去年秋に収穫した米を仕込んで出来上がった新酒が年末から年始にかけて続々と出荷されています。蔵で熟成させてから飲む酒も旨いですが、出来上がったばかりの新酒をそのままで味わうのも酒好きにはたまりません。近所のデパ地下や酒屋ではなかなか手に入らないしぼりたての新酒を求めて大原漁港近くの木戸泉酒造をバイクで訪問しました。
今回で二度目の訪問になります。前回5月に訪問した時は酒造りや出荷が一段落していた頃だったと思います。蔵の敷地内も静まり返っていて、売店にも人はいませんでした。この一月は打って変わって、新酒が出来上がったことを知らせる新しい巨大な杉玉を門に吊るし、「初しぼり」の看板を掲げて酒好きを待ち構えていました。
大きな杉玉を吊るした木戸泉酒造の入り口、初しぼりの看板が眩しい |
敷地内では蔵の人が忙しく働く姿が見えますし、売店からは「いらっしゃい」の声がかかり、新酒販売の賑わいが感じられます。水と米を原料に、麹菌・酵母菌や乳酸菌などの力を借りて醸される日本酒は典型的な季節依存商品です。訪れる季節によって蔵の姿は全く別なものに見えます。
店舗で蔵の人に説明を聞きながら、二本(二升)を厳選するのが至福のひと時でした。この時期にしか味わえない「生原酒」、「しぼりたて」、「初しぼり」、「にごり」などの名前をつけた新酒がずらりと並んでいます。
新酒の時期だけの銘柄がずらりと並んでいて嬉しい悩みが..... |
千葉県酒造組合がやっている地酒ショップで入荷早々売り切れになったという「初しぼり」を一本目に選びました。「純米にごり」も気になったのですが、発酵が止まっておらず横にしてバイクで持ち帰るのは危ないとのことで、「純米生原酒総の舞」を選びました。一升瓶をバイクで安全に持ち帰れる「ツーリングお土産トートバッグ」を自作してすでに一年以上経ちますが、活性酒を吹きこぼさずにバイクで持ち帰るための強化版を開発せねばなりません。
無事バイクで持ち帰った新酒二本はこれです。本醸造無濾過生原酒「初しぼり」と純米生原酒「総の舞」。どちらも封を開けるまでは常温保存できるそうです。見ているだけでヨダレが出てきますが、多分封を切ったらあっという間に無くなるんですよね。
木戸泉の新酒「初しぼり」と「総の舞」 |
木戸泉酒造はJR外房線の大原駅から歩いて5分くらいの場所にあります。電車で訪問するには便利な場所にありますが、東京駅から特急で70分もかかりますのでおいそれとは行けません。電車が有利なのは試飲ができることと活性酒を持ち帰れることです。第四回蔵開きが4月17日(日)に開催されるので是非来てくださいと誘われました。9種類の日本酒が試飲でき、蔵開き限定酒が手に入るそうです。是非行ってみたいものですが電車かバイクかで悩みます。
木戸泉酒造は外房黒潮ライン(国道128号)から少し内陸に入ったところにあります。海までバイクで5分ほどの場所です。一番近い大原漁港まで行ってみました。数日前から日本各地に大雪をもたらした大型低気圧の影響で風が強く、釣り人は一人もいませんでしたが、風のない日にはサビキ釣りが楽しめそうな港です。
広い大原漁港の防波堤、近いうちにサビキ釣りにでも来たい場所です |
外房の木戸泉酒造を訪れる途中、長南町にある笠森観音に寄り道してみました。急峻な崖や山の斜面に建てられた寺院建築を「懸造り(かけづくり)」といい、京都の清水寺が有名です。笠森観音も同じ懸造りの寺院なのですが、四方向全部が懸造り構造という日本で唯一の寺院建築です。つまり斜面に建っているのではなく、岩山のてっぺんに乗っかっている建物なのです。
岩山の上に乗っている笠森観音、日本唯一の「四方懸造」構造です |
長元元年(西暦1028年)に建立されたそうですが、今から990年近く前によくこんなものを建てたなというのが第一印象です。
下から見上げるとかなりの迫力 |
土台部分を覗くと岩山の勾配に合わせて長さの異なるたくさんの柱が立っていますが、岩の上に乗っているだけにしか見えません。関東大震災を含めた多くの大地震にも耐えて、今ここにあることを考えると観音様のご加護というものを考えてしまいます。飲み過ぎて体を壊さないようにと願をかけておきました。
帰宅後、まずは「初しぼり」の方から開けてみました。どぶろくの上澄みのような黄色味がかった色になっています。アルコール度数は19%もあり、飲み過ぎ注意です。氷で軽く冷やして飲んでみると、かすかに甘酒のような甘みとともに炭酸ガスが溶け込んだ味がします。まさしく上品などぶろくを飲んでいるような感じ。いけます。
味見のつもりが、やめられない止まらない |
さっぱりとした新酒はグイグイいけてしまいます。バイクの疲れも手伝ってすっかり夢見心地です。これだから房総酒蔵バイクツーリングはやめられません。
グイグイいける「初しぼり」が空になってしまいました。さて、純米生原酒「総の舞」の出番です。こちらも原酒の濃厚さとともに純米酒のキレの良さもあります。ラベルには『アルコール度数を16度台に設計しましたので原酒ですが食中酒としておすすめです。』と書いてありました。出汁の効いた鍋料理や焼き鳥が一緒に楽しむおすすめ料理だそうです。早速、白湯鶏鍋で一杯やってみました。やばいですね。新酒は旨い。
(2016年1月25日追記)
0 件のコメント:
コメントを投稿