2016年2月15日月曜日

快適動画編集 幕張大型自動二輪検定コースの解説をMotion 5で作成(その1)


 ボケ防止も兼ねてMotion 5で動画編集の練習にいそしんでいます。豊富なビヘイビアやフィルターの勉強をしながら習作に取り組んでいますが、どうせならあとで役に立つものを作ろうと思い立ち、千葉県運転免許センター(幕張)の大型自動二輪検定コース解説アニメ作りに挑戦してみました。写真と文章による解説ブログや実写映像を使った解説動画はネットでたくさん見かけるのですが、アニメーションは見たことがありません。イラストを動かす「モーションパス」ビヘイビアの練習にうってつけの課題です。

 完成した動画はYouTubeにアップしてあります。当記事では初心者がMotion 5でどのように作成したかをまとめてみました。興味のある方は長文になりますがご一読ください。



1. まず背景になるマップとバイクのイラストを準備


 イラスト作成ソフトとしてはAdobe Illustratorが有名ですが高価で買えません。はるかに安価に入手できるAutodesk Graphicを使っています。以前iDrawと呼ばれていたソフトがAutodesk社に買収されて名前が変わったそうです。機能はIllustratorに及びませんが、その分初心者には扱いやすいソフトです。

 まず運転免許センターの検定コースをイラストとして作成します。バイク免許取得の際に何度も訪れているので頭に入っています。動画はフルHD解像度で作成しますのでイラストのサイズも1920x1080で作ります。出来上がったら劣化のないpng形式で保存しておきましょう。

Autodesk Graphicを使ってコースマップを作成

続いてコース上を動くバイクのイラストです。ただ走らせても面白くないので、左右のウィンカーやブレーキランプが点灯するようにしたいと思います。バイク本体、左・右ウィンカー、ブレーキランプをそれぞれ別々のレイヤーで作成し、レイヤー付きPhotoshop形式(PSD)で保存します。

バイク本体と左右ウィンカー、ブレーキランプを別レイヤーで作成し、Motion 5に渡す

もしレイヤー付きPhotoshop形式で保存できるソフトがない場合は個別ファイルに分かれていても大丈夫です。重ね合わせた時の位置さえ合っていれば、Motion 5で読み込みの際に同一グループのレイヤーとすれば同じことになります。


2. Motion 5でアニメーション映像を作成


 作成したコースマップ画像の上をバイクのイラストが動き回るだけのアニメーションですので高度なものではありません。バイクを動かすために「モーションパス」ビヘイビアを、ウィンカーを点滅させるために「反復」ビヘイビアを、ランプ類を光っているように見せるために「光線」フィルターを使用します。パスの設定でベジェ曲線を使用しますので、ドローイングソフトと同様の操作になります。

2-1. Motion 5で新規プロジェクトを作成


 Motion 5を起動し、最初の画面で「Motionプロジェクト」を選択します。右上にある「プリセット」、「フレームレート」、「継続時間」を設定します。YouTubeのHD動画向けにしますのでそれぞれHD1080、30fps、3分を指定し「開く」を押します。継続時間は最後に調整しますので、ここでは目安で入れておきます。

2-2. コースマップを読み込み


 まず背景になるコースマップを読み込みます。Motion 5のファウルブラウザで先ほど作成したコースマップを探し、「読み込む」を押せばキャンバスに表示され、レイヤーリストに追加されます。デフォルトのキャンバスサイズは100%となっていて、一部が表示されませんので、「合わせる」に変えておきましょう。これでフルHD画面全体が表示されます。

背景となるコースマップを読み込み

読み込んだらグループの名前をわかりやすいものに変更しておきましょう。ここでは「コースマップ」にしました。

2-3. バイクのイラストを読み込み(複数レイヤーとして)


 次に複数のレイヤーを持つバイクのイラストを読み込ませます。先ほどのコースマップとは別グループにするために、レイヤーリストで最上位にある「プロジェクト」を選択してから次の操作を行います。先ほどと同じように操作すると複数のレイヤーが一つにまとまったレイヤーとして読み込まれてしまいます。ここでは次のうちどちらかの方法で読み込み処理を行います。
  1. ファイルブラウザからキャンバスに対象をドラッグしますが、キャンバス上でしばらくそのまま左ボタンを押したまま待ちます。
  2. メニューバーの「ファイル」>「読み込む」を選択して読み込ませます。
どちらも場合も複数レイヤーが存在する場合はポップアップメニューが表示されます。そこで「連結済みレイヤー」ではなく「すべてのレイヤー」を選べば、別々のレイヤーとしてMotion 5に読み込まれます。

レイヤーの選択画面

バイクのイラストが読み終わるとこのような画面になります。コースマップとは別グループで、複数のレイヤーを持っていることがわかります。わかりやすいようにグループ名を変更しておきましょう。ここでは「バイク」としました。

複数レイヤーを持つバイクのイラストを読み終えるとこんな感じになります

バイクのサイズが大きすぎますのでコースマップにあった大きさにします。さらに発進地点に移動しておきましょう。

「バイク」グループレイヤーのインスペクタで大きさを調整

レイヤーリストでグループ「バイク」を選択し、インスペクタ・情報を選びます。調整のスライダーまたは数値を調整してバイクの大きさを変えます。20%くらいがちょうど良いサイズになりました。その後、キャンバス上でバイクをドラッグし、発進地点に移動しておきます。

2-4. 「モーションパス」ビヘイビアを適用してバイクをアニメート


 いよいよコースマップの上を走るバイクのルートを作成します。Motion 5では移動させたい対象物を含むレイヤーに「モーションパス」ビヘイビアを適用すれば可能になります。
 グループ「バイク」を選択し、ツールバーの右にある歯車マーク(ビヘイビア)を選択。するとリストが現れるので「基本モーション」、「モーションパス」を選びます。

「バイク」に「モーションパス」ビヘイビアを適用

すると「バイク」グループレイヤーのすぐ下に「モーションパス」のレイヤーが追加されます。キャンバスを見るとバイクから赤い線が出ているのがわかります。キャンバスをスクロールさせていくとパスの末端も見つかります。初期状態では直線のパスが引かれています。

いよいよ「モーションパス」の指定が可能になりました

このままではキャンバスが小さいので、キャンバス右下の拡大ボタンを押します。パスの編集中には他のウィンドウは不要ですので画面いっぱいキャンバスにしておきましょう。

キャンバスを拡大してパスの編集に集中

パスの末端をドラッグしてバイクを進めたい方向に持っていきます。カーブさせたいときには先に末端を遠くへ引き伸ばしておいてから、途中の線上にベジェ曲線のコントロールポイントを追加します。optionキーを押しながら左クリックすればポイントの追加が可能です。コントロールポイントが追加できたら、移動と接線ハンドルの操作で必要な曲線にしていきます。

パスの編集はベジェ曲線によるイラスト作成と同じ

少しいじっていればすぐにコツがつかめますが、たまに接線ハンドルが消えてしまうことがあります。あせらずに画面を拡大していけば小さいながらちゃんと残っていますので、接線ハンドルを伸ばしてやります。コントロールポイントを右クリックすれば削除も可能です。細かな調整は後回しにして大胆に描いていけば意外に早く終わります。必要以上にコントロールポイントを置かないことも重要です。

2-5. バイクを進行方向に向けるために「モーションにスナップ」ビヘイビアを適用


 再生ボタンを押して先ほど描いたパスに従ってバイクを動かしてみてください。バイクが同じ方向を向いたまま移動すると思います。とっても不自然です。そこで「モーションにスナップ」ビヘイビアを「バイク」グループレイヤーに追加します。これはパスで定義した進行方向に自動的に向きを合わせてくれるものです。ツールバーの歯車マーク「ビヘイビア」を選択、「基本モーション」、「モーションにスナップ」を選択します。

バイクの向きと進行方向が合っていないと不自然です

適用が済んだ途端、バイクが進行方向に沿って向きを変えるのがわかると思います。でもよく見ると前後が逆になっています。これではバックして走っている状態です。「モーションにスナップ」レイヤーを選択、「インスペクタ」、「ビヘイビア」を開き「座標軸を反転」にチェックするとバイクは正しく進行方向を向きました。

バイクの前後が反対なので「座標軸」を反転

 再生ボタンを押してバイクを走らせてみてください。定義したパスの上を向きを変えながら走ると思います。気に入らない部分はパスのコントロールポイントを編集して修正します。一時停止や増速・減速などの制御もMotion 5で可能なはずですが、この部分にバグがあるようです(バージョン5.2.3)。困難な割にうまくいきませんでしたので、速度制御はMotion 5で出来上がった動画素材をFinal Cut Pro X (FCPX)に引き渡してから行うことにしました。


 Motion 5での基本的なアニメーション作成部分はこれで完了です。バイクがコースマップの上をくるくる動き回るアニメになりました。この後は左右のウィンカーをちゃんとした場所で点滅させ、一時停止時などにブレーキランプを点灯させてやりますが、長くなりましたので別の投稿(その2)に続きます。

→ 快適動画編集 幕張大型自動二輪検定コースの解説をMotion 5で作成(その2)



他のMotion 5関連記事はこちら








0 件のコメント:

コメントを投稿