昨年スピード違反で捕まったのを機にユピテルのレーダー付きバイクナビを取り付けてから一年半が経ちました。未だこれのおかげで助かったという経験はありませんが、バイク専用ナビの安定した動作と使用感には満足しています。慌てて取り付けたものですから、元々付いていたRAMマウントのUボルトベースを利用しました。そのためナビの位置がタンク寄りになってしまい、メーターから離れ過ぎているのがずっと気になっていました。
乗車状態での写真 ナビがガソリンタンクに寄りすぎて、メーターとの視差が大きい |
メーターを読む時よりもさらに視線を落としてやらないと、ナビ画面が確認できません。進行方向 → メーター → ナビと視線移動が大きくなってしまい危険です。さらに、ナビがタンク側にせり出してしまい、大きいタンクバッグはつけられません。
原因はRAMマウントの基本構造にあります。ハンドルバー中央に取り付けられたUボルトベース(RAM-B-231U)とナビのクレードル下に付けられたAMPSホールパッド(RAM-B-347U)の間をショートアーム(RAM-B-201U-A)で連結しています。
二つのボール間をアームで連結する構造のため、アームは省略できない |
二つの1インチボールをアームで挟んで固定する構造のため、位置的にアームが不要な場所でも必ずアームを入れなければなりません。一番短いアーム(ボール間4.5センチ)を使用しましたが、その分タンク寄りになってしまいました。
アームを真っ直ぐに立てればナビをハンドルの上に持ってこれますが、今度は上に行き過ぎてライダーの顔に近づいてしまいます。老眼のため、あまり近いと字が読めません(情けない.....)。
アームを立てればハンドル真上になるが、高さが高過ぎ |
適当なマウントを見つけたら交換して、ナビの位置を直そうと思ったまま一年半も過ぎてしまいました。高機能なCADソフト(Fusion360)と3Dプリントサービスでオリジナルマウントを作っては実戦で活用できることに味をしめ、ナビ位置を変えるための自作マウント作りに挑戦してみました。
RAMボールに直接取り付け可能なマウントを設計
1インチ(25.4mm)のRAMボールにアーム無しで直接取り付けできるナビ用マウントを設計します。ユピテルナビ(MCN46si)付属のクレードルのネジ穴はAMPSホールパターンという規格で造られています。これはGarminのZumoなども同じだそうで、いろいろなマウントが利用できて便利です。
ナビ取り付け穴は規格サイズでユピテルにも合致 |
RAMボールは金属の球にゴム層のコーティングがしてあります。どの程度のマージンで、どの程度の滑りがあるのかはやってみないとわかりません。とりあえず試作・評価品として設計してみました。使用したソフトはAutodeskのFusion360。学生は三年間、スタートアップ企業は一年間の無料ライセンスが取得でき、期限がきたら更新が可能です。
Autodesk Fusion360で設計中のオリジナルマウント |
出来上がったSTLファイルを3DプリントサービスのDMM.makeへ送って発注。待つこと四日ほどで完成品が宅配されてきました。適度なしなりと強度を兼ね備え、価格も一番安いナイロン素材で作りました。
安価な白色ナイロン素材を使用、15mm長のM5ボルトとナット二組で締め付ける |
このオリジナルマウントで不要になる、市販のアームとホールパッドの合計価格より安価に出来上がりました。量産しない自作品でも、必要な機能だけに絞り込めば市販品に負けない価格を実現できます。
自作マウントでバイクナビを取り付け直し
ナビ付属のクレードルにオリジナルマウントのネジ穴を合わせてみるとぴったりです。3Dプリントサービスでナイロン素材を使用した場合、±0.3mmの誤差を考慮した設計が必要ですが、実際に出来上がったものはもう少し精度が高いようです。
ユピテル・バイクナビ用クレードルに取り付けた自作マウント |
この状態でUボルトベースのRAMボールに乗せ、角度を調整してからボルトを締め込みます。
ハンドルバーの真上にセットできたバイクナビ |
バイクにまたがってナビやメーターを見てみるとこんな感じになりました。一番最初の写真と見比べていただければ一目瞭然。メーター側に近づき、ナビを見る際にも視線移動が少なくて済みます。イグニッションキーが隠れましたが、始動時だけほんの少し前かがみになれば、場所の確認もキー操作も問題ありません。
自作マウントでナビの位置をメーターに近づけた |
この状態でよく行く日帰りコースを走ってみましたが、視線移動が少なくてかなりナビが見やすくなりました。結果として安全運転にも寄与してくれるものと思います。
幾つかの課題も発見
頭の中で想像しながら設計していますので、3Dプリントで出来上がった実物を使用する際には毎回課題が見つかります。一個しか作らない場合は、何らかの手当てをして使い続けますが、それ以外は設計にフィードバックして改良版にします。
- RAMボールを締め付ける部分が細すぎて強度に不安が残る
ナイロン素材の場合、厚みが3mm以下だと簡単に曲げられる柔軟性があります。5mm以上の厚みがあればかなり硬い部材となりますが、ネジで締め付ける部材としてはもう少し厚み(幅)が必要なようです。
- 変形したRAMボールへの対応が必要
一年半の間、アームで挟まれ続けたRAMボール。ゴムの部分が変形して、形が変わっていました。凹んだ部分は1インチ(25.4mm)の直径がありません。1mm程度も直径が小さくなっていました。このようなRAMボールでもしっかりと固定できる構造にできればベストです。
とりあえず取り付けて、一日使用して感じた課題はこの二点です。次回作成時に備えて、この二点に対応できるよう設計変更を行う予定です。
設計変更を行い、改良版に取り替えて実際に使用中です。実用性が確認できましたので、DMM.makeのクリエイターズマーケットに出品しました。ユピテルナビの取り付け位置で悩まれている場合は是非ご検討ください。
Autodesk Fusion360で改良中のマウント |
(2016年11月19日追記)
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