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2017年11月5日日曜日

捨てなくてよかった SONYのFMチューナーST-S333ESXIIが復活


 iPhoneなどで手軽に楽しめるネットオーディオ全盛の昨今、従来型のオーディオ機器を買うことはほとんどなくなってしまいました。10〜20年以上も前に購入した重量級のコンポーネント製品を大切に使い続けていますが、だいぶ年月が経って故障も増えてきました。プリメインアンプのDENON PMA-2000IVが故障した際は、修理するまでの代役で設置した二千円程度のデジタルアンプキットの音が存外に素晴らしく、いつの間にか主役に。壊れた重量級アンプはそのままオーデォラックの飾りになっています(^ ^)


24年間使ったソニーのFMチューナーが故障


 音楽ソースとしてFM放送は手放せない存在になっています。N響のライブ放送などは他の媒体ではなかなか楽しめません。1988年に当時最新鋭のSONY AM/FMチューナー(ST-S333ESXII)を手に入れてFM放送を楽しんできました。

30年近く前に購入したソニーのAM/FMシンセサイザーチューナーST-S333ESXII

しっかりとしたアンテナを繋げば、当時としては驚くほどのクリアな音やステレオ感が楽しめるチューナーでした。当初はカセットにアナログで、その後DATやSDカードにデジタルでエアチェックを楽しんできました。お気に入りのチューナーだったのですが、24年程経った2012年頃から、ステレオにならなくなったり、時々ミュートされて音が途切れたりするようになり、音楽の鑑賞にはとても耐えられない状態となっていました。

ST-S333ESXII故障の状況

調子が悪くなる少し前に、この機種の修理サービス終了がソニーから発表されていましたので、仕方なく新しいFMチューナーを探しましたが、当時ほとんどのオーディオメーカーはハイエンドのFMチューナーの開発と販売を行なっていませんでした。唯一見つけたのがAccuphaseのT-1100です。フルデジタル処理のFM専用チューナーで、めちゃくちゃ高価でしたが、FM放送を高音質で楽しむために思い切って購入に踏み切りました。

Accuphase T-1100を後継系として購入

思い返してみれば、ちゃんとしたオーディオ用のコンポーネント製品を購入したのは、5年前のこのFMチェーナーが最後となりました。その後、ヘッドホンなどの小物の購入はありますが、こんな高額なものの購入は一度もありません。


ST-S333ESXIIはAM専用にしていたが、やっぱりFMが聴きたい


 買い換えた当初は、オーディオラックのスペースを空けるため、故障したソニーのチューナーは廃棄する予定でした。しかし、AMの受信は何の問題もなかったため、T-1100では聞けないAM放送受信用としてオーディオラックに残しましたが、ほとんど電源が入ることはなし。一方のT-1100は、電波を受信してから復調までフルデジタル処理されているため、そのままSDカードレコーダーにエアチェックできます。再生する時に好みのDACで音作りが楽しめるため、メインシステムとして大活躍しています。

 FM電波はケーブルテレビの再送信サービスを経由して受信しています。強力なテレビ帯域の影響をできるだけ避けるために、FM帯域のバンドパスフィルターを入れてT-1100に接続してあります。T-1100についているマルチパスメータを見ても、ほとんどマルチパスはありません。快適な受信環境で、素晴らしいFMの音が楽しめています。

 人間の耳というものは長年聴き慣れた音を忘れないようです。20年以上もST-S333ESXIIで聴いてきた東京FMのジェットストリームが、T-1100だと違って聴こえてくるため、何と無く違和感がありました。クラシックなどではT-1100で何の不満もありませんでしたが、ST-S333ESXIIのFMの音も蘇らせたいとの思いが募り、修理の方法を探り始めたのは最近のことです。そんな時に見つけたのが、メーカーがすでに修理サービスを終了してしまった多くのFMチューナーを復活させている「ひろくんのホームページ」です。記事を参考にしながら、故障したソニーのチューナーの内部を覗いて勉強してきました。

整然としたST-S333ESXIIの内部、素人にも見やすい部品配置

ST-S333ESXIIの保守・調整記事を何度も読んでいるうちに、何と無く問題点も見えてきました。MUTINGとAUTOチューニングをオフにして、ダイヤルで周波数を変えていくと、本来の放送周波数から0.2MHz離れた所で、ステレオインジケーターが点灯します。これは記事にもあった同調点のズレが原因だろうと思い、調整にチャレンジしてみることにしました。


IF回路のFM同調点トリマーを調整したらバッチリ


 アマチュア無線をやっていますので、ダブルスーパーやトリプルスーパー受信機のIFTを適当に回してしまったら、とんでもない状態になることは知っています。ひろくんのホームページでは標準信号発生器を使って、調整のために必要な電波をチューナーに入力していますが、そのような高価な機器は持っていません。同調点の調整だけなら、実際のFM放送を受信しながらでもできると考えて挑戦してみました。回すべきIFTの番号や、測定すべき箇所についても詳しく説明されていますので、大変助かります。

同調点の調整はIFT205を回すだけ

IF用IC LA1235の7-10番ピン間の電圧を測りながら、IFT205をゆっくり回すとテスターの値が変化します。この値が最小になるように調整したところ、本来の放送周波数で、ステレオインジケーターが点灯するようになりました。

正しい周波数でステレオインジケーターが点灯するようになった

東京FM以外の放送局でも同様に、正しい周波数でステレオになってくれます。MUTING動作も正常になり、基本的な受信動作は問題なくなりました。たった一箇所のズレでも使い物にならない状況を引き起こすんですね。さすが精密機器です。ひろくんのホームページでは、FM同調点調整以外にもフロントエンド・PLL・MPXなどの調整方法が紹介されています。チャンネルセパレーションや歪みなどにも影響する調整のようで、ぜひやってみたいのですが、満足な測定器もないままにいじるととんでもない結果になりそうですので、これ以上はやめておくことにしました。しばらくこの状態で、深夜零時からのジェットストリームをじっくり聴いてから、今後の方針を決めようと思います。

 すでに購入後29年も経過したソニー製のFMチューナーですが、ジャンルによっては最新モデルのT-1100よりも聞きやすい音を出してくれます。T-1100購入後、一度は処分しようかと思ったST-S333ESXIIですが、捨てなくて本当に良かったと思っています。



ステレオ時のヒスノイズが気になったので調整範囲を拡大


 FM同調点の調整だけでFMステレオ放送がちゃんと受信できるようになり、しばらくその状態で利用していましたが、クラシック番組などで演奏が始まる前になんとなくヒスノイズが気になっていました。故障する前にSDカードにデジタル録音しておいたものと聴き比べると、以前は全くヒスノイズは出ていません。モノラルにするとヒスノイズは気にならなくなります。これは同調点以外にも調整が必要だと感じました。FMステレオ用の信号発生器などありませんので、先ずは代わりになる機器類の準備です。PLL制御で周波数が安定していて、パイロット信号のオンオフが可能な秋月電子のNS73M使用FMステレオ・トランスミッター・キットを入手して組み立てました。

秋月電子のFMトランスミッターキットを利用

さらに、1KHzの信号発生と受信音のスペクトル表示のためにefu氏のフリーウェアWaveGeneWaveSpectraを利用させていただきました。この二つはWindows XPパソコンの頃から便利に利用させていただいている大変優れたソフトです。これ以外にオシロスコープとテスターも用意していざ再調整開始です。PLL検波部、MPX部、WOIS(歪補正)部の調整を行いました。PLL検波部にかなりのズレがありましたが、それ以外はあまり変わらない(よくわからない)調整となってしまいました。やはり間に合わせの機器では細かな調整は難しいようです。

 特にMPX部のチャンネルセパレーション調整では苦労しました。ノートパソコンにインストールしたWaveGeneで1KHzの信号を発生させFMトランスミッターのLチャンネルに入力、同じノートパソコンのWaveSpectraでRチャンネルの受信音を解析しましたが、全く意図したものが出てきません。色々調べてみると、ノートパソコン内部のミキサーがループバック状態になっていてWaveGeneの信号が直接WaveSpectraに入力されていました。さらに、ノートパソコンのマイク入力がモノラルだったことも後になって気づきました。WaveSpectraでLチャンネルしか正しく表示できなかったことの原因はこれです。FMチューナーの調整作業前に、用意した機器類の動作をちゃんと確認しておくべきでした。大反省ですσ(^_^;)

FM信号発生器の代わりにトランスミッターとパソコンでなんとか調整中

ただし、調整後の音質は確実に向上しました。気になっていたステレオ放送時のヒスノイズが改善されました。歪もほとんど感じません。一応成功のようです。手間をかけるほどに良い音を聞かせてくれるアナログFMチューナー、なんだかとっても愛おしくなってきました(^ ^)

(2017年11月30日追記)



2017年6月20日火曜日

ラジオの世界も様変わり Volumioだけで楽しむNHKらじるらじる


 昔からのラジオ好きです。たまに好きなTV番組を観る時以外は、ほとんどラジオを聴いています。就寝時には枕元の小型ラジオ、車の運転中にもカーラジオ、トイレにもラジオが置いてあります。少し前まではサイクリング中にもヘルメットに取り付けた携帯ラジオを聴いていましたが、さすがに道路交通法改正でイヤホンの使用がうるさくなったため止めました。そんなラジオ漬けの毎日ですが、最近は家の中も電子化が進み、色々な家電が電磁波ノイズを出しているようです。よく聞くAM波のNHK第一放送も場所によってはノイズ混じりで聴きづらいことが増えてきました。電波を使わず、電磁波ノイズの心配のないネットラジオの出番が増えてきた今日この頃です。


安価にネットワークオーディオが設置できるVolumio


 ネットラジオが出てきたばかりの頃は、バックグラウンドでラジオを再生しながら、パソコン作業をしていました。しかし、小さなスピーカーのパソコンでは音が貧弱だったり、再起動が必要な時にラジオも止まってしまったりと、一台のパソコンでは使い勝手の悪いものでした。

 5,000円前後の価格で手に入れられるRaspberryPiに音楽再生に特化したVolumioというフリーソフトを導入すると、ネットワーク音楽プレイヤーが簡単に作れることを知りました。これに好みのDACやアンプ、スピーカーを組み合わせてやれば、望む音質のシステムが出来上がります。Wi-Fiで家庭内ネットワークに繋げば、家中どこにでも置けます。リビングや仕事部屋などに複数のRaspberryPiをネットワークオーディオシステムとして設置しました。ラジオを聴くには、iPhoneやパソコンからNHK「らじるらじる」の音声をAirPlayでこのネットワークオーディオシステムに飛ばします。

iPhoneからラジオの音声をAirPlay経由でネットワークオーディオに飛ばして聴いていた


ラジオ聴くのにVolumioの他にiPhoneって必要?


 しばらくこのやり方でラジオを楽しんでいましたが、Volumioだけでもネットラジオを再生する機能がついています。登録されているラジオ局にNHKはありません(海外向けのRadio Japanはありました)が、調べてみると好みのウェブラジオ局を追加できるようです。VolumioだけでNHKのラジオが聞ければ、いちいちiPhoneを取り出してアプリを起動する必要もありません。

マイウェブ放送局の登録ができるVolumio

登録するにはストリーム放送用のURLか、M3UあるいはPLSリモートファイルを指定しなければならないようです。仕組みについてはちんぷんかんぷんですが、とりあえずネットで調べたNHKのM3Uリモートファイル文字列を指定してみました。

意味もわからずNHKストリーム放送の情報をネットで調べてインプット

登録したウェブラジオを再生すると、指定したURLが開けないというようなエラーが出て音が出ません。ネットで散々調べましたが、どれも少しづつですが内容が異なっているようで、どれが正しいのかわかりません。諦めかけた頃に、いつも使っているSafariブラウザーの開発モードを思い出しました。これを使えば「らじるらじる」がネットワークとやりとりしている文字列を調べられるはずです。

ブラウザーの開発モードを使ってらじるらじるのストリーミングURLをチェック

m3uの文字列を探すと、ありました。やはりネット上で調べたものと少しだけ違いがあります。時々変えられているのかもしれません。ここで調べた文字列をVolumioのマイウェブ放送局に登録してみると、ちゃんと音が出ました。NHK第二やFMも同様に調べて登録。これでiPhoneから音声を飛ばさなくても、VolumioだけでNHKの三局が聴けるようになりました。

実際に調査したストリーム情報を登録してNHK三局が聴けるようになった

下が今回調べたNHK三局のストリーム情報です。千葉県からアクセスしていますので、他の地域からは違う文字列になるかもしれません。ストリーム情報に「akamai」の文字が含まれています。知られざるネット上の巨人であるAkamaiのサービスを使っているんですね。(2017年12月19日追記:いきなりNHKが聞けなくなりました。URLがオープンできないというエラーになります。前回同様にSafariの開発モードで調べてみたら、またm3uファイルの文字列が変えられていました。NHKから提供されるプレイヤー以外では聞けないようにするために時々変えられているみたいですね。なんか意地悪されているみたいです....)

NHK第一:
https://nhkradioakr1-i.akamaihd.net/hls/live/511633/1-r1/1-r1-01.m3u8
NHK第二:
https://nhkradioakr2-i.akamaihd.net/hls/live/511929/1-r2/1-r2-01.m3u8
NHK-FM:
https://nhkradioakfm-i.akamaihd.net/hls/live/512290/1-fm/1-fm-01.m3u8

2017年12月19日時点の調査結果

一番よく聴くNHK三局はこれでOKなのですが、平日深夜零時から放送される東京FMのジェットストリームも長年愛聴してきた番組です。できることなら東京FMも登録したいと思い、radikoで東京FMを再生した時のネット上のやり取りを調べてみましたが、m3uの文字列が見つかりません。radikoはどうもストリーミングの方法が異なるようです。ネットで調べてみてもVolumioそのものでradikoを聴いているという記事は見つかりませんでした。


「ホームラジオ」というシェアウェアなら録音も可能


 ネットで検索を重ねているうちに、RaspberryPiに「ホームラジオ」というシェアウェアを導入すると日本のラジオ局がプリセットされていて、聴くだけでなく録音もできることがわかりました。プロダクトキーの購入に1,500円かかりますが、各局の情報も全てセットされていますのでお手軽です。電源投入後8時間までは無料で使用できますので、試してみました。

「ホームラジオ」のライブ画面、多くの放送局が登録済み

システムが書き込まれているSDカードの余り部分や別のUSBメモリを使って、ラジオ番組をタイマー録音できます。これは便利ですね。予約もブラウザーに表示される番組表から一発でできます。録音したファイルが保存されているフォルダーはNASとして他のパソコンと共有できますので、ラジオサーバーとしてどんどん録音させ、他の部屋からその番組を再生することができます。CPU負荷やネットワークのキャパシティに依存しますが、複数の放送局を同時に録音できるそうで、まさにラジオの世界も様変わりといった感じです。以前、NHK第二の英会話番組を毎日決まった時間にカセットテープに録音して、通勤電車の中で聴いていたのを思い出します。このラジオサーバーがあったら本当に楽だったろうと思います。(まあ、録音で楽すると聞かなくなっちゃうもんですけどね〜 ^ ^;)


H/WボリュームのあるDACならプリアンプも不要


 リビングに設置したVolumioシステムはステレオセットのDACに接続してあります。大型のスピーカーをドライブするために、それなりの大きさと値段のプリメインアンプを使っています。音量調整はこのプリアンプ部で行います。対して、別の部屋に設置したVolumioシステムでは、2,000円で購入した秋月電子のキットをメインアンプにしています。これに同じく秋月で売っていた一個300円のスピーカーを繋いで音を出しています。

一個300円のスピーカーユニットを2,000円のアンプでドライブ

こんなアンプとスピーカーでもAMラジオ放送を聴くには過不足のない音を出してくれます。音量調整が目的でこのアンプの前に同じく秋月電子のキットで作ったヘッドホンアンプを入れていました。ケース付きで6,000円しましたので、システムの中で一番高価なコンポーネントです(^ ^)

秋月のヘッドホンアンプキット、いい音出ます

これにVolumioをインストールしたRaspberryPi 2BとUSB DACを繋いでいます。もちろんこのDACも秋月電子で1,700円で購入したものです。USB DACは裸のまま、購入時に入っていた静電気防止袋に入れてあります。全ての操作がリモートから行えるため、RaspberryPi本体も含めて、部屋の写真立ての後ろに隠してあります。ケースなどの見栄えを全く気にする必要はありません。一般のオーディオシステムと一番異なる部分かもしれませんね。

RaspberryPi 2BとUSB DACをこのままで使用中

このDAC、調べてみるとハードウェアによるボリュームコントロールができるようです。Volumioの設定メニューにあるMixer TypeHardwareにすると、音質の劣化なくVolumioからDAC出力の音量が調整できるようになります。

Volumioの音量オプションでハードウェア・ミクサーを選択

この機能を使えば、音量調整のために入れている一番高価なヘッドホンアンプがなくてもボリュームコントロールができます。いちいちアンプのところまでいかなくても、パソコンやiPhoneからリモートコントロールできるのでとっても便利になります。

Volumioのプレイバック画面右側がボリュームコントロール

先ほど試した「ホームラジオ」は簡単にラジオが聴けたり録音できますので、1,500円はリーズナブルな価格だと思いますが、音量の調整が素早くかつ細かくできませんでした。多分、普段の音量調整はアンプで行うという設計思想なんだろうと思います。

 今のところVolumioだけでは東京FMを聴くことはできませんが、一番よく聴くNHK第一とNHK FMがVoumioだけで聴けるようになりました。アンプも含めて消費電力が大変小さく、電源を入れっ放しにしても電気代もそれほどかかりません。パソコン仕事をしながら一日中ノイズのないラジオを聴き放題なんてこともできるようになりました。しかも、音量調整も放送局の切り替えも手元のパソコンから行えます。ラジオの世界も様変わりしていますね。



欲が出て音楽専門局も追加


 VolumioだけでNHKラジオ局が手軽に楽しめることがわかると、さらに欲が出てきました。高音質が期待できるデータレートの高いネットラジオ局の一つであるLINN Radioも追加してみました。

LINN-Radio:
http://radio.linnrecords.com/cast/tunein.php/linnradio/playlist.pls
LINN-Classical:
http://radio.linnrecords.com/cast/tunein.php/linnclassical/playlist.pls
LINN-Jazz:
http://radio.linnrecords.com/cast/tunein.php/linnjazz/playlist.pls
OTTAVA:
http://rakuten.streamguys1.com/ottava1_b?args=widget

日本のOTTAVAも加えてみましたが、よく見ると初めからVolumioに登録されていました。NHKが48Kbpsの帯域しかないのに比べて、LINNのストリーム放送は320Kbpsのデータレートがあるためかなり高音質です。AM放送用に使っているVolumioシステムではなく、リビングのステレオセットにつながっているVolumioで聴いてみたらBGMに最適な音が楽しめました。

(2017年6月21日追記)



音の途切れが発生するのはHLS方式のせい?


 320Kbpsの帯域を使うLINN Radioではほとんど音飛びはありませんが、それよりずっと低速回線向けの48Kbpsしか使っていないNHK三局ではかなり頻繁に音飛びが発生することがわかりました。真っ先にVolumioのプレイバックオプションにあるバッファーサイズや先読みするデータの割合を増やしてみましたが、状況はあまり変わりません。

Volumioの受信バッファーサイズや先読みの割合を増やしてみたものの....

NHKの再生のされ方を注意深くみていると、10秒の長さのTSファイルを順番に読み込みながら再生を続けています。これがHTTP Live Streaming(HTTPライブ・ストリーミング、HLS)方式と呼ばれる配信のプロトコルでした。受信バッファーのサイズを大きくしたり、先読みの量を多くしても、一つ一つのファイルが小さく、次以降のファイルを先読みしない限り音飛びの防止には役立たないのではないかと思い始めました。技術的なことはわかりませんが、VolumioのHLS配信の取り扱い方法に改善が必要なのかもしれません。
 NHKの「らじるらじる」ではバッファーサイズを大きくすると、最初に音が出てくるまでにかなりの時間を要しますが、Volumioではバッファーサイズを大きくしても音が出てくるまでの時間はほとんど変わらず、数秒以内には音が出てきます。Volumioでは複数個のTSファイルを先読みするようなバッファリングはしないのではないかと推測しています。瞬間の音飛びですので、会話の多いNHK第一ではあまり気になりませんが、FMで音楽を聴いている時にはがっかりします。対応が必要ですね。

(2017年6月26日追記)



結局ラジオサーバーで録音してVolumioで聴く方式に


 Volumioで聴くNHKラジオは、音飛びとURLが時々変えられてしまうことから快適ではありません。結局、シェアウェアの「ホームラジオ」を使ってラジオサーバーを設置しました。好きな番組を自動録音して共有ホルダーに溜め込んで行きます。無線LAN経由でVolumioからそれを聞いて楽しんでいます。こうすると音飛びは全く出なくなります。聞き逃しも避けられ、ますます快適なラジオ環境が出来上がりました(^ ^)

(2017年12月19日追記)



2017年3月29日水曜日

故障したPMA-2000の代わりに秋月のアンプキットで音を出してみた


 マニア向けの魅力的なコンポーネント製品を作るオーディオメーカーが淘汰されてから月日が経ちました。手軽なネットオーディオ製品や携帯型の音楽プレイヤー、iPhoneなどのスマホで楽しむオーディオが全盛の今、個別コンポーネント製品を作るオーディオ専業メーカーの経営が厳しいのは理解できます。自宅で使用しているオーディオ機器も、ほとんどが10年から20年も使用している年代物ばかりです。


プリメインアンプ(DENON PMA-2000IV)が再度故障


 2003年に購入したDENON PMA-2000IVは、価格の割にしっかりとした設計と作りで、なかなか良い音を聞かせてくれます。今でもオーディオ好きに愛されているアンプのようで、中古市場でもソコソコの値段が付いています。

自宅オーディオの中心になっているアンプ(DENON PMA-2000IV)

しっかりとした材料・部品で構成されているのをうかがわせる超重量級のボディで、高級感のある作りが気に入っています。購入から8年ほど使用した2011年頃、インプットセレクターが何の操作もしていないのにカチカチと切り替わるような不具合が発生しました。スピーカー保護のため、セレクター操作時には数秒間アンプの出力が抑制されるようになっています。音楽を楽しんでいる最中に、いきなりカチッと音がして音楽が数秒間途切れるので、とてもゆったりと音楽を楽しめたものではありません。メーカの出張修理を依頼し、インプットセレクター部のロータリースイッチを交換して治りました。

 その後何の問題もなく音楽を楽しんでいましたが、2016年頃からまた同じ症状が発生。ネットで調べてみると、ここがこのアンプの弱点のようです。購入後13年以上が経過しましたので、再度の修理を依頼して使い続けるか、買い換えるか悩んでいるところです。


秋月電子のデジタルアンプキットで鳴らしてみた


 PMA-2000IVは80W+80W(8Ω)の最高出力です。これでパイオニアの3ウェイ大型トールボーイ・スピーカーをドライブしていました。

スピーカーはパイオニア製トールボーイ型(S-A77TB)を使用

代わりになるアンプを探してみたら、携帯型オーディオプレイヤーを繋いで机の上の小さなスピーカーを鳴らすために作成した秋月電子のデジタルアンプキットがありました。最高出力は1W+1W(8Ω)しかありません。

半田付けしてケースに組み込んだ秋月のデジタルアンプキット

「こんなのであのでかいスピーカーがドライブできる?」と半信半疑でDENONのアンプの代わりにスピーカーに繋いでみました。プリアンプの代わりも秋月電子のポータブルヘッドホンアンプキットです。±3ボルトの両極電源が必要ですが、とてもクリアな音でお気に入りのヘッドホンアンプです。

PMA-2000IVの代わりに秋月のキットを接続

十数万円したメーカー製のプリメインアンプから合計6千円程度の秋月電子キットに置き換えて音を出してみたら.... 何と結構いい音が出てきます。締まった低音も出ていて、歪みも感じません。心配していた音量も十分です。ボリュームを上げると大き過ぎるくらいの音が出せます。改めてスピーカーのスペックを調べてみると89dB/W(1m)の出力音圧レベルでした。このくらいの効率があれば1W+1Wのアンプでも十分な音量で鳴るんですね。驚きです。


ピュアオーディオの復権はあるか?


 少し前にパナソニックが往年のオーディオブランドであるTechnicsを復活させました。当初は100万円を超えるような価格帯の製品ばかりでしたが、だんだん手頃な価格帯の製品も揃ってきたようです。最近はターンテーブルの新製品も発表になり、いよいよアナログレコード時代の復活かと驚きました。カタログの中に”ワウ・フラッター”という言葉を見つけたときは懐かしさのあまり声が出てしまいました。日立のLo-Dあたりも復活してほしいですね。

 オーディオを始めた頃からFM放送は音楽ソースとして重宝しています。当時は選ぶのが難しいほどたくさんのチューナーが売られていました。長年エアチェックの主要機材として活躍してきたのがソニー製のAM/FMチューナー(ST-S333ESXII)です。

エアチェックに活躍したソニー製チューナー(ST-S333ESXII)

このチューナーで受信するNHK FMのベストオブクラシックはうっとりとするような音が楽しめました。残念ながら数年前にFM部が不調となり、ソニーのサービスセンターでも修理は終了しているとのことで、現在はAM専用チューナーとして使用しています。代わりのチューナーを探しましたが、当時ほとんどのオーディオメーカーにはチューナーの上位機種がありませんでした。ミニコンポのセット用として売られているものはありましたが、最高の状態でクラシックを楽しめるような性能はなさそうです。色々探してたどり着いたのがAccuphaseのT-1100です。オーディオ専門メーカーが最新のデジタル技術で設計したFM専用チューナー。大変高価でしたが、清水の舞台から飛び降りるような気持ちで購入しました。

FMチューナー(Accuphase T-1100)からSDカードに直接デジタル録音

デジタルで復調まで処理されていますので、チューナーから直接デジタル信号が取り出せます。これをSDレコーダーで記録し、聞くときにお気に入りのDACでアナログに戻します。この楽しみ方を始めて、さらにFM放送が持つ高いポテンシャルに気づきました。特にNHK FMの生放送は素晴らしいですね。ジャズもクラシックも、うっとりするような音が出てきます。こんなマニアックな楽しみ方ができるピュアオーディオ製品を作るメーカーがどんどん出てくることを願いたいと思います。



小型D級アンプ恐るべし、いつのまにか主役に


 故障したPMA-2000を修理もしくは買い替えるまでの代役として使い始めた小型のデジタルアンプですが、使ってみると何だかとってもいい音がします。半年以上も経ちましたが、未だにピンチヒッターのままで使用しています。プリアンプとして使っていたヘッドホンアンプが電池式のため、時々電池交換をするのが面倒でした。試しにデジタルアンプの入力部にボリュームを設置してみたら、何の問題もなくスピーカーをドライブできるため、ヘッドホンアンプも外しました。実に質素なシステムの完成です。

秋月のデジタルアンプ入力部にボリュームを設置してプリアンプを省略

使用している電源はガラケーについてきた5VのACアダプター(最大900mA)です。こんなもので、大型のスピーカーが十分な音量で鳴ってくれます。プリアンプ部はボリュームのみの完全パッシブ、メインアンプはD級の1W+1W仕様と、およそHi-Fiシステムとは縁遠いものですが、なぜか低音から高音まで満足できる音が出てきます。消費電力も格段に小さくなりました。小型のデジタルアンプ、恐るべしです。DENON PMA-2000IVは壊れたままリビングに鎮座し続けています。

(2017年10月6日追記)



2014年12月9日火曜日

恐るべしLinuxワールド(Raspberry Piで簡単ハイレゾ音楽サーバー)


 先日秋月電子で購入したRaspberry Piをいじくりまわしています。Linuxについてはズブの素人ですが、標準のRaspbianを導入してディスクの共有をしてみたり、開発環境を試してみたり、五千円(ケース別)とは思えない楽しいオモチャです。

リビングのTVの後ろに置きました(ごちゃごちゃです)

USB端子が四つもあるため、キーボードやUSBメモリを繋いでも空きがあります。ふとUSB-DACを繋いで音を出してみたくなりました。OnkyoのDAC-1000を接続し、VLCでドライブしてみたところ立派な音が出ます。メーカーであるOnkyoのサイトを見てもLinux用のドライバーなどどこにも見当たりませんでしたが、別途ドライバーをインストールしなくてもちゃんと音が出ています。

FMエアチェック中心のコンポ

Volumioでネットワークオーディオ環境構築


 記録メディアはカセットテープからDATへ、そして今ではSDメモリーカードに変わりましたが、FMのエアチェックはもう何十年とやっています。AccuphaseのT-1100(DDS方式FMステレオチューナー)はデジタル出力を持っていますので、そこからTASCAMのSDメモリレコーダーに直接記録しています。アンテナはCATVのFM再送信サービスなのでマルチパスの非常に少ない良質の電波が供給できていると思います。問題は聞くときのDACの品質です。色々試して、今はDAC-1000に落ち着きました。このDACはなかなか良いスペックを持っていて、USB接続の場合は32bit/192KHzまで対応します。今流行りのハイレゾ対応です。ただこの能力を活かすためにはPC接続で音楽再生をしなければなりません。オーディオセットが置いてあるリビングにPCをセットするのも気が引けていたため、今までは16bit/48KHzまでしか利用していませんでした。テレビの裏に隠したRaspberry PiでこのDACをドライブし、リモートからコントロールできればリビングにごちゃごちゃと物を置かなくて済みます。マルチメディアプレイヤーであるVLCでやってみましたが、ユーザーインターフェースの使い勝手が今一つなのと、48KHz以外のサンプリング周波数も全て48KHzにリサンプリングされてしまい目的を果たすことができませんでした。

 ネットで調べてみるとVolumioというソフトがRasspberry Pi上で快適な音楽再生環境を構築できるということで評価が高いようです。

非常にシンプルなコントロール画面

導入も至極簡単。PCやスマホのWebブラウザーからコントロール可能なため、リモコン付きコンポのように操作できます。さらに標準でAirPlayに対応していて、iPhone/iPad/Macから直接このVolumio経由で家のステレオに音を飛ばせます。ハイレゾのサンプル音源をダウンロードしてVolumioで再生してみたのが下の写真です。ちゃんとソースの192KHzのままでDACまで届いていました。

Volumioで見事に192KHz再生

たった五千円のハードウェアでやりたかったことが全てできてしまいました。音飛び等の品質についてはこれから時間をかけての検証になりますが、製品として出来上がったものを購入すれば多分何万円も出費することになったと思います。しかも、ハードもソフトもオープンソースという今後も大勢の人がサポートし、改良を続けていくだろうものです。Linux恐るべし!改めてコミュニティの偉大さに感銘しながらリスニングを楽しみました。



Volumioがいつの間にかバージョンアップされてる


 リビングのオーディオセットに繋いだVolumioでNASに録り貯めたFM放送を楽しんでいますが、別の部屋の小型スピーカーでも同じ音源を楽しみたいと思い、もう一台Volumioをセットアップすることにしました。今回は部屋から部屋に持ち運びできるよう、Wi-FiでNASにアクセスし、小型のUSB-DACから音を出すようにしました。Raspberry-Pi 2B本体以外に三千円ほどの出費です。

無線LANとDACをUSBで接続し、このまま各部屋のアンプに接続すればOK

Volumioをダウンロードしてみると、いつの間にかバージョンが2に上がっていました。前回同様にSDカードにイメージを書き込み、一旦有線LANを使って起動してから無線LANの設定をしてやれば、あっという間に完成です。Linuxの知識など全くなくても、多少ネットワーク設定ができれば誰でもセットアップが可能です。本当にありがたいですね。

 パソコンからVolumioにアクセスしてみると見栄えが大きく変わっていることに驚きます。背景にイメージが指定でき、再生中にアルバムの画像が表示されます。さらに、設定を変えると日本語が出るようになっていました。

見栄えが大きく変わっていたVolumioバージョン2

 今回使用したUSB-DACはハードウェアで音量制御できる仕様になっています。Volumioはハードウェアで音量制御ができないDACでも、ソフトウェアで同様の機能を提供してくれますが、その場合は音質の劣化は避けられません。今回のUSB-DACなら音質劣化無しでVolumioから音量制御が可能になります。ボリュームコントロールがVolumioでできていますから、プリアンプを省いて秋月電子で売っている二千円のデジタルオーディオアンプ(メインアンプ)に直接繋いで音を出してみましたが、音量も十分でした。これでますます自宅のネットオーディオ環境が充実しました。AirPlay機能を使えば、iPhoneのスピーカー代りに各部屋のVolumioを使って音楽を聞くこともできます。日々改善と機能アップが続けられるVolumioプロジェクトに感謝しながら、家中で音楽を楽しんでいます。

(2017年4月26日追記)