2016年6月6日月曜日

快適動画編集 クロップに対応していないFCPXの基本枠線エフェクトをMotion5で修正


 動画編集の際にピクチャー・イン・ピクチャー(PinP)を使うことはしばしばあると思います。この時に子画面の周りに縁取り(枠線)をつけると見やすくすることができます。Final Cut Pro X(FCPX)に標準で付いてくる「基本枠線」というエフェクトを適用すれば簡単に実現できますので、使われる機会の多い機能です。
 ただし、この「基本枠線」には大きな問題があります。必要な部分のみをクロップして子画面に表示しようとすると、枠線まで一緒にクロップされてしまうことです。クロップされた画像に枠線をつけるということができませんでした。

FCPX標準の基本枠線エフェクト、クロップに対応していない

半年ほど前にMotion5を購入して勉強しながら必要なものを作り始めました。FCPXのエフェクトやタイトル、ジェネレータ、トランジションテンプレートを編集することもできますので、この「基本枠線」エフェクトの修正にチャレンジしてみました(大げさ)。


1. FCPXから「コピーをMotionで開く」で修正開始


 FCPXのコンパニオンアプリであるMotion5は連動もスムーズです。問題となっている「基本枠線」エフェクトを右クリックすると「コピーをMotionで開く」というメニューが出てきます。これを選択すると編集したいテンプレートのオリジナルをコピーしてからMotion5が起動します。

FCPXから直接Motion5を起動できる

Motion5画面中央のレイヤーリストを見ると、「Effect Source」に「Simple Border」というエフェクトを適用しただけです。この順序ではソースとなる画像に枠線がつけられた後にクロップ処理がされるのではと推測。そうだとすると、せっかくつけられた枠線がクロップ処理で消えてしまう現象と符合します。

FCPX付属の「基本枠線」エフェクトの中身をMotion5で表示


2. 「Simple Border」エフェクトの適用順序を最後にする


 ならば枠線をつける処理を最後に回せば解決するのではないかと考えました。作業は簡単です。「Simple Border」エフェクトをドラッグして、「Group」へドロップするだけです。これで元画像をクリップした後に枠線をつける処理が来るはずです。

「Simple Border」エフェクトの適用場所を変える

これだけで解決できると思ったのですが、FCPX側でクロップすると今までと同じように枠線が消えてしまいました。どうもFCPXのクロップは「Effect Source」のクロップとは違う場所で行われているみたいです(初心者の為これ以上の原因究明はギブアップです)。ならば明示的に「Effect Source」のクロップパラメータを公開してやることにしました。


3. 「Effect Source」のクロップパラメータを公開


 「Simple Border」エフェクトが適用される前に「Effect Source」のクロップを有効にするためパラメータを公開します。レイヤーリストで「Effect Source」を選択してから、インスペクタ、情報を開きます。クロップのチェックボックスをオンにして、マウスを持って行ったときに現れる右端の三角形をクリックします。メニューが出てきますので公開を選びます。クロップのチェックボックス以外に、左右上下の四つのスライダーも同様に公開します。

「Effect Source」のクロップ関連パラメータをすべて公開

ちゃんと公開できたかどうか確認しておきましょう。レイヤーリストで「Project」を選択してからインスペクタ、プロジェクト、公開を開きます。これが公開されたパラメータですので、間違いないか確認します。また、ここでの値がFCPXで使用する際の初期値になりますので、よく使う値に変えておきましょう。例えば枠線の太さや色です。

公開されたパラメータの確認と初期値の設定


4. 保存して完了


 修正できましたので保存します。「基本枠線コピー」という名前になっていますので、そのままでよければメニューバーからファイル>保存を、別の名前にしたければファイル>別名で保存を選びます。

修正が終わったエフェクトテンプレートを保存もしくは別名で保存

保存の際に上書きが選ばれると、FCPXテンプレート保護のため(?)オリジナルを上書きするかどうか改めて聞かれます。もともとコピーを修正していますのでそのまま上書きしても問題ありません。利用しやすいように「基本枠線(クロップ対応)」という名称にしました。


5. 実際に使ってみよう


 修正の終わったエフェクトをFCPXで実際にテストしてみます。対象クリップを適当な大きさにしてから修正したエフェクトを適用すると枠線が表示されました。ここからクロップしてみますが、始めから用意されているクロップのパラメータをいじるのではなく今回エフェクト内で公開されたクロップのパラメータを操作します。

説明を追加

どうでしょうか。「基本枠線(クロップ対応)」エフェクト内に公開されたクロップのスライダーを動かすと枠線とともに子画面がクロップされるはずです。これで欲しかった機能を持つエフェクトになりました。

 編集中にPinPを利用するシーンはかなり多いと思います。特に写真や地図などを子画面に表示する際には、必要な部分を抽出するためにクロップは必須です。枠線がクロップに対応していると非常に作業がはかどります。
 クロップ量を調整するスライダーだけでは調整量が不足する場合があります。その場合はスライダーの横にある数値を直接変更してしまえば大きくクロップ量を変えることができます。また、Motion5の持つリグ機能を活用すればスライダーによる変動幅を自由に指定することも可能ですので、さらに使いやすくカスタマイズ可能です。

 作成したMotion5テンプレートをGoogleドライブで公開しました。必要に応じてダウンロードしてお使いください。


解決できない問題が残ってしまいました


 しばらく新しい基本枠線エフェクトを使用していて、おかしな動きをすることがわかりました。一連の編集中は全く問題ないのですが、一度FCPXを閉じてから再度開くとクロップのチェックが外れていることがあります。その他の値はそのまま残っていますので、チェックボックスをオンにしなおせば問題ありませんが、適用しているクリップの数が多い場合は面倒です。原因究明をするほどの知識がないため、このままの状態で使用中です。単なるバグかもしれませんが、気持ちの良くない状態のままです。



書き出し時にクロップが無効になる事象が発生


 書き出しが完了した動画を見ていたら指定したクロップが無効になっているものを発見しました。編集中の画面では新しい「基本枠線」エフェクトで指定したクロップがちゃんと適用されているにもかかわらず、書き出した動画にはクロップが効いていません。これでは使えません。原因を探らねば.....

(2016年6月15日追記)



どうも静止画の時だけうまく働かないようです


 FCPXで編集中にはクロップ後の画像にちゃんと枠線がついているのですが、作品を書き出してみるとクロップが無効になっている問題を追求中です。いろいろテストしてみると、対象が動画の場合はうまく機能しているようで、静止画だとダメみたいです。Effect Sourceに静止画をドロップした際の挙動が違うようですが、現時点では原因不明のままです。

(2016年7月1日追記)


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