2016年6月21日火曜日

谷津道探検サイクリング 下総台地と九十九里平野の間の崖道は穴場スポット


 房総半島を自転車で走り回るようになってからだいぶ経ちます。往復の距離を考えると途中で一泊するか、輪行しなければならないため南部に広がる房総丘陵へは滅多に足を踏み入れません。その代わりに房総半島の中央部から北に広がる下総(しもうさ)台地は縦横無尽に走り回っています。標高110メートル前後の長柄ダム周辺から北へ行くほど低くなる地形で、東側には九十九里平野が隣接しています。この下総台地と九十九里平野の間に落差50〜70メートル前後の長い崖が続いていて、東京湾側に流れる川と太平洋に流れ込む川の分水嶺になっています。

 この崖(東金崖線)の近辺には昭和の森や小中池、雄蛇ヶ池、八鶴湖、東金ダムなどの観光スポットが点在していて、自転車で訪れるには絶好の場所なのですが、地図を眺めただけでは自転車で崖を登り下りする快適なルートが見つかりませんでした。

房総半島の地形概略

 東金や大網界隈を繰り返し走り回り、東金街道(国道126号)や大網街道(県道20号)などの主要な自動車道を使わずに崖を登り下りできる裏道の発掘に努めてきました。断片的ながら複数の裏道が見つかりましたので、今まで別々の目的地として訪問していた長柄ダム・小中池(昭和の森)・雄蛇ヶ池・八鶴湖・東金ダムを一気に回ってみることにしました。

東金崖線に沿って長柄ダムから東金ダムまで裏道を走行


長柄ダムから小中池


最近よく行く長柄ダムまでは村田川支流の快適谷津道を使い、一気に下総台地の最高地点に到着です。そこから昭和の森(土気)方面に車道を避けて進みます。昭和の森まで行ってしまうと、崖を下る道が大網街道か公園内の階段になってしまいますので、手前のゴルフ場(東急セブンハンドレッドクラブ)北側にある細い道に入ってみました。入り口に12%勾配の標識が出ていますが、大半が下りですので心配はご無用です。

ゴルフ場横の急勾配を下って行く

ほとんど車は走ってきませんが、ゴルフ場の周りの道はしっかりと舗装されていました。日陰の多い樹林帯を走り、崖を半分くらい下ると視界が開けてきます。

崖を下ると視界が開けます

斜面に作られた棚田のような景色に心が癒されます。春先からだいぶ経ち、聞こえてくるウグイスの鳴き声も見事でした。

崖に隣接した棚田

圏央道の周りの道はまだ工事中の場所もありましたが、きれいに舗装された道が小中池まで続いています。車がほとんど来ないので、ロードバイクで舗装路を快調に飛ばせます。崖の上に昭和の森がある小中池は静かなため池で、冬はたくさんの水鳥で賑わいますが、今はカメたちが我が物顔で水面を泳ぎ回っていました。

静かな小中池、右奥に昭和の森があり階段で登っていけます

小中池は昭和の森の展望台直下にあります。自転車で走れる道を探しましたが、園内から繋がっているのは急な階段の遊歩道だけでした。自転車を押したり担いだりして歩いてみましたがかなり大変です。園内にある下夕田(しもんた)池横の荒れた山道を下るか往来の激しい大網街道(県道20号)を一気に下るかすれば昭和の森から小中池にたどり着けますが、どちらもちょっと勇気のいる道です。


小中池から雄蛇ヶ池


 圏央道の東側まで戻り、大きな住宅地を結ぶ道路を走れば雄蛇ヶ池に簡単に行けますが、走っていてあまり楽しい道ではありません。今回はより崖に近い圏央道の西側の道を探してみました。iPhoneのAppleマップを見ても道が出てきませんでしたが、気にせず小中池から北に進路をとりました。坂を登っていくと素掘りのトンネルが尾根を貫通しています。手で壁を触るとボロボロと崩れてきて迫力満点です。

素掘りのトンネル、落石注意と言われてもね....

大網街道の下を潜り抜け、ちょっと苦しいアップダウンを繰り返しながら進むとJR外房線の大きな橋脚の下を通過しました。この辺りを通る鉄道もかなり勾配の多い地形に苦労しているようです。橋脚の規模に圧倒されました。

JR外房線の大規模な橋脚下を通過

圏央道建設に先立って整備されたと思われる一般道にはほとんど車の姿は見えず、自転車の貸切り状態でした。この時期に涼しさを感じるような場所もあり、真夏のサイクリングでも使えそうなルートです。

鬱蒼とした樹林の中のトンネル、あ〜涼しい

少し行くと季美の森から急坂を下って雄蛇ヶ池まで続く道に合流しました。ここまでくれば雄蛇ヶ池までは何度も走ったことのあるルートです。切り通しの中を登り下りしながら雄蛇ヶ池に到着しました。

雄蛇ヶ池の上に広がる青い空


雄蛇ヶ池から八鶴湖経由で東金ダム


 雄蛇ヶ池から東金ダムへはあとわずかです。距離はありませんが、東金崖線上部にある東金ダムにたどり着くには急登が待っています。いくつかルートはありますが、八鶴湖から一気に登るルートを走ってみました。八鶴湖は御成街道の終着点に当たる場所で、徳川家康が鷹狩りの際に宿泊した東金御殿が建っていた場所です。

御成街道の終着点に当たる八鶴湖

ここから東金ダムまでは最大斜度15%の急登が待っています。ただし距離が短いため、心配はご無用。ダンシングで一気に登れました。

八鶴湖から東金ダムへの急登

東金ダムはときがね湖とも呼ばれ、人口のダム湖です。良く整備された遊歩道がぐるりと一周しているためジョギングやサイクリングも楽しめます。

ときがね湖(東金ダム)


東金崖線を登り下りする裏道は自然がいっぱいの穴場


 下総台地と九十九里平野の間に東金崖線が横たわっているため、自動車道はいくつかの主要な路線に限定されています。それ以外の道路は数も少なく、車はほとんど走っていません。十数パーセントもの急坂ばかりですが、標高差は50〜70メートルほどですのでなんとか気合いで乗り切れます。今回楽しんだ崖沿いの道は下の地図にある30キロほどのルートです(クリックすると動かせる大きな地図が表示されます)。


 こんな裏道ですので、周りには千葉とは思えない自然が残されています。房総地区特有の地層が現れた素掘りのトンネルや切り通しも見ることができます。山間の田んぼやため池、その周りの森にはいろいろな鳥が生息していて、綺麗な囀りを聞かせてくれます。

 小型のPCMレコーダーを持参して、鳥の鳴き声やダム湖の遊歩道で聞こえる音を録音してみました。サイクリングの感動を写真やビデオで残していますが、音を中心にしてみたことはありません。音で振り返るサイクリングの思い出というもの面白そうです。




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