9月に入ってから雨続きで遠出ができていません。日光や赤城山などをツーリングするのに絶好の季節なのですが、関東周辺部は天候が安定せず度々雷雨に襲われています。仕方がないので、夕方から雨の予報が出ている中、房総の中央部を走る国道410号を走って酪農のさとを目指してみました。海沿いを走る道路の渋滞を避けて、房総を縦断することができる国道410号は以前からよく走っていましたが、その沿道に日本酪農発祥の地があることは知りませんでした。
南房総市にある酪農のさとが日本酪農発祥の地だそうです |
一番高い山でも400メートルほどの標高しかない千葉県ですので、本格的なワインディングを楽しむことはできませんが、それでも房総半島中央部の高台を走る国道410号沿いは気持ちの良いツーリングが可能です。海沿いの道のような渋滞もなく、信号も少ないため度々利用しています。
房総半島中央部を縦断する国道410号 |
湧き水や地酒が美味しい久留里から南は自然豊かな観光スポットも多く、長狭街道(県道34号)との交差点を過ぎたあたりからは、曲がりくねった山道で車線も狭くなり、それなりのワインディングが楽しめます。酪農のさとはこの山道を走っていると突然現れます。
長狭街道交差点を過ぎて山道を少し走ると酪農のさとが現れる |
へ〜ここが日本酪農発祥の地なんだ
平日ということもあり、広い駐車場には一台も車が停まっていません。国道410号沿いに、山道を走りに来たと思われるバイク乗りが休憩しているのが見えるだけです。奥には立派な酪農資料館が建っていて、さらに奥が山の斜面を利用した放牧地になっています。
酪農のさとの広い駐車場はガランとしていた |
実に静かで長閑な風景です。酪農資料館は入場無料。じっくり見学しても30分ほどで一回りできる展示です。江戸幕府八代将軍徳川吉宗がインドから白牛三頭を輸入し、この地で飼育して乳製品を製造したのが酪農の始まりとのこと。その時代に作られていた乳製品が「白牛酪」と呼ばれていたそうです。そういえば家の近くにある有名な和菓子屋さんでも同じ名前の商品を売っていました。その後、飼育される牛がホルスタイン中心になったため、一時国内に白牛はいなくなってしまったのですが、酪農のさとのシンボルとするためにアメリカから輸入されたそうです。
牛舎には三頭の白牛 |
白と黒のまだら模様のホルスタインや、黒い和牛しか見たことがないので、真っ白い白牛には驚きました。近づいて見てみると、とっても可愛い顔をしています。
とっても可愛い顔をしている白牛 |
酪農資料館の展示で驚いたのは、この地で誕生した小さな練乳会社がその後の明治乳業(現明治)や森永乳業につながっていることや、現在日本一の酪農県である北海道が大正から昭和にかけて千葉県産の雌牛を2,000頭以上も購入していたということです。なるほど、千葉県が日本酪農発祥の地というのも頷けます。
亀田酒造で純米原酒ひやおろしとクジラの大和煮を購入
酪農のさとを見学した後は、長狭街道を鴨川方面に少し行ったところにある亀田酒造に立ち寄りました。ここの代表銘柄は「寿萬亀」です。夏の熟成が終わったばかりの純米原酒ひやおろしをゲットです。
長狭街道沿いに立派な店舗を構える亀田酒造でひやおろしを購入 |
房総には看板も出ていないような小さな酒蔵も多いのですが、ここは長狭街道沿いに立派な店舗を構えています。広い駐車場には電気自動車用の急速充電器も備え付けられていて、直接販売への意気込みが感じられます。この日も結構な人が地酒を買いに来ていました。
店内は日本酒ばかりではなく、酒粕を使ったアイスクリームや饅頭、鴨川特産の海産物を使った肴も並んでいます。ひやおろしと一緒に楽しもうと、外房名物のクジラを使った大和煮を買って帰りました。
外房らしいクジラの缶詰 |
いろいろ物議を醸しているIWC(国際捕鯨委員会)の規制対象外になっているツチクジラの肉を使った大和煮です。貴重な海の恵みですので心して味わいたいと思います。
稲刈りの終わった大山千枚田
寿萬亀のひやおろしを手に入れた後、今度は長狭街道を内房に向かって走り大山千枚田を訪ねてみました。稲刈り前の黄金色の棚田を期待していたのですが、すでに刈り取りは終わっていました。棚田の畦に列をなして咲く彼岸花が、秋の訪れを物語っています。
稲刈りの済んだ大山千枚田 |
10月21日からはLEDキャンドルによるライトアップが行われますので、またその時期に訪れてみようと思います。
帰りは雨に降られたけど気にしない
午後3時を過ぎて帰りを急いでいると、ポツポツと雨が降ってきました。走行風が雨を弾き飛ばしてくれるようで、走っている最中はあまり濡れません。民家の周りに植えられた金木犀が満開のようで、バイクで走っていても強い香りを感じます。季節の花の香りも、突然の雨も生身の体で直接感じるプチバイク旅。快適とは言えませんが、バイクと一体になって走っているという感覚に包まれます。だから二輪旅、やめられません。