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2017年10月17日火曜日

3Dプリントサービスの料金をできるだけ節約する方法


 市販品では満足できない自分仕様のものを、CADソフトを使って自分で設計し、3Dプリンターで造形するようになってからだいぶ経ちます。実質無料で使える高機能なAutodesk Fusion 360を知ってからは、かなり複雑なものも作れるようになりました。材料の選択肢が広く、精度の高い造形物が作れるため、外部の3Dプリントサービスを利用しています。使用できる材料が限定される個人用の3Dプリンターは持っていません。安価な割に十分な強度と適度な靭性があり、耐熱性・耐候性に優れたナイロン素材が最もお気に入りですが、個人用の3Dプリンターでこの素材が扱えるものはほとんどありません。3DプリントサービスのDMM.makeでナイロン素材を使って作品作りをしています。


アクションカメラ用のマウントや電子工作用ケースを作成


 3Dプリンターで何かを作る場合、使用する材料や大きさによってはとんでもない費用になってしまいます。さらに、形状によっては精度や強度が出ない場合もあり、なんでもかんでも3Dプリンターで、という訳にはいきません。今まで作成してきたものは、ほとんどが手のひらに乗るくらいの小さなものばかりです。それよりも大きなものは、板金加工をしたり、パイプやアングルをカットして使ったり、削り出し加工したものを利用した方が向いているようです。

色々3Dプリントしてきたが、大きさは手のひらに乗るくらいのものばかり

主に、GoProなどのアクションカメラ用の特殊仕様マウントや、電子工作で使用するケース類を設計・製作してきました。届いたものがサイズが合わずに利用できなかったという経験は今まで一度もありませんd( ̄  ̄) ただし、実際に使ってみて「これはいい」と思えるものばかりではありません。設計変更して作り直したものありますし、そのまま死蔵されている作品もありますσ(^_^;)


おすすめできるものはクリエイターズマーケットに出品


 市販品にはないものを作っていますので、自分でしばらく使ってみて、これは他の人にもおすすめできると感じたものは積極的にDMM.makeのクリエイターズマーケットに出品するようにしています。売られていないものですから、それほど一般的なニーズがあるわけではないでしょうが、自分以外にたった一人でも欲しいと思ってくれる人がいれば、それでOKです。コストのかかる金型を準備するわけでもありませんし、流通のための固定費がかかるわけでもありません。求められた時に一つだけ作って届けることのできる仕組みですので、躊躇せずに出品しています。

DMM.makeのクリエイターズマーケットに出品した創作物

当ブログにて自作品の使用レポートなども紹介しているためか、おかげさまでポツリポツリとご利用いただいています。自分のニーズで設計したものが、他の方のお役に立てるのは嬉しい限りです。


市販品に負けない費用にするのは設計者の責任


 一個単位でしか作られない3Dプリント造形物ですが、試作・評価が目的ではなく実用するためのものですから、同等の機能を持つ市販品に負けない価格を実現する必要があります。3Dプリントを利用し始めた頃は、大量生産品に敵うわけがないと思っていましたが、実際に作り始めてみるとそうでもありません。市販品はある程度の汎用性を持たせて、広いユーザーニーズに対応しようとしていますが、3Dプリントでは仕様を限定することで、造形にかかる費用を抑えることが可能です。別の仕様のものが必要になったら、改めて設計を修正すれば済むことです。経験を重ねるうちに、3Dプリントサービスの費用を抑えるコツが見えてきました。素人が公開している作品を購入する立場に立てば、実績もないのに類似の市販品よりも高価なものは買う気になれないと思います。できるだけ安価にするのは設計者の責任だと肝に命じて設計しています。

・部品の配置を工夫して全体のサイズを抑える


 利用している3Dプリント方式は、粉末状のナイロン素材をレーザーで焼き固めて造形するものです。この方式で出来上がったものは表面がざらついていて、精度はそれほど高くはありませんが、適度な強度と靭性のある造形物になります。しなりが必要なはめ込み構造や、板バネのような形状も実現できますし、タッピングビスによる固定も可能です。耐熱性と耐候性がありますので屋外でも使えます。何より3Dプリントサービスの中では一番安価な素材です。さらに、プリント時にサポート材が不要ですので、かなり自由に造形物を配置することができます。

 二台目のアクションカメラとしてPanasonic HX-A1Hを選びましたが、メーカー純正のものやサードパーティ製の市販マウントアダプターはカメラの末端で固定する形状で、オートバイにマウントするともろに振動の影響を受けてしまいました。カメラ中央部で固定できるマウントを設計・製作してみたところ、振動に対して大幅に強くなりました。さらに、落下防止とレンズ面保護のために追加したキャップ部が、マイクの風除け効果もあり、とても目立つウィンドジャマーも不要になりました。

Panasonic HX-A1H用のマウントアダプター、二つの部分からなる

二つのパーツかならなるこのマウントアダプターを設計し、3Dプリントサービスに造形依頼する際は、パーツ同士がくっつかないように適度に間を開けて、下図の左のような状態でデータを送りました。

パーツの配置を変えただけで費用が大幅に削減できた

この状態の料金が当たり前だと思っていましたが、その後サポート材が不要な3Dプリント方式の場合、かなり複雑に重ねても大丈夫だと知り、キャップ部の上下を入れ替え、ホルダー内の空白部に出っ張りを潜り込ませてみました。3Dプリントサービスの仕様では、0.5mm以上の間隔があれば、くっつかずに造形できます。この変更で造形時の外形容積が約35%減少し、料金は何と43%も減りました(^ ^) 造形物が置かれていない空白の部分に、別のパーツを上手く入れて、全体の容積を減らすことが費用削減になります。設計時にはそこまでの考慮はできませんが、複数パーツで構成されるものの設計が完了したら、発注前にパズルのようにそれぞれのパーツを動かして、外形サイズが一番小さくなるようにしています。ただし、X/Y/Z軸それぞれで印刷時の誤差が微妙に異なる可能性がありますので、はめ込み部分などのように同一誤差を前提としている部分は、軸が変わらないように配置を考慮する必要があると思います。

・小さなものは複数を組み合わせて発注


 作成した3Dデータ(STL形式)を送れば、あとは一週間ほどで丁寧に梱包された作品が宅配便で届けられます。一番安価な材料を使い、手のひらに乗る小さなものを発注していますので、料金はいつも800円から3,000円くらいです。この料金には梱包や配送料も含まれていますので、決して高いとは思いません。この料金で一台数千万円もするナイロン粉末焼結式3Dプリンターが使えるのですから。

どんなに小さなものを注文してもこの程度の大きさの箱で送られてくる

小さなものも丁寧に梱包され、ある程度の大きさの箱に入れられてきます。決まったサイズの箱を使った方が手間が少ないのでしょうね。箱を開けるといつもスカスカです。

造形物が小さいので箱の中はスカスカ

宅配便ですから少なくとも数百円の運賃がかかるはずです。一番小さなものを注文した時には送料を含めて税込600円ちょっとでしたから、小さなものは個別に注文するのではなく、ある程度まとめて一度に発注した方が固定費部分が削減できるはずです。

小さなものはまとめた方が固定費部分を節約できる

複数個あっても困らない、Edgeマウントをタイラップ固定式にするアダプターを発注するにあたり、試しに一個と二個のケースで見積もってみました。二個に増やしても料金は約1.36倍にしかなりませんので、やはりまとめた方がお得なようです。さらに造形の際の向きが関係ないか試してみましたが、これは料金とは関係ないようでした。

 一つの注文の中に複数の作品を入れることについては「注文をお断りすることがあります」と注意書きがありましたが、データを見ただけでは別のものを無理に組み合わせたものかどうかわからないと思います。節度は必要ですが、あまり小さなものを別々に発注して、宅配業者をいたずらに多忙にさせては申し訳ありませんので、ある程度まとめるようにしています。


最新の作品は「eTrexマウントアダプター」


 サイクリングで使用しているEdge 800Jのバッテリーが、そろそろ寿命のようで、8時間程度で電池切れの警告が出るようになっていました。別のGPSとして、登山用にeTrexを二台(30JとSUMMIT HC)持っているのですが、マウント部分の形状がEdgeとは全く異なります。取り付けるためには別のマウントを用意しなければなりませんが、走る時間に合わせて使い分けたいと思っています。そうするとハンドルバーにも複数のマウントを取り付けたままにしておかねばならず、スマートではありません。複数台の自転車でこの三台のGPSを自由に使おうと思ったら、三種のマウントを自転車の台数分購入しなければなりませんので、それもあり得ません。

タイプの異なる三台のGPSマウント部を全てEdge方式に統一

現在メインのロードバイクに取り付け済みのEdgeタイプマウントに統一してしまいます。二台のeTrexには変換用のマウントアダプターを作成して、Edgeと同じ形状にしてしまえば自転車側のマウントは一種類で済みます。

eTrex 30Jに取り付けた自作変換アダプター

eTrex SUMMIT HCに取り付けた自作変換アダプター

市販品にも同じ機能を持ったものがありますが、きつ過ぎて一度はめたら外れないとか、ツメが折れたとか、走行中GPSが落下した等々あまり評価が良くありません。さらに2千円前後の値段で売られています。3Dプリントサービスで自作したものはサイズを可能な限り小さくしましたので、市販品よりも安価に作ることができました。これで三台のGPSをどの自転車にも装着可能です(^ ^)/ 「eTrexをEdgeマウントに装着可能なアダプター二種を出品」ページで詳しく説明していますので、興味のある方はご検討ください。



2017年5月31日水曜日

快適自転車生活 ロードバイクにストップランプやウィンカーは必要?


 自作マニアを自任している親父ロードライダーです。秋葉原で面白い部品や小物を見つけると、当面の利用予定もなく買い込んでしまう悪い癖があります。両面テープで貼り付けられる薄型感圧センサー、乾電池二本で駆動できるマイコンPICAXE:ピカクスと読みます)、それに赤・黄二色の超高輝度LEDがありましたので、何か作れないか思案してみたところ、自転車用のブレーキ・ウィンカーランプに挑戦してみることにしました。


要不要を考えずに先に作ってしまう自作マニアの悪い癖


 数年前に大型バイクにリターンして以来、重量級のマシンを自在に操る楽しさにも目覚めてしまいました。オートバイではブレーキランプやウィンカーは法律で定められた灯火類ですので付いているのが当たり前ですが、ロードバイクにはありません。サイクリングロードや里山中心に走っている時にはほとんど必要性を感じませんが、たまに国道を使って都心部に出る際にはあったら便利だろうなと思う時があります。とりあえず持っている部品を組み合わせて、実用的なものが作れるかどうか挑戦したいという自作マニアの習性で試作してみたのがこれです。

試作したロードバイク用ブレーキ・ウィンカーランプ(ケースに組み込む前の段階)

取り付け場所についてはだいぶ悩みましたが、ブレーキ操作によりランプが点くこと、進行方向の前後からウィンカーが視認できることを優先してハンドルバーエンドに取り付けられるよう設計しました。

ハンドルバーエンドにこんなイメージで取り付ける

後方から赤色LEDのブレーキランプが見えるようにします。ウィンカーは自転車の前後から見えるよう二箇所に黄色LEDを取り付けます。車のランプ類にLEDが使われるようになって、超高輝度LEDの価格が安くなりました。日中でも十分に確認できるほどの明るさがあり、乾電池二本で動作させられます。ブレーキが操作されたことの検知は、ブレーキレバーの隙間に両面テープで貼り付けられる感圧センサーで行います。さらに、左右のウィンカーの点灯をブラケットカバーの中に隠した感圧センサーで操作します。

薄く、両面テープで貼り付け可能な感圧センサーでブレーキランプとウィンカーを操作

片側だけのブレーキ操作でも左右両方のブレーキランプを同時点灯させたり、片側ウィンカーの点滅中に反対側に変えた時に、点いていた方を停止し反対側を点滅させられるよう左右の制御ユニット間をRS232Cで通信させます。こうすることにより、プログラム次第でハザードランプのような点灯方法も可能になりました。左右のマイコン間を繋ぐ信号ケーブルや電源になる単四電池二本は全てハンドルバーの中に収めてしまいます。ハンドルバーの内径を測ってみると21mmありましたので、その太さに収まる電池ケースを探しましたが見つかりません。仕方がないのでハンドルバーに収納できる特殊仕様の電池ケースも3Dプリンターで自作しました。

横方向のサイズが21mmを切る自作電池ケース

さあ完成です。実際にハンドルバーに取り付けるケースを3Dプリンターで作る前に、バラック状態でテストしてみましたが、いい感じで機能しています。左右どちらかのブレーキレバーを少しでも握ると左右両方のブレーキランプが同時に点灯してくれます。ソフトウェアで制御していますから、消灯までの時間を長めにしました。短いブレーキ操作でも後方から確認しやすいように長めの時間点灯します。ウィンカーを点灯後に消し忘れるのは車やバイクでもよくあります。ウィンカーは点灯後、何も操作されなければ10秒後に自動で消灯するようにしました。あとは実際に利用しながら微調整を行えばいい段階まできましたが、ここでふと我に返ります。


ブレーキランプやウィンカーは本当に自転車で役に立つ?


 法律では自転車でも停止時や右左折時には合図が必要なことになっています。大抵はハンドサインで合図を行なっていますが、急ブレーキが必要な時などは片手を離す余裕がありません。また、ハンドサインは短時間で終わってしまいますが、少し長い間サインを出していた方が良さそうな場面もあります。信号待ち中に右左折の合図をしたい場合などです。これらのような状況では車と同様のブレーキランプやウィンカーが役に立ちそうです。

車の多い市街地を走る際にはブレーキランプやウィンカーは役に立ちそう

集団走行している際にも、前を走る自転車がブレーキ操作を開始したのかどうかが判断できれば後ろの人たちは心構えができます。ウィンカーなどの合図を使う使わないの判断は走る際の状況によると思いますが、安価でスマートに取付けられるランプであれば付いているに越したことはないと思うようになってきました。もちろん夜間はテールランプ(ポジションランプ、車幅灯)としての利用が可能ですので、無駄にはなりません。問題はその「安価でスマートに取り付け可能」ということです。


色々ある自転車用ブレーキランプ・ウィンカー


 色々な市販品やKickstarterなどで資金を募っているコンセプトモデルを見てみると、実にバラエティーに富んでいます。ハンドルに取り付けたスイッチから長いケーブルを経由してシートポストにあるランプ類をコントロールする単純なものや、ケーブルの代わりに無線で信号を送るもの、内蔵された加速度センサーが減速時の加速度を検知して自動でブレーキランプを点けるものなど様々です。それぞれの機能により取り付けられる場所にも違いが出てきます。取り付け場所を選ぶ際に考慮が必要な技術的なポイントは、
  • ウィンカー操作は何処でどのように行うか?
  • ブレーキの検知方法は?
  • 電力をどのように供給するか?
という三点かと思います。もちろん見易さも重要ですので、技術的な課題と同時に考慮して決めます。センサーや操作ボタンとランプを無線で繋ぐ方法は、取り付け場所の自由度が一気に増しますが、無線デバイスが高価でバッテリーの持ち時間も短くなってしまいます。ランプやセンサー・スイッチ類が近い場所に設置できるハンドルバーエンドを今回選んだのはそのためです。

ブレーキ(テール)ランプとウィンカーの取付け位置候補

さらに注意が必要なのは、車やオートバイのブレーキランプはドライバーがブレーキ操作を開始したことを後続車に知らせる役目を果たしていることです。決して速度が落ちたことを知らせているわけではありません。加速度センサーを使って明るさを増減させる自転車用テールランプが売られ始めましたが、これは決してブレーキランプと呼んではいけません。何故なら、このランプが点灯した時には既に減速が始まっていますし、ブレーキ操作をしたからといって必ず点灯する保証はないからです。今回使用したブレーキレバーに感圧センサーを貼り付ける方法では、レバーの動きがまだ遊びの段階でランプを点灯させることができます。


加速度センサーを使った試作品で実感した限界


 三軸加速度センサーの値段が下がり、これを使って自動ブレーキランプを実現できないだろうかと開発に取り組んだことがあります。

加速度センサー式ブレーキランプ試作一号機(左)・二号機(右)

初めて使うデバイスであったこともありますが、走行時の振動からくる測定値のノイズや坂道での重力の影響排除などかなり難しい処理が必要になりました。試行錯誤を繰り返して、なんとか減速時の進行方向へのマイナス加速度を見極めるところまでできましたが、実際の走行試験ではどうしてもブレーキ操作開始からランプ点灯までタイムラグが出ます。

実際の走行中にGoProで撮影しながら試作品のテストを繰り返し実施

判断のためのパラメータや加速度計算のロジックなどを色々変えながら、実走行テストを繰り返して得られた結論は「加速度センサーで得られた数値からブレーキ操作の開始を検知することは困難」というものでした。ブレーキ操作の結果として減速が始まったことを検知するのが精一杯という結論です。デバイスや回路設計の専門家が行えばもっと違った結果になるのかもしれませんが、そもそも時間軸で考えてみれば当たり前の結果に思えてきました。結局この試作品は、「自動で注意喚起を促すことができるテールランプ」という位置付けになっています。いっそのこと、ブレーキレバー全体に感圧センサーを貼り付けて、ブレーキに力を入れ始めたらランプが点くようにした方が、よほど本来のブレーキランプらしい動作をするように思えてきました。


試作品が完成して満足してしまう自作マニアの悪い癖


 実は、完成したブレーキ・ウィンカーランプはまだ自転車に装着されていません。ハンドルバー内の配線やブレーキレバーに感圧センサーを貼り付けるのに、バーテープを剥がしてやる必要があるためです。次回のバーテープの交換の際に組み込んでみようと思っていますが、これって目標であった「スマートに取り付けられる」のとは一線を画しています。自作マニアを自他共に認めてもらえるのはまだまだのようです。精進を続けたいと思います。


2017年5月10日水曜日

電熱ベストの交換用バッテリーに汎用品の18650Li-Ion充電池を活用


 一番寒い時期のツーリングで大活躍してもらった電熱ウェアは、すでに出番がなくなりました。今はクリーニングをして次の出撃まで休憩というところだと思いますが、酷使したバッテリーの状況は確認しておきたいところです。へたったままのバッテリーで次の冬に突入したら、ツーリングの途中で寒い思いをすることになります。

次の冬に備えて綺麗にするのと同じくらいバッテリーの確認も重要

電池切れの心配がないバイクから電源を取る電熱ウェアも自作しましたが、やはり面倒な配線なしで着用できるバッテリー式の電熱ウェアも手放せない存在でした。購入してから4年以上経過しましたので、来期に備えてバッテリーの交換を計画しました。


専用バッテリーの中身は多分普通のLi-Ion充電池


 持っている電熱ベストはRSタイチのe-HEATブランドのバッテリー式です。さすがメーカー品だけあって、自分で作成したテロリストのような怪しい風体のベストとは違います。バッテリーは左ポケットに入れ、その下から出ているコントローラーで電源のオン・オフや強中弱の電力制御を行います。付属のバッテリーの仕様を確認すると、電圧は7.4Vで容量が2600mAhのLi-Ion充電池であることがわかります。

e-HEAT専用バッテリー(7.4V、2600mAh Li-Ionと書いてある)

純正の交換バッテリーをAmazonで探してみたら、なんと5千円以上もします。予備用に二個は欲しいし、ちょっと気軽に買い求められる値段ではありません。Li-Ion充電池で電圧が7.4Vということは、二本を直列にしてコネクターをつけてあるだけでしょう。ここはだいぶ値段がこなれてきた汎用Li-Ion充電池の18650に登場してもらおうと考えました。ピンからキリまでありますが、千円で二本以上購入できるものがたくさんあります。Amazonで評判の良さそうなものを4本購入しました。容量は2600〜3000mAhと書いてありますので、純正品と同等以上あります。

購入した18650 Li-Ion充電池


問題は電池ケースとパッケージング


 専用バッテリーは二本を一つにしてパッケージしてあり、接続用のDCジャックが固定されています。DCジャックは汎用品に同じものがありましたが、二本の電池をどのようにパッケージングするかが問題です。スマートなLi-Ion充電池用のケースを探して秋葉原を探し回ってみましたが、これだというものが見つかりません。結局見つけたのは、ケースなどに固定するために使用する味もそっけもないものでした。

秋葉原で手に入れた18650Li-Ion充電池用ケース

これでは持ち運びや、ベストのポケットに入れて使用する際には、何らかのケースを別途用意しなければなりません。さらに、縦方向のサイズが小さめで、電池の出し入れに苦労します。「18650」とは直径18mm、長さ650mmの電池サイズを表していますが、大抵の製品には保護回路が上部か下部に組み込まれているため、650mmを超えています。メーカーによってもそのサイズはバラバラです。そのためにこの電池ケースがきついのでしょう。


市販品がなければ3Dプリンターで自作してしまおう


 持ち運びがしやすく、電池の出し入れも簡単で、サイズが微妙に異なる18650でも入れられる電池ケースをデザインしてみました。内部が見えるように透明アクリルパイプの上下に蓋をつけて、DCジャックを取り付ける構造です。

上下の蓋とDCジャックのケースは3Dプリンターで自作

アクリルパイプを切断して、3Dプリンターで作成した蓋に押し込めば完成です。電極は市販品を接着剤で貼り付けました。

アクリルパイプと3Dプリンターで作った蓋で電池ケースが完成

電池を入れて蓋を締め、ゴムバンド(大きめのOリング)で蓋が外れないようにすれば使用可能です。ポケットに入れても角が当たらず、内部の電池の種類も見えますので使い勝手の良い電池ケースができたと自負しています。

電池を入れてみたところ、DCジャック部の形状を二通り作成

これでDCジャック部分から、電圧・容量までメーカー純正品と同じバッテリーが二組み準備できました。電池は汎用品の18650ですので、劣化してもすぐに買い換えられます。

ご注意
メーカー側も製品の改良を重ねているようで、度々バッテリーの仕様も変わっています。最近の製品では3.7Vのものになっているようですので、自作する場合には注意が必要です。


外部から直接ベストに給電できるアダプターも作成


 バイクとの接続が不要な携帯型バッテリーでの使用は手軽で、使いたい時にすぐに利用できます。ただし、2600〜3000mAhの容量では1〜2時間で発熱が停止してしまいます。予備のバッテリーに交換すれば続けて使用できますが、走行中にバッテリー交換はできません。長時間走行が予想される時などには、電源を携帯バッテリーからバイクのバッテリーに変更できると便利です。コントローラーと電熱ベスト本体は三つのスナップボタンで接続されていました。それぞれの配線を調べてみると、下図右側のようになっています。ベストのポケットで接続された携帯バッテリーからの電力は、一旦コントローラーのバッテリー(+)端子(赤丸)に入り、制御装置を経由してジャケットのヒーター端子(青丸)に繋がります。

もともとついているコントローラー(右)の代わりに外部電源用アダプターを作成

外部から直接ヒーターに電力を供給するには、この青丸部分に接続すればいいことがわかります。そのために同じサイズのスナップボタンを丈夫な布に留めて、電線を接続しました。布ですから生地が曲がったり折れたりしますので、絶対にショートしないように絶縁に注意します。電線の先にDCジャックをつけて、ここに外部から電力を供給します。
注意が必要なのは、ベスト内のヒーターの仕様は7.4V用ということです。これに12Vのバイクから直接電気をとったら電圧オーバーです。多分使っているうちに火傷するか、発火するか、ヒータが溶けるかわかりませんが非常に危険です。

付いていたコントローラーを自作アダプターに変えれば外部から直接電気の供給が可能

 電圧の違いを吸収し、さらに強中弱などの制御ができる機器を間に入れなければなりません。自作のPWMコントローラーや市販のモーター用スピードコントローラーをバイクと電熱ベストの間に入れて、温度制御をおこなっています。別の方法としては、バイクの12VをDC-DCアダプターを介して7.4Vに変換してから電熱ベストに供給してやるのもありでしょう。この場合は、作成した外部電源アダプターを使わず、元々のコントローラーをつけたまま、携帯バッテリーの代わりに外部からの電源を接続します。いずれにしても、バイクのバッテリーと電熱ベストを電線で接続する場合は、途中の適当な場所に最適なアンペアのヒューズを入れておかないと、バイク本体の電気系統にトラブルを起こして走行中にエンジン停止なんてことにもなりかねません。この辺りの知識がない場合は絶対にやめましょう。

ご注意
メーカーの指定バッテリー以外を使用することや、外部から電源を直接供給することなど、リスクを承知の上で全て自己責任で行っています。火傷や出火などの可能性もあり、なおかつ走行中のバイクに電気系統のトラブル発生の恐れもありますので安易な改造は大変危険です。


 これで次の冬に向けての防寒準備はバッチリです。予備のバッテリーがたくさん揃いましたので、寒い日の犬の散歩などにも電熱ベストを利用してやろうかと密かに計画している親父ライダーなのでした。



持ち運びに便利な小型電圧計を作成


 バイクの電熱ウェアや高輝度のLEDライトに使われるLi-ion充電池が身の回りに溢れてきました。これらの充電池を安全に使いこなすためにも、長く性能を保つためにも電圧を監視することが重要です。いつでも持ち運べて、手軽に電圧の監視ができるように、18650充電池と同サイズの電圧計を自作してみました。左右にDCコネクターを設けた通過型としたことで、使用時に常時電圧を確認できます。

18650Li-ion充電池と同じサイズの通過型電圧計を自作

先日作成した18650Li-ion充電池用の電池ケースと一緒に持ち歩いても邪魔にならないサイズに仕上がりました。これで、電熱ベスト使用時のバッテリー残量確認も細かく行えます(電池残量と電圧に一定の関係があるため)。バイクの電装系の電圧管理にも使用できます。使ってみると意外に便利だったため、三本も作ってしまいました。皆さんも、バイクツーリングの際に、こんな小型電圧計を持っていくと色々役立つかもしれませんよ。

(2017年10月6日追記)



2016年11月13日日曜日

マウントの鬼 自作マウントでやっと理想的な位置にセットできたユピテルバイク用ナビ(MCN46si)


 昨年スピード違反で捕まったのを機にユピテルのレーダー付きバイクナビを取り付けてから一年半が経ちました。未だこれのおかげで助かったという経験はありませんが、バイク専用ナビの安定した動作と使用感には満足しています。慌てて取り付けたものですから、元々付いていたRAMマウントのUボルトベースを利用しました。そのためナビの位置がタンク寄りになってしまい、メーターから離れ過ぎているのがずっと気になっていました。

乗車状態での写真 ナビがガソリンタンクに寄りすぎて、メーターとの視差が大きい

メーターを読む時よりもさらに視線を落としてやらないと、ナビ画面が確認できません。進行方向 → メーター → ナビと視線移動が大きくなってしまい危険です。さらに、ナビがタンク側にせり出してしまい、大きいタンクバッグはつけられません。

 原因はRAMマウントの基本構造にあります。ハンドルバー中央に取り付けられたUボルトベース(RAM-B-231U)とナビのクレードル下に付けられたAMPSホールパッド(RAM-B-347U)の間をショートアーム(RAM-B-201U-A)で連結しています。

二つのボール間をアームで連結する構造のため、アームは省略できない

二つの1インチボールをアームで挟んで固定する構造のため、位置的にアームが不要な場所でも必ずアームを入れなければなりません。一番短いアーム(ボール間4.5センチ)を使用しましたが、その分タンク寄りになってしまいました。

 アームを真っ直ぐに立てればナビをハンドルの上に持ってこれますが、今度は上に行き過ぎてライダーの顔に近づいてしまいます。老眼のため、あまり近いと字が読めません(情けない.....)。

アームを立てればハンドル真上になるが、高さが高過ぎ

適当なマウントを見つけたら交換して、ナビの位置を直そうと思ったまま一年半も過ぎてしまいました。高機能なCADソフト(Fusion360)と3Dプリントサービスでオリジナルマウントを作っては実戦で活用できることに味をしめ、ナビ位置を変えるための自作マウント作りに挑戦してみました。


RAMボールに直接取り付け可能なマウントを設計


 1インチ(25.4mm)のRAMボールにアーム無しで直接取り付けできるナビ用マウントを設計します。ユピテルナビ(MCN46si)付属のクレードルのネジ穴はAMPSホールパターンという規格で造られています。これはGarminのZumoなども同じだそうで、いろいろなマウントが利用できて便利です。

ナビ取り付け穴は規格サイズでユピテルにも合致

RAMボールは金属の球にゴム層のコーティングがしてあります。どの程度のマージンで、どの程度の滑りがあるのかはやってみないとわかりません。とりあえず試作・評価品として設計してみました。使用したソフトはAutodeskのFusion360。学生は三年間、スタートアップ企業は一年間の無料ライセンスが取得でき、期限がきたら更新が可能です。

Autodesk Fusion360で設計中のオリジナルマウント

出来上がったSTLファイルを3DプリントサービスのDMM.makeへ送って発注。待つこと四日ほどで完成品が宅配されてきました。適度なしなりと強度を兼ね備え、価格も一番安いナイロン素材で作りました。

安価な白色ナイロン素材を使用、15mm長のM5ボルトとナット二組で締め付ける

このオリジナルマウントで不要になる、市販のアームとホールパッドの合計価格より安価に出来上がりました。量産しない自作品でも、必要な機能だけに絞り込めば市販品に負けない価格を実現できます。


自作マウントでバイクナビを取り付け直し


 ナビ付属のクレードルにオリジナルマウントのネジ穴を合わせてみるとぴったりです。3Dプリントサービスでナイロン素材を使用した場合、±0.3mmの誤差を考慮した設計が必要ですが、実際に出来上がったものはもう少し精度が高いようです。

ユピテル・バイクナビ用クレードルに取り付けた自作マウント

この状態でUボルトベースのRAMボールに乗せ、角度を調整してからボルトを締め込みます。

ハンドルバーの真上にセットできたバイクナビ

バイクにまたがってナビやメーターを見てみるとこんな感じになりました。一番最初の写真と見比べていただければ一目瞭然。メーター側に近づき、ナビを見る際にも視線移動が少なくて済みます。イグニッションキーが隠れましたが、始動時だけほんの少し前かがみになれば、場所の確認もキー操作も問題ありません。

自作マウントでナビの位置をメーターに近づけた

この状態でよく行く日帰りコースを走ってみましたが、視線移動が少なくてかなりナビが見やすくなりました。結果として安全運転にも寄与してくれるものと思います。


幾つかの課題も発見


 頭の中で想像しながら設計していますので、3Dプリントで出来上がった実物を使用する際には毎回課題が見つかります。一個しか作らない場合は、何らかの手当てをして使い続けますが、それ以外は設計にフィードバックして改良版にします。
  1. RAMボールを締め付ける部分が細すぎて強度に不安が残る

    ナイロン素材の場合、厚みが3mm以下だと簡単に曲げられる柔軟性があります。5mm以上の厚みがあればかなり硬い部材となりますが、ネジで締め付ける部材としてはもう少し厚み(幅)が必要なようです。

  2. 変形したRAMボールへの対応が必要

    一年半の間、アームで挟まれ続けたRAMボール。ゴムの部分が変形して、形が変わっていました。凹んだ部分は1インチ(25.4mm)の直径がありません。1mm程度も直径が小さくなっていました。このようなRAMボールでもしっかりと固定できる構造にできればベストです。
とりあえず取り付けて、一日使用して感じた課題はこの二点です。次回作成時に備えて、この二点に対応できるよう設計変更を行う予定です。


 設計変更を行い、改良版に取り替えて実際に使用中です。実用性が確認できましたので、DMM.makeのクリエイターズマーケットに出品しました。ユピテルナビの取り付け位置で悩まれている場合は是非ご検討ください。

Autodesk Fusion360で改良中のマウント

(2016年11月19日追記)


2016年11月3日木曜日

マウントの鬼 市販品で満足できなければ3Dプリントで自作してしまおう


 アクションカメラを使いこなすにはマウントがキーになります。バイクや自転車、自分の体などにカメラを固定して迫力あるシーンを狙うために、目的に応じて色々な場所にカメラを確実に取り付けるためのマウントが必要です。エンジンからの強烈な周期振動があるオートバイへのマウントや取り付ける場所が乏しく路面の振動が伝わりやすい自転車(ロードバイク)へのマウントをテストしてきました。


汎用の市販マウントでは満足できない場面がある


 GoProの次に2台目のアクションカメラとして購入したのはPanasonicのHX-A1Hでした。円筒形状のため、GoProでは取り付けられない場所にも簡単にセットでき、撮影のバリエーションを増やすことができました。REC-MOUNTSから発売されている1300円ほどの変換アダプターを使用すれば、たくさん持っているGoPro用のマウントに装着できるようになります。

変換アダプターを使ってバイクのフェンダー固定部に取り付けたHX-A1H

路面に近く、車輪の一部を含めた迫力ある映像が撮れますが、エンジンや路面からの振動で映像にブレが出てしまいました。カメラ末端をクリップして保持しているだけですので、振動の影響を受けやすいのは見ただけでわかります。カメラの重心部分(中央)で保持してくれるマウントを探しましたが、市販品には適当なものが見つかりませんでした。

 売っていなければ自分で作ってしまえる時代です。学生やスタートアップ企業であれば無償で利用できるAutodeskのFusion360を使用して、自分の思い描く理想的なマウントを設計し、DMM.makeの3Dプリントサービスで実物を作ってもらいました。

カメラの重心部分を保持するように設計した自作マウント

狙いは的中です。REC-MOUNTSの市販品では、エンジンの空ぶかしで映像がゆらゆらと振動していましたが、自作品では相当高回転まで回さないと揺れは出ません。走行中も安定した映像が撮れ、満足できる結果となりました。

 何度か改良を重ね、脱落防止とレンズ面保護を目的にしたキャップ部に庇を設け、A1Hのマイク部に風が直接当たらないようにしたところ、別売りのウィンドジャマー(2000円程度)と同等の効果が得られました。振動に強いHX-A1H用自作マウント開発の記事はこちらにあります。

かなり目立つPanasonic純正のウィンドジャマー

 3Dプリントサービスは決して安いものではありませんが、個人でも買える3Dプリンターでは使用する材料がABSやPLAなどに限定され、必要なしなりのある製品が作れません。複数のパーツを組み合わせたり、タッピングビスで固定したりするため、現在はナイロン素材を多用しています。3Dプリントサービスの中では最も安価な素材で、必要な強度としなりを併せ持っています。A1H用自作マウントの場合、マウントのみとして考えると市販品の方が安いのですが、純正ウィンドジャマーの効果も併せ持つと考えれば、両方を買い揃えるより安価になります。市販品にない機能を持つ実用的なものが、市販品と変わらない値段で作成できることを経験し、すっかり自作にはまってしまいました。


CATEYEのライト用ブラケットを活用したい


 持っている自転車には全てCATEYEのライト用ブラケットが付いています。ライトを買い換えているうちにブラケットの予備もたくさんたまってしまいました。初めから撮影目的で出かける場合には、アクションカメラ専用のマウントをセットしますが、とっさにカメラをセットしたい場合などにCATEYEのブラケットが流用できると便利です。

持っている自転車全てについているCATEYEライト用ブラケット

きっと市販品があるに違いないと思い、探してみましたが見当たりません。なければ作ってしまえということで、Fusion360でデザインしてみました。

Fusion360で設計中のCATEYEブラケット用アダプター

GoProを固定する部分は共通部品として別途設計済みです。CATEYEブラケットにスライドして固定できるよう、台座の部分を設計しました。せっかくの自作ですので、向きを90度変えられるようスライドレールを二組交差させています。いつものようにDMM.makeにSTLデータを送って、待つこと四日。届いたのがこれです。

CATEYEライト用ブラケットにセットできるGoProマウントアダプター

M5のナットをはめ込めばGoProが固定できるようになります。ナイロン素材の場合、アクリルなどに比べて精度が落ちるため、設計には注意が必要です。±0.3mmかつ長軸方向に±0.15%の誤差を考慮する必要があります。結合部分が固くてはまらない場合には、ヤスリなどで削ってやります。

CATEYEライト用ブラケットにGoProがマウントできる

ライト用ブラケットはカメラを取り付けることを想定していないため、振動には注意が必要です。ロードバイクなどの高圧タイヤの自転車では映像がぶれるかもしれません。ママチャリなどでお手軽にアクションカメラを使いたい時に重宝しています。

柔軟な設計ができる自作品ならではの横向きマウントも可能

滅多に使いませんが、横向きにカメラをセットすることも可能です。アイディアが実物になるCADと3Dプリンターを使えば、自由な発想で必要なものを自作できます。たくさん余っているライト用ブラケットをあちこちに付けておけば、いろいろなところにカメラをマウントしてみることもできそうです。


シートポストに常設できるマウントが欲しい


 自転車のシートポストやバイクのフレームにカメラを取り付けるには、REC-MOUNTSの製品がしっかりと取り付けられて安心です。自転車で後方の映像を撮影する場合にはここにGoProをセットしていますが、取り付けにホースバンドを使用しているためスマートではありません。

REC-MOUNTSバーマウントタイプ4(ホースバンドは手回し式に交換)

製品に付属してくるホースバンドはドライバーで回すネジ式ですが、手回し式のホースバンドに交換して使っています。金属のホースバンドでシートポストに傷がつかないよう、薄いゴムを間に入れることも忘れてはいけません。もう少しスマートにセットできるマウントを自作してみました。

直径27.2mm専用のシートポストマウントをFusion360で設計

市販品は直径17〜64mmに対応できるようになっていますが、自分用には27.2mm固定で構いません。専用設計とすることで非常にシンプルな構造になります。3Dプリントサービスで出来上がったものがこれです。

画面で設計したものが実物になって届くのは不思議

今回は価格が一番安い白のナイロン素材を使いましたが、黒を選べば装着時にも目立たなくなります。アクションカメラを使わない時に、マウントを付けたままにしていても違和感がないと思います。

自作のシートポストマウント


余ったGARMINサクションカップを有効利用したい


 バイク用ナビをGARMINのポータブル型からユピテルのレーダー検知機能付きに替えたのは昨年スピード違反で捕まった後のことです。GARMINの製品に付属してきたサクションカップ(吸盤)マウントが余っていて、何かに活用したいと思っていました。

GARMINのポータブルナビについてきたサクションカップ(吸盤)マウント

小型で強い吸着力がありますが、ボール部分が特殊でこのままでは流用は難しそうです。このボール部分にGoProをセットするアダプターを自作してみました。

GARMINサクションカップのボール部分につけられるマウントをFusion360で設計

ボールジョイントですので角度や向きを変えることができ、ネジを締め付ければしっかりと固定できるよう設計しました。出来上がったのがこれ。

余っていたGARMINサクションカップがGoProマウントに変身

窓ガラスや机などに、手軽にGoProが装着可能なマウントに変身です。GoPro純正のサクションカップは高価ですが、余り物を活用して安価に同等品が作れました。

 以前、バイクのメーターの大きさがちょうどGoPro純正サクションカップと同じ大きさであることに気づき、GoProをタコメーターに取り付けてみたところ安定した映像が撮れました。問題はメーターが全く読めなくなることです。

GoProサクションカップをタコメーターに貼り付けてGoProを固定、メーターは全く見えない

同じことを今回作成したGARMINサクションカップでやってみると、メーターの針は読み取ることができます。今後、GoProなどのカメラをセットするのにも使えそうです。

GARMINサクションカップが小型のためメーターに貼り付けても針は見える


アーム無しでRAMボールに直接マウントしたい


 カメラなどを自在に取り付けが出来るRAMマウント。アクションカメラのユーザーであれば、ほとんどの人がお世話になっているのではないでしょうか。1インチのボールをジョイントとし、アームを介してカメラなどを取り付けます。

バイクには何箇所かRAMボールを取り付けてある

このボールとアームのおかげで自在に向きが変えられるのですが、状況によってはアームを省略したい時があります。しかし構造上アーム無しでは使用できず、短いものでも約4.5センチのアームを入れる必要がありました。

応用範囲の広いRAMマウントだがアームが必須

市販品を探してみましたが適当なものが見つからないため、RAMボールに直接取り付けられるマウントを設計してみました。

Fusion360で設計中のRAMボール直接マウント

3Dプリントサービスで出来上がったものをRAMボールにセットしてみたものが下の写真です。

アーム無しでRAMボールに直接カメラをマウントできる

余計なアームが入らないため振動に対して強くなりました。利用状況に応じてアーム有り・無しが選べるため便利です。ユピテルのバイクナビもRAMマウントで取り付けていますが、アームのせいでかなりタンク寄りになっています。今回自作したマウントを応用すればハンドルの真上にナビを移動することもできそうです。


アイディア次第で無限に広がる自作品の世界


 ある程度汎用的に使えるように設計された市販品は、自分の利用状況に合わない場合があります。3Dプリントの精度や強度が向上したため、市販品に頼らず自分専用のマウントを作ることができるようになりました。アイディアをフル活用して市販品を超える機能や使い勝手を実現したり、不要な汎用機能を削除したりすれば、費用面でも市販品に負けないオリジナル製品が作れます。まさにアイディア次第の世界が到来したようです。



設計や実際に使用している様子を動画にまとめてみました


 市販品では満足できず、自分のニーズを設計に反映して、出来上がったマウントを実際に活用している様子を動画にまとめてみました。ものづくりの楽しさが少しでも伝われば幸いです。


(2016年11月22日追記)