2017年1月10日火曜日

快適動画編集 VIRB EDITのゲージをカスタマイズする方法がやっと判明


 GPSやサイコンのデータを動画にオンスクリーン合成できるVIRB EDITは今やサイクリングやバイクの動画編集には欠かせないものになっています。速度や位置情報、勾配、標高などの地理情報に加え、心拍数やペダル回転数などの自分の身体的データを動画に重ねて表示できると、カメラの映像だけでは伝わらない臨場感を伝えることが可能です。


実際の勾配をグラフ表示をさせたい


 サイクリングで急勾配を登り下りするときの動画を編集する際に、登り下りの地形や心拍数などを動画に付加情報として加えると、どの程度のきつい坂を登っているのかが一目瞭然です。VIRB EDITを使って動画にサイクルコンピューターの走行データを重ねれば簡単に実現できます。

VIRB EDITでオンスクリーン表示させた高度グラフ

色々な大きさ、フォーマットの標高データを表示できるため大変気に入ってますが、よくよく見るとこのグラフ、横軸が経過時間のようです。つまり、速く走れる下りは勾配が急に見えますし、速度が遅くなる登り坂は勾配が緩く表示されてしまうのです。

時間のかかる登り勾配はグラフでは緩やかに見えてしまう

横軸が時間では、高度のグラフを見ても勾配の強弱を正確に示してはくれません。上の写真は18%もある登り勾配ですが、その前の写真の4%下り勾配よりも緩やかにグラフ表示されています。実際の地形の通りの勾配をグラフ表示するには、横軸は時間ではなく移動距離である必要があります。VIRB EDITで選択可能なゲージや表示オプションを探し回りましたが、そのようなグラフは見つかりませんでした。


どうもVIRB EDITのゲージは編集可能なようだが....


 VIRB EDITのゲージ選択画面には標準のゲージをコピーしたり編集したりするボタンがあります。マウスを持っていくとベータではありますが編集できる旨のメッセージが出てきますので、期待して押して見ますが何も起こりません。コピーはできますが編集はできませんでした。

ゲージ選択画面では「ゲージの編集(ベータ)」と出てくるが....

いろいろ調べてみると、VIRB EDITのゲージやその組み合わせであるテンプレートを編集するプログラムは確かに存在するようです。「追加分を取得」というボタンも用意されていて、誰かが作った新しいゲージをダウンロードするためのボタンも用意されています。

追加で開発されたゲージも公開されている

これは自由にゲージをカスタマイズできるに違いありません。ネットで調べて見ると、VIRB EDITゲージビルダーというガーミン社純正のユーティリティが存在することを確認できましたが、Mac用のプログラムが見つけられません。もしやWindowsしかサポートしていないのでは、と疑って調べて見ました。


VIRB EDITのゲージ編集はWindows版だけだった


 動画編集はパワーのあるMacBook Proで行なっているため、手持ちのWindowsノートパソコンにはVIRB EDITは入れていません。確認のためWindowsノートパソコンにもVIRB EDITを導入して、Mac版で出来なかったゲージの編集をやってみました。

WindowsノートPCでゲージの編集を起動してみた

するとどうでしょう。なんとゲージビルダー(GaugeBuilder.exe)というプログラムが起動し、VIRB EDITのゲージ選択画面に出てくる見慣れたゲージが表示されました。

Windowsで起動したゲージビルダーの画面

プログラムはVIRB EDITと同じフォルダーに格納されています。Macで「GaugeBuilder」の文字列で検索しても何も出てこないのはサポートがないからなんですね。そうであればVIRB EDITの画面に無用なボタンが出ていなければ悩まなかったのですが、ここに至るまでにえらい時間を使ってしまいました( ̄^ ̄)。


ゲージ定義の中身を見ると変更方法もなんとなくわかる


 Windows版の場合、VIRB EDITに標準で用意されているテンプレートやゲージの定義ファイルはプログラムと同じフォルダー内に格納されています。それぞれ「Templates」、「Widgets」という名前のフォルダーです。片っ端からゲージビルダーで覗いて見ると、なんとなく変更の仕方も見えてきました。

ゲージビルダーの「開く」で既存のゲージを分析

GUI画面でゲージの要素となるテキストやグラフィック、インターバル(飛び飛びの目盛り?)を追加してコンポーネントとして定義します。イメージはpng形式のファイルを指定するようになっていて、「編集」ボタンを押すとイメージエディターが立ち上がるようになっています。それぞれの表示位置や大きさ、色を指定してやればゲージが定義できます。マニュアルがなくとも変更を加えるくらいならすぐにできそうです。

要素をコンポーネントとして追加編集することでゲージを作成

ただし、メータの針を回転させるなどの動きはこのGUI画面から納得できる情報が得られません。左下にある「詳細編集」というリンクを押して見ると、テキストエディタでJSON(JavaScript Object Notation)形式のファイルが開きました。

ゲージの細かな定義がJSON形式で指定できる

メータの針の回転などは"manipulation"というキーワードで定義されていることがわかります。これを理解すれば細かいゲージの動作や表現も実現できそうです。テキストエディタが起動すると同時に「Overlay Renderling Reference」という簡易マニュアルが表示されますので、参考にできます。

JSONファイル編集画面と同時に表示されるリファレンス


既存のゲージを変更する方法は見つかったが....


 ここまでの試行錯誤で、Windowsで既存のVIRB EDITゲージを自分の好きなように変更する方法はわかりました。しかしながら、仕組みを知れば知るほどグラフの横軸を時間から距離に変更するのは難しそうな気がしてきました。ゲージ機能は時間を変数とした関数しか見つかりません。やりたかった縦軸標高、横軸距離というグラフ表示は現状では不可能なようです。

 さらにゲージの編集機能がMacではサポートされていませんので、Windowsで変更してからMacに反映させたいのですが、その方法がわかりません。GARMIN Forumには修正したゲージの定義ファイルを置く場所などの情報も載っていますが、VIRB EDITからどのように認識させるのか未だ理解できていません。どなたか詳しい方がいらっしゃいましたら、是非ご教授ください。



Windowsで編集したゲージをMacに持っていく方法


 その後色々と試しているうちに、Windowsで編集したゲージをMacに持っていく方法が見つかりました。方法といっても単に指定されている格納場所に、必要なゲージ定義ファイル(.VET)とイメージファイルがまとめて入っているフォルダーをコピーするだけです。対象となるフォルダーは、指定したゲージ名の後ろに長ったらしいおまじないのような文字列が追加されていますが、気にせずそのままMacのフォルダーにコピーします。VIRB Editを起動すると、ちゃんとゲージの一覧に追加されていました。

ゲージ(拡張子は.VEG)の格納場所
Windows - C:\Users\[username]\AppData\Roaming\Garmin\VIRB Edit\Telemetry\Widgets

Mac - /Users/[username]/Library/Application Support/Garmin/VIRB Edit/Telemetry/Widgets

ちなみにテンプレートの入るフォルダーはこちらになります。

テンプレート(拡張子は.VET)の格納場所
Windows - C:\Users\[username]\AppData\Roaming\Garmin\VIRB Edit\Telemetry\Templates

Mac - /Users/[username]/Library/Application Support/Garmin/VIRB Edit/Telemetry/Templates

WindowsからMacへのコピーにはDropboxなどのクラウドサービスを経由すれば、いちいちメディアを差し替えたりすることも不要で、コード変換も勝手にやってくれます。これでオリジナルゲージの活用に一歩近づきました。無料で使えるVIRB Edit、奥が深いです。

(2017年7月4日追記)


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