2016年6月25日土曜日

だから二輪旅 アジサイを見に行ったら歌舞伎が気になってきた(成田市宗吾霊堂)


 この梅雨時にバイクでアジサイ見学?と不思議がられそうですが、この時期特有の雨に濡れた土や葉っぱの匂いがなんとも言えず好きです。もちろん土砂降りの日にバイクに乗りたくはありませんが、走りながら梅雨特有の匂いが楽しめるバイクはやっぱりいい。雨が止むと走りたくなります。

 アジサイは雨の似合う花です。雨が降る中で楽しむのが一番なんでしょうが、やはり少し億劫です。朝方まで降り続いていた雨が止み、夕方までしばらく小休止との予報が出ていたため、アジサイ祭りが開催されている成田市の宗吾霊堂(東勝寺)に行ってみました。この近辺は成田山へのアクセスルートとしてバイクや自転車で度々通過していますが、ここに立ち寄ったのは初めてです。

国道464号に面した宗吾霊堂

国道から離れて裏手に回ると無料の駐車場があります。今年は6月5日(日)から26日(日)までがアジサイ祭りの期間です。少し遅いかなとも心配しましたが、結構な人が来ていてアジサイの花もまだまだたくさん咲いていました。

無料の駐車場にバイクを停めてアジサイ見学


見事なアジサイを楽しめる宗吾霊堂


20〜30分ほどの散策で見て回れる境内に7,000株ものアジサイが植えられています。立て札にアジサイの種類と説明が書いてあり、とっても勉強になりました。

アジサイの種類を説明する立て札を見ながら散策が楽しめる

白い花以外に赤や青、紫、ピンクも咲いていて本当に不思議です。リトマス試験紙に例えられるように、土壌の酸性度(pH)をコントロールすることにより花の色も変えられるようです。

赤はアルカリ性土壌

アジサイの花(ガク)に含まれているアントシアニンという色素が、土から吸収される水に溶けているアルミニュウムイオンによって色を変えるそうです。酸性土壌にはアルミニュウムイオンが多く、アルカリ性土壌には少ないというのが色の違う理由です。

青は酸性土壌

それでは白色の花は土壌が中性なのかと思えばそうではなく、中性の場合花は紫色になるそうです。白色のアジサイは花(ガク)に色を変えるアントシアニン色素を持たない種類でした。

ほとんど白に薄い青が混じって綺麗

ガクアジサイ

7,000株のうち約1,000株は白い花が鈴なりになってブドウの房のような形で咲く柏葉アジサイです。葉の形が柏に似ていることからそう呼ばれ、1,000株も集まって咲いている場所は日本では珍しいと紹介されていました。

ブドウの房のような形で咲く柏葉アジサイ

背の高いアジサイで、道の両側にいっぱいの柏葉アジサイが咲いている風景は見事です。多くの人が白いアジサイをバックに記念写真を撮っていました。

柏葉アジサイの通路


なんで宗吾霊堂と呼ばれてる?


 見事なアジサイを楽しんでから本堂の方へ回ってみました。東勝寺というのが正式な名前で、征夷大将軍の坂上田村麻呂が房総を平定した時に、戦没者を供養するために建てた寺だそうです。

宗吾霊堂の本堂

本堂の横に見覚えのある歌舞伎役者の名前が書かれた札が何本も立っていました。小学生の時に社会科見学の一環で狂言を一度見たことがあるくらいで、それ以後全く歌舞伎の観劇などしたことがありません。そんな私でも知っている役者の名前が出ています。

歌舞伎役者寄進の立て札

松本幸四郎、中村勘三郎、中村勘九郎の名前と共に「佐倉義民伝」や「東山桜荘子」上演記念と書かれています。江戸時代前期にこの地に住んでいた佐倉(木内)惣五郎が佐倉藩の重税に苦しむ農民を代表して将軍へ直訴を行い、重税は改善されたものの四人の子供とともに処刑されたという物語が、のちに講釈や歌舞伎となって広く知られるようになったそうです。惣五郎の俗称「宗吾」の名を冠したお寺がこの宗吾霊堂です。他にも近隣の地名や道路にも宗吾の名前が残っています。『へ〜そうだったんだ、知らなかった』というのが正直な感想です。
 この話しを歌舞伎の演目にして江戸時代にヒットしたのが「東山桜荘子」で、その後「佐倉義民伝」として定着しました。その中の見せ場として「甚兵衛渡し」が有名らしいです。死を覚悟して将軍への直訴に旅立つ前に一目家族に別れを告げに戻った惣五郎を、禁を破って渡し船を出し印旛沼の対岸まで送り届けた老人甚兵衛。甚兵衛はその後、藩のお咎めを恐れて印旛沼に身を投げたという悲しい物語。そういえば印旛沼のほとりに甚兵衛公園と名付けられた公園があり、サイクリングの途中でよく休憩していた場所です。こんな物語があったなんて夢にも思いませんでした。

義民ロードというすごい名前が付いている

物語の筋を知れば知るほど観てみたくなりました。身近な場所に残されている伝承を基にした歌舞伎の演目。日本人ですので一度くらい本物の歌舞伎を観に行くのも良さそうです。バイクでアジサイを見に行ったら歌舞伎に興味が湧いてきたというたわいないお話しでした。



千葉テレビの「ちば見聞録」で分かりやすく紹介されてた


 千葉テレビの「ちば見聞録」という番組で佐倉惣五郎を取り上げていました。とっても良くまとまっていて、勉強になります。普段千葉テレビはあまり見ないのですが、週刊バイクTVとこの番組は千葉のバイクツーリングを楽しむライダーとしては必見ですね。


(2017年1月22日追記)


2016年6月23日木曜日

Windows 10へのアップグレードは梅雨時に限る(ワクワク感より不安感の方が....)


 Windows 10への無償アップグレード期間が2016年7月29日で終了とのこと。2014年末に購入していたWindows 8.1搭載のLenovoノートパソコン(G50)はしばらくアップグレードせずに様子を見ていました。使用者の意思に反して勝手にアップデートされてしまうなどの問題が報道され、消費者庁まで乗り出してくる騒ぎが起こっています。相変わらずのマイクロソフトの体質に呆れ返っていましたが、期限が近づいてきたためアップグレードにチャレンジしてみることにしました。

i5 2Core、4GBメモリー、500GB HDDとそこそこのスペックで安価なLenovo G50

 MS-DOSから始まり、少し前のXPまではマイクロソフトのOSを仕事でもプライベートでも使用していました。頻繁に発表される有償のバージョンアップにも逐次対応して、Office製品も含めれば今までに相当な金額をマイクロソフトには支払ってきたと思います。仕事用のパソコンとしてアップルのMacBookProを購入してからは、Windowsパソコンはほとんど出番がなくなりました。使用するアプリケーションの中でどうしてもWindowsが必要なもののために安いLenovoのノートパソコンを購入して、たま〜に電源を入れるという状況でした。


一日潰れてもいい日を選んでアップグレードを実行


 都合良く関東地方は梅雨の真っ最中です。はっきりしない空模様の日が続いていましたので、用事のない一日を選んで意を決してアップグレードのボタンを押しました。過去の経験ではOS本体のアップグレードばかりではなく、各種ドライバーのテストと入れ替え作業やアプリケーションの再設定作業が必要になるケースがほとんどで、たいてい一日作業でした。まずWindows 10本体のアップグレードに1、2時間程度の時間がかることを覚悟した上で作業開始です。

いよいよ始めてしまったWindows10アップグレード作業

まだ光に変えていない遅いネットワークのため、この画面が出るまでかなり時間がかかりました。その後内部で一生懸命処理が進んでいるのでしょうが、画面の表示はほとんど変わりません。忘れた頃にパーセンテージが少し上がるくらい。この間画面は遊んでいるのですから、もう少しユーザーにメッセージを発信して欲しいものです。

 突然、忘れた頃にいきなり画面が変わりました。しかも長年のWindowsユーザーには恐怖を思い起こすブルーのスクリーンです。画面には「すべてのファイルはそのまま元の場所にあります」という文字が表示されたままで数十秒が経過。『それって当たり前じゃないの』という思いを抱きつつ、もしかしたらフリーズかとの恐怖に怯えながら次に出てくるメッセージを待ちます。

これって当たり前で、もしそうじゃなかったら大パニックでしょう

とてつもなく長く感じた数十秒後に出てきたのは「新しい機能が追加されました」とのメッセージ。バグ対応のパッチを当てているわけではないので『アップグレードなんだから普通そ〜でしょう』とのツッコミを入れながら新機能の解説画面を待っていましたが、それらしい画面は全く出てきません。

アップグレードですからそうでしょう、それで?

完全に期待を裏切られて、最初の「Windowsをアップグレードしています」の画面に戻り、さらに時間だけが経過していきます。

 意を決してアップグレードの開始ボタンを押してから約3時間が経過し、最後に現れた画面がこれです。MS-DOSの時代に戻ってしまったかのような味もそっけもないメッセージが表示されました。何の感動もなくWindows 10のアップグレードは完了したようです。記憶に残ったのは、とにかく用事のない梅雨時を作業日にして良かったという感想だけでした。

MS-DOSの時代を思い出させる味もそっけもないメッセージ

 何が変わったのかよくわからないまま、少しだけ見栄えが変わったデスクトップを使用していると、いきなり訳のわからないメッセージが表示されました。幾つかのアプリケーションが利用できなくなり、削除されましたと言っています。『OSがアプリを勝手に削除?』と開いた口がふさがらない状態で対象となったプログラムを慎重に調べてみると、OS依存が強そうな普段使っていないアプリでした。実際にパソコンからは削除はされていないようです。

Windows10アップグレードで使用できなくなったアプリを事後に通知される

こんな事はアップグレード前の段階で警告として通知すべきではないのかと怒りながらも、使ったことのないアプリのため放置することにしました。

 とりあえずIEでも立ち上げて使い勝手やスピードを見てみようと思いましたが、タスクバーにあるIEらしいアイコンをクリックすると登録済みのホームページが出てきません。マイクロソフトのBing画面が表示され、以前のお気に入りも見当たりません。『IEの設定が引き継がれてない〜』と泣きが入りましたが、よくよく見てみるとこれは今までのIEではなくMicrosoft Edgeというものでした。『何これ?』という感じですが、さらに探すと今までのIEも見つかり、登録されたお気に入りも残っていることが判明し事無きを得ました。Windows 10で追加された新ブラウザーらしいのですが、アップグレード途中に何の説明もなく、気の抜けたIEのようなアイコンがタスクバーに収まっているので、どう見ても今までのIEかと思ってしまいます。

 本来ならこのあとプリンターなどの周辺機器の動作確認をして、必要に応じてドライバーを最新のものに更新する作業が発生しますが、すっかりやる気が失せていました。実際に使う時に不具合が出たら対応することにして、ノートパソコンの電源を落としました。ここまでで半日が経過していました。


もうWindowsには戻れないな〜


 2014年にサポートが終了したXPですが、歴代のWindowsの中では最も長く付き合ってきたように思います。ユーザーインターフェースにも慣れ、何台かのパソコンでXPを使い続けてきました。この時代のWindowsには特に大きな不満はありませんでしたが、その後のWindows 7や8には大きな戸惑いを覚えました。

 ちょうどそのタイミングでMacBookProのユーザーになってしまったため、使い込んでいくに従い『もうWindowsには戻れないな〜』という思いが強くなる一方です。初めてアップル製のパソコンユーザーになって3年経ちましたが、その間に3度もOSのメジャーアップデートを経験。MavericksからYosemite、El Capitanと新しいMac OSがリリースされるたびにApp Storeでワンクリックするだけで無事アップデート完了です。その度にiPhoneなどのファミリー製品との連携が強化され、今までできなかった便利な機能が追加されます。Windowsも3.1から95へのアップデート時にはワクワクしたものですが、Mac OSはそのワクワク感が今も続いています。



立ち上げたらいきなりアップデート開始じゃ使えない!


 Windows10にしてから頻度が増えたような気がしますが、なんの断りもなく更新が始まることが良くあります。この時も、Windowsしかサポートしていないデバイスからデータを抽出しようと思い、Windowsノートパソコンの電源を入れました。そもそもSSD搭載のMacBook Proに比べてはるかに起動に時間がかかるのですが、立ち上がったと思ったらいきなりシステムアップデートの画面が現れて、数分間作業が開始できませんでした。

電源を入れた直後にこの画面では一挙にテンションが下がる

予告もなく勝手に更新が始まるのは、そのように設定をしたせいだと思いますが、パソコンで作業しようと思って電源を入れた直後にこの画面で数分待たされるのはありえません。使う側のことを全く考えていない仕様です。多分、前回のOSシャットダウン時に更新が終わるのを待たずに電源を落としてしまったためかとも思いますが、とにかく作業を開始しようとするユーザーの出鼻をくじく最悪の動きです。もうWindowsダメかも....

(2017年7月29日追記)


2016年6月21日火曜日

谷津道探検サイクリング 下総台地と九十九里平野の間の崖道は穴場スポット


 房総半島を自転車で走り回るようになってからだいぶ経ちます。往復の距離を考えると途中で一泊するか、輪行しなければならないため南部に広がる房総丘陵へは滅多に足を踏み入れません。その代わりに房総半島の中央部から北に広がる下総(しもうさ)台地は縦横無尽に走り回っています。標高110メートル前後の長柄ダム周辺から北へ行くほど低くなる地形で、東側には九十九里平野が隣接しています。この下総台地と九十九里平野の間に落差50〜70メートル前後の長い崖が続いていて、東京湾側に流れる川と太平洋に流れ込む川の分水嶺になっています。

 この崖(東金崖線)の近辺には昭和の森や小中池、雄蛇ヶ池、八鶴湖、東金ダムなどの観光スポットが点在していて、自転車で訪れるには絶好の場所なのですが、地図を眺めただけでは自転車で崖を登り下りする快適なルートが見つかりませんでした。

房総半島の地形概略

 東金や大網界隈を繰り返し走り回り、東金街道(国道126号)や大網街道(県道20号)などの主要な自動車道を使わずに崖を登り下りできる裏道の発掘に努めてきました。断片的ながら複数の裏道が見つかりましたので、今まで別々の目的地として訪問していた長柄ダム・小中池(昭和の森)・雄蛇ヶ池・八鶴湖・東金ダムを一気に回ってみることにしました。

東金崖線に沿って長柄ダムから東金ダムまで裏道を走行


長柄ダムから小中池


最近よく行く長柄ダムまでは村田川支流の快適谷津道を使い、一気に下総台地の最高地点に到着です。そこから昭和の森(土気)方面に車道を避けて進みます。昭和の森まで行ってしまうと、崖を下る道が大網街道か公園内の階段になってしまいますので、手前のゴルフ場(東急セブンハンドレッドクラブ)北側にある細い道に入ってみました。入り口に12%勾配の標識が出ていますが、大半が下りですので心配はご無用です。

ゴルフ場横の急勾配を下って行く

ほとんど車は走ってきませんが、ゴルフ場の周りの道はしっかりと舗装されていました。日陰の多い樹林帯を走り、崖を半分くらい下ると視界が開けてきます。

崖を下ると視界が開けます

斜面に作られた棚田のような景色に心が癒されます。春先からだいぶ経ち、聞こえてくるウグイスの鳴き声も見事でした。

崖に隣接した棚田

圏央道の周りの道はまだ工事中の場所もありましたが、きれいに舗装された道が小中池まで続いています。車がほとんど来ないので、ロードバイクで舗装路を快調に飛ばせます。崖の上に昭和の森がある小中池は静かなため池で、冬はたくさんの水鳥で賑わいますが、今はカメたちが我が物顔で水面を泳ぎ回っていました。

静かな小中池、右奥に昭和の森があり階段で登っていけます

小中池は昭和の森の展望台直下にあります。自転車で走れる道を探しましたが、園内から繋がっているのは急な階段の遊歩道だけでした。自転車を押したり担いだりして歩いてみましたがかなり大変です。園内にある下夕田(しもんた)池横の荒れた山道を下るか往来の激しい大網街道(県道20号)を一気に下るかすれば昭和の森から小中池にたどり着けますが、どちらもちょっと勇気のいる道です。


小中池から雄蛇ヶ池


 圏央道の東側まで戻り、大きな住宅地を結ぶ道路を走れば雄蛇ヶ池に簡単に行けますが、走っていてあまり楽しい道ではありません。今回はより崖に近い圏央道の西側の道を探してみました。iPhoneのAppleマップを見ても道が出てきませんでしたが、気にせず小中池から北に進路をとりました。坂を登っていくと素掘りのトンネルが尾根を貫通しています。手で壁を触るとボロボロと崩れてきて迫力満点です。

素掘りのトンネル、落石注意と言われてもね....

大網街道の下を潜り抜け、ちょっと苦しいアップダウンを繰り返しながら進むとJR外房線の大きな橋脚の下を通過しました。この辺りを通る鉄道もかなり勾配の多い地形に苦労しているようです。橋脚の規模に圧倒されました。

JR外房線の大規模な橋脚下を通過

圏央道建設に先立って整備されたと思われる一般道にはほとんど車の姿は見えず、自転車の貸切り状態でした。この時期に涼しさを感じるような場所もあり、真夏のサイクリングでも使えそうなルートです。

鬱蒼とした樹林の中のトンネル、あ〜涼しい

少し行くと季美の森から急坂を下って雄蛇ヶ池まで続く道に合流しました。ここまでくれば雄蛇ヶ池までは何度も走ったことのあるルートです。切り通しの中を登り下りしながら雄蛇ヶ池に到着しました。

雄蛇ヶ池の上に広がる青い空


雄蛇ヶ池から八鶴湖経由で東金ダム


 雄蛇ヶ池から東金ダムへはあとわずかです。距離はありませんが、東金崖線上部にある東金ダムにたどり着くには急登が待っています。いくつかルートはありますが、八鶴湖から一気に登るルートを走ってみました。八鶴湖は御成街道の終着点に当たる場所で、徳川家康が鷹狩りの際に宿泊した東金御殿が建っていた場所です。

御成街道の終着点に当たる八鶴湖

ここから東金ダムまでは最大斜度15%の急登が待っています。ただし距離が短いため、心配はご無用。ダンシングで一気に登れました。

八鶴湖から東金ダムへの急登

東金ダムはときがね湖とも呼ばれ、人口のダム湖です。良く整備された遊歩道がぐるりと一周しているためジョギングやサイクリングも楽しめます。

ときがね湖(東金ダム)


東金崖線を登り下りする裏道は自然がいっぱいの穴場


 下総台地と九十九里平野の間に東金崖線が横たわっているため、自動車道はいくつかの主要な路線に限定されています。それ以外の道路は数も少なく、車はほとんど走っていません。十数パーセントもの急坂ばかりですが、標高差は50〜70メートルほどですのでなんとか気合いで乗り切れます。今回楽しんだ崖沿いの道は下の地図にある30キロほどのルートです(クリックすると動かせる大きな地図が表示されます)。


 こんな裏道ですので、周りには千葉とは思えない自然が残されています。房総地区特有の地層が現れた素掘りのトンネルや切り通しも見ることができます。山間の田んぼやため池、その周りの森にはいろいろな鳥が生息していて、綺麗な囀りを聞かせてくれます。

 小型のPCMレコーダーを持参して、鳥の鳴き声やダム湖の遊歩道で聞こえる音を録音してみました。サイクリングの感動を写真やビデオで残していますが、音を中心にしてみたことはありません。音で振り返るサイクリングの思い出というもの面白そうです。




2016年6月16日木曜日

谷津道探検サイクリング 自然の恵みを味わいながら快適に走ろう


 春から夏にかけては草木が開花して次々に実を結ぶ時期になります。里山の風情を残す谷津道を探検しながらのサイクリング途中で、赤や黄色の小さな果実を目にすることがあります。人の手で栽培されているリンゴや梨などとは違い、目立たない場所にひっそりと実をつけていることが多いため気付かずに通り過ぎてしまうこともしばしばです。

 この時期に食べられる木の実といえばキイチゴ類が代表でしょう。谷津の茂みに小さな白い花が咲いた後に赤や黄色の実をつけます。たくさんの種類があり、それぞれ実の形が微妙に違いますが、どれもそのまま食すことができます。だんだん蒸し暑い日が多くなるこの季節に、甘酸っぱいキイチゴの実を頬張ると、口の中がさっぱりとしてリフレッシュできます。キイチゴ類以外にもそのまま楽しめる木の実は結構あるものです。谷津道探検サイクリングの途中で、実際に口にしたことのある自然の恵みをまとめてみました。

木の実などを見つけた谷津の場所


1. 何と言ってもキイチゴが一番(5〜6月)


 田園地帯の農道を走っていると、林と道路の間の茂みで見つけることができます。バラ科のため棘のある枝や特徴的な葉、白い花を目印に探せば簡単に見つかります。場所を覚えておけば5月頃熟す実を楽しむことができます。比較的大きな枝振りで、黄色い実をつけるモミジイチゴや地面近くの枝に赤い実がなるナワシロイチゴが美味しいキイチゴです。

黄色い実が美味しいモミジイチゴ

地面を這うように枝が伸びて赤い実をつけるナワシロイチゴも美味しい

ナワシロイチゴに似ていますが、もう少し日当たりの悪い湿気の多い場所でつぶつぶの細かい赤い実をつけているのはヘビイチゴです。名前のせいか有毒だと思われていますが、毒はありません。他のキイチゴとは別の種類になり、実は水ぽっくて美味しくありませんので間違えないようにしましょう。

毒はありませんが美味しくないヘビイチゴ

キイチゴが群生している場所を見つけておけば毎年味わうことができます。谷津の中でも比較的民家に近い場所にも生えていて、自転車で走りながらでも見つかるので、回り道をしないで自然の味が楽しめます。


2. 桑の実もいける(6〜7月)


 養蚕を行う農家が減ってしまいましたので最近は大きな桑畑を見なくなりましたが、放置された桑の木や川の土手などに植えられた木にも立派な実がなります。5月ごろから緑色の葉っぱに混じって赤い実が目立ち始めますが、食べて美味しいのは実が真っ黒になってからです。

実が赤くなった桑の木、まだ酸っぱい

6〜7月になると実が真っ黒になります。ちょっと不気味な姿ですが、勇気を出して口に放り込んでみると甘い味が口いっぱいに広がります。一本の木に大量に実りますので、食べ始めるとやめられません。

真っ黒に熟した桑の実

民家のそばで殺虫剤をまかれた桑の木もありますので、実を食べる時は注意が必要です。できるだけ人里離れた場所に生えている木を選びましょう。


3. 市街地のヤマモモ(6月)やヤマボウシ(8〜9月)も狙い目


 谷津地形の広がる里山にも自生していますが、人の手で街路樹や庭木として植えられたヤマモモやヤマボウシも美味しい実をつけます。何しろ見つけるのが簡単です。今の時期には近所の幹線道路沿いに植えられたヤマモモがたくさんの実をつけています。

ヤマモモの実、甘酸っぱくて美味しい

実をつけるのは雌の木ですが、結構な確率で発見できます。自転車で走っていると道路にたくさんの赤い実が落ちているのですぐにわかります。公園などでもよく目にします。

大きな道路の街路樹として植えられているヤマモモ

車の排気ガスを気にしてか、ここでヤマモモの実を食べている人を見たことがありません。先日サイクリングの途中で食べてみましたが、甘酸っぱくてとっても美味でした。洗ってから食べた方がいいかもしれませんが、味見するくらいなら大丈夫でしょう。

 果実を楽しめるのはもう少し先(8〜9月)になりますがヤマボウシも人気の植木です。公園などでは必ず目にします。この実も見つけたらそのまま手軽に味わうことができます。

今は白い花が楽しめるヤマボウシ、夏の終わりにできる実は美味しい

何と言っても街中に植樹されている木ですから、遠出しなくても簡単に見つけられます。サイクリング中に果実をそのまま楽しむのもいいですが、たくさん集めてヤマモモ酒やヤマボウシ酒として楽しむのもいいですね。持ち帰れば洗えますし。


4. 谷津の奥で見つけたコウゾの実も甘い(6月)


 谷津を流れる川に沿って上流に向かうと、やがて田んぼもなくなり雑木林が広がる谷津地形の最奥部にたどり着きます。そこまで舗装された農道が続いていることは珍しいのですが、国道126号を付かず離れず九十九里浜まで走ることができる道は最後まで舗装された谷津道サイクリングが楽しめるルートです。先日ここで黄色いキイチゴのような実を見つけ、いつものように口に放り込みました(良い子は真似をしないように)。

実はモミジイチゴのように見えますが木や葉っぱは全く別物

甘みのある美味しい味ですが、果汁はヌルヌルとして糸を引きます。実を掴んでいた手にも透明な液体がびよ〜んとまとわりつき、何とも気持ちの悪い状態に。何だこりゃ〜と、慌てて実を吐き出しました。念のため実以外に枝や全体の写真を撮って帰宅後に調べてみたら、コウゾであることがわかりました。ミツマタなどと同じ和紙の原料となる低木です。

自生しているコウゾの木、黄色い実がたくさんなっています

実は甘みがあって食用できるとあったので一安心ですが、粘ついて舌触りが悪いとも書かれていました。全くその通り。塩水で洗ってから食べると良いようです。


5. 秋にはアケビも楽しめる(9〜10月)


 サイクリング中に見つけてすぐに楽しめるということでは、秋のアケビもまた自然の恵みをその場で味わえる果実です。キイチゴとは違い、林の中の高い木の上に巻きついた蔓にできますので、見つけられる場所が根本的に異なります。体を前傾させて走っているロードバイクでは滅多に見つかりません。蔓や葉の形を覚えておいて、それを頼りに頭上を探すと見つかることがあります。

成田の山道を走っていて見つけたアケビ

見つけた後もアケビは大変です。高い場所にできていますので、長い棒などを探してきて下から絡めて取らなければなりません。まあ、サイクリング中にアケビをとって食べることはないかもしれませんが、場所を覚えておいて後から取りに行きましょう。上品な甘みがあり、皮も漬物などに利用できます。たまにお店で売っていますが結構なお値段がします。紫色になり、ぱっくりと口を開けたら食べ頃ですが、採るのはその直前が良い頃です。


6. 果実ではないがなかなか楽しめるイタドリ(4月)


 まだキイチゴなどが実を結ぶ前に、春の訪れとともにそこらじゅうに生えてくるイタドリもサイクリング中に気軽に味わえる自然の味です。田んぼのあぜ道や小川の岸など、どこでも見つかります。

サイクリング中どこでも見つかるイタドリ

若い茎の部分の皮をむいてからかじると、爽やかな酸味が口の中に広がります。シニアには懐かしい味でしょうし、若い人には新しいスポーツドリンクのように感じるかもしれません。

先の柔らかい部分の皮をむいてかじる

汗をかいた後に水を飲みながらイタドリをかじれば十分リフレッシュできそうです。ほうれん草と同じようにシュウ酸を多く含むため食べ過ぎは良くないそうですが、こんなものをサイクリング中に食べ過ぎることはありません。喉が渇いた時の口直しにひとかじりで十分です。


持ち帰りまで含めればもっとたくさん見つかる自然の恵み


 サイクリング途中で見つけたら、その場ですぐに味わえる自然の恵みを挙げてみました。全て試食済みで有毒なものはありませんが、生えている場所によっては洗うなどの前処理が必要かもしれません。その場で食べられなくても、持ち帰って楽しむというものまで対象を広げれば、相当な数の自然の恵みに触れることができるのが谷津道探検サイクリングの楽しみの一つです。

 春と秋が中心になりますが、良く走る谷津道で実際に目にしたことのある自然の恵みを思い出してみました。キイチゴなどのようにその場で口にするわけにはいきませんので、ほとんどの場合はそのままですが、栗を拾って帰ったことはあります。最近よく行く長柄ダムにつながる支川村田川の快適谷津道ではクレソンの群生を見つけました。今度ビニール袋を持参して持ち帰ってみようかと思います。

春のサイクリングで見つけた自然の恵み

  • ふきのとう
  • たらの芽
  • のびる
  • クレソン

秋のサイクリングで見つけた自然の恵み

  • 銀杏
  • ムカゴ
  • ヤマブドウ

これらは全てサイクリングルートの近くで見つけたものばかりです。自転車を降りて林や高台の中に足を踏み入れれば、さらに多くの自然の恵みに出会えます。サイクリング用の服や靴で山の中に踏み込む気にはなれませんが、すぐ近くでもこれだけの自然の恵みを楽しめる日本の里山はまだまだ捨てたもんじゃありません。


ご注意!

くれぐれも他人の敷地内で植物や果物を無断で採らないようにしてください。



住宅地近くで桑の実を食べるクマが目撃されてます


 今年はクマによる被害が多く発生しています。死亡者も出ているようで、クマの活動エリアには近づかないよう注意が必要です。住宅地近くの桑の実を食べている子グマが撮影されていました。サイクリングで木の実を探す際にも注意した方がいいようですね。

(2016年6月17日追記)


2016年6月9日木曜日

房総酒蔵バイクツーリング 梅雨の合間に夏吟醸を求めて神崎町の鍋店(なべだな)へ


 関東地方も梅雨に入り、すっきりとしない空模様の日が続いています。日中に雨の予報が出ていない日を狙って夏吟醸が出荷された神崎町の鍋店をバイクで訪ねました。初春のしぼりたて生原酒の出荷が一段落した頃に、磨き抜かれた原料米を低温でじっくりと時間をかけて醸した吟醸酒が各蔵から続々と出荷されます。ほとんどの酒が季節に合わせて夏吟醸と名付けられていますが、火入れされていない無濾過生の「不動」夏吟醸が今回のお目当です。いつもチェックしている千葉県酒造組合のホームページで、鍋店から「不動」夏吟醸シリーズの出荷を知りました。純米吟醸と純米大吟醸の二種がそれぞれ1,200本と1,400本(どちらも一升瓶)の限定販売ですので、急ぎ蔵元がある神崎町に向かいました。

梅雨の合間に神崎町の鍋店(なべだな)を訪問

前回鍋店を訪れたのはひやおろしの出荷が始まってしばらく経った昨年秋です。その時は蔵にひやおろしの在庫がなく、あきらめて別の酒を購入して帰ってきました。今回は出荷されたばかりの夏吟醸だったのですが、聞いてみるとやはり在庫がないとのこと。季節限定の商品はほとんどが販売店に出荷されて蔵には置かないことが多いそうです。販売店にはまだまだ在庫があるはずとのことで、一番近いお店を聞いたら同じ道沿いのわずか50メートルほど離れた酒屋さんを紹介してくれました。

鍋店のすぐ近くにある平甚酒店

訪ねた酒屋にはお目当の夏吟醸が冷蔵庫に並んでいます。「不動」無濾過生夏吟醸の純米大吟醸と純米吟醸の二本を購入し、いつもの「ツーリングお土産トートバッグ」でバイクにしっかりと固定して帰りました。

「不動」夏吟醸無濾過生の純米吟醸(左)と純米大吟醸(右)

鍋店には「仁勇」と「不動」の二つの主要銘柄があります。成田のお不動様から名付けられた「不動」は全て数量限定品で、不動特約店会加盟の全国100店舗のみでしか扱っていないそうです。確かに一般の酒屋ではなかなかお目にかかれません。実は成田山新勝寺のすぐ横に鍋店の直営店があります。新春の花見酒を買いに直営店を訪ねてみましたが、さすが人通りの多い成田山の店舗です。たくさんの新酒が店いっぱいに並んでいて、目移りしそうなほどでした。初めからこの直営店に行けばよさそうなものですが、成田山界隈の渋滞や駐車場などの心配もあり、蔵元で購入できればありがたいのですが不動は難しいようです。

 小さな蔵元が多い千葉の酒蔵ですが、この鍋店はその中では大手です。もう一つの「仁勇」は近所のスーパーにも置いてありますが、「不動」は見たことがありません。各商品が千数百本しか販売されない「不動」はやっぱり貴重なんですね。

 帰宅後に早速、純米吟醸の方から飲んでみました。生原酒ではありませんので、加水してアルコール度数を15度にしてあります。そのため春先にたくさん楽しんだ無濾過生原酒のトロッとした口当たりはなく、さっぱりとしてキリッとした口当たりです。少し拍子抜けしながらも、蒸し暑い真夏の夜に冷蔵庫できつめに冷やして飲んだら、風呂上りの汗もスーっと引いていきそうなそんな味がしました。



勝手に「房総の地酒」を応援するTVコマーシャル風動画を作ってみました


個性ある房総の地酒の良さが少しでも伝われば幸いです。





房総酒蔵バイクツーリングのインデックスはこちら


房総酒蔵マップ
千葉にある約40軒の蔵元を順に巡っています。青色の酒蔵マークをクリックすると該当する投稿記事にジャンプします。