バイクや自転車でのツーリングシーンをGoProで撮影し、ビデオ作品作りに励んでいます。単独で出かけることが多いため、自分を撮ってくれる人はいません。撮影された映像を見ると、ほとんどがライダー(サイクリスト)視線の風景ばかりです。まさに主観的映像素材ばかりですが、できるだけ客観的に楽しめるよう編集作業にも工夫を重ねています。さらに、複数台のカメラを使ってみたりマウント方法にも試行錯誤を繰り返して、撮影の時点から客観的な素材が撮れるよう心がけてきました。
第三者や鳥の視線で撮影した映像が欲しい
ツーリング中のカメラの設置場所はハンドル周りがほとんどです。状況によりヘルメットや体の胸部に取り付けることもありますが、全てのケースで進行方向の風景を狙った映像です。取り付け位置に多少の高低はありますが、まさにライダー(サイクリスト)目線の主観的映像を撮っています。
自分が見ている映像と他人や鳥が見ている映像は対局 |
映画などでは実験的に主観的映像を多用したものもありますが、基本は客観的な映像を中心に組み立てられています。ツーリング動画作品にももう少し客観的な映像素材を使いたいところです。理想はドローンから自分の走っているところを撮影した空撮映像なのですが、まだ高価で手が出ません。たとえ入手できたとしても、ソロ・ツーリングでドローンで撮影しながら走るのはかなりリスクがありそうです。自動で追尾してくれるドローンもあるそうですが、走行中では非常時の対応ができませんので、どう考えても危険です。第三者がドローンを操縦したり、カメラを構えて撮影してくれるのが一番なんでしょうが、ソロではそうもいきません。
写真やCG映像で客観性を補うことは可能
第三者やドローンが撮影してくれたツーリングシーンの映像が皆無でも、走っている場所を撮影した写真やパンフレット、地図などの画像を実写映像に挟み込めばかなり客観性を補うことはできます。サイクリング中の速度やケイデンス(ペダル回転数)、標高や気温、心拍数などの実測データは走行中の貴重な客観的事実です。無料で使えるVIRB Editがあればサイクルコンピュータのデータを簡単に実写映像に重ねて表示できます。
サイクルコンピュータのデータとGoogle Earth Proのツアー動画をGoPro映像に重ねた作品 |
さらにGPSの走行軌跡データをGoogle Earth Proに読み込ませれば、ドローンから撮影したようなツアー動画も作成できます。この二つをGoProの実写映像に重ねて表示すれば、大きく客観性を補うことが可能です。作品を観る際に、どんな場所を走っているのか、どの程度スピードが出ているのか、サイクリストはどの程度負荷を感じて走っているのかなどの実写映像だけではわからない部分まで表現できます。
縮尺によっては実写映像と見間違うほどの品質でCGの動画素材が準備できます。これなら補助的に使用するのではなく、Google Earth Proの映像を主として使用し、そこに実写映像を補助的に重ねるという使い方も考えられます。ただし、これらの方法ではライダー(サイクリスト)自身の映像を残すことはできません。
実にリアルなGoogle Earth Proのツアー動画 |
縮尺によっては実写映像と見間違うほどの品質でCGの動画素材が準備できます。これなら補助的に使用するのではなく、Google Earth Proの映像を主として使用し、そこに実写映像を補助的に重ねるという使い方も考えられます。ただし、これらの方法ではライダー(サイクリスト)自身の映像を残すことはできません。
ライダー(サイクリスト)を撮るなら三脚固定カメラ
移動しているライダー(サイクリスト)の全身を撮影するにはカメラを三脚に固定して、ある程度広い画角で撮影するしかありません。動く被写体を遠隔で認識し、雲台が回転してくれる製品もあるようですが、一般的ではありません。
ドローンが無理ならカメラを三脚に固定して撮るしかない |
結局撮影できた映像は、固定した風景の中を通り過ぎるライダー(サイクリスト)の姿です。いかにも、一人でカメラを固定して撮ってますという印象で、少し寂しい映像に。こんな時に使えるテクニックが、トリミングです。写真撮影では当たり前のように使っている技法ですが、動画で試してみたのは初めてです。
画面を横切るバイクをトリミングして切り出す |
バイクの動きに合わせて、切り取る場所を変えてやります。するとどうでしょう。まるで第三者が手持ちカメラで被写体を追いかけているように見えます。映像の一部を切り取って拡大しますから画質の劣化が心配ですが、元々の撮影を4K解像度で行えば大丈夫です。編集はHD解像度ですから画質の劣化は最小限に抑えられます。GoProの高解像度モードをテストしていてこのやり方に気づきました。
4K解像度で撮影し、HDサイズの画面にトリミング |
体の一部と風景とバイク(自転車)が映る構図も使える
ライダー(サイクリスト)が見ている風景だけよりも、自身の体とバイク(自転車)の一部を風景と一緒に写してしまえば、かなり客観性(臨場感)が増します。アクションカメラをオートバイにマウントする方法についてはかなり苦労してきました。求めている画角だけではなく、振動の影響をできるだけ排除する取り付け方法など、未だ満足できる結論は出ていません。
バイクやライダーにカメラを取り付けられる場所は多い |
自転車の場合はバイクよりもアクションカメラの取り付け場所は限られますが、それでも類似の場所が選択できます。これらの取り付け場所の中で最近良く使っているのは、グラブバーとタンデムステップです。左右どちらかの後方からライダーの後ろ姿とバイクと斜め前方の景色が一緒に撮影可能です。一部とは言えライダーとバイクも一緒に写っているため、それなりに客観性のある映像になります。
グラブバーからの映像、景色もバイクもライダーもいっぺんに撮影できる |
ライダー自身と後方の景色が写せるハンドル周りもおすすめです。恥ずかしいのでYouTubeなどに顔出しはしませんが、風景と一緒に写っている自分の映像は記念撮影と同じで思い出には欠かせません。GoPro純正のサクションカップマウントがメータと同じサイズだったため、タコメータにくっつけてカメラを後ろ向きにしてみたら実に安定した自撮りが可能でした。メーター周りってグラグラしていて期待していなかったのですが、実は振動の影響が少なく、まるでTVのバイク番組を見ているようです。メーターは視線をしばしば落とす場所ですから、そこから撮影するのは理にかなっているのかもしれません。この構図などもまさに客観的な映像ですね。
タコメーターに貼り付けたサクションカップからはこんな映像が撮れる |
普段目にしない変わった場所からの映像も役に立つ
普段は滅多に目にすることのない画角の映像が撮れる固定場所もあります。バイクで言えばフレームの下部やステップの下、フロントフォークなど。これらの場所から撮影した映像をメインで楽しむことは少ないかもしれませんが、編集時にアクセントとして挿入することにより、路面の状況やシフト操作のタイミングなどを客観的に見せることが可能です。
ステップの下に取り付けたGoProの映像 |
回転する自転車の前輪ハブにGoProを取り付けて撮影した映像は、大型テレビで見ていたら気持ちが悪くなってしまいました。やり過ぎは良くありません。ほどほどにして楽しみましょう。
回転する自転車ハブ軸からの映像、気分が悪くなる |
これらのちょっと変わった映像は、目的の作品には使われなくでも、その後別の作品で役に立つことがしばしばありました。撮っておいても決して無駄にはなりませんので、積極的に動画素材として撮りためています。
マルチカム撮影でさらに表現力をアップ
実写映像に補助的な映像を追加して客観性を増す手法を見てきましたが、二つ以上の実写映像を組み合わせるのも効果的です。バイクの試乗会に出かけて憧れのマシンを記録する際に、バイク全体からメーター周りの詳細など、走り出す前にも記録に残したい部分は多くあります。そんな時には目線を忠実に追ってくれるヘルメットカメラが役に立ちます。
試乗前にマシンを眺めている時にはヘルメットカメラの映像が有効 |
試乗中は前を走るバイクやコースを映すヘルメットカメラとメータ周りが大きく映るチェストマウントカメラの二つがあれば、作品に仕上げる際に臨場感が増します。試乗の楽しさがより客観的に伝えられる作品になると思います。
試乗の様子とマシンのメーター周りが同時に表現できる |
さらに試してみたい撮影技法もあるが勇気が必要
GoProのプロモーションビデオではお馴染みの「ぐるぐるマウント」なども試してみたい撮影技法です。ライダーの周りを360度くるくると回転しながら、景色もバイクもライダーも写せる手法ですので、迫力ある映像が撮れそうですが、公道でこれを使っていたら絶対に職務質問されますよねσ(^_^;) それに比べるとエクステンションヘルメットマウント(チョウチンアンコウ型マウント)は羞恥心だけ押さえれば何とかなりそうです。バイクに適当な長さのロッド(棒)が固定できれば後ろ姿を高い場所から撮影するのも面白そうです。
迫力ある映像が撮れそうなマウント方法、ちょっと勇気がいる |
紹介してきた撮影・編集技法の一部を実際に使用した動画を作成しました。説明だけでは分かりにくい部分も映像をご覧いただければ明確になると思います。
ライダー目線の風景ばかりではない、客観的な映像をできるだけ加えて楽しめる作品作りを心がけていますが、あまりテクニックに走り過ぎても興醒めのようです。要は、そのままでも十分に面白いと感じる実写映像を撮ることが肝要で、それを補う客観的映像は最小限にした方が良い作品だということがだんだんわかってきました。映像の世界、奥が深いです。
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