2017年3月6日月曜日

快適動画編集 GoProのProtuneモードを初めて使ってみた


 アクションカメラもしくはウェアラブルカメラと呼ばれる分野を開拓したGoPro。三年前にHERO3+ Black Editionを手に入れてから、バイクや自転車、登山などでの撮影になくてはならないものになっています。カリフォルニアのベンチャー企業が生み出した製品のためか、スポーツシーンの撮影に多用されるためなのかわかりませんが、真っ青な青空が広がるシーンでの色合いには全く不満はありません。カメラの標準設定のままで、驚くような美しい映像が撮れます。

真夏の青空の下では標準設定のままで驚くような美しい映像が撮れるGoPro


河津桜の撮影で色の再現性に不満が


 ちょうど早咲きの河津桜が見事な時期です。バイクで鋸南町へ頼朝桜を見に行ったり、自転車で新川沿いの河津桜を見に行ったりしています。満開の桜をバイクや自転車で移動しながら撮影しましたが、どうも色の再現性に満足できません。河津桜特有の濃いピンク色が出ず、まるで普通のソメイヨシノのように見えます。使用している編集ソフト(Final Cut Pro X)で色調整できますが、無理やりピンクを強くすると全体が赤みがかってしまいとっても不自然です。

編集ソフトでピンクを強くすると全体の色合いが不自然に

この時期は春霞とか花曇りと呼ばれるような天候が多く、淡い光の中の桜のピンクが美しいのですが、GoProで撮られた映像ではそれを感じることができません。快晴の真夏に撮られた映像と比べると、全体的にボヤッとした感じです。GoProは解像度1080p、フレームレート30fpsを指定、他は標準設定のまま使用しています。河津桜の濃いピンクばかりではなく、江戸川沿いに咲き乱れる菜の花の明るい黄色にも不満を感じます。


GoPro購入後三年目にして初めてProtuneを使ってみた


 GoProには後処理することを前提とした撮影モードであるProtuneがあることは以前から知っていましたが、試してみたことはありません。今回のように編集時に色調整を行うのであれば、Protuneを試してみる価値がありそうです。前回と同じような天候の日を選び、自転車で改めて河津桜を撮影に行きました。

GoProのProtuneモードをオンに

GoProのProtuneモードをオンにすると、オプション項目が増えます。ColorはGoPro ColorとFLATが選べますので、FLATを選択。SharpnessはHIGH/MEDIUM/LOWの中からLOWを選びました。White BalanceはAUTOの他に色温度を選択する方法と画像センサーからのデータ処理をできるだけ減らしたCam RAWが選べますが、今回はAUTOで撮影しました。次回はCam RAWオプションも試してみようと思います。

Protuneモード利用時の考慮点


 GoProは新機種が出るたびにより高い解像度、より高速なフレームレートをサポートしています。持っているのはGoPro HERO3+ Black EditionとHERO4 Sessionですので、最新機種ではありませんが、現在の使用環境ではほぼ十分な性能です。使用する解像度とフレームレートは1080p・30fpsが中心です。ProtuneのOn/Offでビットレートがどうなっているのか調べて見ました。

 HERO3+ B.E.HERO4 Ses.
Protune Off20Mbps25Mbps
Protune On35Mbps25Mbps

GoPro HERO3+ Black EditionではProtuneを利用すると、圧縮率が低く抑えられているのかビットレートが上がっています。これは高画質化が期待できます。興味深いのはHERO4 Sessionで、もともとのビットレートはHERO3+ Black Editionよりも高いのですが、Protuneをオンにしても変化がないことです。追加されるオプション項目もISO LimitとSharpnessだけでしたので、HERO4 Sessionでは画質調整の自由度を上げるだけなのかもしれません。

 Protuneをオンにしてビットレートが上がる場合は、作成される動画ファイルも当然大きくなりますから、SDカードの容量には注意が必要です。ビットレートと同じ1.7倍程度のSDカードスペースを消費します。さらに電力消費も増えているようで、いつもよりバッテリー持続時間が短くなっていました。


Protuneモードで撮影した動画データは後処理が必要


 Protuneモードで撮影した動画を初めて見た時には驚きました。全体的にボヤッとして、見るに耐えられない映像です。色やシャープネスの後処理が必須な状態で記録されています。

Protuneモードで撮影したままの画像


GoPro Studioが簡単


 無料で使用できるGoPro Studioがあれば、Protuneモードで撮影した画像を簡単に利用できます。通常の操作を行なっていれば、ソフト側がProtuneであるかどうかを判断して勝手にProtune用の画像処理をしてくれます。このまま編集を行い作品に仕上げることが可能です。

GoPro Studioであれば自動でProtune用のプリセットが適用される

ボケボケだった画像も、後処理のおかげてシャープになり色も自然になりました。さすが専用ソフトという仕上がりです。ただし、細かな編集はできませんので、やっぱり使い慣れたFCPXが必要です。

後処理から作品の完成までFCPXで行いたい


 高機能で思い通りの編集が可能なFCPXを持っていますので、Protune動画データの後処理から作品の完成までFCPXを使いたいものです。FCPXが標準で持っている「色補正」や「シャープネス」エフェクトを使えば、GoPro Studioと同等の処理ができることがわかりました。ただし、毎回エフェクトを複数適用するのも面倒です。Motion5でProtune専用のFCPXエフェクトテンプレートを自作しました。

Motion5で作成したProtune用FCPXエフェクトを使えば一発

春霞の下の河津桜が綺麗に見えるように各パラメータを調整し、初期値として登録しました。合わなければパラメータを変えて好みに合わせます。試しにProtuneモードで撮影した菜の花の動画に適用して見ましたが、無調整で満足できる結果になりました。これでProtune動画の後処理から作品完成までFCPXだけで作業することができます。


奥が深いGoPro活用の道


 GoProの標準設定で撮影した映像を調整してみたり、Protuneで撮影したものをいくつかの方法で後処理した映像を比較する動画を用意しました。


 見たことのないアングルから撮影したスピード感のある映像を楽しむだけであれば、利用しなかったであろうProtuneを初めて使って見ました。固定焦点レンズであることを活用して、路傍の小さな花をマクロ撮影したりもしています。ポテンシャルの高さゆえに、アクションカメラの領域を超えて活用できそうなGoPro。コントラストやシャープネスが高めの標準設定以外も色々試して、活用の幅を広げていきたいと考えています。



Cam RAWも試してみた


 White Balance設定をAUTO以外にCam RAWも試してみました。GoProのマニュアルでは次のように説明されています。

『Cam RAWモードでは、画像センサーからの低処理データが直接得られ、後処理により正確な調整が可能になります。Cam RAWモードで収録すると、画像センサーの機能を十分活用することができます。』

AUTOよりも高画質が期待できそうな内容です。実際に撮られた画像そのままの状態で比較してみました。

White Balance設定が「AUTO」と「Cam RAW」の比較

AUTOに比べてさらに眠たい画質になります。菜の花の色がますますくすんで、色補正が大変でした。デジタル一眼レフカメラで撮影できるRAW画像とは違い、ホワイトバランスのオプションとしてのRAW設定ですので、どれだけ画質の向上に貢献できているのかは分かりません。移動しながらの撮影が多いGoProの場合は、明るさが頻繁に変わりますので、設定はAUTOの方が色補正もしやすいように感じました。

(2017年3月20日追記)



FCPX 10.4の新機能を使ってProtuneの色補正に再挑戦


 Cam RAW設定のProtune映像をFCPXだけで色補正しようとすると大変な手間がかかるため、結局GoPro Studioを使っていましたが、やはり編集時にはFCPXが使いたくなります。少し前にFCPXがアップデートされ、カスタムLUTと統合カラーホイールの機能が追加されました。FCPX 10.4の新機能を活用して、GoPro Studio無しでProtune映像の色補正に改めて挑戦してみました。結果は「これならいけそう」というものです。FCPXだけで色補正から編集まで作業が可能になり、大幅に効率がアップしそうです (^ ^)/

眠たい映像のProtune素材を最新のFCPXだけで色補正してみた

(2017年12月25日追記)



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