2016年8月27日土曜日

快適動画編集 コマ落とし風動画が一発で作れるストロボエフェクトをMotion5で作成


 動きを強調したり速く見せるための技法としてタイムラプス撮影やコマ落とし撮影が使われますが、普通に撮った動画をコマ落とし風に見せたいときがあります。単純に再生速度を変化させても、スムーズな動きのまま速度が変わるだけで、コマ落とし風には見えません。今までは動画から静止画を複数枚生成して、それを並べて作っていました。カクカクとした狙い通りのコマ落とし風動画になるのですが、かなりの手間がかかり気軽に使えるテクニックではありません。Motion5で簡単に実現できないか調べてみたら、「ストロボ」というフィルタを使えばできそうだとわかりました。作成したコマ落とし風動画のイメージはこれです。



1. 「ストロボ」エフェクトテンプレートを作成


 Motion5が持つビヘイビアの中に「ストロボ」というものがあり、説明に『一定時間フレームを静止してムービーまたはクローンレイヤーをストロボ表示します』とあります。これだと喜び勇んでテンプレートを作ろうとしたのですが、テンプレートで重要な「エフェクトソース」に適用できません。諦めかけていたところ、フィルタの中にも「ストロボ」があることを発見。こちらの説明には『設定された継続時間の間、フレームを保持しながらイメージをストロボ表示します』とあります。狙った効果が出せるものなのかどうかわかりませんが、簡単な内容ですのでとりあえず作ってみました。

1-1. Motion5でFinal Cut エフェクトの作成を開始


 Motion5の初期画面で「Final Cut エフェクト」を選び、使用する動画フォーマットと継続時間を適当に指定します。継続時間はFCPXでの利用時にクリップの長さに置き換わるため適当で構いません。

Motion5初期画面

1-2. 「エフェクトソース」に「ストロボ」フィルターを適用


 画面中央のレイヤーリストには「グループ」の下に「エフェクトソース」レイヤーが一つできています。ここに「ストロボ」フィルタを適用します。

「ストロボ」フィルタを適用

1-3. テンプレートとして公開するパラメータを指定


 FCPX側で利用するときに調整する必要のある「ストロボ」エフェクトのパラメータを公開します。エフェクトの有効・無効を指定するチェックボックス、毎秒何回フレームを静止させるかを指定する「フレームレート」、元の動画の上に表示される静止フレームの不透明度を表す「ミックス」の三つです。各パラメータの右にマウスを持っていくと小さな三角形が出ますので、そこをクリックします。するとメニューが現れますので、その中から公開を選べば終了です。

公開するパラメータを指定

1-4. 公開パラメータの確認と初期値の設定


 最後にパラメータが正しく公開されているかどうか確認し、FCPX側でテンプレートが適用された時の初期値を設定します。遅い動きでもストロボ効果がはっきり確認できるよう、ストロボレートは最小の1.0を初期値にしました。

公開パラメータの確認と初期値のセット

適当な名前をつけて「保存」してやれば完成です。FCPXからその名前で利用可能になります。


2. FCPXでの利用は簡単


 動画から静止画を書き出し、それをFCPXのタイムラインに順番に並べて作るコマ落とし風動画は大変な手間がかかります。エフェクトテンプレートとして作成された「ストロボ」は対象のクリップにドラッグ&ドロップし、パラメータを調整するだけでコマ落とし風になりました。

簡単にコマ落とし風動画が作れる

毎秒一枚の静止フレームが最も遅いレートのようです。それよりもゆっくりとした動きをコマ落としにするには、元々のクリップの再生速度を上げておいてから「ストロボ」を適用すれば効果が感じられます。


作成したテンプレートはGoogleドライブで公開しています


 限られた画面コピーと文章のみでは不明な部分もあるかと思います。また、Motion5を持っていなくてもFCPXテンプレートだけ利用したい場合があるかもしれません。今回の分も含めて、Motion5で自作したテンプレートを公開しましたのでご利用ください。



編集時のフレームレートは30fpsが良い


 今回作成したストロボエフェクトのストロボレートは最小1.0(回/秒)からで、小数点以下1桁まで指定できるようになっています。GoProなどで撮影した動画素材は29.97fpsですので、指定したストロボレートのほとんどで割り切れない状態となります。動きの早い動画素材の場合、割り切れずに余ったフレームがコマ落とし動画に悪影響を与えているようです。フレームが瞬間戻ったような映像になり、とても不自然でした。

 編集時のフレームレートを30fpsとしてテストしてみたところ、この不具合は出ませんでした。もちろんストロボレートの値は30が割り切れるものを指定しています。動きの早いものを対象とする場合は、30fpsで編集した方が良さそうです。ただし、この場合も静止している間隔は均等ではなく、1〜2フレームずれる現象が発生しています。厳密に等間隔のストップモーションが必要な場合は、今まで通り静止画を生成して並べる方法が必要なようです。

(2016年8月28日追記)


2016年8月25日木曜日

房総酒蔵バイクツーリング番外編 待ちきれないひやおろしの解禁日


 しぼりたて新酒の時期も過ぎ、夏吟醸の出荷の盛りを過ぎた今はすっかり酒蔵巡りからも足が遠のいています。最後に房総の酒蔵をバイクで訪問したのは六月の鍋店です。夏の吟醸酒と純米吟醸酒の二升を買って帰ったのが房総の地酒の最後でした。しばらく日本酒を飲んでいませんでしたが、気づけば八月も終わろうとしています。九月に入ればそろそろひやおろしの季節到来です。


「ひやおろし」って何?


 春に搾られた酒を火入れして、一夏を酒蔵のタンクの中で貯蔵することで新酒の荒々しさが取れ、熟成された味になります。気温の下がってきた秋に、この熟成された酒を火入れしないで瓶詰めされた酒がひやおろしです。普通の日本酒は瓶詰め前に二度目の火入れを行い保存性を高めますが、ひやおろしは一夏をかけて熟成された味をそのまま楽しむために敢えて二度目の火入れは行いません。最近では低温貯蔵の技術が進んで、一回目の火入れも省いた生貯蔵酒というのもあります。日本酒はややこしいですね。

瓶詰め前の二度目の火入れを行わない「ひやおろし」

 ひやおろしに解禁日があるなんて全く知りませんでした。今年は9月9日(重陽の節句)のようです。昨年は10月の終わり頃にノコノコと蔵に行ったが手に入れられないという悔しい思いをしましたので、今年は9月9日になったら速攻で手に入れたいと思います。
 調べてみると、バラバラだった各蔵からのひやおろしの出荷時期を解禁日という形で合わせようとしているようです。すでに出荷を始めている蔵もありますが、千葉県酒造組合の直販ショップでも9月9日から販売開始となっていました。何しろタンク内でじっくり熟成させる酒ですから、飲ん兵衛の立場からするとあまり早く出すのは意味がないと思うのですが、商売上は他社を出し抜く必要があるのかもしれません。とにかく9月9日からまた房総の酒蔵巡りが忙しくなりそうです。

新米の収穫から始まる日本酒の四季

 毎年秋の酒米の収穫から始まり、冬に仕込まれた酒が春先に搾りたての新酒として出荷されます。早い蔵では米の収穫が終わった9月頃から仕込みを始めるため、11月に新酒祭りが開催される蔵もあるくらいです。とにかく春先の少し荒々しいけど、ピチピチとした出来立ての日本酒は最高です。麹と酵母の命の力を感じられると言ったら笑われるかもしれませんが、自然の力だけを利用して作り上げた、人類の英知の結集である醸造酒の出来立ての味です。毎年感動してメロメロになっています(単に酔っ払っただけかも)。搾ったまんま、火入れも加水もしていない生の酒を楽しめるのもこの時期ならではです。濃厚な味の中に微炭酸の刺激が加わり、何杯でも行けてしまうやばい酒です。

 春のしぼりたて新酒が一段落すると、低温で時間をかけて醸造された吟醸酒が出てきます。いち早く出回る夏吟醸もたまらない味わい。暑い時期に冷房を効かせた部屋で、冷えた夏吟醸を飲んだらもう極楽です。

 その後、酒たちにとっては静かな眠りの時期を迎えます。一度火入れされた日本酒は、涼しい蔵の中のタンクで一夏じっくりと熟成されます。搾りたての頃にあった荒々しさや炭酸成分などがなくなり、まろやかな日本酒に成長して行きます。ちょうど今の時期は大好きな酒たちは静かに眠っていますので、飲ん兵衛には我慢の時期です。

 夏も終わりに近づき気温も下がってきます。適度に熟成が進んだ日本酒を火入れせずに瓶詰めしたものが「ひやおろし」です。蔵によっては「秋あがり」という名前でも呼ばれますが、この時期は同じものです。普通の日本酒は瓶詰め前に火入れしてその後の保存期間を延ばしますが、ひやおろしはタンク内で進んだ熟成の味や香りをそのまま残すために火入れせずに出荷します。タンクでの熟成期間が伸びればそれだけ味も変わってきますので、ひやおろしも出荷時期によってさらに細かく区別されています。
  • 9月瓶詰め夏越し酒
  • 10月瓶詰め秋出し一番酒
  • 11月瓶詰め晩秋旨酒
どうです。こんな粋な名前を聞いているだけでヨダレが出てきそうでしょう。とにかく9月に入ったら毎月各蔵のひやおろし出荷情報をチェックする必要がありそうです。肝臓が持つかな....

 秋のひやおろしシーズンが終わると、年末年始に向けたお祝い用の酒や燗酒に合う本醸造酒などが中心になります。一夏じっくりと熟成された酒で、保存もききますので色々な銘柄を試すチャンスの時期でもあります。気の早い蔵はすでにこの時期には新酒の出荷を始めていますので、そういう意味ではコタツに入って紅白を見ながら熟成された一年酒から出来たばかりの新酒まで楽しめる最高の時期かもしれません。


そうはいっても「ひやおろし」解禁日まで待てない


 暑い日が続いていますので、日常的にビールやウィスキーの炭酸割りなどで喉を潤しています。しかし、夕立後の涼しい時などには日本酒が恋しくなる時も出てきました。9月9日以降は房総のひやおろしをガンガン試したいと思っていますが、それまで我慢できなくなり、デパ地下をうろついてきました。見つけたのは〆張鶴(しめはりづる)「雪」特別本醸造酒です。酒場で飲むときは、しぼりたて生や純米吟醸酒などの名前につられてしまいがちですが、本醸造酒や特別本醸造酒はその蔵の主義・主張が反映されているような気がしています。この〆張鶴もさっぱりとした辛口で飲みやすく、酒処新潟の有名な銘柄であることを主張しています。

〆張鶴「雪」特別本醸造酒

房総の地酒も旨いですが、やっぱり日本全国旨い酒はいっぱいありますね。そろそろ新潟進出も考えないといかんな.....


2016年8月18日木曜日

快適動画編集 悩ましい動画のBGM作りにGarageBandが活躍しそう


 YouTubeに動画を投稿するようになってからというもの、映像に合わせる音楽(BGM)選びに苦労するようになりました。先日YouTubeからContent IDの申し立てなるメールを受け取り、BGMの著作権について考えさせられました。このような問題がないフリー素材から作品のイメージに合ったBGMを選んでいますが、さらに演奏時間や曲のイントロ・エンディングなども考慮すると、使えそうなものを見つけるのに四苦八苦です。

 気に入ったものが見つからなければ自分で作ってしまえばいいのですが、そうは問屋が卸してくれません。何しろ子供の頃から音楽が苦手。音符も読めず、義務教育以降は楽器に触れたこともないくらいです。オリジナルの曲作りなど夢のまた夢でした。


現在の動画用BGMの準備方法


 Final Cut Pro X (FCPX)で編集した動画をYouTubeにアップしていますので、フリー音楽素材としてはFCPX付属の音楽ライブラリとYouTubeが公開しているオーディオライブラリが中心です。

 FCPX付属のライブラリは短いジングルと効果音が大半です。ジングルは映像作品の冒頭と完結部分で活躍しそうなものがたくさん含まれています。FCPXの中で素材をドラッグ&ドロップするだけで利用できますから手間もかかりません。効果音も豊富に入っていますので、撮影時の生の音でカバーできない場合もここの音源で対応できます。問題は作品全体を通して流すようなBGM風の楽曲が少ないことです。

FCPX付属のミュージック・サウンドライブラリ、簡単に利用出来る

 映像作品全体に流れるBGMはYouTubeオーディオライブラリから探しています。ジャンル・気分・楽器・長さ・帰属表示の必要有無でライブラリを絞り込むことができますが、自分の作品イメージに合うものがほぼ決まってしまい、似たり寄ったりのBGMになってしまうのが悩ましいところです。

YouTubeオーディオライブラリ


今まで使っていなかったGarageBandに注目


 いつの間にか身の回りに増えてきたiPhone、iPad、MacBookなどのApple製品には、素晴らしいソフトウェアが初めからついてきます。すでに無くてはならないものになっているものもありますが、ほとんど利用していないものもたくさん。音楽の才能がないと諦めていることもあって、GarageBandはほとんど利用していませんでした。

Mac版GarageBandのアイコン

改めてGarageBandの機能を調べてみると、付属しているたくさんのループ音源を組み合わせて、オリジナルの曲作りが簡単にできることがわかりました。しかも出来上がった曲は商用利用も可能とのこと。

Apple Loops機能でオリジナルBGM作りにチャレンジ


 GarageBandに付属しているループ音源はApple Loopsと呼ばれています。プロの世界でも使用されるLogic Pro Xにも付属している高音質音源で、これを使って作られた曲が実際に販売されているとのこと。こんなものが無料で付いてきているのに利用しない手はありません。勉強しながら試してみました。
  • 6,000以上もの高音質ループ音源(WaveとMIDI)
  • 楽器やイメージなどで絞り込み、適切なループ音源を選択可能
  • これらのループ音源を繰り返したり、組み合わせてオリジナルの曲を作成
実際にやってみるとすごく簡単ですが、あまりにも音源の数が多いため適切なものを見つけるには経験が必要そうです。

Mac版GarageBandでApple Loopsを利用

ビアノの主旋律を決めたら、それに合うベースとパーカッションを加え、各パートの音量とパンを調整します。なんとなくプロっぽく聞こえますが、全て初めての経験。いろいろいじくっているうちに、それなりにオリジナル曲っぽくなっていくのは楽しい経験でした。ループ素材を貼り付けているだけですので、動画作品の長さに合わせて自由に曲の長さを決められます。今まで作品に合った長さの曲を探すのに四苦八苦していたのが嘘のようです。

iOS版GarageBandのスマート機能でさらにオリジナル度アップ


 豊富なApple Loopsが利用できるとはいえ、基本的には用意されたものを組み合わせて利用するだけです。自分のイメージに合ったループ音源が見つかればいいですが、無い場合は作るしかありません。ここで楽器など触ったことも無い音楽音痴は壁にぶつかります。何か良い方法は無いかとさらに調べてみると、iPhoneやiPadに入っているiOS版GarageBandにはスマートキーボードやスマートギターなどと呼ばれる自動?演奏機能が付いていました。ピアノの鍵盤など叩いたことがなくても、オリジナルの曲が作れるとの売り文句です。


一般的なコード進行パターンも知らない音楽音痴が適当にキーを叩いたものです。これでも一応オリジナル曲かと.....(^_^;) 歳のせいでiPhoneの小さな画面で最後まで編集するのがしんどいため、一度iCloudにアップロードしてからMac版GarageBandに読み込ませました。それにApple Loopsで伴奏をつければ完成です。

 実際の映像作品に合ったオリジナル曲完成まではまだまだ時間がかかりそうですが、全く音楽知識のない自分が音を紡げるなんて夢のようです。創造力が刺激される素晴らしいソフトを、次から次に送り出してくれるAppleに感謝です。



自作BGMで投稿したら速攻で著作権のクレームが来た


 いろいろ試しているうちに、動画のイメージに合わせてそれらしいBGMも作れるようになりました。Apple Loopsの音源だけで作ったBGMをオープニングに使った動画をYouTubeに投稿した途端、著作権のクレーム(Content IDの申し立て)が届きました。引っ掛かったのはこの動画の冒頭部分です。


Apple Loopsを使って作られた曲は商業利用が可能なはずですから、早速異議申し立てを行ったところ、翌日にはクレームが取り下げられました。動画の投稿とほぼ同時にクレームが届きましたので、システムによる自動チェックだと思われます。ループ音源部分なんて似ているに決まってるのに.... Apple Loops機能を使って動画のBGM作りをする場合は要注意ですね。

(2016年12月6日追記)


2016年8月17日水曜日

快適自転車生活 ロードバイクに乗り始めてから克服してきた体の痛み


 いい歳をして乗り始めたロードバイク。かれこれ7年が経過し、ほとんどの人と同様に体の各所の痛みを経験してきました。末長くサイクリングを楽しむために、どうしても乗り越えなければならないハードルをどのように克服してきたのか、自分の経験をまとめてみました。サイクリングやスポーツ医学の専門家ではありませんので、自分の経験から学んだことしか書けませんが、同じような境遇の方々に少しでも参考になれば幸いです。


ロードバイクに乗り始めて痛む場所は皆同じ


 健康志向の高まりで、サイクリングにもブームが訪れています。週末のサイクリングロードには老若男女が自慢のロードバイクで走りを楽しんでいますが、どんなサイクリストも必ず経験する体の痛みというものがあるようです。ネット上にもロードバイク初心者の体の痛みに関する質問や投稿が溢れかえっています。ロードバイクに乗り始めて1〜2年で感じた自分の痛みの経験は、他の多くのサイクリストとそれほど異なっていないということがわかりました。

 長時間走り続けるロードバイクは経験の度合いや走り方に応じた適正サイズの自転車が必要です。フレームサイズやサドル・ハンドルの形状と位置、クランクの長さ、前後のギア比等々の個人向けフィッティングが自転車生活の快適さを左右するといっても過言ではありません。信頼できるショップに相談して、自分に合った自転車を選ぶことが基本中の基本です。

ロードバイクに乗り始めて痛みを感じた場所

経験を積んで乗り方・走り方が変われば、痛む場所も徐々に変わってきます。自分の経験では次のような順序で体に痛みが現れてきました。
  1. お尻(サドル部分)
  2. 背中・首・腕
  3. 手のひら
  4. つま先
細くて固いサドルに座っているとお尻がすぐに痛くなります。さらに、体を前傾させて上体を折り曲げた姿勢が続くため、腰や背中・首が痛み始め、上半身の荷重を支えるために腕にも痛みが出てきます。徐々に走る距離と時間が伸びてくると、上半身の荷重を支えるためにハンドルを押さえている手のひらにも痛みを感じたり、一日数万回のペダリングの結果として膝にも痛みが出始めます。冬場にはつま先の血行不良が原因となって、足先の痛みや冷えに苦しんできました。ロードバイクに乗り始めてから徐々に現れる、これらの体の痛みにどのように対処してきたのかを自分の経験からまとめてみました。


ロードバイクの通過儀礼「お尻の痛み」


 今では一日8時間以上自転車に乗っていても、お尻が痛くて我慢できないということは無くなりましたが、乗り始めの一年目は毎回お尻の痛みに耐えながら走っていました。ママチャリのサドルは幅が広くて柔らかく、スプリングで路面からの振動も吸収してくれます。体重をしっかりと受け止めるための構造になっているのは一目瞭然です。ロードバイクに乗り始めた頃は、ママチャリと同じように体重をサドルにかけていたようです。細くて固く、振動の吸収機構が無いロードバイクのサドルに、ママチャリと同じように腰掛けていてはすぐにお尻が痛くなります。慣れてきた今だからこそ言えることですが、大きな前傾姿勢を保って走るロードバイクの場合、体重はサドルのみで支えるのではなく、ペダルとハンドルに分散します。特に、走っている時に一番大きな力がかかっているペダルへ体重を分散できればお尻や腕への負担が減ります。

体重を腰・脚・腕で分散して支える

それぞれの比率は走り方によっても変わりますが、慣れてくれば体重のほとんどをサドルにかけるという乗り方はしなくなります。そうなれば自然にお尻の痛みは無くなっていきますが、それまでが大変。お尻が痛くて我慢できない時には次のような対処を行いました。

サドルの位置や傾きの調整、サドルの交換


 先ず、お尻や内腿の付け根が痛むような場合は、サドルの位置や幅が合っていないことが考えられます。購入時にショップで合わせてもらったセッティングも、多少の調整は必要なようです。サドルの高さ、前後位置や傾きをmm単位で調整しながら最適セッティングを探りました。登り坂と平地では最適サドル位置も異なります。そのために座る位置をずらせる構造になっていますので、平地ではこの辺、登り坂ではこの辺が合っていると目星をつけてから位置の調整を行いました。

サドルの位置や傾きが重要(柔らかさは二の次だと思う)

自分の経験上、お尻の痛みを和らげるためにサドルを交換してもあまり効果はないように感じました。痛みの原因は座り方や荷重のかけ方によるところが大きく、多少幅広で柔らかいサドルに変えても時間の経過とともに結局痛みが現れるという経験をしています。最終的に体幹が鍛えられ、荷重の分散が無意識にできるようになると、今までのお尻の痛みは嘘のように消えてしまいました。

パッド付きレーパンの着用


 始めからパッド付きのレーシングパンツをずっと着用していますので、パッドなしで走ったことはありません。何のクッションもないロードバイクに数時間も乗り続けるには、パッド付きのレーパンは必須だと信じています。内股の擦れ防止のためにパッドに専用のクリームを塗って着用する人もいますが、毎回アンダーを身につけて乗るためにクリームは一度も使用したことがありません。

レーパンのパッド(裏返しの写真)

最近ではゲル状のシリコンを入れたパッドなどもあり、お尻に対して優しいパンツが増えているようです。いろいろなレーパンを穿きましたが、お尻の痛みに対して一番効果的なのは、結局腰・脚・腕の荷重バランスを適正に保つことだと感じました。


背中・首・腕や手のひらの痛み対応は体幹の強化が基本


 上半身を前傾させるため、背中は長時間屈曲させたままです。その重さを手で支えようとして腕や手のひらに痛みが出てきます。少ない腕の力で上半身を支えるためには体幹の筋力が必要だと言われます。体幹って何、と思われるかもしれませんがロードバイクに乗り続けていれば自然に鍛えられます。しかし、それまで何も手を打たないのではサイクリングの楽しさも半減です。乗り方や道具で少しでも痛みを和らげることができるのであればと考え、いろいろ試してみました。

手のひらの痛みを和らげる対症療法


 走ることに慣れてくると、走る時間も延びてきます。疲れがたまってくるとついつい腕に荷重がかかるようになり、ハンドルを支えている手のひらに痛みを覚えます。一番力の加わる部分にゲル状のクッションが入った手袋を使用していますが、効果のほどは定かではありません。

ハンドルに接する部分にゲル状のクッションが入った手袋

路面からの細かい振動を吸収するにはバーテープを厚めのものに変えるのも効果があるようです。ツールドフランスで石畳を走る選手がそうしていると聞き、真似してみました。

厚めのバーテープも手の痛みには効果がある(かも)

これらの対応以外では手の位置を時々変えてやり、一箇所だけに力が加わることのないように意識しながら走るようにしました。体幹が鍛えられ、サドルとペダルにかかる荷重がうまくコントロールできるようになると、ハンドルで体を支えていない状態を作り出すことができるようになります。カーブではハンドルを押さえつけず軽く手を添えているだけ、登り坂ではハンドルを持ち上げるような走り方ができる頃には背中や腕、手のひらの痛みは感じなくなりました。


自転車での膝の痛みは深刻


 お尻や背中の痛みに耐えながら、だんだんと長距離を走れるようになってくると、ロードバイクの本当の楽しさがわかってきたように感じます。しかし、それとともに今度は膝に痛みが出るようになりました。お尻や背中の痛みとは異なり、膝の痛みは次回のサイクリングを不安にさせます。このまま膝を壊して走れなくなるのではと考えると、一気にモチベーションが低下しました。

 初心者といえども平均ケイデンスは60rpmくらいにはなるでしょう。これで6時間走れば、2万回以上ペダルを回すことになります。ほんの少しの無理でも、2万回も続けると体にガタがきます。私の場合は膝の外側が痛くなりました。関節の横の腱に炎症が起こっていたようです。走りながら膝の向きを変えたり、力の入れ方を調整したりして様子を見ました。膝が一番楽になるつま先の向き、足首の角度、膝の位置などを探りながら、痛みの出ないペダリングを試行錯誤しました。

比較的足の向きを変えやすいSPDペダル

目的地での歩行を前提とした楽しみ方をしているため、初めからSPDタイプのビンディングを使用しています。ロードに向いているらしいSPD-SLは試したことがありません。シングルリリースタイプのSPDクリートのためか、走りながら足の向きをかなり自由に変えられます。つま先を少し内側に向け、膝をフレームに近づくように注意しながらペダリングするようにしたらいつの間にか膝の痛みは感じなくなりました。どうもガニ股、O脚気味のペダリングのせいで膝の外側に痛みが出たようです。

 ネット上でもサイクリングと膝の痛みに関する記事は山のように検索できます。人それぞれ原因が異なりますので、対応もまちまちですが、膝の痛みだけはきちんと対処すべきでしょう。我慢を続けて鍛えるだけでは解決できないばかりか、膝の痛みが原因で自転車と決別なんてことにもなりかねません。自分で解決できない場合は、進んで専門家に相談してみるのも大切だと思います。


つま先の痛みや冷えも辛い


 特に冬場に症状が出やすいのですが、ペダリングを続けているとつま先が痛くなったり、冷えで我慢できないことがあります。冬でも通気性の良い夏用シューズのままですので、シューズカバーをしていますが、それでも我慢できないことが度々でした。靴下を厚手のものにしたり、シューズカバーを二重にしたりと色々試してみましたが効果がありません。
 ある時、冬山登山やスキーの際に気をつけている「つま先の血行」について対策を取ってみました。ペダルを踏み込むとつま先はシューズの先の方へ移動してしまいます。これを長時間繰り返していると、つま先が圧迫されて血行が悪くなります。

適度な余裕が必要なサイクリングシューズ

ビンディングシューズでは引き足も効果的に利用できますが、その際にシューズの中の足を後ろへ戻すように心がけながら走るようにしました。結果として、つま先がシューズの前方に押し付けられることがなくなり、冬場にシューズカバー一枚でも冷たさを感じることがなくなりました。今まではシューズの中で血行不良になっていたようです。つま先の痛みもだいぶ減りました。


末長く自転車を楽しみたい


 体幹が強化されたからなのか、荷重の分散がうまくできるようになったからなのかわかりませんが、ロードバイクに乗り始めた頃に悩まされた痛みはほとんど感じなくなりました。以前は一日の走行距離や獲得高度、平均速度などのデータが気になり、一生懸命にペダルを漕いでいました。今では途中で自転車を停めて本物の道草を食ったり、動画を撮影したり、自然の音を生録したりと寄り道ばかりで、痛みが出るような走り方ではなくなったのかもしれません。一日100〜120キロ程度の谷津道探検サイクリングを、痛みに悩まされることもなくのんびりと楽しんでいます。自分の年齢と体力に合った乗り方で自転車を末長く楽しもうと思っています。



2016年8月12日金曜日

えっ、著作権侵害? YouTubeからContent IDの申し立てメール受信


 YouTubeに動画を投稿するようになってから、まだ一年半の初心者です。先日も、ある動画の視聴回数が急増したと思ったら翌日からほぼゼロになって理解に苦しんでいるという投稿をしましたが、わからないことだらけのYouTubeです。


Content IDの申し立て?


 そんな中、今度はYouTubeから下のようなメールが届きました。どうも私の投稿した動画が「Content IDの申し立て」を受けたようです。使用されている曲「さやかに星はきらめき」が問題で、「elicense」から申し立てがされたとのこと。しかし、こんな曲を動画編集に使用した記憶はありません。

YouTubeからのメール

申し立てを受けた動画は2014年12月に生まれて初めてYouTubeに投稿した「いちはら市民の森イルミネーション点灯の瞬間」です。年末にバイクでたまたま立ち寄った、いちはら市民の森(現いちはらクオードの森)のクリスマスイルミネーションの様子をGoProで撮影したものです。屋外で収録したものをカット編集し、タイトルを入れただけですので、BGMは加えてはいません。投稿した動画にそのまま残っていた会場の音楽が問題になったようです。メールのリンクにあった詳細を見てみると、最後のカット20秒ほどに流れている曲についてのクレームでした。

 申し立てをしている「elicense」について調べてみると、だんだんと状況が飲み込めてきました。2001年に日本音楽著作権協会(JASRAC)と同様の音楽著作権管理業務に参入した株式会社イーライセンスのことのようです。現在は他社と合併して株式会社ネクストーン(NexTone)となっています。2014年6月からは「YouTubeコンテンツマネジメントサービス」としてYouTubeに投稿される動画の映像・楽曲を監視し、著作権者の利益を守る業務に参入しています。どうもこれに引っかかったようです。

 この段階では著作権侵害の警告を受けたわけではなく、自分の動画が再生されるときに著作権者にクレジットされる広告が表示されるか、動画の再生状況が著作権者に報告されるようです。これ以外に、申し立て人としては以下のようなオプションが選べるようになっています。
  • 動画を見られないようにブロック(国別も可能)
  • 動画の音声部分のみをミュート
  • コンテンツが表示されるアプリやデバイス、ウェブサイトなどを制限
申し立て人が法的手段に訴えた場合などに届くのが著作権侵害の警告のようですので、今回はそこまで大げさにはなっていないようです。


屋外撮影での写り込み(録り込み)と著作権


 このContent IDの申し立てで納得がいかないのは、問題となる楽曲はクリスマスイルミネーション主催者が屋外にBGMとして流していたもので、動画投稿者が狙って録音したものではないということです。イルミネーションが点灯する瞬間の人々のどよめきを狙って撮影したもので、勝手に流れているBGMを除いてどよめきだけ録音することは不可能です。このような場合の著作権法上の扱いを調べてみました。

著作物が偶然写り込み(録り込み)したとしても利用許諾が必要か?


 屋外で撮影していると偶然他人の著作物が画像に写ったり、楽曲が録音されてしまうことはそれこそ日常茶飯事です。このすべての場合に著作権者から許諾を得なければ映像や音が利用できないとすれば、怖くて屋外での撮影などできません。平成24年の著作権法改正でこの写り込み(録り込み)に関する「付随対象著作物の利用」という項目が整備されました。以下の三要件を満たしていれば、他人の著作物が写り込んだ(録り込んだ)ものを許諾なしに利用して創作できるとされました。
  1. 写り込んだ(録り込んだ)他人の著作物を分離することが困難
  2. 写り込んだ(録り込んだ)他人の著作物が自分の創作するものへの影響が軽微
  3. 写り込んだ(録り込んだ)他人の著作物の著作権者の利益を不当に害しない
クリスマスイルミネーションを撮影するときに、そこに流れているBGMだけ録音しないというテクニックはない(分離困難性)。自分の作品ではLEDイルミネーションの煌めきと、それが点灯された瞬間の観客の驚きが中心で、最後の20秒のBGMはどうでもいい(軽微な影響)。人々の声と共に聞こえてくるわずか20秒程度の曲が動画と共に公開されたとしても著作権者の利益を害するとは考えられない(利益不侵害)。と、今回のケースではこの三つの要件を満たしているように思えて仕方がありません。


申し立てに対してどんな対応が取れるか?


 YouTubeからのメールでは、問題なければ何のアクションも必要ないと書いてあります。しかし、放っておけば著作権者の広告が勝手に流れるか、動画の視聴情報が著作権者に通知されるそうなので、それも納得がいきません。どんな対応が可能なのかも調べてみました。
  • そのまま放置
  • 楽曲を削除
  • 楽曲を入れ替え
  • 収益を分配
  • 異議申し立て
申し立てのあった動画は、初めて投稿したYouTube動画で、お世辞にも出来が良いとは言えません。一年以上経っても未だ数十回の再生回数で、忘れられた存在と言っても過言ではない作品です。異議申し立ては面倒なので、楽曲の削除というものをやってみました。初めは動画の音声トラック全部をバッサリと入れ替えてしまおうかと思ったのですが、イルミネーション点灯の瞬間のどよめきまで消えてしまってはこの作品の存在価値もなくなってしまいます。問題になっている最後の20秒間の音だけ消せるのなら、それで十分です。

動画の管理で「音声」を選択

クリエーターツール>動画の管理>音声を開いてみると、ベータ版ですが「曲を削除」という機能があり、問題になっている曲が表示されています。試しに押してみると最後の20秒部分の曲が見事に消えていました。曲以外の声や環境音は一部が残っています。単純に該当部分をミュートしているわけではないようです。


 こんな忘れ去られたような作品にまでContent IDの申し立てを行ってくるのは、自動化されたクレーム処理のおかげで対象一つ一つの費用対効果を考える必要がないことと、ネット上での権利保護意識の高まりからなんでしょうね。これからは屋外での撮影に今まで以上に気を遣いそうです。



今度はApple Loopsで作った自作BGMが引っかかった


 動画編集で使用するBGMは、ソフト(Final Cut Pro X)に付属しているフリーの音楽素材かYouTubeのオーディオライブラリーから選べば問題はなさそうですが、使えるものが限定されてしまいます。せっかく購入したMacBookやiPhoneについてくるGaragebandを活用して動画のBGM作りに挑戦してみました。特に、6,000以上ものループ音源を自分の好みに合わせて並べるだけでできてしまうApple Loops機能は、音楽知識のない自分でもBGM風の楽曲が作れてとても便利です。著作権についても、ループ音源としてそのままの形で販売はできないが、組み合わせて出来上がった作品は商業利用可能であることが明記されています。YouTubeに投稿する動画のBGMとして使うのは何の問題もないはずです。

 編集した動画にApple Loops音源で作成した1分ほどの長さのオープニングBGMをつけてYouTubeに投稿したところ、公開ボタンを押したのとほぼ同時に、あの忌まわしいContent IDの申し立てが来ました。この早さは明らかにシステムで自動チェックしたものでしょう。クレームを受けたのはこちらの動画のBGM冒頭部分です。


今回はすかさず異議申し立てを行ってみました。色々と確認事項にチェックさせられるため、多少ビビります。日本人ってなかなか権利主張ができない民族なんだなと実感させられます。自民党の国会答弁よろしく『Apple Loops音源だけを使って作ったものだから似た曲があって当然、クレーム元の主張は当たらない』と書いて送信しました。

 するとどうでしょう。翌日の朝には次のようなメールが届きました。結果は当然こうなると思っていたのですが、『Good news!』ってのがちょっとカチンと来ました。

翌日YouTubeから届いたContent IDに関するメール

Apple Loopsのような音源を組み合わせて曲作りをしていれば、どの部分をチェックしても誰かの曲と同じ部分が出てくるはずです。システムで自動チェックしているのなら、Apple Loops音源かどうかも自動でわかるでしょう。動画を投稿するたびにいちいちこんな対応をするのは面倒でしょうがありません。とりあえず似たものは全てに警告を出しておいて、異議が来たものだけ再度確認すればいいやというクレーム元の考えが見えてきそうです。

(2016年12月6日追記)



また別の業者から警告が来た


 やれやれと思っていたら、また別の著作権管理業者からクレームが出ました。また異議申し立てをしなければなりません。はっきり言って面倒くさい! 誰かがApple Loopsを使って作った曲をオリジナルとして発表しているのでしょう。部分的に見ればApple Loopsの部分は同じになるに決まっていますから、システムが引っ掛けてしまうのでしょう。はっきり言ってえらい迷惑ですね。これではせっかくのApple Loopsも利用する気が失せてしまいます。

(2016年12月6日夜追記)


2016年8月4日木曜日

快適自転車生活 年々暑くなる夏にどうやってサイクリングを楽しむか


 梅雨が明けて気温が35度以上の猛暑日も現れ出しました。子供の頃は30度でも十分猛暑だったと記憶していますが、今では30度以上35度未満の真夏日では驚かなくなっています。この時期に安全快適にサイクリングを楽しむために、貧脚親父ライダーが普段気をつけている点をまとめてみました。

本格的な夏でも安全快適にサイクリングを楽しみたい

休暇も取りやすく、長い日照時間を有効活用できる季節です。この時期特有の暑さにうまく対応できれば、サイクリングを思いっきり楽しめます。対応の考え方は大きく二つ。一つは「暑さに立ち向かう」、もう一つは「暑さを避ける」です。


1. 暑さに立ち向かう方法


 場所によっては気温が40度を超え、さらに高い湿度の中で運動するわけですから発汗による体温調節機能を維持することが最も大切です。この体温調節をスムーズに行えるようにして、熱中症にならないようにすることが暑さに立ち向かう上でのポイントです。さらに暑さの原因となる強い日差しへの対応や、暑さが引き起こす夕立などの急激な気象変動へも備えておきたいものです。

1-1. 何はともあれ熱中症対策が肝要


 熱中症対策の基本は適切な発汗の維持です。体表面から汗を蒸発させることにより、体の温度を下げます。そのために必須なのが水分摂取。過去の経験から、夏場の100〜120キロのツーリング中に摂取した水分は500mlペットボトル4〜6本程度。2〜3リットルの水分量になります。さらに水分摂取はこまめに行う事が必要ですので、ボトルの水を切らさないようダブルボトルは必須です。

 暑い中で摂取しやすいのは適度に冷えた飲料です。自分で飲み物を入れて持って行く場合は氷を入れた保冷ボトルが役立ちますし、自販機でペットボトル飲料を買う場合はネオプレーンゴムの保冷カバーがあれば、そのまま持ち運ぶよりも冷たさを維持できます。

夏場はダブルボトルが必須、ペットボトル用の保冷カバーも愛用してます

 ここで議論になるのが何を飲むかということです。運動中の水分補給というとスポーツドリンクが一般的です。水分ばかりでなく、汗とともに流出する塩分などのミネラル類も補給できるということで広く飲まれています。しかし、一日で500mlボトル6本前後も飲むことを想定して作られた飲料ではありません。問題になるのは含まれる糖分です。さらに、スポーツドリンクによく使われる果糖ブドウ糖液糖は体への影響が色々と議論されている人工甘味料です。これらは発汗とともに体外に流出するわけではありませんので、明らかに過剰摂取となります。一本目はスポーツドリンクでも、二本目以降は水(ミネラルウォーター)を飲むようにしています。市販のスポーツドリンクに水を加えて薄めて持参したり、塩やレモンを原料にした自家製のドリンクを持参する人もいて、みなさん工夫をしているようです。

 水ばかりを摂取している時に心配されるのが塩分の不足ですが、こういう時に備えて塩飴も持参するようにしています。塩以外にいろいろなミネラル分を含有している高価な飴(タブレット)も売られていますが、いつも余らせてしまうため、今は安い塩飴にしました。

普通の塩飴なら格安

以上まとめてみると、熱中症にならないように気をつけている水分補給に関する注意点は以下のようなものです。
  • ボトルはダブルにして切らさない
  • 飲みやすいように保冷
  • 糖分の摂りすぎにならないよう水を中心に
  • 塩分の補給は塩飴などで

1-2. 発汗に強い体づくり


 しっかりとした水分補給が熱中症予防に役立つのも正常な発汗ができてこそです。人間の発汗機能は年齢とともに衰えるようで、50歳を過ぎてからロードバイクを始めた身にとって他人事ではありません。単に筋力や体力をアップするばかりではなく、発汗力も維持したいと思い、NHKの「ためしてガッテン」でやっていた運動直後の牛乳を習慣づけています。ある程度の激しい運動直後に牛乳を飲むと、血液量が増加して発汗機能も高まるそうです。このお陰かどうかわかりませんが、以前は真夏のサイクリングで熱中症寸前ということもありましたが、今では何事もなく走り回っています。

運動後30分以内の牛乳で筋肉量・血液量アップが狙える(らしい)

1-3. いつもと違うだるさを感じたら無理せず目的を変更


 とは言っても前日深酒したり、寝不足だったりすると猛暑の中でいつもと違うだるさを感じる時があります。そんな時には無理をせず、潔くその日の目的を変えてしまいます。当初決めた目的地にこだわらず、途中で初めての道に踏み込み新ルートを探します。地図を見ながら初めての道を走れば無理なペースに陥ることもなく、新たな快適ルート発見にも役立ちます。暑くて我慢できないような日には探検サイクリングが一番です。

探検サイクリングでルートのバリエーションを広げる

1-4. 強い日差しへの対応も忘れずに


 夏用のサイクリングウェア上下を着用していれば、ウェアとしては何の不足もないと思います。多少余裕のあるジャージを着ているため、汗の吸収・蒸発に役立つと思い化繊のアンダーシャツも着用しています。
 紫外線の強いこの時期には、目の保護のためにアイウェアは必須です。他の季節でも飛んでくる虫や小石対策としてかけっぱなしなので、これもいつも通りで問題なし。
 日焼けには強い方ですので装着はしていませんが、すぐ赤くなる人にはアームカバーなどのUV対策品も必須でしょう。

1-5. 夕立への備えも欲しい


 猛暑日にあえて長い距離を走ろうとすると、自分のことばかりではなく気象変動に対しても備えが必要です。お昼過ぎまで気持ちよく広がっていた夏空も、午後の一番気温が上がる時間になると突然怪しい雲が広がってくることがあります。発達した入道雲からは豪雨や落雷が発生し、場合によっては危険な状況に陥ります。

急にこんな雲が現れたら要注意

このような現象は局地的なことが多く、遠くに大きな雲が見えたりゴロゴロと雷の音が聞こえ始めたら、その方向には行かないようにしています。頭上の空が急に暗くなってきた場合は走って逃げるより、すぐに雨宿りできそうな場所を見つける方が賢明なようです。あっという間に強い雨が降り出します。同時に冷たい風が吹き、すぐ近くで稲光がして落雷の音が響き渡るのには肝をつぶします。

突然の豪雨とともに風が吹き、気温が一気に下がる

こうなったら雨をしのげる場所に避難し、入道雲が通り過ぎるのを待つしかありません。経験上30分から1時間程度の辛抱でしょうか。この間汗をかいた体に冷たい雨と風が当たり、急に体が冷えてしまいます。このような時に備えて折りたたみ式のウィンドブレーカーを常時持参しています。休憩中に寒くなる冬場はもちろんのこと、夏場にも一枚あるとないとでは大違いです。

軽量・コンパクトなウィンドブレーカーを常時持参



2. 暑さを避ける方法


 年々厳しくなる暑さに対抗ばかりしていては体が持ちません。天気予報の猛暑日や熱中症注意情報は特定の環境での予測です。走る場所や時間帯を選べば、暑さを避けてより快適なサイクリングが楽しめます。

2-1. 暑くない場所を走る


 昨年の猛暑日に気温を実測しながら色々な場所を走ってみたことがあります。アスファルトで覆われ、多くの車が走っている幹線道路沿いに比べて小川の周りに水田が広がっている谷津の道は5度前後も涼しいことは経験済みです。

昨年走りながら実測した気温のグラフ

この日の天気予報では最高気温35度となっていましたが、幹線道路沿いでは40度を超えていました。長距離を走る時に速度を上げやすく、道に迷うこともない幹線道路ですが、これだけ気温が高いと走り続けるのは危険です。

走りやすいがめちゃくちゃ暑い幹線道路(国道16号)沿い

谷津道探検サイクリングで見つけた過去のルートの中から、日陰が多く風通しの良さそうなルートを選んで走ることにしています。一日のルート全てがこんな場所になるわけではありませんが、半分を快適ルートにするだけで疲労感が違ってきます。

日陰が多く、水田を吹く風が涼しい谷津道

2-2. 暑くない時間帯に走る


 暑さを避ける方法としてもう一つ挙げるとすれば、早朝や夜間などの日中に比べて気温が下がる時間帯に走ることです。熱帯夜が続くような真夏でも、早朝は5度以上も気温が下がっています。暑くなりだす11時ごろには帰宅するようにスケジュールすれば、猛暑日でも快適に走りを楽しめます。問題は早起きが必要なこと。家族や飼い犬にも理解してもらわないと迷惑をかけてしまいます。

 早朝ランに比べてやりやすいのは夕方から日没後のナイトラン。早朝ほどではありませんが、日差しがありませんのでだいぶ涼しく感じます。ナイトランで問題になるのが、走る場所とライトです。昼間と同じように走ろうと思っても、安全に走れる場所はそう多くはありません。どんなに強力なライトを装備していても、視界は日中の比ではなく危険が伴います。200ルーメンの光量がある自転車専用ライトと100ルーメンの汎用ライトを取り付けて、夜のサイクリングロードを走ってみました。路面の障害や車止めなどの認識はなんとかなりましたが、暗い色の服を着て走っているランナーは直前まで発見できず、かなりヒヤヒヤしました。やはりナイトランでは思いっきり走れないと知り、現在はあまり行ってません。

200ルーメンの自転車専用ライト(Dosun A1)でこの程度


ぼちぼち楽しむのが一番


 夏場に限ったことではありませんが、末長くサイクリングを楽しむためには走ること以外にも興味を持つことが必要だと感じ始めました。多少無理をして体力の維持に努めていても、いずれ限界がきます。自分の体力に合ったサイクリングの楽しみ方を見つけるべく、いろいろ試行錯誤しています。
  • 動画撮影
  • 地域の歴史探訪
  • 野鳥や自然の音の生録
  • 野生の動物・昆虫探し
  • 食べられる植物探し
  • 地形探検
などなど、サイクリング途中で偶然興味を持ったものを追いかけています。どれも始めたばかりですが、少し分かり始めるとより深く知りたいという欲求が湧いてきます。度々自転車を停めての寄り道サイクリングになってしまいますが、体に厳しいこの時期にはぴったりの走り方です。


この時期、牧場直売のアイスクリーム食べ歩きも楽しい

千葉県は酪農発祥の地だそうで、意外に小さな牧場が点在しています。自転車で訪れる牧場や道の駅にある牧場直営店で食べるアイスクリームは夏場には最高の味です。こんなぼちぼち楽しむサイクリングが暑いこの時期には一番合っているのかもしれません。



2016年8月2日火曜日

快適自転車生活 意外に短いレーパンの寿命


 ロードバイクに乗り始めてからちょうど7年経ちました。最初は馴染めなかった専用のウェア類も、乗り始めてみると走るために必要な機能を備えたウェアであることに納得。当初の気恥ずかしさなど何処かへ行ってしまい、今ではサイクリングウェアでなければ快適に走れません。

今ではすっかり慣れたサイクリングウェア


レーパンの寿命は2年?


 春の終わり頃から秋まで一番活躍するレーシングパンツ(レーパン)ですが、洗濯のしすぎか生地が薄くなったため買い替えることにしました。数えてみれば7年間で4枚目の夏用レーパンの購入です。冬用のタイツやビブパンツなどの違うタイプのものも持っていますが、夏用のレーパンが一番買い替え頻度が高いようです。前回の購入はちょうど2年前でした。

使用頻度は年間35回くらい


 毎月平均5日、1日当たり約100キロ前後走っていますので、1年間では60日で6,000キロ前後の走行になります。冬用のウェアが必要な11月から3月を除いた7ヶ月間は、必要に応じてレッグカバーやコンプレッションタイツなども併用しながらレーパンで走っています。つまり年間約35日はレーパンを使用していることになります。2年間で70日です。このくらいが平均的な使用限界になるのでしょうか。

生地が薄くなって透けてきたら寿命?


 最初の3枚は大手専業メーカーであるパールイズミのレーパンを購入しました。初心者が選んでも間違いがないだろうという安心感がありますが、それなりのお値段でした。だいたい1万円前後したと記憶しています。縫製もしっかりしていて、それぞれ約2年間の使用中に縫い目がほつれたり、生地が破れるようなことはありませんでした。買い替えのきっかけは全て生地が薄くなり、弾力がなくなったためです。レーパン着用の際には下にサポーターを穿いています。何も穿かずにレーパンを着用するのが正しいようですが、どうも気持ちが悪いためサポーターを常用しています。レーパンが薄くなると下のサポーターの色が透けてしまうため、そうなる前に買い換えるようにしています。まあ臀部の地肌が透けて見えるよりはマシですが.... 特に2色の生地を使っているレーパンでは、淡色の生地が透けやすいようです。

ツートンカラーは白色部分が透けやすい

 ほとんどのレーパンの生地は80%のナイロンと20%のポリウレタンが使われています。比較的ナイロンは丈夫で長寿命なのですが、ポリウレタンの方は劣化しやすい素材として知られています。パールイズミのサイトにもポリウレタンの経年劣化は3〜4年であると書かれていますので、2年程度使用したレーパンの生地が薄くなってくるのは仕方がないのかもしれません。


廉価なレーパンの使用感は?


 4枚目の購入にあたり、もう少し廉価な製品を探してみると、DECOJAという新興メーカーが見つかりました。2,000円台から6,000円台でなかなか良いデザインのレーパンを販売しています。物は試しにAmazonで2,580円の「3DレーサーパンツDUAL」を購入しました。

見た目は2,000円台とは思えないDECOJAのレーパン

生地はパールイズミのものに比べて厚めで、伸縮性は少ないようです。かなり腰や腿にぴったりとします。腰回りがゴムだけだった今までのレーパンと違い、これにはゴムと紐の両方が付いています。サイズ的には紐を締めなくてもしっかり腰にとまっていますので、紐を外してしまおうかと思っています。パッドはかなり厚めですが、ソフトなためか走行中は全く違和感がありません。今まで使っていたパールイズミのものと比べて3分の1以下の値段で購入できるのですから、これは良い買い物をしたと浮かれていました。

裾のシリコンゴムで脚に水ぶくれ


 夏日が続くようになり、サイクリング中に大量の汗をかく季節が到来です。帰宅してシャワーを浴びていたら脚に違和感を覚えました。見るとレーパンの裾がかかっていた部分が赤くなっていて、水ぶくれのようなものができています。どうも新しいレーパンの裾の滑り止めが、汗で濡れた皮膚を刺激してできたようです。

 購入したDECOJAのレーパンを見ると、裾の裏側にシリコンゴムの滑り止めが付いていました。異物によるかぶれやアレルギーなどを示す体質ではないため、摩擦が原因だろうと思いますが、汗をかいたときには必ず脚に小さな赤い水ぶくれができます。

購入したレーパンの裾にはシリコンゴムの滑り止めが施されていた

こんなことは初めての経験でしたので、今まで使っていたパールイズミのレーパンを見てみると、シリコンゴムの滑り止めは施されていませんでした。

パールイズミのレーパンの裾(布で覆われたゴムバンドのみ)

裾の滑り止め方法は製品のグレードにより異なるかもしれませんが、シリコンゴムのない方が肌に優しいのは間違いなさそうです。ネットで検索してみるとレーパンのシリコンゴムによる痒みやかぶれの記事がたくさん見つかりました。今回はゴムによるかぶれではないようですので、そのうち肌が慣れてくるかもしれません。少し様子を見て次のレーパンを検討するつもりです。

使用感は悪くはない廉価レーパン

 タイヤやチェーンなどと同様、レーパンも1〜2年で交換が必要な消耗品と考えて予算を組んでおいたほうが良さそうだと気付いた一件でした。


2016年8月1日月曜日

快適動画編集 漢字が書き順通りに出てくるアニメーションをMotion5で作成


 動画のオープニングで漢字が書き順通りに表示されるアニメーションが必要になり、Motion5で作成にチャレンジしてみました。完成したビデオ素材はこちらです。作品のイメージに合わせた漢字一文字が徐々に表示されるという演出用になります。使い方によっては教育用にもなりますね。


ネット上でも同様の作成記事がたくさん出ています。Motion5の持つ「なぞり描き」ビヘイビアを使えば、指定したパス上に線が引かれ文字を書いているように見えそうです。出来上がりの文字は綺麗なMacのフォントが生かされるようにしてみました。


1. ドローイングソフトでフォントからイメージを作成


 ベクタードロー系のソフトはAutodeskのGraphicを使用しています。この分野ではAdobeのIllustratorが有名ですが、高価で手が出ません。Graphicは機能的には劣りますが、プロではない個人が使うには十分な機能を持っています。

1-1. 文字を配置してアウトラインに変換


 文字を配置して必要な大きさにします。このままでは加工できませんので、文字をアウトラインデータに変換します。ほとんどのドローイングソフトはこの機能を持っているはずです。

文字をアウトラインに変換

1-2. 書き順と同じ数だけのレイヤーを作成


 漢字の一画毎に一つのレイヤーを準備します。そのため先ほど文字を置いてアウトラインに変換したイメージをレイヤーごとコピーします。これを必要回数繰り返します。今回の「走」は7画ですので6回コピーして7つのレイヤーを作ります。

画数と同じ数だけレイヤーを作成

1-3. 一画毎のイメージに編集


 アウトライン(ベジェ曲線)になっている文字の一画を残す作業です。ベジェ曲線の不要なコントロールポイントを削除していけば出来上がります。最初は大変かと思いましたが、やってみると意外に簡単で短時間で終わりました。領域指定で複数のコントロールポイントを一度に指定すれば、時間短縮が可能です。

不要なコントロールポイントを削除して一画部分だけ残す

曲線部分を編集するときには末端部分の接線ハンドルの調整が必要になりますが、慣れれば簡単に終わります。書き順に従って、レイヤー1〜7に一画ずつイメージを残していきます。

1-4. 最後にレイヤー付きPSDファイル形式で保存


 最後にレイヤー毎に分かれたイメージデータをPSD形式で保存すればイメージの作成は完了です。もしお使いのソフトがレイヤー付きPSD形式での保存に対応していなければ、各レイヤー毎にPNGやJPGのファイルを個別に作成しても大丈夫です。Motion5に読み込ませる時の手順が若干増えるだけです。

レイヤー付きPSDファイル形式で保存


2. Motion5でアニメーション化


 Moton5を使ったアニメーション化にはいろいろな方法が考えられますが、今回はフォントの形を生かせる次のような方法を採用しました。
  • ベジェ曲線で描いた筆跡に従って「なぞり描き」ビヘイビアで描画
  • この時の線を十分太くする
  • フォントから作成したイメージをマスクにして、太い「なぞり描き」線のはみ出した部分を見えなくする
これでオリジナルのフォントの形がそのまま生かされた文字が書き順通りに描かれるはずです。

2-1. Motionプロジェクトの新規作成


 Motion5の新規作成画面で「Motionプロジェクト」を選択し、動画のサイズやフレームレートを指定します。継続時間は素材として必要な長さにします。

Motionプロジェクトを新規作成

2-2. レイヤー付きPSDファイルを読み込み


 ドローイングソフトで準備したレイヤー付きPSDファイルを読み込ませます。メニューバーの「ファイル」>「読み込む」でファイルを指定するとレイヤーをまとめて一つにするか別々のまま読み込むか指定するポップアップが現れますので、「すべてのレイヤー」を指定します。ファイルブラウザから直接ドラッグ&ドロップすることもできますが、その場合はドロップする前にしばらくファイルを保持しておいてください。しばらく待つと複数レイヤーの処理メニューが現れますので、別々のレイヤーで読み込ませます。

複数レイヤーの取り扱い方を指定して読み込み

ファイルを読み込んだ直後の画面は下のようになっているはずです。ファイルを作成するときにレイヤー付きPSD形式ではなく、レイヤー毎の複数ファイルにした場合は順番に7回読み込ませればOKです。

書き順毎のレイヤーが7つできています

2-3. 書き順毎にベジェ曲線を作成


 一画毎にベジェ曲線を作成してやります。大変そうに思えますが、実際の文字の形はフォントから作られるマスクで決まっています。要はペンが左から右に動くのか、上から下に動くのかなどの大まかな動きを指定するだけです。かなりいい加減なベジェ曲線で大丈夫です。

大まかに一画を示す線を描く

ベジェ曲線描画ツールを選び、直線の場合は始点と終点を選んでやれば完成です。この時文字から少しはみ出す位置を指定してやります。出来上がった「ベジェ」レイヤーの名前を「ベジェ 1」に変更しておきましょう。そうすることにより次から作成されるレイヤーは自動的に「ベジェ 2」、「ベジェ 3」というように名前が付けらていきます。

 曲線の場合はもう少し複雑になりますが、ベジェ曲線の操作に慣れていればあっという間に終わります。始点・中間点・終点と指定し、中間点を右クリックして「スムーズ」を指定すれば接線ハンドルが現れます。このハンドルをドラッグすれば文字に沿って曲線を調整できます。

曲線の場合は塗りつぶしをオフにする

曲率が大きくなると形が変になりますが、これはインスペクタ/シェイプを開いたところにある「塗りつぶす」にチェックが入っているためです。これを外せば意図した通りの曲線が描けます。この作業を書き順7まで繰り返して「ベジェ 1〜7」を作成します。

2-4. 各ベジェにイメージマスクを追加


 作成した「ベジェ 1〜7」にイメージマスクを追加します。レイヤーリストの「ベジェ」を右クリックすると現れるメニューから「イメージマスクを追加」を選びます。この作業を7回繰り返します。

各「ベジェ」レイヤーにイメージマスクを追加

続いて各イメージマスクのマスクソースを指定します。ドローイングソフトでフォントから作成した一画毎のイメージをマスクソースにドラッグすれば指定完了です。

マスクソースを指定

この作業をすると、一画毎のイメージはチェックが外れて非表示になります。キャンバス上にはベジェで描かれた細い貧相な文字が表示されていると思います。

2-5. ベジェ曲線の太さと位置を調整


 ベジェ曲線を太くして、一画毎のイメージ内いっぱいに描かれるように調整します。念のため「塗りつぶし」のチェックボックスは全て外しておきましょう。「アウトラインの幅」を太くしてマスク内が全部塗られるようにします。ベジェ曲線の位置を少し変えてやった方がスムーズに塗りつぶせる場合もありますので、キャンバスに表示されているベジェ曲線のアンカーポイントをマウスで移動してやります。この作業が終わると、初めのイメージと同じ綺麗なフォントが現れたと思います。

ベジェ曲線の太さと位置を調整

2-6. ベジェ曲線を「なぞり描き」ビヘイビアでアニメート


 ここまでの作業では何も動きませんので、「なぞり描き」ビヘイビアを各ベジェ曲線に適用します。7つのベジェ全てに繰り返します。これでベジェ曲線の始点から終点にかけてなぞり描きのようにアニメートされます。

動きをつける「なぞり描き」ビヘイビアを適用

ただしこのままではすべてのアニメートが同じタイミングで開始、終了します。Motion5画面右下のタイムラインで、7つある「なぞり描き」ビヘイビアの開始・終了タイミングをずらしてやります。始点か終了点をドラッグして継続時間を短くしたのち、書き順に合わせて順番に始まるようにタイミングをずらします。

書き順に従ってアニメートさせるようタイムライン上で調整


3. 完成後はムービーの書き出しと保存


 再生ボタンを押すと書き順に従って文字が現れると思います。必要な調整を加えたらメニューから「ファイル」>「保存」でプロジェクトを保存しておきましょう。動画を書き出すにはメニューの「共有」>「ムービーを書き出す」でできます。編集用の素材として必要な形式で動画ファイルを作成しましょう。

 大変な手間がかかりそうで最初は躊躇していましたが、いざやってみるとそれほど時間もかかりません。これならもっといろいろな文字でやってみたいと思いました。漢字というものは一つの文字に実にたくさんの意味や背景、歴史を含んでいると感じます。動画の中にうまく漢字を取り入れて、新しい見せ方を考えるのも面白そうです。