2016年10月5日水曜日

快適バイク生活 大型バイク運転中の心拍数を計測してみた


 いい歳をして乗り始めた大型バイク。五感を働かせて状況を把握しつつ、両手・両足でコントロールしながら、全身でバランスを保って乗る必要があり、ボケ防止にこれほど役立つものはないと感じています。問題は300キロ近い重量があるため、それなりの体力が要求されること。今後いつまで大型バイクを楽しめるのか、そろそろ気になり始めました。


自転車用の心拍計でバイク運転中に測定


 もう一つの趣味である自転車(ロードバイク)で一回100キロ前後、月に500キロほどのサイクリングを楽しんでいますが、こちらも年齢に合った楽しみ方が必要です。そのため心拍数が計測できるサイクルコンピュータ(Edge800J)で運動強度を見ながら走っています。

心拍数が測定・記録できるサイクルコンピュータ(Edge800J)をバイクで使用

センサーをベルトで体に巻きつける必要がありますが、運動中の心拍数が測定・記録可能で、GPSデータと同時に分析するといろいろなことがわかります。

体に装着する心拍センサー

ある時ふと、大型バイクを運転している時の心拍数ってどのくらいなんだろう、と言う疑問が湧きました。普段サイクリング中に使用しているサイクルコンピュータと心拍センサーをバイク乗車中に初めて使用してみました。


低〜軽の運動強度に相当する心拍数


 車庫からバイクを引っ張り出して、千葉市街地を抜け、よく行く長柄ダムや東金の自然の中を走ってきました。その間の心拍数や速度、走行軌跡などのデータはサイクルコンピュータに記録されています。さらにバイクに取り付けたGoProで、どのような場所を走っているかがわかる動画を記録しました。

 心拍数の推移は下のグラフのようになりました。バイクを車庫に出し入れする時(グラフの両端)が一番心拍数が高くなっています。市街地走行時は郊外を走行している時よりも心拍数が高いのがわかります。

バイク運転中の心拍数推移

簡易計算式(207 - 年齢 x 0.7)を使って年齢から最大心拍数を割り出し、そこから五つの心拍ゾーンを求めました。その結果、バイク運転中は運動強度で言えば低〜軽に相当する心拍ゾーン1〜2であることがわかります。


発進時よりも減速・停止時に心拍数が上昇


 短い時間の中で心拍数が20%前後も変動していることがグラフから読み取れます。さらに郊外では変動の頻度が少なく、市街地では頻繁に上下しているようです。どんな場面で心拍数が上下しているのか気になります。

 GPSの軌跡ログを表示、分析するのにGoogle Earthは大変役に立ちます。最近ではGoogle Earth Proが持つツアー動画機能を使って、サイクリングルート紹介の動画作りなども行っていますが、読み込ませるGPX(KML)ファイルに心拍数やケイデンス(ペダル回転数)などのデータが含まれていれば、それらをグラフ表示させることができます。一度に表示できるデータは二つまでのようですが、グラフ上でカーソルを動かせば地図上の対応ポイントがマークされ、そこにデータ数値が表示されます。本当に役に立つ機能です。

Google EarthにGPXデータを読み込ませ、高度プロファイルを表示

心拍数(赤)と速度(青)の二つのデータをグラフ表示してみたところ、速度が低下している時に心拍数が上昇しているように見て取れます。


動画に心拍数を表示したら上昇の局面が判明


 自転車では発進や登坂で急に負荷が増し、それに合わせて心拍数が急上昇することは普通にあります。バイクで通常の運転をしている場合は、体を使うとは言っても手や足をほんの少し動かすだけで、筋肉に負荷がかかるような動作はしません。心拍数の急激な変動の要因は心理的なものではないかと考えました。グラフ表示だけを眺めていても、どんな場面で心拍数が上昇したのかはっきりしません。VIRBEditを使えば動画にサイクルコンピュータのデータを重ねて表示できます。運転中に撮影したGoProの動画に心拍数や速度を重ねてみました。走行場面と表示されている心拍数を何度も眺めると、減速・停止時に心拍数が上昇しているのは間違いないようです。さらに発進後は緩やかに心拍数が下降していることもわかりました。

右折車両とバイクを待って交差点内で停止中

車庫に入るため交差点の中で右折待ちの車と原付バイクに道を塞がれ、交差点内に停止した際に心拍数が上昇。その後原付バイクを追い越した際には、さらに心拍数は上昇しました。

バスが脇の道から出てきた場面

空いている道をゆっくり走っていると、信号のない脇の道からバスが合流してこようとしています。予備的なブレーキをかけ、注意をバスに向けると心拍数は上昇しました。その後、バスの陰に自転車がいたことに気づいた時にはさらに上昇です。

減速・停止時ばかりではなく幹線道路への合流時にも心拍数は上昇

信号待ちからの発進時には心拍数は下降することが多いようですが、幹線道路への合流局面では明らかに心拍数は上昇していました。

バイク運転中最も低い心拍数となったのはこんな場所

緑の多い郊外に入り、信号がほとんどない片側一車線の道を快調に走っている局面では心拍数は最低を記録しました。


敵を知り己を知れば百戦危うからず


 心拍数が表示された動画を見ていると、その時に感じていた危険や緊張が心拍数の上昇という結果に繋がっていることが良くわかります。次のような場面でも心拍数に変化が見られました。
  • 発進時よりも停止時の方が心拍数が高い
  • 右折よりも左折の方が心拍数が高い
  • 停車させてからサイドスタンドを出すまで心拍数が高い状態が続く
単に運転上危険を感じる場面に心拍数が上昇しているだけでなく、自分の苦手意識や大型バイク特有の取り回しの難しさなどを反映しているようです。特にバランスを崩すと支えきれない大型バイクの特徴が表れていると感じます。バランスを崩すのは停止時が多いこと、小さく鋭角に曲がる必要のある左折時はバランスを崩しやすいこと、サイドスタンドがしっかり効いていることを確認しないと惨めな結果になることなどが心理面に影響しているのでしょう。敵(バイク)を知り、己(苦手意識)を知れば百戦危うからずというのは間違いないようです。そのためにもバイク運転中の心拍数変動=緊張度合いを知るのは役立つのではないでしょうか。



心拍数が変化する場面を動画にまとめてみました


 心拍数が変化する場面を確認するためにVIRB Editで合成した素材を編集して、心拍数に大きな変化があった場面をまとめてみました。危険を感じた場所と苦手意識が出てくる場所で心拍数が上昇しています。測定値を動画と共に見ると、どのような局面で心拍数に変化を生じているのか一目瞭然です。


(2016年10月17日追記)


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