2016年8月17日水曜日

快適自転車生活 ロードバイクに乗り始めてから克服してきた体の痛み


 いい歳をして乗り始めたロードバイク。かれこれ7年が経過し、ほとんどの人と同様に体の各所の痛みを経験してきました。末長くサイクリングを楽しむために、どうしても乗り越えなければならないハードルをどのように克服してきたのか、自分の経験をまとめてみました。サイクリングやスポーツ医学の専門家ではありませんので、自分の経験から学んだことしか書けませんが、同じような境遇の方々に少しでも参考になれば幸いです。


ロードバイクに乗り始めて痛む場所は皆同じ


 健康志向の高まりで、サイクリングにもブームが訪れています。週末のサイクリングロードには老若男女が自慢のロードバイクで走りを楽しんでいますが、どんなサイクリストも必ず経験する体の痛みというものがあるようです。ネット上にもロードバイク初心者の体の痛みに関する質問や投稿が溢れかえっています。ロードバイクに乗り始めて1〜2年で感じた自分の痛みの経験は、他の多くのサイクリストとそれほど異なっていないということがわかりました。

 長時間走り続けるロードバイクは経験の度合いや走り方に応じた適正サイズの自転車が必要です。フレームサイズやサドル・ハンドルの形状と位置、クランクの長さ、前後のギア比等々の個人向けフィッティングが自転車生活の快適さを左右するといっても過言ではありません。信頼できるショップに相談して、自分に合った自転車を選ぶことが基本中の基本です。

ロードバイクに乗り始めて痛みを感じた場所

経験を積んで乗り方・走り方が変われば、痛む場所も徐々に変わってきます。自分の経験では次のような順序で体に痛みが現れてきました。
  1. お尻(サドル部分)
  2. 背中・首・腕
  3. 手のひら
  4. つま先
細くて固いサドルに座っているとお尻がすぐに痛くなります。さらに、体を前傾させて上体を折り曲げた姿勢が続くため、腰や背中・首が痛み始め、上半身の荷重を支えるために腕にも痛みが出てきます。徐々に走る距離と時間が伸びてくると、上半身の荷重を支えるためにハンドルを押さえている手のひらにも痛みを感じたり、一日数万回のペダリングの結果として膝にも痛みが出始めます。冬場にはつま先の血行不良が原因となって、足先の痛みや冷えに苦しんできました。ロードバイクに乗り始めてから徐々に現れる、これらの体の痛みにどのように対処してきたのかを自分の経験からまとめてみました。


ロードバイクの通過儀礼「お尻の痛み」


 今では一日8時間以上自転車に乗っていても、お尻が痛くて我慢できないということは無くなりましたが、乗り始めの一年目は毎回お尻の痛みに耐えながら走っていました。ママチャリのサドルは幅が広くて柔らかく、スプリングで路面からの振動も吸収してくれます。体重をしっかりと受け止めるための構造になっているのは一目瞭然です。ロードバイクに乗り始めた頃は、ママチャリと同じように体重をサドルにかけていたようです。細くて固く、振動の吸収機構が無いロードバイクのサドルに、ママチャリと同じように腰掛けていてはすぐにお尻が痛くなります。慣れてきた今だからこそ言えることですが、大きな前傾姿勢を保って走るロードバイクの場合、体重はサドルのみで支えるのではなく、ペダルとハンドルに分散します。特に、走っている時に一番大きな力がかかっているペダルへ体重を分散できればお尻や腕への負担が減ります。

体重を腰・脚・腕で分散して支える

それぞれの比率は走り方によっても変わりますが、慣れてくれば体重のほとんどをサドルにかけるという乗り方はしなくなります。そうなれば自然にお尻の痛みは無くなっていきますが、それまでが大変。お尻が痛くて我慢できない時には次のような対処を行いました。

サドルの位置や傾きの調整、サドルの交換


 先ず、お尻や内腿の付け根が痛むような場合は、サドルの位置や幅が合っていないことが考えられます。購入時にショップで合わせてもらったセッティングも、多少の調整は必要なようです。サドルの高さ、前後位置や傾きをmm単位で調整しながら最適セッティングを探りました。登り坂と平地では最適サドル位置も異なります。そのために座る位置をずらせる構造になっていますので、平地ではこの辺、登り坂ではこの辺が合っていると目星をつけてから位置の調整を行いました。

サドルの位置や傾きが重要(柔らかさは二の次だと思う)

自分の経験上、お尻の痛みを和らげるためにサドルを交換してもあまり効果はないように感じました。痛みの原因は座り方や荷重のかけ方によるところが大きく、多少幅広で柔らかいサドルに変えても時間の経過とともに結局痛みが現れるという経験をしています。最終的に体幹が鍛えられ、荷重の分散が無意識にできるようになると、今までのお尻の痛みは嘘のように消えてしまいました。

パッド付きレーパンの着用


 始めからパッド付きのレーシングパンツをずっと着用していますので、パッドなしで走ったことはありません。何のクッションもないロードバイクに数時間も乗り続けるには、パッド付きのレーパンは必須だと信じています。内股の擦れ防止のためにパッドに専用のクリームを塗って着用する人もいますが、毎回アンダーを身につけて乗るためにクリームは一度も使用したことがありません。

レーパンのパッド(裏返しの写真)

最近ではゲル状のシリコンを入れたパッドなどもあり、お尻に対して優しいパンツが増えているようです。いろいろなレーパンを穿きましたが、お尻の痛みに対して一番効果的なのは、結局腰・脚・腕の荷重バランスを適正に保つことだと感じました。


背中・首・腕や手のひらの痛み対応は体幹の強化が基本


 上半身を前傾させるため、背中は長時間屈曲させたままです。その重さを手で支えようとして腕や手のひらに痛みが出てきます。少ない腕の力で上半身を支えるためには体幹の筋力が必要だと言われます。体幹って何、と思われるかもしれませんがロードバイクに乗り続けていれば自然に鍛えられます。しかし、それまで何も手を打たないのではサイクリングの楽しさも半減です。乗り方や道具で少しでも痛みを和らげることができるのであればと考え、いろいろ試してみました。

手のひらの痛みを和らげる対症療法


 走ることに慣れてくると、走る時間も延びてきます。疲れがたまってくるとついつい腕に荷重がかかるようになり、ハンドルを支えている手のひらに痛みを覚えます。一番力の加わる部分にゲル状のクッションが入った手袋を使用していますが、効果のほどは定かではありません。

ハンドルに接する部分にゲル状のクッションが入った手袋

路面からの細かい振動を吸収するにはバーテープを厚めのものに変えるのも効果があるようです。ツールドフランスで石畳を走る選手がそうしていると聞き、真似してみました。

厚めのバーテープも手の痛みには効果がある(かも)

これらの対応以外では手の位置を時々変えてやり、一箇所だけに力が加わることのないように意識しながら走るようにしました。体幹が鍛えられ、サドルとペダルにかかる荷重がうまくコントロールできるようになると、ハンドルで体を支えていない状態を作り出すことができるようになります。カーブではハンドルを押さえつけず軽く手を添えているだけ、登り坂ではハンドルを持ち上げるような走り方ができる頃には背中や腕、手のひらの痛みは感じなくなりました。


自転車での膝の痛みは深刻


 お尻や背中の痛みに耐えながら、だんだんと長距離を走れるようになってくると、ロードバイクの本当の楽しさがわかってきたように感じます。しかし、それとともに今度は膝に痛みが出るようになりました。お尻や背中の痛みとは異なり、膝の痛みは次回のサイクリングを不安にさせます。このまま膝を壊して走れなくなるのではと考えると、一気にモチベーションが低下しました。

 初心者といえども平均ケイデンスは60rpmくらいにはなるでしょう。これで6時間走れば、2万回以上ペダルを回すことになります。ほんの少しの無理でも、2万回も続けると体にガタがきます。私の場合は膝の外側が痛くなりました。関節の横の腱に炎症が起こっていたようです。走りながら膝の向きを変えたり、力の入れ方を調整したりして様子を見ました。膝が一番楽になるつま先の向き、足首の角度、膝の位置などを探りながら、痛みの出ないペダリングを試行錯誤しました。

比較的足の向きを変えやすいSPDペダル

目的地での歩行を前提とした楽しみ方をしているため、初めからSPDタイプのビンディングを使用しています。ロードに向いているらしいSPD-SLは試したことがありません。シングルリリースタイプのSPDクリートのためか、走りながら足の向きをかなり自由に変えられます。つま先を少し内側に向け、膝をフレームに近づくように注意しながらペダリングするようにしたらいつの間にか膝の痛みは感じなくなりました。どうもガニ股、O脚気味のペダリングのせいで膝の外側に痛みが出たようです。

 ネット上でもサイクリングと膝の痛みに関する記事は山のように検索できます。人それぞれ原因が異なりますので、対応もまちまちですが、膝の痛みだけはきちんと対処すべきでしょう。我慢を続けて鍛えるだけでは解決できないばかりか、膝の痛みが原因で自転車と決別なんてことにもなりかねません。自分で解決できない場合は、進んで専門家に相談してみるのも大切だと思います。


つま先の痛みや冷えも辛い


 特に冬場に症状が出やすいのですが、ペダリングを続けているとつま先が痛くなったり、冷えで我慢できないことがあります。冬でも通気性の良い夏用シューズのままですので、シューズカバーをしていますが、それでも我慢できないことが度々でした。靴下を厚手のものにしたり、シューズカバーを二重にしたりと色々試してみましたが効果がありません。
 ある時、冬山登山やスキーの際に気をつけている「つま先の血行」について対策を取ってみました。ペダルを踏み込むとつま先はシューズの先の方へ移動してしまいます。これを長時間繰り返していると、つま先が圧迫されて血行が悪くなります。

適度な余裕が必要なサイクリングシューズ

ビンディングシューズでは引き足も効果的に利用できますが、その際にシューズの中の足を後ろへ戻すように心がけながら走るようにしました。結果として、つま先がシューズの前方に押し付けられることがなくなり、冬場にシューズカバー一枚でも冷たさを感じることがなくなりました。今まではシューズの中で血行不良になっていたようです。つま先の痛みもだいぶ減りました。


末長く自転車を楽しみたい


 体幹が強化されたからなのか、荷重の分散がうまくできるようになったからなのかわかりませんが、ロードバイクに乗り始めた頃に悩まされた痛みはほとんど感じなくなりました。以前は一日の走行距離や獲得高度、平均速度などのデータが気になり、一生懸命にペダルを漕いでいました。今では途中で自転車を停めて本物の道草を食ったり、動画を撮影したり、自然の音を生録したりと寄り道ばかりで、痛みが出るような走り方ではなくなったのかもしれません。一日100〜120キロ程度の谷津道探検サイクリングを、痛みに悩まされることもなくのんびりと楽しんでいます。自分の年齢と体力に合った乗り方で自転車を末長く楽しもうと思っています。



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