アウトレットというと流通大手が有名どころの衣料品や宝飾品、スポーツ用品ブランドを集めて、在庫の豊富な商品を割安で販売するという商業上の形態を思い起こします。酒の格安販売店もアウトレットと称して特売品を販売しているようですが、日本酒の酒蔵自らがアウトレットセールスをやっているのは知りませんでした。
房総の酒蔵の中でも大手に位置する飯沼本家の直営店酒々井まがり屋を訪れたところ、新酒の時期だけ楽しめる純米生原酒直汲み「甲子」をアウトレットセールしていました。通常価格に比べて一升瓶で千円近くも安い生原酒です。これは買うしかありません。
純米生原酒直汲み「甲子」 |
醪(もろみ)を絞って火入れも加水も行わずにすぐに瓶詰めされる直汲みは新酒の時期だけ楽しめる日本酒です。冷蔵保存が必要で、新鮮さが命ですので瓶詰めされてからそれほど長い間販売されるものではありません。早い時期に売り切るためのアウトレットセールだと思いますが、作りすぎたのでしょうか。キャップに記された製造日(瓶詰め日)も今年の4月になっていますので、一般に流通している日本酒としてみたらできたての部類に入ります。
この酒蔵は佐倉の印旛沼からも近く、自転車やバイクで度々訪れている場所です。特に用事がなくても通りがかりに立ち寄れるので、覗いてみて珍しい酒が出ていたら買って帰るという楽しみ方ができます。
食事もでき、ギャラリーも併設している酒々井まがり屋 |
曲り家という建築様式の古民家を新潟から移築した店舗で、内部も趣があります。週末にはバスで観光客も訪れる地域の観光スポットになっています。
入り口に掲げられている曲り家の説明 |
毎年11月に開かれる酒々井新酒祭りでは広い駐車場が人で埋まるほどの賑わいを見せています。消防音楽隊の生演奏を聴きながら、できたての新酒を昼間から味わえる素晴らしいイベントでした。軒先に吊るされた真新しい杉玉(酒林)が新酒の搾り始めを知らせていました。
新酒が出来たことを知らせる青々とした杉玉(酒林)、昨年11月に撮影 |
夏向きの吟醸酒が出回るようになると、しぼりたて生原酒の季節もそろそろ終わりです。軒先の杉玉も日本酒の熟成具合を表すかのように茶色に変わっていました。
いい具合に茶色くなった杉玉 |
この時期に直汲みの生原酒を格安価格で入手できるなんてラッキーでした。トロリとしていながらすっきりとした味わいが楽しめる純米生原酒。いや〜実に旨い。これもぶらりと立ち寄れる酒蔵があるおかげです。房総酒蔵めぐり、やめられません。
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