2016年1月18日月曜日

マウントの鬼 自転車へのアクションカメラ取付け試行錯誤の記録


 バランスをとりながらアクセルを一捻りすればあっという間に風の中に飛び込んでいけるオートバイも好きですが、自分の力だけで思った場所をどこまでも走っていける自転車も大好きです。どちらも車では味わえない光景やスピード感を堪能できます。その感動を映像で伝えたいと思い、GoProをはじめとしたアクションカメラ(ウェアラブルカメラ)を使用して撮影を続けています。

 迫力のあるシーンや安定した画像を撮るために、多くのマウント類や取り付け方法を試行錯誤してきました。バイクへのアクションカメラ取り付け試行錯誤の記録はすでにまとめてありますので、今回は自転車(ロードバイク)でのアクションカメラ取付けの試行錯誤についてまとめてみました。


実用的な映像が撮れる自転車への取付け場所と使用マウント


 アクションカメラの取付け場所は大きく二つに分けられます。一つは自転車、もう一つはサイクリスト自身です。最近の小型軽量なアクションカメラであればどんな場所でも取り付けて撮影することは可能ですが、撮れた映像が実用的かどうかは微妙です。見る人が不快に感じることなく、なおかつ撮影者が意図した内容を伝えられる取り付け位置を選ぶ必要があります。

 実際にテストしてみた取り付け場所と使用マウントは下図の通りです。次のような撮影者の意図により適する取り付け場所は異なります。
  • 進行方向前方か、後方か
  • サイクリストの視線に近い景色か、スピード感のある路面近くか
  • あえて自転車やサイクリストの一部を写し込むか、などなど

使用したマウントベース
略号 製品名称・型番・購入価格 外観 主な取付け場所
BM REC-MOUNTS
バーマウントタイプ4(17〜64mm)
  REC-B46-GP
2,082円
・シートポスト
HD REC-MOUNTS
ハンドルバーマウント・ダブル
  REC-B31
4,320円
・ハンドル下部
RM GoProロールバーマウント
  GRBM30

3,482円
・ハンドルステム
WB Ecandy
360度回転リストバンド

1,050円
・腕/手首/足首
・ヘルメット
QR REC-MOUNTS
クイックリリースマウント
  REC-B63-GP
2,240円
・フロントハブ軸
・リアハブ軸
SM GoProスポーツマンマウント
  ASGUM-001

8,939円
・ハンドルバー
・シートポスト

GoPro用には純正品やサードパーティ製の豊富なマウント類が発売されていますので、取り付け場所に応じた最適なものを選択できると思います。GoPro以外のカメラを入手した際にも、GoProのマウントベースが活用できる変換アダプターがありますので、無駄にはなりません。どうしても市販品で満足できない場合は、3Dプリンターで自作してしまうのも最近の解決方法です。Panasonic HX-A1Hをサブカメラとして購入後、振動に強い風防機能つき変換アダプターを3Dプリンターで自作して活用しています。便利な世の中になったものです。

 各取り付け場所から撮影した実際の映像をショートビデオにまとめてみました。



自転車へアクションカメラを取り付ける際の考慮点


 路面からの振動をショックアブソーバーが吸収してくれるオートバイとは異なり、自転車(ロードバイク)は路面の振動がダイレクトに伝わります。できるだけ振動しない場所に、強固に取り付ける必要があります。

ハブ軸からの撮影が最も安定している


 車輪をしっかりと固定しているハブ軸にREC-MOUNTS製のクイックリリースマウントを使用してカメラをセットしたものが最も安定した画像が撮影できました。金属製のマウントでハブ軸に締め付けられますので、余計な振動をしないためだと思います。

最も安定した画像が撮影出来るハブ軸へのマウント

前後どちらの方向に向けても車体やサイクリストが写り込んでしまいますが、画像の安定度はピカイチです。路面に近い位置からの撮影ですので、実際より早いスピード感が得られます。

二番目はシートポストからの画像


 REC-MOUNTS製バーマウントはシートポストにホースバンドで強力に締め付けられますので、良好な結果が得られます。マウントに付属するホースバンドは工具が必要ですが、ホームセンターで手回し式のものを売っていますので、それに変えれば工具無しで付け外しできて便利です。シートポストに傷がつかないよう、内側に薄いゴムを貼って使用します。

手回し式ホースバンドでシートポストに強力に固定

後方全体を安定して撮影可能です。少し位置を下げてやれば後輪を写し込むこともできるため、自転車らしさを演出する映像も撮れます。

ハンドル(ステム)は結構振動の影響が大きい


 走行中に実際に見ている景色に近い動画を撮るためにはここが最良の場所になります。ハンドルにアクションカメラを取り付けるためのマウントは各社からいろいろ発売されています。値段もピンからキリまでありますが、ここは路面からの振動の影響が出やすい場所です。できるだけしっかりと作られた金属製のマウントを用い、余計な延長アームなどをかませずにカメラを固定してやる必要があります。

 当初は樹脂製のGoProロールバーマウントでステム上部にカメラをセットしていました。ハンドルに近いため、レバーやサイコンが大きく写り込んでしまいます。間に延長用のアームを入れてカメラの位置を高くすれば余計な写り込みを少なくできましたが、今度は振動でブレが大きくなってしまいました。

GoPro純正のロールバーマウントでステム上部にセット

最終的に落ち着いたのが、REC-MOUNTS製ハンドルバーマウント・ダブルを使って上部がサイコン、下部がGoProというセット方法です。金属製でハンドルにしっかり固定できています。カメラの位置は若干低くなりますが、レバーの一部がほんの少し画像の端に映り込むだけです。

現在のメインポジション、前景全体が安定して撮影可能

少し変化をつけるならハンドルバー・エンドにセット


 自身がペダリングしている映像や複数人でツーリングしている時に自分と後方の仲間が同時に撮影出来る面白い画角が得られます。ハンドルバーの末端ですので振動の影響は多少出ますが、アクセントとして使用するカットの撮影には十分実用的です。GoProスポーツマンマウントは高価ですが応用範囲の広いマウントで、直径23mmまでのパイプ部分に強力に固定できます。

GoPro純正スポーツマンマウントでハンドルバー・エンドにセット

サイクリストの体やヘルメットは映像がブレる


 リストバンド式のマウントが安価で手に入りましたので、いろいろ使い道を考えていたらヘルメットの穴にぴったりでした。固定もしっかりとできています。できるだけ軽いカメラがいいだろうと思い、Panasonic HX-A1Hを3Dプリンターで自作したマウントを使ってヘルメット上部にセットしました。

リストバンド式マウントがヘルメットの穴にぴったりでした

ヘルメット自体が頭部に密着するような構造ではないため、どうしてもぐらついてしまいます。撮れた映像はブレの大きなものでした。

 オートバイでは効果の大きい運転者の体への取り付けを自転車でも試してみました。リストバンド式マウントを使って腕にカメラを固定します。

腕にリストバンド式マウントでA1Hを固定

オートバイの場合はライダーの体がエンジンの細かな振動を排除してくれるため、胸部などにカメラを取り付ければ安定した動画が撮影できましたが、自転車の場合はサイクリストが体を一生懸命に動かして走っています。腕に付けたカメラもブレが酷くて見るに堪えないものになってしまいました。あえてブレを表現したい場合以外はサイクリストの体に装着するのは実用的ではないと思われます。

 この他にも足首にセットすればペダリングで回転しているシーンが撮れますし、車輪のハブに取り付ければ回転する車輪と一緒にカメラを回して撮影することもできます。奇抜なアイディアはいろいろ湧いてきますが、撮れた映像を大型テレビで見たら気分が悪くなることでしょう。実用的なセット場所はそう多くはないのかもしれません。面白いサイクリングシーン撮影のため、まだまだ試行錯誤を続けていきたいと思います。



市販品で満足できずオリジナルマウントを自作


 市販のマウントで撮影を行っていると、どうしても満足できない場合やもう少し手軽に使いたい場合がでてきます。今まで経験してきた市販マウントの短所を改善すべく、3Dプリンターで自分専用のマウントを自作して使うようになりました。自転車やオートバイ用に自作した最近のマウントをご紹介しています。売っていなければ作ってしまえる時代ですので、皆さんも是非チャレンジしてみてください。

たくさん持っているCATEYEのライトブラケット用自作マウント

(2016年11月6日追記)



ボールジョイント部を持つ自作マウントも役立ちそう


 ベースマウント固定部からカメラの重心までの距離をできるだけ短くすることが、振動に対しての影響を少なくして安定した映像を撮るための必要条件であることがわかりました。その場合でもカメラの向きや水平の調整がちゃんとできなければなりません。それらの条件を満たすボールジョイント部を持つマウントを自作してみました。

GoPro取り付け部を1インチのボール状にしてしまう自作マウント

(2017年9月7日追記)



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