2016年8月12日金曜日

えっ、著作権侵害? YouTubeからContent IDの申し立てメール受信


 YouTubeに動画を投稿するようになってから、まだ一年半の初心者です。先日も、ある動画の視聴回数が急増したと思ったら翌日からほぼゼロになって理解に苦しんでいるという投稿をしましたが、わからないことだらけのYouTubeです。


Content IDの申し立て?


 そんな中、今度はYouTubeから下のようなメールが届きました。どうも私の投稿した動画が「Content IDの申し立て」を受けたようです。使用されている曲「さやかに星はきらめき」が問題で、「elicense」から申し立てがされたとのこと。しかし、こんな曲を動画編集に使用した記憶はありません。

YouTubeからのメール

申し立てを受けた動画は2014年12月に生まれて初めてYouTubeに投稿した「いちはら市民の森イルミネーション点灯の瞬間」です。年末にバイクでたまたま立ち寄った、いちはら市民の森(現いちはらクオードの森)のクリスマスイルミネーションの様子をGoProで撮影したものです。屋外で収録したものをカット編集し、タイトルを入れただけですので、BGMは加えてはいません。投稿した動画にそのまま残っていた会場の音楽が問題になったようです。メールのリンクにあった詳細を見てみると、最後のカット20秒ほどに流れている曲についてのクレームでした。

 申し立てをしている「elicense」について調べてみると、だんだんと状況が飲み込めてきました。2001年に日本音楽著作権協会(JASRAC)と同様の音楽著作権管理業務に参入した株式会社イーライセンスのことのようです。現在は他社と合併して株式会社ネクストーン(NexTone)となっています。2014年6月からは「YouTubeコンテンツマネジメントサービス」としてYouTubeに投稿される動画の映像・楽曲を監視し、著作権者の利益を守る業務に参入しています。どうもこれに引っかかったようです。

 この段階では著作権侵害の警告を受けたわけではなく、自分の動画が再生されるときに著作権者にクレジットされる広告が表示されるか、動画の再生状況が著作権者に報告されるようです。これ以外に、申し立て人としては以下のようなオプションが選べるようになっています。
  • 動画を見られないようにブロック(国別も可能)
  • 動画の音声部分のみをミュート
  • コンテンツが表示されるアプリやデバイス、ウェブサイトなどを制限
申し立て人が法的手段に訴えた場合などに届くのが著作権侵害の警告のようですので、今回はそこまで大げさにはなっていないようです。


屋外撮影での写り込み(録り込み)と著作権


 このContent IDの申し立てで納得がいかないのは、問題となる楽曲はクリスマスイルミネーション主催者が屋外にBGMとして流していたもので、動画投稿者が狙って録音したものではないということです。イルミネーションが点灯する瞬間の人々のどよめきを狙って撮影したもので、勝手に流れているBGMを除いてどよめきだけ録音することは不可能です。このような場合の著作権法上の扱いを調べてみました。

著作物が偶然写り込み(録り込み)したとしても利用許諾が必要か?


 屋外で撮影していると偶然他人の著作物が画像に写ったり、楽曲が録音されてしまうことはそれこそ日常茶飯事です。このすべての場合に著作権者から許諾を得なければ映像や音が利用できないとすれば、怖くて屋外での撮影などできません。平成24年の著作権法改正でこの写り込み(録り込み)に関する「付随対象著作物の利用」という項目が整備されました。以下の三要件を満たしていれば、他人の著作物が写り込んだ(録り込んだ)ものを許諾なしに利用して創作できるとされました。
  1. 写り込んだ(録り込んだ)他人の著作物を分離することが困難
  2. 写り込んだ(録り込んだ)他人の著作物が自分の創作するものへの影響が軽微
  3. 写り込んだ(録り込んだ)他人の著作物の著作権者の利益を不当に害しない
クリスマスイルミネーションを撮影するときに、そこに流れているBGMだけ録音しないというテクニックはない(分離困難性)。自分の作品ではLEDイルミネーションの煌めきと、それが点灯された瞬間の観客の驚きが中心で、最後の20秒のBGMはどうでもいい(軽微な影響)。人々の声と共に聞こえてくるわずか20秒程度の曲が動画と共に公開されたとしても著作権者の利益を害するとは考えられない(利益不侵害)。と、今回のケースではこの三つの要件を満たしているように思えて仕方がありません。


申し立てに対してどんな対応が取れるか?


 YouTubeからのメールでは、問題なければ何のアクションも必要ないと書いてあります。しかし、放っておけば著作権者の広告が勝手に流れるか、動画の視聴情報が著作権者に通知されるそうなので、それも納得がいきません。どんな対応が可能なのかも調べてみました。
  • そのまま放置
  • 楽曲を削除
  • 楽曲を入れ替え
  • 収益を分配
  • 異議申し立て
申し立てのあった動画は、初めて投稿したYouTube動画で、お世辞にも出来が良いとは言えません。一年以上経っても未だ数十回の再生回数で、忘れられた存在と言っても過言ではない作品です。異議申し立ては面倒なので、楽曲の削除というものをやってみました。初めは動画の音声トラック全部をバッサリと入れ替えてしまおうかと思ったのですが、イルミネーション点灯の瞬間のどよめきまで消えてしまってはこの作品の存在価値もなくなってしまいます。問題になっている最後の20秒間の音だけ消せるのなら、それで十分です。

動画の管理で「音声」を選択

クリエーターツール>動画の管理>音声を開いてみると、ベータ版ですが「曲を削除」という機能があり、問題になっている曲が表示されています。試しに押してみると最後の20秒部分の曲が見事に消えていました。曲以外の声や環境音は一部が残っています。単純に該当部分をミュートしているわけではないようです。


 こんな忘れ去られたような作品にまでContent IDの申し立てを行ってくるのは、自動化されたクレーム処理のおかげで対象一つ一つの費用対効果を考える必要がないことと、ネット上での権利保護意識の高まりからなんでしょうね。これからは屋外での撮影に今まで以上に気を遣いそうです。



今度はApple Loopsで作った自作BGMが引っかかった


 動画編集で使用するBGMは、ソフト(Final Cut Pro X)に付属しているフリーの音楽素材かYouTubeのオーディオライブラリーから選べば問題はなさそうですが、使えるものが限定されてしまいます。せっかく購入したMacBookやiPhoneについてくるGaragebandを活用して動画のBGM作りに挑戦してみました。特に、6,000以上ものループ音源を自分の好みに合わせて並べるだけでできてしまうApple Loops機能は、音楽知識のない自分でもBGM風の楽曲が作れてとても便利です。著作権についても、ループ音源としてそのままの形で販売はできないが、組み合わせて出来上がった作品は商業利用可能であることが明記されています。YouTubeに投稿する動画のBGMとして使うのは何の問題もないはずです。

 編集した動画にApple Loops音源で作成した1分ほどの長さのオープニングBGMをつけてYouTubeに投稿したところ、公開ボタンを押したのとほぼ同時に、あの忌まわしいContent IDの申し立てが来ました。この早さは明らかにシステムで自動チェックしたものでしょう。クレームを受けたのはこちらの動画のBGM冒頭部分です。


今回はすかさず異議申し立てを行ってみました。色々と確認事項にチェックさせられるため、多少ビビります。日本人ってなかなか権利主張ができない民族なんだなと実感させられます。自民党の国会答弁よろしく『Apple Loops音源だけを使って作ったものだから似た曲があって当然、クレーム元の主張は当たらない』と書いて送信しました。

 するとどうでしょう。翌日の朝には次のようなメールが届きました。結果は当然こうなると思っていたのですが、『Good news!』ってのがちょっとカチンと来ました。

翌日YouTubeから届いたContent IDに関するメール

Apple Loopsのような音源を組み合わせて曲作りをしていれば、どの部分をチェックしても誰かの曲と同じ部分が出てくるはずです。システムで自動チェックしているのなら、Apple Loops音源かどうかも自動でわかるでしょう。動画を投稿するたびにいちいちこんな対応をするのは面倒でしょうがありません。とりあえず似たものは全てに警告を出しておいて、異議が来たものだけ再度確認すればいいやというクレーム元の考えが見えてきそうです。

(2016年12月6日追記)



また別の業者から警告が来た


 やれやれと思っていたら、また別の著作権管理業者からクレームが出ました。また異議申し立てをしなければなりません。はっきり言って面倒くさい! 誰かがApple Loopsを使って作った曲をオリジナルとして発表しているのでしょう。部分的に見ればApple Loopsの部分は同じになるに決まっていますから、システムが引っ掛けてしまうのでしょう。はっきり言ってえらい迷惑ですね。これではせっかくのApple Loopsも利用する気が失せてしまいます。

(2016年12月6日夜追記)


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