春の新酒の時期が過ぎ、いよいよ夏に向けて各蔵が準備を進めている頃です。早くも夏向けの純米吟醸酒が出荷されたと聞き、佐原にある東勲酒造を訪問しました。小江戸と呼ばれる風情ある街並みの中、旧街道沿いにあり場所はすぐにわかります。街中は一方通行の細い道が入り組んでいますが、道路標識には「二輪を除く」とありバイクは好きな方向に進めます。やっぱり酒蔵巡りはバイクが一番です。
東勲酒造の入り口、奥に酒蔵が続いています |
前回東勲酒造を訪れたのは昨年の7月ですので、酒造りは一段落している頃でした。熟成された純米吟醸酒を買って帰りましたが、今回は夏向きの無濾過生原酒純米吟醸「夢童」です。人気の商品らしく、500本限定の酒を売り切れ前に手に入れるべく酒蔵を直接訪問してみました。
無濾過生原酒純米吟醸「夢童」 |
千葉県酒造組合のホームページでは前日に出荷開始となっていましたが、酒蔵では陳列されていません。「夢童」が欲しいと告げると奥から持ってきてくれましたが、レジに商品登録されていなかったようで、会計がなかなか終わりませんでした。出荷された直後の酒を蔵に直接買いに来る客は珍しいのかもしれません。
利根川の河川敷で地盤の軟弱な佐原は五年前の東日本大震災でかなりの被害があった場所です。古い街並みも至る所で倒壊しましたが、地元の力と外からの多くの応援でいち早く復興を果たしました。地震で落下した瓦に応援のメッセージが書かれたものが東勲酒造の敷地内にたくさん飾られていました。今では何事もなかったかのように美味しい酒を作っている酒蔵ですが、被災直後は大変な状況だったようです。
東日本大震災で落ちた瓦に書かれた応援のメッセージ |
房総の酒蔵を巡っていると自然に千葉県の地形が頭に入ってきます。水の豊富な房総半島西側(東京湾側)の高台と、平地が多く水が乏しい南東側(太平洋側)では環境が大きく異なります。どの時代の為政者も腐心した治水・利水事業ですが、関東平野はとりわけ大きな事業が行われてきました。自転車やバイクで長柄ダム、東金ダムを訪れて知った房総導水路事業は最も新しい大規模水利事業です。農業・工業・生活用水が不足している九十九里平野や大多喜地区へ利根川から100㎞もの距離を隔てて水を送る大事業。利根川から標高差約100メートルの場所へ複数回の揚水ポンプを経て水を送り続けています。治水・利水事業の壮大さに何となくロマンを感じていました。
独立行政法人水資源機構房総導水路事業のホームページから引用 |
長柄ダムや東金ダムは度々訪れているのですが、利根川から水を引いている両総用水第一揚水機場はどこにあるのか知りませんでした。今回東勲酒造を訪れる途中で見つけた水門がその場所でした。
佐原の水源橋近くにある両総第一揚水機場 |
ここで汲み上げられた利根川の水が遠く南房総まで送られているとはすごいことです。いつの時代も為政者が行う事業の壮大さを感じます。
この用水のおかげで千葉の米作りも発展したようです、地酒も恩恵を受けてますね |
利根川沿いを走っていたら広大な菜の花畑を見つけました。盛りは過ぎている菜の花ですが、種を取るためにそのままにしているようです。季節が一、二ヶ月戻ったような景色ですが、大型連休前に見事な菜の花畑を見つけて何だか得したような気持ちになりました。
種を取るために枯れるまでそのままの菜の花畑の前で記念写真 |
種が取れる頃には本当の梅雨に入るんでしょうね。それまでバイクで色々なところを走っておかなくちゃ。
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