2017年11月28日火曜日

ヤフオク初心者が出品を体験して感じたこと


 趣味の電子工作やアマチュア無線で使用する測定器を手に入れるために、ヤフオクで入札を初体験したのは10年も前のことです。オシロスコープやシグナルジェネレータなどの機器はとても高価で、新品の購入など考えられませんが、ヤフオクに出品されている中古品ならなんとか手が届きそうです。目星をつけた品物の入札状況を見ながら、予算を超えないように入札を繰り返して、落札できたときはゲームに勝利したときのような快感を覚えましたσ(^_^;) そんなわずかな入札の経験しかないヤフオク初心者が、ここ数ヶ月間出品を繰り返して感じたことをまとめてみました。


アマチュア無線機やオーディオ機器はいい値段で売れる


 十数年前に一戸建てに引っ越してから、屋根の上に大きなアンテナが乗せられるようになり、それまで我慢していた無線の虫がうずき始めました。家の中で使用する固定用無線機から、山登りにも持っていける移動用の無線機や車に取り付けるモービル機まで、少し余裕ができる度に手に入れていました。たまりにたまった無線機器が家の中にあふれてしまい、家族からは大ひんしゅくです。夢中になってから十数年、当初の熱は徐々に冷め、最近では使用する機会もだいぶ減ってしまいました。ただ置いてあるという状況の無線機も目立ち始めたため、ヤフオクに出品してみることにしました。アマチュア無線機器以外にも、昔から買い集めたオーディオ機器もかなりの台数になっていましたので、同時に出品。次の表は無事売れたものの一部を抜粋したものです。

10年前後使用したものも結構な値段で売れるヤフオク(一部の購入時価格は概算)

購入時の価格と落札価格を比べてみると、10年全後も使用した機器でも購入時の6〜7割くらいで売れています。中には購入時の価格とほぼ同じものや、超えているものまで。この結果には驚くばかりでした。

・メーカーが廃業し入手困難なものに高値がついた


 ちょうど10年使用したアンテナアナライザー(BR-510D)は購入時の価格に対して落札価格は98%の値がつきました。ほぼ10年間タダで使用したことになります(^ ^) メーカーは数年前に廃業したクラニシで、アマチュア無線家には測定器の他にアンテナチューナーなどでお馴染みでした。たまにしか使用していませんでしたので、外観はほぼ新品同様でしたが、それでも廃業したメーカーの10年も前の機械です。故障しても修理も期待できません。そんなものが購入時とほぼ同額で売れるのですから、ヤフオク恐るべしです。

廃業したクラニシのアンテナアナライザー、購入時とほぼ同額で売れた

 同様に廃業してしまった東京ハイパワー製のV/Uリニアアンプ(HL-724D)も高値がつきました。こちらは9年前に中古で購入したものです。購入先はオークションではなく、雑誌の売ります買います欄で見つけたもので、指値でした。外観も綺麗で程度も良く、ちゃんと機能していましたが、ほとんど利用していませんでしたので、こちらもヤフオクに出品すると、なんと購入時よりも高い値段に。入札数も他の出品物よりかなり多く、オークション締め切り間際に一気に値が上がっていくのには驚きました。アマチュア無線人口が減り続ける中で、売り上げの伸びが期待できないために廃業に追い込まれたのだと思いますが、代わりになる製品が少なく、確実にニーズはあるようです。もっと古くてボロボロの機械も結構な値段で売買されています。

こちらも廃業してしまった東京ハイパワーのリニアアンプ

 ヤフオクへの出品にあたり、アマチュア無線機やオーディオ機器の買取業者への売却も検討してみましたが、売却額ではヤフオクにはかなわないようです。買取業者がヤフオクに出品して転売することもあるようなので、業者の利潤を考えれば当たり前かもしれません。Accuphaseの高級FMチューナー(T-1100)を売却するときに、業者の買い取り価格を調べたら15万円が上限でしたが、ヤフオクではそれより8万円も高額で落札されました。オークション開催の時間と手間がかかるのは事実ですが、できるだけ高値で売却したいのならやはりヤフオクが有利ですね。

・捨てるつもりだった壊れた機器もいい値段がついた


 今まで壊れて修理もできなくなったような古い電気製品は捨てるしかないと思っていました。オーディオ機器で言えば、カセットデッキやDATデッキ、CDプレイヤー、レーザーディスクなど数え切れない壊れた製品を捨ててきました。そのうち直してみたいと思い、しばらくは取っておくのですが、スペースがなくなって結局捨てるということの繰り返しです。ベーリンガーのサンプリングレートコンバーター(SRC2496)も2012年に購入後、一年ちょっとで故障してしまった機器です。DACとしてもなかなかの音を出すことで知られ、デジタルオーディオのハブとして重宝していた機械です。保証期間が切れた途端に故障してしまいましたので、仕方なくもう一台購入して使っています。壊れた方は、いずれ分解して部品を取ろうと思って物置にずっとしまっていましたが、物置もいっぱいになってしまったためヤフオクに出品してみたものです。

ジャンクとして10円スタートのSRC2496

ジャンク品のため、クレームや返品はなしという条件での出品です。捨てるよりはいいだろうというくらいの出品ですので、オークション開始価格は10円にしました。終わってみるとなんと5千円以上の値がつきました。値上げされて、現在はAmazonでも3万円以上の新品価格になっていますが、5年前に購入した時の値段は1万3千円程度でした。捨てるつもりだったものが5千円以上で売れたのですから、やっぱりヤフオク恐るべしですね。


ヤフオクで少しでも高値をつけてもらうには


 今回の一連の出品では、ほとんどのものが想定以上の高値で落札されました。出品初心者ですので、事前にある程度ヤフオク出品のコツを勉強しました。例えば、上のSRC2496の画面で黄色で囲んである、「開始時の価格」、「終了日時」、「自動延長」などの設定は先人たちのアドバイスに従ったものです。

・入札が盛り上がるように設定


 「開始時の価格」は当然安いほうが気楽に入札してもらえます。入札者が多いほど、ヤフオク画面では目立ちますので、開始価格を低くして初めに多くの入札者を獲得してしまうという戦略です。ただし、あまりニーズのないものだと、その後に入札数が伸びることもなく、めちゃくちゃ安いままオークション終了なんてことにもなりかねません。同じような出品物の値段と入札状況を参考にして、人気がなさそうなものは初めから売れても後悔しない開始価格にしておく必要があります。入札者には知らされない「最低落札価格」を設定しておけば、想定外の安値で落札されることは防げますが、オークションの楽しみを奪ってしまうやり方だと思いますので、この方法は使っていません。

 「終了日時」は入札者が心置き無く最後の競りに参加できる日時を指定します。推奨されているのは日曜日の夜です。風呂に入って寝る前にじっくりと入札を楽しめる時間帯が高値を狙えるようです。

 「自動延長」はオークション終了間際の5分間に落札額が更新されると、自動的に5分間オークションが延長される機能です。これで決まりだと思って時間ギリギリに最高額を入れている入札者からしてみれば迷惑な機能なんですが、さらに5分間の時間ができるためより高値が狙えます。自動延長が何度も起こるような時には、アレヨアレヨという間に落札額が上がっていきます。見ていると興奮してしまいますね。

・良い評価と明確な商品説明があれば安心してもらえる


 ヤフオクに出品されているほとんどの中古品は「返品不可」で取引されています。限られた写真と説明文だけを頼りに入札に参加してもらうわけですから、出品者を信頼してもらった上に、商品の程度を十分理解してもらう必要があります。取引成立まではヤフーIDしかわかりませんから、お互いが信頼できるかどうかは「評価一覧」を見るしかありません。下の評価一覧は私のものですが、10年くらい前の落札4件と最近の出品26件全てで非常に良いをいただけました(^ ^)/ コメントの中には「ピカイチ」とか「信頼できる」、「丁寧な梱包」などの人となりを表す表現も入っていますので、件数情報だけでなくコメントの中身をのぞいてみることも重要です。

取引相手を見極める唯一の情報源が評価一覧

落札者との意思疎通トラブルや、商品の配送中の事故などが一度もなかった幸運もありますが、以下のポリシーに従ってヤフオクを利用していることが功を奏していると考えています。
  • 自分で使用していたものだけを出品する
  • 自分が受け取ったとしても安心できる梱包を心がける
商品の説明文を用意するにあたって、自分で使用していたものならば自分の言葉で率直に説明できます。問題ないところも、不具合のある部分についても、自分で使って感じたままを伝えればいいわけです。梱包についても、自分が今まで使用していた大切なものを自分宛に送るつもりで梱包しています。出っ張っているつまみの部分をラップの芯を切って保護するなどの手間を惜しまない姿勢が、相手の信頼を得る鍵だと考えています。

 評価一覧で相手を吟味する際に、注目すべきは「非常に悪い」の内容です。「非常に悪い」の件数が多い場合は完全に要注意参加者だと思いますが、件数が少なくてもその内容に悪質なものがあれば取引は避けたほうが無難です。多少の不安があるが、どうしてもその商品が欲しいような場合は、出品者に質問をしてその回答文から人となりを推し量るという手段もあります。


ヤフオクでこんなこともあった


 まだ30件ほどの取引しかありませんが、ヤフオクで「え〜っ」と思うようなことも経験しました。愛着のある自分のものが不要になったために売りに出している出品者や、自分が使うつもりで参加している入札者ばかりではないということを痛感した出来事です。

・取引成立後にも個人情報の開示を避ける相手


 オークション期間中は出品者も入札者もヤフーIDと評価以外はわからず、個人情報は開示されません。落札され取引が開始されると、先ずは出品者の個人情報が落札者に知らされます。その後、落札者が自分の個人情報とお届け先を知らせる手順になっています。お互いの信頼があって成り立つ取引ですから当然のことだと思うのですが、カタカナの氏名以外の情報を全く開示する気のない落札者に出会いました。

落札者から知らされた情報を見て驚いた

お届け先がヤマト運輸のセンター止めになっています。これはよくあるケースで、問題はなさそうですが、氏名はカタカナで表記されています。調べて見ると電話番号はセンター止めになっているヤマト運輸の番号でした。つまり、落札者はカタカナの氏名情報だけでセンターから商品を受け取ることになるんですね。落札額が20万円近い高額なものでしたので、かなり心配になりました。さらに、落札者はお届け情報の人とは別人です。どうも芸能人の名前をもじったような印象の氏名が書かれていました。電話番号欄は数字のゼロで埋められています。こうなると住所もあてになりません。落札者から知らされた情報の中で、正しいのはカタカナ表記の氏名だけのような気がしてきました。まあ、ちゃんと入金されたのを確認して、こちらは指定の場所に商品を送りましたが、どうにも気持ちの悪い取引となりました。その後しばらくして、同じ商品が今回の落札額よりも数万円高い値段で出品されているのを見た時にはひっくり返るほど驚きました。しかも、私が出品した時の写真をそのまま流用し、説明文もほとんどそのままです。「使うつもりで落札したが、不要になった」との文言が追加されていましたが、この取引だけはヤフオク初心者にとって釈然としないものが残りました。

・メッセージのやりとりが不要な「取引ナビ」の功罪


 オークション終了後のやりとりは手順が決まっていて、「取引ナビ」によりボタン一つで相手とやりとりできるようになっています。「取引情報」→「送料連絡」→「お支払い」→「発送連絡」→「受取連絡」→「相手の評価」と順を追って進めていけば一連の取引は完結します。その間、一度も自分の言葉で相手とやりとりする必要はありません。相手の評価ですら定型文から選択すればいいようになっています。これが良いか悪いかは微妙なところです。海外で転売する目的でヤフオクに参加している外国人も多いようで、日本語があまり分からなくても「取引ナビ」のおかげで取引ができます。商品の状態説明や取引時の注意事項が理解できず、トラブルになっている事例も多いようです。

「取引ナビ」を使えばメッセージ送信なしでも取引は完了する

それでなくても相手の顔が見えないネット上の取引です。任意のメッセージが送れる「取引メッセージ」を使って、落札のお礼や入金の確認、発送完了の連絡などを折々にするようにしています。無駄なことかもしれませんが、単にシステムが自動で送る各ステップの通知だけではないメッセージを送るよう心がけました。時々、この「取引メッセージ」でチャットのような状態になることもありますが、それもまた良しですね(^ ^)

・ヤフオクの魅力を半減する大量の転売品


 自分が出品する際に、他の人の出品を参考に開始価格を決めることはよくあります。他の人の出品を色々検索していたら、一人の出品者が三千件近い商品を出品しているのを見つけました。三千件は一つのIDで出品できる上限数です。出品されているものは種々雑多なものでしたが、どれも少ない写真と最低限の説明文しかありません。とても自分で一件一件準備して出品したものとは思えない画一的な内容です。ヤフオクでの出品価格の妥当性を調べるためにAmazonで新品の値段をよく調べています。この大量に出品されているものの価格をAmazonで調べてみると、なんとAmazonよりも高値が付けられていました。しかも、ヤフオクで使われている写真がAmazonのものと同じではないですか。調べてみると、ヤフオクとAmazonを利用した転売ビジネスとして一般的になっているそうです。

「こんなのあり」というヤフオク転売ビジネスがまかり通っている

Amazonで手に入る商品の写真や説明文を流用してヤフオクに出品。その際の価格は、ヤフオクの手数料も必要なためAmazonよりも高額、しかもAmazonでは無料な送料も取っています。何も知らない入札者がこの商品を落札すると、出品者はその情報を元にAmazonに発注。Amazonからギフト扱いで送料無料で商品が届けられるというカラクリです。ギフト扱いで届けられた商品には価格が記載されていないため、落札者は何も知らないまま。ただ、「ヤフオクで手に入れたのになんでAmazonから届くの?」という疑問だけが残ります。最初からAmazonで購入すれば、送料も不要で値段ももっと安く買えたはずです。まるで詐欺のようなビジネスですが、法律に触れることはないようで、探してみると出るわ出るわ。Amazonでも手に入るたくさんの商品が、より高額な値段でヤフオクに大量に出品されています。カラクリを知っている入札者から見れば、これはゴミ以外の何物でもありません。ヤフオクの魅力を落とすだけのような気がしてなりませんが、手数料が入るならヤフー側はそれでいいのかもしれませんねσ(^_^;)



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