2017年9月14日木曜日

いつの間にか身の回りに溢れてるLi-ion充電池といかに安全に付き合うか


 Li-ion(リチウムイオン)充電池は小型軽量のモバイル機器を支える、二次電池の王様のような存在です。単に蓄電容量だけなら車やバイクの鉛蓄電池の方がはるかに大容量のものが手に入りますが、あんなに重たいバッテリーを電子機器と一緒に持ち歩く人はそうはいません。エネルギー密度が高く、小型・軽量にできるため最近のモバイル機器ではほぼ100%Li-ion充電池が使われています。


モバイルバッテリーの発火事故が多発


 つい先日も電車に乗っていた学生が背負っていたデイバッグから発火する事故が発生しました。ホームで煙を上げるデイバッグに駅員が消火器を向けている映像がニュースで流れ、衝撃を受けました。火元はバッグの中に入っていたモバイルバッテリーだったようです。

背負っていたバッグからいきなり火が出たらまるで「カチカチ山」、モバイルバッテリー怖いよ〜

大容量化と低価格化が進み、スマホをよく利用する人達は大抵持ち歩いている機器になりました。10,000mAh以上もあるような大容量モバイルバッテリー(モバイルブースターなどとも呼ばれている)が数千円で手に入る時代です。満充電して持ち歩けば、スマホを複数回充電し直すことが可能で、スマホのヘビーユーザーばかりでなく、ナビ代わりにスマホを利用するサイクリストなどにも重宝がられています。この大容量モバイルバッテリーには、ほぼ例外なくLi-ion(リチウムイオン)充電池が使用されています。

 モバイルバッテリー以外でも、内蔵バッテリーの不具合で発火・発煙事故が続発したサムスン電子のスマホや、取り付けた車が火災になってしまったユピテルのドライブレコーダー、パソコン用バッテリーのリコールのニュースなどで出火原因として報じられるのは毎回Li-ion充電池です。


複数の自転車用ライトを試していたらLi-ion充電池だらけに


 スポーツ自転車(ロードバイク)で遠出をするのが趣味になってから大分経ちます。秋の訪れとともに日没も早くなり、帰宅が遅くなった時など期せずして夜間走行を余儀無くされることも増えてきました。真っ暗闇の田んぼ道を安心して走れる自転車ライトになかなか巡り合えず、色々なライトを購入して試しているうちに、気づけば身の回りにLi-ion充電池が溢れかえっていました。

安価で明るい中華ライトを色々試しているうちに....

わずか二千円ちょっとで1,000ルーメンを超える光量を持つライトが手に入ります。しかも大容量のバッテリーを含む豊富なアクセサリーも付属していますので、国内専業メーカーも安穏としていられません。

さすが中華製の自転車ライト、大容量バッテリーの他にも色々なアクセサリーが付属

ライトを購入する度に大容量バッテリーも付いてきますので、いつの間にか増えてしまったバッテリーの活用を考えます。国内専業メーカーが出荷する自転車ライトのバッテリーは専用設計であることが多く、他の用途に使い回しすることは難しいのですが、中華ライトに付属してくるバッテリーは汎用品である場合がほとんどです。

いつのまにか増えてしまった大容量バッテリー

バッテリーには何の表示もありませんが、電圧を測ってみれば8V程度ありますので、Li-ion充電池二本を直列にして、さらにそれを二組並列に接続してあるタイプだと思います。合計4本の円筒型充電池が使われていますが、サイズ的には18650という規格の汎用品のようです。

18650汎用充電池(写真上)4本を組み合わせたバッテリー(下)がおまけでついてくる

ハンディライト型のものも試してみました。使い勝手は自転車専用品の方が格段に上ですが、家庭の非常用ライトとしても利用価値がありますので、複数本のハンディライトも持っています。このハンディライトにもLi-ion充電池が付属してきました。

高輝度LEDハンディライトにもLi-ion充電池が付属


18650サイズのLi-ion充電池が多い


 複数本を組み合わせた大容量バッテリーも、ハンディライトについてきた円筒形充電池も18650と呼ばれるLi-ion充電池です。単三乾電池よりも大型で、ずっしりと重みがあります。18650の最初の「18」は電池の直径を表しています。「650」は長さで、65.0mmという意味です。ただし、実際の電池の長さは下の写真のように65mmを越えることがほとんどです。

18650充電池の長さは65mmよりも長い場合が多い

これは65mm長の電池の下部に数ミリの厚さのある保護回路を取り付けてあるためです。この保護回路のない電池のことを生セルなどと呼んで区別しています。単体での電圧は公称値3.6か3.7Vとなっていますが、実際には残容量に応じて4.2〜2.7V程度の間で変動します。汎用電池として使用する場合は、機器側がこの電圧変動に対応していなければなりません。容量は2,000〜3,500mAh程度が一般的で、2.0〜3.5アンペアの電流を1時間取り出せる蓄電量になります。エネループに代表されるニッケル水素電池と比べても大電流を取り出すことが可能です。

一般的な保護回路付きの18650サイズLi-ion充電池

上の写真の電池に記載されているラベルからは、満充電時には4.2Vになること、放電を続けて電圧が2.75Vまで下がると放電を停止する保護装置が働くことが読み取れます。

 この18650充電池を利用している製品は多いのですが、製品専用の交換バッテリーは大変高価です。冬季のオートバイ乗車時に愛用している電熱ベストの交換バッテリーもメーカー純正品は一個5千円もします。中身は18650が二本直列に接続されているだけでしたので、余っている18650を収納できるバッテリーケースを自作して利用しています。安く作れた上に、電池が劣化しても汎用品ですので取り替えれば新品に生まれ変わります。

18650充電池を二本収納できる電池ケースを自作して活用中

格安の中華ライトを買う度に増えてくるLi-ion充電池が活用できれば、色々なモバイル機器の交換バッテリーを安く揃えることができます。ただし、おまけでついてくる中華Li-ion充電池には色々な不安がつきまといます。


18650Li-ion充電池は危険な電池?


 日本にはパナソニックやソニー、日立、東芝などの大手電池メーカーがあります。これらのメーカーは乾電池やニッケル水素充電池は販売していますが、18650のような汎用のLi-ion充電池を一般消費者向けには販売していません。現在消費者が入手できる18650充電池は、大半が中国製です。中にはパナソニックが生産した生セルを使っていることを売りにした中国製の18650製品もあります。なぜ日本のメーカーは18650充電池を一般に販売しないのでしょう? Li-ion充電池は使用されている電解液が可燃性で、外部に漏れだすと大変危険です。過充電や過放電で内部にガスが発生して圧力が高まり、ケースに亀裂が生じたり破裂することもあります。エネルギー密度が高く、電極間をショートさせた場合大電流が流れて発熱し、発火に至る場合があります。どれも普通の乾電池しか扱ったことがない一般消費者には、思いもよらない危険性です。充電池を正しく扱わないと、これらの危険が顕在化する可能性があるというのが、日本の大手メーカーが消費者向けに汎用のLi-ion充電池を販売しない理由のようです。

 国内メーカーが参入しなくても、市場は有象無象の中華製品で溢れています。先のモバイルバッテリーの発火事故も特殊な事例ではありません。否が応でも身の回りに溢れているLi-ion充電池と安全に付き合う方法はないものでしょうか? 充電池には次のような使用上の注意が書かれています。
  • 火中に投入したり、加熱しない
  • 変形させたり、分解、改造しない
  • 新旧の電池を混ぜて使用しない
これらは他の種類の電池でも同様に喚起されている注意点だと思います。Li-ion充電池が最も他の電池と異なるのは、充電・放電時の電圧が厳密に指定されていることです。下の図は法人向けにパナソニックが公開しているLi-ion充電池の保護回路の電圧指定です。充電時には4.3Vを超えない、2.3Vになったら放電を停止する保護回路を生セルに付加するように指定されています。充電池を利用する機器側では4.2〜3.0Vの範囲内で動作させるように決められています。

Li-ion充電池の保護回路電圧範囲 出典:パナソニック法人向けサイト

例えば、LEDライトをLi-ion充電池に接続して使用する場合、3.0Vまで電圧が下がったらライト側が自動停止することが求められているわけです。それができないと、さらに電圧が下がっていき、2.3Vになって充電池側の保護回路が働きます。この2.3Vというのは電極が劣化し始める過放電領域ギリギリの値です。ここまで使ってしまうと電池寿命を縮めることに繋がります。落としたり、踏みつけたりの物理的なダメージを与えないことはもちろんの事、電極間がショートしないように保存・運搬に気をつけること以外では、充電・放電中の電圧が規定範囲にあることがLi-ion充電池を安全に使用するために重要なこととされています。通常はLi-ion充電池本体、接続する充電器、さらに電池を使用する機器それぞれの安全装置が電圧管理を行っていますので、利用者が電圧を気にする必要はありません。

 ただし、格安で売られていたり、他の商品に付属してくるLi-ion充電池の中には保護回路が初めからつていないものや正しく機能しないものも存在します。中にはパッケージには保護回路ありと謳っているにも関わらず、実際には付いていないなんてケースも散見され、もうメチャクチャです。充電時の電流を決めるのに大切な電池容量についても、理論的にありえない10,000mAhなんて18650充電池も売られています。はっきり言って虚偽表示だと思いますが、咎められる様子もないし改善も見られません。日本国内で流通するLi-ion充電池に関する規制や罰則などの法整備が追いついていないようです。


不安な中華製Li-ion充電池を使うなら電圧常時監視


 保護回路による電池電圧の自動監視に不安があるのなら、残された手段は自分の目で確かめながら使用することくらいでしょう。中身をバラして見なければ保護回路があるのかどうかも判断できない、中華ライト付属の大容量バッテリーを充放電させる際に、電圧を監視できるように電圧計を作成しました。常時持ち運んでも苦にならない大きさと形状にして、バッテリーと機器間に簡単に挿入できるようにしてあります。(作成したと言っても、秋月電子で買ってきた超小型2線式LEDデジタル電圧計を透明パイプに収めただけですが....)

ほぼ18650サイズに仕上げた電圧計、電池と機器の間に接続して電圧を常時モニター可能

保護回路がついていない(かもしれない)バッテリーの電圧を常時モニターし、充電時には上限値を超えないように、放電時には下限値を下回らないように注意しながら使用すればバッテリーの劣化や発火・発煙などの事故を防ぐことができます。

Li-ion充電池の電圧を常時モニターできる自作小型電圧計

内部で直列接続してある上の写真のバッテリーの場合には、18650充電池一本分の上限4.2Vと下限2.3Vを二倍した値を基準値としました。電池間のばらつきなどもあり、単純に二倍となるわけではないようですが、8.4〜4.6Vを一応の基準とします。さらに、100%まで充電せず、残容量30%程度で放電を中止するようにすれば電池の寿命を伸ばすことができるそうです。充電中はじわじわと電圧が上がり、4.2Vになった時点で充電を終了すれば約80%の充電量になります。3.0V程度で放電を終了すれば残容量は30%程度だそうなので、一本の場合は4.2〜3.0Vを、二本直列の場合は8.4〜6.0Vを目安に電圧を監視して使用すれば、安全と長寿を同時に追い求める一石二鳥のLi-ion充電池活用法になるはずです。これで格安中華ライトにおまけでついてきた正体不明のLi-ion充電池を安全に利用できるかな?


ご注意:
電圧計自身が最大18mA程度の電流をバッテリーから消費します。使用していない時には取り外しておく必要があります。また、充電器が充電の完了を知るためにバッテリーに流れる電流をモニターしていますが、この電圧計の分だけ電流が増えます。そのため、充電の完了を検知できない場合があります。その場合は電圧計を外して充電してやる必要があります。




ACアダプターの電圧確認にも便利だったので追加作成


 作成した18650サイズの通過型電圧計がLi-ionバッテリーの電圧管理だけでなく、家じゅうに溢れているACアダプターの電圧確認にも大変役立つことがわかりました。あちらこちらに置かれているACアダプターの電圧を使用前に確認できるよう、複数の電圧計を作って置いておくことにしました。老眼の進んだオヤジにはACアダプターに書かれている電圧表示の文字が小さすぎて読めなかったため、安全のためにも役立ちそうです。

表示が小さくて読み取れないACアダプターの電圧を直読できる

(2017年9月23日追記)



パーツ在庫分を組み立ててお分けします


 やっと見つけた18650サイズの透明パイプなどのパーツが少し余りましたので、必要な方に組み立てたものをお分けいたします。「18650サイズの自作通過型電圧計を頒布」ページにて使い方や入手方法を解説しています。内部は単純な電圧計ですので、簡単に作れますが、18650サイズにパッケージングするのに苦労しました。一つ持っていると便利ですので、この機会にいかがでしょうか。在庫がなくなり次第終了させていただきます。

(2017年9月28日追記)



2017年9月11日月曜日

配光の異なる二つの自転車ライトを切り替えてハイ・ロービームを実現


 先日、成田空港からの帰宅が遅くなり、すっかり陽の落ちた谷津道を走りました。200ルーメンの光量がある自転車専用ライト(DOSUN A1)を点灯して走りましたが、灯りが全くない田んぼの中の農道を、路面や頭上にも注意しながら走るのには明らかに光量不足だと感じました。コースを熟知していて、路面の不安も少ない夜のサイクリングロードでは過不足なく走れたライトですが、谷津の道では無理だったようです。


配光特性の異なる二つのライトをどう使おう?


 夜の市街地走行で使用しているのが自転車専用に設計されたDOSUN A1です。特殊なリフレクター形状で、上方への光をカットしながら左右を広く照らすようになっていて、200ルーメン程度の光量ながら非常に使いやすいライトです。もう少し明るいライトが欲しくなり、Amazonでポチったのが1200ルーメンを謳っている格安の中華ライトです。こちらは何ら配光については考慮されておらず、サーチライトのようにひたすら前方を照らします。この爆光格安中華ライトを市街地走行時にも使えるようにしようと、配光を変える工夫もしてみました

ロービームのようなDOSUN A1(右)とハイビームそのものの格安中華ライト

両方を同時点灯すれば足元から遠方までかなりの範囲を明るく照らしてくれる強力ライトシステムになりますが、歩行者や対向車からは相当迷惑がられているようです。自分でも確かめてみましたが、かなり眩惑されます。ハイビームが必要な時だけ格安中華ライトをオンにし、歩行者や対向車が現れたらすぐにオフにできれば、他人に迷惑をかけない明るいライトが実現できそうです。

ロービームは常時点灯、ハイビームをオン・オフして光軸の切り替えを実現したい

車やオートバイのハイビーム・ロービーム切り替えは、瞬時に操作できるようにスイッチが工夫されています。通常は遠くまで見えるハイビームで走行し、対向車や歩行者を見つけたら、即時にロービームに切り替えます。自転車ライトでも同じことができれば、より明るいライトを使いこなすことができるはずです。

 ロービームは常時オンにしておけば良いので現状のままでOKですが、ハイビームとして使う格安中華ライトのスイッチには課題があります。消灯状態からスイッチを押すたびにHiから順にモードが変わり、最後にまた消灯状態になります。ハイ・ロー切り替えの度に複数回スイッチを押して消灯状態にするわけにはいきません。スイッチを長押しすれば、どのモードからでも消灯状態に移ることが可能ですが、素早い切り替えができませんし、走行中には危険を伴います。何か良い方法がないか思案してみました。

格安中華ライトの点灯モード遷移


電源を瞬断させるスイッチをハンドルに設置して解決


 格安中華ライトはバッテリーが別になっています。ライトとバッテリーをつなぐとスイッチが緑色に光り、待機状態になります。点灯のモードがどの状態であっても、一旦バッテリーからの電気を切ってから入れ直すと、必ず待機状態になります。この待機状態からスイッチを一回押せば、必ずHiモードで点灯することを利用しました。バッテリーからの電気を一瞬だけ切断するスイッチをハンドルバーに設置してやれば、走りながらハイビームからロービームへの切り替えが実現できます。ローからハイにするには中華ライト本体のスイッチを一回押すだけです。

 接続のための分配ボックスを作成し、ライトとバッテリーの間にマイクロスイッチを直列に配線します。このマイクロスイッチは通常オンで、押されている間だけオフになる接点を利用します。

中華ライトとバッテリーの間にマイクロスイッチを直列に配線

このスイッチをベロクロテープを使って、ハンドルバーの操作しやすい場所にセットしました。近くに中華ライトのメインスイッチが来るようにします。ハイビームにしたい時には中華ライトのメインスイッチを押し、ロービームに切り替えたい時にはマイクロスイッチを軽く一押しすれば中華ライトが消えて、ロービーム用のDOSUN A1のみになります。

ハイビーム用の中華ライトとマイクロスイッチを近づけてハンドルに設置

分配ボックスはバッテリーと一緒に、トップチューブバッグに収納しました。ハンドル周りやトップチューブ上が多少賑やかですが、夜間は誰も気にしません。

テストしたダブルライト切り替えシステムの全容


ハイ・ロービームを切り替えながら走行してみたらバッチリ


 成田からの帰り道で再び夜間テスト走行です。ハイビーム状態では1200ルーメンの中華ライトが前方を強力に照らし、さらに200ルーメンの自転車専用ライトが路面を中心に照らしてくれます。かなり心強い前照灯となります。灯りの全くない谷津の道をハイビームで快適に走っていると、突然車道と交差することが度々あります。

ハイビームの時にいきなり車道に出ても慌てない

いきなり車が前に現れますので、瞬間ハイビームで照らしてしまいますが、慌てずにハンドル上の切り替えスイッチに軽くタッチします。

軽くマイクロスイッチを一押しすればロービームに切り替わる

次の瞬間、光軸がスパッと切り替わりロービーム状態になります。車やオートバイでのハイ・ロー切り替えにかかる時間と変わりません。これは使えます。できれば、ロービーム側をもう少し明るいものに変えてやればバランスが良くなるのですが、なかなか適当な配光特性を持ったライトにはお目にかかれません。

ロービームのDOSUN A1は上方の光がカットされている


ハイ・ロービームを切り替えながらのテスト走行時の様子


 漆黒の谷津道から、歩行者や対向車のいる市街地までを、ライトのビームを切り替えながら走行した時の動画を作成しました。撮影に使用したGoPro HERO3+の感度が実際に目で見ているものに近いようで、かなりリアルに状況を写しています。参考にしていただければ幸いです。



 安価な割に明るい中華ライトの人気が高まっているせいか、大手自転車ライト専業メーカーからも強力なライトが次々に発売になっています。中には定価が十万円もするものまで出てきて驚くばかりです。どのライトも走行する場所に合わせて明るさの調整はできますが、光軸を切り替えるものは見当たりません(その後情報をいただきましたので訂正:ビームパターンを切り替えられる製品はいくつかあるようです、高価ですが...)。原付バイクの光量をはるかに凌ぐ性能を持ったライトを世に送り出しているのですから、歩行者や対向車に迷惑をかけずに高輝度のメリットを享受できる、画期的な自転車ライトの登場を期待したいものです。そうしないと中華メーカーに勝てないですよ > 猫目さん!



2017年9月7日木曜日

マウントの鬼 理想のGoProマウントを追い求めて自作に走る


 GoProを代表とするアクションカメラを使い始めて三年が経ちました。自転車(ロードバイク)やオートバイでのツーリングシーンを中心に撮影しているため、振動の多い場所へのマウント方法に三年間悩み続けて来ました。メーカー純正のマウントから、サードパーティ製の変わり種マウントまで試したマウント類は数えきれません。振動のない場所でなら便利に使えるだろうマウントも、路面からの振動がダイレクトに伝わるロードバイクや、エンジンが発生する激しい周期振動が続くオートバイでは、画像が歪んでしまい見るに耐えない映像になってしまう場合が多々あります。


三年間のGoProマウント試行錯誤で学んだこと


 激しい動きの中で、迫力ある映像を安定して収録するにはカメラを取り付ける場所と、取り付ける方法が大変重要です。オートバイへのアクションカメラ取り付け試行錯誤の記録自転車へのアクションカメラ取り付け試行錯誤の記録はすでに記事にまとめてありますが、そのどちらにも共通する重要なポイントは可能な限りベースマウントの固定箇所とカメラとの距離を短くすることだと考えています。もちろん取り付ける場所自体が振動していないことが重要ですが、せっかく振動の少ない場所に取り付けても、カメラまでの距離が長いとそこで余計な振動を拾ってしまいます。

エンジンからの影響が少ないフロントフォークに取り付けたGoPro(悪い例)

上の写真は悪い一例です。前輪の一部を写し込みながらオートバイの進行方向を撮影するために、フロントフォークのフェンダー取り付けボルトを利用してGoProのベースマウントを固定しました。ここにGoPro SessionやPanasonic HX-A1Hなどをダイレクトに取り付けると、路面やエンジンからの振動がほとんど気にならない安定した映像が撮れますが、GoPro HERO3+ではそうはいきません。サイズが大きく、尚且つ本体横では固定することができない構造のため、延長アームやら90度向きを変えるためのアームを入れなければならず、この部分で振動を拾ってしまい画像がブレブレでした。

 GoProのハウジング下部にある取り付け部はカメラを前後に傾けることはできますが、左右に向きを変えることはできません。画面に映り込む前輪の位置を変えたいと思っても、この状態ではカメラの首を左右に振ることは不可能です。正方形のGoPro Sessionや円筒形のHX-A1Hでは本体真横で固定が可能ですので、カメラの向きを変えることができます。

本体横で固定できるSessionならではのマウント方法

ただし、今度は上下方向には動かせません。上下に向きを変える場合はベースマウントを固定しているネジを六角レンチで緩めてやる必要があります。それでも、固定部分に垂直または水平面があればカメラの水平・垂直の調整も簡単です。問題になるのは、ハンドルバーやミラーステー、グラブバーなどの複雑な傾斜のある場所にベースマウントを固定する場合です。撮れる映像の水平など気にしないという強者もいますが、シーンによっては水平になっていないと気持ちの悪い映像になってしまいます。

 下はGoPro純正のSportsmanマウントでミラーステーにカメラを固定している様子です。しっかりと固定できるのですが、90度向きを変えるアームも含めて三つの軸を活用してやっとカメラの水平を調整しています。GoProのマウントでカメラの水平を保つためには、アームを複数利用する必要があり、どうしても振動に対して弱くなります。

Sportsmanマウントでミラーステーに固定

 Sessionの発売と同時に画期的なアクセサリーが出てきました。ボールジョイントバックルです。スイベルマウントという呼び名で、ヘルメット取り付け用にも発売されています。今までのGoProマウントの常識を覆す、360度どの方向にもカメラを向けることができます。さらに5度程度ですが、どの方向にも傾斜(チルト)させることができるため、微妙に傾いている場所に固定した場合にも水平を出しやすくなっています。

画期的なGoProボールジョイントバックル

強いて難点をあげれば、この機構がバックルとしてしか用意されていないことと、価格が高いことでしょう。発売当初は4千円以上もしました。使用するベースマウントはバックル式のものにしか対応しませんので、そこにこの高価なバックルをセットして利用します。バックル式でないベースマウントもたくさんありますので、その場合は今まで通りになってしまいます。サードパーティ製で類似の機構を持つ延長アームが発売されていましたので、いくつか購入して試してみましたが、固定箇所とカメラ本体の間の距離が不必要に伸びてしまい、振動でブレブレになってしまいました。

自由関節を持つものや90度変換用の延長アームも売られている

 カメラの向きを自在にセットしたい場合にはRAMマウントシステムが大変便利です。1インチのボールをアームで挟み込んで固定する構造で、ベース用のボールが固定できればどこにでもつけられます。ナビの取り付けにも利用できるため、オートバイには3個のRAMボールを常設して走っています。

向きのセットは自在だが、振動の影響が大きいRAMマウントシステム

ただし、アームやボールに重量があり、ゴムコーティングされたボールを利用しているため、結構振動を拾います。編集素材として短いシーンを利用するだけであれば利用価値は高いのですが、メインで利用する映像としては少しブレが大きい取り付け方法だと感じています。


最も利用頻度の高い最近のマウント方法


 自転車やオートバイへの取り付け易さ、取り付け可能な場所の豊富さ、振動の影響の少なさ、取り付け後の向きの調整のし易さなどを考慮し、三年間経験してきたたくさんのマウント方法の中で現在最も活躍しているのがこの方法です。

一番活躍しているJAWSフレックスクランプとボールジョイントバックルの組み合わせ

JAWSフレックスクランプに付属してくる長いグースネック部は使用せず、ボールジョイントバックルを直接取り付けたマウントです。5センチ程度までの厚板やポールを挟んで固定します。バネが大変強力ですので、多少テーパー状になったグラブバーやタンデムステップなどへもガッチリと固定できます。いい加減な向きに固定しても、ボールジョイントバックルのお陰で好きな向きに変えられますし、水平の調整も可能です。本体横で固定できるSessionと組み合わせれば、リザーバータンクなどへも、最小のパーツ構成で取り付け可能です。ほとんど振動の影響を受けない安定した映像が撮れました。

リザーバータンクに取り付けたSession

自転車やオートバイでの走行中の撮影ばかりではなく、観光地での記念撮影でも周りの建造物に取り付けて三脚代わりに利用できるため、持参する荷物を減らすことができます。非常に応用範囲の広い、安定した映像が撮れるマウント方法だと思いますが、クリップ部分が大きいため狭い場所には入りません。常設するには目立ちすぎるのと、クリップもバックルも高価で、追加購入するのはちょっと躊躇します。


小型で安価なボールジョイントのマウントが欲しい


 ボールジョイントバックルと同等の機能を持つ、小型のマウントを探しましたが、ベース固定部とカメラとの距離を最短にできる製品は見つかりませんでした。3Dプリンターを使って市販品にない実用的なマウントを自作できることを経験していますので、今回も自分で作ることにしました。いつものようにAutodeskのFusion360で設計開始です。

Fusion360で設計中のボールジョイント部分

GoProの取り付け部分をボール状にしてしまうパーツと、そのボールを固定するパーツで基本的なジョイント構造としました。GoProで使われているM5ネジで締め付け、固定できるようにしてあります。出来上がったデータをDMM.makeに送付して3Dプリントしてもらいます。一番価格の安い白色のナイロン素材を使いますが、適度な柔軟性のある優れた材料です。粉末状の素材にレーザー光線を当てて焼き固めて成形しますので、サポート材が不要で、中空形状のものも作れます。部品の配置を工夫して、X/Y/Z方向の投影面積を最小にすれば費用を抑えられます。金型を準備して大量に生産する市販品とは違い、たった一個しか作らない自作マウントですが、工夫次第で市販品に負けない価格を実現できます。

GoProに取り付けた自作ボールジョイント

せっかくの自作ですから、持っているRAMマウントシステムのパーツも活用できるように、ボールの直径を1インチにしました。これで、RAMマウントの各パーツともごちゃ混ぜで使用できます。

RAMマウントと同じ1インチサイズにした自作ボール部分

 ベースマウント部分は取り付け対象物によって形状を変えてやる必要があります。今回はパイプや角柱などにタイラップで固定するようにしました。円柱でも角柱でも、テーパー状の棒でも、タイラップを締め付ければしっかりとセットできます。ベースマウントの固定箇所とカメラの重心間の距離が最短でマウントすることができました。水平の調整やカメラの向きを変えるのも一発でできます。

微妙な傾き・太さのポールでも水平が簡単に出せる自作ボールジョイント

ロックを緩める機構のついたタイラップを使えば、使用した後に簡単に外すことができます。常設する場合は、余った部分を切り落としてしまえばスッキリします。

タイラップを台座の穴に通しておけば取り付け作業中に落とすことはない


市販マウントを改良して理想に近づける


 一万円近い定価のGoPro純正Sportsmanマウントは、本来は釣り竿やライフル銃、アーチェリーなどに固定して前方もしくは後方を狙うためのものです。そのため、上下方向へは簡単に向きを変えられますが、左右への首振りはかなり難しい構造です。強力な万力部でオートバイのグラブバーにしっかりと固定できますが、取り付けたGoProの水平を保ったままカメラの方向を左右に振るのは困難です。もう少し外側に向けて、バイクの写り込みを減らしたいのですが、今までは諦めていました。

バイクのグラブバーに取り付けたGoPro-Sportsmanマウント

GoProを載せる部分を、今回設計したボールジョイントのものに取り替えてやれば水平調整も含めて左右の首振りも自由に行えます。ボールジョイント部分の設計はそのままで、下部の構造を変えてやれば、すぐに出来上がりです。

市販品の一部を自作のボールジョイントに置き換えればさらに理想に近づく

3Dプリントで出来上がったものがこれです。カメラを取り付けるボール部分は別の形状に変えてみました。これならGoProと微妙に寸法の異なる格安中華カメラでも問題なく取り付けられます。一定の方向にしか向きを変えられない元々のカメラ固定部をネジごと自作したもの(白いパーツセット)に交換してしまえば、自在ジョイントを持つ新機能マウントの出来上がりです。これで高価なGoPro純正Sportsmanマウントの出番も増えるに違いありません(^ ^)

カメラ固定部をそっくり置き換えれば新機能マウントの出来上がり


 ボールジョイント受け部の下側にM8やM6用のネジ穴を開けてやれば、簡単にねじ止め式のマウントも出来上がります。ジョイントの基本構造が出来上がってしまえば、あとはアイディア次第で色々なものに取り付けられるマウントに変身してくれます。アクションカメラを利用するシーン毎に理想のマウントは異なってくると思いますが、3Dプリンターで自作してしまえば、それぞれのシーンに合ったものが簡単に入手可能です。良い時代になったものです。



DMM.makeクリエイターズマーケットから入手できます


 自分で使ってみて「これは使える」と判断した3Dプリント作品をクリエイターズマーケットに出品しています。せっかく購入したGoProスポーツマンマウントだが、出番が少ないという不満をお持ちの方はぜひご検討ください。活用範囲が大幅に広がりました。下記リンクにて利用方法や入手方法をご紹介しております。

活用範囲を格段に広げるGoProスポーツマンマウント交換アームを出品

(2017年10月1日追記)



2017年9月4日月曜日

谷津道探検サイクリング 帰路夜間走行になった久しぶりの成田空港


 気づけば9月に入り、いつの間にかすっかり秋の気配です。この時期に出始める地酒のひやおろしが手に入り、あまりの旨さに前夜飲み過ぎてすっかり寝過ごしてしまいました。目的地も決めずに自宅を出たのはちょうど12時になった頃です。南からの追い風に乗って気持ち良く走っていると、気づけば利根川を経由して成田市に入っていました。着陸する飛行機が成田空港を目指して南に進んでいるのが度々見えるところまでやってきました。飛行機の横を全力で走ると、気分はトップガンのトムクルーズです(^ ^)

成田空港に着陸しようとしている飛行機が低空飛行している横を快適に走る

低空飛行している飛行機の真横を快適に走れるこのルートは、これから先の季節にはぴったりのサイクリングルートです。自宅から往復120キロ以上ありますので、お昼から目指す目的地にしてはちょっと遠いのですが、飛行機を見ながら走っていたらこんなところまで来てしまいました。


久しぶりの成田空港は賑わっていた


 もう夏休みは終わっていますが、秋晴れの日曜日のためかたくさんの人が空港見学に来ていました。空港の北側にあるさくらの山公園や南側のひこうきの丘から見る離着陸機は迫力があります。

さくらの山公園は飛行機見学者で溢れていた

この日は強めの南風が吹いていたため、空港の北側から着陸機が入って来ます。さくらの山公園からは迫力ある着陸シーンが見学できました。離陸する飛行機を眺めようと、今度は空港南側のひこうきの丘を目指しました。

南風の時は離陸する飛行機を真下から眺められるひこうきの丘

成田空港に到着したのが午後4時を過ぎていましたので、のんびり飛行機を眺めていたらすでに5時を回っていました。まだ日はあるものの、距離を考えればあと3時間以上も走らなければなりません。見学を終えて帰路を急ぎました。

遅い出発の割に長い距離を走ってしまった

成田空港からの帰路は、国道51号や296号を使えば最短距離を迷わずに走れます。日が落ちて暗くなっても、車のライトや街路灯があるので、小さなライトでもなんとか走ることができますが、こんな交通量の多い幹線道路を延々と走ってもちっとも面白くないばかりか、危険ですらあります。ほとんど車道を使わずに成田空港を往復できる谷津道ルートはすでに開拓済みです。遠回りで時間がかかることは覚悟の上で、今回もこの谷津道ルートを使いました。

国道296号の下を通る安全で快適な谷津の道


日が落ちるとかなりやばい谷津の道


 田んぼの中の農道ですから当然街路灯などありません。民家や農家もポツポツとしかありませんから、自分の灯りだけが頼りです。日が陰る前にできるだけ市街地に近づいておこうと、いつもよりもハイペースで走りました。

徐々に暗くなる谷津の道をハイペースで走る

自分では周りが見えていても、車や歩行者から見つけてもらえなくなっているかもしれません。小型のフロントライトを点滅させ、テールランプを点けて日の沈むのと競争するように田んぼの中の道を急ぎました。いよいよ暗くなり、前照灯を200ルーメンの自転車専用ライトに交換したのは佐倉駅前を過ぎた18時23分です。もうこの時間にはライトが必要なほど暗くなるんですね。

日中GoProを常設している場所に自転車専用ライト(Dosun A1)を取り付け

先日、どんなライトなら日没後のサイクリングロードを安全に走ることができるかテストをしてみました。速度に気をつければ200ルーメンの自転車専用ライトでも十分走れることがわかりましたが、それはルートや路面の状況がよくわかっているサイクリングロードでのことです。知っている道だとはいえ、たまにしか走らない谷津道ルートです。うろ覚えの記憶を頼りに、路上の障害物などに細心の注意を払いながら走るのは結構疲れます。

自分のライトの光しかない谷津の道はかなり不安

スポットライト状の光を放つ懐中電灯に比べれば、自転車専用に設計されたライトですので、走行時に必要な配光特性を持っています。上方への光をカットし、その分横方向に光を拡散してくれますので、路面の状況や進行方向の確認はなんとかなります。問題はカーブです。カーブしている先が全く見えません。速度を落とし、ライトを向けてやらないと、その先がどうなっているのかわかりません。これはかなり怖いです。スピードを出したままカーブを曲がると、どこかに突っ込みそうです。ペースがガクンと落ちました。

自分の背丈よりも高いトウモロコシ畑の中を走る農道、カーブでは先が全く見えない

こんな時にはさらに明るいライトが欲しいのですが、この時は持って行っていませんでした。1200ルーメンを誇る格安中華ライトの配光を調整したものがありますので、これからの季節に長距離を走る際にはこのライトも持っていけば安心です。

 バッテリー切れを心配しながら、街の明るさが期待できる幕張近くに到着したのは午後8時ごろでした。この辺までくれば小さなライトでも安心して走れます。

幕張のオフィス街が見える総武線の跨線橋

1時間半ほどハイモードで自転車専用ライトを使用しましたが、バッテリーはまだ大丈夫なようです。もう少しすると夕方5時頃にはライトが必要になります。そんな時には3〜4時間のバッテリー持続時間が欲しいところです。真冬には交換用バッテリーが必須かもしれません。意識して夜間走行することは滅多にありませんが、日没が早くなるこれからのサイクリングでは、走る場所に応じた明るさと配光の自転車用ライトは必須です。またしばらくライト沼にハマりそうな予感がする今日この頃です。



アイウェアも夜間走行用を用意したい


 日中は色の濃いサングラスレンズのアイウェアをつけて走っています。この時期はトンボなどの結構大きな昆虫が頭突き(目突き?)してくることもあるので、自分の目を守る装備は必須だと思います。ただし、日が陰ると色の濃いサングラスではよく見えなくなってしまいます。その場合は、アイウェアなしで走ることになりますが、明るいライトに惹かれて小さな羽虫がたくさん集まってきます。目に入るため、夜間走行時にもアイウェアがあった方が快適です。そのために、レンズ交換可能なアイウェアを使い、透明レンズを持ち運んでいます。

レンズ交換可能なアイウェアを愛用

もう一つ別のアイウェアを持ち運んでもいいのですが、嵩張りますし、バッグに入れておくと壊してしまいそうです。交換用レンズだけなら、たまにしか使わない夜間走行用に常時持っていても気になりません。

(2017年9月5日追記)



2017年8月31日木曜日

快適動画編集 FCPXで4画面分割が簡単にできるテンプレート二種


 動画編集で複数のシーンを同時に見せるために、画面を分割表示することは良くあります。中でも4つのシーンを一度に見せる4画面分割は、バイクの運転操作を説明する動画などで活躍する編集テクニックです。編集ソフトとして高機能なFinal Cut Pro X(FCPX)を使用するようになって丸二年が経ちました。FCPXで分割画面を作るのは難しくはありません。クリップのサイズを小さくして、その位置をずらしてやれば、好きな数の分割画面が実現できます。


今までの4分割画面の作り方


 分割数が4個の場合、使用するクリップのサイズを先ず50%にします。次に、クリップの縦横サイズそれぞれの四分の一に相当するピクセルだけずらします。HDサイズ(1920 x 1080)のクリップを左上に配置したければ、半分に縮小したクリップをX方向に-480、Y方向に+270ピクセルずらせばOKです。これを残り3個のクリップでも行えば、4分割画面の完成です。

FCPX標準機能で4分割画面を作成する手順

それぞれの分割画面の間に黒い境界線を入れたい場合があります。その時にはそれぞれのクリップをずらす量を2〜4ピクセル余計にしてやれば、画面中央部に十字形の境界線が作成できます。

各クリップの間に境界線を入れる方法

このやり方で長らく4分割画面を使用した作品を作ってきましたが、使用頻度が多いとだんだん面倒に感じてきます。FCPXの後に購入したMotion5にもだいぶ慣れてきましたので、4画面分割を実現するFCPXテンプレート作りに挑戦してみました。


4分割画面をFCPジェネレータテンプレートで実現してみる


 FCPX用のテンプレートをMotion5で作成する際に、タイトル/トランジション/ジェネレータ/エフェクトの四つの種類から選ぶことができます。タイトルとトランジションは今回は関係ありませんので、使えそうなのはジェネレータとエフェクトの二種類が考えられます。ジェネレータは単独で使用して、指定された画像を生成させるものです。使用方法が簡単になりそうなジェネレータでテンプレートを作ってみました。

 使い方はいたって簡単です。タイムラインに「4画面分割」ジェネレータをドラッグします。インスペクタには4つのドロップゾーンが表示されています。上から左上・右上・左下・右下のクリップを指定すればそれで完了です。自動的にサイズ調整され、位置が移動します。

4画面分割ジェネレータの使用方法

さらに、「境界線」チェックボックスにチェックを入れると各画像の間に4ピクセルの隙間が開くようにしました。

画像の境界線表示もワンタッチ

「画像サイズ」のスライダーで4画面を同時に縮小表示することもできます。キーフレームを使ったアニメーションと併用すれば、オープニングで徐々に画面サイズが大きくなる4分割画面も実現できます。

4つの画面を同時にサイズ調整可能

画像を拡大して一部を表示させたい場合には、該当する画像をダブルクリックするとオンスクリーンコントロールのためのハンドルが現れます。外枠をドラッグして拡大・縮小したり、画像をドラッグしてパンしたりできます。主に写真の一部を拡大表示したい時に便利です。

写真の一部を拡大表示したい時に便利なオンスクリーンコントロールが利用可能

使用方法は簡単ですが、少しだけ考慮しなければならないところがあります。一つのジェネレータの中に4つのクリップがセットされていますので、個別に編集することはできません。例えば、一つだけにフィルタを適用するとか、スピードを変える、クリップ間の相対位置を変えるなどの編集には向かない方法になります。


4分割画面をFCPエフェクトテンプレートで実現してみる


 ジェネレータ以外にエフェクトとしても作成してみました。エフェクトはタイムラインに置かれたクリップに適用して使用するものです。4つのクリップをタイムラインに重ねて置いてから、それぞれのクリップにエフェクトを適用し、公開されたパラメータを調整して位置などを指定してやる必要があります。手間はジェネレータに比べるとかなりかかりますが、それぞれのクリップは独立した状態ですので、好きなように編集が可能です。

 使用する4つのクリップをタイムライン上に重ねて置くと、一番上のクリップしか見えません。そこにこのエフェクトを適用してやると、自動的に縦横が半分のサイズになり、左上に表示されます。小さくなりましたので、すぐ下のクリップの4分の3が見えるようになりました。公開されているパラメータの「画面位置」で必要な場所に動かします。

4画面分割エフェクトの使用方法

この作業を4つのクリップ全てに行えば、4分割画面の完成です。「画面位置」以外に画像を拡大・縮小できる「画像サイズ」や表示させる部分を上下左右に移動させる「パンX」・「パンY」、画像に好きな色と幅の外枠をつけることができる「基本枠線」を用意しました。強調したい画面に枠線をつけたり、画像を拡大して必要な部分をズーム表示させたりできます。

 このエフェクトを静止画(デジカメ写真)に適用していて気づきましたが、縦横比がHDサイズ動画ではないクリップを使用する場合注意が必要です。空間適合タイプが初期値の「フィット」のままだと、拡大したりパンしたりしても画面いっぱいに表示されません。タイプを「フィル」に変えてやれば画面全体に表示できるようになります。

写真を使う場合は適合空間タイプを「フィル」にする

 4画面分割用のテンプレートだからと言って、必ず4つのクリップを使わなければならないということはありません。主画面の片隅に副画面を小さく入れるピクチャー・イン・ピクチャー(P in P)の作成にも使えます。エフェクトを適用すれば一発で50%サイズに縮小され、上下左右の位置を指定できる上に、枠線までつけられますから、全てを手動で行うのに比べて時間の節約になります。もっと細かい位置調整やサイズ調整は、FCPXの「変形」で自由に行うことができます。

P in P用に50%サイズの子画面作成が一発でできる4画面分割エフェクト


FCPテンプレート作成手順の代わりにファイルを公開中


 Motion5購入からしばらくは、FCPX用のテンプレートが出来上がると、自分の勉強も兼ねて作成方法をブログ記事にまとめていました。Motion5に慣れてくるに従い、徐々に作るものも複雑になって、文章での記述も長文にならざるを得なくなってしまいました。よくよく考えてみれば、テンプレート作成方法の記事を読んでいただけるのはMotion5のユーザーでしょうから、テンプレートファイルそのものを見ていただいた方が良く分かる筈です。作成したFCPXテンプレートファイルをGoogleドライブで公開中ですので、必要に応じて内容を参照したり、気に入らない部分を改良してお使いください。Motion5を導入していなくても、ダウンロードしたテンプレートを所定のフォルダーに置けば、FCPXから機能を利用することができます。