2016年10月7日金曜日

谷津道探検サイクリング 最近気になる大雨被害と谷津の開発


 最近は被害を伴う大雨が度々降ります。一つの地域を狙ったように降り続く雨は、土砂崩れを引き起こし、流域に浸水被害をもたらしています。そんな中で大きな被害の報道が繰り返されているのが、老人ホームのような高齢者向けの施設です。夜中に近くの川の堤防が決壊し、逃げる間もなく入居していたご老人が亡くなるという痛ましい報道もありました。


最近は谷津の平坦部にも開発が進んできた


 谷津道探検サイクリングと称して、小川が作った谷津地形を好んで走っています。高台に挟まれた田んぼの中を小川が流れていて、走りやすい農道が続いているサイクリングにはうってつけの地形です。大規模な宅地や交通量の多い車道は、高台の方に作られることが多く、低くなった川や田んぼの部分には自然もたくさん残っています。古くからの農家は田んぼより少し高くなっている高台と農道の間に建っていることがほとんどです。

谷津地形の断面はこんな感じ

こんな場所を探検しながらのサイクリングもすでに7年目です。以前は田んぼや雑木林だった場所が、開発されて新しい施設が建設されている光景を度々見かけるようになりました。高台の開発が一段落し、さらに土地を求めて一段低い谷津の平坦部にまで開発が広がってきたという感じです。


新しい地図記号が増える場所は谷津の小川のそば


 小学生の時に習った地図記号を覚えていますか。国土地理院では時代に合わせて地図記号を見直しているらしく、習ったことのない地図記号が増えています。この記号は平成18年に追加されたものです。さて何を表しているでしょうか?

平成18年に追加された地図記号

これは老人ホームを表しています。正式には『老人福祉法による老人福祉施設のうち、社会福祉法上の第1種社会福祉事業の養護老人ホーム、特別養護老人ホーム及び軽費老人ホーム』だそうですが、家の中に杖のマークがあるのでわかりやすいですね。

 サイクリング前後にネットで電子地図を眺めていますが、この記号を度々目にするようになりました。良く行く谷津道沿いにたくさん建てられていることがわかります。


地図を眺めただけでも、この老人ホームは谷津地形の中の小川のすぐそばに建てられていることがわかります。さらに周りに住宅は少なく、大きな道や住宅地から離れていることも見て取れます。実際に老人ホームが建っている場所の写真はこちら。

地図にある老人ホームが建っている場所の写真

小川は真っ直ぐに改修工事がされているようですが、川があふれた場合に緩衝地帯になりうる空間はありません。この老人ホームの西にはサービス付き高齢者向け住宅が建っていますが、地図記号の老人ホームには当たらないようで、地図上は普通の建物になっています。この高齢者向け住宅の敷地横にも堀のような小川がありました。

サービス付き高齢者向け住宅のすぐ横に堀のような小川

別の場所でも、広い田んぼの中にポツンと老人ホームが建っているのを目にしました。少し離れた場所に小川が流れていますが、周りに民家は見当たりません。車道を挟んでほんの少し高くなった場所に、たくさんの大きな家が建っていました。

田んぼの中に老人ホームと鉄塔しかない場所

すぐ近くを流れる小川の安全性については不明ですが、ひとたび川が氾濫した時のことを考えると不安でなりません。周辺の民家の人たちが危険に気づいた頃には、他人の手を借りないと逃げられない老人ホームの入居者の方がより危険な状況になっているということが起こりそうです。


古くからの農家は小川のそばに家は建てない


 小川と田んぼしかない谷津地形の平坦部には古くから人は住んでいませんでした。田んぼで稲作している農家でさえ、小川から離れた場所にある高台の縁に家を建てています。普段水量が少ない小川でも、ひとたび豪雨に見舞われればたちまち溢れ出して、すぐ横の田んぼを水没させます。高台近くの農家は田んぼが緩衝地帯となって、川の水があふれた事を知ることができ、さらに難を逃れるための時間を確保することができます。

谷津にある古くからの農家は田んぼを隔てて小川とは反対側の高台の縁に家を建てている

このような地形で、小川のすぐ横に家を建てている農家など見たことがありません。何かが建っていたとしても、大抵は農機具置き場などの小屋くらいです。この地形の中で比較的安心して暮らせる場所を知っているんですね。

 次々に建てられる高齢者向け施設ですので、ある程度の広さの土地をできるだけ安く確保する必要があるのでしょう。周りに住宅もないような谷津の平坦部に建てられているのを度々目にします。避難準備情報が出れば真っ先に安全な場所に避難しなければならないのに、住宅街中心から離れていて避難先が遠いなんてことも多そうな場所です。緊急避難をする際にも、職員だけでは人手が足りず、応援をもらおうにも街から遠いなんて心配も起こります。高齢者向け施設ほどもっと街中に建てる必要があると思うのですが、費用的に難しいのでしょうね。


里山の谷津でも埋め立てが進む


 とても宅地や高齢者施設などに利用できそうもないような里山でも、見事な谷津が埋め立てられているのをサイクリング中に見つけました。近くの工業団地の造成で掘り起こされた土砂を運んで、谷津に埋めているようです。

両側に見事な森が広がる谷津を埋め立てている

Google Earthで同じ場所の衛星写真を見ると、まだ埋め立て工事が始まっていない時のようで、本当に見事な谷津地形が広がっています。規模は小さいですが、探検すれば色々な動植物を発見できそうな谷津です。

Google Earthの写真は工事前の見事な谷津地形、探検してみたかった

畑や田んぼ、新しい宅地の間に切れ切れに残された小さな谷津。一つ一つに自然の植物と動物の生態系が出来上がっています。そこに地元の人しか通らないような道があれば、谷津道探検サイクリングが楽しめます。できるだけ多くの谷津道を探検して、一つ一つを目に焼き付けておきたいと思います。


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