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2017年9月19日火曜日

充電池の電圧監視用に作った通過型電圧計の使い勝手がいいので増産


 格安の中華ライトにおまけでついてくる怪しげなLi-ionバッテリーの電圧監視用に作成した通過型の電圧計。電圧を監視しながらバッテリーを使えば、安心感がぐっと増します。常時持ち運べるように小型化し、一般的な18650Li-ion充電池と同じサイズにして、ケースへの収納についても考慮したパッケージングとしました。

18650Li-ion充電池と同サイズで、ケースにもぴったりと収まる自作電圧計


使い勝手がいいので他の色も作成


 バッテリーと機器の間に簡単に接続できる通過型としたため、常時電圧を目視できます。使い勝手がいいので、最初に作った赤色以外に、緑と青色のLEDを使った電圧計も作ってみました。

赤・緑・青色LEDを使った通過型電圧計、直列に何個でも接続可能

電圧計自身の電源は計測対象のバッテリーから取られますので、バッテリーに接続するだけでOKです。3〜15Vまでの電圧を計測することができますので、通常のLi-ionバッテリーパックであれば問題なく使用可能です。

測定可能電圧は3〜15V、消費電流は最大18mA


家に氾濫するACアダプターの電圧チェックにも便利だった


 Li-ion充電池の電圧監視のために作成した通過型電圧計ですが、プラグの形状が同じであればACアダプターの電圧チェックにも使えます。USBタイプのコネクターがついているACアダプターは電圧が5Vに決まっていますので悩む必要はないのですが、汎用のDCプラグがついているACアダプターは、電圧を確認してから接続しないと機器を壊してしまう可能性があります。ACアダプターの数はどんどんと増え続け、家の中に溢れかえっています。

家の中に増え続けるACアダプター、ラベルの文字が小さすぎる!

さらに悪いことに、機器のラベル表示が小さくて、老眼が進んだ目では電圧表示が読み取れません。ACアダプターを使用する度に老眼鏡を取り出さなくてはならなくなってしまいました。このACアダプターの電圧チェックに、作成した通過型電圧計を使ってみたらバッチリでした。

ACアダプターの電圧チェックに大変便利

電圧計を繋ぎっぱなしでも利用可能ですので、これでACアダプターを間違えて接続することもなくなりそうです。いちいちACアダプターをコンセントから外し、老眼鏡で文字を読み取る必要も無くなりました(^ ^)/ 機器側のDCジャックに合わせて、接続コードを用意してやれば、色々なタイプの機器でも使用可能になります。変換アダプターも市販されていますので、手間をかけずにプラグ形状を変えられそうです。

両オスのDCプラグコードの片側を変えてやれば、色々な機器にも接続可能

 怪しげなLi-ionバッテリーを安心して利用するために作成した単純な電圧計ですが、老眼の進んだオヤジが溢れかえるACアダプターの中から、目的の電圧のものを選ぶ際にもとっても便利でした。いちいちテスターを取り出して電圧を測定する必要もありません。これ、結構いいかも。ご家庭におひとついかがですか?



パーツ在庫分を組み立ててお分けします


 やっと見つけた18650サイズの透明パイプなどのパーツが少し余りましたので、必要な方に組み立てたものをお分けいたします。「18650サイズの自作通過型電圧計を頒布」ページにて使い方や入手方法を解説しています。内部は単純な電圧計ですので、簡単に作れますが、18650サイズにパッケージングするのに苦労しました。一つ持っていると便利ですので、この機会にいかがでしょうか。在庫がなくなり次第終了させていただきます。

(2017年9月28日追記)


2017年9月14日木曜日

いつの間にか身の回りに溢れてるLi-ion充電池といかに安全に付き合うか


 Li-ion(リチウムイオン)充電池は小型軽量のモバイル機器を支える、二次電池の王様のような存在です。単に蓄電容量だけなら車やバイクの鉛蓄電池の方がはるかに大容量のものが手に入りますが、あんなに重たいバッテリーを電子機器と一緒に持ち歩く人はそうはいません。エネルギー密度が高く、小型・軽量にできるため最近のモバイル機器ではほぼ100%Li-ion充電池が使われています。


モバイルバッテリーの発火事故が多発


 つい先日も電車に乗っていた学生が背負っていたデイバッグから発火する事故が発生しました。ホームで煙を上げるデイバッグに駅員が消火器を向けている映像がニュースで流れ、衝撃を受けました。火元はバッグの中に入っていたモバイルバッテリーだったようです。

背負っていたバッグからいきなり火が出たらまるで「カチカチ山」、モバイルバッテリー怖いよ〜

大容量化と低価格化が進み、スマホをよく利用する人達は大抵持ち歩いている機器になりました。10,000mAh以上もあるような大容量モバイルバッテリー(モバイルブースターなどとも呼ばれている)が数千円で手に入る時代です。満充電して持ち歩けば、スマホを複数回充電し直すことが可能で、スマホのヘビーユーザーばかりでなく、ナビ代わりにスマホを利用するサイクリストなどにも重宝がられています。この大容量モバイルバッテリーには、ほぼ例外なくLi-ion(リチウムイオン)充電池が使用されています。

 モバイルバッテリー以外でも、内蔵バッテリーの不具合で発火・発煙事故が続発したサムスン電子のスマホや、取り付けた車が火災になってしまったユピテルのドライブレコーダー、パソコン用バッテリーのリコールのニュースなどで出火原因として報じられるのは毎回Li-ion充電池です。


複数の自転車用ライトを試していたらLi-ion充電池だらけに


 スポーツ自転車(ロードバイク)で遠出をするのが趣味になってから大分経ちます。秋の訪れとともに日没も早くなり、帰宅が遅くなった時など期せずして夜間走行を余儀無くされることも増えてきました。真っ暗闇の田んぼ道を安心して走れる自転車ライトになかなか巡り合えず、色々なライトを購入して試しているうちに、気づけば身の回りにLi-ion充電池が溢れかえっていました。

安価で明るい中華ライトを色々試しているうちに....

わずか二千円ちょっとで1,000ルーメンを超える光量を持つライトが手に入ります。しかも大容量のバッテリーを含む豊富なアクセサリーも付属していますので、国内専業メーカーも安穏としていられません。

さすが中華製の自転車ライト、大容量バッテリーの他にも色々なアクセサリーが付属

ライトを購入する度に大容量バッテリーも付いてきますので、いつの間にか増えてしまったバッテリーの活用を考えます。国内専業メーカーが出荷する自転車ライトのバッテリーは専用設計であることが多く、他の用途に使い回しすることは難しいのですが、中華ライトに付属してくるバッテリーは汎用品である場合がほとんどです。

いつのまにか増えてしまった大容量バッテリー

バッテリーには何の表示もありませんが、電圧を測ってみれば8V程度ありますので、Li-ion充電池二本を直列にして、さらにそれを二組並列に接続してあるタイプだと思います。合計4本の円筒型充電池が使われていますが、サイズ的には18650という規格の汎用品のようです。

18650汎用充電池(写真上)4本を組み合わせたバッテリー(下)がおまけでついてくる

ハンディライト型のものも試してみました。使い勝手は自転車専用品の方が格段に上ですが、家庭の非常用ライトとしても利用価値がありますので、複数本のハンディライトも持っています。このハンディライトにもLi-ion充電池が付属してきました。

高輝度LEDハンディライトにもLi-ion充電池が付属


18650サイズのLi-ion充電池が多い


 複数本を組み合わせた大容量バッテリーも、ハンディライトについてきた円筒形充電池も18650と呼ばれるLi-ion充電池です。単三乾電池よりも大型で、ずっしりと重みがあります。18650の最初の「18」は電池の直径を表しています。「650」は長さで、65.0mmという意味です。ただし、実際の電池の長さは下の写真のように65mmを越えることがほとんどです。

18650充電池の長さは65mmよりも長い場合が多い

これは65mm長の電池の下部に数ミリの厚さのある保護回路を取り付けてあるためです。この保護回路のない電池のことを生セルなどと呼んで区別しています。単体での電圧は公称値3.6か3.7Vとなっていますが、実際には残容量に応じて4.2〜2.7V程度の間で変動します。汎用電池として使用する場合は、機器側がこの電圧変動に対応していなければなりません。容量は2,000〜3,500mAh程度が一般的で、2.0〜3.5アンペアの電流を1時間取り出せる蓄電量になります。エネループに代表されるニッケル水素電池と比べても大電流を取り出すことが可能です。

一般的な保護回路付きの18650サイズLi-ion充電池

上の写真の電池に記載されているラベルからは、満充電時には4.2Vになること、放電を続けて電圧が2.75Vまで下がると放電を停止する保護装置が働くことが読み取れます。

 この18650充電池を利用している製品は多いのですが、製品専用の交換バッテリーは大変高価です。冬季のオートバイ乗車時に愛用している電熱ベストの交換バッテリーもメーカー純正品は一個5千円もします。中身は18650が二本直列に接続されているだけでしたので、余っている18650を収納できるバッテリーケースを自作して利用しています。安く作れた上に、電池が劣化しても汎用品ですので取り替えれば新品に生まれ変わります。

18650充電池を二本収納できる電池ケースを自作して活用中

格安の中華ライトを買う度に増えてくるLi-ion充電池が活用できれば、色々なモバイル機器の交換バッテリーを安く揃えることができます。ただし、おまけでついてくる中華Li-ion充電池には色々な不安がつきまといます。


18650Li-ion充電池は危険な電池?


 日本にはパナソニックやソニー、日立、東芝などの大手電池メーカーがあります。これらのメーカーは乾電池やニッケル水素充電池は販売していますが、18650のような汎用のLi-ion充電池を一般消費者向けには販売していません。現在消費者が入手できる18650充電池は、大半が中国製です。中にはパナソニックが生産した生セルを使っていることを売りにした中国製の18650製品もあります。なぜ日本のメーカーは18650充電池を一般に販売しないのでしょう? Li-ion充電池は使用されている電解液が可燃性で、外部に漏れだすと大変危険です。過充電や過放電で内部にガスが発生して圧力が高まり、ケースに亀裂が生じたり破裂することもあります。エネルギー密度が高く、電極間をショートさせた場合大電流が流れて発熱し、発火に至る場合があります。どれも普通の乾電池しか扱ったことがない一般消費者には、思いもよらない危険性です。充電池を正しく扱わないと、これらの危険が顕在化する可能性があるというのが、日本の大手メーカーが消費者向けに汎用のLi-ion充電池を販売しない理由のようです。

 国内メーカーが参入しなくても、市場は有象無象の中華製品で溢れています。先のモバイルバッテリーの発火事故も特殊な事例ではありません。否が応でも身の回りに溢れているLi-ion充電池と安全に付き合う方法はないものでしょうか? 充電池には次のような使用上の注意が書かれています。
  • 火中に投入したり、加熱しない
  • 変形させたり、分解、改造しない
  • 新旧の電池を混ぜて使用しない
これらは他の種類の電池でも同様に喚起されている注意点だと思います。Li-ion充電池が最も他の電池と異なるのは、充電・放電時の電圧が厳密に指定されていることです。下の図は法人向けにパナソニックが公開しているLi-ion充電池の保護回路の電圧指定です。充電時には4.3Vを超えない、2.3Vになったら放電を停止する保護回路を生セルに付加するように指定されています。充電池を利用する機器側では4.2〜3.0Vの範囲内で動作させるように決められています。

Li-ion充電池の保護回路電圧範囲 出典:パナソニック法人向けサイト

例えば、LEDライトをLi-ion充電池に接続して使用する場合、3.0Vまで電圧が下がったらライト側が自動停止することが求められているわけです。それができないと、さらに電圧が下がっていき、2.3Vになって充電池側の保護回路が働きます。この2.3Vというのは電極が劣化し始める過放電領域ギリギリの値です。ここまで使ってしまうと電池寿命を縮めることに繋がります。落としたり、踏みつけたりの物理的なダメージを与えないことはもちろんの事、電極間がショートしないように保存・運搬に気をつけること以外では、充電・放電中の電圧が規定範囲にあることがLi-ion充電池を安全に使用するために重要なこととされています。通常はLi-ion充電池本体、接続する充電器、さらに電池を使用する機器それぞれの安全装置が電圧管理を行っていますので、利用者が電圧を気にする必要はありません。

 ただし、格安で売られていたり、他の商品に付属してくるLi-ion充電池の中には保護回路が初めからつていないものや正しく機能しないものも存在します。中にはパッケージには保護回路ありと謳っているにも関わらず、実際には付いていないなんてケースも散見され、もうメチャクチャです。充電時の電流を決めるのに大切な電池容量についても、理論的にありえない10,000mAhなんて18650充電池も売られています。はっきり言って虚偽表示だと思いますが、咎められる様子もないし改善も見られません。日本国内で流通するLi-ion充電池に関する規制や罰則などの法整備が追いついていないようです。


不安な中華製Li-ion充電池を使うなら電圧常時監視


 保護回路による電池電圧の自動監視に不安があるのなら、残された手段は自分の目で確かめながら使用することくらいでしょう。中身をバラして見なければ保護回路があるのかどうかも判断できない、中華ライト付属の大容量バッテリーを充放電させる際に、電圧を監視できるように電圧計を作成しました。常時持ち運んでも苦にならない大きさと形状にして、バッテリーと機器間に簡単に挿入できるようにしてあります。(作成したと言っても、秋月電子で買ってきた超小型2線式LEDデジタル電圧計を透明パイプに収めただけですが....)

ほぼ18650サイズに仕上げた電圧計、電池と機器の間に接続して電圧を常時モニター可能

保護回路がついていない(かもしれない)バッテリーの電圧を常時モニターし、充電時には上限値を超えないように、放電時には下限値を下回らないように注意しながら使用すればバッテリーの劣化や発火・発煙などの事故を防ぐことができます。

Li-ion充電池の電圧を常時モニターできる自作小型電圧計

内部で直列接続してある上の写真のバッテリーの場合には、18650充電池一本分の上限4.2Vと下限2.3Vを二倍した値を基準値としました。電池間のばらつきなどもあり、単純に二倍となるわけではないようですが、8.4〜4.6Vを一応の基準とします。さらに、100%まで充電せず、残容量30%程度で放電を中止するようにすれば電池の寿命を伸ばすことができるそうです。充電中はじわじわと電圧が上がり、4.2Vになった時点で充電を終了すれば約80%の充電量になります。3.0V程度で放電を終了すれば残容量は30%程度だそうなので、一本の場合は4.2〜3.0Vを、二本直列の場合は8.4〜6.0Vを目安に電圧を監視して使用すれば、安全と長寿を同時に追い求める一石二鳥のLi-ion充電池活用法になるはずです。これで格安中華ライトにおまけでついてきた正体不明のLi-ion充電池を安全に利用できるかな?


ご注意:
電圧計自身が最大18mA程度の電流をバッテリーから消費します。使用していない時には取り外しておく必要があります。また、充電器が充電の完了を知るためにバッテリーに流れる電流をモニターしていますが、この電圧計の分だけ電流が増えます。そのため、充電の完了を検知できない場合があります。その場合は電圧計を外して充電してやる必要があります。




ACアダプターの電圧確認にも便利だったので追加作成


 作成した18650サイズの通過型電圧計がLi-ionバッテリーの電圧管理だけでなく、家じゅうに溢れているACアダプターの電圧確認にも大変役立つことがわかりました。あちらこちらに置かれているACアダプターの電圧を使用前に確認できるよう、複数の電圧計を作って置いておくことにしました。老眼の進んだオヤジにはACアダプターに書かれている電圧表示の文字が小さすぎて読めなかったため、安全のためにも役立ちそうです。

表示が小さくて読み取れないACアダプターの電圧を直読できる

(2017年9月23日追記)



パーツ在庫分を組み立ててお分けします


 やっと見つけた18650サイズの透明パイプなどのパーツが少し余りましたので、必要な方に組み立てたものをお分けいたします。「18650サイズの自作通過型電圧計を頒布」ページにて使い方や入手方法を解説しています。内部は単純な電圧計ですので、簡単に作れますが、18650サイズにパッケージングするのに苦労しました。一つ持っていると便利ですので、この機会にいかがでしょうか。在庫がなくなり次第終了させていただきます。

(2017年9月28日追記)



2017年6月27日火曜日

壊れたと思ったハンディGPS(Garmin eTrex SUMMIT HC)が復活!


 登山のために初めてハンディGPSを購入したのは2008年のことです。選んだのはガーミンのeTrex SUMMIT HC。等高線が表示できる純正の詳細地図がまだ高価で、サードパーティ製の英語表記の日本地図データを購入して使っていました。

最初に買ったガーミンeTrex SUMMIT HC


地図表示できるGPS機器はサイクリングの必需品


 登山は事前の準備や登山口までの移動に手間がかかり、そう頻繁には出かけられません。山に行けない時のトレーニングになるだろうと思い、ロードバイクに乗り始めました。自転車なら、天気さえ問題なければ、思い立った時にすぐに出かけられます。いつの間にか主従が逆転し、暇さえあれば自転車で遠出するようになっていました。ハンドルバーにハンディGPSを取り付けておけば、知らない場所でも現在位置を地図上で確認でき、一日の走行軌跡も記録できます。谷津道を探検しながらのサイクリングには、なくてはならない機器になっていました。

ハンドルバーにマウントしたハンディGPS

二年ほど経った頃、使用中に時々電源が落ちる症状が出始めました。知らないうちにハンディGPSの電源が切れていて、その後の走行軌跡が残っていないということが発生。最初は電池の接触不良を疑い、電極の裏にゴムを挟んで電池と電極を密着させてみたり、電池が動かないようテープを巻いてみたりしましたが効果がありません。

電源は単三電池二本、ぴったりと収まっている

そのうちにハンディGPSを軽く振ったりするだけで電源が切れるようになってしまいました。路面の段差で自転車が瞬間揺れただけで電源が落ちてしまうため、継続使用が不可能な状態に。電池とケース電極の接触の問題ではなさそうなので、機器内部の半田付け部分にひび割れでも生じてしまったのだろうと諦めました。高圧タイヤを履いているロードバイクのハンドル付近はすごい振動があります。登山で使用するハンディGPSですから、強い振動を継続して受けることを想定して設計していないのでしょう。二年間のロードバイクの振動に耐え切れなかったようです。やはり登山用や自転車用などの専用機器を使用するのが賢明なのかと反省しました。


利用目的に合わせた専用GPS機器に買い替え


 サイクリング時に手放せなくなったGPSを買い換えることにしました。選んだのはサイクルコンピュータ機能も内蔵した自転車用のEdge800Jです。さらに登山用にeTrex 30Jも入手しましたので、えらい出費です。

持っているハンディGPS

以前使っていた登山用GPSでは、自転車のケイデンスや心拍数などのデータは取れませんでしたが、サイクリング専用のEdge800JならGPS走行軌跡と共に記録されます。購入後すでに五年ほど使用していますが、振動によるトラブルも皆無です。やはり専用に設計された機器には安心感があります。登山用に使っているeTrex 30Jは準天頂衛星「みちびき」も受信可能ですので、上空が開けていない谷間などでもより少ない誤差で現在位置を特定できそうです。オートバイのツーリングや旅行などで軌跡ログだけを単純に残したい時には、安価で小型のGP-102を胸ポケットに放り込んで一日活動しています。価格も4千円程度で入手できるため、気軽にGPSデータを残すのに利用できます。


故障したeTrex SUMMIT HCを分解してみた


 普段使用するGPS機器が揃いましたので、故障したeTrex SUMMIT HCを分解してみることにしました。ユーザーが分解するとメーカー保証の対象外となってしまいますが、保証期間はとっくに切れています。ネットの情報を参照しながら、スクラップ覚悟でバラしてみました。

1. まず裏の電池ブタを外します


電池を入れる際に開け閉めする裏蓋を外します。ここにネジでもあるだろうと思ったのですが、何もありません。上部のUSB端子のカバーも兼ねている、ケース外周を覆っているゴムが怪しいと睨みました。USBカバーを少しめくると、粘着テープで貼り付けられているだけだとわかります。



2. ケースを一周しているゴムカバーを剥がす


両面テープでケース外周に貼り付けられているゴムカバーを剥がします。破らないように注意深く剥がしていきます。

 ゴムカバーの裏には突起が付いていて、これが本体横の操作ボタンを押します。元に戻す際にはボタンとこの突起の位置がずれないようにします。


3. 両面テープを剥がす


ゴムカバーの下には、両面テープが使われています。この両面テープも剥がしてしまいます。再利用は不可能ですので、途中で切れても気にせず剥がしてしまいましょう。出荷されてから時間が経っていますので、接着面がベトベトです。GPSの画面にベトベトがつかないように作業します。



4. 防水用のビニールテープも剥がす


両面テープの下にはさらにビニールテープが巻かれていました。これでケースの防水をしているものと考えられます。一般的な電工用のビニールテープに比べると幅が細く薄手です。これも再利用は難しいので、適当に剥がしてしまいます。




5. 上下のケースを止めている爪を押しながら分解する


ここまでくるとケースの上下を止めているのは、左右に2箇所ずつと下部に1箇所ある爪だけです。精密ドライバーなどで爪を押しながら、ケースの上下を分離していきます。爪を押し込みすぎると折れてしまいますので、軽く押しながら上下のケースを離すように開けていきます。意外に簡単に開きました。


6. 完全に上下二つに分解できる


爪を押しながら上下のケースを開くと完全に二つに分かれます。電池ケースと回路基板の間に電線はありません。組み上げると端子が接触して通電する仕組みだったんですね。これでは振動に弱いはずです。
 これで分解は完了です。静電気に弱い精密電子回路ですので、冬場にセーターなどを着ての作業はやめましょう。



さて、電池ボックスと回路基板の接続をどうするか


 ケース下部の電池ボックスと上部の電子回路基板との接続は、ケースを組み上げると端子が接触するようになっています。電池側はステンレス?のバネ、電子回路基板側は金メッキされた端子があり、通常の使用では問題はなさそうです。

電子回路基板と電池ボックスの接続は接触式だった

電子回路基板側の金メッキ端子を良く見ると、接触していた部分が凹んでいて、金メッキが剥がれてしまっています。自転車の振動を受け続けて、接触していた端子が金メッキ部分を削ってしまったものと思われます。

電子回路基板側の金メッキ端子が削れている

電池ボックス側のステンレスバネを曲げて、少し位置をずらしてやれば、金メッキが残っている部分に接触してくれそうですが、いつまた接触不良が起こるかわかりません。いっそのこと電線で直接接続してしまえば心配も減ります。壊れたものと一度は覚悟した機器ですので、失敗しても諦めもつきます。基板に直接半田付けするという荒療治を選びました。

できるだけハンダが盛り上がらないように電線を直接半田付け


やった〜 壊れたと思ったGPSが復活した!


 配線に使った電線を電子部品で挟み込まないよう注意しながら、ケースの上下を閉めます。電池より上側に、銀色のGPSアンテナと思われる部分より下側に電線が収まるようにしました。端子部分にハンダと電線の厚みが加わりましたので、多少閉まりにくいですが、なんとか上下ケースの爪を止めることができました。

ケースを完全に占める前に通電テスト

テープで上下のケースを完全に閉じる前に、電池を入れて通電テストします。ボールペンなどで電源ボタンを押してやると、何事もなく電源が入りました。この確認が済めばOKですので、分解の時と逆の手順で組み立てます。一般に売っているビニールテープでは幅が広すぎるので、ハサミで1cm幅くらいにして一周隙間のないように巻きつけます。この時、ケースの上下に隙間ができないように上下をしっかりと押さえながら巻きましょう。さらに両面テープも同様に巻きつけ、その上にゴムカバーを巻いて出来上がりです。

 ゴムカバーについている操作ボタンを押してみます。ビニールテープが厚くなったせいか、操作感がだいぶ硬くなっていますが、仕方ありません。使用しているうちに馴染んでくるものと思います。電源投入後、叩いても、ケースを力任せにひねっても瞬断は起こりません。完治したようです(^ ^)


電源の瞬断はこの機種の持病だった


 ネットで検索して見ると以前のeTrexシリーズでは、電源の瞬断に関する記事が山のように出てきました。どうもこの機種の持病のようです。電子回路基板のある上部と電池ボックスのある下部を配線することなく組み立てられますので、効率の良い生産が可能だと思いますが、板バネの力で接触しているだけですから、振動や腐食に対してはどうしても弱くなります。自転車用のEdgeシリーズは振動に対しての対策が十分に取られているようで、瞬断トラブルは聞いたことがありません。やはりそれぞれのアクティビティ用に作られた専用機器が安心だということがよく理解できた今回の出来事でした。さあ、復活したハンディGPSは何に使おうかな(^ ^)/



自作マウントで好きな自転車に取り付け


 振動に対して一番デリケートな電池ボックスの接点を、ダイレクトに電線で接続してしまったので、耐振動性能は格段に向上したと思います。持っている三台の自転車のどれにでも好きなGPSが取り付けられるようにアダプターを3Dプリンターで自作してみました。せっかく修理できたeTrex SUMMIT HCを、TPOに応じて好きな自転車に取り付けられるようになり、ますます快適な自転車生活を送っています。

SUMMUIT HCのマウント取り付け部をEdgeシリーズと同じにするアダプターを自作

(2017年11月3日追記)



2017年6月20日火曜日

ラジオの世界も様変わり Volumioだけで楽しむNHKらじるらじる


 昔からのラジオ好きです。たまに好きなTV番組を観る時以外は、ほとんどラジオを聴いています。就寝時には枕元の小型ラジオ、車の運転中にもカーラジオ、トイレにもラジオが置いてあります。少し前まではサイクリング中にもヘルメットに取り付けた携帯ラジオを聴いていましたが、さすがに道路交通法改正でイヤホンの使用がうるさくなったため止めました。そんなラジオ漬けの毎日ですが、最近は家の中も電子化が進み、色々な家電が電磁波ノイズを出しているようです。よく聞くAM波のNHK第一放送も場所によってはノイズ混じりで聴きづらいことが増えてきました。電波を使わず、電磁波ノイズの心配のないネットラジオの出番が増えてきた今日この頃です。


安価にネットワークオーディオが設置できるVolumio


 ネットラジオが出てきたばかりの頃は、バックグラウンドでラジオを再生しながら、パソコン作業をしていました。しかし、小さなスピーカーのパソコンでは音が貧弱だったり、再起動が必要な時にラジオも止まってしまったりと、一台のパソコンでは使い勝手の悪いものでした。

 5,000円前後の価格で手に入れられるRaspberryPiに音楽再生に特化したVolumioというフリーソフトを導入すると、ネットワーク音楽プレイヤーが簡単に作れることを知りました。これに好みのDACやアンプ、スピーカーを組み合わせてやれば、望む音質のシステムが出来上がります。Wi-Fiで家庭内ネットワークに繋げば、家中どこにでも置けます。リビングや仕事部屋などに複数のRaspberryPiをネットワークオーディオシステムとして設置しました。ラジオを聴くには、iPhoneやパソコンからNHK「らじるらじる」の音声をAirPlayでこのネットワークオーディオシステムに飛ばします。

iPhoneからラジオの音声をAirPlay経由でネットワークオーディオに飛ばして聴いていた


ラジオ聴くのにVolumioの他にiPhoneって必要?


 しばらくこのやり方でラジオを楽しんでいましたが、Volumioだけでもネットラジオを再生する機能がついています。登録されているラジオ局にNHKはありません(海外向けのRadio Japanはありました)が、調べてみると好みのウェブラジオ局を追加できるようです。VolumioだけでNHKのラジオが聞ければ、いちいちiPhoneを取り出してアプリを起動する必要もありません。

マイウェブ放送局の登録ができるVolumio

登録するにはストリーム放送用のURLか、M3UあるいはPLSリモートファイルを指定しなければならないようです。仕組みについてはちんぷんかんぷんですが、とりあえずネットで調べたNHKのM3Uリモートファイル文字列を指定してみました。

意味もわからずNHKストリーム放送の情報をネットで調べてインプット

登録したウェブラジオを再生すると、指定したURLが開けないというようなエラーが出て音が出ません。ネットで散々調べましたが、どれも少しづつですが内容が異なっているようで、どれが正しいのかわかりません。諦めかけた頃に、いつも使っているSafariブラウザーの開発モードを思い出しました。これを使えば「らじるらじる」がネットワークとやりとりしている文字列を調べられるはずです。

ブラウザーの開発モードを使ってらじるらじるのストリーミングURLをチェック

m3uの文字列を探すと、ありました。やはりネット上で調べたものと少しだけ違いがあります。時々変えられているのかもしれません。ここで調べた文字列をVolumioのマイウェブ放送局に登録してみると、ちゃんと音が出ました。NHK第二やFMも同様に調べて登録。これでiPhoneから音声を飛ばさなくても、VolumioだけでNHKの三局が聴けるようになりました。

実際に調査したストリーム情報を登録してNHK三局が聴けるようになった

下が今回調べたNHK三局のストリーム情報です。千葉県からアクセスしていますので、他の地域からは違う文字列になるかもしれません。ストリーム情報に「akamai」の文字が含まれています。知られざるネット上の巨人であるAkamaiのサービスを使っているんですね。(2017年12月19日追記:いきなりNHKが聞けなくなりました。URLがオープンできないというエラーになります。前回同様にSafariの開発モードで調べてみたら、またm3uファイルの文字列が変えられていました。NHKから提供されるプレイヤー以外では聞けないようにするために時々変えられているみたいですね。なんか意地悪されているみたいです....)

NHK第一:
https://nhkradioakr1-i.akamaihd.net/hls/live/511633/1-r1/1-r1-01.m3u8
NHK第二:
https://nhkradioakr2-i.akamaihd.net/hls/live/511929/1-r2/1-r2-01.m3u8
NHK-FM:
https://nhkradioakfm-i.akamaihd.net/hls/live/512290/1-fm/1-fm-01.m3u8

2017年12月19日時点の調査結果

一番よく聴くNHK三局はこれでOKなのですが、平日深夜零時から放送される東京FMのジェットストリームも長年愛聴してきた番組です。できることなら東京FMも登録したいと思い、radikoで東京FMを再生した時のネット上のやり取りを調べてみましたが、m3uの文字列が見つかりません。radikoはどうもストリーミングの方法が異なるようです。ネットで調べてみてもVolumioそのものでradikoを聴いているという記事は見つかりませんでした。


「ホームラジオ」というシェアウェアなら録音も可能


 ネットで検索を重ねているうちに、RaspberryPiに「ホームラジオ」というシェアウェアを導入すると日本のラジオ局がプリセットされていて、聴くだけでなく録音もできることがわかりました。プロダクトキーの購入に1,500円かかりますが、各局の情報も全てセットされていますのでお手軽です。電源投入後8時間までは無料で使用できますので、試してみました。

「ホームラジオ」のライブ画面、多くの放送局が登録済み

システムが書き込まれているSDカードの余り部分や別のUSBメモリを使って、ラジオ番組をタイマー録音できます。これは便利ですね。予約もブラウザーに表示される番組表から一発でできます。録音したファイルが保存されているフォルダーはNASとして他のパソコンと共有できますので、ラジオサーバーとしてどんどん録音させ、他の部屋からその番組を再生することができます。CPU負荷やネットワークのキャパシティに依存しますが、複数の放送局を同時に録音できるそうで、まさにラジオの世界も様変わりといった感じです。以前、NHK第二の英会話番組を毎日決まった時間にカセットテープに録音して、通勤電車の中で聴いていたのを思い出します。このラジオサーバーがあったら本当に楽だったろうと思います。(まあ、録音で楽すると聞かなくなっちゃうもんですけどね〜 ^ ^;)


H/WボリュームのあるDACならプリアンプも不要


 リビングに設置したVolumioシステムはステレオセットのDACに接続してあります。大型のスピーカーをドライブするために、それなりの大きさと値段のプリメインアンプを使っています。音量調整はこのプリアンプ部で行います。対して、別の部屋に設置したVolumioシステムでは、2,000円で購入した秋月電子のキットをメインアンプにしています。これに同じく秋月で売っていた一個300円のスピーカーを繋いで音を出しています。

一個300円のスピーカーユニットを2,000円のアンプでドライブ

こんなアンプとスピーカーでもAMラジオ放送を聴くには過不足のない音を出してくれます。音量調整が目的でこのアンプの前に同じく秋月電子のキットで作ったヘッドホンアンプを入れていました。ケース付きで6,000円しましたので、システムの中で一番高価なコンポーネントです(^ ^)

秋月のヘッドホンアンプキット、いい音出ます

これにVolumioをインストールしたRaspberryPi 2BとUSB DACを繋いでいます。もちろんこのDACも秋月電子で1,700円で購入したものです。USB DACは裸のまま、購入時に入っていた静電気防止袋に入れてあります。全ての操作がリモートから行えるため、RaspberryPi本体も含めて、部屋の写真立ての後ろに隠してあります。ケースなどの見栄えを全く気にする必要はありません。一般のオーディオシステムと一番異なる部分かもしれませんね。

RaspberryPi 2BとUSB DACをこのままで使用中

このDAC、調べてみるとハードウェアによるボリュームコントロールができるようです。Volumioの設定メニューにあるMixer TypeHardwareにすると、音質の劣化なくVolumioからDAC出力の音量が調整できるようになります。

Volumioの音量オプションでハードウェア・ミクサーを選択

この機能を使えば、音量調整のために入れている一番高価なヘッドホンアンプがなくてもボリュームコントロールができます。いちいちアンプのところまでいかなくても、パソコンやiPhoneからリモートコントロールできるのでとっても便利になります。

Volumioのプレイバック画面右側がボリュームコントロール

先ほど試した「ホームラジオ」は簡単にラジオが聴けたり録音できますので、1,500円はリーズナブルな価格だと思いますが、音量の調整が素早くかつ細かくできませんでした。多分、普段の音量調整はアンプで行うという設計思想なんだろうと思います。

 今のところVolumioだけでは東京FMを聴くことはできませんが、一番よく聴くNHK第一とNHK FMがVoumioだけで聴けるようになりました。アンプも含めて消費電力が大変小さく、電源を入れっ放しにしても電気代もそれほどかかりません。パソコン仕事をしながら一日中ノイズのないラジオを聴き放題なんてこともできるようになりました。しかも、音量調整も放送局の切り替えも手元のパソコンから行えます。ラジオの世界も様変わりしていますね。



欲が出て音楽専門局も追加


 VolumioだけでNHKラジオ局が手軽に楽しめることがわかると、さらに欲が出てきました。高音質が期待できるデータレートの高いネットラジオ局の一つであるLINN Radioも追加してみました。

LINN-Radio:
http://radio.linnrecords.com/cast/tunein.php/linnradio/playlist.pls
LINN-Classical:
http://radio.linnrecords.com/cast/tunein.php/linnclassical/playlist.pls
LINN-Jazz:
http://radio.linnrecords.com/cast/tunein.php/linnjazz/playlist.pls
OTTAVA:
http://rakuten.streamguys1.com/ottava1_b?args=widget

日本のOTTAVAも加えてみましたが、よく見ると初めからVolumioに登録されていました。NHKが48Kbpsの帯域しかないのに比べて、LINNのストリーム放送は320Kbpsのデータレートがあるためかなり高音質です。AM放送用に使っているVolumioシステムではなく、リビングのステレオセットにつながっているVolumioで聴いてみたらBGMに最適な音が楽しめました。

(2017年6月21日追記)



音の途切れが発生するのはHLS方式のせい?


 320Kbpsの帯域を使うLINN Radioではほとんど音飛びはありませんが、それよりずっと低速回線向けの48Kbpsしか使っていないNHK三局ではかなり頻繁に音飛びが発生することがわかりました。真っ先にVolumioのプレイバックオプションにあるバッファーサイズや先読みするデータの割合を増やしてみましたが、状況はあまり変わりません。

Volumioの受信バッファーサイズや先読みの割合を増やしてみたものの....

NHKの再生のされ方を注意深くみていると、10秒の長さのTSファイルを順番に読み込みながら再生を続けています。これがHTTP Live Streaming(HTTPライブ・ストリーミング、HLS)方式と呼ばれる配信のプロトコルでした。受信バッファーのサイズを大きくしたり、先読みの量を多くしても、一つ一つのファイルが小さく、次以降のファイルを先読みしない限り音飛びの防止には役立たないのではないかと思い始めました。技術的なことはわかりませんが、VolumioのHLS配信の取り扱い方法に改善が必要なのかもしれません。
 NHKの「らじるらじる」ではバッファーサイズを大きくすると、最初に音が出てくるまでにかなりの時間を要しますが、Volumioではバッファーサイズを大きくしても音が出てくるまでの時間はほとんど変わらず、数秒以内には音が出てきます。Volumioでは複数個のTSファイルを先読みするようなバッファリングはしないのではないかと推測しています。瞬間の音飛びですので、会話の多いNHK第一ではあまり気になりませんが、FMで音楽を聴いている時にはがっかりします。対応が必要ですね。

(2017年6月26日追記)



結局ラジオサーバーで録音してVolumioで聴く方式に


 Volumioで聴くNHKラジオは、音飛びとURLが時々変えられてしまうことから快適ではありません。結局、シェアウェアの「ホームラジオ」を使ってラジオサーバーを設置しました。好きな番組を自動録音して共有ホルダーに溜め込んで行きます。無線LAN経由でVolumioからそれを聞いて楽しんでいます。こうすると音飛びは全く出なくなります。聞き逃しも避けられ、ますます快適なラジオ環境が出来上がりました(^ ^)

(2017年12月19日追記)



2017年5月26日金曜日

緑のカーテンのために自動給水機をPICAXEで自作


 本格的な夏の暑さを少しでも和らげ、節電にもつながる緑のカーテンについては自治体でもその利用を推奨しています。敷地の南側が道路に面していて、日当たりが良過ぎるくらいの自宅でも数年前からゴーヤーを利用した緑のカーテンのお世話になっています。

ゴーヤーの葉が夏の日差しを遮ってくれる緑のカーテン

このゴーヤー、成長が早く病害虫に強いため誰が育てても失敗がほとんどありません。生い茂る葉が室内の気温を下げ、冷房の電気代を浮かせてくれます。一年目は苗を密集して植え過ぎたため、葉も小さく育ちが今一つでしたが、花は十分に楽しめました。

ゴーヤーの花は可憐で綺麗

小さな黄色い花をたくさん咲かせてくれて、家の内外から楽しめます。さらに綺麗な花を楽しんだ後には、もう十分だと思うほどたくさんの実をつけてくれました。

次から次に大きな実をつけてくれる

夏の一番暑い時期に、ゴーヤーの実で作ったチャンプルーは夏バテ防止にも役立ちますが、毎日だとちょっと飽きて来ます。面倒になり、収穫をサボっていると、あっという間に実が熟して黄色くなり、ぱっくりと口を開けてしまいます。

完全に熟して口を開けたゴーヤーの実

普段食べている緑色のゴーヤーがものすごく苦いのに、この熟した実に詰まっているタネを舐めるととっても甘いのには驚きました。


緑のカーテンは大量の水を吸い上げるため水やりが大変


 ゴーヤーに限らず緑のカーテンに利用する植物は、長く伸びた蔓にたくさんの葉をつけます。一枚一枚が目一杯日光に当たるように葉を広げるため、大量の水を葉から蒸発させるのでしょう。大きなプランターに植えていても、すぐに土が乾いてしまいます。朝夕の一日二回はたっぷりと水をやらないと、すぐに葉が萎れて来ます。

二年目は二階のベランダ内にまで侵入したゴーヤーの蔓

植え方や追肥のやり方にも慣れた二年目には、あまりにも成長しすぎて二階のベランダにもゴーヤーの実ができるほどでした。大きく育ってくれるのは嬉しいのですが、水やりがますます大変になります。旅行などで一日家を空けると、翌日にはすっかり萎れていました。夏休みに家族で数日間の旅行を控え、何らかの対策が必要になりました。


水道栓用の電磁バルブで自動給水機を自作


 秋葉原を定期的にぶらつき、面白そうなものを見つけてはとりあえず手に入れてしまうという悪い?癖があります。購入時点では何に使えるのかわからなくても、その後突然のひらめきで役に立つこともしばしばです。家族に「ガラクタばかり集めて」と小言を言われようが気にしません。この時も運よく千石電商で購入した水道用ソレノイドバルブがありました。自動給水機の市販品もたくさん見ましたが、水道栓から直接給水できるものは結構なお値段がします。自作マニアを自称しているからには、このソレノイドバルブを使って自動給水機を自作するしかありません。

12V電源で水道水を制御できるソレノイドバルブ(千石電商で購入)

このソレノイドバルブを制御するコントローラーの仕様を考えました。自分で水やりをするときの状況を思い返してみると、暑くなる前の朝一番にたっぷりと一回目の水やりをします。一番暑い時期には、お昼を過ぎた頃にはプランターの土が乾いてきますので、朝の水やりから概ね8時間後に二度目の水やりをします。夏の一番暑い時期以外は一日一回でも大丈夫なので、一回と二回を切り替えられるようにします。自宅の中から手動で水やりを制御できると、さらに利便性が増しますので、手動給水ボタンも用意します。マイコン側で必要になる外部との入出力は次のような四つになりました
  • Cdsによる明るさ検知のためのADC入力
  • 手動で給水を開始するための押しボタン用デジタル入力
  • 一日一回または二回を切り替えるスイッチ用のデジタル入力(将来は土壌センサーのためのADC入力に変更)
  • ソレノイドバルブ・動作確認LED用のデジタル出力
これだけの入出力が扱えればOKですので、ArduinoやRaspberry Piなどの本格的なマイコンボードは不要です。今回はPICAXE(ピカクスと読みます)マイクロプロセッサーを利用しました。PICをベースにしたBASIC言語の使える教育用に作られたチップで、秋月電子で数百円で購入できます。設計した回路図はこれ。将来的に、二回目給水の要不要を土壌の湿度センサーで判断できるよう拡張性をもたせてありますが、製作時点でセンサーが手元になかったため、手動スイッチで給水回数を切り替える仕様にしてあります。

PICAXEを使った自動給水機の回路図

無償で利用できるEagleで回路図を描き、プリント基板のパターンまで作成。出来上がったガーバーデータをもとにしてローランドDGのiModelaで基板作成を行えば、あとは半田付けと外部への配線のみです。

Eagleで作成したプリントパターン

最終的に出来上がった自動給水機の制御部分がこれです。半透明のプラスチック容器に押し込んでありますが、これは中のCdsセンサーが外部の光を感知できるようにするためで、決してケースに手を抜いているわけではありません(^ ^) これを窓際に置いておけば、朝明るくなるとセンサーで夜明けを感知してくれ、一日のサイクルが始まります。

安っぽいケースに組み込んだ自動給水機のコントローラー

ちなみに、今回使用したPICAXEは広く組み込み機器などに使われているPICマイコンをカスタマイズし、教育用に変えられた特殊仕様のマイコンです。BASIC言語でプログラムでき、RS232Cライクのケーブル一本でプログラムを書き込めます。以前PICマイコンにチャレンジして、C言語や初期設定の複雑さにくじけてしまった私にはぴったりのマイコンです。処理速度はオリジナルのPICに劣りますが、標準のままでBASICが使え、擬似マルチタスクもサポートしています。1.8Vからの低電圧駆動も可能で、電池で動かす小型携帯機器を開発する際には最適だと思います。多少特殊ではありますが、昔シャープのMZシリーズで身につけたBASIC言語の知識が使えるのも嬉しい限りです。今回のプグラムは以下のようなものですが、時間をカウントして必要な動作を指示するタスクと、夜明けから日没まで明るさを監視しているタスクの二つが独立してプログラミングされています。擬似とはいえ、マルチタスクでプログラムが組めると非常にすっきりしますので大変助かります。



土壌湿度センサーで機能アップも簡単


 特定の機能を前提とした専用ハードウェアと異なり、内部のプログラムを書き換えれば柔軟に機能を変えられるマイコンチップを使用しています。例えば給水回数を一日一回か二回に切り替えるスイッチ入力部分(C.2端子)の定義を、デジタル入力からADC入力に切り替えて土壌湿度センサーに繋ぎ変えてやれば、プランターの土の湿り具合に応じて自動的に給水の回数を変えることができます。

土の湿度に応じて出力値が変わるセンサー

PICAXEのプログラムを書き換えるのも、ケースに組み込んだままでちょっと特別なRS232Cケーブル(逆論理)をイヤホン端子に差し込んで行えますので、回路を組み変える必要もありません。柔軟性が高く、PICほどの内部知識も不要で、マイコン組み込みシステムが開発できます。もともと教育用として生まれたそうですが、十分実用品の開発に使えそうだと思っています。

 今回は水道栓に繋げたバルブを制御する機器ですので、不具合があったら大変なことになります。旅行を楽しんで家に帰ったら、水道の水がジャバジャバと流れっ放しになっていて、周りは水浸し、とんでもない水道料金が請求され、なんてことにならないよう十分なテストとしっかりとした施工が必要です。

水道水が出っ放しなんてことにならないよう十分な注意が必要

電子回路部分は安価に作っても、水道への接続部分はしっかりとした部品を使いました。設置して四年ほど使っていますが、今のところ水漏れ事故もなく、毎年暑い時期に緑のカーテンの恩恵を受け、ゴーヤーの実を飽きるほど楽しんでいます。今年はゴーヤーチャンプルー以外のレシピ開発が至上命題となっています(^ ^)/