2017年7月20日木曜日

熱いぜ!MacBook なんとかしなくちゃ


 梅雨も明け、いよいよ本格的な夏の到来です。長年のWindowsユーザーでしたが、2013年に15インチRetinaディスプレイのMacBook Proを購入して動画編集やイラスト、ホームページの作成などをするようになってから、すっかりMacの虜になってしまいました。今ではWindowsに戻れないと感じるほどです。デザイン的にもお気に入りで、薄型のアルミニウムボディは見とれてしまいます。


重い動画編集が増えてMacBookがますます熱いぜ!


 熱伝導率の良いアルミニウムを筐体全体に使っていますので、内部の熱でボディが熱くなることは購入当初から気づいていました。特に室温が高くなる夏場には、膝の上で使用していると汗でズボンが濡れてしまうほどの熱を出します。最近は重たい処理が増えて来たせいか、パームレストの方もかなり熱くなり、手のひらが汗まみれの状態です(気持ち悪る〜)。

熱いぜMacBook! 手が汗だらけ

GoProでサイクリングやオートバイの動画を撮影し、Final Cut Pro X(FCPX)で編集して、出来上がった作品をYouTubeに投稿しています。最初の頃はカット編集が中心で、用意されているトランジションやフィルターなどを適用する程度でしたので、FCPXでのレンダリングにもそれほど時間はかかりませんでした。しかしだんだん慣れてくると、動画に色々なデータをオーバーレイ表示するためにVIRB Editを利用したり、ドローンから撮影したような空撮映像が作成できるGoogle Earth Proを使って素材を準備し、それを最終的にFCPXで実写映像と一緒に編集することも増えて来ました。

Final Cut Pro Xで動画編集

FCPXでレンダリングを開始すると、CPUに加えてGPUもフルに利用するため半端ではない熱を発生しているようです。処理開始後、時間を置かずに内蔵のファンがフル回転し始めます。どの程度熱くなっているのか測定してみました。


数値で見せられるとやっぱりすごいMacBookの発熱


 自作マニアを自任していますので、真冬にオートバイを楽しむための電熱ウェアなども自作しています。その性能を計測するために色々な温度計やデータロガーにも手を出してしまいましたσ(^_^;) それらの機器を活用して、先ずパームレストの温度を測定してみました。ほぼ体温と同じ温度になっています。湿度の高いこの時期ではやっぱり手のひらに汗をかく温度になっていました。

熱電対型温度計でパームレスト表面の温度を測定

MacBookの排熱口は本体とディスプレイの間のヒンジ部分にあります。この部分はさわれないくらいに熱くなっていることも多く、今回もFCPXでレンダリング中に温度を測ってみました。なんと47℃以上もあります。これでは熱くてさわっていられません。

赤外線放射型温度計で排熱口付近の温度を計測

ついでに、膝に乗せて使うときに感じる底面の温度も計測してみました。場所によってかなりのばらつきがありますが、一番熱い部分(GPU周辺?)の温度はなんと44℃もありました。これでは太腿が汗だくになるのも当然です。

MacBook底面の温度も測定(場所によってかなり違う)


MacBookを安心して使い続けるためには対策が必要


 電子機器の寿命を縮める原因の一つが熱であることは間違いないようです。購入から既に三年以上使用しているMacBook Proですが、今もスペック的に不満はありません。購入時点で最もハイスペックなCPU・メモリ容量・SSD容量の機種を選びましたので、最新のOSとアプリでもまだまだ現役で活躍してくれます。今故障したら大変困るので、盛夏を迎えるにあたり熱対策に乗り出すことにしました。風を当てて外部から筐体を冷やします。用意したのはパソコン用の大型ファン。無線機を冷やすために磁石で簡単に金属ケースに取り付けられるようにしていたものがありました。

パソコン用のファン、安価に手に入る

これを、パソコンのスタンド兼送風機として利用します。パソコンのヒンジ部分にファンの角を引っ掛けるだけです(^ ^) ファンの回転速度が調整できるよう自作のPWMコントローラーをACアダプターとファンの間に入れました。

とりあえずテストのためにファンを設置

ファンからの風がMacBookの底部に吹きつけるようにセットします。パソコンスタンドで底部に空間を作るだけでも、放熱効率が良くなり熱対策になるとネット上に紹介されていましたので、ファンの風と相まってより高い効果が期待できそうです。


さてMacBookの熱対策効果はあったかな


 効果測定にあたり最も熱い部分である排熱口の温度変化を連続して計測することにしました。温度センサーを排気口にセットし、その値を温度ロガーで1秒ごとに記録します。FCPXで15分程度かかるレンダリング処理を行い、ファンありとファンなしの状態で測定しました。

熱電対プローブを排熱口にセットしデータロガーで1秒ごとに記録

測定結果をグラフにしたものがこれです。排熱の温度は最高57.5度にも達しています。これはファンの有無にあまり関係ないみたいです。考えてみればCPUやGPUなどの内部のパーツが熱源ですから、筐体外部にファンで風を当てても排出される空気の温度が簡単に下がるわけではありませんね。むしろレンダリング処理が終わった後の温度の下がり方に注目した方が良さそうです。外部から風を当てることにより、放熱の効率が向上してより早く内部からの排熱温度も下がっています。より短時間に内部の半導体類の温度を下げられていると見るべきでしょう。

排気口の温度を測定

対策なしで36.2℃だったパームレストの温度は33℃程度にまで下がっていました。体温に比べればだいぶ低くなりましたが、今回の対策で最も効果があったと感じるのは、筐体底部の隙間を吹いてくる風が手のひらにぶつかり、発汗を抑えてくれることです。扇風機で手のひらに風を当てているようなものです。これは快適!思わぬ効果も発見できたMacBookの熱対策テストでした。


ファンの静音化とちゃんとしたスタンドにしたい


 パソコン用のプロペラ式ファンは指を入れると怪我をしそう。さらに結構な風切り音やモーターの振動音がします。PWMコントローラーで回転数を落としてやればかなり騒音は抑えられますが、今度は風量が不足してしまいます。もう少し静かで風量のあるファンを探してみたら、ブロアー式(シロッコ)ファンを見つけました。

ブロアー式のファン、静かで風量が大きい

これをMacBookの底部に向けて風を送るようにしましたが、問題はスタンドです。このファンではMacBookが安定しないため、専用のスタンドを購入することにしました。それほど暑くないときには、スタンドのみで使用できて便利になると思います。今やなくてはならない存在となったMacBook Pro。もうしばらく現役で活躍してもらえるよう、大切に使っていきたいと思います。頑張れMacBook!



デザインで選んだパソコンスタンド


 Amazonでパソコンスタンドを探していたら、MacBookのデザインにぴったりな商品を見つけました。値段も2,300円と手頃です。評価も悪くはありませんので、迷わずポチってしまいました。

MacBookのデザインにぴったりのパソコンスタンド

4mm厚のアルミに最小限の保護用ゴムが付けられています。スタンドをたためば一枚の板状になりますので、収納もスペースを取りません。セットしてみると、パームレスト下の出っ張りもキーボード操作の邪魔にならない高さで、まるでMacBook専用スタンドのようです。

下部の出っ張りもちょうど良い高さ

デザイン優先のためか、保護用のシリコンゴムが最小限しかついていないため、パソコンを乗せたり下ろしたりする際に少し斜めになっているとスタンドの金属部分に擦れることがあります。長く使用していると、MacBookの底部が傷だらけになりそうです。対策を施すことにしました。一番当たりやすい四隅にシリコンゴムの小さなクッションを貼り付けました。これで多少手荒に扱っても、金属部分にぶつかることはなさそうです。めでたし、めでたし(^ ^)

スタンドの四隅にクッションを貼り付けて傷防止

(2017年7月25日追記)


2017年7月19日水曜日

快適自転車生活 猛暑日のサイクリングはどこを走ろう


 関東地方もやっと梅雨が明けました。すでに何度か猛暑日も出現し、体感的にはとっくに夏に突入していましたので、気象庁の発表に違和感はありません。役所の広報スピーカーからは光化学スモッグの発生を知らせるアナウンスも流れてきます。この時期にサイクリングを楽しもうと思ったら、先ずは走る場所を慎重に選ばなければなりません。以前、国道沿いに走るのと谷津道を走る時の気温の違いについてまとめてみましたが、最近よく行く下総台地のお気に入りルートで走行中の気温を実測してみました。

とある夏日のサイクリング中の実測気温

天気予報の最高気温は33℃でしたが、市街地では大幅に超えています。猛暑日の定義である35℃をも超えていて、じっとしていても熱中症になりそうな気温の中で激しい運動をしていますので、十分な注意が必要です。


走る場所によって5℃以上も違う夏場の気温


 自宅からしばらくの間はどうしても市街地を走り抜けなければなりません。速度を上げたい時には国道14号などの幹線道路沿いを、のんびりと走りたい時には裏道を使いますが、どちらの場合もアスファルト道路からの輻射熱とたくさんの車から出される排熱で、気象庁予測の気温よりもはるかに高温になっています。

国道14号は下(路面)からと横(車)から熱気がムンムン

国道を離れても、ビルに囲まれた市街地では風の通りが悪く、熱気がこもっています。もっと早起きをして、早朝に通り抜けていればよかったのですが、JR蘇我駅横を通り過ぎる頃には太陽が一番高い時間帯になっていました。

ビルに囲まれた市街地では気温もぐんぐん上昇

あまりの暑さにコンビニに逃げ込んだ時には、この日一番の気温を記録。ずっとこの気温の中を走り続けていたら、サイクリングを楽しむどころではありませんね。特に発汗機能の衰えたシニアには危険です。

直射日光にあたり続けていると簡単に40℃を超えてしまう

水分摂取に気をつけながらさらに先に進んで行くと、ようやく自動車道から離れて田んぼの中の道に入ります。気分的にはだいぶ楽になりましたが、日陰がなく気温は高いままです。水田を渡ってきた風が心地よく感じるのがせめてもの慰めです。

視覚的には涼しげだが、直射日光を遮るものがない田んぼの中の道

さらに進むと、両側に高台のある谷津地形に入ります。水田と高台の間に曲がりくねった農道が続いていて、高台の樹木がちょうど良い日陰を作っています。谷津の道に入ると、気温が徐々に下がって行くのが分かります。

高台に生えている樹木で日陰が続く谷津の道

なんとなく体力が回復したような気がして、いつものように登りで頑張ってしまいましたが、実はまだ30℃以上もあります。気をつけないと簡単にオーバーヒートしてしまいます。いつもより長めの休憩と水分摂取を心がけました。一番気温の上がる午後2時過ぎにいたのは、昭和の森から泉自然公園に向かう谷津道です。標高が100メートル近くあることも手伝って、気温は日中最低の30℃を記録しました。


この猛暑の時期は一体どこを走る?


 走りやすくて道迷いもないサイクリングロードですが、土手の上に作られた道は日光を遮るものがほとんどありません。

土手に作られたサイクリングロードは走りやすいが....

冬や春先の季節風もきついのですが、トレーニングだと思えば我慢もできます。しかし猛暑日に直射日光を浴びながら一日中走るのは避けたいものです。真夏にはサイクリングロードはできるだけ利用しないようにしています。

朝から夕方まで一日中日の当たる土手の上

一方、川が高台を侵食してできた谷津地形では、両側に高台があり、その内側が一段低くなった水田が広がっています。水田と高台の間に農道が通っていることが多く、高台の樹木が快適な日陰を作っています。

谷津地形では日陰の道を選べる

谷津の両側に道があることも多く、時間帯によって道を選べば上手に日陰の中を走ることができます。幹線道路のアスファルト舗装のような真下からの輻射熱がなく、樹林や水田を吹き抜ける間に熱を奪われた風が心地良く感じられます。天然の冷風機ですね。実測気温が低いばかりではなく気分的にも涼しく感じられる谷津の道です。Google Earthの衛星写真でこのルートを眺めてみると、川の両側に水田が広がり、その横が木の生えた高台になっていて、水田と高台の間に沿って走っているのが良く分かります。

Google Earthの衛星写真を見ると谷津道の特徴が良くわかる(青線が走行ルート)

谷津の両側に必ず農道があるわけでもなく、舗装されているかどうかも行ってみないと分かりません。農作業用の道ですから、途中で行き止まりということもあり、地図や航空写真だけでルート開拓できるわけではありませんので、普段から少しづつ走りやすい谷津道を広げていきます。夏場にはその中からできるだけ涼しそうな道を選んで走るようにしています。体力や発汗機能の衰えた親父ローディながら、ルートを厳選すればこの時期の猛暑でもなんとかサイクリングが楽しめそうです。


気温を実測しながら走った場所を動画でご紹介


 ハンドルに取り付けたGoPro映像に、Edge800Jが記録した気温データをオーバーレイして走行ルートを動画にまとめました。どんな場所がどのくらいの気温だったかが一目瞭然です。


サイコンのデータを動画にオーバーレイ表示するにはVIRB Editを使用しました。さらにワークフローを工夫して地図上に現在位置を表示できるようにしてあります。


2017年7月5日水曜日

快適動画編集 VIRB Edit活用のための最強作業手順はこれだ!


 今やGoProで撮影したスポーツシーンを編集する際に、なくてはならない存在となったVIRB Edit。VIRBユーザーでもないのに無料で利用させてもらえる有難いツールです。GPS機器が記録した位置情報や標高・勾配などの地理的情報以外に、走行速度や心拍数、ペダル回転数(ケイデンス)、気温などの情報も動画にオーバーレイ表示できます。動画作品が伝えられる情報を格段に増やすことができる神ツールで、国内外にたくさんのユーザーがいるようです。


VIRB Editは使い込むほどに要望が出てくる優れたツール


 優れたツールほどユーザーが使い込んでいきますので、出てくる要望も難しいものが多くなってきます。メーカーがそれに応えて行くことにより、ツールはさらに洗練され、使いやすいものに成長します。GarminのForumを覗くとVIRB Editについても色々な要望が出されています。
  • ゲージのみの動画を出力するオプションを設けてほしい
  • 書き出しの際にGPUを使用するようにして、処理速度を上げてほしい
等々、自分が普段感じているのと同じ要望を見つけると嬉しくなります。用意されているゲージを自分好みにカスタマイズする方法や、線だけのトラック表示に地図やイラストを重ねる方法を手探りで試してきました。

VIRB Editに用意されている豊富なゲージやテンプレートで情報量の多い動画作品が簡単に作れる

VIRB Editだけあれば、GPSデータをオーバーレイした作品の編集からYouTubeへの書き出しまで行うことができますが、少し込み入ったことをやろうとすると途端に行き詰まります。複数の動画をピクチャー・イン・ピクチャー(P in P)表示したり、凝ったトランジッション効果を使ったりすることはできませんので、多くのユーザーはVIRB Edit以外に使い慣れた動画編集ソフトを活用しているようです。私の場合は、GPSデータを使ったゲージをオーバーレイする部分だけVIRB Editを利用し、仕上げ編集は高機能なFinal Cut Pro X(FCPX)で行なっています。


VIRB EditとFCPXの作業手順を根本から見直してみた


 VIRB Editで作れるトラック(ルート)ゲージは単純な線の上に現在位置を示す点が移動するだけです。これだけではどこを走っているのか見ている人には皆目見当がつきません。このトラックゲージの背景に地図画像を表示することには何とか成功しました。その時に思ったのですが、VIRB Editで苦労して実写映像にGPSデータを同期させる必要はないんじゃないかということです。FCPXでゲージ部分を利用する際に、どうせ背景に置いた実写映像と同期を取ってやる必要があるのですから、VIRB Editでは実写映像を使わずに必要な区間のゲージだけを生成すれば済むはずです。次のようなワークフローで作業してみたら、実にスムーズに編集作業が行えました。

VIRB Editと普段使っている編集ソフト(FCPX)でのワークフロー

1. 下準備としてグリーン単色の動画ファイルを作成


 上のワークフローにはありませんが、先ずVIRB Editに読み込ませるグリーン(もしくはブルー)単色の動画ファイルを作成しておきます。この単色背景をクロマキーで透過させますので、ゲージでは使わない色を指定します。青色はメータの針などによく出てきますので緑色にしました。緑色の静止画を作成して、それを元に35分ほどの長さの動画ファイルを生成します。なぜ長さが35分なのかというと、持っているGoPro HERO3+やSession、HX-A1Hなどが記録する動画ファイルは時間が長くなると自動的に分割され、その中で一番長いA1Hが約35分だからです。このグリーン動画素材が一つあれば、どんな実写映像用のオーバーレイ動画を作成する際にも利用できます。

グリーン単色の動画ファイルをFCPXで作成

作成ツールは何でも構いませんが、FCPXで作ると標準では.movファイルになります。VIRB Editが読み込めるのは.mp4ファイルのみですので、変換が必要になります。今回は導入してあった無料のTotal Video Converter Liteを利用しました。一度HD解像度、30fpsで作っておけば、その後は作業不要です。

Total Video Converter Liteで.movから.mp4へ変換

2. VIRB Editでグリーン背景のゲージ動画を生成


 VIRB Editにグリーン単色の動画をインポートしてから「ビデオの作成」を選んで編集作業に入ります。35分長のグリーン動画をタイムラインにドラッグしてから、「G-Metrix」でGPSデータを読み込み、さらに必要なゲージを選択・配置します。次に「G-Metrix同期」に進みます。通常ならここで実写映像とGPSデータをフレーム単位で正確に同期させます。ずれるとメーターの動きやトラック上の位置が不自然になりますので、かなり気を使う作業になりますが、今回は大雑把で構いません。GPSデータのどこからどこまでを使いたいのか、その指定をします。

VIRB EditのG-Metrix同期画面

当然撮影済みの実写映像は頭に入れておかなければいけません。地図を見ながらどの辺りの映像にゲージを合成したいのかを考え、地図画面下のスライダーを希望の場所に移動します。左側の動画のスライダーは左端のままで構いません。「完了」を押して編集画面に戻れば、ゲージ類にGPSのデータが反映されています。ある地点以降が不要であれば、編集画面で「右側をトリミング」してやればGPSデータも一緒に切り捨てられます。ここでは同期を取る必要は全くありません

 この状態でゲージ合成済みの動画をエクスポートします。メータの動きだけなら30fpsも必要ないのですが、元のグリーン動画素材が30fpsだったせいか、変えられませんでした。素材を10fpsくらいに落としてもう一度テストしてみたいと思います。

グリーン背景のゲージ動画をエキスポート

背景が単色の単純なものですが、レンダリングはコツコツと真面目にやっているようで、実写映像使用時と変わらない時間がかかります。ただし、出来上がった動画ファイルは圧縮が効いているため、実写映像に比べるとはるかに小さくなります。それだけでもこの作業手順は有効かもしれません(30分の1程度のサイズになってました)。

グリーンを背景にしたゲージのみの動画が出来上がる

動画ファイルの他にゲージで使われている部分に対応するGPXファイルも一緒に生成されます。これは後ほど地図データを抽出する際に役に立ちますので、消さずに残しておきます。

3. Appleマップ・Googleマップ・Google Earth Pro等で地図画像を作成


 トラックの背景に地図やイラストを表示したい場合は、その画像を用意します。手書きでも構いませんし、Google Earth Proなどのように4K解像度の衛星写真を作成することもできます。地図画像を利用する場合には、画像の隅に必ず「(c)Google」などの帰属表示を入れることを忘れてはなりません。この地図画像を準備する際に、VIRB Editが出力したGPXファイルを参考にします。例えばGoogle Earth Proでは、このGPXファイルを読み込ませると、下のようにVIRB Editでゲージが生成された範囲のルートが表示されます。縮尺を調整してルート全体が入るようにしてから、Google Earth ProでFull HD解像度の画像素材を生成します。画像を書き出す前に、縮尺や方角表示、帰属表示などをマウスでドラッグし、実際に使用する予定の範囲内に移動しておけば完璧です。

Google Earth Proが生成したFull HDサイズの衛星写真

地図や衛星写真などのリアルなもの以外にも、手書きのイラストなどでも面白い効果が得られそうです。

4. VIRB Editゲージ動画も含めた素材を活用してFCPXで総仕上げ


 一般的に使われる動画編集ソフトには、写真や動画などの編集素材をレイヤーとして重ね合せる機能がついています。今回の方法では、VIRB Editで作成されるゲージも画像レイヤーとして一つの編集素材になりますので、アイディア次第で色々な使い方ができそうです。FCPXのタイムラインにベースとなる実写映像を置き、その上にVIRB Editで作成したグリーン背景のゲージ動画を置きます。FCPXのクロマキー・フィルタ(キーヤー)を適用して緑色を透過させると、あら不思議。VIRB Editで直接作成した動画と同じものが出来上がりました。この段階で上にあるゲージ動画の位置を調整し、下の実写映像に完全に同期させます。

VIRB Editで作成したゲージ映像にキーヤーを適用してグリーンを透過させる

FCPXが持つ編集機能をフルに活用すると、VIRB Editだけではとてもできないことが実現できます。例えばゲージ動画にマスクを適用すると、必要なゲージだけを表示することができます。矩形マスクで左側のメータ類だけを囲めば、右のトラックが見えなくなります。マスクを反転すれば右側のトラックのみに。VIRB Editだけで同じことをやろうと思ったら、毎回長い時間をかけてレンダリングのやり直しが必要ですね。これは便利です。「不透明度」を調整してメータの表示を薄くしたり、カラーエフェクトを適用して色合いを変えたりも簡単にできます。

ゲージ画像にマスクを適用すればゲージの一部だけを表示できる

さらに、先ほど準備した地図画像をゲージの下に置けば、トラックの下に本物の地図が表示されます。縮尺と位置の調整が多少面倒ですが、トラックは固定なのでそれほど難しくはありません。余計な部分をクロップしたり、外枠をつけたり、半透明にして後ろの実写映像を見えるようにしたりと、思いのままです。

Google Earth Pro画像の上にトラックで位置表示が可能

地図をGoogleマップの画像にしてみたのがこちら。VIRB Editが生成したトラック部分のみを拡大し、大きな地図表示にすることもできます。その際には後ろの地図画像を半透明にすれば、実写映像の邪魔にならずに大きな地図を表示することもできそうです。

Googleマップ画像の上にトラックを重ねて表示


VIRB Editの機能アップを望む


 Garmin Forumを見ると、同様の使い方ができるようVIRB Editの機能アップを望む声が上がっています。ガーミンの技術者からは、時期は約束できないが取り込んでいきたい機能だ、との回答もありました。ゲージのみをグリーン背景の動画素材として扱うことで、最終編集時の自由度が格段にアップします。編集者のアイディア次第で、色々な使い方ができるようになりますが、やっぱりトリッキーな方法であることは否めません。できればVIRB Edit標準の機能として実現できれば嬉しいですね。今回の作業手順でますますGPSデータと実写映像の合成が楽しくなりそうです(^ ^)/ VIRB Editの新しい使い方にチャレンジした作品を投稿していきたいと思いますので、YouTubeチャンネルの方もご期待ください。



グリーン単色の動画素材を10fpsにしてテスト


 背景がグリーン単色の合成用ゲージ動画を作成するときには、メーターの針や数字が変わるだけですから、通常の実写映像のようにフレームレート30fpsも必要ないはずです。VIRB Editのエクスポートの際にフレームレートが選択項目として出てきますが、ソース動画と同じ30fpsしか選べませんでした。それならばと、最初に用意するグリーン単色の動画素材を10fpsで作ってみました。それを30fpsの動画素材の代わりにVIRB Editに読み込ませ、そこにゲージをオーバーレイします。エクスポートの画面を見ると、ちゃんと10fpsで書き出せるようになりました。

ソースを10fpsにしたらエクスポートでも10fpsになった

出来上がったゲージ動画の動きも30fpsのものと見分けがつきません。その一方で、ファイルサイズや処理時間は大きく削減することができました。合成用のゲージ動画作成には10fpsのフレームレートで十分ですね。これでますます効率の良いオーバーレイ作成に近づきました。

(2017年7月11日追記)



やり過ぎなくらいVIRB Editを活用した動画を作ってみた


 いつも自転車で走っている坂道の動画とGPSデータが複数回分揃っていたため、過去と現在のバーチャルレースというシナリオで動画を作ってみました。一年前・半年前・現在の実写映像に、それぞれのルート(現在位置)・心拍グラフ・速度・ケイデンス・気温をオーバーレー表示させます。特に、現在位置については一つの地図上で走行順位が分かるように表示させます。さらに、心拍変動も現在位置の横にまとめて表示し、サイクリストが感じている負荷を一目で判断できるようにしました。一つの実写映像に対して、現在位置・心拍グラフ・速度表示等の三つのオーバーレイ用グリーンバック動画を生成したため、大変な時間がかかってしまいました。ちょとやり過ぎな感はありますが、VIRB Edit大活躍の動画が出来上がったと思います。


(2017年7月26日追記)


2017年7月3日月曜日

谷津道探検サイクリング 梅雨の合間に印旛沼界隈を花紀行


 ここのところ梅雨らしい天候が続いています。朝方まで降り続いていた雨が止み、道路が乾き始めたお昼前に三週間ぶりに走りに出かけました。行き先も決めずに走り始めましたが、梅雨の合間といえばアジサイが楽しめるのではないかと思いつき、昨年オートバイでアジサイを見に行った宗吾霊堂に自転車で行ってみることにしました。週末で人の多い花見川サイクリングロードを避け、車の少ない車道や農道を辿って印旛沼を目指します。たっぷりと水を含んだ木々の緑と水田の黄緑が美しいこの時期のサイクリングは、蒸し暑さを除けば気分爽快です。


この時期の花々に癒されながら快適に走行


 盛夏を控えたこの時期には、春と夏の花が入り乱れて咲いています。最初に目に入って来たのはひまわりの畑です。まだ花は小ぶりですが、曇り空の下で目一杯夏の雰囲気を醸し出していました。

早くもひまわりが咲き誇っていた

秋に咲くものが多いアザミの仲間で、春から夏にかけて咲くノアザミも紫色のきれいな花をつけています。

春から夏に咲くノアザミ

畑一面が紫色になっている場所に目を凝らすと、ラベンダーが咲いていました。北海道の広大なラベンダー畑が有名ですが、ここ印旛沼周辺でも栽培が盛んなようです。

畑に植えられたラベンダーもちょうど見頃

少し盛りは過ぎていますが、淡い色が木全体を覆うように咲くネムノキの花もこの時期の風物詩です。南国の鳥のトサカを思い起こさせるような色と形の花をつけます。

ネムノキの花はそろそろ終わりの時期

農家の周りでよく見かけるタチアオイは大きな花を次から次に咲かせます。背丈も高く、とっても目立ちますので、好んで植えられるのも納得です。

家の周りや花壇によく植えられるタチアオイの花もこの時期よく目にする


宗吾霊堂のアジサイはまだまだ楽しめた


 印旛沼とそこにつながる中央排水路沿いの谷津道を花を愛でながら走っていると、あっという間に宗吾霊堂にたどり着きました。オートバイでは国道464号や県道137号を使いますが、自転車なら車の走っていない快適な農道が使えます。

印旛沼界隈の谷津道で快適に宗吾霊堂へ

アジサイ祭りはとっくに終わっていましたが、まだまだ宗吾霊堂のアジサイは楽しめました。今年は花の時期が少し遅いのかもしれません。週末ということもあり、結構な人が見学に訪れていました。

義民佐倉惣五郎を祀った宗吾霊堂(東勝寺)

寺の敷地内に7,000株ものアジサイが植えられています。その中でも葉が柏に似ているカシワバアジサイが一番多く、白い花をブドウの房のような形にして咲き乱れていました。

葉が柏に似ていることからカシワバアジサイと呼ばれている

アジサイの色の変化は、土壌の酸性度ばかりではなく、咲いてからの花の老化でも起こるそうです。青色にだんだんと赤色が混じるのはその一例だそうで、この写真の花ももう直ぐ終わりかもしれません。

紫と赤の混じった不思議な色で咲いているホンアジサイもあった

咲き方が面白いガクアジサイは日本原産だそうで、よく見るホンアジサイはこれを品種改良して作られたものです。朝方まで雨が降っていたため、アジサイの花々も心なしか元気な気がしました。

面白い咲き方のガクアジサイは日本原産


義民ロードを辿って宗吾旧宅も訪問


 歌舞伎の「佐倉義民伝」や「東山桜荘子」に出てくる名場面を辿る義民ロードなるものが設定されています。

義民佐倉惣五郎を偲ぶ義民ロードを走ってみた

歌舞伎一番の見せどころ「甚兵衛渡し」はいつも走っていますので、今回は宗吾旧宅を訪れてみました。寺のある高台から一気に下って、江川沿いの谷津に建っている農家です。義民ロードの看板が出ていて、駐車場も用意されていますが、ここは宗吾の子孫が住んでいる一般農家の敷地内です。失礼のないように見学させてもらいます。

佐倉惣五郎の子孫が住んでいる農家の敷地に旧宅が残されている

手入れの行き届いた建物の中に入ると、土間と座敷も綺麗になっています。飢饉と重税に苦しむ地域の人々を救うために、将軍に直訴して幼い四人の子供たちとともに処刑された惣五郎の話しを知ってからは、この地域にも格段の興味を持つようになりました。

綺麗な土間と座敷、ここで惣五郎は妻と四人の子供たちと暮らしていた


一本松の湧水も飲んでみた


 大した距離を走ったわけではありませんが、三週間ぶりのサイクリングで、尚且つ雨上がりの高湿度の中を走ったせいか、帰路はかなりバテバテになってしまいました。谷津道を走っていると、高台の縁から水が湧き出しているのを度々目にします。印旛沼の南側には数え切れないくらいの湧水地がありますが、北側はそう多くはありません。よく走る北側の一本松用水機場付近に、多くの人が水を汲みにくる湧水があることは以前から知っていました。

印旛沼北側の農道沿いにある一本松湧水

印旛沼周辺も開発が進み、すぐ北側の高台は大規模な住宅地になっています。また、畑の農薬なども心配なため、普段はただ通り過ぎるだけで、湧水を口にしたことはありませんでした。この日は暑さでクタクタになっていたこともあり、ちょうどボトルの水も底をついていました。大勢の人が水を汲みに来ていますので、問題はないのだろうと思い直して飲んで見ると、冷たくて美味い湧水です。よく冷えた優しい味で、生き返りました。

うまそうな水が流れ出ている一本松湧水

帰宅後にこの湧水の安全性についてネットで検索していると、ちょっと気になる印西市の環境審議会議事録が見つかりました。

印西市「平成26年度 第2回 環境審議会議事録」より抜粋

今から三年も前の役所の議事録ですが、湧水の周りに注意書きが掲げられた様子はありません。その後の調査で、飲料にしても問題なしと出たのであればいいのですが、少し不安になります。ペットボトル一本ほどを飲んだ日以降、特に体の異常は感じていません。