2017年8月20日日曜日

快適動画編集 バイク動画で役立ちそうなギアポジション表示ジェネレータ


 少しはMotion5にも慣れてきたのですが、最近は何に役立つのかわからないようなテンプレートばかり作成しています。先日作った雨雲レーダー・ジェネレータも、一度使用しただけで、その後は全く出番がありません。もう少し実践的で、役立つテンプレートを作りたいと思ってはいるのですが、またまた超マニアックなものを作ってしまいました。撮りためたバイクの映像を眺めていたら、運転中のシフトペダル操作を撮影した動画が見つかりました。「ここでは何速ギアで走ってたっけ」などと考えながら見ているうちに、動画にギア(シフト)ポジションが表示できるジェネレータ・テンプレートが欲しくなりました。乗っているバイクが旧型のCB1300なので、ギアポジション表示はありません。せめて動画の中くらい、ギアポジションの表示がしたいという思いもあり、早速Motion5でFinal Cut Pro X(FCPX)用のテンプレート作りに取りかかりました。


実際のバイクのインジケータと同じような表示方法


 最近のバイクにはほとんどの場合、液晶でシフトポジション(ギア数)が表示されます。慣れてしまえば不要な機能だとの意見もありますが、今でも高速道路などでは存在しないはずの6速ギアにシフトアップしようとして、無駄にクラッチを切ってしまうことがあります。付いているに越したことはない機能だと思います。実際によく見かける数字での表記とランプの位置でギア数を表す表記方法を選べるようにしました。

二種類のギアポジションインジケータを選べるようにした

本物のバイクでは7セグメントや14セグメントと呼ばれる表示部品が使われているため、独特な文字の形になります。パソコンにこのフォントがなかったので、ネットで探してみたところ、「DSEG」という名称の7セグ・14セグフォントをフリーで公開しているサイトを見つけました。イメージにもぴったりで、ありがたく利用させていただきました。

フリーのフォントをMacにインストール


リグ機能で不透明度をコントロールすれば簡単そう


 表示されている文字を変えたり、背景の色を変えたりするには、重ねた対象物の透明度(不透明度)を必要に応じて変えてやれば良さそうです。一回の操作で複数の対象物やパラメータをまとめて変更するにはMotion5のリグ機能が活用できます。基本的な動作は今まで経験してきた機能で十分実現できそうです。

1. 「位置表記方式」から作成開始


 先ず、入っているギアのバックが点灯する方式から作り始めました。後ほど表示方式を切り替えられるようにするため、最初に最上位のグループを作成して、名前を「位置表示方式」にしておきます。その配下に各ギアを表すグループを配置していきます。「1」グループを作成したら、点灯状態を表すオレンジ色の円を描き、その上にギア数を表す数字を置きます。



次に色を変える仕組みをセットしますが、いくつかの方法が考えられます。ここではオレンジ色の円に「カラー化」フィルタを適用してやります。「白のリマップ」で灰色にして消灯状態を表します。この状態で「ミックス」のスライダーを100%から0%に変化させると、灰色からオレンジ色に変化するのが分かります。この「ミックス」をリグで制御できるようにします。右端にある下向きマークをクリックし、リグに追加>新規リグを作成>新規ポップアップに追加を選ぶと新しいポップアップがリグ配下に出来上がりますので、「ギアポジション」にリネームしておきます。


これで1速のグループが出来上がりました。それ以外はこの1速をコピーしてから文字を変え、「ミックス」をリグに反映させる際に新規ではなく、先ほど作成した「ギアポジション」に追加するようにします。N/2/3/4/5/6のグループをコピーしてから編集して完成させます。今乗っているバイクに6速はありませんが、将来のために6まで用意して、後続の作業で5速・6速を切り替えられるようにします。

2. ニュートラル(N)表示は緑色背景に


 本物のバイクではほとんどがそうなっていますが、ニュートラル(N)だけ緑色にします。ここだけは円を描いたら、色を緑色にしておきます。あとは他のギアと全く同じ手順でOKです。



3. 「ギアポジション」リグの調整


 リグの「ギアポジション」を選択すると、ポップアップリストと操作対象パラメータが確認できます。先ず、リスト項目の名称変更と追加を行って選択肢が1/N/2/3/4/5/6の7つになるようにします。次に、それぞれのギアが選ばれた時に、そのギアの背景となる円の元の色が出るように該当する「ミックス」のスライダーのみを0%にします。他は100%のままです。


全部のギアについてスライダーの調整ができたら、ポップアップのギアを変えてみてください。対応するギアの背景が灰色からオレンジ色または緑色に変わると思います。

4. ギアの5速・6速切り替え


 ギア段数の切り替えの必要がなければここの作業は不要ですが、バイクを乗り換えるかもしれませんので、オプションを用意しておきます。グループ「6」を選び、その「情報」タブの中にある「不透明度」を新規リグの作成でポップアップとして登録します。名前は「ギア段数」にしました。


続いて、5速表示にした時に上部の空間が広くなりすぎるので、全体を上にずらすようにしました。最上位のグループ「位置表記方式」を選び、「情報」タブにある「位置」を先ほど作成した「ギア段数」リグに追加します。


出来上がった「ギア段数」リグを選択し、リスト項目を「5速」と「6速」の二つにします。5速を選んだ時に、6速グループの「不透明度」を0%にして見えなくします。さらに、「位置表記方式」グループの「位置」のYパラメータを大きくして、上部にシフトさせます。


これで5速と6速を切り替えて表示できるようになりました。バイクを最新モデルに乗り換えても安心です(^ ^)

5. 引き続き「数字表記方式」を作成


 ここまでで「位置表記方式」が出来上がりました。続いて「数字表記方式」の作成に入ります。こちらは単に数字の表示が変わるだけですから、今までよりさらに簡単です。ニュートラルの時だけ背景の色を変えるのも同じです。「位置表記方式」と同じレベルに「数字表記方式」のグループを作成します。そのグループ内に、最初にオレンジ色の矩形を描きます。作成時は白い矩形を描いてから「カラー化」フィルタでオレンジに変えていましたが、色を変化させる必要がないので矩形レイヤーだけで大丈夫です。背景となるオレンジ色の矩形レイヤーの上に、1/2/3/4/5/6の文字レイヤーを置いてきます。Nだけは別の方法で準備しますので、ここでは数字のみでOKです。さらに文字の上に縁取りを描画して見易くしました。


6. Nは緑色背景込みのグループとして作成


 先ほど作らなかったニュートラル(N)については、文字のレイヤーではなく、緑色矩形を含むグループとして作成します。オレンジ色矩形をコピーし、色を緑色にすればOKです。その上にNの文字を配置します。


7. 各ギアの「不透明度」を「ギアポジション」リグに追加


 各ギアの「不透明度」を制御して、必要なギア数のみ表示されるようにします。既に「位置表記方式」で作成済みの「ギアポジション」リグに、新たに各ギアの「不透明度」パラメータを追加してやります。


「ギアポジション」リグを開いて、新たに追加になったパラメータの動きをセットします。選ばれたギアの「不透明度」だけが100%となり、他は0%になるようにします。


「ギアポジション」のポップアップだけで、二つの表記方式で使用している14個のパラメータを一度にコントロールできてしまいます。リグならではの活用方法ですね。ここまでで「数字表記方式」についても完成しました。

8. 二つの表記方式を切り替えられるようにする


 最後に二つの表記方式を切り替えて表示できるようにします。「位置表記方式」と「数字表記方式」の二つのグループに分けてありますので、それぞれの不透明度を切り替えれば簡単に実現できます。それぞれの「不透明度」からリグのポップアップ「表記方式」を作成。選択リストとして「位置表記」と「数字表記」を設定し、それぞれの「不透明度」を制御して片側だけが見えるようにします。


9. 作成したリグを公開してFCPXで使えるようにする


 基本動作はここまでで完成ですが、最後に重要な作業が残っています。作成したリグの「表記方式」、「ギア段数」、「ギアポジション」がFCPX側からコントロールできるように公開の指定が必要です。各リグの右端に出てくる小さな下向き矢印をクリックすると、オプションが現れますので、そこから「公開」を選びます。


その後、レイヤーリストで「プロジェクト」を選択すると公開されているパラメータ(リグ)が確認できます。さらにこのパラメータを操作すれば、テンプレートの動作確認ができます。思い通りの動きになっているかどうか、ここで最終確認をします。さらに、ここで指定された各パラメータの値が、FCPX側で利用する際の初期値になりますので、よく利用する値をセットしておきます。最後に適当な名前をつけて保存してやれば全ての作成作業は完了です。お疲れ様でした。出来上がったFCPXテンプレートはGoogleドライブで公開しています。改良していいものができましたら是非教えてください。


FCPXからの利用方法はこんな感じ


 ジェネレータ・テンプレートですので、FCPXからの利用方法はいたって簡単です。必要な場所にドラッグし、必要な長さに調整するだけです。その後、公開されているパラメータを操作してやればOKです。


とは言っても、バイクのギアポジションを教えてくれるデータはどこにもありません。全てマニュアルで指定する必要があります。つまり、動画に写っているバイクのギアが変わる度に、このテンプレートの「ギアポジション」を手動で変更してやる必要があるのです。これがすごい面倒! VIRB Editのゲージオーバーレイなどのように、外部データから自動的にギア表示を変更なんて技は使えません。せめて、動画につけたマーカーを検知してシフトアップ・ダウンを自動判断し、ギア表示を変えるなんて芸当ができればカッコいいのですが、できるのかどうか全くわかりません。まだまだ、Motion5やFCPXについては研鑽が必要なようです。


ギアポジション表示テンプレートを使用した習作動画


 テンプレート作成のきっかけになったバイク動画にギア表示をしてみた習作はこちらです。走行中のギアポジションが画面に表示されているだけですが、自分がどんなシフト操作をしているのか反省教材にはなりそうです。さて、せっかく時間をかけて作成したテンプレートです。活用してどんな作品に仕上げるか、そこが一番の問題ですね。




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