2017年4月15日土曜日

小江戸川越に復活した日本酒「鏡山」を初体験


 いつもオートバイで千葉県の酒蔵を巡っていますが、今回は用事で出かけた埼玉県で見つけた新しい酒蔵のご紹介です。埼玉県川越市の近くに住んでいたのは30年も前のことになります。当時は買い物には東京へ、観光するには秩父などのもっと郊外へ出かけていて、川越市内を歩きまわることはほとんどありませんでした。記憶にあるのは、厄払いのために神社へお参りしたことくらいです。


蔵造りの街で有名な小江戸川越を初めて歩いてみた


 ここのところ佐原や川越などの小江戸と呼ばれる古い街並みが人気のようです。時々見ている「週刊バイクTV」でも川越の街歩きをやっていました。綺麗に整備された蔵造りの家々が並び、確かに小江戸と呼びたくなる風情を漂わせています。近くに住んでいた30年以上も前の記憶からは想像もつかないくらいの人気が出ているようです。東武東上線の川越駅から歩き始めてみるといきなり驚きました。平日の昼間なのにすごい人出です。蔵造りの建物が並ぶ中心地までは15分ほど商店街を歩きますが、まっすぐ進めないほどの賑わいでした。

蔵造りの建物が並ぶ小江戸川越

外国人観光客が大挙して歩き回っています。川越名物の芋を使った菓子やアイスクリームなどが飛ぶように売れていました。有名な「時の鐘」の櫓前では自撮りをしている観光客で溢れています。

街の中心部にある「時の鐘」


酒蔵を改装した産業観光館で「鏡山」を試飲


 川越で明治8年に創業した鏡山酒造は平成12年に蔵を閉じました。三つあった酒蔵が改装され、現在は土産物店やレストランになっています。

旧鏡山酒造があった場所が産業観光館「小江戸蔵里」になっている

この蔵の一角に「鏡山」の売店がありました。お店の人にお話しを伺うと、地元川越の地酒復活の願いが叶って、平成19年に小江戸鏡山酒造が創業し、「鏡山」銘柄の日本酒が再び出荷されるようになったそうです。

「小江戸蔵里」内にある小江戸鏡山酒造の売店

この売店、有料で試飲ができます。ずらりと並ぶカウンターの「鏡山」の中から、出荷されたばかりの純米おりがらみと特別純米無濾過生原酒雄町を試して見ました。どちらも優しい味わいです。アルコール度数の高い無濾過生原酒も飲みやすく、グイグイいけます。

先ずできたばかりのおりがらみと無濾過生原酒を試飲

続いて、純米吟醸も飲んで見ました。吟醸香はそれほど強くはありませんが、上品な優しい味です。「鏡山」三種を試して見ての感想は『どれも飲みやすい』というものでした。

続いて純米吟醸も一杯


醤油蔵の一角を借りて酒造りをしている小江戸鏡山酒造


 「鏡山」復活のために立ち上がった若い蔵人たちに力を貸したのが同じ川越の松本醤油。現在は醤油蔵の一部と水源を借りて日本酒の製造を行っているとのことです。残念ながら訪問した日は醤油蔵の方は見学可能でしたが、日本酒の方はできませんでした。

松本醤油内にあるカフェ

この平成生まれの新しい酒蔵は、日本酒の製造方法にも強いこだわりを持って始めたようです。酒蔵を紹介している記事には次のように書かれていました。
  • 品質第一の少量仕込
  • 麹は箱麹・蓋麹(少量づつ手作業で行う麹造り)のみ使用
  • 醪(もろみ)は袋による上槽
  • 火入れの際は「瓶火入れ」
  • 純米酒以上の特定名称酒
どうりで売店に並んでいる商品の平均価格が高いわけです。何石の出荷量なのかわかりませんが、近くの飲み屋でもなかなかお目にかかれない銘柄ですので、かなり限定された販売ルートなのでしょう。川越で唯一の酒蔵復活を成し遂げた地元の若い人たちが手作業で造る「鏡山」、ここの酒はどんどん進化していきそうな予感がしました。いつも巡っている千葉の酒も旨いですが、日本にはまだまだ飲んで見たい酒、訪ねて見たい酒蔵がたくさんありそうです。



「鏡山」純米も試してみました


 後日、再び酒蔵を訪れる機会があり「鏡山」の純米酒を手に入れました。武州さけ武蔵という酒米で仕込まれています。肩ラベルには「槽絞り」、「瓶火入」と書かれていて、手間をかけて作られた酒であることがわかります。

「鏡山」純米酒

常温で味わってみました。以前試飲した生原酒や純米吟醸と同様の、すっきりとした飲みやすい味がします。個人的にはもう少し芳醇感も欲しい気もしますが、燗酒が合うかもしれません。次回試してみたいと思います。

(2017年6月28日追記)


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