年末から春にかけては新酒の季節で、地元千葉県の酒蔵からも続々としぼりたての新酒が出荷されています。バイクで房総の酒蔵を巡り新酒を買い求めていますが、酒粕をおまけで頂戴することもしばしばあります。以前は、酒粕といえば甘酒くらいしか使い方が思いつかず、せっかくいただいても余らせてしまうこともありました。新酒を搾ったばかりの新鮮な酒粕ですので、利用の仕方を色々蔵の人にお聞きしながら試して見たら意外に簡単で美味しい酒の肴が作れました。
酒と同じで酒粕にも蔵元の個性がいっぱい詰まってる
そもそも各酒蔵の個性と情熱がいっぱい詰まった醪(もろみ)を搾った後に残る酒粕です。酒と同じように蔵の個性が詰まっています。純米酒や吟醸酒など酒の種類毎に酒粕も区別されている場合がほとんどです。
蔵元の個性が詰まった酒粕 |
さらに搾りの程度や搾り方により、含まれる水分量や形状も異なっています。板状のものもあれば塊状のものもあり、利用方法も分かれます。
形や水分量などが異なるいろいろな酒粕がある |
搾りかすとはいえアルコール分も結構含まれていて、そのまま使えば日本酒の香りをたっぷりと味わえます。各酒蔵の色々な酒粕を使って、そこの酒をより楽しめるような肴を作れれば、これからの酒蔵巡りももっと面白くなりそうです。
酒粕をそのままオーブンで焼くだけでもいける
『焼いて醤油をつけただけでも旨いよ』とお聞きして試して見ました。板状の酒粕を剥がして、一枚をオーブンで表面に軽く焼き色がつくまで焼いただけです。わさび醤油をつけて食べて見たら、なかなかの味です。何しろ超簡単であっという間に一品完成です。これを肴にどぶろくを飲んでいると、本当の日本酒通になったような気分。
焼いた酒粕をわさび醤油で食す |
この焼き酒粕を作る際に注意しなければならないのは、水分の多い酒粕を使うと焼いている時に崩れてくることです。オーブンの金網から落ちてしまうこともありますので、アルミホイルなどを敷いておかないと後の掃除が大変です。水分が少なめの板状の酒粕を使うのがコツのようです。
オーブンで酒粕を焼くだけ |
ピザ生地代わりに板状酒粕を使ってみる
オーブンで焼いて食べられるのならピザ生地の代わりにもなると思い、とろけるチーズと適当なトッピングを選んで焼いてみました。手元に塩昆布があったので、チーズの上にパラパラと蒔いただけ。熱々の酒粕の上に溶けたチーズ、塩昆布から滲み出た旨味と塩分が酒にぴったりです。
酒粕をピザ生地にして塩昆布をトッピング |
トッピングが塩昆布だけというのも寂しいので、次はベーコンを加えてみました。ベーコンから出てきた油が加わり、さらにピザらしく完成。
トッピングにベーコンを追加、油が出て旨そう |
豆腐やセロリの酒粕漬けにも挑戦
オーブンで焼くだけの酒粕料理は食べたい時にすぐにできるのでお手軽ですが、酒粕の食べ方はまだまだありました。ちょっと時間がかかりますが、酒粕漬けにも挑戦してみました。先ずやってみたのがセロリの酒粕浅漬けです。小さく切ったセロリを塩もみしてから、酒で溶いた酒粕に数時間漬け込むだけです。日本酒を飲むときの箸休めに丁度良い味でした。
数時間で食べられるセロリの酒粕漬け |
数日漬け込む必要がある豆腐の酒粕漬けにも挑戦。よく水を切った絹ごし豆腐を酒で溶いた酒粕で5日程度漬け込みます。程よく水分の抜けた頃に酒粕を取って豆腐を食べてみると、いつもの豆腐とはまるで違う味わいに。ちょっとチーズっぽい食感になっていました。
豆腐の酒粕漬け |
酒粕で作るミルク甘酒が旨い
水に溶いた酒粕に砂糖と少量のおろし生姜、塩を加えるとよくある酒粕の甘酒になりますが、水の代わりに牛乳を使ってみると濃厚でさらに美味しいミルク甘酒ができます。まずカップに酒粕をちぎって入れ、水か酒を少量加えて電子レンジで30秒ほど温めます。
酒粕適量をカップに入れて水(酒)を加え温める |
温まったらよくかき混ぜて酒粕をペースト状にし、そこに牛乳と砂糖をお好みの量加えてよく混ぜます。お好みで生姜汁や塩を入れ味を調整。最後に電子レンジで温めれば完成です。
濃厚な味に仕上がる酒粕ミルク甘酒 |
寒い日には何杯でも行けてしまう味です。これなら簡単で、酒粕がいくらあっても使いきれる楽しみ方です。
トマトペーストの代わりに酒粕を使ったピザトーストも旨い
ピザ生地代わりに板状の酒粕をそのまま使う方法をご紹介しましたが、酒粕に水分が多い場合は向きません。そんな時には食パンの上にペースト状にした酒粕を塗って、ピザトーストを作ってみましょう。ミルク甘酒を作るときの最初の手順で、酒粕をペースト状にします。作りすぎても大丈夫。残ったら牛乳を入れて甘酒にしてしまえばピザトーストとミルク甘酒がいっぺんに揃います。
食パンに好みの量の酒粕ペーストを塗る |
その上にハムやベーコン、玉ねぎなど好きなトッピングをしてからとろけるチーズをのせ、オーブンで4〜5分焼くだけです。酒粕の持つ濃厚な味とチーズの塩分だけで、しっかりと味がついています。
この時のトッピングはサラミと塩昆布、あるもの何でもOK |
新鮮な酒粕の旨味はトマトペーストにも負けない味がします。普段日本酒を飲む時にピザトーストを食べることは滅多にありませんが、この酒粕ペーストを使ったピザトーストなら何枚でも行けそうです。
普段滅多に料理などしない酒好き親父が、思い立った時にできる手軽な酒粕レシピを試してみた記録です。粕漬け以外は酒を燗している間に完成もしくは下準備ができるものばかりですので、晩酌しようと思った時にサッサッと作って楽しめます。
近所のスーパーで通年売っている酒粕と違い、せっかく酒蔵まで出向いて手に入れた出来立ての酒粕です。一緒に買ってきた日本酒をより美味しく楽しめるような肴作りに使いこなしたいものです。その蔵の酒粕で作った肴で楽しむその蔵のしぼりたて新酒。日本人に生まれて良かったと感じる瞬間です。
0 件のコメント:
コメントを投稿