三十数年ぶりにリターンして四年ほど経ったオヤジライダーです。リターンした当初、ライディング中の膝の痛みに悩まされました。特に、寒い時期に長距離を走っていると、必ず右膝に我慢できないほどの痛みが出ます。当時は、頻繁に休憩して脚を伸ばすことくらいしか対策のしようがありませんでしたが、その後ウェアやライディングポジション、発進・停止時の運転操作などを徐々に見直していく中で、気付いたらほとんど膝の痛みが出なくなっていました。同じような悩みをお持ちのライダー諸氏の参考になればと思い、やって見た膝の痛み対策をまとめてみました。
膝の痛みは血行不良から、その根本原因は?
冬場に感じることが多い膝の痛み。寒さによる血行不良が原因かと考えて、まず初めに色々な防寒グッズを試しました。ネオプレーンゴム製のニーウォーマーで局部的に防寒してみたり、オーバーズボンで脚全体の保温性を高めたりしてみましたが効果は無し。寒さは血行不良を促進こそすれ、その根本原因ではなさそうです。
1. 脚(膝)を動かさないことが一番の原因
法事などで長時間正座していると、立ち上がれなくなるくらい脚が痺れ、膝が痛くなります。同じ姿勢をずっと続けることがバイク乗車中の膝の痛みの原因ではと考えました。長時間のバイク乗車で膝が痛くなった時に、休憩して脚を伸ばしてやると楽になることと合致します。
長時間膝を折り曲げたままだと血流が滞る |
では、なぜ右足の膝ばかり痛むのか? リターンしてしばらくの間は、教習所で教えられた通り停車中も右足はブレーキペダルを踏み続けて、着地は左足しか使っていませんでした。シフト操作も含めて、脚を使う動作は左足に比べて右足の方がかなり少なくなっています。特に高速道路などを走行している時に顕著です。楽なクラッチ操作を目指して右足着地のままの発進を頻繁に行うようになってからは右足の出番が増えてきたとともに、右脚を伸ばす機会も増えました。
右足着地のまま発進を行うことも増えて、右脚の出番が増えた |
2. プロテクターが膝の血流を妨げている
車と違い、生身の体を晒して走っているバイクですので、プロテクターの重要性は理解しています。ウェアの外側に取り付けるプロテクターであれば影響は少なそうですが、ウェアに組み込まれたプロテクターは、長時間の乗車でウェアがずれてくると膝を圧迫してきます。特にオーバーパンツは、停止毎に脚を上げ下げしていると裾がずり上がり、それにつられてプロテクターが膝を圧迫します。下の写真左側の縦長のプロテクターなどは、運転中常時折り曲げられていますので、膝への圧迫がずっと続いている気がします。
よくあるタイプの膝プロテクター二種 |
このプロテクターによる膝への圧迫が血流を妨げていることは間違いないようです。余裕のあるパンツサイズやプロテクター形状に変えるとだいぶ楽になりました。
3. ペダルが自分の体格に合ったポジションになっていない
試乗会などで自分のバイク以外に乗ると、ブレーキやシフトペダルのポジションが合わず、足首を無理に曲げて乗らなければならないことがあります。短時間ですからあまり問題は起こりませんが、長時間これを続けるとかなり脚に問題が出ます。足首が疲れたり、脚がつったります。シフトに比べて動かす頻度の少ないブレーキペダルは、特に自分に合っていないポジションだと脚への負担が大きいようです。ポジションが合わないからと、つま先を大きく外側へ向けたまま運転していると、非常時にブレーキ操作が遅れてしまう危険もあります。
ブレーキペダルのポジションは自分の体格に合わせないと疲れる |
左足の方はシフト操作の度に足先をひねったり、足首を曲げたりするため、右足に比べてよく動いています。そのお陰か、今まで左脚の膝に痛みが出たことはありませんが、ブレーキに比べれば遥かに操作頻度の高いシフトペダルですので、是非ポジション調整はしておきたいものです。
よく操作するシフトペダル側は膝への影響は少なそう |
自分のバイクを手に入れたら、真っ先にペダルのポジションを自分に合わせることが大切です。足首に力を入れていない自然な状態で、ペダルに足先が触れるか触れないかの位置に調整してやると、乗車中の脚への負担が格段に減りました。
4. 走行風が脚や膝を冷やしている
リターンして最初に乗ったバイクはネイキッドのCB400SFでした。スリムなボティで、なおかつカウルがないため、走行風が脚に直接当たっていたようです。冬場のツーリング時には脚が寒くて我慢できませんでした。分厚いオーバーパンツを履いていましたが、その厚みがかえって膝の血行を阻害していたようです。長時間のツーリング時には膝の痛みは避けられませんでした。
三年前にCB1300SBに乗り換えましたが、その頃から脚の冷えがほとんど気にならなくなりました。バイクを前方から見ると、ラジエーターやクランクケース、ハーフカウルで乗車中の脚は見えません。これらが走行風を弾き、直接脚に風が当たらないようです。
前から見ると脚が見えない大型バイクは脚に風が直接当たらない |
冷たい走行風が直接脚に当たらないことにより、パンツの重ね着が減りました。その結果、膝を圧迫して血行不良を引き起こすようなことも減ったものと思います。
カウルやタンクのお陰で脚に風が当たらないため、冬場にジーンズでも結構大丈夫 |
さて、いつまで乗れることやら
膝をできるだけ動かすようにしてやり、できるだけ膝を圧迫しないように心がけ、そして膝の冷えをできるだけ避けるようにしているうちに膝の痛みを感じることがほとんどなくなりました。それでも冬場に高速道路を長時間走り続けたりすると痛み出すことがありますが、そうなったら諦めてSAで休憩し、屈伸運動するようにしています。
重たいバイクの取り回しはいつまでたってもおっかなびっくり |
いい歳をして大型バイクにリターンしたものですから、取り回しも含めておっかなびっくりです。この先、バイクに慣れていったとしても体力は衰える一方でしょうから、いつまで大型バイクが楽しめるのかわかりません。日々体力を使わないバイクの乗り方を心がけて、ライダー寿命を伸ばそうと悪戦苦闘しています。