2017年5月10日水曜日

電熱ベストの交換用バッテリーに汎用品の18650Li-Ion充電池を活用


 一番寒い時期のツーリングで大活躍してもらった電熱ウェアは、すでに出番がなくなりました。今はクリーニングをして次の出撃まで休憩というところだと思いますが、酷使したバッテリーの状況は確認しておきたいところです。へたったままのバッテリーで次の冬に突入したら、ツーリングの途中で寒い思いをすることになります。

次の冬に備えて綺麗にするのと同じくらいバッテリーの確認も重要

電池切れの心配がないバイクから電源を取る電熱ウェアも自作しましたが、やはり面倒な配線なしで着用できるバッテリー式の電熱ウェアも手放せない存在でした。購入してから4年以上経過しましたので、来期に備えてバッテリーの交換を計画しました。


専用バッテリーの中身は多分普通のLi-Ion充電池


 持っている電熱ベストはRSタイチのe-HEATブランドのバッテリー式です。さすがメーカー品だけあって、自分で作成したテロリストのような怪しい風体のベストとは違います。バッテリーは左ポケットに入れ、その下から出ているコントローラーで電源のオン・オフや強中弱の電力制御を行います。付属のバッテリーの仕様を確認すると、電圧は7.4Vで容量が2600mAhのLi-Ion充電池であることがわかります。

e-HEAT専用バッテリー(7.4V、2600mAh Li-Ionと書いてある)

純正の交換バッテリーをAmazonで探してみたら、なんと5千円以上もします。予備用に二個は欲しいし、ちょっと気軽に買い求められる値段ではありません。Li-Ion充電池で電圧が7.4Vということは、二本を直列にしてコネクターをつけてあるだけでしょう。ここはだいぶ値段がこなれてきた汎用Li-Ion充電池の18650に登場してもらおうと考えました。ピンからキリまでありますが、千円で二本以上購入できるものがたくさんあります。Amazonで評判の良さそうなものを4本購入しました。容量は2600〜3000mAhと書いてありますので、純正品と同等以上あります。

購入した18650 Li-Ion充電池


問題は電池ケースとパッケージング


 専用バッテリーは二本を一つにしてパッケージしてあり、接続用のDCジャックが固定されています。DCジャックは汎用品に同じものがありましたが、二本の電池をどのようにパッケージングするかが問題です。スマートなLi-Ion充電池用のケースを探して秋葉原を探し回ってみましたが、これだというものが見つかりません。結局見つけたのは、ケースなどに固定するために使用する味もそっけもないものでした。

秋葉原で手に入れた18650Li-Ion充電池用ケース

これでは持ち運びや、ベストのポケットに入れて使用する際には、何らかのケースを別途用意しなければなりません。さらに、縦方向のサイズが小さめで、電池の出し入れに苦労します。「18650」とは直径18mm、長さ650mmの電池サイズを表していますが、大抵の製品には保護回路が上部か下部に組み込まれているため、650mmを超えています。メーカーによってもそのサイズはバラバラです。そのためにこの電池ケースがきついのでしょう。


市販品がなければ3Dプリンターで自作してしまおう


 持ち運びがしやすく、電池の出し入れも簡単で、サイズが微妙に異なる18650でも入れられる電池ケースをデザインしてみました。内部が見えるように透明アクリルパイプの上下に蓋をつけて、DCジャックを取り付ける構造です。

上下の蓋とDCジャックのケースは3Dプリンターで自作

アクリルパイプを切断して、3Dプリンターで作成した蓋に押し込めば完成です。電極は市販品を接着剤で貼り付けました。

アクリルパイプと3Dプリンターで作った蓋で電池ケースが完成

電池を入れて蓋を締め、ゴムバンド(大きめのOリング)で蓋が外れないようにすれば使用可能です。ポケットに入れても角が当たらず、内部の電池の種類も見えますので使い勝手の良い電池ケースができたと自負しています。

電池を入れてみたところ、DCジャック部の形状を二通り作成

これでDCジャック部分から、電圧・容量までメーカー純正品と同じバッテリーが二組み準備できました。電池は汎用品の18650ですので、劣化してもすぐに買い換えられます。

ご注意
メーカー側も製品の改良を重ねているようで、度々バッテリーの仕様も変わっています。最近の製品では3.7Vのものになっているようですので、自作する場合には注意が必要です。


外部から直接ベストに給電できるアダプターも作成


 バイクとの接続が不要な携帯型バッテリーでの使用は手軽で、使いたい時にすぐに利用できます。ただし、2600〜3000mAhの容量では1〜2時間で発熱が停止してしまいます。予備のバッテリーに交換すれば続けて使用できますが、走行中にバッテリー交換はできません。長時間走行が予想される時などには、電源を携帯バッテリーからバイクのバッテリーに変更できると便利です。コントローラーと電熱ベスト本体は三つのスナップボタンで接続されていました。それぞれの配線を調べてみると、下図右側のようになっています。ベストのポケットで接続された携帯バッテリーからの電力は、一旦コントローラーのバッテリー(+)端子(赤丸)に入り、制御装置を経由してジャケットのヒーター端子(青丸)に繋がります。

もともとついているコントローラー(右)の代わりに外部電源用アダプターを作成

外部から直接ヒーターに電力を供給するには、この青丸部分に接続すればいいことがわかります。そのために同じサイズのスナップボタンを丈夫な布に留めて、電線を接続しました。布ですから生地が曲がったり折れたりしますので、絶対にショートしないように絶縁に注意します。電線の先にDCジャックをつけて、ここに外部から電力を供給します。
注意が必要なのは、ベスト内のヒーターの仕様は7.4V用ということです。これに12Vのバイクから直接電気をとったら電圧オーバーです。多分使っているうちに火傷するか、発火するか、ヒータが溶けるかわかりませんが非常に危険です。

付いていたコントローラーを自作アダプターに変えれば外部から直接電気の供給が可能

 電圧の違いを吸収し、さらに強中弱などの制御ができる機器を間に入れなければなりません。自作のPWMコントローラーや市販のモーター用スピードコントローラーをバイクと電熱ベストの間に入れて、温度制御をおこなっています。別の方法としては、バイクの12VをDC-DCアダプターを介して7.4Vに変換してから電熱ベストに供給してやるのもありでしょう。この場合は、作成した外部電源アダプターを使わず、元々のコントローラーをつけたまま、携帯バッテリーの代わりに外部からの電源を接続します。いずれにしても、バイクのバッテリーと電熱ベストを電線で接続する場合は、途中の適当な場所に最適なアンペアのヒューズを入れておかないと、バイク本体の電気系統にトラブルを起こして走行中にエンジン停止なんてことにもなりかねません。この辺りの知識がない場合は絶対にやめましょう。

ご注意
メーカーの指定バッテリー以外を使用することや、外部から電源を直接供給することなど、リスクを承知の上で全て自己責任で行っています。火傷や出火などの可能性もあり、なおかつ走行中のバイクに電気系統のトラブル発生の恐れもありますので安易な改造は大変危険です。


 これで次の冬に向けての防寒準備はバッチリです。予備のバッテリーがたくさん揃いましたので、寒い日の犬の散歩などにも電熱ベストを利用してやろうかと密かに計画している親父ライダーなのでした。



持ち運びに便利な小型電圧計を作成


 バイクの電熱ウェアや高輝度のLEDライトに使われるLi-ion充電池が身の回りに溢れてきました。これらの充電池を安全に使いこなすためにも、長く性能を保つためにも電圧を監視することが重要です。いつでも持ち運べて、手軽に電圧の監視ができるように、18650充電池と同サイズの電圧計を自作してみました。左右にDCコネクターを設けた通過型としたことで、使用時に常時電圧を確認できます。

18650Li-ion充電池と同じサイズの通過型電圧計を自作

先日作成した18650Li-ion充電池用の電池ケースと一緒に持ち歩いても邪魔にならないサイズに仕上がりました。これで、電熱ベスト使用時のバッテリー残量確認も細かく行えます(電池残量と電圧に一定の関係があるため)。バイクの電装系の電圧管理にも使用できます。使ってみると意外に便利だったため、三本も作ってしまいました。皆さんも、バイクツーリングの際に、こんな小型電圧計を持っていくと色々役立つかもしれませんよ。

(2017年10月6日追記)



1 件のコメント:

  1. 18650の活用方法について探していたところここにたどり着きました。
    非常にコンパクトで使い勝手が良さそうですが、どこかで販売はしてませんか?

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