2017年12月17日日曜日

DACをI2S接続にしてさらに音が良くなったラズパイ・オーディオ


 5千円前後で手に入る超小型LinuxコンピューターのRaspberry Piでラジオやオーディオ環境を見直ししています。実際に耳で聞こえる音を作り出すDACについては、手持ちのUSB接続タイプを利用してきましたが、音が良くなると噂されているI2S(Inter-IC Sound)タイプを試してみました。秋月電子で見つけたIQaudIOのPi-DAC+です。税込4,290円とRaspberry Pi本体と同じくらいの価格でしたので、結構するなというのが最初の印象でした。

秋月電子で手に入れたPi-DAC+


高音質ヘッドホンアンプ付きハイレゾDACとしてはお買い得


 購入後にスペックを改めて見てみると、192KHz・24ビットのハイレゾ対応DAC(バー・ブラウン製PCM5122)と高音質ヘッドホンアンプ(TI製TPA6133A)を使っています。これだけでハイレゾオーディオが楽しめる製品ですので、むしろお買い得だったかもしれません。

Raspberry Piに接続するだけでハイレゾオーディオが楽しめるPi-DAC+

他にもハイレゾ対応のDACがありますが、中には2万円を超えるようなものまであり、ちょっとお試しというわけにはいきません。とりあえずこれでUSBタイプとの違いをじっくりと聴き比べて見たいと思います。


I2S DACの設置と設定は超簡単


 取り急ぎバラック状態で音を出してみます。Raspberry PiのGPIOヘッダーピンにDACを差し込むだけで設置は完了です。ヘッドホンやRCAプラグを抜き差ししますので、ぐらつかないように4本のボルトでRaspberry Pi本体上にしっかりと固定できるようになっています。

Pi-DAC+を取り急ぎ接続して音を出してみる

DAC基板を乗せたら、次はVolumioの設定変更です。システム設定の「プレイバックオプション」で、「出力デバイス」をI2S接続の「IQAudIO DAC Plus」にします。このDACはハードウェアによるボリュームコントロールができますので、同じページにある「音量オプション」の「Mixer Type」を「Hardware」にします。

Volumioのシステム設定でDACを指定

これだけで接続したI2S DACから音が出るようになります。音量はVolumioのプレイバック画面で調整できますが、最初はヘッドホンを頭に乗せずに音を出すようにしてください。いきなりの大音量で耳を痛めてしまう恐れがあります。


DAC付きのRaspberry Piを収めるケースが問題だった


 Raspberry Piは裸の小型コンピューターなので、ケースに収めないと使用するときに大変不便ですし、故障させてしまう可能性も出てきます。拡張ボードにも対応しているケースを使っていましたが、購入したPi-DAC+が入りませんσ(^_^;)

ケースの出っ張りに引っかかってDACが入らない

RCA端子とヘッドホンジャックが基板横に出ているので、この部分はケースを加工しないと収まらないだろうとは考えていましたが、ケースの出っ張りに当たってDAC基板そのものが入りません。さらに、4本の固定ボルトを通す穴がケースの仕切板にありません。ケースを買い換えるか、大胆に加工するか二者択一の選択を迫られました。とりあえず、ニッパーとヤスリを用意して力ずくで邪魔な部分を取り除いてみました。

まず4本の固定ボルトが通るように加工

DAC基板の方も横にバリが出ていたので、ヤスリで削りました。なんとか基板そのものがケースに入る状態にしてから、今度はRCAピンジャックとヘッドホン端子がケースから顔を出すように、ケースの横を削ります。

RCAとヘッドホン端子が顔を出すようにケースの横を削る

比較的柔らかい樹脂製でしたので、ニッパーで雑に切り取った後をヤスリがけして一時間程度で加工できました。DAC基板を収めてみると、いい感じで合体できました。

ケースを加工してなんとかDACを収めることができた

この状態でも使えないことはないのですが、金属のものを落としたりしたら故障する危険があります。なんとか上蓋も取り付けられるよう、RCAピンジャック部分を切り取りました。

RCAピンジャック部分を切り取った蓋

DACから出ているピンヘッダーがケースに収まらず、蓋は完全には閉まりません。一応内部基板を隠すことはできましたので、格好は悪いのですが、このままで大丈夫でしょう。


I2S DACはなかなかいい音が出る


 受信環境を整備したフルデジタルFMチューナーを使い、メモリーオーディオレコーダーでチューナーのデジタル出力から直接録音した音源を聴いてみました。いい音が出ます(^ ^) ヘッドホンで聴いていることもありますが、音の粒立ちがはっきりしてクリアな音です。192KHz・24ビットのハイレゾ音源も再生してみました。音飛びもなく、クリアな音を聴かせてくれます。これはいいですね。

192KHz・24ビットのハイレゾ音源も快適に再生できる

48KHz・16ビットでエアチェックしたFM番組やハイレゾデータがいい音で聴けましたが、USB接続のDACと一番違いを感じたのは、先日セットアップしたラジオサーバーで自動録音したHE-AACの圧縮音源です。わずか48Kbpsの帯域しかないオーディオデータですから、USB DACで聴いているときは、どこか物足りなく我慢しながら聴いていました。これをI2S DACで聴くと、明らかに音質が向上しています。DACチップとの相性なのかもしれませんが、HE-AAC圧縮の音を実に見事にアナログに戻してくれているようです。ラジオサーバーで録音する音楽番組がますます楽しみになりました。


モバイルバッテリーで給電すればポータブル・ハイレゾプレイヤーの完成


 せっかく小型にまとめられていますし、ヘッドホンで楽しめるハイレゾプレイヤーです。ネットワーク接続は無線LANなので、電源コードから解放されれば、ポータブルのハイレゾオーディオプレイヤーとして使用できます。Raspberry Piは5Vの電源をマイクロUSB端子から受け取ります。仕様では最大2A程度の電源が要求されますが、再生中の消費電流は実測値で300〜400mA程度でした。モバイルバッテリーを繋げば数時間以上楽しめるポータブルプレイヤーの出来上がりです。

モバイルバッテリーから給電すればポータブのハイレゾプレイヤーになる

同様の使い方はiPhoneでも可能ですが、音はハイレゾにはなりません。聴き比べてみると明らかに違いがあります。ハイレゾ音源も圧縮されたHE-AAC音源も楽しめるラズパイ・オーディオ。合わせて一万円もかからないシステムからこんなにいい音が出てくるなんて、まるで夢のようです。



ライン接続からヘッドホンにした時の音量に注意!


 DACにヘッドホンアンプが内蔵されているため手軽に利用できるのですが、ちょっと痛い思いをしました。普段ミニコンポにライン接続して聞いている時は、ハードウェアのボリュームコントロールを最大(100%)にしないと音量が不足します。知らずにその状態のままでヘッドホンを繋いでしまうと、耳に当てなくても聞こえるほどの大音量が出てしまいます。耳に装着していたら鼓膜を傷めてしまうほどですので、ヘッドホンに切り替える前に必ず内臓のボリュームコントロールを調整しておく必要があります。

VolumioからDACのハードウェアボリュームが調整できるのは便利だが注意点もある

欲を言えば、ライン接続用とヘッドホン用別々のボリュームコントロールがあれば最高ですが、この価格でそこまでは無理でしょうねσ(^_^;)

(2018年1月18日追記)



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