GoProで撮影した動画を編集する際に、映像の方は色々と手を加えているのですが、音の方は基本的にレベルの調整くらいしかやっていませんでした。ノイズが多い時や一部の音を強調したい時に、たまにエフェクトを使うくらいです。普通のGoProと小型のSessionを使い分けていますが、Sessionの音声はモノラル録音なんですよね。マルチカム撮影で、ステレオ録音された音が別にある場合は、Sessionの音をサブとして使えば問題ありません。しかし、Sessionしか使っていなかった時にはモノラル音しか使用できず、音的に少し寂しい作品になってしまいます。
モノラルしかないSessionの音を何とかしたい
使用している編集ソフトのFinal Cut Pro X(FCPX)は、5.1チャンネルのサラウンドオーディオが扱えることは知っていましたが、今まで使用したことはありません。Session一台だけで撮影したサイクリング時の動画を眺めていたら、どうにも音が寂しいのが気になりました。
小型で手軽に使えるSessionだが録音はモノラル |
勉強も兼ねて、今後のためにFCPXのサラウンド機能を使ってどんなことができるのか試してみました。Sessionで実際に収録された動画とFCPXに入っている効果音を組み合わせて、音をいじってみました。
意外に簡単だった5.1チャンネル・サラウンド化
映画の効果音のような厳密な意味での5.1チャンネルではありません。重低音専用のチャンネルなどは何もしていませんが、今まで編集時に「ステレオ」モードしか使ったことのない初心者が「サラウンド」モードに初めて挑戦した時の記録です。
1. 最初にプロジェクトのオーディオ設定を「サラウンド」にする
FCPXでの編集作業の最初に必ずプロジェクトの作成を行いますが、その際にオーディオの種類として「サラウンド」を指定します。通常は「ステレオ」で作成していると思いますので、出来上がったものを変更するにはブラウザーで該当するプロジェクトを選び、インスペクタの変更ボタンを押します。新規作成時と同じプロジェクトの指定画面が出ますので、ここでオーディオ指定を変えてやります。
プロジェクトのオーディオ設定を「サラウンド」にする |
2. パン(定位)のモードを複数あるサラウンドから選ぶ
次に、音の広がりを変えてやりたいオーディオクリップを選択してから、パン(音の定位)のモードを変えます。モードには複数の選択肢が用意されていますので、意図したものに近いものを選びます。
やりたいことに近いサラウンドモードを選び、パンの動作を指定する |
まだまた使いこなせていませんので十分な説明はできませんが、それぞれのモードは概ね次のような働きだと思います。*マークの付いたモードでは音が動いて聞こえることを狙っていますが、そのままでは動きません。パンの量などのパラメーターをキーフレーム等で変化させてやる必要があります。
基本サラウンド:
元の音声がモノラルであればサラウンドのセンターに、ステレオであれば前方の右と左のチャンネルに配置されます。形式はサラウンドに変わりますが、聞こえ方は元のままです。
スペースを作成:
元の音声を汎用のサラウンド空間を考慮した配分にします。とりあえずサラウンド空間の音に変えたい場合はこれを使います。
ダイアログ:
サラウンドのセンターに多めに音を集めます。人の話し声などが前方中央から聞こえてくる状態を作ります。
ミュージック:
音楽が空間に広がるように信号を各チャンネルに配分します。コンサートホールなどの状態にしたい場合に使用します。
アンビエンス:
周りに広がる自然の音を再現するために、後方のサラウンドチャンネルに多くの音を振り分けます。街中のざわめきなどを再現するのに役立ちます。
円形*:
聴く人の頭の周りで蜂がブンブンと飛び回っているような効果を出します。
回転*:
円形に似ていますが、こちらは聴く人が回転している状態を作ります。上の円形との違いがいまひとつはっきりしていません。
後方から前方*:
後ろから前に音が移動するような効果が出せます。
左サラウンドから右前方*:
左後方から右前方へ移動しているような効果が出せます。
右サラウンドから左前方*:
右後方から左前方へ移動しているような効果が出せます。
3. サラウンド空間内での位置やパラメータを調整する
パンのモードを選んだ後に、音の動きをつけたり効果の調整を行います。音源が動いているような効果を出すためには、パンの量を時間の経過とともに変化させる必要があります。再生しながらスライダーをマウスで動かしてやれば感覚がつかめますので、あとは必要なタイミングにキーフレームを追加して、その時の値を決めます。
音に動きを出すためにパンの量(回転や位置)を時間とともに変化させる |
パンの量を変化させるだけでも大変面白い効果が出せますが、さらに自分(聞く人)の位置を変えてみたり、スピーカーの一部を止めてみたりして、効果を確認してみます。丸いサウンドパンナーの中心にある点をドラッグすると、自分の位置が変わります。
サラウンドパンナーで聞く位置と周りのスピーカーをコントロールできる |
さらに細かなパラメーターが用意されていますが、この段階では試してみる余裕がありませんでした。そもそも、5.1チャンネルオーディオをちゃんと再生できる環境を持っていません。編集作業はヘッドホンを使用して行いましたので、これ以上は別の機会に試してみたいと思います。
4. サラウンドオーディオで書き出す
サラウンド空間で必要な音づくりができたら、その状態を保ったままでファイルに書き出しておきます。FCPXの共有ボタンを押せばいつものように動画ファイルが保存できますが、オーディオがステレオになっている場合があります。その場合は「設定」を押して、オーディオ・フォーマットを5.1チャンネルに変えてやる必要があります。いつも使っている「Webホスト」ではステレオ以外選べませんでした。
オーディオが5.1チャンネル(サラウンド)になっていることを確認してから保存 |
でもYouTubeにアップするとステレオに戻っちゃう
いつも完成した動画はYouTubeにアップしています。今回の習作を一度アップした後にダウンロードして確認したみたところ、ステレオに変換されていました(泣)。サラウンドのままでYouTubeに置いておけるのか現時点では不明です。
サラウンドの動画をYouTubeにアップしてからダウンロードするとステレオになってしまう |
ただし、一度サラウンド空間で音を配置してやったものと、最初から最後までステレオで左右の位置調整しかしていないものとでは、完成後にステレオで聴いても明らかに違いがありました。サラウンド空間で音をパンさせると、全てのチャンネルが複雑に絡み合っているようです。最終的にステレオになったとしても、途中で付加された空間の音はそのまま残ります。百聞は一見に如かずです。ストーリーが何も無い動画ですが、サラウンド空間での音の編集効果を聴いてみてください。音圧は低めで編集してありますのでボリュームを上げ気味にし、できればヘッドホンかサラウンドシステムで聴いていただければ、より効果が確認しやすいと思います。
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