2017年12月24日日曜日

カスタムLUTがサポートされたFCPXでProtuneの色調整に再挑戦


 プロの世界では編集はFinal Cut Pro X(FCPX)で行っていても、色補正はDaVinci Resolveなどの他のソフトで行うのが一般的だそうです。他のソフトに比べてFCPXのカラー調整機能や操作性が劣っているためだと思いますが、GoProで撮影した動画のカラー調整くらいしか行わない動画初心者にとっては、複数のソフトを使いこなすのはハードルが高過ぎます。迫力のあるスポーツシーンの撮影ではGoProの標準設定のままで満足な映像が撮れますが、桜や菜の花などの映像には不満が残りました。そんなことがきっかけになり、GoProのProtuneモードを初めて試してみたのは、購入してから三年も経った頃です。記録された眠たい映像を見て驚きましたが、正しい後処理をしてやれば花の色も標準設定では得られない品質にすることができました。問題はこの後処理の方法と手順です。色補正の知識も経験もない動画編集初心者には、ほぼ自動でProtuneの色補正が完成するGoPro Studioが最も使いやすいツールでした。ただし、その後の編集作業には機能不足で、どうしても使い慣れたFCPXを使わざるを得ません。初めからFCPXだけで作業できれば完璧です。

Protune素材の色調整はGoPro Studioが簡単だが、FCPXの新機能で再挑戦してみた


FCPX 10.4の新機能が使えそう


 つい先日、FCPXがアップデートされて10.4になりました。「360 VR編集」と「高度なカラーグレーディング」の二点が主な新機能として紹介されています。360度映像は撮影機材もVRゴーグルも持っていませんので、今回は関係なしですが、高度なカラーグレーディングは大いに期待できます。中でも「カスタムLUT」が利用可能になったことと、複数の調整パネルに分かれていたカラーコントロールが一つのカラーホイールパネルに統合されたことが再挑戦の意欲を掻き立てました。

・カスタムLUT


 LUT(Look Up Table)は色変換のためのテーブルで、カメラメーカーが自社の製品用に提供しているものと、ユーザーが独自に作成したものとに大別されます。SonyやCanon、Panasonicなどのカメラメーカーからそれぞれの製品向けにLUTが提供されていますが、残念ながらGoProのメーカーからは提供されていないようです。調べて見ると、独自に作られた色々なProtune用LUTがネットで公開されていました。今回は、その中からGROUNDCONTROLのFREE GOPRO PROTUNE TO REC.709 LUTを試してみました。

 使い方は超簡単です。LUT適用の方法は二通りあり、一つはブラウザーにあるクリップに適用する方法。もう一つはタイムライン上のクリップに適用する方法です。ブラウザー上でLUTを適用してしまえば、その後そのクリップをタイムライン上で利用する際にも全て同じLUTが適用された状態となります。

ブラウザーのクリップにLUTを適用

一方、実際に使用するクリップ毎にLUTを適用したい場合は、エフェクトの「カスタムLUT」を該当するタイムライン上のクリップにドラッグ&ドロップします。その後、インスペクターで適用するLUTを指定します。

タイムラインの個別クリップに「カスタムLUT」エフェクトを適用

・統合カラーホイール


 前バージョンまでは色補正を行うには、カラーボードの「露出」、「サチュレーション」、「カラー」の三つのパネルを切り替えながら調整を行う必要がありました。作業に慣れない初心者にとって、この三つを行ったり来たりしているうちにわけがわからなくなり、一旦全部リセットしてからやり直しという事態に何度も陥り、そのうちやる気が失せてしまったものです。DaVinci Resolveの統合されたカラーホイールを初めて見たときは、いかにも使いやすそうで憧れてしまいました。今回のアップデートでFCPXにもやっと、この統合カラーホイールが備わりました。

三つのパネル切り替えが必要だったカラーボードから統合されたカラーホイールへ

調整後の画面やビデオスコープを見ながら、この一枚のカラーホイールパネルだけで調整が進められますので、格段に使いやすくなりました。さらにパネル下部には、色温度や色合い、ヒューの微調整も可能なスライダーが用意されています。思考を中断することなく色補正作業が継続できます。カラーホイール以外にも、「カラーカーブ」と「ヒュー/サチュレーションカーブ」が追加になっており、これでやっと他のソフトと肩を並べたという印象です。


実際のProtune素材の色補正作業


 実に眠たい感じのProtune素材を、FCPXを使って手作業のみで色補正するのは大変でした。偶然、希望に近い色が出せたとしても、それが正しい色なのかどうかも自信が持てません。LUTを使うことによって、ある程度標準的な補正はワンタッチで完了しますので、その後にカラーホイールなどで微調整して仕上げます。

Protuneで撮影した素材画像は実に眠たい色合い

手順1. LUTを素材に適用


 入手したLUTはメーカー提供のものではありませんから、少なからず作者の嗜好が含まれているようです。Protuneで撮影された素材にネットで拾ってきたLUTを適用してみると、眠たい感じは大きく改善されますが、まだまだ満足できる状態ではありません。下の例で言えば、全体の明度が低く、赤と青のバランスが悪いようです。

LUT適用直後、まだまだ補正が必要な状態

手順2. ホワイトバランスを調整


 当初、LUT適用後にいきなりカラーホイールで補正作業を始めていましたが、ホワイトバランスの調整を先にしてみたところ、その後の作業がぐっと楽になりました。今回のアップデートで手動ホワイトバランス調整の機能が追加されましたが、先ずは自動で調整してみます。やり方はクリップを選択し、ビューア下部の「補正」ポップアップメニューから「バランスカラー」を指定するだけです。

自動バランスカラーを適用

左側のビデオスコープをLUT適用直後と比べて見れば、RGB各色のバランスが取れていることが一目瞭然です。これは使えます。映像中に明確な白い部分が含まれていれば、手動でホワイトバランスを調整することも可能です。この作業完了後、手動調整しなくても満足できる結果が得られたこともありました。

手順3. カラーホイールなどで手動調整


 LUTとバランスカラーは適用するだけです。パラメータなどの変更はありませんから、ここまでは自動で色補正が進んできました。まだ満足できる色になっていなければ、ここからカラーホイールなどを使用して初めての手動調整に入ります。

最後の仕上げにカラーホイールで調整

今までは、最初の眠たい画像の状態から手動調整を始めていましたので、かなり難しい作業でしたが、最後の微調整のみならば初心者でも何とかなります。「露出」、「サチュレーション」、「カラー」をベクトルスコープと画面を頼りに調整します。これならば、FCPXだけでもProtune画像を活用できそうです。


「ヒュー/サチュレーションカーブ」でもっと色補正を活用


 DaVinci Resolveで多少いじったことはあるのですが、FCPXで一連の作業として「ヒュー/サチュレーション」の調整をしてみました。これ、とっても面白くて使える機能ですね。スポイトで画面から特定の色(ヒュー)を選択します。右のカーブ上にその色に該当する部分がマークされますので、それを上下にドラッグして「ヒュー(色)」や「サチュレーション(彩度)」、「ルミナンス(明度)」を変えることができます。操作は簡単です。

色々使えそうな「ヒュー/サチュレーションカーブ」

 ヒュー対ヒュー

特定の色を別の色に置き換えることができます。上の例では、黄色い菜の花をピンク色に変えてしまいました。まるで別の花になったようです。面白いですね。

 ヒュー対サチュレーション

指定した色の彩度を変化させられます。菜の花の黄色と空の青色の彩度を上げてみました。真っ青な空と黄色い菜の花がより強調された映像が出来上がりです。


 ヒュー対ルミナンス

指定した色の明度が変化できます。上の例では、青空を明るくしてみました。明るくすると色が薄まって見えますので、同時に彩度も上げてやればもっと強い効果が出せます。


これでFCPXだけでProtuneが活用できそう


 FCPXの新機能を使って一通りの作業を経験してみると、Protune映像をFCPXだけで活用することができそうな気分になってきました(^ ^) 使用したLUT以外にも色々出回っていますので、他のものも試して見る価値はありそうです。LUT適用だけで、もっとイメージに近い補正が完了しているものが見つかれば、さらに調整が簡単になります。

LUTが使えるようになり、FCPXのみでのProtune活用に光が差してきた

ただし、カラーグレーディングと呼ばれる自在な色補正までにはまだまだ長い道のりがありそうです。だいぶ前に購入していた入門書ですが、読んでみるととても入門者向けとは思えない高度な内容で、途中でくじけています。今回、LUTやヒューカーブなどに実際に触れることができましたので、改めて読み進めてみようと心に誓いました。

なかなか読破できない「カラーコレクションハンドブック」

実際のGoPro Protune映像とFCPXでの色補正後の映像を動画にしてみました。まだまだ荒削りですが、なんとか使えそうです。





2017年12月21日木曜日

自転車で走りながらルートを組み立てる谷津道パズルは最高の脳トレ


 適度な負荷の有酸素運動が健康に良いのは疑う余地はありません。健康志向の高まりから、各地のジョギングコースやサイクリングロードは大変賑わっています。良い歳をしてロードバイクに乗り始めた我が身にとっても他人事ではありません。同じ運動をするのなら、少しでも健康面・精神面で役に立つ楽しみ方を心掛けるようになりました。

数時間も走り続けるサイクリングは典型的な有酸素運動

自分の体力に合ったペースで、数時間のサイクリングを楽しんできた日は、体も軽く夕食も美味しくいただけます。綺麗な景色を眺めながら汗を流せば、溜まったストレスも一気に発散できているようです。運動直後に牛乳をコップ一杯飲めば血液量が増加するとか、運動で骨を刺激すれば骨密度維持に役立つとか、一日中ペダルを回してふくらはぎを動かしているので第二の心臓が鍛えられるとかを信じて走っています。完全にテレビの健康番組に洗脳されているような ....σ(^_^;)


運動しながら頭を使うと脳機能が向上する?


 最近では運動機能面ばかりではなく、脳機能の維持が注目されています。「脳トレ」なる言葉とゲームソフトが流行したのは少し前ですが、今でもシニア層の関心事であることは間違いありません。体を動かしながら頭を働かせることが、脳のトレーニングとして機能の維持に有効だそうです。屋外で早歩きしながら暗算を行うことなどが、トレーニング例として紹介されています。では、サイクリングではどの程度頭を使っているのでしょう。

 車と違い、オートバイや自転車などの二輪車は走行中絶えずバランスを取る必要があります。さらに、転倒の危険が高いため、周りの状況に絶えず気を配り、安全に配慮しています。自転車で走っている間中、このことは頭の中で処理されているはずなのですが、意外に脳への負担は少ないかもしれません。慣れてくると、ほとんど意識せずに対応できるためです。

サイクリング中にどの程度頭を使っているか

走行中に、風向きや勾配の斜度、疲労度、現在時刻や日没時刻、気温などの情報を読み取り、ペース配分に反映させながら走りますので、それなりに頭を使っていますが、走行中ずっと考えているわけではありません。脳への負荷としては中くらいでしょうか。

 ロードバイクを始めた頃は、整備された大規模なサイクリングロードを中心に走っていましたが、現在では自然豊かな谷津の道を探検しながら走っています。車が少なく、色々な動植物と出会えるルートを開拓するのが楽しくて、毎回少しでも異なる道を選んで走っていますので、徐々にお気に入りの谷津道も増えてきました。

こんな快適な谷津道を探しながらサイクリング

千葉県の下総台地を中心に走り回っています。そこを流れる川の周辺に谷津地形が広がり、その中の農道が自転車で快適に走れることに気づきました。ある程度の規模がある谷津の道だけでも30箇所以上、細かいものまで含めればその何倍ものルートを走ってきました。お気に入りの谷津道30選をGoogle Earthで描いてみたのが下の図です(詳細は当記事最後にGoogleマップで紹介しています)。自宅のある船橋から、良く行く目的地に到着するまでに、これらの谷津道を複数組み合わせてバリエーションを楽しんでいます。

下総台地のお気に入り谷津道30選

出発してしばらくの間は、市街地の車道を走らざるを得ませんが、少しでも安全なルートを選び、その後は歩行者が少ない平日であればサイクリングロードを、人の多い週末は市街地の裏道を選んで郊外に向かいます。そこから先は、走行経験のある大小の谷津道をパズルのように組み合わせながら目的の場所を目指すことになります。その日の風向きや気温などでも、途中からルートを変えますので、それこそ無限の組み合わせになります。それぞれの谷津道の断片間を繋ぐルートも、危険のできるだけ少ない車道や裏道を毎回変えながら走るため、頭の中はフル回転しています(^ ^)。記憶を頼りに「ここで曲がればどこに出るんだっけ」などと自問自答しながらです。自分の走り方では、この谷津道パズルが一番頭を使っているように感じます。その証拠に、前日飲みすぎて頭の回転が悪い日には絶対に良いルートが生まれませんσ(^_^;)


寄り道・道草・道迷い どれも脳には良い刺激


 初めての場所を通る機会が増えると、思わず寄り道したくなるようなものを見つけることも増えてきます。休憩代わりにもなりますので、時間の許す限り寄り道優先で走っています。ある日、「奈良の大仏」と書かれた看板を見つけました。千葉県のど真ん中を走っているのに、「何で奈良の大仏?」との疑問が湧き、寄り道したところその地が平将門伝説の場所だと知りました。歴史の勉強にもなる寄り道サイクリングです。

千葉県の下総台地を走っていたら「奈良の大仏」の看板を発見

 自然の雑木林が多く残る谷津の道では、春先から晩秋まで食べられる木の実をたくさん見つけられます。年を追うごとに、見つけられる木の実の種類と量が増えてきました。商売でも始められそうな勢いです。イタドリからキイチゴ、ヤマボウシ、ヤマモモ、アケビ、山椒、ヤマブドウ、サルナシ、ムカゴなどなど、全部タダです。見つけた場所を記憶しておいて、翌年さらに大漁を狙うという楽しみ方をしています。谷津道パズルのルート選びの際に、季節毎の収穫場所も考慮しますのでさらに頭を使います。

サイクリング中に見つけた自然の恵み、全部タダ

 馴染みの谷津道を走っている際にも、道路が分岐している場所に出たら、時間が許す限り知らない方へ曲がるようにしています。そうすることにより、新たなルート開拓にもつながり、ますます谷津道パズルのパーツが増えることになります。

道路の分岐点では知らない方角に進む

時には知らない方角に進んで、走れないような道になってしまうこともあります。でも、車や大型バイクではなく10Kgにも満たない軽量自転車ですので、押し歩きしてさらに前進です。どうしても進めなくなったら引き返せばいいのですから。こんな荒れた道の先が、初めての面白いルートだったなんてことも結構あるため、探検サイクリングはやめられません。

走れないような荒れた道に出くわすことも多い

 気持ち良く下れそうな急坂に出くわしたら、ただ喜んで駆け下りてはいけません。帰路は必ず登りが待ち受けているからです。下りを楽しむ間も「帰りにこの勾配は登れるか?」と自問自答します。脚力も残り少なくなる帰路にこの坂は無理だと思ったら、頭の中で谷津道パズル再開です。遠回りでも勾配の緩い登りのルートを、記憶の中から探し出します。

喜んでばかりはいられない急な下り坂

 川が作った谷津地形にある道を走りますので、川沿いに進むことが多いのですが、最近はちょっと変わった新ルート開拓もしています。高速道路の側道を利用し、道路沿いに進んでみることです。東関東自動車道路を成田方面に、館山自動車道路を木更津方面に探検しながら走ってみました。途中で側道が途切れたり、アップダウンの連続だったりと一筋縄では行きませんが、地図と地形を読みながらのルート開拓は頭脳と体力フル回転です。

高速道路の側道を進んでみるのも面白い

 初めての場所を走る際に、絶えず現在位置がわかるGPSサイクルコンピューター(Edge800J)は大活躍してくれます。読図の基本は現在位置と方角の把握です。それがGPSで一挙にできてしまいますので、なくてはならない谷津道探検サイクリングのパートナーです。ただし、GPSのナビ機能は滅多に使いません。ナビしてくれるルートは車道がほとんどで、自転車がやっと通れるような谷津の道はほとんど出てこないためです。

GPSのナビは車道中心になってしまうため谷津道サイクリングには不適

Edgeシリーズではルート検索方法を「直行」にしてやれば、目的地の方向を絶えず示してくれるようになりますので、こちらの方が利用価値は高くなります。GPS機器を活用しながらも、記憶を頼りに頭の中で谷津道パズルを繰り返しながら汗を流しています。これってやっぱり運動中の脳トレに違いありません。


主観で選んだ下総台地快適谷津道30選


 国道や主要な県道は横断のみ、ロードバイクで快適に走れる谷津の中の農道か林間の舗装路という条件で、8年間下総台地を走り回って見つけたおすすめの谷津道です。アプローチの道も含めてGoogleマップにGPSデータをアップしましたので、拡大すれば詳細な道順が把握できます。あくまでも筆者の経験で選んでいますので、もっと良いルートはたくさんあると思います。皆さんで共有できたらいいですね(^ ^)

1. 手賀沼・印旛沼界隈


 沼の周辺は小さな川が多く、たくさんの谷津地形が広がっていますが、舗装されていない道も多く存在します。マウンテンバイクなどで走れば、もっと多くの場所を楽しめると思います。


2. 成田界隈


 成田空港周辺は交通量が多いため、できるだけ車道は使いたくないものです。こんな時に国道や県道と並走する谷津道は利用価値大です。飛行機を見ながら全力で走れば、気分はまるでトップガンのトムクルーズσ(^_^;) 広い九十九里浜を目指す際に、色々なルートが選べるのもこの地域の良いところです。


3. 市原・東金界隈


 東金から先は平坦な九十九里平野となり、谷津道は無くなります。牛久ー東金崖線に到るまでの丘陵地帯は変化のある楽しいルートです。国道126号(東金街道)の北側にある林間道か南側にある谷津道を使えば、車道を使わずに千葉市中心部から東金まで行けます。安全で快適です。ダム湖やため池が点在していて、それらを訪ねるサイクリングも面白いですよ〜




下総台地快適谷津道の紹介動画を鋭意製作中


 実際に走行した時のGPSログとGoPro動画や写真を使って、それぞれの谷津道の雰囲気を伝えるための動画制作に着手しました。30件もありますので、時間がかかると思いますが、出来上がったものからYouTubeで公開しています。どんなルートか知りたい場合は、ぜひ参考にしてください。(一部は過去に制作したツーリング動画をアップしてあります)

 アクセスはこちらから → 下総台地の快適谷津道紹介動画集

(2017年12月28日追記)



2017年12月20日水曜日

ついにサドル下にも積載可能に!自転車用トートバッグ改良版


 一升瓶や大根(?)をトップチューブにぶら下げて持ち帰れる自転車用トートバッグを自作したのは少し前のことです。基本構造はただのトートバッグですので、普段の買い物にも利用でき、サイクリング時以外にも活躍しています。畳めばジャージのポケットにも入り、いざとなればリュックにもなるため、出先で買い求めた新鮮な野菜なども持ち帰れるようになり、サイクリングの楽しみ方が益々増えました。

四通りの使い方ができる前作の自転車用トートバッグ


単純な構造ほど応用範囲は広い


 元々、ロードバイクのトップチューブに合わせて設計したため、普段街中で乗っている折り畳み自転車やMTBではトップチューブのサイズが短くて使用できません。近所の酒屋に日本酒を買いに行く際に、なんとか一升瓶が載せられないか工夫してみました。トップチューブ下には取り付けられませんが、シートチューブは十分な長さがあります。トートバッグの手提げ紐をサドルに絡ませてみたところ、一升瓶がしっかりとシートチューブに固定できました。バッグ底部のベルトが振れ止めとなるため、自転車が揺れてもビンが左右に少し動くだけで、フレームにぶつかって割れるようなことはありません。

長いシートチューブを持つ小径車にも一升瓶がしっかり固定できた

サドルは体重を支える丈夫な構造をしています。この部分で一升瓶の重さを支えていますので、実にしっかりと固定することができました。サドルレールにベルトで固定するバッグが一般的ですが、重みでベルトが緩みます。サドル上から20mm幅のベルトを引っ掛けているこの方法では、荷物が重ければ重いほど固定ベルトがサドルに食い込み安定します。

 もう少し車輪の大きなMTBにも載せてみました。こちらはシートポストがビンの高さギリギリで、大きな段差などでショックを与えると、ビンの底が割れそうです。もう少し、一升瓶を高い位置にセットできれば安心できます。

MTBのシートポストにはギリギリで載せられた


サドルに固定する位置を変えられるようにしてみた


 トートバッグがサドルに固定される位置を変えられるように工夫してみました。前作では手提げ紐全面をバッグに縫い付けていましたが、今回の改良版では手提げ紐の下に別のベルトが通せるように隙間を4箇所設けました。

手提げ紐の下を別のベルトが通るように隙間を開けた

この隙間にサドル固定用のベルトを通します。バッグに入れるものの大きさとシートチューブの高さに応じて、固定ベルトの位置を変えればサイズの違う自転車にも取り付け可能になるはずです。

位置を選んで横方向に固定ベルトをセットする

前作では無かった横方向の固定ベルトは次の二種類を用意しました。一つは一番重要なサドル固定ベルトです。20mm幅のアクリルベルトですので、相当な重さまで耐えられるはずです。バックルも前作のものよりも丈夫なものを選びました。自転車のサドルに合わせて、スライダーでサイズ調整可能です。

サドル固定用ベルト、サイズはサドルに合わせてスライダーで調整

バッグ下部の振れ止めなどに汎用的に使用できる横ベルトも一本作っておきました。サイズの大きなものなどを取り付けるときに利用すれば、より確実に積載できます。

色々使える汎用の横ベルト


ロードバイクのサドルに一升瓶が取り付けできた


 前作発表時にも「車で行けば」というたくさんのご意見を頂戴しましたσ(^_^;) が、それではエコではありません。酒蔵の多い房総地区をサイクリングしていますので、旨い地酒を見つけたらその日のうちに買って帰りたいし、四合瓶ではすぐに飲み干してしまうため是が非でも一升瓶を持ち帰る必要があります(^ ^)

1. 半分に畳んだトートバッグにサドル固定ベルトをセット


 二つ折りすればちょうど一升瓶のサイズになるバッグです。裏に面ファスナーがあるため、半分サイズのバッグに変身します。この状態で、サドル固定ベルトを適した位置に通しておきます。

半分にして一升瓶サイズにしたバッグにサドル固定ベルトを通しておく

手に入れた一升瓶をバッグに収めて、バッグのベルトとサドル固定ベルトを締めておきます。力一杯締めなくても落ちることはありません。

一升瓶を入れて、横方向のベルトを締めた状態

2. サドルに固定ベルトを引っ掛ける


 この状態でサドルの前方から輪になった固定ベルトを引っ掛けてやれば、手を離しても一升瓶は落ちません。ただし、自転車が倒れないように注意して作業します。

サドルに引っ掛けるだけで一升瓶は落ちない

別の角度からサドル固定ベルトとサドル及びバッグの位置を見た写真です。サドルの縁でバッグが固定されている状態が一番安定します。その位置になるよう事前にスライダーを調整しておきます。

サドルの縁でバッグが固定されている状態

3. バッグ下部をシートポストに固定


 次に、バッグの下部にあるバックルを使い、バッグ(一升瓶)の底部がシートポストに密着するように固定します。ビンが動いてポストから離れると振動でビンが割れてしまいます。動かないようにしっかりと止めます。

バッグ下部にあるバックルを使って、シートポストにしっかり固定

荷物の重量はサドル固定ベルトが支えますので、ここではビンの下部がシートポストから離れないようにするだけです。取り付けはあっという間です。ビンを揺すって固定状態をたしかめます。

完成、一升瓶は左右に少し動くくらい

左右に少し動きますが、振動でビンが暴れるようなことはありません。ベルトの緩みにさえ気をつければ、路面からのショックでビンがシートやシートポストにぶつかることもありません。トップチューブ下に取り付けた場合は、ペダリングの際に脚への干渉がありましたが、ここならばそれも心配ご無用です。サドルにベルトがかかっていますが、レーパンを着用したお尻では違和感はありませんでした。なかなか快適に一升瓶が運べます。普段取り付けているサドルバッグと尾灯を外して、別のバッグに入れるのが少し面倒ですが....


元々がトートバッグなので何でも積載できる


 元々が35cm四方のトートバッグですので、その中に入るものであれば何でもシート下に積載可能です。スーパーのレジ袋でも別のバッグでも構いませんが、こぼれ落ちそうなものはまとめてからトートバッグに入れれば安心です。

トートバッグに入るものなら何でもサドル下に積載可能

ちょっと不恰好ですが、非常用として割り切ってしまえば、あとはアイディア次第です。これから鍋物が美味しくなる季節ですので、大玉の白菜などを買って帰れそうです。サイクリング中に道の駅の農産物直売所をよく見かけますので、活躍してくれそうですね。

かなり見た目は不恰好な積載方法

材料や詳細サイズなどの作り方は前作のものと同じですので、そちらの記事を参考にしてください。異なるのは手提げ紐を縫い付ける際に、横ベルトが通る空間をあけるところだけです。

 自分だけのオリジナル自転車用トートバッグが進化しましたが、これが必要なサイクリストは私以外いないかもしれません。機能的には大満足なのですが、見た目はかなり???です。ロードバイクに一升瓶や白菜を積んで走っている奇妙なオヤジを見かけたら、暖かい目で見守ってやってくださいσ(^_^;)



2017年12月17日日曜日

DACをI2S接続にしてさらに音が良くなったラズパイ・オーディオ


 5千円前後で手に入る超小型LinuxコンピューターのRaspberry Piでラジオやオーディオ環境を見直ししています。実際に耳で聞こえる音を作り出すDACについては、手持ちのUSB接続タイプを利用してきましたが、音が良くなると噂されているI2S(Inter-IC Sound)タイプを試してみました。秋月電子で見つけたIQaudIOのPi-DAC+です。税込4,290円とRaspberry Pi本体と同じくらいの価格でしたので、結構するなというのが最初の印象でした。

秋月電子で手に入れたPi-DAC+


高音質ヘッドホンアンプ付きハイレゾDACとしてはお買い得


 購入後にスペックを改めて見てみると、192KHz・24ビットのハイレゾ対応DAC(バー・ブラウン製PCM5122)と高音質ヘッドホンアンプ(TI製TPA6133A)を使っています。これだけでハイレゾオーディオが楽しめる製品ですので、むしろお買い得だったかもしれません。

Raspberry Piに接続するだけでハイレゾオーディオが楽しめるPi-DAC+

他にもハイレゾ対応のDACがありますが、中には2万円を超えるようなものまであり、ちょっとお試しというわけにはいきません。とりあえずこれでUSBタイプとの違いをじっくりと聴き比べて見たいと思います。


I2S DACの設置と設定は超簡単


 取り急ぎバラック状態で音を出してみます。Raspberry PiのGPIOヘッダーピンにDACを差し込むだけで設置は完了です。ヘッドホンやRCAプラグを抜き差ししますので、ぐらつかないように4本のボルトでRaspberry Pi本体上にしっかりと固定できるようになっています。

Pi-DAC+を取り急ぎ接続して音を出してみる

DAC基板を乗せたら、次はVolumioの設定変更です。システム設定の「プレイバックオプション」で、「出力デバイス」をI2S接続の「IQAudIO DAC Plus」にします。このDACはハードウェアによるボリュームコントロールができますので、同じページにある「音量オプション」の「Mixer Type」を「Hardware」にします。

Volumioのシステム設定でDACを指定

これだけで接続したI2S DACから音が出るようになります。音量はVolumioのプレイバック画面で調整できますが、最初はヘッドホンを頭に乗せずに音を出すようにしてください。いきなりの大音量で耳を痛めてしまう恐れがあります。


DAC付きのRaspberry Piを収めるケースが問題だった


 Raspberry Piは裸の小型コンピューターなので、ケースに収めないと使用するときに大変不便ですし、故障させてしまう可能性も出てきます。拡張ボードにも対応しているケースを使っていましたが、購入したPi-DAC+が入りませんσ(^_^;)

ケースの出っ張りに引っかかってDACが入らない

RCA端子とヘッドホンジャックが基板横に出ているので、この部分はケースを加工しないと収まらないだろうとは考えていましたが、ケースの出っ張りに当たってDAC基板そのものが入りません。さらに、4本の固定ボルトを通す穴がケースの仕切板にありません。ケースを買い換えるか、大胆に加工するか二者択一の選択を迫られました。とりあえず、ニッパーとヤスリを用意して力ずくで邪魔な部分を取り除いてみました。

まず4本の固定ボルトが通るように加工

DAC基板の方も横にバリが出ていたので、ヤスリで削りました。なんとか基板そのものがケースに入る状態にしてから、今度はRCAピンジャックとヘッドホン端子がケースから顔を出すように、ケースの横を削ります。

RCAとヘッドホン端子が顔を出すようにケースの横を削る

比較的柔らかい樹脂製でしたので、ニッパーで雑に切り取った後をヤスリがけして一時間程度で加工できました。DAC基板を収めてみると、いい感じで合体できました。

ケースを加工してなんとかDACを収めることができた

この状態でも使えないことはないのですが、金属のものを落としたりしたら故障する危険があります。なんとか上蓋も取り付けられるよう、RCAピンジャック部分を切り取りました。

RCAピンジャック部分を切り取った蓋

DACから出ているピンヘッダーがケースに収まらず、蓋は完全には閉まりません。一応内部基板を隠すことはできましたので、格好は悪いのですが、このままで大丈夫でしょう。


I2S DACはなかなかいい音が出る


 受信環境を整備したフルデジタルFMチューナーを使い、メモリーオーディオレコーダーでチューナーのデジタル出力から直接録音した音源を聴いてみました。いい音が出ます(^ ^) ヘッドホンで聴いていることもありますが、音の粒立ちがはっきりしてクリアな音です。192KHz・24ビットのハイレゾ音源も再生してみました。音飛びもなく、クリアな音を聴かせてくれます。これはいいですね。

192KHz・24ビットのハイレゾ音源も快適に再生できる

48KHz・16ビットでエアチェックしたFM番組やハイレゾデータがいい音で聴けましたが、USB接続のDACと一番違いを感じたのは、先日セットアップしたラジオサーバーで自動録音したHE-AACの圧縮音源です。わずか48Kbpsの帯域しかないオーディオデータですから、USB DACで聴いているときは、どこか物足りなく我慢しながら聴いていました。これをI2S DACで聴くと、明らかに音質が向上しています。DACチップとの相性なのかもしれませんが、HE-AAC圧縮の音を実に見事にアナログに戻してくれているようです。ラジオサーバーで録音する音楽番組がますます楽しみになりました。


モバイルバッテリーで給電すればポータブル・ハイレゾプレイヤーの完成


 せっかく小型にまとめられていますし、ヘッドホンで楽しめるハイレゾプレイヤーです。ネットワーク接続は無線LANなので、電源コードから解放されれば、ポータブルのハイレゾオーディオプレイヤーとして使用できます。Raspberry Piは5Vの電源をマイクロUSB端子から受け取ります。仕様では最大2A程度の電源が要求されますが、再生中の消費電流は実測値で300〜400mA程度でした。モバイルバッテリーを繋げば数時間以上楽しめるポータブルプレイヤーの出来上がりです。

モバイルバッテリーから給電すればポータブのハイレゾプレイヤーになる

同様の使い方はiPhoneでも可能ですが、音はハイレゾにはなりません。聴き比べてみると明らかに違いがあります。ハイレゾ音源も圧縮されたHE-AAC音源も楽しめるラズパイ・オーディオ。合わせて一万円もかからないシステムからこんなにいい音が出てくるなんて、まるで夢のようです。



ライン接続からヘッドホンにした時の音量に注意!


 DACにヘッドホンアンプが内蔵されているため手軽に利用できるのですが、ちょっと痛い思いをしました。普段ミニコンポにライン接続して聞いている時は、ハードウェアのボリュームコントロールを最大(100%)にしないと音量が不足します。知らずにその状態のままでヘッドホンを繋いでしまうと、耳に当てなくても聞こえるほどの大音量が出てしまいます。耳に装着していたら鼓膜を傷めてしまうほどですので、ヘッドホンに切り替える前に必ず内臓のボリュームコントロールを調整しておく必要があります。

VolumioからDACのハードウェアボリュームが調整できるのは便利だが注意点もある

欲を言えば、ライン接続用とヘッドホン用別々のボリュームコントロールがあれば最高ですが、この価格でそこまでは無理でしょうねσ(^_^;)

(2018年1月18日追記)



2017年12月15日金曜日

快適動画編集 FCPXのサラウンド機能で音の定位をコントロール


 GoProで撮影した動画を編集する際に、映像の方は色々と手を加えているのですが、音の方は基本的にレベルの調整くらいしかやっていませんでした。ノイズが多い時や一部の音を強調したい時に、たまにエフェクトを使うくらいです。普通のGoProと小型のSessionを使い分けていますが、Sessionの音声はモノラル録音なんですよね。マルチカム撮影で、ステレオ録音された音が別にある場合は、Sessionの音をサブとして使えば問題ありません。しかし、Sessionしか使っていなかった時にはモノラル音しか使用できず、音的に少し寂しい作品になってしまいます。


モノラルしかないSessionの音を何とかしたい


 使用している編集ソフトのFinal Cut Pro X(FCPX)は、5.1チャンネルのサラウンドオーディオが扱えることは知っていましたが、今まで使用したことはありません。Session一台だけで撮影したサイクリング時の動画を眺めていたら、どうにも音が寂しいのが気になりました。

小型で手軽に使えるSessionだが録音はモノラル

勉強も兼ねて、今後のためにFCPXのサラウンド機能を使ってどんなことができるのか試してみました。Sessionで実際に収録された動画とFCPXに入っている効果音を組み合わせて、音をいじってみました。


意外に簡単だった5.1チャンネル・サラウンド化


 映画の効果音のような厳密な意味での5.1チャンネルではありません。重低音専用のチャンネルなどは何もしていませんが、今まで編集時に「ステレオ」モードしか使ったことのない初心者が「サラウンド」モードに初めて挑戦した時の記録です。

1. 最初にプロジェクトのオーディオ設定を「サラウンド」にする


 FCPXでの編集作業の最初に必ずプロジェクトの作成を行いますが、その際にオーディオの種類として「サラウンド」を指定します。通常は「ステレオ」で作成していると思いますので、出来上がったものを変更するにはブラウザーで該当するプロジェクトを選び、インスペクタの変更ボタンを押します。新規作成時と同じプロジェクトの指定画面が出ますので、ここでオーディオ指定を変えてやります。

プロジェクトのオーディオ設定を「サラウンド」にする

2. パン(定位)のモードを複数あるサラウンドから選ぶ


 次に、音の広がりを変えてやりたいオーディオクリップを選択してから、パン(音の定位)のモードを変えます。モードには複数の選択肢が用意されていますので、意図したものに近いものを選びます。

やりたいことに近いサラウンドモードを選び、パンの動作を指定する

まだまた使いこなせていませんので十分な説明はできませんが、それぞれのモードは概ね次のような働きだと思います。*マークの付いたモードでは音が動いて聞こえることを狙っていますが、そのままでは動きません。パンの量などのパラメーターをキーフレーム等で変化させてやる必要があります。

 基本サラウンド: 

元の音声がモノラルであればサラウンドのセンターに、ステレオであれば前方の右と左のチャンネルに配置されます。形式はサラウンドに変わりますが、聞こえ方は元のままです。

 スペースを作成: 

元の音声を汎用のサラウンド空間を考慮した配分にします。とりあえずサラウンド空間の音に変えたい場合はこれを使います。

 ダイアログ: 

サラウンドのセンターに多めに音を集めます。人の話し声などが前方中央から聞こえてくる状態を作ります。

 ミュージック: 

音楽が空間に広がるように信号を各チャンネルに配分します。コンサートホールなどの状態にしたい場合に使用します。

 アンビエンス: 

周りに広がる自然の音を再現するために、後方のサラウンドチャンネルに多くの音を振り分けます。街中のざわめきなどを再現するのに役立ちます。

 円形*: 

聴く人の頭の周りで蜂がブンブンと飛び回っているような効果を出します。

 回転*: 

円形に似ていますが、こちらは聴く人が回転している状態を作ります。上の円形との違いがいまひとつはっきりしていません。

 後方から前方*: 

後ろから前に音が移動するような効果が出せます。

 左サラウンドから右前方*: 

左後方から右前方へ移動しているような効果が出せます。

 右サラウンドから左前方*: 

右後方から左前方へ移動しているような効果が出せます。

3. サラウンド空間内での位置やパラメータを調整する


 パンのモードを選んだ後に、音の動きをつけたり効果の調整を行います。音源が動いているような効果を出すためには、パンの量を時間の経過とともに変化させる必要があります。再生しながらスライダーをマウスで動かしてやれば感覚がつかめますので、あとは必要なタイミングにキーフレームを追加して、その時の値を決めます。

音に動きを出すためにパンの量(回転や位置)を時間とともに変化させる

パンの量を変化させるだけでも大変面白い効果が出せますが、さらに自分(聞く人)の位置を変えてみたり、スピーカーの一部を止めてみたりして、効果を確認してみます。丸いサウンドパンナーの中心にある点をドラッグすると、自分の位置が変わります。

サラウンドパンナーで聞く位置と周りのスピーカーをコントロールできる

さらに細かなパラメーターが用意されていますが、この段階では試してみる余裕がありませんでした。そもそも、5.1チャンネルオーディオをちゃんと再生できる環境を持っていません。編集作業はヘッドホンを使用して行いましたので、これ以上は別の機会に試してみたいと思います。

4. サラウンドオーディオで書き出す


 サラウンド空間で必要な音づくりができたら、その状態を保ったままでファイルに書き出しておきます。FCPXの共有ボタンを押せばいつものように動画ファイルが保存できますが、オーディオがステレオになっている場合があります。その場合は「設定」を押して、オーディオ・フォーマットを5.1チャンネルに変えてやる必要があります。いつも使っている「Webホスト」ではステレオ以外選べませんでした。

オーディオが5.1チャンネル(サラウンド)になっていることを確認してから保存


でもYouTubeにアップするとステレオに戻っちゃう


 いつも完成した動画はYouTubeにアップしています。今回の習作を一度アップした後にダウンロードして確認したみたところ、ステレオに変換されていました(泣)。サラウンドのままでYouTubeに置いておけるのか現時点では不明です。

サラウンドの動画をYouTubeにアップしてからダウンロードするとステレオになってしまう

ただし、一度サラウンド空間で音を配置してやったものと、最初から最後までステレオで左右の位置調整しかしていないものとでは、完成後にステレオで聴いても明らかに違いがありました。サラウンド空間で音をパンさせると、全てのチャンネルが複雑に絡み合っているようです。最終的にステレオになったとしても、途中で付加された空間の音はそのまま残ります。百聞は一見に如かずです。ストーリーが何も無い動画ですが、サラウンド空間での音の編集効果を聴いてみてください。音圧は低めで編集してありますのでボリュームを上げ気味にし、できればヘッドホンかサラウンドシステムで聴いていただければ、より効果が確認しやすいと思います。