アクションカメラを使いこなすにはマウントがキーになります。バイクや自転車、自分の体などにカメラを固定して迫力あるシーンを狙うために、目的に応じて色々な場所にカメラを確実に取り付けるためのマウントが必要です。エンジンからの強烈な周期振動がある
オートバイへのマウントや取り付ける場所が乏しく路面の振動が伝わりやすい
自転車(ロードバイク)へのマウントをテストしてきました。
汎用の市販マウントでは満足できない場面がある
GoProの次に
2台目のアクションカメラとして購入したのはPanasonicのHX-A1Hでした。円筒形状のため、GoProでは取り付けられない場所にも簡単にセットでき、撮影のバリエーションを増やすことができました。REC-MOUNTSから発売されている1300円ほどの変換アダプターを使用すれば、たくさん持っているGoPro用のマウントに装着できるようになります。
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変換アダプターを使ってバイクのフェンダー固定部に取り付けたHX-A1H |
路面に近く、車輪の一部を含めた迫力ある映像が撮れますが、エンジンや路面からの振動で映像にブレが出てしまいました。カメラ末端をクリップして保持しているだけですので、振動の影響を受けやすいのは見ただけでわかります。カメラの重心部分(中央)で保持してくれるマウントを探しましたが、市販品には適当なものが見つかりませんでした。
売っていなければ自分で作ってしまえる時代です。
学生やスタートアップ企業であれば無償で利用できるAutodeskのFusion360を使用して、自分の思い描く理想的なマウントを設計し、DMM.makeの3Dプリントサービスで実物を作ってもらいました。
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カメラの重心部分を保持するように設計した自作マウント |
狙いは的中です。REC-MOUNTSの市販品では、エンジンの空ぶかしで映像がゆらゆらと振動していましたが、自作品では相当高回転まで回さないと揺れは出ません。走行中も安定した映像が撮れ、満足できる結果となりました。
何度か改良を重ね、脱落防止とレンズ面保護を目的にしたキャップ部に庇を設け、A1Hのマイク部に風が直接当たらないようにしたところ、別売りのウィンドジャマー(2000円程度)と同等の効果が得られました。
振動に強いHX-A1H用自作マウント開発の記事はこちらにあります。
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かなり目立つPanasonic純正のウィンドジャマー |
3Dプリントサービスは決して安いものではありませんが、個人でも買える3Dプリンターでは使用する材料がABSやPLAなどに限定され、必要なしなりのある製品が作れません。複数のパーツを組み合わせたり、タッピングビスで固定したりするため、現在はナイロン素材を多用しています。3Dプリントサービスの中では最も安価な素材で、必要な強度としなりを併せ持っています。A1H用自作マウントの場合、マウントのみとして考えると市販品の方が安いのですが、純正ウィンドジャマーの効果も併せ持つと考えれば、両方を買い揃えるより安価になります。
市販品にない機能を持つ実用的なものが、市販品と変わらない値段で作成できることを経験し、すっかり自作にはまってしまいました。
CATEYEのライト用ブラケットを活用したい
持っている自転車には全てCATEYEのライト用ブラケットが付いています。ライトを買い換えているうちにブラケットの予備もたくさんたまってしまいました。初めから撮影目的で出かける場合には、アクションカメラ専用のマウントをセットしますが、とっさにカメラをセットしたい場合などにCATEYEのブラケットが流用できると便利です。
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持っている自転車全てについているCATEYEライト用ブラケット |
きっと市販品があるに違いないと思い、探してみましたが見当たりません。なければ作ってしまえということで、Fusion360でデザインしてみました。
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Fusion360で設計中のCATEYEブラケット用アダプター |
GoProを固定する部分は共通部品として別途設計済みです。CATEYEブラケットにスライドして固定できるよう、台座の部分を設計しました。せっかくの自作ですので、向きを90度変えられるようスライドレールを二組交差させています。いつものように
DMM.makeにSTLデータを送って、待つこと四日。届いたのがこれです。
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CATEYEライト用ブラケットにセットできるGoProマウントアダプター |
M5のナットをはめ込めばGoProが固定できるようになります。ナイロン素材の場合、アクリルなどに比べて精度が落ちるため、設計には注意が必要です。±0.3mmかつ長軸方向に±0.15%の誤差を考慮する必要があります。結合部分が固くてはまらない場合には、ヤスリなどで削ってやります。
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CATEYEライト用ブラケットにGoProがマウントできる |
ライト用ブラケットはカメラを取り付けることを想定していないため、振動には注意が必要です。ロードバイクなどの高圧タイヤの自転車では映像がぶれるかもしれません。ママチャリなどでお手軽にアクションカメラを使いたい時に重宝しています。
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柔軟な設計ができる自作品ならではの横向きマウントも可能 |
滅多に使いませんが、横向きにカメラをセットすることも可能です。アイディアが実物になるCADと3Dプリンターを使えば、自由な発想で必要なものを自作できます。たくさん余っているライト用ブラケットをあちこちに付けておけば、いろいろなところにカメラをマウントしてみることもできそうです。
シートポストに常設できるマウントが欲しい
自転車のシートポストやバイクのフレームにカメラを取り付けるには、REC-MOUNTSの製品がしっかりと取り付けられて安心です。自転車で後方の映像を撮影する場合にはここにGoProをセットしていますが、取り付けにホースバンドを使用しているためスマートではありません。
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REC-MOUNTSバーマウントタイプ4(ホースバンドは手回し式に交換) |
製品に付属してくるホースバンドはドライバーで回すネジ式ですが、手回し式のホースバンドに交換して使っています。金属のホースバンドでシートポストに傷がつかないよう、薄いゴムを間に入れることも忘れてはいけません。もう少しスマートにセットできるマウントを自作してみました。
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直径27.2mm専用のシートポストマウントをFusion360で設計 |
市販品は直径17〜64mmに対応できるようになっていますが、自分用には27.2mm固定で構いません。専用設計とすることで非常にシンプルな構造になります。3Dプリントサービスで出来上がったものがこれです。
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画面で設計したものが実物になって届くのは不思議 |
今回は価格が一番安い白のナイロン素材を使いましたが、黒を選べば装着時にも目立たなくなります。アクションカメラを使わない時に、マウントを付けたままにしていても違和感がないと思います。
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自作のシートポストマウント |
余ったGARMINサクションカップを有効利用したい
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GARMINのポータブルナビについてきたサクションカップ(吸盤)マウント |
小型で強い吸着力がありますが、ボール部分が特殊でこのままでは流用は難しそうです。このボール部分にGoProをセットするアダプターを自作してみました。
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GARMINサクションカップのボール部分につけられるマウントをFusion360で設計 |
ボールジョイントですので角度や向きを変えることができ、ネジを締め付ければしっかりと固定できるよう設計しました。出来上がったのがこれ。
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余っていたGARMINサクションカップがGoProマウントに変身 |
窓ガラスや机などに、手軽にGoProが装着可能なマウントに変身です。GoPro純正のサクションカップは高価ですが、余り物を活用して安価に同等品が作れました。
以前、バイクのメーターの大きさがちょうどGoPro純正サクションカップと同じ大きさであることに気づき、
GoProをタコメーターに取り付けてみたところ安定した映像が撮れました。問題はメーターが全く読めなくなることです。
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GoProサクションカップをタコメーターに貼り付けてGoProを固定、メーターは全く見えない |
同じことを今回作成したGARMINサクションカップでやってみると、メーターの針は読み取ることができます。今後、GoProなどのカメラをセットするのにも使えそうです。
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GARMINサクションカップが小型のためメーターに貼り付けても針は見える |
アーム無しでRAMボールに直接マウントしたい
カメラなどを自在に取り付けが出来るRAMマウント。アクションカメラのユーザーであれば、ほとんどの人がお世話になっているのではないでしょうか。1インチのボールをジョイントとし、アームを介してカメラなどを取り付けます。
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バイクには何箇所かRAMボールを取り付けてある |
このボールとアームのおかげで自在に向きが変えられるのですが、状況によってはアームを省略したい時があります。しかし構造上アーム無しでは使用できず、短いものでも約4.5センチのアームを入れる必要がありました。
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応用範囲の広いRAMマウントだがアームが必須 |
市販品を探してみましたが適当なものが見つからないため、RAMボールに直接取り付けられるマウントを設計してみました。
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Fusion360で設計中のRAMボール直接マウント |
3Dプリントサービスで出来上がったものをRAMボールにセットしてみたものが下の写真です。
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アーム無しでRAMボールに直接カメラをマウントできる |
余計なアームが入らないため振動に対して強くなりました。利用状況に応じてアーム有り・無しが選べるため便利です。
ユピテルのバイクナビもRAMマウントで取り付けていますが、アームのせいでかなりタンク寄りになっています。今回自作したマウントを応用すればハンドルの真上にナビを移動することもできそうです。
アイディア次第で無限に広がる自作品の世界
ある程度汎用的に使えるように設計された市販品は、自分の利用状況に合わない場合があります。3Dプリントの精度や強度が向上したため、市販品に頼らず自分専用のマウントを作ることができるようになりました。アイディアをフル活用して市販品を超える機能や使い勝手を実現したり、不要な汎用機能を削除したりすれば、費用面でも市販品に負けないオリジナル製品が作れます。まさにアイディア次第の世界が到来したようです。
設計や実際に使用している様子を動画にまとめてみました
市販品では満足できず、自分のニーズを設計に反映して、出来上がったマウントを実際に活用している様子を動画にまとめてみました。ものづくりの楽しさが少しでも伝われば幸いです。