2017年5月7日日曜日

快適バイク生活 リターン親父ライダーの立ちゴケ予防七ヶ条


 三十数年ぶりにリターンして大型バイクに乗り始めた親父ライダーです。乗っているCB1300SBは厚いトルクのお陰で300キロ近いバイクが軽々と加速してくれますが、走り出すまでの取り回し時や低速走行時にはその重さから立ちゴケの不安がつきまといます。

いつまでたっても上達しない大型バイクの取り回し

リターンして4年が経ちましたが、その間立ちゴケは二回経験しました。正確に言えば二回とも取り回し中の転倒です。最初はバックで車庫から出している時、次は路面が斜めになっている場所でメインスタンドを外した時です。

メインスタンドを外した際に転倒させ、タンクが凹みカウルも傷だらけ

「あっ」と思った瞬間にはもう手遅れ。スローモーションでも見ているかのようにゆっくりとバイクが倒れていきました。バイク自体の重さで結構なダメージが発生。二回目はカウルとタンクの交換で高額な修理代がかかってしまいました(涙)


低速走行時の立ちゴケよりも取り回しの方が怖い


 ブレーキやクラッチの操作に慣れてくると、低速走行時にバランスを失って立ちゴケする心配が激減しました。年に数回はホンダがやっているHMSに参加して悪い癖の矯正もしてもらっていますので、スクール以外で運転中に立ちゴケしたことはありません。

低速時にはリアブレーキ中心に操作すれば安定して止まれる

それよりも過去の取り回しの時のミスがトラウマになっているのか、スタンドを外す時や押し歩きをしている時などに絶えず恐怖を感じています。大切なバイクを二度と倒したくないという思いで、次の七つの点に留意しながら乗るようになりました。


其の一: 取り回しの機会をできるだけ減らす


 そもそも苦手な取り回しの機会をできるだけ少なくすれば、転倒させる危険も減ります。取り回しが必要なのは車庫からの出し入れと、駐車した後の発進準備がほとんどです。バイクコンテナを利用していますので、入出庫の際にはエンジンをかけたまま乗車して出し入れするようにしました。コンテナの扉にこする心配は残りますが、両脚で支えられますのでバイクを転倒させる心配は激減します。

緊張はするが転倒はさせないバイクコンテナの出し入れ

観光地や高速道路のパーキングにバイクを停めた後、発進前に取り回しが必要になることが結構あります。頭から駐車スペースに突っ込むと、大抵の場合バックで出さなければなりません。地面が平らならそれほど難しくはないのですが、ほとんどの駐車場は排水のために中央部に比べて周囲は低くできています。この状態で取り回しを行うとなると、バックで坂を押し上げることになります。

駐車スペースに頭から突っ込むと、バックで坂を押し上げなければならない

軽量なバイクであれば問題ありませんが、300キロ近い大型バイクでは動かないこともあります。駐車時に手間はかかりますが、バックで駐車スペースに入れれば、取り回しなしで発進が可能です。大型バイクにリターンしてからというもの、発進の際に出やすい方向と地面の傾きを必ず考えてから駐車する習慣がつきました。バイクショップの店員や免許センターの検定員がバイクを手で押してすごい速度でバックさせているのを見ると、自分もできるようになりたいと思いますが、そうなる前に絶対転倒させてしまいそうです。未熟な親父ライダーとしては安全策を取らざるを得ません。


其の二: 取り回しはバイクにまたがったまま


 バイクの横に立ち、腕で押す取り回しの場合、バイクを反対側に倒してしまう不安が残ります。タンクに腰を当てて、バイクを自分の方に少し傾けてやれば安定しますが、それでも一瞬バランスを崩せば車重のある大型バイクではリカバリーは不可能です。そんな時にはバイクにまたがってから取り回しを行うようにします。

乗車した状態で取り回しを行えば左右の脚で支えられる

バイクの左右に出ている両脚が使えますから、多少バランスが崩れてもバイクを支えられます。CB1300の座面は高くはないのですが、幅があるため足つきは決して良くはありません。両足のかかとがペタッと地面には着きませんから、長い距離の取り回しは無理です。さらに、脚を前後に動かす度に可倒式のステップをパタパタと動かしているようで、可倒式ステップのスプリングが折れたことがあります。メーカーの想定以上にステップを倒していたせいかもしれません。乗車姿勢のままだと脚に力が入らず、勾配や段差がある場合にバイクが動かない場合がありますが、そんな時にはフロントフォークを一旦沈み込ませ、その反動を利用して動かすことができます。ちょっとカッコ悪いのですが、そんなことを気にしている余裕はありません。安全第一でバイクを楽しみます。


其の三: サイドスタンドの出し入れも乗車したまま


 教習所や試験場では、サイドスタンドの出し入れはバイクを降りて行うことになっていますが、疲れている時などは降りた途端にバランスを崩しそうです。重量のあるバイクでは乗車姿勢のままでスタンドの出し入れを行った方がはるかに安心感があります。発進前や降車前にサイドスタンドの状態確認を十分行うことを前提に、立ちゴケリスクの少ない乗車したままのサイドスタンド操作を行うようになりました。

ご注意:サイドスタンドを上げ忘れたまま発進することは大変危険です。教習所で教わる基本には、この上げ忘れを防ぐという重要な意味もあります。最近のバイクにはサイドスタンドの警報装置が付いているものが多いのですが、乗るバイクが毎回そうだとは限りません。乗車後のサイドスタンド出し入れについては、決して推奨しているわけではなく、自己責任でたどり着いた一つの乗り方としてご紹介しています。自分に合った乗り方で、安全にバイクライフをエンジョイしましょう。

乗車姿勢でサイドスタンドを出し入れした方がはるかに安心

以前、サイドスタンドの出し方が不十分で、ライダーがバイクを降りた途端に大きな音を立てて倒れるのを近所のガソリンスタンドで目撃したことがあります。ウィンカーが弾け飛び、何とも恐ろしい光景でした。サイドスタンドは上げる時よりも下ろす時の方がはるかに注意が必要です。一旦下ろしたサイドスタンドを、もう一度足先で確認してからバイクを傾けるようにしています。

 300キロもあるバイクをこんなに小さなサイドスタンドで支えますので、ちゃんと下りていなければ即転倒です。さらに、先端が接地する地面にも注意が必要。夏の暑い時期には質の悪いアスファルトにサイドスタンドがめり込んでしまい、バイクが転倒することもあります。車では考えられないようなリスクがあることを肝に命じてバイクを楽しみたいものです。

こんな華奢なもの一つでバイクを支える


其の四: メインスタンドを使うのは平らな場所で


 現在のトラウマの最大の要因になっているのがこれです。地面の傾きにろくに注意も払わずにメインスタンドを立ててしまい、いざスタンドを外す段階になって右前方向に路面が下がっていることに気づきました。不安にかられながらも、スタンドを外したその途端にバイクが右側に静かに傾いていきます。ハンドルを両手で必死に押さえてもとても止まりませんでした。言い訳のできない単純な不注意です。とにかくメインスタンドを使用する際には、平らでしっかりとした舗装のある場所を選ぶことが重要だと肝に命じました。

ちゃんとしたところなら難しくないメインスタンドの上げ下ろし

ギアをローに入れたままサイドスタンドを出しっ放しにしておけば、メインスタンドを外した際に手前に倒れることは防ぐことができます。後輪が接地した瞬間にハンドルを若干右に切るようにすれば、バイクが左に傾きますのでサイドスタンドが重量を支えて、心配な右側への転倒を防げます。決して難しくはないメインスタンドの使用方法ですが、失敗した時のダメージが大きいので、基本に忠実に行う必要があります。


其の五: Uターンはできるだけ広い場所を探して


 HMSのバランスコースに何度か参加していれば、二車線程度の道幅(5〜6m)があれば簡単にUターンできそうですが、過信は禁物です。十分に走り込んだ後で、体が慣れている状態ならば下のようなUターンの連続も軽々とこなせますが、実際の路上走行中はそう単純ではありません。

HMS埼玉のバランスコースでのUターン練習(GPSデータから再現)

運動機能はその時の疲れ具合や気温などにも左右されますし、何よりたった一度の失敗も許されません。倒し放題?の講習用レンタル車両を使用しているバイクスクールの時とは比べようもないリスクです。できる限り平らで広い場所を見つけてからUターンに入ります。

できるだけ広い場所を見つけてからUターン開始

坂道であったり、路面が荒れているなどの不安要素が少しでもある場合は、バイクを降りて押してもいいし、スイッチバックのように細かな方向転換を繰り返してターンしてもいいわけです。とにかく見た目は気にせずに安全優先でいきます。


其の六: 見通しのきかない曲がり角ではバンクさせない


 カーブでバイクを傾けて走行中に急ブレーキをかけるのは非常に難しいものです。見通しの利かない交差点や曲がり角で、いきなり歩行者や自転車が飛び出してきたら急停止が必要になります。そんな時にバイクが傾いていたら支えるのはまず不可能でしょう。見通しの利かない曲がり角ではできる限りバンクさせずに通過します。

見通しの利かない交差点や曲がり角ではできるだけバンクさせずに通過

ちょうど教習所で習うクランクを通過する時のような走り方で、バイクをできるだけ立ててハンドルで曲がるようにしていれば、ブレーキで停止する際にもバランスを崩すことは少なくなります。リターンしたばかりの頃は、腕や肩に力が入り過ぎてハンドルを押さえつけていました。そのため、セルフステアが利かずバイクを寝かさないと小さなカーブが曲がれないという状態でした。腕や肩の力を抜き、重心をバイクにしっかりと乗せてやればほとんどバンクさせなくても小さなカーブが曲がれることをバイクスクールで体験できたのは大きな収穫です。


其の七: 初心を忘れずカッコつけない


 バイクの操作に慣れてくると、つい狭い場所でUターンを強行したり、渋滞中の車の間をすり抜けたくなったりしますが、改めて初心に帰ることも大切です。どんな状態でも脚で支えることができる、軽量な自転車とは訳が違うということを思い起こすようにしています。ほんの少しバランスを崩したり、軽く接触しただけであっという間に制御不能な状態に陥ってしまうことを常に肝に命じて走ります。何しろ体力の落ちたリターン親父ライダーですので、安全が至上命題です。「また中高年ライダーの事故だ」なんて後ろ指を指されないように気をつけながらバイクライフをエンジョイしたいものです。

いつまでも初心を忘れず楽しみたい


それでも華麗な取り回しには憧れる


 昨年参加したCBオーナーズミーティングでは、八の字押し歩きのタイムトライアルが行われていました。まるで自転車でも扱っているかのように軽々と400ccのバイクを押している参加者達を見ていると、あんな風になりたいと憧れてしまいます。

八の字押し歩きタイムトライアル(昨年のCBオーナーズミーティングにて)

立ちゴケを予防するために心がけているのは、できるだけ取り回しを避けることなのですが、そうしているといつまでたっても上達しません。この辺が痛し痒しなのですが、バイクを転倒させるよりはいいだろうと諦めています。バイクスクールに取り回し専門の科目ができたら是非参加したいと考えているリターン親父ライダーです。


リターン親父ライダー「立ちゴケ防止七ヶ条」の動画


 過去に撮りためた映像の中から、立ちゴケ防止のために心がけている動作をまとめてみました。無理してこんな重たいバイクに乗らなければいいのですが、走り出した時の爽快感は何物にも代え難く、病みつきになっています。同じ思いを抱くリターンライダー諸氏の参考になれば幸いです。




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