアー動画の作成のみならず、4800 x 2831画素の高精細画像を出力することもできます。4K動画編集での利用も可能な細かさです。画像保存ボタンを押すか、「ファイル」>「保存」>「イメージを保存」を選択します。解像度の指定ができますので、編集する動画に合わせて指定します。

高精細な画像の保存が可能

タイトルや凡例が指定できますが、不要な場合は消すことも可能です。必要な場所を任意の方位、角度で画像にできます。さらに「目印」や「パス」、GPSデータからの「トラック」なども一緒に入れることも可能です。目的の画像になったら、保存ボタンを押せばJPEGファイルが作成されますので、動画編集時の素材として利用します。

タイトルや凡例の表示・非表示を指定可能

自転車のGPS機器で作成された軌跡データには位置情報以外に高度や心拍数、ケイデンスデータなどが含まれています。Google Earth Proでは読み込まれたトラックデータに含まれたこれらの追加情報をグラフに表示できます。読み込んだトラックを右クリックするとメニューが出ますので、その中にある「高度プロファイルを表示」を選択します。高度データ以外もある場合はグラフの上部にあるタブが増えますので、タブをクリックして表示・非表示を切り替えます。一度に二つのデータまで表示できるようです。

高度や心拍などの位置情報以外もグラフ表示可能

もともとGoogle Earth Proが持っている道路や県境、都市名などの表示・非表示を切り替えながら目的に合った編集素材が準備できると思います。

 房総半島全景を見渡せる上空から一気に高度を下げ、出発地をズームイン。その後走行したパスに沿って上空を移動し、目的地の指定場所に向かって再度ズームイン。目的地周辺の観光スポットを上空からの静止画像を使って解説、というようなシナリオに沿った素材の準備がGoogle Earth Proでできてしまいます。衛星写真の画質が向上したおかげで、まるで航空写真やドローンからの実写映像のように見えます。高い柔軟性と画質を兼ね備えたツールですので、持てる機能を余すところなく利用していきたいものです。



オープニングに「フォルダー」のツアー動画を使ってみた


 サイクリング途中でしばしば立ち寄る癒しスポットの紹介のため、Google Earth Proで作成した「フォルダー」からのツアー動画素材を作品のオープニングで使用してみました。ただの地図では表現しきれない、房総半島の中での位置やその場所の雰囲気まで伝わるオープニングに仕上がったのではないかと自負しています(^ ^)


こんな動画素材が無料で作れるなんて、やっぱりGoogle様様です。ネットの高収益企業はありがたい存在ですね。

(2017年6月26日追記)


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